冷たく湿った空気が部屋に流れ込み、鳴り止む気配のない音が耳に届く。ブルリと身体を震わせて窓へ視線を向けると、そこに青い空は無く灰色の雨雲が天を覆っていた。天候の悪さに気怠い感情を抱きながら私はゆっくり起き上がる。
「……あいたたた…」
肩や腕、手首が痛くて敵わない。
もう丸二日以上後ろ手に拘束されたままで、このままでは両腕が完全にいかれてしまいそうだ。元の世界に帰らなければ手錠は外せないがそれがいつになるかは分からず、それまで両腕がもつ保証も……。
「…元の世界に戻っても、本当に外せるのかな…?」
思い出すのは一昨日、手錠の鍵穴に針金を入れられた時の激痛。ポケモンの凶暴化を解除する力や、どれだけ攻撃を受けても傷一つ付かない身体……私自身もおかしいが、この手錠だって妙なことになってしまっている。
「……うぐぐ」
試しに私は腿から爪先を覆うサイハイソックスおよび、膝下丈のロングブーツを脱ごうとしてみるがどれだけ頑張ってもずらすことすら出来ない。
まるで皮膚と同化してしまったかのように脚を覆うそれらを見て私はため息をつく。この調子だとおそらく首輪も外すことは出来なさそうだ。
そして何よりおかしいのが今も元気に私の膣内で振動を続けるバイブ。微振動設定とはいえ、ずっと動かし続けているのに充電切れしないのはおかしい。世界を渡ったことで、私の身体だけでなく身に着けていた物も変質してしまったのかもしれない。
……もしかして、元の世界に戻ってもこれ全部外せなかったり……?
私は元の世界に帰った後の自分を想像してしまう。
手錠が外せず、服も着られず局部も隠せない私。
沢山の人やポケモンに見られながら街中を裸で歩く私。
バイブで膣液を垂らしながら発情し、みっともない顔を晒す私。
暴漢達に襲われ、レイプされ大喜びする私。
性奴隷としてしか生きられなくなり、快楽とお金の為に必死に奉仕する私……!
「……♡♡♡」
妄想しながら、窓枠に股を乗せて腰を前後に動かす。
朝起きて間もないのにオナニーを始めてしまうなんて……!
雨と風に晒されて寒いのか、溢れる性欲と快感で暑いのか分からない。
「はひぃっ…♡」
性欲に狂う姿を両親に叱責され、家から追い出される私。
手錠や首輪をつけた姿から、人々から犯罪者扱いされる私。
裸なのに靴下とブーツだけ身に着けた姿を嗤われる私。
羞恥心で逃げ込んだ森の中、バイブで気持ちよくなりながら野生ポケモンに追い回される私。
オナニーしたいのに両腕が動かせず、一人ぼっちでアヘ顔しながら泣き叫ぶ私……!
「あうんっ♡♡!!」
私の膣液によりヌルヌルし出す窓枠。
(気持ちいいよっ!凄く気持ちいいっっ!!)
雨音に混じってピチャピチャいやらしい音が鳴る。
「イク……♡ 夜イったばっかなのにっ♡ またイっちゃう……♡♡!!」
快楽欲しさに腰を振って街を歩くが呆れた顔で避けられる私。
犯してくださいと叫びまわっても、レイプされず気味悪がられるだけの私。
挙句の果てに人間達から二度と町に入るなと言われる私。
そしてポケモン達からも森や山から摘まみ出される私。
愛液を垂らし……涙を流し……孤独に生き続ける……私……。
「……ッ!!」
絶頂。
雨でずぶ濡れになった私は部屋の中に転倒し、荒く呼吸する。
「……グスッ、えぐっ……!」
……ガタガタ震え、身を縮み込ませながら。
インテレオンもマホイップも既に出掛けており、同じく家から出た私は雨に濡れながら通りに出た。雨天だからか道行くポケモンの姿が少なく、開いていないお店もチラホラ見かける。
大通りまで辿り着くと巨大桜の花々が傘となっていたが、多少マシな程度でポツポツ身体に水滴が当たる感触が走った。マラサダについて話を聞きたかったドデカバシも今日は生憎休みのようだ。
気分も優れないので帰ろうか、と踵を返そうとする私だがそれを呼び止めるポケモンが。
「ルーアじゃないか、おはよう。昨日『ゆけゆけズ』の子達から話は聞いたよ」
本屋を営むヤレユータンだ。
「混乱を避けるために他のポケモンには話さないように、とも言われてるよ。もし用事が無いのならあたしの店に来ないかい? チーゴティーでも振る舞うよ」
「……分かった」
彼女の提案に対し、私は静かに承諾する。
インテレオンの家に帰りたいという思いは残っているが、帰った所で他に誰もいない空間。余計に気分が落ち込んでいく可能性が高い。気を紛らわせるためにオナニーしても嫌な想像をして悲しくなるような精神状態なのだから……。
