※この作品はR-18です。

裸の少女とポケモンだけが住む世界   作:Momyaka

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Chapter27 ~失敗と助け合い~

 何者か、ここは海に生きる者の国領ぞ。

 陸を支配するに飽き足らず我らが領域を侵すならば、海が陸を吞み込むであろう。

 深き海の更なる深みに佇む地、『海底の地割れ』。

 

 

 

 イルカマンの『ダイビング』により海中のダンジョンへ接近する私達。

 しかしまだダンジョンに入っていないのに、凶暴化ポケモン達が出迎えてくる!

「町から来た奴らだな!」

「散開! 取り囲め!」

「相手は四匹だ!」

 プルリルやチョンチー、ウデッポウといった海のポケモン達。

 彼らは訓練でもされているかのように素早く私達の周りへ移動してきた。

「うわっ……」

「数は十匹弱って所かな」

「いきなり疑似モンスターハウスだね!」

 突然の群れに怯む私とは対照的に、『エキサイト』はボルテージを滾らせ戦闘態勢に入る。

 

「ふんっ!」

「わっ!?」

 

 まず真っ先に動いたイルカマンが二匹のチョンチーを逞しい両腕でホールドし、上に向かって泳ぎ出した!

「あいつ、我らの仲間を!」

「助けに行くぞ!」

 

「させないよっ、『このゆびとまれ』っ!」

 続けてオオタチが可愛らしくアピールを始め、ウデッポウ達の注意を引く。

「なにっ……まずはこいつを倒さねば、『みずでっぽう』!」

「はい、『まもる』!」

 そしてそのオオタチを守るようにランクルスがゲル状の体液で防壁を張った!

 

「はあああっ!!『ダイビング』!!」

「ぎゃあああっ!」

 オオタチに気を引かれ集まって来ていたポケモン達目掛け、イルカマンが両腕で捕らえていたチョンチーを激しい勢いで叩きつける!

「ひええっ、ビリビリビリビリ……!」

 激しい衝撃を受けチョンチーの触手が漏電してしまい、プルリルやウデッポウへと襲い掛かった。

 

「『とぐろをまく』~」

「はい、『めいそう』」

「ええい、さっさとこいつらを黙らせ……」

「させん!」

 その隙にオオタチとランクルスが自らを強化する技を使い出し、それを止めようとした凶暴化ポケモン達はまたイルカマンに捕らえられてしまう。

「仲間を離しなさい……『みずのはどう』!」

 プルリルがイルカマンに捕らえられた仲間を救おうとするものの、攻撃が向かう先は彼ではなく注目を集めているオオタチの方向だった。

「残念、防ぐよ」

 更にその攻撃自体も『めいそう』で強化したランクルスがゲル状の腕で防御。

「『ダイビング』!!」

「わああああっ!?」

 戻って来たイルカマンが再度凶暴化ポケモン同士をぶつけ、一度の技で大量の相手へ強烈なダメージを与えていく。

 

(つ、強い……!)

 これがゴールドランク『エキサイト』の戦い方か。

 オオタチとランクルスが敵の気を引いたうえで徹底的に守りに入り、その隙にイルカマンが敵陣形を壊滅させる……攻守の役割分担を完全に分けた戦法だ。

 思い返してみれば同じゴールドランクの『ナイトスター』もドラミドロとアノホラグサが連携して攻撃を行い、マホイップがそのサポートを行う型……こちらも役割分担をしていた。

 なるほど、強いチームというのはやはりチームワークもしっかり出来ているもののようだ。

 

「そんな、馬鹿な……」

 そしてあっという間に凶暴化ポケモン達は全滅し、倒れ伏すのであった。

「ビクトリーッ!」

「やったねっ!」

「ルーア、リライブお願い!」

「……あ、うん!」

 勝利の決めポーズを取る『エキサイト』の横で私は、目を回して倒れている凶暴化ポケモンの元へ向かう。

 

「う、む……うぐっ」

 しかし歩こうとしても身体が重くなかなか進めない……『ダイビング』の効果で忘れてしまいがちだがここは水中なのだ。

「近づく必要があると言ったな。任せておけ!」

「わっ、ありがと……」

 素早く泳ぐイルカマンに二の腕を掴まれ、私の身体が一気に凶暴化ポケモン達の傍へ。『おたからサルベージ』の時に危惧していたがやはり泳ぎもまともに出来ないこの身では足を引っ張ってしまうようだ。

 

 そんな事を考えながら私はまずチョンチーを青い光で包み込んだ。

「……!」

 凶暴化から解放された彼女はゆっくり目を開いて私達を視認し……。

 

「っ!『エレキボール』!」

 

「ぎゃっ!?」

 電撃を放ち、私に襲い掛かってくる!

