※この作品はR-18です。

裸の少女とポケモンだけが住む世界   作:Momyaka

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Chapter9 ~震える沼地~

 

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 ×××は牢屋から脱出!

 だけどここは敵のアジトの地下深く。

 見張りが沢山いる中を、×××は進む。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 ×××の豊満な胸と大きなお尻がぷるんぷるんと揺れた。

「力を取り戻したら覚えてなさい」

 強がりながら進む×××だが、ぽたぽたと垂れる愛液が目印になってしまっており……。

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「えへ♡えへへぇ♡」

 タブレットを鼻先で突き、R18ゲームをプレイする私。

 

 ローターとバイブで股間と乳首を刺激しながら身を捩る。

 まさかこちらの世界でも遊べるなんて思わなかった。

 両手が使えないのは不便であるものの、逆にそれが気持ちいい。

 

「んぐっ♡」

 俯せでゲームしながら再び絶頂する私。

 

(ああ、まだセックスシーンじゃないのにイッちゃったぁ……)

 幸せな気分になりながら荒く息をするが、視界の端である変化が起きていた。

「はぁ、はぁ……。あ、朝……?」

 視線を動かすといつの間にか外が明るくなりつつあることに気付いた。

 

 昨晩インテレオンと共に帰った後、ランドセルにタブレットが入っていたことを思い出した私はついついゲームを始めてしまい徹夜で遊んでしまったのだ。

「……ううっ、頭が重い…」

 そのことを自覚した途端に疲れがやって来て、私は背負ったままであったランドセルを揺すりタブレットやローター、乳首用バイブをランドセルに戻す。

 

「……」

 私が念じると同時にランドセルの肩ベルトが外れ、私の背中からベッドの上へと落ちる。

(役立つけどどうなってるんだろう、これ…)

 今のようにモンスターボールの如く物の出し入れを行えたり、手錠を掛けた状態でも背負ったり降ろしたりできたりと不思議な性質を得ている私のランドセル。

 それと中に入っている私の私物も電化製品であるのにバッテリー切れを起こすことなく、ずっと動かし続けられている。

 

(これも『預かりボックス』のようなダンジョンの出土品だから?)

 それによく考えると私の膣内に未だあるバイブだって振動を辞める気配がない。これも同様にダンジョンの影響を受けているのだろうか。それにどうしてこれら私の私物がダンジョンにあったのだろう。

 

(……私自身と……ダンジョンに、関係が……?)

 そんなことを考えている内に、睡魔に襲われた私は寝息を立て始めた。

 

 

 

 

 

「起きろ」

「ふあぁ……?」

 春眠暁を覚えずとばかりに、春の陽気の中眠っていた私を起こす何者か。

 

 欠伸をしながら目を開くと部屋にいたのはアノホラグサだった。数秒ボーっとしていた私だが、その事実を脳が理解すると同時に眠気が吹き飛ぶ。

「なっ!? どうしてここに!?」

「ファイヤーが心配してる」

「し、心配? ファイヤーが?」

 『スプリングタウン』で活動する救助隊を統括するギルド長ファイヤーが一体何の用だというのだろう。

 

 

 

「突然呼び出し申し訳ありません、ルーア」

 アノホラグサに連れられ私は再び伝説のポケモン、ファイヤーの部屋へと訪れていた。

 

「アノホラグサも小間使いのようなことをさせてしまいすみません」

「インテレオン救助行ってる、仕方ない」

 他に部屋の中にいるのはチェリムぐらい。マホイップ達やヒバニー達もダンジョンに向かっているのだろう。

 

「さて、本題に入らせて頂きます。インテレオンから昨日ルーアが『追放の遺跡』に向かったと伺っていますが間違いないですか」

「う、うん。そうだけど……」

「それで……元の世界には帰れなかった……と」

「……」

 ファイヤーに問われ、私は視線を逸らす。

 

 あの遺跡で元の世界に戻れたように最初は思っていたが、実際は闇が見せた幻覚だった。私は元の世界に戻されたと思い込みながら闇の中で独りイキ狂いしていただけなのだ。

 成果と言えばランドセルを始めとした道具を手に入れたぐらい。

 

「私もあの遺跡以外、ニンゲンと関わりがありそうな場所に心当たりはありません。帰る手段が無かったとなるとこれからどうすべきか……」

 ファイヤーの心配事とは、私が元の世界に帰る手段を手に入れられず困っていないか、ということか。

 

 だけど……。

 

 

 

「……大丈夫、私にはインテレオンがいるから」

 

 笑顔を見せて私は言い切った。

 もし二度と帰れないとしても、彼がいるなら寂しくない。

 

「……ふうん」

「うわあ、ポジティブポジティブ~」

「随分と仲が良くなったのですね、良かったです」

 そんな私にチェリムとファイヤーも微笑みを返してくる。

 

「では、急ぎ元の世界へ帰る手段を探す必要も無いのですね、安心しました。それでは彼と共にもう暫くこの町でゆっくり過ごすと良いでしょう」

「え、えっと……それだけ? 凶暴化とかは……」

「元の世界に帰る話と凶暴化の話は別です。この世界にいるからといって凶暴化ポケモンの解放に尽力しなければならないという義務はありませんよ」

「……うん、分かった」

 あまり凶暴化ポケモンのことを放っているのも心苦しいが、ヤレユータンの言っていた通り下手に手を出すと死に物狂いでダンジョンに向かわされる可能性もある。

 

(何かいい手立てが無いか、インテレオンと相談するのもいいかも……)