「濡れた身体はそれで拭きなさい。今、チーゴティーを淹れて来るからね」
本屋に到着するなり、そう言って奥へ引っ込むヤレユータン。
「……うぅ」
布を渡されたが脚だけで身体を拭くのは至難の業だ。むしろその脚自体、サイハイソックスが水を吸っていて気持ち悪い……嫌な臭いがしないことは不幸中の幸いか。
そもそもこの世界に来てからお風呂にも入ってないのだが、特に衛生状態は悪化していないのも身体の変質によるものだろうか。
(……なんか、姿形だけ人間のままで中身がポケモンになったみたい……)
「お待ちどう」
そう言って戻って来たヤレユータンはチーゴティーが淹れられた木製カップを置く。匂いの時点で苦味を感じ、それを楽しめる年代ではない私は冷や汗を垂らした。
「さてと……ルーアが凶暴化ポケモンを戻す力を持っていると確定したって話と、現時点ではあんたに特段どうこうして貰う方向へは進んでいないって話は聞いているよ。間違いないね」
「……うん」
「あたしも昨日はすまなかったよ。落ち着きを失ってあんたを追求するような真似をしてしまってね」
前に座り込んだヤレユータンはそう言って頭を下げてくる。そこで脳裏に浮かぶのは昨日の辛そうな表情をしたヤレユータンと、"あの子"という発言。そしてエネコロロの例のように、ダンジョン化に巻き込まれると偶然その場に居合わせたポケモンも凶暴化してしまうという事実。
「……誰か知り合いが凶暴化したの?」
「……鋭いね……いいや、あたしが不注意なだけか。その通りだよ」
尋ねると、彼女は自分自身に呆れたように首を振りながら肯定した。
「この本屋はね、しばらく前まではヤナップっていう子と二匹で経営してたのさ。あたしが歳で辛くなった仕事も進んで請け負ってくれたりする優しい子でね……」
懐かしむような表情を浮かべて語るヤレユータンだが、一拍置くと視線を落とす。
「紙の材料を採りに近くの山へよく向かってたんだけどある日その山がダンジョン……『つめとぎ山』になってしまったのさ。そして運悪く丁度その時ヤナップが……」
「そんな……」
「この老体じゃとてもダンジョンになんか行けなくて救助隊連盟に依頼を出したけれど……得られたのは"凶暴化していて連れ帰れなかった"という報告だけだったよ」
「……」
そんな悲しい話を聞き、私もまた視線を落とす事になる。共に生活していた仲間が突然凶暴化し帰って来なくなる……その絶望は想像するに余りある。
「……だからこそあたしはあんたに言わなければならない。ヤナップの凶暴化は解かないように……って」
「……え?」
しかし思いもよらない言葉が続けられ、私は目を丸くした。
「ヤナップはこの町で暮らしていた子で、凶暴化していなくなったということも多くのポケモンが知っている。もしルーアがヤナップを元に戻して町へ連れ帰ったらどうなる?」
「えっと……皆が、喜ぶ?」
「ああ、そうさ。ヤナップが戻ってきたこと……そしてそれ以上に、ポケモンを凶暴化から解放する手段が見つかったという事実に……。おそらく、それを知ったポケモン達はルーアに殺到するだろう。友人や家族を凶暴化から解放してくれ、資材を安全に集める為ダンジョンの凶暴化ポケモンを全て元に戻してくれ……と」
「……!」
「そんな事になれば、ポケモン達は絶対にあんたをこの世界から逃すまいとするだろう。下手したら連日連夜ダンジョンに行かされ休むことさえ許されないかもしれない」
「……っ」
ヤレユータンの言葉に私は血の気が引くような感覚に。それを危惧したからこそ、昨日ファイヤーは再三確認を取りインテレオンは一度話を先送りにしたのだろう。
「……これが、あたしが今日あんたに伝えたかった内容だよ。この世界に残り凶暴化ポケモンを救うという選択はルーア自身を地獄に落としてしまいかねない。今なら元の世界に帰ろうがそれを責める者はいない……どうか決して焦らず、じっくり考えなさい」
『ヤレユータンの本屋』を後にした私はピチャリ、ピチャリと音を立てながらあても無く大通りを歩く。
"もう暫く考える時間が必要だと僕は思うよ"。
"自らの気持ち、考えを手放してはいけません"。
"焦らずじっくり考えなさい"。
「……っ」
分からない……私がどうしたいのか。
この世界に残ったらどうなるか、怖い。
元の世界に帰ったらどうなるか、怖い。
(本当に時間を掛けることで答えが見つかるのかな? 元の世界と同じ、ただ孤独に何の状況改善も無いまま家で過ごしていた毎日がまたやってくるだけじゃないかな……?)
