巨大化したダンジョン『蒼海晶洞穴』。
『ナイトスター』と共に奥を目指していた私だったが、モンスターハウスで『ばくはのワナ』を踏んでしまった。
「んぎゃあっ!?」
私は爆風に吹き飛ばされ、勢いよく岩壁にぶつかる。
そして海水溜まりの中へと落水……身体中の痛みに加え、水の中に落ちてしまったことでパニックになる私。
「ごぽぽっ! こぽぽぽっ!」
鼻や耳に海水が入り、口の中がしょっぱくなり、気管に水が入り……!
「ルーア! しっかり!」
「げぼえっ……! げほっ、げほっ!!」
一巻の終わりかと思った私を救出したのはドラミドロだった。彼女は激しく咽る私を抱えて陸へ移動する。
「ごほっけほっ……」
「大丈夫? 敵はいないから落ち着いて」
ドラミドロの言う通り、爆風でかなりの距離を吹き飛ばされてしまったらしくモンスターハウスに屯していた凶暴化ポケモン達は見当たらなかった。
しかし。
「……マホイップとアノホラグサは……?」
ここにいるのは私とドラミドロだけ。仲間の二匹もまたいなくなってしまっている。
「爆風で別の所へ飛ばされてしまったようね」
「……っ」
私が不注意で罠を踏んでしまったせいだ。彼女ら『ナイトスター』だけなら発生しなかったミスを私が起こしてしまった。
『椰子の木ビーチ』でもスナバァに操られる失敗をしたのにここでも失敗して、守ってくれるポケモン達を危険に晒してしまうなんて……!
「泣かないで、ルーア」
「……う、うっ」
ドラミドロは藻屑のように柔らかいヒレで私の目元を拭う。
「動ける? 一緒にマホイップ達を探しましょう」
「……うん」
彼女は私を元気付けるかのように笑みを浮かべた。
(どうしよう、私のせいでマホイップ達が凶暴化ポケモンの群れに襲われて倒されちゃったら……)
爆風に巻き込まれたのは凶暴化ポケモン達も同じ……つまり硬直状態からは解放されている筈だ。半分程度しか『リライブ』出来ていなかったため、残りはまだ私達に敵意を抱いたまま……。
「……ごめん」
心の曇りが晴れない私はドラミドロの後ろを歩きながら謝罪を口にする。
「いいわよこれぐらい。それに泣きながらでも一緒にマホイップ達を探そうとしてくれて有り難いぐらいだわ。失敗から逃げたあたくしとは大違いだわ」
「……失敗から、逃げた?」
ドラミドロの放った言葉をオウム返しする私。彼女が逃げるなんて、流石に想像が出来ない。
「……知られるのが辛くてマホイップ達にも口止めをお願いしていたけれど……。こうして一緒に冒険している仲間だもの、そろそろ話すべきね」
ドラミドロは前を向いたまま、語りだす。
「あたくし、二年近く前まではここ『サマーリゾート』でアイアンランクの救助隊『エレガドラ』として活動してたの」
『サマーリゾート』のポケモン達や『ポケモンコンテスト』、そしてこの周辺のダンジョンについてかなり詳しいと思っていたが、それが理由だったのだ。
「その時はチルタリスっていうポケモンと二匹で活動していたの。そして救助隊では仲間であると同時に、ポケモンコンテストでは競い合うライバルでもあった。とても素敵な歌を奏でる子でね、ポケモンコンテストのうつくしさ部門で優勝することも少なくなかったわ」
「えっ、ドラミドロもコンテストに出てたの?」
「フフ、そうよ。チルタリスと知り合ったのもコンテストの本選だったもの。お互いソロの救助隊だったこともあって意気投合してチームを組んだのよ」
昔を懐かしむように語るドラミドロであったが、後悔しているかのようなため息を挟む。
「だけどコンテストではあの子に勝てなかった。あたくしは自分磨きも技の美しさも足りていなかった……そして何より嫉妬に狂っていた。負け続ける原因を別の物になすりつけようとしていた。そんな姿、美しさとはかけ離れているわ」
「……っ」
