※この作品はR-18です。

裸の少女とポケモンだけが住む世界   作:Momyaka

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Chapter29 ~それぞれの郷愁~

 椰子の木と海に囲まれた砂の入り江に響き渡る争いの音。

 

「どこへ行ったの!?」

 砂浜から顔を出ししきりに周囲の様子を探るのはミミズズだ。

 

 そんなミミズズに超圧縮された水弾が襲い掛かり、急所を撃ち抜く。

「……っ! この、こうなったら『あなをほる』!」

 苛立った彼女は地面の中に潜り身を隠してしまった。中々姿を見せない相手に対して、同様に隠れる事で一方的な攻撃を防ぐ……中々のやり手である相手だ。

 この状態では先に隙を見せた方が不利になる……膠着状態に陥るのかと思ったその時。

 

 誰もいないように見える地点の砂に足跡が付く。

 

「え、ちょっと……!」

 私が目を見開く間にどんどん足跡は私の方へ向かって来ていた。

 

「ルーアッ!」

 

 そして私の身体が浮かび上がる……否、抱き上げられる。

 

 それと同時に姿を消していた彼……インテレオンの姿が露になった。身体の表面を覆っていた水分が落ち、透明化が解除されたのだ。

 私をお姫様抱っこした彼が跳躍すると同時に、ミミズズが地面から頭を出す!

 

「っ、『ねらいうち』!」

「うひゃっ!?」

 彼は片手で私を胸の内に引き寄せると、反対の手でミミズズを再度撃ち抜いた!

 

 華麗に砂浜へ着地するインテレオンの後ろでミミズズが目を回して倒れ伏す。

「……ありがとインテレオン」

「うん」

 私は彼にお礼を言うとミミズズへと駆け寄ってリライブを行った。彼女はここ『椰子の木ビーチ』でダンジョン化に巻き込まれた町のポケモン……これで依頼を出した友達も喜ぶことだろう。

 

 

 

 ……それはいいのだが。

 

 

 

「インテレオン……折角隠れてたのに焦って足跡つけてたらバレちゃうよ」

「……いや。あれは作戦さ、わざと足跡を付けてミミズズの攻撃を誘うというね」

 凶暴化ポケモンのリライブ依頼を終えた私達はコテージで夕食を取っていた。

 

「……本当に? 偶然じゃなくて?」

「……」

 私がジト目で見つめるとインテレオンは視線を逸らす。

 

「私の名前読んだ時、やたら余裕ない声だったし……」

「……もぐもぐ」

 続けて言うと彼は冷や汗を垂らしながらわざとらしくきのみを口に運んだ。

 

「やっぱり危険侵して私を助けたんじゃん! ミミズズが私に『あなをほる』した所を狙えば確実だったのに!」

「ご、ごくん。そうは言うけどね……キミの負担を減らせるならなるべく減らしたいし……」

「それでインテレオンが痛い目見たり苦しんだりするのが嫌なんだってばー!」

 言い訳をするインテレオンに対し私はプンプン怒る。

 

 私は身体が丈夫で技を受けても耐えられると何度言っても彼は理解してくれないのだ。私と違ってインテレオンはあまり体力が多い訳でもないので無理はして欲しくない。

「……守ろうとするの、迷惑なのかな」

「うえっ!?」

 しかし急に寂し気な表情をするインテレオンに虚を突かれ、今度は私が慌てる事に。

 

「違っ、そうじゃなくて! あの、その……守ってくれるのが物凄く嬉しいけど、ね! もっと自分を大切にして欲しくって……ね?」

 必死に弁明する私の頬を撫でる大きな手。

 

「僕も同じさルーア。僕の事を心配してくれるのは物凄く嬉しいよ。だけどキミもキミ自身を大切にしてよ、攻撃浴びても痛い目見ても大丈夫なんて強がらないでさ」

「う、うう~……!」

 そう微笑んで言う彼に私は踊らされたことを非常に悔しく思いながらも身体が火照るような気分に陥る。駄目だ、我慢できない……。

 