「えっ!? 『みだれひっかき』!」

「うあっ……」

 慌ててオオタチが攻撃を放ち、再度チョンチーを撃破。しかし何故リライブした筈なのに襲われたのか分からず、私は大量の疑問符を頭に浮かべる。

「どうした? リライブに失敗したのか?」

「いや、リライブの青い光は出てたよ。あれで凶暴化ポケモンの中にある悪いダンジョンエネルギーを放出させてる筈なんだけど……」

 イルカマンに尋ねられたランクルスは怪訝な表情をして気絶したチョンチーを持ち上げた。

 

「ルーア、またリライブできたりする?」

「……ううん、駄目みたい」

 痺れる感覚に苛まされながらチョンチーを見つめるが、青い光は発生しない。

「最初は青い光も出てたけどなぁ……ちょっと調査しよう」

 そう言うとランクルスは『椰子の気ビーチ』でも見た器具を取り出しウデッポウへ取り付ける。

「では私が暴れ出さないように押さえつけておこう。ルーアよ、リライブプリーズ!」

「……っ」

 一体何が起きているのか分からないまま、私はウデッポウへ近寄った。

 

 すると彼の身体から青い光が放たれる……本来ならこれで凶暴化から解放されるはずなのだが……。

「お前らさっきはよくも……! 離せ、今度こそ叩きのめす!」

 

「……うーん? イルカマン、よろしく」

「ふんっ!」

「むぎゅう」

 目を覚ますウデッポウだが首元を締められすぐに気を失ってしまった。

「どうだったっ?」

「悪いダンジョンエネルギーはちゃんとポケモンの体内から出て行ってる……つまり『リライブ』は問題なく出来てるよ」

 オオタチに尋ねられ、ランクルスはウデッポウから器具を取り外し回答。

「じゃ、じゃあどうして……」

 

「分からないね。あくまで憶測だけど……『海底の地割れ』に住み着いた凶暴化ポケモンがやたらダンジョン外に出たり動きが洗練されてたりするのと関係があるのかも?」

 

 リライブは出来ている……ならば凶暴化も解けている筈。それなのに襲ってくるのは『椰子の木ビーチ』のキャタピーのように歪んだ価値観を受け付けられてしまったからだろうか?

「このダンジョンが発生したのは一ヶ月前だよっ。年単位で凶暴化してたポケモンもリライブを受けると正気に戻るって話だから、価値観や教育とはまた別にも思えるね」

「うむ。やはりこのダンジョンは妙な所が多い。ハートを引き締めて先へ進もう」

 イルカマン達が見つめる先はプルリル達が出て来た海底の谷。

 

 一体何が起こっているのか、そして何が待ち受けているのか……。

 そしてインテレオンは無事なのかと、私は非常に不安な気持ちになった。

 

 

 

 ダンジョン『海底の地割れ』に入った後も凶暴化ポケモンは次々と襲い掛かって来た。

「町の連中め!」

「この先へは進ませないわよ!」

「挟み撃ちにしろーっ!」

 ダンジョン中から集まって来ているのか、非常に数が多く強力な力を持つ『エキサイト』達であってもどんどん疲労が蓄積し始めていた。

「小部屋があるよっ」

「一旦あそこへ隠れよう」

「ふんっ!」

 ダンジョンが生成した部屋に入り込んだ私達の後ろではイルカマンが傍の大岩を入口に移動させて凶暴化ポケモン達に見つからないようにしてくれた。

 

「あれ、あいつらどこへ逃げた!?」

「手分けして探しましょう」

 追って来ていた凶暴化ポケモンも私達を見失ったらしく、どこかへと泳ぎ去って行ったようだ。

「ふーっ、ちょっと休憩しようかっ」

「……うむ」

 

 安堵したオオタチがその場に座り込むのを見て、イルカマンはゆっくり頷くと何故か大岩の後ろに移動を始める。

「……?」

 こちらからは見えない位置まで移動してしまったのを見て私は首を傾げた。一体何をやるつもりなのだろうか?

「はいルーア、ナナのみ」

「あ、ありがとう」

 だがまるで私の意識を逸らさんとばかりにランクルスがきのみを渡してくる。

 トロピウスの首元に生えるというフルーツとよく似たナナのみは細長いフサが幾つもついており、中腹からピンク色になっている。

「……」

 そのピンクは見ようによっては肉感を感じさせ、細長いその形状も相まってまるで……。

 

(ちんぽ……)

 

「……っ♡」

 淫乱極まりない想像をしてしまった途端、私は自らの股間に意識を向けてしまう。微振動するバイブにより、膣から愛液が流れ出ているだろうがここは水中なのでどんどん周りに溶け込む。

「もそもそ……」

 可愛らしくきのみを食べるオオタチだが、彼女の周囲に私の愛液が漂っている可能性もある。

(わ、私……『サマーリゾート』で人気のアイドルに自分のおつゆぶちまけちゃってるんだ……!)