「あの子ね、このダンジョンで採れる宝石を身に着けていたの。ダンジョン化する前だからまだ希少だった頃ね。だからあの子があたくしに勝つのはあの宝石のせいだって思い込んで……。いつものように準優勝に終わったある日、勝てない焦りからつい口走ってしまったのよ。『その宝石、あなたの美しさを何倍にも引き上げてるわね』って」
ドラミドロは自分は醜いのだと暴露するかの如く、続けて過去を語った。
「翌日、あの子の姿が無くなっていた。ギルド宿舎にいる仲間達に聞いても誰も知らなくて……そんな時にある知らせが入ったの。新しいダンジョン『蒼海晶洞穴』が発生したって」
「……え、まさか」
「察しがいいわね。それから間もなく『蒼海晶洞穴』にてチルタリスが凶暴化しているって情報が舞い込んだのよ」
一緒に救助活動をしていたチームメンバーが凶暴化してしまったなんて。その時のドラミドロの絶望は私の想像を絶するだろう。
「あたくしにも宝石を渡した上でコンテストで完膚なきまでに負かすつもりだったのかもしれないけど……チルタリスを取り戻すためにあたくしは急いで『蒼海晶洞穴』に向かったわ。失ってからようやく、あの子はコンテストのライバルである前に救助隊の仲間だという事に気付いたのよ……遅すぎだわ」
ドラミドロがこのダンジョンについてやたら詳しいのは一度入ったことがあるからだったのだ。上で戦ったカメテテがドラミドロに見覚えがあったのも、その時にも戦闘していたためだろう。
「……会えたの?」
「ええ、最深部に居座っていてね。開口一番に謝ったわ……もしかしたらそれで元に戻ってくれるんじゃないかって。だけど駄目だった、あたくしに対して悪者だって正論をぶつけてきて……戦闘になった。苦戦しながらもギリギリで勝利を収めたけれどチルタリスは元には戻らなかった。あたくしを敵とみなしたままだった」
凶暴化したポケモンはたとえ倒しても元には戻らない。私という『リライブ』が使える存在が現れるまでは、凶暴化を解く手段はこの世界に一切存在していなかったのだ。
「あの子を失ったまま、他の苦しむポケモン達を救うため数ヶ月は『サマーリゾート』で活動をしていたけれど…コンテストの成績がみるみる落ちていってね。最終的には予選すら通過できなくなったのよ。そして町でいつも話題になるコンテストの事すら聞くのが嫌になって…全部放り出して逃げたの。チルタリスの事も、コンテストの事も」
「それで、『スプリングタウン』に……」
ドラミドロの語る失敗。
いつも余裕をもっているように見えた彼女がそんな過去を持っていたなんて。
「……ルーア、我儘を言っていいかしら」
「何?」
立ち止まったドラミドロはこちらを向き、悲しそうな瞳をして言う。
「お願い、この『蒼海晶洞穴』にいるチルタリスを凶暴化から救い出して! あなたをあたくし達の良い様に扱わないって言っておきながら虫が良いのは分かっているけれど……もう一度あの子と向き合えるこのチャンスを逃したくないの!」
己のプライドをかなぐり捨てて、ドラミドロが頭を下げた。
取り返しのつかない失敗をしてしまい、更にそれから逃げてしまい……。それでも彼女はもう一度失敗に向き合いどうにか贖罪を、挽回をしようとしているのだ。
「……うん、一緒に行こう。それで……仲直りしよう」
「……ありがとう、ルーア」
私が笑顔を向けて承諾すると、ドラミドロは礼を述べて顔を天井に向ける。
まるで、目尻に浮かんだ涙を隠すかのように。
「さっきのお返し、やりに来たよ~♪」
「悪者たちを、倒しに来たぞ~♪」
前方の通路から愉快で陽気な……そしてその奥底に不快と狂気の感情を含ませた声が響く。
その声の主は凶暴化している救助隊『ダマシチャウ』のバリヤードとウソッキーだ。幸い二匹だけのようだが、こちらにはマホイップとアノホラグサはいない……。
「チルタリスを救うために、ここでやられる訳にはいかないのよ!」
「……うん!」
だけど失敗を挽回するためには、立ち止まれない。
ドラミドロも、私も!
