※この作品はR-18です。

裸の少女とポケモンだけが住む世界   作:Momyaka

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Chapter41 ~未踏摩天楼 4/4~

 『未踏摩天楼』に満ちる闇が見せる幻覚、『煌めき太陽ビル』にて私はスールという少女が使っていたという部屋に閉じ込められていた。そこで『追放の遺跡』などの時と同じように絶頂して闇を払おうと思ったが、何度オナニーしても幻覚が消えていないのだ。

 

(……私がリライブ出来なくなっているから?)

 

 度重なるオナニーで火照っていた筈の身体がブルリと震えあがった。ポケモン達を救う力を失ってしまったら私はどうすれば良いのかと恐怖が胸の内をよぎる。

 しかし考えてみると最後にリライブを発動したのは『颶風の砂漠』……そんなに前ではない。その時から私自身に妙な異変が起きた記憶は無いため、この『未踏摩天楼』が『追放の遺跡』などとは性質が違うのだろうか?

 

(他に思いつくのは……リライブすると少し苦しくなるようになったぐらい……)

 

 虚ろな瞳を動かすと、デスクに置かれた本棚が目に付く。この部屋の持ち主がビルを経営するオーナーの娘という立場であるからか、経営術の書物が幾つも置かれている。しかしいずれも新品同然で使われた形跡はほとんど残っていない。

「……?」

 その中に一冊だけ使い込まれたノートが挟まっているのに気付き、私は顎や頬を使って苦労しながらそれを棚から引っ張り出した。

 

 

 

(……日記帳?)

 

 一目見ただけでもよれているのが分かり、スールという少女が毎日真面目に日記をつけていた証拠なのかもしれない。

「……」

 本来であれば他人の日記を勝手に読むことは良くない事であるが、今の私はこの幻覚から脱出するために少しでも情報が欲しい状態だ。そのため涎を落とさないように注意しながら顔で日記帳を開いた。

 

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 ×月◎日

 お母さんに日記を書けって言われた。めんどくさい。

 

 ×月▼日

 今日のご飯はヤドンの変な尻尾料理だった。私には合わなかった。

 

 ×月◇日

 今日の天気は晴れ。

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 しかしその内容は日記とはあまり思えない、嫌々書いたのがよく分かる適当な内容が連なっている。とはいえ私も日記を書けと言われたら、これと同レベルの記載しかしなかったかもしれない。そんなことを考えながら、似たり寄ったりの内容が続く日記のページを暫く捲り続けていると、突然長い文章の日記が現れる。

 

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 △月□日

 暇潰しでネットを見てたら裸の女性の画像が沢山あるブログを見つけた。自分の股を触って顔を赤らめているその画像にビックリしてすぐに閉じたけれど、何故か悶々とした気分になった。

 寝る時間になっても気分が落ち着かなかったから真似して服を脱いでマンコを触ってみた。触っても痛くてすぐにやめた。だけどお風呂でもトイレでもないのに服を着てない自分の姿を見てると、なんだか変な気分が強まった。

 

 △月☆日

 一人でいる時は服を着ずに過ごしてみた。無性に落ち着かなくなってまたネットであのブログを見た。どんどん悶々した気分が強まって色々調べてみたらオナニーっていうのを知った。

 やり方が載ってたから試した。最初は上手くやれなくて苦労したけど、気持ちよくなる場所が分かったらうまく出来るようになった。ずっと続けてたら一瞬だけすごく気持ちいい気分になれた。またやりたい。

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「……っ」

 スールという少女の日記は途中からいやらしい内容へと変貌していた。思わず私は鼻息を荒く鳴らせながら内容を凝視し、どんどんページを捲っていく。

 

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 ■月〇▽日

 今日は裸のまま、自分の部屋から廊下に出てみた。扉の前に立つだけですぐに戻ったけれど、心臓がバクバクして暫く収まらなかった。夜だったからグループの人はいないしお母さんも寝てたと思うけど、もし見つかったらって思うと頭の中でエッチな想像がいっぱい出て来た。これ好きかも。

 

 ■月〇◎日

 今日は昨日よりも部屋から離れた場所まで行ってみた。少し怖かったから裸の上から直接ワンピースを着たまま移動して、エレベーターホールでワンピースを脱いだ。怪しまれないように靴下と靴を履いて行ったけど、ワンピースを脱いだ後だと裸に靴下と靴だけの格好になって物凄くエッチな気分になった。思わずオナニーしたくなったけど誰かが来た時に逃げられなくなると思ってすぐにワンピースを着て帰った。