 とんでもない罪悪感と背徳感に襲われ、私はどんどん感度が高まっているのを感じていた。

「は、あ……♡」

 それに合わせて顔も赤くなり、息も荒くなってしまう。

「あれ、食べないの? もしかしてナナのみ苦手だった?」

 

「ち、ちがっ! 食べる! 食べるよっ♡!?」

 

 ランクルスに問われた私は慌てて答えた。

 しかしそう言った直後に私は"しまった"と表情を凍らせる。

 『春寒沼地』の時も下手にリンゴを食べると口走った時に酷い目にあったのだ……!

 

 だが後悔してもとっくに手遅れ。背負ったランドセルの力でナナのみの房から一本離れ、私目掛けてすっ飛んで来ていた!

 

 そして刺さる先は私の口……だが顔ではなく股間にある方だ。

「はひぃ♡!?」

 

 細長い実が私の急所を突き、全身が快楽に襲われ痙攣し出す。

「……っ♡」

「ルーアちゃん、鬼かき氷は上の口で食べてたよね? もしかしてそこも口なの?」

 俯いてブルブル震える私を見て、オオタチが不思議そうな表情をして来た。

 早く抜かなければと思おうにも快楽が強すぎてもっと捻じ込みたいと考えてしまう。

 

「あ……はあっ♡♡」

 それに応え、実がぐりぐりと私の膣内をかき回し始めた!

「ルーア、あんまり騒がないで! 凶暴化ポケモン達に気付かれちゃう」

「う、く、ひぃ……っ♡」

 ランクルスに注意されるも、気持ち良くてどうしても声が漏れる。

 

(く、口……塞がないと……っ!)

 そう考えると同時に、またナナのみの房から一本離れ今度は顔の方にある口へ突っ込んできた!

「んぼおっ♡!?」

 

 私の口と膣に一本ずつ実が入り込み、たまらず上半身を仰け反らせる。

 吐き出そうとするがどんどん押し込まれ苦しくてたまらない。

(理性が、働かないぃ!本能が欲しがってるよぉぉ!)

「おお、感じるよっ。今はルーアちゃん、物凄く幸せみたいだね」

「ナナのみが好きなんだ、良かった」

「ん……ぶぅっ♡!」

 オオタチ達に言われ、更に私は自らの痴態を恥ずかしく思い余計に発情。

 このままでは『エキサイト』の目の前で食事しながら絶頂してしまうと考え、私はとにかく落ち着くため口に入った実を咀嚼する。

 口の中に広がる甘い味、そして今も股間に走る甘い快楽。

 

「もぐっ! もぐっ……っゴクン♡!」

 噛み砕いた果実が口から喉を通り落ちていく。ようやく苦しさから解放されたと思った刹那。

「くぷっ!?」

 先程まで膣にねじ込まれていた実が抜けると、今度は私の口に突っ込んできた!

 再びやって来る苦しさと甘味、そして膣液の妙な味とヌルヌルした感触……!

 

「ん、んっ……んぶおおっ♡♡!!??」

 私の本能がランドセルへ働きかけてしまっているのか、ナナの房からまた新たに一本千切れ私の膣口へと突っ込んでくる。

 

「る、ルーアちゃんっ、静かにしないと……!」

 焦った様子のオオタチが私に近付き、股間に刺さったナナのみを引き抜こうと掴んだ。

(やめてぇ!取っちゃダメぇ!)

 しかし私の本能がもっと沢山快楽を欲しがっており、それを拒む。

「あれ、抜けない?」

「んぎゅっ♡!! んぐうううっっ♡♡!!」

 オオタチが引き抜こうとするのと本能が突き込もうとするのでナナのみが前後し、私の膣内を滅茶苦茶に蹂躙し出す。

 

「ああもう、静かにだってば……!」

「…………っっ♡♡」

 更に絶叫を上げる私に焦り、ランクルスが首輪を掴んでくる!

 それにより首が絞められ私の膣が強く締まった。

(イクイクイクイク!!)

 それにより膣内の性感帯がナナのみに一斉にぶつかり、大波の如く快楽がやってくる!

 

「っ……♡! っ…………♡♡♡!!!」

 

 声が出せないまま絶頂を迎えた私は力を失ってダランとなった。

「……あ、あれ? 生きてる?」

「う、ケホッ……騒いで、ごめんなさい……♡」

 ランクルスに首輪を離され、地面に倒れた私は幸せな表情で答えるのだった。

「……」

 同時に岩の陰から心配そうに覗いて来ていたポケモンと目が合う。

(ナミ……イルカ?)