「『ヘドロばくだん』!」
「残念、『ひかりのかべ』っ♪」
先制攻撃としてドラミドロが毒の塊を発射するが、バリヤードがパントマイムのポーズを取ると見えない壁が現れシャットアウトしてしまう。
「『がんせきふうじ』っ♪」
「ぐっ!」
すかさずウソッキーがドラミドロを岩石で押し潰し動きを鈍くした!
「……っ!」
私は救援するためランドセルを揺すって道具を取り出す。『しばりのえだ』で相手の手数を減らそうとするが……。
「うわあっ、ごめんなさーい! そのえだはやめてーっ!」
「えっ!?」
突然ウソッキーが号泣しながら謝罪を始めて虚を突かれた。
「『サイケこうせん』っ♪」
「ふぎゃっ!?」
「残念、『うそなき』さっ♪」
まんまと相手の策に引っ掛かってしまった私はバリヤードの攻撃を浴びてしまう。取り出した『しばりのえだ』を落としてしまい、ウソッキーが素早くそれを手に取った。
「さあっ、自分で味わうんだねっ♪」
「ひゃんっ!?」
立ち上がろうとしていた私だが、『しばりのえだ』の光弾を受けてしまい再度地面に倒れ伏す。
(動けないぃ……そんなぁ……!)
自分の道具が私自身へと牙を剥いたことに私は歯軋りする。どうにか身体を動かそうとするが、ブルブル震えるだけで起き上がることも不可能だ。
「手荒だけれど許して頂戴!」
「どええっ!」
「うわっ!」
だがそこへドラミドロが『たつまき』を繰り出した!
強烈な風がウソッキーと私を吹き上げる。しかし彼女が私を巻き込んだのは計算の内……硬直状態から解放するためだ。
「よくも相方を! 『サイケこうせん』!」
フェアリータイプを持つ故に『たつまき』を無効化したバリヤードが反撃を放つが、ドラミドロは先程受けた『がんせきふうじ』の岩を壁にして回避。
「あぎゃっ……くうっ!」
風が止み地面へ落ちた私は痛みを堪えつつ起き上がるとウソッキーが落とした『しばりのえだ』を取り返す。
「うわーっ! さっきはごめんなさい! 動けなくするのやめて!」
「うぐぐっ……!」
またも『うそなき』をしてくるウソッキーに対し、私は呻きつつ枝をランドセルに戻した。
「じゃあ……きのみ行くよっ!」
代わりに次の道具をドラミドロに向けて山なりにゆっくり飛ばす!
「えっ、きのみ? いただきまーすっ♪」
ウソッキーは頭上を通り過ぎようとするきのみを奪い取ると、ムシャムシャ食べ始めた。
(よし、上手くいった……!)
わざと彼がキャッチしやすい様に投げたそれは『ネコブのみ』だ。
「……うっ!? 力が抜ける~っ!? 戦う気持ちも萎えていく~っ!?」
食したポケモンのストレスや暴れる力を一時的に抑えるきのみ。『春寒沼地』から持ち帰ったそれは『スプリングタウン』で栽培され無事に数を増やし、他のきのみのように流通するようになっているのだ。
『サマーリゾート』の救助隊である『ダマシチャウ』がそれを知る由も無し……きのみだと言うことで回復用の道具だと上手く誤解させられたらしい。
「よくも相方を騙したなーっ、まずはアナタから……」
怒りの声を上げてバリヤードは私の方へ視線を……。
「……と、見せかけて!」
向けず、『サイケこうせん』を相対するドラミドロへ発射!
