※この作品はR-18です。

裸の少女とポケモンだけが住む世界   作:Momyaka

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Chapter26 ~私から、私へのおしおき~

 『蒼海晶洞穴』から『カプ・コケコのギルド』へ帰還した私達はギルド長室にいた。

 

「まずは皆お疲れ様。巨大化ダンジョンの調査報告、確かに見させて貰ったよ。よくやったね」

 ギルド長カプ・コケコは一同に労いの言葉をかける。

 本当はそのような事態ではないことはカプ・コケコ自身も承知の上だろうが、それでも仲間達が少なからず挙げた成果を褒め称える事は欠かしたくないようだ。

 

「そして皆が話したいのは灰色のニンゲンの事だよね」

「はっ。我々『ロイヤルズ』のアマージョ、そしてソロの救助隊員であるアシマリが奴に取り込まれている状態です」

 

 エンペルトが改めて被害を伝えるとギルド長は表情を固くする。

「参ったね……しかも奴はエンペルトでさえ動けなくなる黒き靄を放つ『黒装の欠片』を持っているのか。これは捕獲チームに関しても一から練り直さないと」

「ええ、実力のある救助隊ポケモンをぶつければいいものではなくなったんですもの。靄で動けなくされて強いポケモンを取り込まれる……これではただ相手に塩を送るだけですわ」

「……今もポケモン入れ替え、やってる可能性あり」

 『ナイトスター』のマホイップとアノホラグサもまた苦悩した様子で口を開いた。

 

「それにチルタリスの証言によると、かの灰色のニンゲンは洞穴の上層から来たのではなく目の前の虚空から黒い闇とともに出現したとのこと。『つめとぎ山』で出現したとされる存在とは別個体の可能性もあります」

「ルーアは二回とも直接会っていますわよね? やはり違いましたの?」

「えっ、うん……灰色の肌とかの特徴は同じだけど……顔つきも性格も……違う」

 『つめとぎ山』で出会ったイヴはただ安寧が欲しくて必死であったが……『蒼海晶洞穴』で出会った少女はポケモンを完全に敵視しており、積極的に倒そうとしていた。

「イ…『つめとぎ山』の個体は『こんらんのえだ』を操ってるポケモンにぶつけたらすぐに取り込んだポケモンを解放したけど、『蒼海晶洞穴』の個体は『しばりのえだ』で動きを封じても解放しようとしなかったんだ。ちょっとやそっとじゃ解放してくれないかもしれない……」

「そして遠距離から攻撃しようにも操ったポケモンを盾にする上に本体もルーア並みに丈夫である可能性がありますわね。接近戦、搦め手、遠距離攻撃すべてがダメ……これはどうすれば良いですの?」

 

「…………っ」

 ポケモン達にとってあまりにも脅威な存在への対策方法が思いつかず、一同は難しい顔で沈黙。

 

 

 

「……今日は皆疲れたよね! ヘロヘロの頭で考えても何も出てこないし、今日は解散にしよう!」

 

 そこで朗らかに言うカプ・コケコ。一見気楽過ぎる様にも見えるが、確かに『蒼海晶洞穴』から帰って来たばかりで私達が疲労しているのも事実だ。

「……承知しました」

 アマージョを奪われたエンペルトも内心では気が気でないだろうが、自分の心に焦りがあるということもまた理解しているらしくギルド長の提案を受け入れる。

「ドラミドロに会いに行こう」

「ですわね。ルーアも御一緒しませんこと?」

「……」

 灰色のニンゲンの事は気がかりだが、だからといってコテージに一人戻って悩み続けるよりは彼女達について行ってチルタリスやチコリータ達の様子を見に行く方がもしかしたら気分も晴れるかもしれない。

「……うん」

 だが、こんな時に一番傍にいて欲しいインテレオンはいない。

 

(会いたいよ、悩みを聞いて欲しいよ……早く帰って来てインテレオン……)

 

 

 