 

「じゃあ」

 一足先にギルド長室から出て行くアノホラグサに続いて、私もペコリと頭を下げてから退室。

 

 

 

 来た時と同じように巨大な桜に取り付けられたスロープで降りていく……が。

「……」

「……っ」

 私とアノホラグサの間で流れる沈黙。

 

 姿を見た頃から感じていたことだが、このアノホラグサ……妙に不気味だ。感情が読み取り辛いのはまだしも喋り方も特徴的で何を考えているのか分からない。おまけに時折物騒な発言を放つこともある。

 そんな緊張で嫌な汗が頬を伝うのを感じながら、ギルド宿舎を通り救助隊スペースへ。以前訪れた時の夕方とは異なり、殆どの救助隊がダンジョンへ向かっているこの時間帯は閑散としており静かだ。

 

「ルーア」

「えっ!? な、何?」

 その時、突然アノホラグサから名前を呼ばれ肩を跳ね上がらせてしまう。

 

「ダンジョン行く? もし今日ヒマなら」

「えっ……だ、ダンジョン……? 救助?」

 予想していなかった誘いに私は困惑。

 

「今、残ってる救助依頼ない。お小遣い稼ぎ」

「お、お小遣い?」

 アノホラグサの言っていることがよく分からず、緊張したままオウム返しした。

 

「依頼報酬だけの生活、結構カツカツ。だからダンジョンでお宝探し」

「えっ、そうなの? 活躍してる救助隊って聞いてたけどそれでも?」

「道具代、移動費、食費、水道代、燃料費、貯金諸々……娯楽費が残らない」

 現実的な話をされ、私は少し耳が痛くなる。

 

 今の私はインテレオンに完全に養って貰っている状態だ。

 『ナイトスター』の彼女らであってもそこまで裕福な生活が出来ているわけではないということは、私という厄介者を抱え込んだインテレオンも、もしかすると赤字になっているのではないだろうか。

 

「インテレオンからお小遣い貰ってる?」

「いや……」

 元の世界でさえ子供の行うべき学業を放棄していた私とは真逆で、この世界のヒバニーやチコリータのようなポケモンは救助隊として働いている。

 本当はこの後、家に帰ってエッチな遊びでもしたかったがそれは少しまずいような気がして来た。

 自分で少しでもお金を稼げるのであれば、是非そうしたいとは思う……が。

 

「ええと……私、何の役にも立てないけど……」

「一つ、凶暴化ポケモン解放見てみたい。二つ、この世界でルーアも色々経験」

 つまりアノホラグサも私も得をする、という魂胆のようだ。

 正直彼女の雰囲気に気圧されてしまうものの、一緒にダンジョンに行けばマホイップのように印象を改めるきっかけになるかも。

 

「……分かった」

「承諾感謝」

 私が頷くのに対し、アノホラグサがピョコンとジャンプした。

 

「それで……お宝探しってどこで?」

「これから考え……あ」

「あら、珍しい組み合わせじゃない」

 救助隊スペースで話し合う私達もの元へ一匹のポケモンがやって来る。

 

 『ナイトスター』の一員、ドラミドロだ。

 

「もう終わった?」

「ええ、ダンジョンの浅い所に救助対象がいたのよ。凶暴化ポケモンに襲われたわけでもなく、『どくばりのワナ』で倒れてたみたい」

 そんな事を話しながら、手早くドラミドロは受付へ救助報告を済ませた。

 

「何か面白い話でもしていたのかしら」

「ルーアを誘ってお宝探し。ドラミドロも来る?」

「フフフ、楽しそう。少し暴れ足りなかったのよ、あたくしもお邪魔していいかしら?」

「……う、うん。よろしく……」

 ミステリアスな雰囲気を纏いながら尋ねてくる彼女に私はコクコク頷く。

 

 同行者が二匹もいるのは心強いが、同時に自分の場違い感も感じてしまう。

 

 

 

 鬱蒼と広がる森の中。木漏れ日すら届かず、充ちる冷たい空気が旅する者の来訪を拒む。

 大地を覆うは濁った水。ぬかるんだ水底は進む者の足を捕らえる。

 外部の陽気から隔絶された湿潤なる地、『春寒沼地』。

 

「ルーア、そっちは深場」

「うわっ……ととっ」

 広い沼地を進む一行。

 ぬかるんだ足元で歩き辛い上に、倒木や岩石、足も届かない程の深い水場が行く手を遮る。

 

「……こんなに水が濁ってたら、どこが浅くてどこが深いかなんて分からないよ……」

 普通の沼ならともかく、ダンジョンである以上陸地のすぐ傍の水場が異常に深かったり、細い道状に浅い部分が形成されていたりと沼の形状が複雑怪奇だ。

 

「これも経験よ、何度もダンジョンを踏破するうちに分かっていくわ」

 水中から顔を出すドラミドロが笑顔で言うが、私は本当かなとため息をついた。

 

 何故このような悪環境のダンジョンに来たかであるが、ここに新種のきのみがあるとの噂がありそれを探しに来たのだ。

 木の実農業に従事するポケモンもそのためにこのダンジョンへ来ることもあるが、いずれも失敗に終わり救助隊に助けて貰うという流れも出来上がってしまっている程だという。

 そこで自分達で新種のきのみを見つけて持って帰れば沢山の報酬を得られる上に、そのきのみを栽培し増やすことが出来れば危険へ飛び込んでいくポケモンも減る一石二鳥……ということらしい。

 街でも馴染みの深いオレンやチーゴ、モモンにカゴなどが採れる木々と似た、大きな花を咲かせる木が見つかったことが噂の発端であり、実際にどのようなきのみかまでは分からないようだ。

 

(きのみといえば……元の世界にはオボンとかブリー、ロメとかオッカとか色々あるけど……それとはまた別なのかな?)