「……」
バリヤードの放った光線を前に、ドラミドロは後方へ倒れて水溜まりの中に落ちる。
「えっ、そんなっ」
「よーしっ♪ 後はアナタだけっ♪」
声を上げる私に対し、バリヤードは笑顔で今度こそこちらを向いて来た。
しかし彼女の後ろにある水溜まりから再び水飛沫が上がる。
「『ヘドロばくだん』!」
「うひゃーっ!?」
そう、ドラミドロはバリヤードの演技に引っ掛かってなどおらず、『サイケこうせん』を回避しながらわざと水溜まりの中に入ったのだ。私も咄嗟に驚く演技をしたのだが感付かれなくて良かった。
「バリヤードっ!?」
大量の毒を浴びて倒れる相方を見てウソッキーが表情を強張らせる。
そんな彼へにじり寄るドラミドロ。
「ひーっ! すみませんでしたーっ!」
まだ『ネコブのみ』による脱力が抜けないウソッキーは泣いて謝罪を始めた。
「『ねっとう』!」
「ぎゃあっ!」
だが過去にポケモンコンテストで多くの演技をこなしたドラミドロには『うそなき』も通用せず、彼へ熱水が浴びせかける。
軽快かつトリッキーな戦法で翻弄してきた救助隊『ダマシチャウ』であったが、やはり凶暴化という精神状態の中では実力を発揮できなかったのだろう。どちらも戦闘不能となり、私は『リライブ』を行い二匹を不思議な青い光で包み込んだ。
「良かったよ~♪ 凶暴化から戻ったよ~♪」
「感謝してもし足りないさ~♪ ありがとう~♪」
元に戻ったバリヤードとウソッキーはとても嬉しそうに踊り始める。
「それなら何よりだわ。ところで色々質問があるのだけれどよろしくて?」
「どうぞどうぞ。恩ポケだからね」
「それじゃあ……あなた達がこの『蒼海晶洞穴』で何か違和感を覚えたことはあるかしら」
「あるさあるさ。最深部に辿り着いたらポケモンが居座ってたさ」
ドラミドロの問いに対し、『ダマシチャウ』は踊りを止めて回答し出した。
「最深部のポケモン?」
「知らないかな、このダンジョンが最初に発生した時に巻き込まれた……かつてポケモンコンテストうつくしさ部門で幾度も優勝を収めたチルタリス!」
「美しきそのポケモンは、この洞穴でずっと凶暴化したまま暮らしているのさ!」
「……っ」
まるで語り手の如く説明するバリヤードたちの前でドラミドロは沈黙する。
「ちょっと待って、チルタリスが最深部にって…その後どうなったの?」
私は嫌な予感を覚え彼女らに続けて質問。
「よく見るとチルタリスの前には黒きモノが滲み出ていたよ、何もない空間から!」
「青空のように白と青をした美しきポケモンは夜よりも暗い黒に取り込まれてしまったのさ!」
「っ!!」
二匹の言葉を聞いたドラミドロが冷や汗を垂らす。
「私達が戦慄していると、その黒きモノから不気味な黒と紫の靄が溢れ出したよ……」
「そう、僕達はその靄が運ぶ苦痛に耐えきれずその場から逃げ出し……いつの間にか凶暴化してしまっていたのさ」
ダンジョンの奥地でポケモンが『黒い何か』に捕まる。それは『つめとぎ山』でスピアーが取り込まれてしまった時と同じだ。
あの時はスピアーが黒い繭の中で眠っており、『黒装モンスター』のメガスピアーと化して襲い掛かって来た。まさか今回はチルタリスが黒い繭の中に閉じ込められてしまったのだろうか。
「……ええ、教えてくれて、感謝するわ」
ドラミドロは絞り出すかのように礼を述べた。
「それと……あたくし達の仲間はどこへ?」
「下の階じゃないかな。『ばくはのワナ』による爆風で二匹が洞窟内の穴に落ちていくのを見たよ」
「……うう」