 

 ■月〇▼日

 部屋でオナニーしても気分が収まらなくて、またエレベーターホールまで行った。今度はワンピースも着ずに裸に靴下だけ履いた格好で部屋から出て向かった。すごく怖くて涙も出て来たけど、その分物凄く興奮した。エレベーターホールで座り込んでオナニーをやったけど、緊張で指が震えて上手く出来なかった。結局絶頂出来ずに帰ったけど、今度は絶頂したい。

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「~っ……♡!」

 私は腿を擦り合わせて自分の股間に刺激を与えながら読み耽る。ティオや店員たちも語っていたが、スールという少女は私並みに淫乱であるらしい。

 

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 ■月●▲日

 今日はネットショップで買った手錠と首輪が届いた。予想通りお母さんに中身を見せろと言われたけど、ダミーとして一緒に買った服を箱から見せて上手く誤魔化せた。ネットで見た拘束プレイを真似して、私も身に着けてみたら物凄く興奮した。まるで性奴隷になったみたいでたまらなくて、前に買ったディルドの上で夢中になりながら腰を上下させた。気持ち良すぎておかしくなりそうだった。

 

 ■月●×日

 今日は夜のビル内を下見した。警備員は二時間ごとに各フロアを巡回するから、巡回が終わったタイミングで降りれば少なくとも一時間強は安全。エレベーターには監視カメラがあるけど階段は使えるのが分かった。売り場の監視カメラの場所も確認したから安全なルートも分かった。明日は早速、一番監視カメラが少ない4階のシネマホールで自縛野外露出をやりたい。

 

 ■月●△日

 今日、自縛野外露出に挑戦した。全裸にサイハイソックスとローファーだけ履いた格好で首輪と手錠を掛けて向かった。ドキドキが収まらないまま長い長い階段を降りて、シネマホールに行った。日中は映画を見る人で沢山の場所で変態な格好をしてると興奮して発情した。乳首もクリトリスもビンビンになって、時間も忘れて角オナに耽った。絶頂した後慌てて帰って来たけど、危険な分凄く気持ち良かった。明日は地下のゲームコーナーかな。

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「んうっ……♡!」

 椅子をガタガタ鳴らせながら身を捩る私。日記を読んでいるだけで私まで発情してしまい、子宮が激しくキュンキュンしていた。

 胸を高鳴らせて次のページを捲る……が。

(あ、あれ?)

 そこには、私が期待した露出体験談日記は綴られておらず、白紙のページであった。我に返って露出をやめてしまったのだろうか?

 

 

(それとも……日記を書けなくなった?)

 

 

 再び思い出す、ティオや店員たちの発言。彼女らはスールが露出狂の変態であることを把握していた。それはつまり……。

 

(……そうか。この次の日に、見つかっちゃったんだ)

 

 予想ではあるが、スールという少女はティオ達に厳しく叱責された上にその時から、ほぼ裸に手錠や首輪を掛けたままの姿で生活することを強制されたのだろう……私が受けたティオからの罰と同じように。それでもスールはどんどん淫乱になるばかりで、変態行為をやめようとしなかったことで拘束も解いて貰えなかったのかも。

 

(それで誕生日に、ポケモンの世話を通じて自分の世界に浸る事から卒業するのを期待されてメッソンを与えられたけど、その数日後に家出……)

 

 私は椅子から立ち上がると部屋の中を探り始める。スールが買い込んだだろう大人の玩具やエッチな動画のディスク、エロフィギュアもどんどん出てくる。その立場故にお小遣いはたくさん貰っていたらしく、少し羨ましく感じる。しかしティオにバレて以降はその変態性を従業員や客に晒す事になってしまった……転落人生とはこのことだろうか。

(……まあ私も自縛野外露出した初日に見つかって、元の世界に帰れなくなった身だけど……)

 

 そんなことを考えながら視線を動かすと、ベッドの上や周りにたくさん置かれたポケモンのぬいぐるみが視界に映る。ピカチュウやイーブイといった人気の高いぬいぐるみからアサナンやヤミカラスのようなマイナーなものまで。この部屋に閉じ込められた時にもぬいぐるみの存在には気付いたものの、よく見てみると大小様々なぬいぐるみが所狭しと置かれていた。

(……こんなに沢山のポケモンのぬいぐるみに囲まれて……もしかしてポケモンが好きだったのかな)