 どうしてここにいるのか分からなかったが、疑問に思う思考力も残っていなかった。

 

 

 

「ここじゃな?侵入者たちがおるのは」

「っ!?」

 その時、入り口を塞ぐ岩の向こうから声が聞こえてくる。

 

 次の瞬間岩が木っ端微塵に砕け散り、その奥から凶暴化ポケモンが現れた。

 彫りが深く堅牢な身体、岩土のような茶色い身体を持つちょうじゅポケモン……ジーランス!

「くっ、バレた……!」

「あんなに声を上げておいて気付かれないとでも思ったか?」

 戦闘態勢に入るランクルスを睨み、ジーランスと共に現れたアノプス達が嗤う。

「ひええっ」

 そんな凶暴化ポケモン達を前に、いつの間にかこの部屋にいたナミイルカ……と思われるポケモンが悲鳴を上げる。あちらは凶暴化していないようだが、私達の後を追って来ていたのだろうか?

「……っ! 『このゆびとまれ』っ!」

「む、まずはお主か」

 そこへすかさずオオタチが敵の視線を集める。想定外の事態であっても素早い判断である。

 

「うわわぁ!」

 だがナミイルカはジーランスたちの頭上を泳いでいき、逃げて行ってしまった!

 

「あ、あれじゃ守れない……!」

「いや、あれでいいんだよ。『まもる』!」

 私はまだ救助隊ではないポケモンが一匹でどこかへ行ってしまったことを心配しかけるが、何故かランクルスは平然とした様子でいつものようにオオタチを守り始めた。

 よく見るといつの間にかイルカマンもいなくなってしまっており、もしかすると彼がナミイルカを助けに行ったのだろうか。

 

「『とっしん』!」

「っ!」

 ジーランスの技をランクルスが防御するが勢いが強く、彼女の纏っていた緑色の液体が弾け飛んでしまった。

「今じゃ!」

「『れんぞくぎり』!」

「あうっ!」

 そして指示に合わせてアノプス達がランクルスの本体を強く切り裂く! いくらゴールドランクと言えど急所に弱点の攻撃を受けたために悲鳴を押さえられていない。

 

「下がってランクルス! 『とぐろをまく』!」

 オオタチは自己強化技でジーランスたちを待ち構える態勢に入る。

「ゆくぞ、『とっしん』!」

「『れんぞくぎり』だっ!」

「……」

 そして同じようにジーランス達の連撃を浴びるが、守りが強化されている彼女は何も言わず耐え続けていた。しかしアノプスの『れんぞくぎり』は連続で放つごとに威力が強化される技……このまま攻め続けさせていたらジリ貧になってしまう。

 

 

「えーと……これでっ!」

 私はアノプス達を止める為、ランドセルを揺すって一つのタネを飛ばした!

 

「もぐっ?」

 それは一匹のアノプスの口に入り、たちまち効果を発揮する。

「……な、なんだ!? 何がどうなっている!?」

「何の話だ? お前、一体どうしたんだ?」

「まさかお前が敵か!?」

「ぐわっ!?」

 タネを食べたアノプスは困惑した様子で辺りを見渡した後、心配した仲間に攻撃を仕掛けた。

 『まどわしのタネ』を食べたポケモンは一時的に変なものが見える様になってしまい、味方と敵の区別がつかなくなっているのだ。

「ナイスルーア、『じこさいせい』!」

 その隙にランクルスが回復を開始し、緑色の液体を再び身に纏った。

 

「舐めた真似をしてくれるわい……ならばこちらも。ふあぁぁぁあ……」

 怒りの表情を向けてくるジーランスだったが、どういう訳か突然大きく欠伸を始める。

 

「……ふあ~あ」

 するとすぐ目の前にいたオオタチも眠そうに欠伸。

 

 そこで私は理解する。ジーランスが行ったのはただの欠伸ではなく技の『あくび』だ。

 このままではオオタチが眠ってしまう……!

「むにゃむにゃ……『ねむる』」

 そして案の定、オオタチは戦闘中であるのにすやすや眠りについた。

 

「……? まあよい」

 少し怪訝な表情をしたジーランスだったが今度は私を標的にしてくる。

「『アクアテール』!」

「くああっ!」

 水流を巻き起こしながら勢いよく尾びれで叩かれ私は地面へ叩きつけられた。

(だめ……水中じゃ全然避けれない……)

 ランクルスが私の前に立ち『まもる』をしてくれるが、ジーランスの攻撃力はかなり高い。『まもる』の効果が切れた状態で攻撃を受ければまた緑の液体が吹き飛んでしまうだろう。

 

(足を引っ張らないために……うまく動くために……!)