私が踏んでしまった罠により、マホイップとアノホラグサが落下してしまった。思っていた以上に『ナイトスター』を危険に晒してしまっている事実に気分が落ち込んでしまう。
「……分かったわ、ありがとう。先を急ぎましょうルーア」
そんな私に対し、ドラミドロが呼びかけてくる。
その表情からは揺らがない決心が見て取れた。
例えチルタリスが『黒装モンスター』と化していても、必ず元に戻すのだという意思。
一旦町へ帰る『ダマシチャウ』と別れ、私はドラミドロと共に奥へ進んでいく。
「大丈夫かなマホイップ達」
「安心しなさいルーア。彼女達は充分な実力を持っている救助隊ポケモンよ」
どうしても心配が拭えない私を元気付ける様にドラミドロが言った。しかし地下八階にやって来たのになかなか二匹が見つからないため焦りは募るばかり。
「……落ち着いてるね」
「フフ。『スプリングタウン』で見ていたでしょう、あたくし達が頻繁に別々でダンジョンに向かっている所。仲間達の実力を認めているからこそ、単独行動中も安心していられるのよ」
彼女はそう言うと突然立ち止まり、数秒目を閉じる。
「……この香り、なるほどね」
「へ?」
私は困惑しつつあたりの匂いを嗅いでみたが、潮や土の匂いばかりだ。
「こちらよ」
しかしドラミドロはそう言うと何の迷いも無く複雑な通路を進んでいく。
「おや、遅かったですわね」
「お疲れー」
地下九階への下り階段にいたのはなんとマホイップとアノホラグサだった。
「ごめんなさいね、上の階で『ダマシチャウ』と再遭遇して戦っていたのよ。ミントの香りを残しておいてくれてありがとう」
『ナイトスター』にしか区別できない僅かな香りを道しるべにドラミドロがマホイップの通った道を追跡したようだ。ただ戦闘能力が高いだけでなく、まさかこのような技術も持ち合わせているなんて彼女らには驚かされてばかりである。
「えっと、ゴメン……罠踏んで」
「お気になさらず。ワナぐらいで一々落ち込んでいたらダンジョンは突破できませんわよ」
「私達だって、しょっちゅう踏む」
私はマホイップ達にも謝罪するが、彼女らは気にしていない様子だ。
「ドラミドロ達も休憩はどうですの?」
「え、でも……」
「それがいいわね。休みがてら情報共有もしておきたいわ」
チルタリスの件もあり私は先へ急ぐことを提案しようとしたが、先にドラミドロが答えてしまう。
「い、いいの?」
「焦りのまま疲労を残して奥へ行ってもチルタリスは救えないわ。こういう時こそ休息は重要よ」
マホイップからデコレーションリンゴを受け取ったドラミドロはそう言って休み始めていた。
「……ルーアに伝えたのですね」
そんな彼女を見つめ、マホイップは少し心配が晴れた表情をする。
「休息が重要、よく言う。昨日、無茶してた」
「……もぐ」
アノホラグサからツッコミを受けたドラミドロは少々気まずそうな表情をし食事を進めた。
「……さて、ルーアもだいぶ疲れたのではなくて? ドラミドロの発言の説得力はともかくとして、あなたも回復しておくべきですわ」
「うーん……そこまで言うなら……」
『黒装モンスター』と化してしまったチルタリスとの戦闘になる可能性もあるし、私は彼女らの勧めに従いその場に座り込んだ。
「よいしょっと」
「へ?」
しかしマホイップは私に近付くと脚の上に登ってくる。
「失礼しますわね」
「えっ? えっ?」
更に彼女は私を仰向けに倒すと下腹部に乗った。
一体何をするつもりなのかと思った瞬間。
クリトリスを握られる感触が走る!