そんな焦燥感が胸の中で燻り、私はキュッと口を締めた。
「おお~」
「え?」
その時、耳にインテレオンの声が届いたような気がして私は思わず彼の姿を探すが、背が高くて目立つ彼の姿は通りにない。
「う~ん」
気のせいかと思ったが再び声が聞こえる。間違いなくこの近くにいるようだが……。
周囲を見てみると、見覚えのある建物……『ママンボウ医療所』の近くまで来ていたことに気付く。
「ん~」
インテレオンの声はどうやらこの中から発せられているようだ。
もしかして怪我をしているのだろうかと心配になり、私は立て掛け看板にぶつからないように注意しながら入口から中を覗き込んだ。
視界に映るのは受診待ちのポケモン達。
診察を受けるポケモンとママンボウ。
そして、私は発見する。
医療所の奥にて、うつぶせに倒れているインテレオンの姿を……!
「インテレオン……!?」
慌てて私は医療所に飛び込み、驚くポケモン達を尻目に奥へと進んだ。
昨日までは元気にしていた筈なのにどうして!?
もしかして救助へ向かったダンジョンで凶暴化ポケモンに襲われて……!?
「はあ~」
顔を強張らせる私とは対照的に、彼はこの上なく緩んだ顔で声を漏らす。
「どうですかー? コリ、ほぐれてますかー?」
「いいね~」
そんなインテレオンの近くにいるのはなんとマイナンとプラスルだった。彼女らは昨日私にして来たように、電流をインテレオンに流している。
「あれ? ルーアさん! もしかしてあなたもマッサージを希望で?」
「ま、マッサージ……?」
「ん~……?」
マイナンの言葉で気付いたのか、インテレオンはゆっくり瞼を開いた。
「……るる、ルーアぁ!?」
すると彼は素っ頓狂な声を上げて立ち上がる。
「……えっと、もしかして怪我してた訳じゃないの?」
念のため私は確認を取るが、彼は手で目元を隠したまま何も答えない。
もしかすると……いや、確実に私が見るべき光景ではなかったのだろう。
「……今のは、忘れてくれない……かな?」
暫く経ってようやく彼は口を開き、そう頼み込んでくる。先程のだらけ切った姿からは普段の頼もしい彼はなかなか想像できないが、もしかするとこれが彼の素なのかもしれない。
「あの……私の前でもリラックスしていいよ? 家に泊めて貰ってるのは私だし……」
「そういう……訳には……」
あまりおかしい事は言っていないつもりだが、インテレオンは首を振る。
「あの、インテレオンさん? マッサージの続きは……」
「いや、充分! ありがとう!」
そう口を挟んでくるプラスルにポケを払った彼はまるで逃げるかのように医療所を飛び出して行った。
「え、ちょっと!?」
その速さに目で追うことしか出来なかった私は一拍遅れてから彼を追う。
そんな私達の背後……『ママンボウ医療所』入口近くの立て掛け看板には『プラスル&マイナンのマッサージ店 本日オープン!』と可愛らしい文字で書かれていた。
「ええと、今日は救助活動は休み?」
「う、うん。こういう雨の日はダンジョンで資材を集めようとするポケモンも多くないからね」
インテレオンを見失った後、仕方なく家に戻って待っていると昼になってようやく帰って来た彼と昼食を取りながら会話をする。
「午後もゆっくりするの?」
「ま、まさか。掃除したりトレーニングしたり色々あるよ」
「……」
救助活動しない日もそこまで動くなんて。
毎日自分の部屋に閉じこもって好きな事だけしてだらけていた私とは大違いだ……。
「ルーアは家でゆっくりしてなよ。疲れだって溜まってるんじゃないかい?」
「……」
確かに身体はだるいし、頭も重たい。
「……トレーニング、見てもいい?」
だけど……独りで何もせずいると……心が辛い。
大通りにある円形状の建物……『マクノシタ闘技場』に訪れた私達。
「よく来たなインテレオン、トレーニングだろ?」
「うん、二時間ほど利用するよ」