「……あ、あのねインテレオン。今日やりたい、な♡」

 

 

 

 空に浮かぶ月。海に反射し映る月。

 そんな美しい二つの月を眺めながら、さざ波が何度も打ち寄せる砂浜にてシートの上で横になる私。その隣ではインテレオンが"ある物"を持ち、のんびりと腰掛けている。

「あ……♡」

 好きな相手と砂浜で二人きりでいる。夜ではあるがまるで海水浴に来たようだ。

 

「んううっ……♡!」

 横になったままの私が必死に身悶えするのを見てインテレオンがクスクス笑う。

「フフッ、面白いねこのリモコン。ルーアを何度も寸止めさせるなんて」

「い、意地悪ぅぅ♡」

 早く絶頂したいのに膣内のバイブが勝手に動いたり止まったりを繰り返すのだ。インテレオンの手の内にあるのは『追放の遺跡』で回収したリモコン……微振動と寸止め設定の二つしかないとんでもない代物だ。まずは玩具で彼に弄って貰おうとして色々取り出したらよりにもよってそのリモコンを選ばれてしまった。

 

「また寸止めされた……!」

「嘘はダメだね、今は微振動設定だよ? ほらあと三回寸止めしたらセックスしてあげる」

「ううっ!」

 合計五回寸止めしたら本番をしてくれるという約束なのだが、インテレオンはとても意地悪でリモコンを切り替えてしまうのだ。

 

(早くセックスしたい! レイプされたい!)

 

「寸止めされた! もう五回された!」

「いけない子だね、嘘ばっかり」

 瞬膜越しに私の生体反応を見破る彼は私に手を伸ばしうつ伏せに転がしてくる。もしかして手淫で快感を与えてくれるのかと期待したが、違った。

 

「ふわあっ♡!?」

 私のお尻がペチンと叩かれ、悲鳴を上げてしまう。

「嘘をつく悪い子にはお仕置きしないとね?」

「あうんっ♡!?」

 インテレオンは大きな手で何度も私のお尻を叩いてくる。勢いは抑えられており痛みは殆ど無いが、それ以上にスパンキングされているという事実に恥ずかしさが抑えられない!

「お尻叩かれてるぅ♡ 私、学校では高学年なのにぃぃ♡」

「そんな『お姉さん』が野外露出で発情しながらお尻を叩かれてるんだ。後輩たちが見たら笑われちゃうね」

 ペチン、ペチンと叩かれる音が砂浜に鳴り渡り、私はみるみる発情してしまう。

「叩くたびにルーアの丸々したお尻がプルンプルンと揺れてるね」

「そんな事言わないでぇぇ……♡♡ んっ、すん、どめぇ……!」

 インテレオンに私のいやらしい様子を言われると同時にバイブが停止……三度目の寸止めをされた……!

「寸止めぐるじいっ! インテレオンっ! もう犯してぇぇ♡!」

「さあ頑張れルーア、あと二回だよ?」

「ふにゅううっ♡!!」

 必死に懇願するがインテレオンは私のお尻をプニプニと掴みながら笑った。

 

 

 

「あと一回っ♡ あと一回っ♡」

 ガクガク身体を震わせ、大泣きしながら蕩けた表情になる私。

「寸止めあと一回でっ♡ レイプして貰えるぅ♡」

 ビショビショになった股間を必死に腿で擦る。

「だいぶ出来上がって来たね、いやらしい姿だよルーア」

「も、もう限界ぃ♡ イキそうぅぅ♡」

 激しく振動するバイブはよがる私をどんどん絶頂へ向けさせていた。

 

「フフ、手錠されたまま寸止めされるの好きかい?」

「す、寸止めいやあっ♡! 絶頂の方が好きぃぃ♡!」

「嫌いか……ならリモコンを微振動に戻すかい?」

「らっ、らめぇぇぇ♡!! 寸止め大好きなのぉぉ♡! 自力でオナニー出来ないまま寸止めされるの気持ちいいよぉぉ♡! だからそのままにしてぇ♡!」

 私はガニ股で立った状態でいやらしく絶叫しながら腰を動かし続ける。全意識を自らの膣内に集中させ、最大限バイブの快感を味わう私。

(も、もうイクぅ……!)