「ふわああっ♡!?」
いきなりの事に私は目を白黒させながら悲鳴を上げた。
(どうして!?なんで!?)
「こうしてルーアの回復を手伝うのも久しぶりですわね。勝手を忘れてなければ良いのですけども」
そんなマホイップの言葉で私は思い出す。
私の股間は自らを回復させる器官なのだと彼女らに説明していたのであった!
「うっ、あううっ♡!?」
だが今更思い出しても完全に手遅れであり、マホイップに陰核をしごかれて快感が全身を駆け巡る。
「手伝う」
「ひいいいん♡!!」
更にアノホラグサまで参戦して来て、彼女の硬い枝が股間の割れ目をなぞって来た。脳内の理性は完全に吹き飛び、快楽に浸った本能が私の身体を喜びで跳ねらせる。
「出てる。ルーアの体液、出てる」
「ひああっ♡! 言っちゃダメぇ♡♡」
膣液がドクドク垂れ始めたことを伝えられた私はますます興奮してしまい、顔も全身も熱くなり始めた。
「どんな弄り方が一番回復するのでしょうね」
そんな疑問を口にしながらマホイップが私のクリトリスへ色々と試してくる。
「ふひいいっ♡」
上方向に思い切り引っ張り上げられ。
「あうああっ♡」
続けて逆に思い切り奥へ押し込まれ。
「ひゃうっ♡んああっ♡」
まるでシェイクするかのように小刻みに動かされ。
大事なクリトリスをそんな風に蹂躙され、私は涙を流して大喜びしていた。
「ごちそうさま。それではあたくしも手を貸すわね」
「ふおおおっ♡♡!!」
そして食事を終えたドラミドロまで、藻屑のようなヒレを巧みに動かし私の膣内を弄り始める。
「んうっ、あああっ♡♡!!」
Gスポットに触れられ、私は大きく悲鳴を上げてしまう。
(だめ、そこ駄目えっ!)
「ここが特に回復するのかしら?」
こちらは頭がおかしくなりそうな状態であるのに、ドラミドロはしっかり学習して特に感じる部分を執拗に弄って来た。
「あああっ♡!! あっあっあああっ♡!!」
三匹がかり相手では私は何一つ抵抗が出来ず、ビクンビクン身体を痙攣させて膨大な快楽をただ一身に受け入れ続ける。
マホイップのクリトリス責めが気持ちいいのか、ドラミドロのGスポット責めが気持ちいいのか、アノホラグサの陰唇責めが気持ちいいのか、それとも膣内のバイブが気持ちいいのか、もう全く分からない。
分かるのは……。
「凄く気持ちいいよぉぉぉぉっ♡♡!!ああああああっっ♡♡!!」
ただ、それだけ。
潮噴きしながら私は絶頂。
幸福感に包まれる私へと、まだまだ注がれる快楽。
「…………えっ♡!?」
「どれぐらい回復させれば良いのかしら?」
「沢山。回復すれば回復するほど良い」
「うふふ。楽しみにして下さいルーア。思う存分回復させて差し上げますわ」
既に絶頂したというのに『ナイトスター』は更に私の性感帯を攻撃してきていた!