インテレオンが語る所によると、ここではポケモン同士が己を磨くため競い合い訓練する場所だ。自由にトレーニングが出来る練習時間と、ポケモン達が実力をぶつけ合う闘技時間に分けられている。それらのトレーニング利用料および、闘技の観戦料並びに掛け金でこの闘技場が経営されているのだ。
受付に立つマクノシタに見送られ、奥へ進むと円形の広間へと出る。
テレビで見たガラル地方のスタジアムと比べるとかなり小さく、土や砂利を敷かれたフィールドには雑草や岩石も見受けられた。しかしフィールドを囲むように設置された観客席や雨除けなど最低限の設備は備えてある。
そんな闘技場には先客のポケモンもおり、各々の技を何度も放って訓練していた。
その中には見知った顔も。
「行くぞ、『ひのこ』!」
「『はっぱカッター』!」
同時に放たれた炎と葉っぱが並行に飛ぶが、途中で葉っぱが焼け落ちてしまい炎だけが壁にぶつかる。
「ごめん、また失敗したわ……」
「しょうがねえって! 難しいよな『レンケイ』……」
間違いない、『ゆけゆけズ』のヒバニーとチコリータだ。
「……お、ルーア!」
「奇遇じゃない」
彼らも私に気付いたようで、笑顔で近寄って来る。
「もしかしてお前も特訓か? もしかしてニンゲンも技使えるのか!?」
「いや、私はインテレオンのトレーニングを見るだけで……」
「一体どこに……あ、あそこね」
チコリータの視線を追うと、いつの間にか私の隣からいなくなっていたインテレオンが何かを持って歩いて来ていた。
「やあ、キミたちも特訓か。頑張ってるじゃないか」
「おう! もっと強くなってもっとポケモン達を救助しないといけないからな!」
「どこ行ってたの? それは?」
「闘技場倉庫さ。これは身代わり人形」
ヒバニーと会話する所に割り込んで聞くと、彼は私の手のひらサイズしかない緑色の怪獣人形を見せてくる。
技を当てる的の役割を持つであろうそれを地面に置く……かと思いきや彼は思い切り壁に向けて放り投げた!
「えっ!?」
(技の練習ではなくただのストレス発散!?)
そう驚く私の横で、彼は姿勢を低くし腕を前方へ突き出す。
「……」
インテレオンの目が真っ黒になっていた。
いや、違う。黒い瞬膜が彼の目を覆っているのだ。
瞬膜越しの黄色い瞳孔は一点……宙を飛んでいく身代わり人形を捕らえている。
人形の軌道を計算したインテレオンは人差し指を立てた。
「『ねらいうち』」
指先から凄まじい速度で放たれた超圧縮された水弾。それは前方を舞う小さな身代わり人形のもとへ一瞬で追いつく。
そして寸分のズレなく、人形へと着弾した。
地面へと落ちたびしょ濡れの身代わり人形を見ると、首元が窪んでいる。遠くへ投げた小さな人形へ命中させるだけでも人間離れ……いやポケモン離れしているのに、急所の首元へ当てているなんて。
「はー、いつ見てもすげえなあ」
「ソロで活動してるのに『アイアンランク』だもの。レベルが違うわね」
私と同じく、ヒバニー達はインテレオンの技術に感嘆していた。
「沢山失敗して、沢山練習したからね。キミたちだって強くなれるさ」
身代わり人形を拾い上げながら期待の新米救助隊に微笑むインテレオン。
「……そうよ! インテレオン、私達『レンケイ』の練習してるの。もし良かったらコツとか教えてくれない?」
「えっ」
「連携?」
そこでハッとなったチコリータが言うのに対し、インテレオンは冷や汗を垂らし私は首を傾げた。
「そうそう、複数のポケモンで一斉に技を放つ……いわば合体技さ! 俺とチコリータも使いたいんだけどなかなか上手くいかねーんだよ」
二匹が先程同時に技を使っていたのはそういうことか。
「……期待に沿えなくて申し訳ないけれど、僕はソロ活動していてレンケイはちょっとね……」
しかし視線を逸らしながらインテレオンは断ってしまう。
「……ええっ、いや確かにそれは正論だけど……知識として知ってたりするんじゃないの?」
チコリータはそれで諦める訳にはいかないのか、頭の葉っぱを振りながら食い下がった。