 トレーナーではない以上あまりきのみには詳しくないものの、ポケモンにとっての食糧であるきのみに新種があるかもとなれば、浮足立つのも仕方ないのかもしれない。

 そんなことを考えながら、ザブリ、ザブリと音を立てて私は沼地を進む。折角のお洒落用ロングブーツが泥で汚れてしまい、こびり付かないか心配だ。

 

「止まって」

「わっ?」

 私の前を泳いでいたドラミドロが止まり、私も後ろのアノホラグサと共に停止。

 

「何事?」

「ポケモンよ」

 倒木に隠れて先を窺うと確かに数匹のポケモン……ウパーやオタマロの姿が。

 

「この辺りからザブザブ聞こえたよね?」

「外からのポケモンが侵入して来てるかも」

「やっつけないとね!」

 警戒した様子であちらも周囲の様子を窺っているようだ。

 

「……」

「……」

「仕方ないじゃん……!」

 ドラミドロとアノホラグサから見つめられ、音を立てた本人である私は項垂れる。

 

「やれるわね?」

「任せて」

 しかし彼女らはこちらを責める様子はなく慣れた応対を交わし戦闘態勢に入った。

 

 まず倒木の陰から飛び出るのはアノホラグサ。素早い動きで転がってくる不気味な草ポケモンの姿に虚を突かれるウパー達。

 

「『こうそくスピン』!」

「うわあ!」

 彼女は敵の輪の中で鋭い棘を持つ体を高速回転させ、周囲を攻撃!

 

「不意打ちなんて卑怯だぞ! 『あわ』!」

 オタマロが叫びながら回転し続けるアノホラグサへ泡を吹きかけた! しかし彼女の尖った体で泡が割れていき有効打にはならない。凶暴化ポケモン達はアノホラグサの対処に集中するが、その背後ににじり寄るのはドラミドロ。

 

「踊りなさい、『たつまき』!!」

「ひえええっ!?」

 ドラミドロが放った強烈な風を受け、ウパーもオタマロも吹き上げられる。

 

「えっ、ちょっと!?」

 しかし私は驚愕で目を見開いた。

 

 なんと『たつまき』にアノホラグサも巻き込まれているのだ。

 

 仲間を巻き添えにするなんて乱暴な……と思っていたがそれは誤りであることを理解する。

 

 風に翻弄され動けないウパー達とは異なり、彼女は風に乗って華麗に舞い上がっていた。

 

「『タネマシンガン』!」

 特性『かぜのり』による勢いのまま、アノホラグサは大量のタネを発射!

 

「ぎゃあっ!?」

「ひいっ!」

 竜巻の流れに乗るタネはその内に囚われたウパーやオタマロへ命中していく。そのコンビネーションを見て私はあることを思い出した。

 

 ヒバニーとチコリータが練習していた『レンケイ』……ポケモン同士のタイプや技、特性を活かした技術。

 

 『ゆけゆけズ』は特訓中のそれを、『ナイトスター』は既にものにしているのだ。竜巻が止み、沼の中へ墜落していくウパー達に対し、綺麗に着水するアノホラグサ。

 

「さて……これで凶暴化の解除が出来るのかしら?」

「あ……うん、今行くね」

 振り返ってくるドラミドロの元へ、倒木の陰から出て駆け寄る。水面に浮かんでいるウパー達を見ると、確かに目を回して暴れ出す気配は無さそうだ。

 

 そんな確認をしている間に、不思議な青い光が彼らから発せられた。

 

「これが……」

「凄いわね……」

 話に聞いていただけで実際に見るのは初めてである二匹は光を見つめ感嘆の息を漏らしている。

 

「ん……?」

「あれ?」

 そして光が止むと同時に目を覚ますウパーやオタマロ達。彼らの視界に映るのは突然襲ってきたアノホラグサにドラミドロ、そして見覚えのないであろう私。

 

「うわあ!?」

「あ、新手!?」

 彼らは驚きこちらから距離を取り始める。

 

「もう襲わない?」

「襲ってきたのはそっちでしょー!」

 アノホラグサが尋ねるが、帰って来るのはそんな抗議の声。そのまま彼らは泳いで私達の前から去って行ってしまった。

 

「……本当に凶暴化が解けたのかしら?」

「分からない、怒ってた」

「……先制攻撃したのがまずかったんじゃ……」

 キョトンと顔を見合わせる二匹を前に、私は小声で呟く。

 いきなりやって来たポケモン達に有無を言わさず叩きのめされたとあっては、凶暴化から解放された落ち着きよりも恐怖の方が勝るのではなかろうか。

 

「向こうもやる気満々だった、仕方ない」

「バトルに手は抜けられないものね」

「……」

 どうも彼女ら『ナイトスター』はかなり喧嘩っ早いらしい。思い返してみれば昨日もマホイップが果たし状を叩きつけて来ていた。インテレオンが勧誘を遠慮するのも分かる気がする。

 

「新種のきのみについて聞ければよかったのだけれど……次は逃げる前に捕まえればいいのかしら」

「捕獲得意、取り込む」

「……っ」

 毒霧を吹くドラミドロ、頭部の枝をワシワシ動かすアノホラグサ。

 

 もしかすると彼女達と宝探しに来たのは失敗だったかもしれない。

 

 

 

 引き続き『春寒沼地』を進む私達。しかし……。

「ぜぇ、ぜぇ……」

 普段の運動不足とぬかるんだ沼地の移動で私は既に息が上がってしまっていた。

 

「ルーア、疲れてる?」

「え、えっと……」

 後ろにいるアノホラグサが心配して来るが私は言い淀む。

 

(あんまり迷惑を掛ける訳には……)

 

 

 ぐぎゅるるるるる。

 

 

「……っ!」

 盛大に鳴り始める私の腹の音。

 

(そういえば昨晩から何も食べてなかった……っ!)