 

 そしていよいよその時が来た……!

 

「イクっ……うっ、また止ま……」

 設定どおりバイブが停止し。

 

 

 

「ふああああああっっっ♡♡♡!!!???」

 いつの間にか後ろに立っていたインテレオンが性器を私の膣に突き込んだ!

 

「おめでとうルーア、五連続寸止め達成だね。ご褒美だよ」

「あっあっああっ♡! やっぱりこれが一番好きだよぉぉ♡♡!!」

 耳元で囁くインテレオンに、私は目にハートを浮かべ嬌声を上げる。硬い陰茎が私の膣壁を擦り快楽が怒涛の如く私の全身を駆け巡った。

「イク!イク!イクぅ♡!! 突いて!もっと突いてぇ♡! ド変態のプニプニおマンコに突っ込んでぇぇ♡♡!!」

「よし、それじゃあ出すよ!」

 媚びる私に対し、インテレオンは腰の動きを早めて亀頭を何度も子宮口に叩きつけた!

 

「おマンコ幸せぇぇぇ♡♡♡!!!」

 

 ついに絶頂を迎えた私の奥へと精液がどんどん注がれる。

(子宮が喜んでる……精子おいしいって喜んでる……)

 幸せいっぱいになりながら私はぐったりとシーツの上に倒れるのであった。

 

 

 

 

 

 『サマーリゾート』のポケモン達が朝食やドリンクを嗜む『ガルーラのカフェ』。

「『巨大サンゴ礁』では見つかりませんでしたわ」

「『蒼海晶洞穴』にも戻ってないってカメテテが言ってたわね」

 私達はテーブル席で情報交換を行う。

「『ロイヤルズ』も探してるみたいだけど彼女らも手掛かりすら見つけられていないそうだ」

「どこ行っちまったんだろうな……灰色のニンゲン」

 『海底の地割れ』軍団の襲来が終わってから一週間。私達は依然として灰色のニンゲンの捜索を行っていた。彼女は『蒼海晶洞穴』でアシマリとアマージョを取り込んだままどこかへ行ってしまい、未だに見つかっていないのだ。

 救助活動や資源収集の依頼をこなしながら探しているのだが見つからず終いである。

 

「ペリッパー便でチェリムからも連絡があったけれど、『スプリングタウン』周辺も目撃情報ナシという話よ」

「困ったわね……アシマリ達、大丈夫かしら」

 灰色のニンゲンに取り込まれたポケモンはその身を操られてしまい、道具のように扱われてしまう。あまりにも長引くようだと彼女らの負担はとんでもないものになるだろう。

 

「そうだこれ、手配書」

 その時アノホラグサが一枚の紙を取り出しテーブルの中心に置いた。

「おっ、やっと準備出来たんだな!」

「ええ。昨日作成し終わって今朝から町のあちこちの掲示板に貼り出されていますわ」

「これで情報が集まるといいわね」

 その紙には『蒼海晶洞穴』で出会った灰色のニンゲンの特徴や顔が載っている。彼女が本格的に悪者として扱われ出していることに焦燥感を感じていたその時……。

 

「ん……?」

 インテレオンが手配書を見て首を傾げた。

「どうしたの?」

「いや…気のせいかな。何か記憶と違うような……」

 ドラミドロに尋ねられインテレオンが呟く。

「いえ……間違いない筈ですわよ? ……って、もしかしてインテレオンさんが『つめとぎ山』で出会った個体と見た目が違いますの?」

「うん、髪型とか顔とか……」

「灰色のニンゲンにも個体差があるのね。そうなるとあっちの手配書も出して貰った方が良いのかしら……」

 

 

「……っ」

 そこで私は背中に汗ばむ感触を覚える。

(ど、どうしよう……?)