「ちょ、ちょっとっ♡♡!? 待って待って♡♡!!」
「遠慮はいらないわ」
「『リライブ』とかでいつも無理させてる」
「この先に黒い繭があるかもしれませんもの。しっかり回復しておくべきですわ」
私は蕩けた表情で言うが、彼女らは聞かず一方的に快感を与えて来るばかりだ。
「そ、そっ、そんなああああっ♡♡♡!!??」
『ナイトスター』の手により、私は何度も絶頂させられてしまうのであった。
『蒼海晶洞穴』地下十階……かなり深いところまで降りてきたが最深部はまだだろうか。
「ここまで来ると凶暴化ポケモンも殆ど見かけませんわね」
「『つめとぎ山』の時と同じ。山頂に近付くほど閑散としてた」
「つまり、そろそろ最深部が近いって事ね」
より一層警戒を強めて進んでいると、前方の広間に色とりどりの何かが倒れているのが見える。
紅、山吹、薄桃、紫……あのカラーリングの組み合わせはどこかで見たことがある……。
「……あれって」
「救助隊『ダンシング』ですわ!」
私達は急いで彼女らの元へ走り寄り、安否を確認する。
「あんたらは『ナイトスター』……いてて」
「何があったのよ? 一緒に行動してた『ロイヤルズ』は?」
目を覚ました紅色のオドリドリに対し、事情を尋ねるドラミドロ。
「やられた……灰色のニンゲンに……」
「っ!?」
オドリドリの言葉に私は目を見開く。
まさかイヴがここに来ていて彼女らを攻撃した?
イヴがそんな事をする筈がないとは信じたいのだが、まさか私を騙していたのだろうか……?
「どうして? 結構戦力、あった筈、駄目だった?」
「戦力を逆に利用されちまったんだ……最初はそこの救助対象を操ってたんだが……」
オドリドリが指し示す先には『ダマシチャウ』が救助する予定であったポケモンが気を失って倒れていた。『つめとぎ山』でイヴがヤナップやチェリンボを取り込んでいたのと同じであろう。
「わざの扱いも下手だし、洗練さも無いから少し油断しちまって……あたしの仲間があいつの手に触られた途端取り込まれちまったんだ」
「!」
「当然救助隊だから戦闘力も上がって対処が難しくなって……。 あの灰色のニンゲンは一度に二匹までのポケモンしか取り込めないみたいだが、弱いポケモンを捨てながら強いポケモンをどんどん取り込んで……あたしも取り込まれちまった」
「でもあなたは今は自由ですわ……まさか今灰色のニンゲンが取り込んでいるのは……」
オドリドリの語る内容を受け、マホイップが慄きつつ確認する。
「ああ……きっと今は『ロイヤルズ』の内二匹が取り込まれて……残りの一匹が奴を追ってるんだ」
それならば『ロイヤルズ』がこの場にいないのは当然だ。
しかし……イヴがそんな酷い事をするのだろうか? 今は『追放の遺跡』という安寧の場所があるというのにわざわざポケモン達を怒らせるような真似をするとは思えない。
(何か……理由があるのかな?)
とにかく彼女に会いに行って事情を聞かなければならないだろう。何か理由があるのならちゃんと聞きたいし……もし私を騙してたのなら……。
(騙してたなら……どうしたらいいんだろ)
「……オドリドリ。本当に『ロイヤルズ』残りの一匹は灰色のニンゲンを追ったんですの?」
そこでマホイップが声を震わせて問いかける。
見ると、彼女は下の階へ続く階段近くで立ち止まっていた。
「どういうことだ?」
「……黒と紫の靄だわ……!」
怪訝な表情を浮かべるオドリドリとは逆に、ドラミドロが声を上げる。よく見ると下の階から薄っすらと靄が漂っており、マホイップは階段から離れると苦しそうに戻って来た。
「マホイップ、平気?」
「……ええ。ですけどやはり私達ポケモンがここより下に行くのは危険すぎますわ……」
「分かった」
表情を暗くする彼女らに対し、私は頷く。
ポケモンが活動できない場所ならば私が行くしかないだろう。
「ルーア、前回と違って灰色のニンゲンはきっとあなたへ明確に敵意を向けてくるわよ。それに今回はシルバーランクの救助隊ポケモンを操ってくる……ハッキリ言ってかなり危険度は上がっているわ」
ドラミドロは心配そうな表情をして警告をして来る。
確かに不安が無いと言えば噓になる。
それでも。
「どうしてこんな事をするのか、ちゃんと聞かなきゃいけないんだ」
イヴが私を騙していたかもしれないと考えると怖くて仕方ない。
それでも、もし彼女が何か困っているのならしっかり聞いてあげたい。何のために生まれたのか分からないと言って流していたあの涙が嘘ではないと、信じたい。
「危険を感じたらすぐに戻るのよ」
「ルーア、くれぐれも気を付けて下さいませ」
「……待ってる」
「うん」
『ナイトスター』に見送られ、私は靄が立ち込める下の階へと一人で足を進めるのであった。
靄が立ち込める洞穴内。
上層や中層に比べ、青い宝石の量は遥かに多く中には私よりも大きな宝石塊まである。
「……っ」
それらに目を奪われそうになりながらも、私は転ばないように注意しながら下り坂を降りていく。あちこちに尖った宝石があり、もしバランスを崩してぶつかろうものなら非常に痛い思いをするだろう。
「よい、しょ」
無事に平坦な広間まで辿り着いた私は一息つこうとする。
「……」
「っ!?」
しかし何かがいるのに気付き、私は慌てて身構えた。まさかイヴだろうか?