 『キュワワー医療所』では今日もキュワワー達がポケモン達の治療に専念していた。

「ええと……あ、いましたわ」

「ドラミドロー」

 一つの部屋を覗き込むと寝床で眠るチルタリスを見つめていたドラミドロを発見。

「あら」

 私達に気付いた彼女は微笑みを向けてくる。

 『スプリングタウン』を出発した辺りからずっと浮かない表情であったが、チルタリスが凶暴化から戻ったこともあり完全に解消されたようだ。

「チルタリス、平気?」

「ええ。傷は治して貰ったし、二年近く凶暴化していたことによる疲労が取れるのもすぐみたい」

「うふふ、それは何よりですわ」

 チルタリスが回復傾向であることに私も安堵するが、少し気になる事もある。

 

「……ねえドラミドロ。これからはどうするの? 前はチルタリスと『エレガドラ』っていうチームを組んでたんでしょ?」

 

 『ナイトスター』を抜けてチルタリスと共に再び『サマーリゾート』で救助活動を行うのか、それともチルタリスとは別れ今のまま『ナイトスター』の一員として活動するのか……。

 

「……それについてマホイップ達と話したいの」

「分かりましたわ、申し訳ありませんが『ナイトスター』としての話ですのでルーアは席を外してくださいな」

「えっ、うん……」

 話題を出した本人が追い出されるというのも妙ではあるが、水入らずで話したいこともあるだろう。

(……どうするつもりだろ)

 少々不安にも感じるが、盗み聞きする訳にもいかず私は部屋から廊下に移動。とりあえずチルタリスの様子は確認できたため、今度はチコリータ達を探す事にする。

 

 

「あれ、ナミイルカじゃん」

 その時聞こえてくるのは『蒼海晶洞穴』の調査に参加していた『げんきズ』のカルボウの声。

「二匹とも、大丈夫?」

「ありがとう見舞いに来てくれて。だけどごめんね、治療が終わったから丁度ギルド宿舎に戻る所だったんだ」

 視線を向けるとイワンコ達の前にナミイルカ……と思われるポケモンがいた。

 

「治ったなら良かったよ」

「今回はやられちまったけど、絶対にあの灰色のナントカは俺達が捕まえてやる!」

「ナミイルカは今日も訓練してたの?」

 カルボウが闘志を燃やす横でイワンコは笑顔で見舞いに来た友に質問を行う。

「……えっと、うん! そんな感じ!」

 仮定ナミイルカは少々妙な反応をしてから答えた。

「応援してるぜ。だけどあんまり遠出するなよ」

「灰色のニンゲンに捕まるかもしれないからね」

「……あはは、僕は弱いから無視されるよ!」

 荷物を代わりに持ちながら笑顔を浮かべる仮定ナミイルカの胸元には謎のハート模様があった。

 

 

 

「……あ、屋上か」

 医療所内を進んでいる内に、星が少しずつ瞬き始めた空の下に出てしまう私。夜風が心地良いが今はチコリータ達を探しているため踵を返そうとする。

「……!」

 その時、屋上の塀に腰掛けているポケモンの姿が目に映った。

 

 白い体毛、長い耳……ヒバニーだ。

 

「お、ルーアか?」

 向こうも私に気付いたようで笑顔で振り返ってくる。

「うん、チコリータは?」

「ついさっき治療済んで帰ってったぜ」

 どうやら入れ違いになってしまったらしい事に私は落ち込みつつもヒバニーへと近寄った。

「チコリータどうだった?」

「あいつ、アシマリが灰色のニンゲンに連れ去られたからって落ち込んでたんだよ。だから言ってやった! 俺も明日医療所出られるから一緒に助けに行くぞ! ……って」

「……そっか」

 

 やはり彼はとてもポジティブで明るく……チコリータにとってかけがえのない相棒なのだろう。

 

「ヒバニーはこんな所で何してたの? 明日出れるからって休息を疎かにしちゃったら……」

「……リハビリ」

 ヒバニーは一言だけ言うと塀から降りて足を動かし始める。その動きは軽快そのもので、確かに救助活動を再開しても問題なさそうに見えた。

 

「……『ひのこ』」

 しかし。

 

 いつもであれば彼の足先に炎が収束する筈であるのに、それが起こらない。

 そこで思い出すのは彼が『椰子の木ビーチ』で倒れ医療所に運び込まれたばかりの時に聞いた話。

 

 "あの時無理に繰り出した『ひのこ』が使えなくなる可能性がある"というキュワワーの言葉。

 

「え、まさか……」

 私は冷や汗を垂らすが、そのヒバニー自身は悲壮感など全くない表情を向けてくる。

「なんてな」

「え?」

 彼はニヤリと笑みを浮かべると素早く足踏みを始めた。

 暗くなりつつある屋上が照らされ途端に明るくなる……これは……っ!