「少し休憩が必要そうね、あたくしも小腹が空いて来たわ」

 顔を真っ赤にして俯く私の前で、ドラミドロが笑顔で提案するのであった。

 

 

 

 沼から突き出た大岩に上がり、休息をとる事にする一行。

 

「ルーアもどうぞ、リンゴよ」

「あ、ありがとう」

 赤く瑞々しい果実を渡され、私は頭を下げた。手が使えない為膝で挟んで受け取るが、どのようにして食べるべきか思案する私。

 今いる大岩は傾斜があり、どこかに置こうとしても転がって沼へと落ちてしまいそうだ。仕方なく膝を使ってリンゴを口に当てることにするものの……。

 

(も、物凄く食べ辛い……!)

 歯を当てて噛もうにも固定できないせいでリンゴの位置がずれていくばかり。こういう時ばかりは手を使いたくなるが、手錠の音が耳に届いてくる。

「わっ!?」

 膝で持つのには限界があったらしく、遂に落ちてしまうリンゴ。

 

 

 

 幸いにも、落ちた先は沼ではない。

 

「う…ううっ…♡」

 だがその幸いはあくまで不幸中の幸い。

 

 

 リンゴは私が閉じた股……股間の上に落ちており膣液で汚れてしまっていた。しかもこの状態から下手に動けば私の身体からも落ちて沼へと真っ逆さまだ。

(どうしよう……膝も口も手も届かない……!)

「ふんっ……♡」

 身を捩るがリンゴは股間の上で左右に揺れるだけ。

 

 弱々しい快楽……甘酸っぱい刺激を与えられ私は熱い吐息を吐く。ピンク色に染まりだす脳内で私は必死に考える。リンゴを安全な場所へ移動させられる方法……。

 

(そうだ!)

 私は思い出し、股間上のリンゴを見つめて念じる。

 

(ランドセルの中に!)

 

 同時にリンゴは飛び上がって私の背負っているランドセルへと入って行った。

 『追放の遺跡』で入手したランドセルを持ってきていて良かった。手が使えなくてもこうやって道具の出し入れが可能になるのは非常に助かる。

 

「……ルーア、食べないの?」

「えっ!? た、食べるよ!?」

 その様子を見ていたらしいアノホラグサに聞かれ、私は思わずそう回答。

 

 その途端、先程しまった筈のリンゴが再びランドセルから飛び出す。

 

「へ?」

 リンゴはぽかんと口を開ける私へと回転しながら一直線に向かって来た!

 

 

「ぐぶっ!?」

 勢いよく口の中へ突っ込んでくるリンゴとデジャヴを感じながら思い切り仰け反る私。

 

「……?」

 大岩の上で仰向けとなりピクピク痙攣する私をアノホラグサは困惑気に見つめる。

 

(な……なんでこんな……)

 リンゴが口の中に突っ込んできたことに混乱しつつも、私は必死に顎に力を入れた。口が完全にふさがれている状態など苦しくてたまらない。早く噛み砕かなければ。

 

「んががっ……」

「もぐ……どうしたのよ」

「ルーア苦しそう」

 リンゴを食べながらやって来るドラミドロにアノホラグサが説明する。

 

「リンゴ食べる体力、残ってないかも」

「そこまでピンチだったなんて……どうすればいいのかしら」

 二匹は勝手に会話を進めるが、私には応対する方法も余裕もない。

 

「体力が無い……あ! マホイップが言ってたこと覚えてるかしら?」

「ニンゲン……股間が自分を回復させる器官」

「んぐっ!?」

 『ナイトスター』の間では人間がそんな扱いをされていることに私は目を丸くする。

 

「足の付け根……この穴に刺激を与えればルーアの体力が回復するって話よね」

「液体出てる。マホイップの言ってた通り」

「んんーっ!」

 股間をまじまじと覗かれ私は悲鳴を上げるが言葉は発せられない。

 

「腰振ってる……きっと急かしてる」

「上手く出来るかしら……」

「んぐぐぐぐうっ♡!?」

 藻屑のような柔らかいヒレが私の割れ目を伝い、快感が迸る。

 

「アノホラグサもやってみてくれない?」

「……自信ない」

「んぎゅっ♡! んきゅううっ♡!」

 今度は乾燥した硬い枝が股間周りを刺激し、突き刺すような快楽がやって来た。二匹を止めようにも、快楽で顎に力が入らずなかなかリンゴの果肉を噛み切れない。

 

「体液が出てれば回復してる証拠という話よね」

「ドロドロ出てる。多分問題無し」

 膣液を止められない私の股間が、二匹がかりで苛められる。柔らかい刺激と硬い刺激が一斉に襲って来ておかしくなりそうだ。空気が冷えた沼地なのに汗が止まらない。リンゴの果汁と共に涎がどんどん垂れる。

 

(もっと、もっと弄って……! 気持ちよくして……!)