 私はそこである道具の存在を思い出した。

「『とっしん』じゃあ!」

「わわっ!」

 暫く攻撃を凌いでいたランクルスだったが、途中で防御が解けてしまいまたも液体が飛び散り本体が露になってしまう。

 

 

(……装備!)

 

 

 私が念じるとランドセルから光に包まれたあるモノが飛び出す。

 それは私の身体に纏わりつき、そして光が止んだ時には紺色の姿となっていた。

「『アクアテール』!」

「ルーア!」

 ジーランスの攻撃を避けるランクルスは後ろにいる私へ注意を呼び掛ける。

 先程までだったら絶対に避けられなかっただろう。しかし……!

 

「やっ!」

 

 私は陸上と変わらないスピードで動いて振るわれた尾鰭を寸での所で回避!

「あれ、何か姿が……まさかフォルムチェンジ?」

「……えっと、そんな感じ?」

 ランクルスからの問いに私は誤魔化した回答を返す。

 実際は『無獣島』で入手したスク水だ。貞操帯の効果があるのが困りものだがこれで水中活動が可能になり、動きも鈍らずに済む。

 

「……はっ、俺は何を?」

「やっと元に戻ったか……迷惑かけやがって」

 しかし同時にアノプスの惑わし状態も解け、ジーランスと共に迫って来ていた。

 ここは私が注意を引きつけてランクルスが『じこさいせい』する時間を稼ぐべきかと考えていると新たなる影が部屋の中に現れる!

 

 

 

「はあっ!」

「なんじゃと!?」

 

 それはイルカマンであった。彼はジーランスを掴んで上方へ泳ぐと、そのまま『ダイビング』で驚くアノプス達へジーランスを叩きつける!

「ど、どこ行ってたの!? ナミイルカは!?」

「……彼をセーフティなロケーションへエスケープさせていた! ソーリー!」

 私が目を丸くして尋ねると彼は意味深な沈黙を挟んだ後、ポーズを取りながら答えた。

「くっ、やってくれるのう……! 『とっしん』!」

 苦悶の表情をしながらジーランスが突撃してくるが私はそれを回避……ランクルスに守られなくても大丈夫だ!

 

「『サイコショック』!」

「ごふっ!?」

 それにより緑色の液体を復活させる時間を確保できたランクルスが、液状の腕を操ってジーランスを殴り飛ばした!

「目覚めスッキリ!『みだれひっかき』!」

「げふっ!?」

 更に目を覚ましていたオオタチも飛んできたジーランスを連続で引っ掻いてダメージを蓄積させていく!先程眠ったのは技『ねむる』によるもので、ジーランスの『あくび』で寝てしまう前に発動したようだ。

 

 

「『ダイビング』……エキサイトスマアアアッッッシュ!!」

 そして跳び上がっていたイルカマンが渾身の一撃を、宙を回転する満身創痍のジーランスへ叩き込んだ!!

 『エキサイト』の『レンケイ』が決まり、ジーランスはついに目を回して倒れるのであった。

 

 

 

「……あーあー。僕の大事な仲間に酷いことするよ」

 

 

 

「……何者?」

 咄嗟に小部屋の入口へ振り向くランクルス。

 そこには青色をした小柄なポケモンが浮かんでいた。

 

「王子に対して無礼ではありませんか?」

 それに対して答えたのは彼ではなく、隣にいるサクラビスだ。

「へっ、爺さんなのに無理するから。古海の称号が泣くぜ?」

「ハンテール、そういう言い方は良くないのでは?」

 更に続けて現れたハンテールが飄々とした態度で言うが、サクラビスはこちらへの警戒を緩めないまま苦言を呈した。

 

「麗海、猛海。僕を無視して勝手に話さないでよね」

「出過ぎた真似でした、申し訳ございません」

「へっ、悪かったねえ王子さん」

 青色の小柄なポケモンはサクラビス達に呆れた様子で言うと、私達へ向き直る。

 

 

「ようこそ、『サマーリゾート』から来た侵略者たち。僕はこの海を統べる蒼海の王子マナフィさ」

 

 マナフィ……? 初めて聞くポケモンだ。

「……」

 イルカマンは何も答えないが、後ろに手を回しオオタチとランクルスへ何かサインを送る。

「王子なんて大層な、単に凶暴化してるだけじゃない? ここがダンジョンになってるの知らない訳じゃないでしょ?」

「ダンジョン? この深海は僕の王宮さ。 それに今もまだあの町に手を掛けていない慈悲深さは凶暴とは程遠いと思わないかい?」

 ランクルスの問いに対し、マナフィというポケモンは笑顔で語るもののいつでも攻撃が出来る態勢になっている。

「……町に手を……? もしかしてコソコソしてた所を諜報されて大層ご立腹?」

「諜報にしては荒っぽすぎるんじゃないかな? それはともかく怒ってるよー、あの町からしょっちゅう侵略者がやって来るんだからね」

 そう言ってマナフィは『ほたるび』で妖しく光り出し、自らの力を増幅させ始めた。

 

 私が嫌な予感を覚えたその瞬間。

 

「『あなぬけのたま』!」

 ランクルスが会話で気を引いていた隙に、オオタチが脱出用のふしぎだまを掲げる!