 

 

 

 

 

 海上のコテージにて夜闇の中、私は一人で身を震わせていた。

「ううん……」

 

 思い出すのはインテレオンの顔。

 まだ彼は『海底の地割れ』調査から帰ってこないのだろうか。

 早く彼に会いたい。寂しい。切ない。

「んっ……♡」

 疼く子宮を慰めようと必死に身を捩るがやってくるのは淡い快感。

 鮮烈な快楽を得ようと私は床に置かれたランドセルへ近づこうとする。

 

「……」

 しかし思い留まった。

 

 確かにディルドやローターと言った玩具を使えば思う存分刺激を得られて絶頂出来るだろう。

 

 けれどそれは自慰に過ぎない。

 インテレオンがいなければ今私が心の底から望んでいる快楽は得られない。

「……あん♡」

 視線を落とすと私の股間が愛液でいやらしく濡れていた。

(本当は彼と……旅行のつもりだった、ハネムーンみたいに)

 私は愛液を垂らしながら立ち上がり、ランドセルを置いたままコテージから外へ出る。

 

 涼しい潮風が汗ばんだ私の身体を乾かしていく。

「ん……はぁ♡」

 そんな冷えた潮風を吸い、逆に熱い吐息を出しながら私は橋を渡って砂浜に降りた。ザクリザクリと砂を踏む音が響き、更に進むとチャプチャプと水に浸かる音が響く。

(足裏が砂で温められて水で冷やされる……なんて感触は楽しめないや)

 リゾートのビーチには似合わないロングブーツとサイハイソックスを見下ろし私は少し寂しい思いになった。ポケモンの世界ならともかく、元の世界だったら変な目で見られるだろう。

「……ん、んん♡」

 そんなことを考えていると膣内のバイブに意識が集まってしまい、私は夜のビーチで独り身を捩らせる。微振動で刺激が足りないが、後ろ手に手錠を掛けられていてはオナニーも出来ない。

 

「私……裸で自縛して……旅行に来ちゃったんだぁ……♡」

 月の光に照らされる小さな胸や丸々したお尻、毛の生えてない股間を晒しながら私は再び歩き始めた。

 砂浜から上がり、石畳の道を進むと綺麗な街並みが視界一杯に広がる。深夜だからかポケモンの姿は見えず、この場にいるのはいやらしい姿の私だけ。

(思い出しちゃう……元の世界での最後……)

 今と同じように自縛野外露出に臨んだあの日。

 色々と大失敗が重なって、人に見つかって……この世界に迷い込んだ。

 

「えへへ……♡ 再チャレンジ……やろうかな♡」

 あの時と同じ……私を助けてくれるインテレオンやランドセルが無く、自縛したままほぼ全裸で夜中の町を歩き回るプレイ……。

 心臓の鼓動が早まるのを感じながら、腰を左右に振り涎を垂らす。

 

 

 

「い、行っちゃうよ♡ この世界のポケモンに迷惑ばかりかけてるっ♡ 自縛好きで露出狂の変態ルーアが……♡ 『サマーリゾート』を一人でバイブ入れたまま歩き回っちゃうよ……♡♡」

 ヒバニーが倒れる遠因を作ったり、勝手に『無獣島』に行ったり、ワナを踏んだり、灰色のニンゲンに黒装を与えてしまったり……そんな失敗ばかり犯した自分へのおしおき開始だ。

 

 

 

 隠しようがない足音を立てながら進む私。

「はあっ♡ ああっ♡」

 更に喘ぎ声も抑えられずこれではポケモン達に見つけてくれと言っているようなものだ。

(見られたらどうしよう? この世界なら変態扱いはされないから……見つかったら変態に振舞うルールにしようかな? 思いっきり腰を振って私は変態ですって大声で叫んで……イケないからおマンコ触って下さいって情けなく泣きながらお願いして……)