 苦しい筈なのに私の本能はそんなことを叫び、それに呼応するかの如くクリトリスが膨らみ始めた。

「このピンク色の器官は……」

「マホイップが言ってたやつ」

 当然それを見逃すわけがない『ナイトスター』の面々。

 

「んっおおおぉぉ♡♡!?」

 クリトリスの先端を硬い枝で突かれ、根本周りを柔らかいヒレで撫でられ、私は絶叫を上げた。

 二種類の快楽が一斉にやって来て、身体が勝手に跳ねてしまう。両腕も勝手に暴れ、手首が千切れそうな痛みが走った。両脚もひとりでに股を閉じようとしたが、アノホラグサの棘に当たると反射で逆に大股を開く始末。

 

(何も出来ない! 虐められることしか出来ないぃ!!)

 目からは涙がこぼれるのに、大喜びするクリトリスは完全に勃起していた。

 

「んぐっ♡! んううっ♡! んーっ♡!! んんんーっっ♡!!」

 もう私の目の前には絶頂が迫って来ている。

 

「マホイップの言う通りならそろそろ力強めていいのかしらね」

「少し乱暴なぐらいに」

 彼女らはそう言い、枝とヒレの動きにスパートをかけて来た!

 

 

 

「んっぎゅぅぅぅぅぅぅぅ♡♡♡!!!」

 

 ビクビク全身を痙攣させ、私は遂に絶頂へとたどり着く。

 浮いていた腰が岩の上に落ち、胸がゆっくりと上下。

「ん、んぐっ♡ ごくん……♡」

 絶頂と同時に無意識に顎が全力で動いたのか、噛み切れていたリンゴを飲み込む私。それにより多少リンゴが小さくなったため咀嚼も可能そうだ。

 

「回復したみたい」

「フフフ、良かったわ」

 シャグシャグと音が鳴るのを聞き、私を絶頂させた二匹は達成感のある表情となった。

 

 

 

 『春寒沼地』の空気の肌寒さが更に強まり、心なしか辺りも暗くなってきていた。

 

「日が暮れて来たわね」

「……帰った方が良い?」

「……インテレオンが心配するかも」

 休憩の後もダンジョンを進んでいたが、目当ての新種のきのみは見つからず仕舞いだ。

 

「……」

「フフフ。不貞腐れないの、また来ればいいだけだもの」

 沈黙するアノホラグサを宥めるドラミドロ。

 宝探しの成果が無かったのは残念だが、あまり交流が無かった二匹とダンジョンを進んだというのはいい経験だった……とも言えるかもしれない。

 

 

 

 そんな……完全に町へ帰る気分となり油断していた私達の元へ忍び寄る、水底の影。

 

 

 

「ルーア!」

 咄嗟に声を荒げるドラミドロだが、遅かった。

 

 激しい水飛沫と共に現れた者に襲われる私。

 

「わっ……うわあっ!」

「うちの息子やその友達を虐めたんはあんたらやなぁ……?」

 私を軽々と持ち上げるのは青色の肌、頭や腕にコブを持つポケモン……ガマゲロゲ。

 

「母ちゃん! 痛い目に遭わせてやってよ!」

 続けて沼から飛び出したオタマロがそう騒ぐ。そのオタマロはこのダンジョンに来てすぐに戦った個体だ。

 

「きょ……凶暴化を解くために仕方なく……っ」

「誰が凶暴や!? 舐めとんのか!」

「凶暴はお前らだろー!」

 持ち上げられたまま私は弁明するが、彼女らはそう言い張って怒りを収めない。

 

「『タネマシンガン』!」

 アノホラグサは私を救出するため、種をガマゲロゲ向け乱射!

 

「っ!」

「うぎゃあっ!? 痛い痛い!!」

 しかしその種は盾にされた私に全段命中……!

 

「卑怯……!」

「卑怯なんは、くさタイプ技を使うあんたやろが!」

「……くっ」

 アノホラグサと睨み合う相手の様子をドラミドロが伺っているが攻撃には転じられない様子。

 

「う、ぐうっ」

 私がガマゲロゲに捕らえられたせいで、アノホラグサ達は上手く戦うことが出来ないのだ。逃れようにも力の差がある上にこの格好では身動ぎぐらいしか出来ない……。

 

「仕返しや、『マッドショット』!」

「ぐっ!」

 ガマゲロゲは私を捕らえたまま、大量の泥をドラミドロへぶつけた。弱点を突かれた彼女は水飛沫を上げ沼の中へ倒れ伏す。

 

「よくも……タネマシ……っ」

 すぐさまアノホラグサが報復しようとするが、先程私に命中させてしまったためか動きを止めた。

 役に立てないばかりか、逆に足を引っ張ってしまうなんて情けなさすぎる……!

 

「いいぞー! 母ちゃん!」

「任しとき、この沼地もあんたも守ったるさかい!」

「『こうそくスピン』!」

 息子と会話している敵の隙を突くようにアノホラグサが高速回転しながら突進!

 

「つっ……なにしてくれとんねん!」

「ぎゃうっ!?」

「うわっ!」

 ガマゲロゲは呻きながらも、反撃として私をアノホラグサに叩きつけた!

 盾にも武器にもされ……完全な道具扱いだ。

 

「か、母ちゃん!」

「なんや……」

 その時オタマロが声を張り上げ、ガマゲロゲは何気なく彼の視線を追う。

 

 同時に彼女らのすぐ後ろで水柱が上がった!

