※この作品はR-18です。

裸の少女とポケモンだけが住む世界   作:Momyaka

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Chapter52 ~戦塵、吹き荒ぶ 後編~

 『颶風の砂漠』でメガガブリアスと対峙していた時、私達の背後から響いた轟音。砂煙から現れたのは黒い体表に紫のラインを走らせる存在だった。

 

「……っ、テツノワダチ!!」

 

 以前インテレオンの作戦でどうにか退けた相手が、なんと再び私達……いや、私を狙って襲撃しに来たのだ!

「嘘だろ!? メガガブリアスだってこっちに来るのに!」

「いけない、あの紫の波紋をまた広げられたらあたしとヒバニーは……!」

 焦り始めるヒバニー達は前後を見て冷静さを失ってしまっていた。

 

「……ギュイィィィン!!」

 

 彼らの危惧に答えるかの如く、黒装モンスターは機械の駆動音のような鳴き声を上げ紫色に光る波紋を広げた!

 

 

 

「……っ!!」

 そうはさせないとばかりに、オーマが動く。

 

 彼女は痛みに苦しみながらもヒバニーとチコリータに触れ、再び二匹を取り込んだ!

 

「……ビ」

 不快そうな電子音を漏らすテツノワダチ。その前ではヒバニーとチコリータが黒い体で立ち塞がっていた。

 

「助かるぜオーマ……『ニトロチャージ』!」

「ビ……ッ」

 ヒバニーは私達を守る為、テツノワダチ目掛けて黒炎の突進を放つ!

「ひぃ、ひぃ……」

 その背中へはオーマの腕が連結されており、彼女は痛みに耐えながらも自分の友達を黒装モンスターの術から守護したのだ。

「ブォン!!」

 テツノワダチはヒバニー達を味方に出来ないと見るや、『ヘビーボンバー』で薙ぎ倒そうとして来る。

「させない、『リフレクター』!」

 その重量に任せた強烈な一撃をチコリータは黒色の壁で防いでみせた。

「凄い! 凄いよ二匹とも! 黒装モンスターと渡り合えてる!」

「……」

 その光景を見て喜ぶアシマリだが、隣に立つジャラランガは固い表情を崩そうとしない。

 

「シャアァァ……!!」

 

 その理由は明白。

 黒装のメガガブリアスが砂嵐の中から遂に出てきたからだ。彼女は紫色に光る双眸で私達を見下ろし、両手の鎌をゆっくりと上げる。

 

「ッッッ!!」

 

 巨体であるのにメガガブリアスは楽々ジャンプし、その勢いのまま鎌を私達目掛けて振り下ろした!

「がはあっ!?」

 私やアシマリ達を守るように立ち塞がったジャラランガに巨大な『ドラゴンクロー』が命中……!

「ジャラ……うわっ!?」

 その直後、激しいドラゴンエネルギーが嵐の如く周囲に迸った。続けて私達に襲いかかるのは謎の脱力感……メガガブリアスの技の効果なのだろうか。

「なんだ、力が入らねえ……!」

 その脱力感は私達だけではなく、テツノワダチと戦っているヒバニー達にも影響を与えているらしい。『ニトロチャージ』で体当たりをしても先程ほどのダメージを黒装モンスターに与えられていない!

 

「………ギギ…!」

 

 劣勢に立たされる私達を前にメガガブリアスは追い打ちとばかりに再び跳躍。

 

「ギシィアァァァ!!!」

 彼女が着地と同時に放ったのはじめんタイプの強力な技、『じしん』だった。

 メガガブリアスを中心に衝撃波が走り、そのあまりの威力に大部屋の砂丘の形が変化していきまるでクレーターのような砂の大地が形成される。

 

「あっ……!」

「ひぎゃっ!」

「うぐっ……!」

 大地を走る衝撃波を食らった私もアシマリもオーマも高く打ち上げられ、そのまま地面に打ち付けられた。

「やべえ、また戻っちまった!」

「大丈夫みんな!?」

 オーマが再びダメージを受けた事でヒバニーとチコリータも元の姿に戻ってしまい、倒れたまま呻くオーマ達に焦った様子で駆け寄る。

 