 そんなことを脳内で考えているとますます発情してしまい、身体がビクビク痙攣し出す。

「おっ……、おひぃっ……♡ おマンコ、触りたい……!」

 前屈みになったり後ろ手に縛られた手を降ろそうとしたり身体が勝手に動くがすぐそこにある自分自身の股間を弄ることは不可能だ。クリトリスと乳首も刺激が欲しいらしくピクピク勃起しているが触ることは許されない。

 

(コテージに帰ってランドセルから玩具を出せばオナニーできるけど……それをやったらおしおきになんかならない……徹底的に、甘える事しか出来ない私自身を反省させなきゃ……!)

 私は涙を流しながら歩き続け、ある物を見つける。

 

 石を切り抜いて造られた椅子とテーブル……アシマリに連れられ町を散策した時に利用した飲食店の席だ。あそこで『鬼かき氷』を食べたことが記憶に新しい。

「あ、あひぃ♡」

 そんな椅子に私は腰掛けて緊張で身体をブルブル震わせた。

 この世界に来て慣れたせいで気にしていなかったけれど、昼間にほぼ裸の格好で大通りからよく見える席で食事を取っていたなんてよく考えればとんでもない行動だ。

 

 元の世界だったらすぐさま捕まり『町に現れた裸の少女を現行犯逮捕 ルーア容疑者「変態マンコを見てぇ♡」など意味不明な供述』なんてニュースが世界中に流れてしまうだろう。

 

「えへへぇ……♡ 華やかな町にいたのに汚れた暗い地下牢に入れられちゃうぅ♡ 囚人の暴漢達に囲まれて毎日レイプされちゃうぅ♡」

 テーブルに額を乗せて妄想を口走る私。更にテーブルの縁に勃起した乳首を擦りつけ始めた。

「ああっ…♡ だめぇ、オナニー禁止ぃ♡」

 涎でテーブルを、膣液で椅子を汚しながら私は本能のまま乳首オナニーを続けてしまう。

(アシマリは私の事を変態だって知らずに友達って言ってくれて……)

 元の世界では出来なかったし興味も持てなかった友達と遊ぶ行為。それをこの世界で経験したのだ……こんないやらしい姿のまま。

 

(オオタチにバレなくて良かったぁ……私が今やってる恰好、淫乱そのものなんて……)

 自分で自分を動けなくして興奮するなんて彼女らに知られればビックリするだろう。こんな変態を友達にしたことを後悔するかもしれない。

「う……んんっ♡」

 息が詰まりそうなぐらい喘いでいた私だったが、ようやく乳首をテーブルの縁から離した。折角の快楽を取り上げられた私の乳首が悲鳴を上げているかのように疼くが私は首を振る。

(絶頂したらおしおきじゃなくなる……もっと、私自身を虐めるんだ)

 私は席を立つとフラフラと再び歩き出した。

 

 

「セシナドリンク病みつきさ~♪」

 

「っ!?」

 突然何者かの声が聞こえて私は咄嗟に建物の陰に隠れる。

「飲み過ぎだよウソッキー……」

「ああ~、ゴローソのいしは魅惑のおつまみ~♪」

 夜なのに開いているらしい店から出てくるのは『ダマシチャウ』のバリヤードとウソッキーだ。

 私は必死に息を殺して二匹の様子を窺った。もし見つかったら自分が変態だとカミングアウトするルールなのだ。もし犯してくれなんて口走ってしまったらテンションの上がったウソッキーに容赦なくレイプされてしまうかもしれない……。

 

(ダメぇ……私へ性器を挿れて欲しいのはインテレオンだけなのぉ……!)