 

「『ヘドロばくだん』!」

 倒れ伏したかと思っていたドラミドロが水中を移動し、敵の死角へ移動していたのだ!

 

 背後からの攻撃では私を盾にすることも間に合わず、毒の塊を浴びるガマゲロゲ。

 

「かふっ!?」

 その衝撃でようやく手放された私は遠く飛ばされ、草地の上を転がる。解放されたのは良いが、戦場から大分距離が離れてしまった。

 見ると、ドラミドロと対峙するガマゲロゲがブルブルと怒りに震えていた。

 

「もう許さへんわ……覚悟しぃ!」

 震えているのは身体だけではない。彼女のコブが激しく振動しており、それに呼応して腕の筋肉も膨張する……遂に本気を出し始めたのだ。

 

「ドラミドロ!」

 しかし私を巻き込む心配が無くなったため、本気を出せるようになったのは『ナイトスター』も同様。

 

「ええ! 『たつまき』!」

 ドラミドロは激しい風を起こし、その中へアノホラグサが突入した。

 

「うわあ~っ!」

 悲鳴を上げ風に巻き込まれるオタマロ……しかし。

「『アクアブレイク』!」

「え!?」

 一方のガマゲロゲは水を纏った剛腕を振るい、力尽くで竜巻の中から脱出してしまう!

 

 これではアノホラグサの『タネマシンガン』に巻き込むことが出来ない。

 

「……っ! 『タネマシンガン』!」

 虚を突かれた形ではあるがアノホラグサは咄嗟に作戦を変更し、竜巻から飛び出すと上空から狙撃を計る。

 

「効かへんわぁ!」

 だがガマゲロゲは『アクアブレイク』で腕を何度も振るい、種を弾き返してしまった。

 

「あがっ!」

「ぐっ!」

 彼女は落下して来たアノホラグサと『たつまき』発射後で動けないドラミドロを殴りつける。

 コブの振動がガマゲロゲのパワーを数倍に高めており、本来格上の筈の『ナイトスター』達を力でねじ伏せているのだ。

 

(まずい、このままじゃ二匹がやられちゃう……私にできる事は……)

 そう考えて立ち上がる私の足元に、青色をした何かが転がっているのに気付く。

 

 これは……。

 

「フフフ……このダンジョンにこんな実力を持つポケモンがいたなんてね……面白いわ……!」

「久しぶり、このピリピリ……!」

「抜かしとき! この土地へ侵入したこと、後悔させたるわ!」

 思わぬ強敵の出現に戦意を向上させる二匹と、更にいきり立つガマゲロゲ。しかし劣勢なのは『ナイトスター』……どちらもボロボロの状態だ。

 そんな彼女らの元へ私はバシャバシャ水しぶきを上げながら駆けよっていく。

 

「……なんや、また盾になってくれるんか?」

「っ! ルーアは下がって!」

「ここはあたくし達に任せなさい……!」

 薄ら笑いを浮かべるガマゲロゲを見つめたまま、私は足を止めない。

 

「そんなら、望み通り……」

 そんな私へ向け伸びてくる大きな青い腕。

 

 

(怖いけど……役立たずのままじゃいられない……!)

 

 

「いけーっ!」

 私の叫びと同時に、背中のランドセルから一つの道具が飛び出した。

 

 ピンク色をしたそれはガマゲロゲのコブに先端を当てる。

 

「んなっ!?」

 すぐそこまで迫って来ていた青い腕の動きが止まった。そして膨張していた筋肉がみるみる元の状態へと戻っていく。

「な……なんやこれは……!?」

 不快そうな表情のガマゲロゲの視線の先にあるのは、コブに振動を与えるローター。

 自らの振動でパワーを上げる能力に対し、外から別の振動を与えることで不調を起こさせているのだ。

 

「みみっちい真似すんなやあっ!」

 ガマゲロゲが振り払おうとする寸前に私はローターをランドセルの中へと戻し、代わりに次の道具を発射。

「あぐっ?」

 青色をしたそれはガマゲロゲの口の中へと突っ込み、そのまま食べられていく。

 

「むぐ……一体何を……おっ!?」

 呑み込んだ直後こそ平気そうだった彼女だが、すぐに効果が現れた。

 

「ち、力が入らへん……なんやねんこれ……! いや、待ちぃや……何でうち、こんなに苛立って……?」

「『ネコブのみ』……」

 脱力感、および自らの暴走への疑問で動けなくなったガマゲロゲを前に、私は呟く。

 

 元の世界にも存在している、きのみの一種だ。そのまま食べられたり、隠し味に使われたりするきのみだが他にも効能がある。

 ポケモンのストレスや緊張を緩和し、加えて一時的に暴れる力を弱める……!

 

 

 そしてチャンスを見逃さないのがゴールドランク『ナイトスター』。

 

 

「『タネマシンガン』!」

 

 ガマゲロゲの懐に入り込み、零距離から種を連射するアノホラグサ!