 私自身はポケモンを模した製品には時折触れていてもポケモンそのものは苦手だったが、スールという少女が所持するこのぬいぐるみの山を見るとそんな考えが頭に浮かんできた。

 

 そしてそんなぬいぐるみに押し潰されるように板状の機器……スマホが落ちている事にも気付く。もしかしたら何か情報が隠されていないかと私は起動させてみる。ロックが掛かっていないことに不用心さを感じたが、持ち主も手錠を掛けた姿で毎回ロック解除操作を行うのが億劫に感じたのかもしれない。

 幻覚の中だからかネットや地図はまともに機能しなかったが、スマホ内に保存されたデータを確認することは出来そうだ。額で必死に操作しながらフォルダを開くと画面に画像の一覧が表示される。

 

「……っ」

 

 私の目に付いたのは最新の画像。

 そこには青色の小さなポケモン……メッソンの姿が映っていた。そして彼が不思議そうな顔をして持ち上げようとしているのは棒状の物体。私もよく知っている大人の玩具、電マだった。もしかしてスールは親から与えられたポケモンに対して性具の使い方を教えていたのだろうか? 両手が使えない自分の代わりに、玩具を使って刺激を与えて欲しくて……。

 

 

 

(じゃあインテレオンが人間の女の子の身体について詳しかったのは……エッチな事への知識や技術が豊富だったのは……)

 

 

 

 私は勢いよく自らの頭をベッドの上に叩きつける!

 

(違うってば!! インテレオンと、このメッソンは別ポケモンなの!! どうしてロクでもない事ばっかり考えちゃうの……!?)

 柔らかいベッドとはいえ勢いの強さで痛みが走る中、私は幻覚が言っているだけの妄言を信じ込みそうになっている自分を責めた。マイナス方向の妄想を広げて自分で自分を追い込むなんてあまりにも愚かすぎる。それに私にあれだけ良くしてくれるインテレオンを疑っていることにもなり失礼極まりない。

(……早く会いたいよ、インテレオン…。早くこの幻覚から脱出したいよ……)

 私はベッドに頭を埋めながら腰を揺らす。スールの日記を読んで気分が高揚したからか、神経を通して刺激を受け取った私の脳が快楽物質を放出した。

「んおっ……おぉー……♡」

 他人のベッドの匂いを嗅ぎながら腰の動きを早めるとクリトリスの根本もリングで擦られ、幸せの涎がボールギャグの隙間から流れ出て行く。

 

(もっとぉ……もっと刺激欲しいぃ……)

 恍惚とした表情を浮かべて立ち上がった私は先程見つけたスールの性具へと歩み寄った。沢山ある大人の玩具の中から私は一際目立つイボ付きディルドに目を留める。

 

 記載されている商品名は『ナマコブシマシン』であり、確かにナマコブシを模したカラーリングをしていた。

「……っ♡」

 ゴクリと生唾を飲みこみ、私はイボ付きディルドの先端に割れ目をあてがう。それだけで微弱な刺激が血流の如く全身を駆け巡り私は身を跳ねらせた。きっと何十回もこの玩具を使ってスールという少女はよがって身をくねらせていたのだろう。

「んぐっ……♡」

 腰を下ろすとディルドが膣内に入り込むと共に、イボのような突起が私の膣壁にめり込みながら刺激を与えてくる。複数のイボで膣壁を擦られながらどんどん奥まで入ってくるディルドにより与えられる快楽で私は身を痙攣させた。

(き……気持ちいい……っ! 他人の玩具、気持ちいい……っ!!)

 他人の部屋で裸になり、勝手に他人の玩具を使いオナニーをする罪悪感でより興奮しながら、私は『ナマコブシマシン』を更に膣へ突っ込む。しかし短いタイプなのか、先端が子宮口までは届かない……このままピストン運動させて絶頂しようと考えたその時だった。

 

 ディルドの先端から何かが伸び、私の子宮口を強く叩く!!

 

「ふぎゅううっ♡♡!!??」

 まるでナマコブシの特性『とびだすなかみ』の如く子宮口をゴンゴン叩かれて私は刺激の強さに耐えられず仰向けに倒れてしまう。しかし『ナマコブシマシン』は私の膣内にあるバイブによって震え始めており、イボで膣壁が小刻みに擦られており快楽から逃れられない。

「んぐぐっ! んうううっ♡!!」

 本能により勝手に持ち上がった腰が更なる快感を貪ろうと上下左右にヘコヘコ動き出し、私はボールギャグ越しに絶叫を上げる。涙も汗も止まらない。

(もう……ダメぇ!!)