 どんどん近づいてくるウソッキーの歌声。私はガタガタ身を震わせその場に蹲る。心臓の鼓動があまりにも激しくて聞かれてしまわないだろうか。

「今ならいけるさ、かしこさコンテスト~♪」

「はいはい……帰ろう帰ろう……」

 

 そして私の視界に映るウソッキー、そして彼を支えるバリヤード。

「ひんっ……♡」

 膣からプシュッと愛液が噴き出した。

 

「ああ~僕らは『ダマシチャウ』、ダイヤランクの救助隊~♪」

「カッパーランクだし、ドラミドロとルーアってニンゲンに今日負けたばっかりだよ……」

 

「……!!」

 名前を呼ばれて縮みあがってしまうが、二匹はその私に気付くことなく通り過ぎて行った。

 

「……う、あ……ひっ♡」

 緊張が解け私はその場に尻もちをつく。

 股間からドロドロと膣液が垂れ落ち、クリトリスもピクピク勃起していた。

「ふぅ、はぁ、ふぅ、はぁ……♡」

 私は何度も深呼吸を繰り返し気分を落ち着かせていく。

(よ、良かった……気付かれなくて……)

 あまりの恐怖に涙まで零れてしまい、今すぐにでもコテージに帰りたい気持ちが強まり出した。

 

 理性が叫ぶ。

 こんな危ないことやめて早く帰るべきだと。

 

 本能が叫ぶ。

 早く玩具でオナニーしたいから早く帰るべきだと。

 

「……っ♡」

 私は涙ながらに立ち上がり、そして歩き出す。

 コテージのある海岸とは反対方向へ。

 これは失敗ばかりする変態ルーアへの『おしおき』なんだから。

 

 

 

 訪れたのはドーム状の建物、『ポケモンコンテスト会場』。

 こんな深夜ではコンテストは開かれておらず、以前来た時の盛況ぶりが嘘のように静まり返っていた。

「……っ」

 入り口の柵を乗り越え、私は中へと入る。

 本当は入ってはいけない場所へこんな変態な格好で侵入することにドキドキが止まらない。

 まるでスパイのように私はすり足で暗い廊下を進むが、ポタリポタリと膣液が落ちてしまいあからさまな痕跡を残してしまっていた。

「う、あっ♡ 私、ダメダメスパイだぁ……っ♡」

 インテレオンは今も『海底の地割れ』で諜報を頑張っているのに。

 

「あんっ……っ♡ インテレオンに中出しして貰って……♡ いっぱい遺伝子注ぎ込んで貰えばスパイになれるかなぁ……♡」

 いやらしい事を口にしながら暗い廊下を歩いていると、見覚えのある観客席へ出た。

あの時とは異なり照明は一切なく、ポケモンの姿もゼロだ。

「…………」

 視線の先には誰もいないトロピカルな雰囲気のステージ。

 私は月明かりを頼りに一歩一歩段差を降りていき、観客席の最前列まで移動。

「う、あっ……んっ♡」

 みっともなく大股を開いてステージに登ると、私はその中心に立った。

 

 美しい星空。誰もいない観客席。華やかなステージ。

 そしてそこに立つ……私。

「……っ♡」

 一気に性欲が高まった私は大きく息を吸い込む。

 

 

 

「みんなーっ♡!!『変態コンテスト』全部門で万年一位のルーアだよーっ♡!!」

 

 私は目にハートを浮かべ、大声で宣言をした。

 誰も聞く者はいないが、私は妄想で補完する。

 ランターンの放つ照明に照らされる華やかなステージと私。

 満員の観客席からただ一人でステージに立つ私に対し一斉に視線が注がれる。

 その視線は『ポケモンコンテスト』の時とは違って困惑、嫌悪、軽蔑といったもの。

『あれがニンゲンのルーアか』

『変態ってなんだ?』

『あんな淫乱な奴しかリライブ使えないなんて』

『酷い話よね』

 妄想内のポケモン達がそんな言葉を私にぶつけてくる。

 

「あ、あはっ♡ あははっ♡」

 私はそれを受けて涙を流しながらも沢山のポケモン達へ今の姿を見せつけた。

 ステージ衣装はサイハイソックスとロングブーツだけ。

 惜しげも無く胸も臍も背中も肩も尻も股間も曝け出す。

 そして私は失敗ばかりして勝手にコンテスト会場に侵入した悪い子だから、手錠と首輪で拘束されている。

 