 このままではアシマリ達を捕らえている灰色のニンゲンだけでなく、『追放の遺跡』で静かに過ごそうとしているイヴまで捜索対象にされてしまうかも……!

 

 

 何か言わなければならないだろうかと焦っていたその時、一匹のポケモンがやって来るのが見えた。

「おーい!」

「あらチルタリス」

 青い身体と雲のような翼を持つポケモンは笑顔で私達のいるテーブル席の傍に来る。

「それじゃ灰色のニンゲンの話は以上としましょう」

「次、明るいニュース」

 『ナイトスター』達は笑顔になると私達や『ゆけゆけズ』の顔を見渡す。

 

「フフフ」

「何よその笑い! 早く教えなさいよね!」

 妖艶に笑うドラミドロにチコリータが急かすように言った。

「じゃあチルタリスから」

「うん」

 チルタリスは懐をまさぐると私達にある物を見せてくる。

「これは……」

「救助隊証明カード?」

 救助隊ポケモン一匹一匹に配られるという、救助隊であることを示すカード。チルタリスは凶暴化する前はドラミドロと『エレガドラ』というチームを組んでいたため持っていてもおかしくはない筈だが。

「……!?」

 私はそのカードをよく見て目を丸くする。

 

 

 『スプリングタウン』所属……ゴールドランク『ナイトスター』、チルタリス……!

 

 

「……ええっ!?」

 ヒバニーが驚愕の表情になり声を上げた。

「という訳でボク、チルタリスは……救助隊『ナイトスター』に加入することになったよ!」

「パチパチパチ」

 チルタリスが胸を張る横でアノホラグサが拍手の擬音を口に出す。

 

「いつの間にそんな話に!?」

「ペリッパー便でファイヤーに申請を出しましたわ。以前ドラミドロとチームを組んでいた彼女を『ナイトスター』に加えたいと……それで承認が下りカードも届いたということですの」

「えへへ……そっか」

 チルタリスの凶暴化が解けた事により、ドラミドロは『ナイトスター』を抜けて『エレガドラ』として移籍するのか、それともチルタリスが一匹になるのか不安だった。だけどこういう結果に着地したのはとても喜ばしい事だ。

 

「……なるほど、そんな手が」

 四匹チームになった『ナイトスター』達を見てチコリータは何かを思案し出す。

 

「……と言う訳でインテレオンさんも如何ですの?」

「えええっ!? 最近聞かないからてっきり諦めてくれたものだと思ってたけど!?」

「フフフ、ルーアと一緒でもいいのよ?」

 再び勧誘され狼狽えるインテレオンの姿に一同は笑い声を上げるのであった。

 

 

 

 朝食兼情報交換を終え『ゆけゆけズ』や『ナイトスター』と別れた私達は町から海岸へ向かっていた。

「こっちだよ」

「ラプラス便か、『海底の地割れ』に向かう時は自分で泳いだから使うのは初めてだね」

 今回の行き先は『黄護島』。あまり大きくはない島らしいがここも暫く前にダンジョン化してしまい、町のポケモンも何匹か凶暴化しているのだという。

 そして海岸にある発着場に辿り着くがラプラスは見当たらない。停留所の掲示を見てみるが、戻って来るまでもう暫く待たなくてはいけないようだ。

 

「……うーん、一旦町にもど……あれ?」

 

 私は提案しようとしたがいつの間にか後ろにいた筈のインテレオンがいなくなっている。慌てて見渡すと彼はイカダが並ぶ桟橋の方にいた。

「ちょ、ちょっとビックリさせないでよっ!」

 私は桟橋に移動すると彼の下へ駆け寄る。

「……」

 しかし彼は私の方へ振り向かずあるものを見つめていた。

 