 

 トドメと言わんばかりにディルドから飛び出た突起が私の子宮口を攻撃!

 

 

「んぐっふぅぅぅぅ♡♡♡!!!」

 

 

 三度目の絶頂で体力が尽き、膣液を何度も噴出させながら私は横倒しになるのだった。

 

 

 

 それでも……幻覚は解けない。

 この部屋に閉じ込められたまま、脱出できない。

(……た、たす、けて……)

 

 

 泣きながら身を震わせる私。

 きっとこの部屋の主、スールもティオに閉じ込められて同じ気持ちだったのだろうか。いくら泣き叫んでも謝っても、自らの性欲を制御できない限り出して貰えず、苦しかったのだろうか。

 

 そしてスールはメッソンと出会って、彼の助力もあって自由を得たのだろうか。

 

 

 

 じゃあ、メッソンはどうしてスールを助けたのだろう。

 どうしてスールを更生させて欲しいというティオの期待を裏切ったのだろう。

 どうして、ただただ自分の欲望を解消するだけのスールを肯定して、家出に助力したのだろう。

 

 

 

 メッソンは『ありのままのスール』の傍にいたかったのだろうか。

 ティオ達の価値観が社会的には正しいとはいえ、『スールらしい心』を歪めたくなかったのだろうか。

 

 曲がりなりにも自分のトレーナーであるスールと、心から繋がりたかったのだろうか。

 

 

 

『僕は…本来のトレーナーの代わりとして君を利用していたんだよ…自分の寂しさを紛らわせるために』

 

 

 

 脳裏をよぎるのは、以前インテレオンが吐露した言葉。

 

(……どうして私、インテレオンと繋げちゃうの……?)

 何度もこれは幻覚だって、現実とは違うって心の中で言ってるのに。どうしてもあのメッソンとインテレオンが重なってしまう。彼が共に旅したというトレーナーというのはスールなのではと考えてしまう。

 

 

(……インテレオン、お願い……違うって言って。別ポケモンだって言って……!)

 

 

 孤独を救ってくれた上に、淫乱な私を受け入れてくれたインテレオンには、既に孤独でかつ淫乱なパートナーがいたなんて、思いたくない。私を悦ばせてくれたのは全部スールとそういう経験をしたからだったなんて、受け入れたくない。

 

 

 

 ゴンゴン!

 

「……?」

 扉を乱暴に叩く音。ティオだろうか、それとも彼女のデスカーンやサーフゴーだろうか?

 何も期待できずにぐったりしたままでいると、再び扉を叩く音が聞こえてくる。

 

 

 

「ルーア! ここですか!?」

 

 

 

 この声は……。

(オーマ……?)

 

「……ん、んぐうっ……!」

「ここですね……!?」

 力を振り絞って声を上げるとオーマも気付いてくれたらしく、返事が返って来た。

「……あ、開かないです」

「んぐぐっ、むぐぐっ!」

 ドアノブを何度も動かすオーマに対し、私は鍵を掛けられていることを伝えようとするがボールギャグで言葉を発すことが出来ない……。

 

 その時、周囲の光景がぐらりと歪んだ。

 

「んぐっ……!?」

「いけない、また闇が来る……!」

 扉の向こうでオーマが焦った様子で声を上げる。しかし部屋に閉じ込められた私では、廊下で何が起こっているのかさっぱり分からない。

「やめて下さい! 追い出さないで!」

「むぐう……!」

 遠ざかっていくオーマの声に私は慌てて扉の前まで歩み寄るが、既に彼女の気配は無くなってしまっていた。彼女の安否を確認しようにも扉を開くことは叶わず、私は絶望で倒れそうになる。

(オーマが私を助けようとして危険な目に遭ってる……どうしたらいいんだろ……)

 

 どうにかしてこの部屋から出られれば……。

 

 

 

(……スールはどうやってここから出たの? ヒントがあるんじゃ?)

 

 倒れそうなところを踏ん張って耐えた私は学習机にある日記帳を再び捲り始める。白紙のページが続くが、それでも私は諦めない。これほどまでによれたりページが折れたりしているのはきっと……スールが今の私のように、手が使えないまま必死に使おうとしていたから……!