「っ、『うずしお』!」

 しかしその直後にマナフィが渦を巻き起こした!

 

 私達の周囲が転移の光に包まれるが、同時に激しい渦に引き寄せられる。

「むんっ!!」

 いち早く渦から脱出したイルカマンがオオタチ、ランクルスを掴み渦の外へと放り出していく。

「ルーアよ、手を!」

「えっ!?」

 そして私にも手を伸ばしてくるが、私は顔を青ざめさせた。

 

 私は手が使えない……!!

 手さえ伸ばせればすぐそこのイルカマンの手に届くのに……!

 

「いかんっ!」

 『あなぬけのたま』の力により消えていくイルカマン達。しかし私はマナフィの渦から脱出できず……。

「うぎゃっ!」

 尻もちをついた場所は『サマーリゾート』の近くではなく『海底の地割れ』の小部屋。

 

「三匹には逃げられてしまいましたね」

「へっ、一匹いればいいだろ」

 そんな私に近寄って来るのはサクラビスとハンテールだ。

「……っ」

 私が自縛しているせいでイルカマン達の作戦が失敗し、私一人だけ脱出できなかったのだ。

(だ、だけど私も『あなぬけのたま』は……!)

 

 落ち着いて脱出しようと思った矢先、私が落ちた場所の近くにいたジーランスとアノプスの身体から青い光が放たれる。

(……! や、やっちゃった……!!)

 

「……王子! 何ゆえここに!」

「こいつ、外から来た!」

 リライブにより目を覚ました彼らだがやはり敵対状態が解けず距離を詰めて来た。

「この者は背中に背負っているバッグから道具を出してきます! 俺もタネを無理矢理食べさせられて酷い目に……」

「ほぉん、んじゃあまずはそれを取り上げねえとな」

「うわあっ!?」

 アノプスの進言を受けたハンテールがランドセルに噛みついて引っ張ってくる!

 丈夫故に千切れたりはしない、が……。

「い、痛い! 痛いっ!」

 肩紐が食い込んで激しい痛みが走って来た。

「早く抵抗を止めなさい、『ねんりき』!」

「あっ……!?」

 続けてサクラビスが私へ念力を送ってくる!

 まるで脳内に直接痛みを送られるような感覚に私は一気に気が遠くなっていく……!

 

 痛い、苦しい……!

 

 

 

 

 

 助けて……インテレオン……!

 

 

 

「っ!?」

 どこからか高圧縮の水弾が飛び、ハンテールとサクラビスに直撃。

 その直後、私の身体が浮き上がる。

 姿は見えないが、この感触はもしかして……!

「なんだ!? 誰だ! 『うずしお』っ!」

 マナフィは突然の襲撃に困惑するがすぐに技を放ち拘束にかかる!

 

「『とんぼがえり』っ!」

 しかし"彼"は迫って来ていたジーランスを蹴飛ばすとその勢いで『うずしお』の範囲から脱出した。

「ルーア! 『あなぬけのたま』を頼むよ!」

「……っ、うん!」

 そして合図を受けた私はランドセルからふしぎだまを出し、発動した!

 

 

 

 嵐が近づいているのか、空は暗雲に覆われておりポツポツと雨も降りだしていた。

 太陽の光が遮られているため近くにある『サマーリゾート』も暗く、どこか不穏な雰囲気だ。

「……ルーアちゃん」

 安堵したような表情で近付いてくるオオタチ。その後ろにはランクルスとイルカマンもいた。

「……」

 そして私を抱えていたインテレオンが透明化を解いて姿を現す。

 その顔は怒っているようにも、申し訳なさそうにも見えた。

 

「謝らせてインテレオン。ルーアをダンジョンに連れて行ったのは私達なんだよ」

「分かっているさ。僕がなかなか帰らないから追って来たんだろう?」

 ランクルスが私を庇う様に言うが、インテレオンは首を振りながらため息をつく。

「聞かせてくれないか。ノープロブレムだったのならどうして便りをくれなかった?」

「……マナフィ達がとても恐ろしい事を計画していてね。一旦町へ戻る時間さえ惜しかったんだ」

「恐ろしい事……? それはマナフィが言ってた、町に手を掛けるみたいな……?」

「キミ達も聞いたのか。そうさ」

 インテレオンは暗雲で黒く染まった海を見つめて口を開く。

 