「あくまで知識だけど……レンケイにおいてはポケモン同士のタイプや特性、技の相性が必要だね」
「相性? ほのおはこおりに強いとかそういうことか?」
彼女らの熱意に折れ説明をするインテレオンの前でヒバニーはよく分からないといった表情で頭を掻く。
「そう、それもレンケイを考えるうえで必要なことさ。例えばこおりタイプの技で冷え切った相手にほのおタイプの技を放ったらどうなるかな?」
「せっかく冷やしたのに温まる……なるほど、レンケイを使う上では相性は良くないのね」
「その通り。だけどそこから更にほのおタイプの技を強めたら?」
「ええと……どうなるんだ?」
「……寒暖差で調子が狂う」
インテレオンの問いに私はボソリと呟いた。元の世界でも季節の変わり目で嫌と言うほど味わった現象だ。
「正解。後に使うほのおタイプ技が弱いとレンケイ相性も悪いけれど、強ければ逆にレンケイ相性は良くなるのさ」
「む、難しいなレンケイって」
「じゃあ私達が技をレンケイさせるのは無理って事?」
『ゆけゆけズ』の二匹はそう言うと先程の練習をインテレオンにも見せる。今回も同じようにチコリータの『はっぱカッター』をヒバニーの『ひのこ』が焼いてしまい、確かにレンケイ相性は悪く見えた。
「……そうだね……二匹とも、今の自分達の技を見て何か閃いたりするかい?」
「閃き……うーん」
インテレオンはヒバニー達に対し、再度問いかけを投げかける。
くさタイプはほのおタイプに弱いため、葉っぱが燃えてしまうのは避けられないだろう。
それなら逆に葉っぱが燃えるのを利用すればいいのでは。
例えば相手をはっぱカッターで攻撃しながら周囲の地面に刺し、そこへひのこで追撃し炎上させるなど。
「……っ?」
そう思って口を開こうとするが、インテレオンが私の口元に指を近づける。
静かに、と言いたげな笑顔で。
「焦って闇雲に特訓しても疲れるだけだからさ。落ち着いて考えてみるといいよ。勿論、どうしても難しいならルーアや僕、先輩の救助隊にも聞いてみなよ」
「分かったわ。ありがとうインテレオン」
「困ったときは頼らせて貰うぜ、ルーアも!」
『ゆけゆけズ』の二匹と別れ、再び自らのトレーニングに戻るインテレオン。
「……ねぇ、答え教えないの? 意地悪しなくてもいいのに」
放り投げた身代わり人形を今度も華麗に撃ち抜く彼に私は問いかける。
二匹が困っているのだからすぐに助けてあげた方がきっと喜ぶのではないだろうか。私だって問題の答えが用意されているなら、すぐに貰えた方が助かる。
「答えが一つだけなら確かに、早く教えるのも優しさだよね」
インテレオンは頷きながら振り返って来た。
「だけどレンケイには色々答えがある。ルーアの答え、僕の答え……そしてあの二匹自身の答え。すぐに僕達の答えを教えてしまったら、あの子達の答えが出てくる余地を潰してしまうだろう」
ヒバニーとチコリータ自身の答えの……余地。
「もしかしたら僕達が考えているのと同じ答えを出すかもしれない……それもそれで、自分達の発想力で辿り着いたのだから喜ばしい事さ。だけどあるいは……僕達が思いもよらなかった素晴らしい答えを出してくれるかもしれない。その可能性を潰さないためにあえて答えなかったんだ」
素晴らしい答え……可能性……。
「物事の考え方、捉え方はポケモン一匹一匹で違う。それを周りの思想で上書きしたら"そのポケモンらしさ"は塗り潰されてしまう……と言うのが、僕自身の思想。ルーアが今すぐにでも彼らに教えるべきだと思うなら僕は止めないさ」
「……じゃあ最初から黙らせないでよ」
「はは、ごめん。ヒバニー達が悩んでる途中だったからさ」
頬を膨らませる私に、インテレオンは笑いながら身代わり人形を再び放り投げた。
そして私は今も話し合っている『ゆけゆけズ』の元へは向かわず、彼の特訓を眺めるのだった。
そのポケモンらしさ……。
私らしさの考え方、捉え方……。