 

 そして見つける。ペンを咥えて必死に書いたと思われる酷く汚い文字を。

 

**********************************************************

 決行日 ☆月●◇日の23時、巡回が済んだタイミング

 デスカーンかサーフゴーが飲み水を運んでくるため、事前に確保していた金のコインで気を引きその間に部屋から脱出。

 メーくんに透明化能力で追っ手を引きつけて貰い、各売り場で必要そうな道具を拝借。

 二階の窓を開けて川に飛び込む。

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(コインなんて言われても……)

 部屋を再び探し回ってみるが、既に全て持ち出されてしまったのかデスカーン達の気を引けそうなものなど見つからない。

「……!」

 そこで私はベッドに目を向けてある物を見つける。もしかしたらこれを使えば……。

 

 

 

 それからしばらくの後、扉の鍵が開けられる。

「イェイ」

 ティオの指示によるものか、食事や飲み物を持って顔を出すサーフゴー。

 

(えいっ!)

「イェーイ!?」

 

 サーフゴー目掛けて私は後ろ手に持っていたポケモンのぬいぐるみを投げつける! そのぬいぐるみはヤミカラスを模した物だ。ヤミカラスは光り物を集めようとする習性を持つあくタイプのポケモン。そしてサーフゴーは輝くコインで出来た身体を持つゴーストタイプのポケモン。私の目論見通りサーフゴーは目を丸くしてひっくり返ってしまい、床にぶつかった拍子で無数のコインに分裂。

「んむぐっ……!」

 その隙に私は開けられた扉から飛び出し、廊下を走り抜ける。スールやティオが暮らすオーナー管理エリアを抜けて『煌めき太陽グループ』のオフィスエリアへ。

 

「うわっ!」

「あれってオーナーが言ってたルーアじゃ……」

「きゃあ変態!」

 グループの役員や従業員たちの視線が集まる中、裸の私は必死に走る。スーツ姿の大人が沢山いるオフィスの廊下を、ほぼ全裸に手錠と首輪とボールギャグで拘束されたまま走り抜けるなんて恥ずかしくて苦しい。逃げる事に集中しないといけないのに股間から愛液が大量に垂れ落ちてしまう。

 目的地はスールの日記にも記載があったエレベーターホール。狼狽える従業員たちを尻目に私はエレベーターに乗り込む……が。

 

「……っ!!」

「デェス……」

 影の手をまるで虫の如く動かしながらやってくるデスカーンの姿が見えた。騒ぎを聞きつけて私を捕獲しにやって来たのだろう。

 

 私は怯みかけるものの、オーマの顔を思い浮かべながら顔で一階のボタンを押した。

 

 しかし、閉まっていく扉に影の手が差し込まれ私を掴んでくる! このままでは安全装置で扉が再び開き、デスカーンの手でエレベーターから引っ張り出されてしまうと、私は激しく身を捩って彼の手を振り解いた。けれどもデスカーンの手が未だにエレベーターまで伸びている状態でエレベーターの扉が閉まる。

 

「ディス……っ!!」

 

 だがデスカーンは焦ったように影の手を引っ込めてしまい、エレベーターは安全装置を働かせることなく下階に向けて動き出した。どうやらゴーストタイプであるデスカーンの腕が影のような性質を持っていたために扉のセンサーが反応しなかったらしい。

 

「……っ、ふーっ、ふーっ……」

 ギリギリのピンチを切り抜けられ、今になって涙が目に浮かぶがまだゴールではない。一階に降りた後オーマを探さなくてはならない。『追い出さないで』と彼女が言っていたため、『未踏摩天楼』に閉じ込められる私と違って彼女はここから何度も入り口前まで放り出されている筈なのだから。

 

 そして速度を落としていくエレベーター。ついに一階へ到着したようだ。

 

 

 

(あれ……四階?)

 

 

 

 電光表示を見て呆然とする私の前で開く扉。目の前に広がるバックヤードに立っていたのは冷たい視線を向けてくるティオと、彼女の部下である『煌めき太陽ビル』の従業員たちであった。

 

「部屋に戻って貰うよ?」

「……っ!!」

 私は咄嗟に姿勢を屈めてティオの手を回避し、身を屈めたまま従業員たちの間を走り抜ける。

 

「こら、待て!」

「足元をちょこまかと……」

「コダック頼むよ、『かなしばり』!」

「ぐわわ!」

 狼狽える警備員たちとは対照的に、衣料品・服飾品売り場にいた店員が相棒のコダックに指示を出した。

 

「げげっ、動けない!」

「ぐわ!?」

 しかし私は周りの従業員たちの間を縫うように走っていたために、コダックの狙いは外れて関係ない従業員に『かなしばり』が命中する。

 

 その間に包囲網から脱出した私は逃げ道を探して走り出すものの、後ろからティオのニャースが追ってくる。身軽な彼女は凄まじい速度で疾駆し、手錠のせいで走りが遅い私へと用意に肉薄。

「ニャニャー!」

(このままじゃ……わっ!?)