 その表情は非常に驚き戸惑ったもの。

 そして彼の視線の先には足漕ぎボートがあった。

 

「ど、どうしたのインテレオン? それ私が『無獣島』で見つけたんだけど……」

「えっ!?」

 心配になりながら説明すると彼は弾かれたように顔をこちらに向けてくる。

「……っ」

 彼は狼狽しつつボートの中を覗き込むと、ある物を見つけて動きを止めた。座席の隙間から引っ張り出されたのはボロ紙。

 

 そこには絵……青色の小さな何かと、金髪に薄橙の何かが描かれている。

 

「……っ!」

「えっ」

 するとインテレオンは突然手で目元を隠して身体を震わせ出した。

「ね、ねえ……?」

 私は慌てて彼を心配するが、泣いているのを隠しているのか中々答えて貰えない。

「……ルーア」

 暫くして彼はようやく私の名前を呼ぶ。

 

「『無獣島』……案内して欲しい……!」

 

 

 

 足漕ぎボートに乗り海を渡る私達。

「あれだよ」

「……」

 後部座席に座る私はボートを動かすインテレオンに伝えるが返事は来ない。

 

 水平線に浮かぶ島……『無獣島』。

 

「ねえ、ポケモンは近寄れないんだよ。このままだとインテレオンが押し返されて……」

「……」

 前回この島に来た時、私がイカダから島へ引き寄せられた地点はそろそろだ。

 

「ぐあっ!」

「わあっ!?」

 彼の身体が突然見えない力で押し返され、ボートが揺れる!

「だ、大丈夫!?」

「……うん」

 私は声をかけるが彼は意気消沈したように返してきた。

「……ありがとうルーア、『黄護島』に行こうか」

「……っ」

 インテレオンは運転席に座り直すと方向転換……そして『無獣島』から離れていく。

 その辛そうな後ろ姿を見ても、私は何を言えば良いか分からなかった。

 

 

 

 さあ踊れ。さあ楽しめ。祭りだ祭り。子供も親も揃って笑おう。

 民が感謝を伝えれば、陽気な守り神が夜空に電撃の花火を上げるのさ。

 ……そして今は神が消え笑顔も消えた地、『黄護島』。

 

 『無獣島』の半分ほどの面積を持つ、自然豊かな島。所々に木製の彫刻があり、町とはまた違った文化があるのが見受けられた。

「ここも『椰子の木ビーチ』と同じで元々は『サマーリゾート』とも交流が深かった場所って聞いたよ。ダンジョン化のせいでこうして交流が絶たれるのは悲しいものだね」

「……」

 前を歩き語るインテレオン。平然としているようにも見えるが、『無獣島』に入れなかった事を本心では悔しく思っているのかもしれない。

(……あの島、もしかしてインテレオンと関係があるのかな)

 『追放の遺跡』は私の学校と同じ姿だったが、『無獣島』に関してはインテレオンの知る地であるのかもしれない。しかし尋ねようにも勇気が湧かない。

(……本当にインテレオンに関係があったら……幻覚で見たあのメッソンと金髪の女の子は……)

 そこまで考えて私は首を振る……あまり考えたくない。

 

 

「ん?」

 足を止めるインテレオン。

 