「ビビ……! ウィィィィン!」

 同じく『じしん』を受けたテツノワダチは一瞬メガガブリアスを睨みつけるが、すぐに私へと視線を戻すとこのチャンスを逃すものかと近付いてきた。

「くそっ、やらせるか!」

「ウィィィン……!」

 ヒバニーはそれを妨害しようとするが、黒装モンスターはラインを光らせ始めて紫の波紋を放つ態勢に入る。

「く、くぅ……逃げてみんな……!」

 それを見て辛そうにチコリータが叫ぶが私もオーマも、アシマリもジャラランガも動くことが出来ない。

 

―――ヒバニー達がまた操られて、誰も守ってくれないまま黒装モンスターに悪いダンジョンエネルギーを流し込まれて……私、完全に暴走しちゃうのかな……。

 

 絶望が脳内を支配し、私は情けなく腰を揺らしながら涙を零す。

 

 

 

 

 

「『アクアブレイク』ッ!!」

「ビビッ!?」

 

 水を纏った翼のエッジによる叩きつけを食らい、テツノワダチは予期せぬ襲撃にたまらず横転した。

 

 

 

(……な、なんで彼女達がここに?)

 

 私は苦痛の中、黒装モンスターを攻撃したポケモン達の姿を見上げる。

 

 

 

「大丈夫か? 力を貸すという約束を果たしに来た」

 青空と太陽の下、見下ろしてきているのはなんと『サマーリゾート』にいる筈の『ロイヤルズ』のリーダー、エンペルトであった。

 

 

 

「洒落ならん状況やな」

「『ロイヤルズ』の名の下、救援に入ります!」

 メンバーであるキングラーとアマージョもおり、テツノワダチへと相対する。

「倒そうなどとは考えるなよ、黒装モンスターはゴールドランクの『エキサイト』や『ナイトスター』を下すほどの相手だ」

「心得えています!」

 アマージョは再び紫の波紋を巻き起こそうとした黒装モンスターの脳天に『トロピカルキック』を見舞い術を阻止した。

 

「ギシャァァァァ!!」

 だが後ろでは再びメガガブリアスが『じしん』を繰り出す! ダンジョンの地形を変えてしまう程の衝撃波が私達へ迫り……。

 

「『ワイドガード』や!」

 キングラーが防御技で私達を守った!

「た、助かるぜ! ほらオーマ、アシマリ……しっかりしてくれ!」

 急な援軍にポカンとしていたヒバニーだったが、慌てて我に戻ると『オレンのみ』を持って仲間達の下へ向かう。

(わ、私も……起きなきゃ……)

 身体の中に溜まった違和感による苦しみと、攻撃を受け続けた痛み、そしてそれらを抑えようとどんどん強くなる性欲でおかしくなってしまいそうなのは事実。しかしここで暴走などしてメガガブリアスを元に戻せないなどとなったら『颶風の砂漠』の巨大化も止められずインテレオンまで危険に晒してしまうのだ。

「……っ」

 しかし、そんな私を見上げてオーマは表情を固くする。

 

「ビ……ビビ……ビィィィィ!」

 再び『じしん』を受けたテツノワダチは流石に堪忍袋の緒が切れた様子でエラー音のような激しい鳴き声を上げ、私達ではなくメガガブリアスへと疾駆した!

「ウィィン!!」

「ギィィィ……!」

 球体に変形し飛び上がったテツノワダチは『10まんばりき』をメガガブリアスの腹部に叩き込み、大きく仰け反らせる。

「あの二匹、元々仲間じゃないでしょうけどチャンスだわ」

「ああ、今のうちに態勢を立て直そう」

「感謝する……」

 黒装に包まれたポケモン同士の争いを見上げながらエンペルトは『プチふっかつのタネ』をジャラランガに与えて回復させていた。

(私、は……)

 

 

 

「……」

「……?」

 何者かが無言で私の背中に擦り寄る。柔らかくすべすべした肌の感触と共に、少しずつ体の中の違和感が減っていく。

 一体どういうことだろうと振り返るとそこには……。

 

 

「……メーくんのお願いだから。あなたのためじゃない」

 スールが嫌そうな顔をしながらも私の身体にぴっとりとくっついて来ていた。

 