 そして更に運の悪い事に脚が縺れてしまい、私は盛大に転んでしまう! このままニャースに押さえつけられて捕まってしまうのか……と私は目の前が真っ暗になる感覚に襲われ……。

 

「フニャーッ!?」

 

 しかし悲鳴を上げたのはニャース。見ると彼女の額にある小判に何か液体がついており、ニャースはそれを落とそうと必死になっている。

「……うぐ♡ うむぅぅっ!」

 転んだ拍子に私の膣液が飛び散ってしまい、ニャースにかかってしまったようだ。

 

「ミルタンク! 『のしかかり』よ!」

「うもーっ!」

(……へ)

 だが、私に影を落とすのはピンク色をした大きなお尻。

 

 ドスン!

 

 危険を察知した私は地面を蹴って床を転がり、その直後ミルタンクのヒップドロップが床に炸裂する。もし気付けなかったら押し潰されていただろうと私は顔を青くさせた。

「ちょっと! 床が陥没してるんですけど!?」

「ももっ!?」

「ルーアを捕まえる為じゃない、つべこべ言わないの!」

 言い争いを始める店員たちの横で私は急いで立ち上がり、バックヤードから脱出!

 

「えっ、なになに!?」

「何かのイベントかのう?」

「ガウガウ!?」

 出た先はシネマホールのチケット売り場であった。様々な映画のポスターやポップコーンの香り、ホール内に流れる音楽、そして映画を楽しみにやってきた客達が映画館の独特な雰囲気を創り出していたが、変態露出狂の私の存在がそれらを全て台無しにしている。

 恥ずかしさで脚が止まりそうになるが、間もなくバックヤードからティオ達が追ってくることを危惧し、私は顔を紅潮させたまま走り出した!

 

 とにかく下に降りなければならないためエスカレーターを目指すものの、シネマホールの出口に何者かが立ち塞がる。

「ロト!」

「無駄な抵抗はやめたまえ」

 

 電光の如く私の前に回り込んだのはロトムだ。そして私の後ろには電化製品売り場で『全自動躾機・女の子用』の紹介をするように命令して来た店員もやって来る。

 帯電し始めるロトム、いつでも私を捕縛できるよう構える店員……早く動かなければティオ達も追いついてくる。どっちに動けば……!

 

 

 

「ルーアっ……!」

 

「!!」

 オーマがエスカレーターを駆けあがって現れる。『未踏摩天楼』から追い出されたばかりなのに、諦めずに私を助けに来たのか。

 

 同時にロトムや店員、それどころか周囲の光景が一瞬だけ歪み、本来の濃密な闇が微かに見えた。

 

「……ッ!」

 声ではなくノイズのような音を鳴らしながらオーマに襲い掛かるロトムと店員。それをオーマは必死に回避するが、今の彼女は戦闘能力を持っていない為反撃は出来ない様子だ。

「……ッ」

 更にやってくるのは『あいすすカフェ』で私に仕事の指示を出した店員とモスノウのコンビ。しかしどちらも姿が時折闇の塊へ変化している……私を包む幻覚が解けかけている影響だろう。

 モスノウ達までオーマの捕獲に参戦したために、流石に彼女も対処しきれず掴みかかられてしまう!

 

(……ダメッ!!)