『ルーアはん、不法侵入はあかんやろ……』

『おほほほ、お下品な姿ですね』

『失望したぞ』

 妄想内の『ロイヤルズ』に言われ苦しくなるが、私は必死にパフォーマンスを開始した。

 

 しかしランドセルを持ってきていない為道具は一切使えないし手錠も解けない……だからただ、とても踊りとは呼べない身動ぎを始める。

「あっあっ♡ お尻、ふりふりぃ♡」

『あれがダンスのつもりかな』

『フフフ、ルーアだけはそうなのでしょうね』

『面白くない』

『私達がルーアを叩きのめす出し物の方が観客も喜びませんこと?』

 妄想内のチルタリスや『ナイトスター』も心底つまらなそうに私のいやらしい踊りを眺めていた。今すぐに逃げ出したい思いでたまらないが、これはおしおきだから逃げられない……!

 

「えっと、あの……そのっ……お、オナニー始めますぅぅ♡♡」

『ルーア、あなた恥ずかしくないの?』

『高みじゃなくてお前は低みを目指すのかよぉ!?』

『周りを白けさせて自分だけを幸せにするアイドルかー。見事な反面教師だねっ』

 冷えていく空気を戻すために必死に叫ぶが、妄想内の『ゆけゆけズ』やアシマリが普段はしないような見下す視線を向けて来た。辛くて苦しいのに乳首とクリトリスがどんどん膨れ上がってしまう。どんどん興奮してしまう。

 

「お……おお、おひっ……♡」

 顔を紅潮させ、涙も汗も止まらない中全力で腰を前後左右に揺らすが霧のような快楽が滲むだけで絶頂には全く届かない。

『分析の結果、ルーアは超絶ド変態という結果が出たよ。二度と治らないね!』

『ルーアちゃん、皆のためにも早く絶頂してステージ降りよう?』

『それがお前の価値観か。否定はしないが理解も難しいな』

 審査員席についた妄想内の『エキサイト』も私を庇う様子を見せず、ただ痴態を見つめているだけ。

 

「んあああっ♡んんんんっ♡!!」

 私は必死に腰を振るが膣液と汗が辺りに撒き散らされるばかりで快楽が得られない。

(もうだめ、もうだめぇぇぇ!)

「助けてぇ♡!インテレオンっっ♡♡!!」

 もう我慢の限界に達した私はステージの中心で情けなく助けを求める。

 

『ダメ。おしおきでしょ?僕に頼らず一人で絶頂してみなよ』

 

「……っ!」

 しかし妄想内の彼から容赦なく突き放され、私はビクンと一際大きく身体を跳ねらせガクリと膝を突いた。

 

 

 

「……あ、あひぃ♡」

 誰もいない、暗いコンテスト会場のステージ。

 私は膣液の水たまりに倒れ込んで、股間を脚で擦っていた。

(す、少し自分を虐める妄想が捗り過ぎちゃったぁ……)

 勝手にポケモン達を意地悪な性格にしてしまったことに罪悪感を覚えながら私はゆっくり起き上がる。

(そろそろおしおき終わりにしようかな……)

 

 おしおきに耐えたご褒美が欲しい……つまり早く絶頂したい気分になって帰路につくのだった。

 

 

 

 

 

「『サマーリゾート』在住の皆さんへお知らせでーす。今日の夕方から明日未明にかけて暴風雨の予報となりまーす。早めの帰宅を心掛けてくださーい」

 翌日、『ゆけゆけズ』や『ナイトスター』とお店で朝食を取っているとそんな声が聞こえてくる。

「復帰して早々かぁ……」

「灰色のニンゲンを探そうにも無理は出来なさそうね……」

 ヒバニーとチコリータは苦々しい顔をして空模様を窺う。私も続けて見上げると青空こそ見えるがいつもより雲が多いようにも感じた。

「風強い。結構荒れるかも」

「コテージだと危ないんじゃないかしら?」

「ですわね、『ロイヤルズ』に相談してみましょう。それにインテレオンさんの荷物も移動しないと……」

 マホイップ達も話すが、私はそこで不安なことを思い出す。

 