「インテレオンはん、いつの間にここに!?」

「僕としてはキミ達『ロイヤルズ』がいる事に驚きだけど話は後だ。あの巨大な黒装モンスターをどうにかしなきゃいけないんだね?」

 そしてインテレオンもこの場所に現れている。オーマが『おたすけだま』を発動し彼らを再度呼び寄せたのだ。

 

「……私が、また暴走しかけたせいで」

「キミに責任はないんだ。だけどそのままスールと一緒にいてくれ、限界ギリギリだったんだから」

 少し余裕が生まれたため声を出せた私に対し、インテレオンは申し訳なさそうな表情を一瞬だけ向けて言う。

「さあ、それでどうしましょう。いつ黒装モンスターが結託してあたし達を狙って来るか分かりません」

「……切り札を使う時が来たか」

 巨大過ぎるメガガブリアスを見上げてため息をつくアマージョに対しジャラランガが独白するように答えた。

 

 

「テールナー、チャオブー! 今こそ反撃の時だ!!」

 

 ジャラランガは天まで轟く大音量で叫ぶ!

 

 

 すると大部屋と繋がる通路から何かが飛んでくる……あれは。

「やああああっ!」

 異様なほどの猛スピードでこちらに向かって来るのはテールナーとチャオブーである。ふしぎだまの一つである『とびつきのたま』による効果で本来なら出しようがないスピードで高速移動を実現しているのだ!

 

「むんっ!」

「よいしょっ」

「あっ! まずいぞっ!」

 壁などの障害物が無いとどこまでも飛んで行ってしまうため、ジャラランガが身を挺して二匹を受け止め無事に停止……しかしチャオブーが持っていた道具を勢い余って手放してしまい、私達の陣形の真ん中にポトリと落ちた。赤い光を放つこの石のような物体は……。

 

「……『ねがいのかたまり』?」

 怪訝そうな表情で呟くのはインテレオンだ。

「ああ、メガガブリアスに対抗するための切り札なんだ。ていうか、インテレオン知ってんのか?」

「ルーアの手首にある装具がまた光り始めてます。おそらく一番最初に触った者が巨大化するかと」

 ヒバニーが不思議そうに首を傾げる横でオーマは私と『ねがいのかたまり』を交互に見て言う。巨大化……つまりこの中の誰かがメガガブリアスと対決をする役目を担う事になるのだ。

 

 

 

「『ダイマックス』か。こっちの世界だとガラル粒子が発生しない場所でも起こり得るんだね」

 

「えっ、だいまっくす? こっちの世界?」

 彼の言葉にアシマリが目を白黒させる。

「……キミ達にはまだ話してなかったね。僕はルーア達と同じで異世界からやって来ているんだ、だからこの『ねがいのかたまり』やキミ達が巨大化と言ってる『ダイマックス』現象についても知ってる」

 インテレオンは驚く周りのポケモン達に手早く説明した。

(そうだ、やっと思い出した……)

 ガラル地方でのみ確認されていると言われている、ポケモンが巨大化する現象『ダイマックス』。私もテレビで見た事はあったがすっかり忘れてしまっていたのだ。メガシンカの原理も元の世界とこちらの世界では異なっていたため、インテレオンの予測通りダイマックスも同様なのだろう……私までダイマックスしてしまったのはあまりにも想定外すぎるが。

 

「……詳しいな。もしやお主がそのダイ……マックス? をするのが一番良いのか?」

「……確かに知識はある、けれど僕は一度もダイマックスした事はないんだ」

 ジャラランガに尋ねられるが、インテレオンは自信なさげに『ねがいのかたまり』を見下ろした。確かに彼はメッソンだった頃からスールに連れられ当ての無い旅をしていたのだ。

 

 

 

「あたしはメーくんを信じるよ」

 

 私の背後からそんな元気な声が聞こえた。勿論その声の主はスールであり、赤い瞳で自分のパートナーであるインテレオンをまっすぐ見つめている。

「元の世界にいた頃から、メーくんはあたし以上の知識で言葉は通じなくてもあたしを助けて導いてくれたもん。物知りなメーくんならダイマックスしても大丈夫だと思ってるよ」

「……スール」

 自らのトレーナーに励まされ、インテレオンは目を見開く。

 