この世界のポケモン達の考えに流されない、
そして元の世界の人間達の考えに囚われない、私の答え……。
よく分からない。
だけど、いつか見つかるのかな。
私自身が素晴らしいと思える、私自身の答え。
インテレオンのトレーニングが終わった後、ギルドでの依頼確認、買い物、夕食と平和な時間が流れる。
今日もマホイップが来るかと警戒していたが流石に連夜の訪問は自重したのか、家でインテレオンと二人きりとなっていた。
「ルーア、眠いのかい?」
「……眠くないけど、何もやる事なくて」
尋ねてくるインテレオンに対し、カーペットに横たわりながら答える私。
元の世界では当たり前のようにあったゲームやテレビ、漫画といった娯楽がこの世界には全く無く、生粋のインドア派である私は暇で暇で仕方ない。
「この世界って、何か娯楽ないの?」
「色々あるよ、今日行った闘技場とか……たまに旅の劇団が来たり……歌にダンス、小説、絵画……」
「……」
「そうか、元の世界にあった娯楽の大半がこっちには無いんだな……」
私が顔を顰めるのを見て、インテレオンは困ったような表情に。
「ルーアは元の世界では何が好きだったの?」
「好きなこと……」
趣味といえば二つぐらい……しかしゲームはこの世界のポケモンには通じないだろう。
「……っ♡」
もう一つの趣味のことを考えると、私は途端に股間で震えるバイブのことを意識してしまう。
震動が弱い故に別のことを考えていれば忘れていられるが、こうなるともうダメ……。
(膣内の振動、気持ちいい……もっと強いの、欲しい……)
「んあ……♡」
「ルーア……?」
とろんとした表情で身を起こす私を見て、インテレオンの動きが一瞬凍った。
そんな彼に向けて股を脚で擦り合わせながら一歩、また一歩と歩み寄る私。熱い吐息と涎を漏らし、顔を紅潮させ、股間を濡らした私の姿にインテレオンは顔を強張らせる。
「ねえ……インテレオン……♡ 今の私の姿……どう、かな♡?」
「えっと、ええっと……」
私の問いかけに彼は必死に言葉を探しているのか露骨に視線を逸らした。
「この世界のポケモン達ね、私のこの格好を見ても全然気にしないんだ……♡ それにおつゆ垂らしても絶頂しても淫乱とかスケベとかとは認識しないの……♡ 人間がそういう存在だって勘違いしてるからかな……♡」
「……っ」
座り込んだままの体勢でインテレオンは後ずさるが、程なくして彼の背が壁に当たる。
「例えばこの手錠……インテレオンだけなんだよ、私の両腕を拘束してるって認識したの……♡ 格好だってそう……殆ど肌を晒してる私を異常だって認識したのもあなただけ……♡」
彼を追い詰めた私はお互いの息がかかる、すぐ目の前に座り込んだ。
「言ったよね……♡ この格好……私が自分でやった自縛野外露出だって……♡ こんなことやる人間の女の子……どうかな? 教えて……♡」
物事の考え方は皆違う。
それなら私は?
救いようのない変態な私の気持ちは、受け入れて貰えるのかな?
「ごめん、ルーア」
……ああ、やっぱり駄目だった。
私、独りなんだ。
愛液を垂らして、涙を流して、孤独に生き続けるんだ。
寂しい……な。
「もう、我慢できない……!」
「っ♡♡!?」
膣内に細い何かが侵入してくる感覚。
それは器用に動き回り、私のクリトリスや膣壁……性感帯を的確に弄る!
「お……おおっ……♡♡」
「……っ!」
インテレオンは私を抱きしめ、指をマンコの中に滑り込ませていた。体格で劣る上にそもそも両腕が拘束された私は抵抗出来ず、許されるのはただそれを受け入れる事のみ。
「ルーア、嫌だと言ってくれ……じゃないと止められない……!」
身体を震わせながら、私の膣内をかき回すインテレオン。
彼は本能を抑えきれていない様子……もしここで拒絶したら彼の理性を取り戻させることが出来るだろう。
そう考える私の目から大粒の涙がボロボロ落ちる。
嫌だ。
私を受け入れてくれる彼を拒絶するなんて、嫌だ!!