 

「『海底の地割れ』にいるポケモン達による『サマーリゾート』への侵攻さ。奴らは今夜、嵐に紛れてこの町を襲おうと計画している」

 

 

「えっ、侵攻!? どうして、どういうこと!?」

「詳しい事はギルドで話すべきだね」

 驚くオオタチに対し、インテレオンは淡々と答えた。

「承知した、では我々はギルド長や救助隊たちに集まるよう伝えてくる。お前達は……」

「少しルーアと話してから行くよ」

「……」

 そしてイルカマン達『エキサイト』は分かれて『サマーリゾート』へと向かっていき、私はインテレオンと共に取り残されることに。

 

「……インテレオン、どうしてずっと戻ってこなかったの?」

「……言ったでしょ。町へ戻る時間も惜しかったって」

 まず口を開いたのは私。こちらは俯いているためインテレオンの表情は分からない。

「具体的に、何やってたの」

「諜報、そして彼らが侵略に使うと思しき道具の奪取」

「……本当に?」

「嘘ついてどうするのさ」

 私は顔を上げる。そこには少し気怠そうなインテレオンの顔があった。

「……疲れてるんじゃないの?」

「まあ、それはね。ずっと身を隠していれば……」

 

「そうじゃなくて!」

 やたらと抑揚が無い喋りを続けるインテレオンに対し私は声を張り上げる!

 

「インテレオン! 本当は町に戻るのが嫌だったとかじゃないの!? 私と顔を合わせたくないとかじゃないの!?」

「……待ってよ、どうしてそうなるんだい」

 私の問いに対し、インテレオンは顔を顰めて聞いて来た。

 

「だ、だって……! 私、ヒバニーが倒れた日の夜……インテレオンの心配を無下にして無理矢理追い払って! 嫌われて当然のことして! 本当は怒ってるんじゃないの!? 私のせいで気分が悪くなって余計に疲れてるんじゃないの!?」

 

 声を震わせて必死に尋ねる。

「……」

 すると彼は驚いたような表情になり、すぐに溜息をついた。

 

(その溜息は……? 『やっと分かったのか』っていう意味?)

 

 

 

 慄く私に対し、インテレオンがまた口を開く。

「なるほどね、繋がったよ。キミはあの日僕を嫌な思いにさせて、そのせいで『海底の地割れ』で僕が凶暴化ポケモン達に捕まったんじゃないかと責任を感じ追ってきた……ということなのかな?」

「……」

 流石の洞察力で図星をついて来た彼に対し、私は黙って頷いた。

「ルーア、心配してくれたことには感謝するよ。だけど言わせてくれないかい?」

 インテレオンは私と視線の高さを合わせてくる。

 

 

「……お願いだ、あまり自分を責めないでくれ」

 

 

「……」

「感情的になってしまうことだって、失敗してしまうことだって当然あるんだ。その度に必要以上に責任を感じて無理に挽回しようとしたら辛いだけだよ」

「だけど……本当に失敗ばっかりなんだよ、私……!」

 彼に諭されるが、私は自らの頬を伝うのが雨なのか涙なのか分からない状態で口を開いた。

「落とし穴に落ちたり、操られたり! 無駄に心配かけたり、ワナを踏んだり! その度に周りにフォローされてばっかりで、自力で解決しようとしても余計に事態を悪化させて……!」

 

 私は本当に……失敗ばかりしかしていないのだ。

 毎回ポケモン達に助けられて迷惑ばかりかけているのだ。

 

「こんなんじゃ駄目なの! 自分の失敗を取り返せないままじゃ……!」

「……ルーア。どうしてそんなに必死になってしまうんだい? 失敗ぐらい誰でも……」

 声を上げる私に心配気な表情で尋ねてくるインテレオン。

 

「失敗ばっかりしたら嫌われるもん! この世界にいられなくなるもん! 人間とは違う力持って、手錠とかも外せなくなったこんな私じゃ元の世界に帰れないから……この世界にまでいられなくなったら終わりなの!」

「待ってよルーア、だから失敗は誰でもするんだよ。嫌ったりなんか……」

 

 

「する!!」

 

 

 叫ぶ私にインテレオンが反論しようとするが、私は大声を上げてそれを遮った。

「ねえインテレオン……! どうして私は元の世界でずっと一人ぼっちで、外にも出ずに自慰ばかりする生活を続けてたか分かる!?」

 私はランドセルを揺すると、身に纏っていたスク水を戻してランドセル自体も地面に落とした。

 

 