「俺からも頼む! 俺も一回ダイマックスとか言うのやったけど、テンション上がるだけでなんも練習出来てねえんだ!」

「ああ、正直私達も突然巨大化して平静で居られる自信はない。インテレオンさえ良ければ任せたい」

「吾輩達もサポートをする、どうかメガガブリアスを止めてくれぬか」

 ヒバニー、エンペルト、ジャラランガからも同様に推薦され、彼は一度目を閉じ深く呼吸した。チコリータ、アシマリ、キングラー、アマージョ、チャオブー、テールナー、オーマもそんな彼を信頼した様子で頷く。

 

「分かった、僕が出来る事をやらせて貰うよ」

 

 凛々しい表情で開眼したインテレオンは『ねがいのかたまり』を拾い上げた!

「……っ、インテレオン、無理はしないでよ!」

 私はダイマックスバンドと融合した自分の手錠から赤い光が放たれる中、大事な彼に呼びかける。

「ああ! ありがとうルーア!」

 そして『ねがいのかたまり』から放たれた光に包まれながら彼もそう答えてくれた。

 

 

 

 

 

「……シャァァ……?」

 テツノワダチと争っていたメガガブリアスが視線を向ける。

 

 その先にあったのは砂漠に屹立する滝の如く青い柱。

 

 否、それは垂直に立つ尻尾。

 

 上方では渦潮の如く巻いた尻尾が台座となり、本体であるインテレオンが射撃体勢を取っていた。瞬膜が下りているにも拘わらずその奥で彼の瞳が赤く爛々と輝いているのが見え、まるでメガガブリアスの全てを見抜いているかのようだ。

「『キョダイマックス』か……」

 インテレオンはサイズだけではなく尻尾まで変形した自分に驚きながらも、平静を崩さない。

 

「『ダイアイス』!!」

 彼は赤く渦巻く空へ目掛けて、銃のようになった指先から氷弾を発射。私はメガガブリアスを直接狙うのではないのか、と疑問に感じるがすぐに彼の意図を知る事になる。

「ギシャアァァァ!?」

 上空で弾けた氷弾は超巨大な氷塊へと変貌し、メガガブリアスを押し潰すかの如く頭上から襲い掛かった!

 

「な、なんという冷気だ!」

「ダイマックスってこんなに凄いんだ……!」

 メガガブリアスから距離を取っている筈の私達の下にも寒風が押し寄せ、インテレオンの放った『ダイアイス』の凄まじさを実感する。

 更に技の余波により、ここが砂漠であるにも拘らず雪が降り始めた。苦手なこおりタイプ技が直撃した上に気温の低下と雪にまで襲われメガガブリアスは動きを鈍らせる。

 

「ギ……シャァァァァ!!」

 しかし彼女も負けじと高く飛び上がると両手の鎌をインテレオンへと振り下ろし、同時に鎌の先に収束させたドラゴンエネルギーを爆散させた!

「め、メーくん!」

「あかん、ワテらまで力が抜ける!」

 今度は激しいドラゴンエネルギーが嵐の如く周囲に迸る。先程ジャラランガが受けた時と同様に、直接技を受けた訳でもない私達も脱力感に襲われてしまう。

「これは『ダイドラグーン』……! 極限まで巨大化した黒装モンスターは通常の技とダイマックス技を使い分けられるようになるのか……!」

 幸いインテレオンはまだ倒れていないようだが、元から万全ではない彼にあまり負担を背負って欲しくはない……。

 

「『ふぶき』!!」

「ギシャアッ!?」

 雪が降り始めたのをいいことに、エンペルトが周囲の雪や冷気を集めて一気にメガガブリアス目掛けて発射した。それによりメガガブリアスは更に体を冷やされ弱っていく。

「やああっ! 『はっぱカッター』!」

 再びオーマの加護を受けたチコリータが黒い葉の刃を射出し、メガガブリアスの尻尾に走るラインを切り裂いた。それにより尻尾を覆っていた黒装が剥がれ落ちていき、本来の群青色の表皮が露わとなった。

 

「見て下さい、メガガブリアスが少し縮んでいます!」

 スピアーやチルタリスの時と同様にメガガブリアスも黒装を復活させることはなく、その体を縮小させている。この調子で全ての黒装を取り除けば元のサイズに戻るだろう。

 