「……お前、は…」
紺色の身体、王冠のような形状の嘴、翼にある金属のような光沢を持つへり。
『ロイヤルズ』のエンペルトが広間の端で倒れていた。周囲の靄によるものか、非常に苦しそうで起き上がる事さえ出来ないようだ。
「……っ」
心配ではあるが声をかける勇気が湧かない。ギルド長室で会った時とは異なりインテレオン達はこの場におらず、私と彼女だけなのだ。キングラーとアマージョがいないということはまさかあの二匹が灰色のニンゲンに取り込まれたのだろうか。
「……『ナイトスター』は、どうした……?」
「……上で待ってる、この靄を浴びると動けなくなるから」
エンペルトの問いに答える中で私はある疑問を抱いた。
「会談で聞いてたんじゃないの? この靄の中では苦しくなるって……」
「……くっ。この、程度……!」
私の問いに対して彼女は呻きながら身を起こし始める。
「ちょ、ちょっと……!」
喋る事さえ辛い筈なのにそんな無理をするべきではないだろう。事実、普段は凛としているエンペルトの表情からは簡単に苦痛が読み取れる。
「やらねばならぬのだ……! ただ苦しいからという身勝手で……! 見捨てる、真似など……!!」
私の制止も聞かずにエンペルトはついに立ち上がり一歩、二歩と洞穴の奥へ進み始めた。
「くっ……」
だが気力でどうにか出来るものでは無いようで彼女はすぐに地面に翼を突く。やはり苦しいのに仲間を救い出すため無理矢理ここまでやって来ていたのだ……あまりにも無茶過ぎる。
「き、キングラーとアマージョでしょ? 私がどうにかするから……!」
「……っ」
彼女を安心させようと言うが、返って来るのは余計に辛そうになった表情だ。
「……私は、間違っていたのか?」
「え?」
「自分に甘えていたのはお前ではなく……私だったのか? お前は関係の無い世界のために平然と先へ進むのに、私は仲間が捕らえられた状況でもこの程度の靄で膝を突いて……! 」
エンペルトは自分の信念を否定されたかのような、とても悲痛な表情を浮かべ尋ねてくる。
「……関係の無い世界でも、平然でもないよ」
「……何?」
私の呟きにエンペルトが目を見開く。
「私は違う世界から来た人間なのにポケモン達に助けて貰って、受け入れて貰えて……今はもう関係の無い世界じゃないんだよ。本当は凄く怖いし不安だし大変だけど……そんなポケモン達が暮らすこの世界のために私がやれることがあるんだったらやりたいんだ……!」
それを伝えると、私は奥へ続く道を向いた。
「私とあなたで価値観は大きく違うけれど……苦しむポケモンを救いたいっていう根本は一緒だと思う。だからきっと……エンペルトも間違ってはいないんだと思う」
そして振り返らず、私は歩き出す。
イヴの気持ちを確かめる為に、チルタリスや『ロイヤルズ』を救う為に、蒼に輝く深淵へ。