「……ねえ。インテレオン……まだ帰ってこないの?」

 必ず戻って来ると彼自身が言っていたが、ここまで連絡がないと心配を抑えられない。

「丸三日ですわね。少しぐらい便りがあっても良いものですけども……」

 流石にマホイップも違和感を覚えているのか目を細めた。

「いつもソロで活動してて数々の救助を成功させてるインテレオンだぜ? 不安になる事言うなよな……」

「確かにヒバニーの言う通りだけど……彼、『スプリングタウン』でよくマッサージ利用してなかった? もしかしたら疲れが溜まったせいで失敗したとか……」

 

「っ!?」

 いつもの様子で話すヒバニーとチコリータの会話内容を聞き、私は目を見開く。

 

「だっ、だから怖いこと言うなって!」

「洒落にならない」

「そ、そうね。少し迂闊な発言だったわ」

 ヒバニー達に言われてチコリータは撤回するものの、私は嫌な汗が止まらなくなってしまう。

 

 疲れというのは私が自らの性欲解消に彼をつき合わせたからだろうか? この『サマーリゾート』にはマイナン達のマッサージは受けられない筈だから疲れが溜まってしまったのかもしれない。

(でも待って……この町に来てから一回しかやってない筈……)

 毎日やっていたのを減らしたため、流石に彼の疲労蓄積も軽減されているのではなかろうか。

(そう……一回やった翌日にヒバニー周りのアクシデントでインテレオンが心配して来たけど……追い払ったから性交してなくて……)

 

 

 

 ……追い払った?

 

「……」

 もしかして、私が彼の好意を無下にして自分勝手に拒絶したせいで精神的な負担を与えてしまったのでは……?

 その翌日に謝罪はしたものの、その後あまり会話しないまま彼は『海底の地割れ』へ向かってしまった。まさかとは思うが、そのせいで諜報に集中できなくて……?

 

「ごちそうさまですわ」

「じゃあギルドへ?」

「ええ。それじゃあ先に失礼するわね」

 『ナイトスター』は今日やって来る暴風雨について相談するため、一足先に店から出て行く。

「んじゃ、俺達もそろそろ行くか」

「ええ。ルーア、また勝手に『無獣島』とかに行ったりしちゃダメよ」

「……うん」

 『ゆけゆけズ』も久しぶりに二匹でダンジョンへ行くらしい。

 

 

(……私のせいだ)

 一人残った私は口を締めて俯く。

 自分が辛いからってインテレオンにあんな態度を取ってしまって……それが彼を危険に晒す事に繋がるなんて……!

(私、また失敗ばかり……!!)

 一体どれだけ不幸を振り撒くのかと自己嫌悪に陥る。失敗を挽回しようとしてもまた沢山失敗して……!

 

「……?」

「っ!」

 そんな時、顔を顰める姿を心配したのか一匹のナミイルカ……だと思うポケモンが私を見つめているのに気が付いた。

 私は更に迷惑をかけないために急いで会計を済ませると店から出て行くことにする。

 

 

 

 失敗ばかりするのに、この世界で生きるにはどうすればよいのだろう?

 愛想を尽かされないためにどうすればよいのだろう?

 

 分からない……どうしたらいいのか分からない。

 けれどとにかく分かるのは……自分がやった失敗は自分で解決を……!

 

 

 

 しかし。

 

「来ると思ってたよ」

「どこ行くつもりかなっ、ルーアちゃん」

「聞かせて貰えないか?」

 

「……っ!」

 地図で『海底の地割れ』の位置を確認し、ボートで海に出ようとした私を海岸で待ち構えていたのはランクルス、オオタチ、イルカマン……救助隊『エキサイト』であった。

「ど、どうして……」

「困っている者をレスキュー! それが私達の役目!!」

 私が震える声で尋ねるとイルカマンがそんな回答を返してくる。

「た、助けを求めてなんて……!」

「レスキューをプリーズするのは口だけではない……」

 イルカマンはそう言うと決めポーズを取った!

 

「ハートもだ!!」

 

「いくらダンマリしててもバレる事はあるんだよね」

「ルーアちゃんさ、色々溜め込み過ぎてないかなっ? そこまで顔に出てると危険サインだよっ」

 まるでこちらの事を見透かしているかのように『エキサイト』は言ってくる。

「へ、平気……元気……!それより急いでるから……」

 

「『とぐろをまく』~」

「あうっ!?」

 オオタチは触り心地の良い毛並みを持つ身体で私の身体に巻き付いて来た……これでは動けない上にそれだけではなく……!