「ギシャアアア!!」

 怒りのままに再び目の前の巨大な敵へ鎌を振り下ろすメガガブリアスだが、インテレオンは長大な尻尾ごと跳躍し攻撃を回避。

「……『ダイワーム』!!」

 そして尻尾の先端で相手の額に走るラインを突き刺すと同時に濃密な鱗粉を拡散爆破させた。その攻撃でメガガブリアスの黒装は更に剥がれ落ち、頭部も露出させることに成功する。

 

「『サイケこうせん』!」

「破ァ!『スケイルノイズ』!」

 テールナーとジャラランガもインテレオンの援護に入り、メガガブリアスの反撃を鈍らせた。しかし相手もただでは止まらず、今度は牙に電撃を纏わせ始める……インテレオンが苦手なでんきタイプの技『かみなりのキバ』を放つつもりだ!

 

「『レンケイ』行くでアマージョ! 『ワイドガード』!」

「おほほほ! それでは『フラフラダンス』!」

 キングラーとアマージョは声を掛け合うと、それぞれ防御技と妨害技を使い始める。『フラフラダンス』は自分以外を問答無用で混乱させるという危険な技……しかし『ワイドガード』は広範囲に広がる技から味方を守り抜く効果を持つ……つまり『レンケイ』により敵だけを混乱させる効果となったのだ。

 

「ガ……ガギャシャァァ!?」

 頭部の黒装が剥がれ落ちた事により、聴覚も視覚も保護されなくなっていたメガガブリアスは『フラフラダンス』の効果をまともに受けてしまい、あらぬ方向に『かみなりのキバ』を放ち始めた。

 

 

 当然、そんな絶好のチャンスを逃すインテレオンではない。

「……『キョダイソゲキ』!!」

 

 自らの尻尾の上で伏射体勢となった彼は混乱したメガガブリアスの動きを瞬膜で瞬時に計算・分析し、銃の如く伸びる指先から一発の水弾を撃ち込んだ。

 その超高圧縮された水弾はまるで吸い込まれるかのように標的の胸部を走る紫のラインへ着弾。

 

 そして、渇いた砂漠を潤うオアシスにするかの如く大量の水が弾け飛んだ。

 

 頭部と尻尾以外、まだメガガブリアスの体の大部分を覆っていた黒装であったが、『キョダイソゲキ』の威力に耐えられなかったのか一撃で全てが剥がれ落ちていく。メガガブリアス自身も一気に身体を縮小させて本来の大きさに戻ると砂の上に墜落。

 

「う、うううっ……! 私はこの地の支配者だもん、守るんだ!!」

 黒装から解放されたものの、未だに凶暴化しているメガガブリアスは身体が冷却された上にずぶ濡れの状態であるのに、目に付いたポケモン目掛けて激昂したまま疾駆。

 

「……破ァ!!」

 弱っていた彼女へと対峙したジャラランガは渾身の『スケイルノイズ』で苦しみを終わらせてやるのであった。

 

 

 

「……あれ、待ってくれよ。テツノワダチは?」

 これで『颶風の砂漠』そのものの問題は終わり……ではあるが、まだ私達を狙う敵は残っている。

「……いや、逃げたよ」

 インテレオンも高所から探していたようだが、彼の強化された瞬膜でも位置を把握出来ない場所まで行ってしまったようだ。

「流石の黒装モンスターでもあんな怪獣決戦はゴメン思うたんかな?」

「『エキサイト』の話によれば瞬間移動も出来るようですしその力で離脱したんでしょうね」

 緊張から解けた様子で話すポケモン達を横目に私はガブリアスのリライブや辺りに散乱した巨大な黒装の欠片を消すために歩きだす。

 

「待ったルーア。スール、やってくれないかい」

「えっ……?」

「うん、任せてメーくん」

 しかしインテレオンに呼び止められてしまい、代わりにスールがガブリアス達の下へ向かっていった。

「え、その……ど、どうして?」

「……」

 私はインテレオンへと駆け寄って尋ねるが、彼は何も答えない上に上空にいてどんな表情をしているかも見えない。

 

「あ、ルーア! それ以上近づいたら!」

「へ?」

 焦った様子でオーマが声を上げる。何のことかと思うと同時に私の背後から赤い光が輝き出す。

 

「なに!?」

 光はキョダイマックスしたインテレオンの下に向かい、彼を包み込むと元のサイズへと縮小させた。

 

「なるほど、ルーアの力でダイマックスしたポケモンを戻せる訳だな」

「そ、そうだけどまずいぞぉ! 皆、ルーアから離れるんだなぁ!」

 事情を知らない故に感嘆していたエンペルトだが、その横でチャオブーが顔を青ざめさせて注意を促す。

 

 

 

 インテレオンの下から離れた赤い粒子は私の周囲へ集い、今度は私が光に包まれた後に巨大化……ダイマックスしてしまった!