 

 私はオーマを掴む闇の手に体当たりを仕掛けるが、殆ど相手には通用しておらず逆に私まで捕らえられてしまった。それでも……。

 

「……つ、掴みました……!」

 オーマもまた、その灰色の手で私の二の腕をしっかり握っていた。

 

 

 

 それにより、私を苛めていた幻覚が遂に効力を失った。

 

 煌びやかなシネマホールは、面影を残しながらも長い年月に晒され朽ちた薄暗い空間へ。

 店員、ポケモン、客といった存在は全て濃密な闇へ。

 

「んぐぐぐっ……! んぐうっ!」

 無数の闇の手は私とオーマを引き離さんと、強く引っ張って来るが私は全力で身を捩って抵抗を諦めない。暴れるのを止めない私に対し、四方八方から集まって来る闇の手。脚を、髪を、首を掴まれ……。

 

 そして、その内の一つが私の後頭部に回っているボールギャグのベルトを掴んだ。闇の手は勢いのままそれを引っ張り、ロックが外れ……。

 

 

 

 

 

 

 

『お願いやめて……。それ以上、無理をしないで……。あなたが壊れてしまう……!』

 

 

 

 

 

 

 

「ぶはっ!」

 私の口がボールギャグから解放された。『オータムビレッジ』の時のようにボールギャグは紫色の光となって消える中、私は大きく息を吸い込む。

 

「オーマぁ!! この闇を消すために、私を絶頂させてぇ!!」

「!?」

 

 こんな状況なのに何を口走っているのかと言いたそうに目を白黒させるオーマ。しかし、それでも私を信じてくれたのか彼女は闇の中に引きずり込まれていく私を追う様に、闇を掻き分けながら潜り込んでくる。

 

「こう、ですか!?」

「はうんっ♡!!」

 ヒバニー達がやっていたことを真似るかの如く、少女は私の乳首を摘まみ上げた!

 

 迸る快楽。それに呼応し青い光が周りの闇から放たれ、濃密な闇が僅かに薄まっていく。

 

 

「……っ!?」

 

 そして身体の内に生まれる違和感。最近リライブをする度に感じる感触だけど、今までより更に苦しい。

(けれど、この闇は全部消さないと……!!)

 

「う、ぐ……も、もっと! もっとぉ♡!!」

「……は、はい!」

 泣き叫ぶ私に気圧されたのか、オーマは更に闇の中へ潜り込んで私の股間にも指を沿わせる。

 

「が……あ、あっ……♡」

 脳天まで突き抜ける快楽。胸の奥底までに圧し掛かるような違和感。その双方に襲われて私の視界が明滅する。

「……る、ルーア……?」

 私の異変に気付いたのか、オーマが顔を青ざめさせて手を止めた。

 

「止めないでえぇ! は、早くイカ……せてぇ♡!!」

「えっ、はい!」

 中途半端に刺激を与えられた状態の私が怒鳴り声を上げると、オーマは慌てて再び手マンを再開。それにより快楽が私に流れ込むが、同時に"違和感がどんどん胸の奥で蓄積されるような感覚"になり、気持ちいい筈なのに苦しさで顔が歪んでしまう。

 

「あ……ああ、あっ……♡」

 黒ばかりが支配していた世界を青い光が照らしていく。リライブのように、闇が消えていく。

 

 

 

『凶暴化から解放されると同時に、バタフリー達の体内にあった『ダンジョンのエネルギー』が抜けて行ったよ』

『……サニーゴの体内にある悪いダンジョンエネルギーは取り出せたけど……そのまま私に流れ込んで来たんだよ』

 

 『椰子の木ビーチ』および『巨大珊瑚礁』でランクルスが語っていた言葉が脳裏をよぎる。

 凶暴化ポケモンをリライブした際に、悪いダンジョンエネルギーは空気中に抜けているのではと彼女は予想していた。

 

 

 

(じゃあ、この『未踏摩天楼』にある濃密な闇は……今、青い光と共にどこに行ってるの?)

 

 『未踏摩天楼』だけではない。『追放の遺跡』も同じだし、『無獣島』では凝縮された闇が私目掛けてまっすぐ飛んで来ていた、まるで"私の中に入って来るかのよう"に。それに巨大化したダンジョンに生まれる黒い繭や、スピアーやチルタリスを包んでいた黒装だって……私の力で消え、どこへ向かう?

 

 

 

(なんで……闇が青い光を放って消えていく度に……私の身体の中に……違和感が溜まっていくの?)

 

 

 

「あっ……ああっ……♡♡」

 激しい喘ぎ声を上げる私は、気持ちよさと自分の向かう先の恐怖で身体が震えだす。快楽と恐怖で涙が溢れ出る。絶頂が……絶望が……近づいてくる……!!

 

 

 

「あああああああああっっっ♡♡♡!!!!!」

 

 私は絶叫と共に限界を迎え重々しい力が激しい勢いで体内に流れ込んでくる感覚の中、意識を遠のかせながら倒れていった。

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