 

「どわあああっ!!」

 上がる水飛沫、広がる波紋、訪れる静寂。暴れ続けていた沼のポケモンは弱点の攻撃を今度こそモロに浴び、限界を迎えていた。

 

「……なんとか、なった?」

 恐る恐る近づくが、ガマゲロゲは目を回しており再び腕を伸ばしてくる事は無さそうだ。そのことを確認している間にも、彼女の体が青い光を放ち始める。

 

「やるじゃないの、ルーア」

「見直した」

 その時、ドラミドロとアノホラグサは私に対しそんな賞賛をかけてきた。

 

「私……そんな大したこと出来て……」

「ん……?」

 私が応えようとすると同時に目を覚まし起き上がったガマゲロゲ。

 

 そこで私はあることを思い出し慌てて後退り。彼女が怒っていたのはダンジョンに入ってきた事だけではなく、息子のオタマロを攻撃した事に対してもだ。凶暴化が解けたとはいえ……。

 

「……あかん、うち何を乱暴しとったねん……これじゃ悪ガキ共と同じやないか!」

 同じように警戒していた『ナイトスター』の前で、ガマゲロゲはそう声を張り上げる。

 

「……怒って、ない?」

「ああ、堪忍なぁ。ちょう最近イライラが溜まってたんや、そう怒らんといて」

 アノホラグサの質問に、ガマゲロゲは軽い笑顔で両手を合わせた。

 

「ちょ、ちょっと母ちゃん! そいつら俺達を……!」

「まぁ待ちや。あっちの言い分も聞かな」

 いつの間にか戻って来ていたオタマロが騒ぐが、母親は笑って聞き流す。

 

「……なるほど、これが凶暴化からの解放なのね。ようやく実感が湧いて来たわ」

「なんね、その凶暴化って?」

 頷いて言うドラミドロに対しガマゲロゲは首を傾げた。

 

「……この辺りの地形、変わってる自覚ある?」

「せやけど、なして知ってんねん? しょっちゅう形が変わってうちら困っとるわ!」

 どうもダンジョンについての情報を持っていないらしい彼女らに対し、説明を開始するアノホラグサ達。

 

 

 

「そないな事に……」

「母ちゃん、そいつらのこと信じるのかよ!?」

「せやかて苛立ちが収まったのは事実やもん。あんたもせやろ」

「知るかよー!」

 『歪みの穴』やダンジョン化、凶暴化について理解を示すガマゲロゲと、未だに納得していないオタマロ。

 やはりこちら側から攻撃を仕掛けたことで怒りが収まらないのだろうか。

 

「……えっと、その」

「気にせんといて、子供が強情なるんはしゃあないわ」

 私の顔を見つめガマゲロゲは穏やかに微笑んだ。

 

「意地悪してごめんなさいね。ほら、どうぞ」

「?」

 オタマロの前に差し出されるのは幾つかのリンゴ。リンゴを持って彼に笑いかけるのはドラミドロだ。

 

「じゅる……じゃなくて、そんな物で釣られ……」

「見所ある『あわ』だった、今後が楽しみ」

「……ふ、ふん、知らねーし!」

「フフフ、お友達と一緒に分け合うのよ」

 アノホラグサに健闘を称えられると、プイとそっぽを向きつつもオタマロはリンゴを受け取るのであった。

 

「一年ぐらい振りやわリンゴ……この沼がおかしなる前はよう行商さんも来なはったのに、沼地のポケモン総出で苛立ちのまま追い払ってしもてからは……」

 息子が持つリンゴを見つめ、寂しそうに言う母親。

 街のポケモンが資源を得られず困っているように、ダンジョン化した土地に住むポケモンも他の土地の資源を得られず困っているようだ。

 

「多分今も厳しい、殆どのポケモン、まだ凶暴化」

「皆狂暴化から戻ればええんやけど……どうにかならんやろか?」

「……あなた達の運が良かっただけよ。残念だけれど今は難しいわ」

 私に気を遣ったのかドラミドロはガマゲロゲに対しそんな回答を返す。

 

(……救助隊連盟自身で凶暴化解除の手段が見つけられるまでに……この世界は持つのかな……?)

 ダンジョン『清流森林』が生まれたのも最近という話であるし、このペースでダンジョンが増えていけばこの世界は……。

 

「お~い」

「あかん、夫の声やわ」

 木々の奥から聞こえてくるポケモンの声。ガマゲロゲとオタマロを探しに来たようだが、父親はまだ凶暴化している筈だ。

 

「ドラミドロ!」

「ごめんなさい、失礼するわ!」

 流石に連戦は厳しいと判断した『ナイトスター』は『あなぬけのたま』を取り出す。

 

 私達は逃げるように『春寒沼地』から脱出するのであった。

 

 

 

 

 

「まあ! なんてこと!?」

「フフフ、少々油断したわ」

「思いがけない強敵だった」

 『ママンボウ医療所』にて、治療を受ける事になった仲間を見てマホイップが目を丸くしていた。

 

「……ルーア無傷、不思議」

「盾や武器にされていたのに……どんな鍛え方しているのかしら?」

「わ、分かんない……」

 そんな彼女達とは逆にピンピンしている私は目を逸らして答える。

 

「ルーアと言えば、どうして彼女を誘いましたの?」

「言われてみればそうね。あなたにしては珍しい」

「……」

 そこでマホイップ達は疑問を感じたのか、アノホラグサに尋ねた。

 

「凶暴化を解く所見たかった、以上」

「……フフフ、そういう事にしておくわね」

「ですわ」

「……?」

 彼女の回答に対する二匹の反応がよく分からず私は首を傾げる羽目に。

 

 

 そういえば『春寒沼地』でガマゲロゲを倒した時にアノホラグサは私に対して『見直した』と言っていた。

 あくまで憶測であるが、彼女は私が危険な存在かどうかを見極めようとしていたのだろうか。

 昨日の決闘が無しになった故に、本当に私をインテレオンの傍に置いていても良いのか……。

 