 

 

 

「ふ、ふわぁぁ……!」

「な、なんですか!?」

「またルーアが巨大化しちゃったわ!」

 再び自分の裸体を周囲一帯に晒す羽目になり、私は涙目で身体を震わせる。

「人間がダイマックスするなんて聞いてないぞ!?」

 インテレオンも狼狽した様子で私を見上げて来ている。やはり人間の巨大化など彼の知識には無い異常事態なのだ。

 

 そして巨大化した事によりリライブの効果範囲まで拡大してしまったらしく、ガブリアスから剥がれ落ちた大量の黒装の欠片から青い光が放たれる……。

 

―――また、苦しいのが来る……っ!

 

 それだけではなくガバイトやナックラーなどから剥離させたまま放置していた黒装の欠片も青い光を放ちながら消滅していった。

 

―――スールの力で減った分以上に、溜まってくるぅぅぅ!!

 

「う、あ、ああ……っ!」

 苦しさのあまり、私は目を見開いて赤く渦巻く空を仰いでガクガクと全身を痙攣させる。

「ちょっと待って……『静寂の丘』の時と様子が違ってない?」

「なんだか凄く苦しそうだよ?」

「おーい、どうしたんだルーア!? 回復したいのか!?」

 

 心配して来る『ゆけゆけズ』に応じることも出来ずに私は遂に我慢の限界を……。

 

 

 

「むぎゃあぁぁぁん♡♡!!??」

 

 股間から激しい快楽が迸り、私は歓喜の絶叫を上げた。

 

 何が起きているのか分からず、私は涙でぼやける視界を下げて股を見つめる。見ると私の割れ目に何かが入り込もうとしていた!

 『それ』は私が暴れるのを意に介していない様子でどんどん入りこんでしまい、はみ出た青く長い尻尾がユラユラ揺れている。

 

「め、メーくん! そんな汚らしい場所に入っちゃダメだよ!」

 私の足元で失礼な発言をするスール。ということは、この尻尾はインテレオンのもの……!

「いっ、インテレオンが私の大事なとこに入ってりゅぅぅぅ♡♡」

 涎を垂らしながら身を捩らせピョンピョン跳ねる私は砂漠にブーツの足跡を残していく。

 

「……??」

「えっとだな、今インテレオンがルーアを回復させてるんだよ!」

 私に踏まれないように逃げ回る中、困惑しているエンペルトに対してヒバニーが説明をする。

 

「あーーーっっっ♡♡!!」

 そしてクリトリスにインテレオンがしがみつく刺激に私は嬌声を上げて腰を激しく振るった! それにより雨のように撒き散らされるいやらしい愛液が砂漠へと染み込んでしまう。

「オイラもよく知らないけど回復しないとダイマックスから戻れないらしいんだなぁ」

「回復ですか……確かにこれまで見たことが無いぐらいに喜んでいますね」

 チャオブーとアマージョもみっともなく巨大な裸体を揺らす私を観察しながら話している。

(見られてるぅ! 手錠で抵抗出来ないままオマメ弄られて大喜びしちゃってるエロエロな私、見られてるよぉ!!)

 

 恥ずかしい姿を晒している事に興奮し、私は乳首とクリトリスを勃起させてしまう。クリトリスが膨らめば膨らむほど根本に嵌められたリングが強く擦れ、インテレオンも激しく先端や中腹をいじめて来た!

「ひゅぎゅうっ、いじわるぅぅぅ♡♡!!」

 こんなに大きくなっているのに小さなインテレオンに一方的に弄ばれていることに私は自分の情けなさに涙が止まらない。サイズだけ大きいだけで身体は未成熟だし自分でオナニーできない程に無力だし頭もエッチな事しか考えられない……とんでもない変態の巨大性奴隷少女である。

(も、もうだめぇぇ……!)