 

「……っ」

 思わず目に涙が浮かんでくるが、拭いたくても拭えない。

(このままじゃ涙が零れちゃう……っ)

 

「急いでいるって言ったね? じゃあその理由に関して私の予想を言わせて貰うよ……ズバリ『海底の地割れ』から戻ってこないインテレオンの元へ向かう! あ、違ってたら違うって言ってね」

「……!」

 続けてランクルスに図星を突かれて私は何も答えられなくなってしまった。

「ルーアよ。私達は救助隊として、自分自身をクライシスに陥れてしまうアクションを見過ごす事は出来ない。例えルーア自身のホープであっても、『ゆけゆけズ』も『ナイトスター』もディスペアーするだろう」

「失敗ばっかりしてる私が帰って来なくなって……絶望するの? 凶暴化ポケモンを『リライブ』する存在がいなくなるから?」

「外れ!」

 私は反論するがすぐさまオオタチが頬ずりしてくる。

 

「テストを出そうかルーア!」

「て、テスト?」

 笑顔でいきなり言い出すランクルスに私はオウム返ししか出来ない。

「インテレオンが帰ってこなかったけど、代わりにルーアをいつでも助けてくれる凄く強くて絶対失敗しない完璧な存在が現れました! だけどソイツはいつも上から目線の態度で自分が正しいと信じて疑いません! ルーアは果たしてその存在を有り難いと思うでしょーか!?」

「思わない……」

「はーい第二問! インテレオンが帰って来たけど、彼はボロボロにされ過ぎて結構弱くなってしまいました! ルーアは果たして弱くなったインテレオンを見捨てるでしょーか!?」

「なっ! そんな訳ないよ!」

 異様な早口で出される問いに答えるとランクルスはニヤリと笑みを浮かべた。

「……ルーアだって分かってるじゃん。大事なのは……どうぞ!」

 

「パワーではない! ハートだ!!」

 

 ランクルスの合図に呼応して再びポーズを決めるイルカマン。

「ルーアちゃんはさ、私達に"アイドル活動だって大変じゃないか"って心配してくれたよね? そんな優しいルーアちゃんだから帰って来なくなったら皆も悲しむんだよっ?」

「……私、優しくない……自分勝手で……!」

 オオタチに言われ、私は涙をポロポロ零して反論する。

 

「自分に優しくするのと他者へ優しくするのはリバースではない!」

「言ったよね、私は皆に幸せを振り撒くと同時に自分も幸せにするんだって。ルーアちゃんはきっと周りにも自分にも優しくしたい子なんだよ」

「……っ」

 

 周りから見たらそういう風に見えなくもないかもしれないが……本当に、本当に違うのだ。

 本当に優しければ……元の世界で『あんなこと』はやらなかった。

 ただ、嫌われるのが怖くて……!

 

「ルーアよ。『海底の地割れ』へ向かうならば私達も同行させてくれないか?」

「えっ……」

「インテレオンが帰ってこない件、そして『海底の地割れ』の凶暴化ポケモンが他のダンジョンと様子が違う件……これについて私達も気になっててね」

「ここは力を合わせよう! ルーアちゃんだって、皆に悲しい思いさせたくはないでしょ?」

 そして救助隊『エキサイト』は私へ提案をして来る。

 

 ……それは、とてもありがたい申し出だ。

 それと同時に、私はまた自分の失敗をポケモン達にフォローして貰うのかと苦しい気持ちになる。

 

「……うん、分かった」

 

 たとえ苦しくても、断れない。

 インテレオンを追い払ってしまった時のように、折角の好意をもしもまた無下にしたらきっと嫌な思いをさせるだろうから……。

 

 

 

 彼らの好意から差し伸べられた提案を払い除けるという失敗は防いだけれど……私、『海底の地割れ』でまた取り返しのつかない失敗したりしないのかな?

 

 そうなったら本当に……。

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