 これで私は首輪と手錠、全裸にサイハイソックスとロングブーツ、そして膣内にバイブを身に着けた……元の世界で最後にしていた自縛野外露出の姿へと戻ったのだ。

 

 

「元の世界でも失敗したから!! あるポケモンと喧嘩して……怒りのまま相手が苦手な水を掛けて……! そしたら親ポケモン達に襲い掛かられて……! それ以来ポケモンが怖くなって、ポケモンと仲良くする人間達も苦手になって……五年以上もずっと一人ぼっちだったの!!」

 私は涙声で必死に語る。私がどうして孤独になったのかを。

「あの時ちゃんと仲直りすればよかったのに、感情的になって選択を間違えて……! 失敗したせいで独りになったんだよ! 必死に絆を築き上げても、失敗したら一瞬で全部崩れちゃうの!!」

 

「ルーア……」

 思い出すのも苦しい過去。思い出したくなくても思い出してしまう過去。

 あの酷い失敗のせいで私は一人になってしまったのだ。

 完全な自業自得なのだ。

 

 だから……この世界では失敗したくなかったのに……!

 

 

「……そっか、また一人ぼっちになるのが怖かったんだね」

 

 

「!」

 インテレオンの手が私の頭に添えられる。

「酷い事をしてしまったこと……それで嫌われてしまったこと。当時のキミは今よりも幼かっただろうし、とても影響が大きかっただろうね。だからその二重のショックで立ち直れなくて、今もそれに囚われてしまっているんだ。迷惑かけたら駄目だって、失敗したら嫌われるって」

「……囚われて…?」

 

 失敗した過去と同じようにはなりたくないって思ってた。

 失敗した過去から逃げて、今度こそ孤独じゃない人生を送りたいって思ってた。

 

 

 

 私、過去から逃げられてなんかなかったんだ。

 ずっと…今も、失敗した過去に雁字搦めに縛り付けられて、いくら藻掻いても抜け出す事なんて出来てない状態なんだ。

 

 

 

「ルーア、キミが思っているより皆失敗しているものさ。例えば僕だってマホミ……マホイップと初めて会った時には彼女を酷い目に遭わせた上で怒らせたんだよ」

「へ……」

 突然そんなことを言い出すインテレオン。マホイップは彼の事をかなり慕っているのにそんな事が?

「キミと『つめとぎ山』を進んでた時もワナを踏んでキミに迷惑をかけてしまったし。他のポケモン達だってキミの知らない所で沢山失敗してるだろう。そしてその挽回を上手く出来ないことだってザラにある筈だ。だからさ、自分ばかり失敗して迷惑かけているなんて思う必要はないんだ」

「でも私の失敗でヒバニーが倒れたり、灰色のニンゲンが黒装の欠片を持って行っちゃったり……」

「黒装の欠片については後で教えて貰うとして……。確かに周りのポケモンに手を貸して貰わないといけないぐらいの失敗はあるだろう。だけどね、ルーア」

 いまだに苦しさが抜けない私に対し、インテレオンが笑顔を浮かべる。

 

 

「キミも失敗したポケモン達のフォローを沢山やって来たじゃないか。凶暴化したポケモンを元に戻すだけじゃない。道具を使ってピンチに陥った僕達を助けたり、無理している時に止めてくれたり。キミが思っている以上にキミも僕達を助けてくれているんだ」

 

 ポケモン達に失敗をフォローして貰うばかりじゃなくて、私もポケモン達の失敗をフォロー出来てる……?

「常に周りを助けられるポケモンなんてそうそういないだろう。心が苦しい時には助けられ、心に猶予がある時には助けて……キミもそういう助け合いの輪に加われているんだ」

「……助け合い」

「うん。今すぐに過去のトラウマから抜け出すのは難しいだろうけど……キミもみんなと同じで助け合って生きてるってこと、どうか忘れないで」

 インテレオンに言われ、私は再び俯く。

 雨に混じって涙がポトポト地面に落ちていた。

 

 どんどん雨も風も強まっているのに……何故だか心の曇りの隙間から光が差し込んだような気がした。

 

「……本当は危険な所へ飛び込んでくるなって叱りたかったけど。キミも失敗を挽回するので必死だったんだよね」

「うん……ごめんねインテレオン。そして助けてくれてありがとう……」

 涙ながらに私は謝罪と感謝を述べ、笑顔の彼へ笑顔を向けた。

 

 

 

 今、『サマーリゾート』は『海底の地割れ』のポケモン達による侵攻という未曽有の危機に直面している。

 

 だけど、そんな悲しい事は止めたい。

 リライブしても敵意を抑えられない以上、私にやれることは少ないかもしれないけれど。

 

 

 

 沢山助けてくれたポケモン達のために何か出来ることがあるのならば、やりたい。

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