 そして私は巨大な身体をピンと伸ばし、快楽を受け入れる態勢となった。

 

 

 

「イクゥゥゥゥゥゥ♡♡♡!!!」

 絶頂すると共に膣液が勢いよく噴き出し、虹を作りながら滝の如く砂漠へと流れ落ちていく。そして爪先立ちしていた私は立つ気力を失い巨大なお尻を砂漠に向けて落とし……。

 その途中で光に包まれ元のサイズに戻るのであった。

 

 

 

「ふひぃ♡ はひぃ♡」

「ふう……良かった」

 笑顔で絶頂の余韻に浸っていた私を見下ろし、びしょ濡れになったインテレオンが安堵のため息をつく。

「メーくん、ばっちいよ! 帰ったら一緒に水浴びしよう!」

 スールが怒り顔で彼に言うが、同時に彼女らの体から光が放たれ始める。『おたすけだま』の効果がそろそろ切れるようだ。

 

「インテレオンくん、巨大化……じゃなくてダイマックスしたルーアを元に戻す方法も知ってたの?」

「……ええと、僕が止めようとしたのはルーアの暴走なんだ」

 アシマリに尋ねられたインテレオンは私の方をチラリと見て答える。

「暴走……まさかそれは、『オータムビレッジ』から逃げる際に見せた状態の事か?」

「ああ。ルーアの様子がおかしいと感じたらオーマが持ってる『おたすけだま』を使ってく……」

 

 ジャラランガの問いに答えていた途中でインテレオンはスールと共に姿を消してしまった……『スプリングタウン』へ帰還したのだ。

 

「テラキオンを道具に変えちゃったって言ってたわね……それも暴走のせいなのね」

「ニンゲンって凄い奴だって無責任に思ってたけど、ルーアも大変な事沢山あんだな。ちゃんと俺達もサポートしようぜ」

「賛成、友達だもんね!」

 『ゆけゆけズ』は私の周りに集まると身体のあちこちを擦りながら話し合う。

 

 

 

「……なるほどな。オーロットの言い分も全て間違いでは無かったのか」

 その後ろで静かに言うのはエンペルトだ。

「オーロットだと? そう言えばお主達、ただの救援だと思っていたが……何のためにここへ来た?」

 ジャラランガは少し警戒心を滲ませてエンペルトを筆頭とする『ロイヤルズ』へ向く。

 

「ま、待ち待ち! 喧嘩しに来たとちゃうわ!」

「あたし達は真実を知るために『サマーリゾート』からここに来たんですよ」

 一触即発……とはならずキングラーとアマージョが敵意を持っていないことを示した。

「『カプ・コケコのギルド』宛に『テラキオンのギルド』から手紙が来てな。『邪悪なる存在ルーアの手でメロエッタ劇団が壊滅しテラキオンも道具に変わった』と。しかしルーア達の世話になった我々は勿論、ギルド長も真実とはとても思っていない。それ故にギルド長補佐でもある私が『オータムビレッジ』へと派遣されたのだ」

 エンペルトは『オータムビレッジ』がある方角を見つめ、わざわざここまで来た理由を語る。

 

「そして『テラキオンのギルド』のギルド長補佐であるオーロットを問い詰めたが『ルーアが悪い』の一点張りで話の進展を得られなかった。ならばここはルーア自身に確認するのが一番だろうと、ダンジョン巨大化が発生している『颶風の砂漠』に来たのだ。ポケモンを救いたいと願うルーアならここにいるだろうと踏んでな」

「見事その予想は正解だった……って訳や!」

 私は身を起こしながらそれを聞いていたが、キングラーのような笑顔にはなれない。私がテラキオンを道具に変えてしまったのは事実なのだから。

 

「テラキオンが道具になったのは暴走のせい……という話だったな。道場主ジャラランガ、後で何があったのか詳しく聞いても良いか?」

「うんむ。『オータムビレッジ』がルーアに行った非道な仕打ち含め、包み隠さず伝えることを約束しよう」

 エンペルトとジャラランガが向かい合って同意……したその時である。

 

 

 