 

「……そ、それより。冒険の成果なし、申し訳ない」

 むず痒そうな口調で話を変えるアノホラグサ。

 

「ごめんなさいね、宝は見つからなかったわ」

「いいえ、無事に帰って来たのならそれで結構ですわ」

 『ナイトスター』の生活は結構カツカツと聞いていたのに、私が足を引っ張って完全な無駄足にしてしまったことに申し訳なさを感じてくる。

 

「え、えっと……ダンジョンで拾った物、分ける?」

 私は慌ててランドセルを揺すると、彼女らの前に道具を出す。

 枝やきのみ、石ころといったモノばかりだが、今回の宝探しで『ナイトスター』を赤字にさせるのは避けたい……。

 

「配慮不要、ルーアの道具」

「そうよ、それに冒険の道具に関してはそれなりに備蓄してるもの。安心しなさい」

「……おや? 見た事の無い道具ですわね」

 共に宝探しをした二匹が言う横で、マホイップが首を傾げた。

 

 彼女が手に取ったのは青色をした細長いきのみ。

 

「え? それは『ネコブのみ』だけど……」

「……きのみ?」

 私の言葉にアノホラグサが目を丸くして反応するのであった。

 

 

 

 

 翌日の早朝。

 

「育て~、育て~、不思議な実~」

 『スプリングタウン』のきのみ畑にて、農家ポケモン達が丁寧に芽の世話をしていた。

 

「お手柄じゃない、ルーア」

「別に私の力じゃ……元の世界からの知識を利用したようなものだし……」

 その姿を眺めながら、私はインテレオンと話す。

 

「しかし『ネコブのみ』ね……こっちの世界には存在しないとばかり……」

「『春寒沼地』で見つけたけど……」

「……ダンジョン化した土地に僕達の世界のきのみが現れた、か」

 彼は口元に手を当て思案し始めた。

 

「……やっぱり私がこの世界に来たことと、『歪みの穴』は繋がりがあるってこと?」

「……」

 私は静かに問うが、インテレオンは難しい顔で何も答えない。

 

 マホイップが言っていた、『歪みの穴』によるダンジョン化およびポケモンの凶暴化へ対処するために何者かが別世界に住む人間をこの世界に呼び出したのでは、という考察……。

 

「……いや、この話はいいか。それより昨日も言ったけど貰った報酬はキミの自由に使うといい、カフェや本屋で興味の湧いた物とかさ」

「で、でもインテレオンの生活は……」

 露骨に話を変えて歩き出すインテレオンを慌てて追う私。

 親でもないのに養ってくれる彼に恩返ししようとしたが、ポケを少しも受け取ってくれなかったのだ。

 

「そこまで家計は苦しく……ん?」

 インテレオンが足を止める。見ると、大通りの方でポケだかりが出来ていた。

 

「どうしたんだろ……?」

「少し覗いてみるか」

 集まっているポケモン達の雰囲気は明るい感じで、良い出来事でもあったのだろうか。私達はポケだかりの外から奥の様子を覗き見る。

 

 

 

「え、えーっと。存じておりませんわ…」

「そんな事ないだろ!? マホイップちゃん、答えてくれよ!」

「そうです。何度も言いますが、あなた達が凶暴化を解く力を持っていると聞いています」

 

 

 

(あ……)

背筋が凍る感覚。嫌な汗が全身から噴き出る。足が震えて動かない。

 

「ゆ、夢でもご覧になっていたのかも、しれませんわね……」

 救助隊であるサボネアとゴビットに質問攻めにされるマホイップは狼狽えながら誤魔化そうとしている。

 

「現実だから! 俺達を襲わないポケモンがダンジョンにいたから!」

「お願いします、どのようにやったのか教えて下さい」

 希望に満ち興奮した様子で二匹のポケモンはどうにか答えを手に入れようと彼女に詰め寄っていた。

 

「凶暴化ポケモンを元に戻せる……!」

「凄い! 凄すぎる!」

「流石は『ナイトスター』……!」

「良かった……凶暴化しちゃった私の友達も……!」

 周囲のポケモン達も喜んでいるが当然だ。一度なったら元に戻らない筈であった凶暴化が解かれたという、彼らにとって希望そのもののニュースなのだから。

 

 

 

 どうしよう、どうしよう、どうしよう。

 私がその力を持っているって知られたら、どうなる?

 捕まって、無理矢理ダンジョンに連れ回される?

 毎日、毎日、休みも貰えず。

 インテレオンにも会えず、この世界中を、ずっと?

 

 

 

「ルーア、家に戻ってて」

「え……」

 そう言われて振り向いた時には、既に彼の姿はそこには無かった。

 

 

「やあ、マホイップ」

 彼の姿はポケだかりの中心、マホイップとサボネアたちの間に。

 

「い、インテ……」

「こんな所にいたんだね。今日は一緒にダンジョンへ行く約束だったろう? さ、行こうじゃないか」

 驚くマホイップを抱え上げると、インテレオンは鮮やかな跳躍でポケモン達の頭上を越えて去って行く。

 

「……な、なんだ今の!?」

「ちょ、ちょっとー!?」

 ポカンとしていたサボネアとゴビットは我に返ると、ワタワタし始めた。

 周りのポケモン達も、インテレオンがマホイップを連れあっという間に去って行ったことに混乱している。

 

「……っ!」

 そして私もその隙に急ぎ大通りから離れるのであった。

 

 

 

 私……どうなるの?

 

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