 何だろうと彼の背中越しに視線を追うと茂みの中に何かが倒れていた。

 頭に花をつけた緑色のポケモン、キレイハナが目を回している。

「何が起きたんだ……?」

 インテレオンが呟く間に彼女の身体から青い光が放たれた……私のリライブが発動したようだ。

「う、ううっ……あなた達は……?」

「どうしたんだい? 凶暴化してたみたいだけど誰に倒されたんだ?」

 頭を押さえて起き上がるキレイハナに対しインテレオンが尋ねる。

「凶暴化……まさかこの島がダンジョンになってしまったなんて……」

 キレイハナは状況を把握すると沈痛な面持ちで視線を落とした。

「……あれはみずタイプの二匹……エンペルトとキングラーです。凶暴化したまま襲い掛かってしまったのですが返り討ちにされました……」

「『ロイヤルズ』がここに!?」

 彼女の話に私は目を丸くする。偶然にもエンペルト達までここに来ていたようだ。

「……あなた方も救助隊の、『サマーリゾート』の方ですよね」

「あーっと……救助隊は僕だけで『サマーリゾート』も一時的に滞在してるだけなんだ」

 

「失礼しました……あの、カプ・コケコ様はお元気ですか?」

「え?」

 キレイハナに尋ねられ私は首を傾げた。何故ここでギルド長の名前が出てくるのだろうか。

 

「うん、結構気ままにギルド長としてやっているけど……もしかしてここの出身なのかい?」

「はい、その通りです。それでしたら何よりです」

 インテレオンが伝えると彼女は安心したように微笑んだ。

 そこで私は思い出した。カプ・コケコは元々とある島に住んでいたが、エンペルトからギルド長になるように言われ渋々と町へ向かったと。その島がここだったらしい。

「この島を出て町でギルド長をしているなんて……思った以上に正義感が強いのかな」

 その事情を知らないインテレオンは感心するような表情で呟く。

 

「……あの、私にして下さったように島の者達の凶暴化を解いて頂くことはできませんでしょうか?」

「気持ちは分かるけど……すぐにっていうのは難しいんだ」

 キレイハナは再び表情を曇らせ頼み込んでくるがインテレオンが首を横に振る。私の負担を考えて言ってくれているのだ。

「……ですよね、我儘言ってごめんなさい」

「……」

 彼女は苦しそうで、自らを責めるような表情で謝罪してくる。

 それを見て私は更に記憶を掘り返した。

 

 カプ・コケコが放った『戻っても楽しくない』という言葉。

 

「もしかして……島に戻って来たカプ・コケコを追い払っちゃったとか?」

「っ!」

 私が尋ねるとキレイハナは目を見開き……そして涙目で頷く。

「私達が凶暴化したせいで……カプ・コケコ様はこの島に帰れなくなってしまったんです……。それまでは時折島に戻って来て下さり、一緒に踊って楽しんでたのに……」

 

「帰れない、か……」

 キレイハナの語りを聞き、インテレオンが遠いどこかを見るように空を見上げた。

 

(インテレオンも帰りたいのかな……)

 思い出すのは足漕ぎボートを見てから『無獣島』に向かおうとしていた彼の必死な姿。

(なんか……胸が痛くなる……)

 

 

 

「……カプ・コケコに会いに行ってあげてよ。少しは救われるかもしれない」

 インテレオンの言葉にキレイハナがハッとした表情になる。

「故郷に帰れなくなってもさ……同郷の仲間が会いに来てくれると凄く安心するんだよ。カプ・コケコもきっとそうだと思う」

 彼は微笑みを浮かべて私に目を合わせて来た。

 

 そうだ、彼は私と出会い……とても喜んでいた。

 

「そうですね……はい、そうします! ありがとうございます!」

「うん。僕達も可能な限りはこの島のポケモンを元に戻せるようにするよ」

 涙を拭って笑みを浮かべるキレイハナに対し、インテレオンが言う。

 

(……インテレオン、立派なんだね。本当は辛いのに周りを元気付けて……)

 

 

 

「あら、戻ってきてしもたわ」

「……しっかりしろ」

 

 その時、後ろから聞き覚えのある声が届いて来た。

 振り返るとそこには……。

「……あらら!? ルーアはんとインテレオンはん!?」

「とんだ偶然だな」

 

 

 キレイハナが語っていたキングラーとエンペルトが今まさに私達の所へやって来たのであった。

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