「師匠! 遂におかしくなりやがったのか!?」

「見損なったぞ!」

 一同が咄嗟に視線を向けた先……そこには二匹のポケモンが失望したかのような視線をジャラランガに向けていた。

「ワカシャモ、モウカザル……!」

 彼らとチーム『ヒートソウル』を組んでいるチャオブーは顔を強張らせて呟く。彼ら二匹はメガガブリアスに取り込まれていた筈だが、どうやら剥がれ落ちた黒装を消した際に解放され凶暴化も同時に解けているようだ。

 

「ポケモン達を裏切ってニンゲンの肩を持つなんて、自分で変だって思わねえのか!?」

「あんたの考えは前から分からなかったけどな、非道なんて吐き捨てるんなら流石に俺達も黙ってないぞ!」

 しかしワカシャモ達はダンジョンとは関係ない、自らの正義を否定された怒りから師匠であるジャラランガに対して敵意を露わにしていた。

 

「……」

 その怒りの視線にまっすぐ向き合うジャラランガは逃げも隠れもせず、私やオーマ……そして自分の信念を守るために戦闘の構えを取る。

「や、やめるんだぞ二匹とも! ルーア達にも事情があったんだぞぉ! オイラ達が何も知らずに酷いことしたせいで怒らせちゃったけど、今からでもきっと仲直りできるんだなぁ!」

 しかしそこへ割って入るのはチャオブーだ。『ヒートソウル』の仲間と争いたくないのであろう彼は必死な表情で呼びかける。

 

「何言ってんだ、チャオブー……」

「まさかこいつ、凶暴化してニンゲンに操られてんじゃ……!」

 そんな彼の必死な呼びかけは残念なことに二匹へは届かない。

 

 

「……いい加減にしなさいよこのバカども!!」

「ぐあっ!?」

 直後、怒りが限界に達したテールナーが容赦なく『サイケこうせん』でワカシャモとモウカザルを吹っ飛ばした!

「なっ、て、テールナーちゃん!?」

「あなた達、ガブリアスに取り込まれた事覚えてない訳じゃないでしょ!? 助けてくれた相手をいつまでも悪者扱いするなんてサイテーよ!」

 目を白黒させるモウカザル達を彼女は激しい剣幕で怒鳴りつける。もしもまだ反論するつもりならもう一度撃つ……と言いたそうに木の枝を二匹へまっすぐ向けていた。

 

 

「……このっ! なんなんだよ!」

「チャオブー、テールナーちゃん! 絶対に……絶対にニンゲンの魔手から救い出すからな!!」

 二匹は素早く立ち上がると『とびつきのたま』を発動し、大部屋の外へ超スピードで出て行ってしまうのであった。

 

「ま、待ってくれえ……!」

 チャオブーは去って行ったチームメンバーに呼びかけるが当然返事は返ってこない。そのまま彼は悲しそうにその場でへたり込む……チャオブーにとって大切な仲間が話を聞き入れてくれない絶望は相当なものだろう。

「何が操られてる、よ! 腹立つわね!」

「バカだからしょうがないわ。今度会ったら拳骨してやらないと」

 その後ろではチコリータとテールナーが心底不愉快そうに愚痴っていた。

 

「……奴らを逃がしたのは悪手だったかもしれんな」

「え、一旦は仲間同士で戦わずに済んだんじゃないの?」

 苦々しい顔で言うジャラランガに対し、アシマリが目を丸くして尋ねる。

「ワカシャモ達は間違いなく『オータムビレッジ』に帰るであろう。そしてルーア達が凶暴化した吾輩達を操っている……と流布する可能性が高い。そうすればルーア達を捕らえようと村のポケモン達が『颶風の砂漠』に押し掛けるであろう」

「マジか! じゃあさっさと『静寂の丘』に引っ込まないとやべえのか!?」

「本来ならそうしたい所であるが。昨日『静寂の丘』でルーアがダイマックスする騒ぎがあったであろう? 『颶風の砂漠』などの周辺からも見えておったであろうし、聞き込みをされれば我らの潜伏位置を特定されかねん」

「ど、どうしたらいいんですか?」

 ジャラランガの話を聞いてオーマが恐怖でブルブルと震えだす。

 

 

 

「……『颶風の砂漠』の問題が落ち着いた今こそ、向き合う時かもしれぬな」

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