「もっと頂戴♡♡!! インテレオンの全部、頂戴♡♡!!」
大泣きしながら絶叫する私。
「……ルーアっ!」
それにより彼の理性が吹き飛ぶ。
「―――ッッ♡!!!」
彼の指が私の陰核を摘まみ上げ、激しい快感が襲ってきた。
(き……気持ちいい……っ! 幸せでおかしくなっちゃいそう……っ!)
涙でぼやける視界の中、彼の顔を見ると目が瞬膜で覆われているのが確認できた。
あれで私の急所……感じる所を見抜いているんだ……!
「キミは本当にいやらしい子だ……! これまで一体どれだけ自慰をしたんだ……!」
「毎日っ♡ 何回もっ♡」
「人間なのに全裸になって……恥ずかしくないのかい……!?」
「ぜっ……全裸じゃないよぉ♡ 靴下とブーツ履いてるからもっと恥ずかしいよぉ♡」
「首輪と手錠まで付けてルーアは性奴隷なのか……? どうなんだ……!」
「そうだよっ♡ ルーアは性奴隷なのぉ♡ インテレオン、タダでいいから私を買ってぇ♡♡」
私の膣からクチュクチュ音が鳴る中、インテレオンと話す。
涎が止まらない、汗が全身を濡らす……!
「ぎっ……ぎもぢぃ……♡」
彼にみっともない顔を晒しながら私は喘ぐ。
あまりの気持ちよさに身体全体が痙攣したかのようにヒクついた。
イク……もうすぐイク……!
「……」
「あうっ!?」
しかし絶頂する寸前でインテレオンは私の膣内から指を抜いてしまう。
心地よい快感が一気に弱まり、私はブルブル身体を震わせた。
「どうしてぇ……!? 寸止めやだぁ……!!」
そう問いかけながら私は腰をヘコヘコ動かし腿を擦り合わせる。これもまた彼の瞬膜による分析……私の感度の高まりまで見破られたのだ。
「……本当に性奴隷だって言うなら、どうすればいいかな?」
立ち上がったインテレオンは私を見下ろして問いかけて来た。
私は彼の顔に向けていた視線を下に動かす。
首、胸部、腹部、腰……。
人間の男であれば腰の付近に"アレ"が露出しているであろうが、ポケモンであるインテレオンには見受けられない。それもその筈……人間とは異なり、オスのポケモンは普段"アレ"を収納しているのだから。
「……く、下さい」
「何をだい? 言ってごらん」
荒く息をして言う私に対し、インテレオンはこちらを見下ろしたまま尋ねる。
身体が震えた。
それは恐怖から来るものではなく……緊張と興奮によるもの。
心臓がバクバク鳴り、呼吸も早まる。
そして意を決し、大きく息を吸う私。
「変態で露出狂の性奴隷ルーアのマンコに、あなたのチンコを挿入して下さい! 精子も子宮の中に沢山下さい!!」
私の眼前に現れるインテレオンの性器。
彼の肌と同じく皮は青色だが、皮が剥けて露出した部分は彼の口内と同じピンク。
細い身体に対し、立派に太く屹立したそれを見て、私はゴクリと固唾を飲む。
「立ってルーア。そして背中を向けるんだ」
「うん……♡」
私は言われた通りにすると、腰に彼の手が添えられる。
続けて私の割れ目に性器の先端を当てられた。
「あうっ♡」
たったそれだけで気持ちよくなってしまう。もう我慢できない……!
「早く入れてぇ♡ 早くっ♡」
「全く、性奴隷なのに命令するんだね」
腰を小刻みに動かして催促する私を呆れた様子で見るインテレオン。
そして。
「ふわああああっっ♡♡♡!!!」
遂に私の膣内へ、彼の性器が挿入された。
クチュクチュ、クチュクチュ。
「あひっ♡ いいっ♡ んああっ♡」
インテレオンが腰を前後させる度に私の膣内からいやらしい音が部屋の中に響く。膣内を圧迫される苦しさと性感帯を擦られる気持ちよさで狂ってしまいそうだ。
「んうっ♡ 硬いぃ♡ はひっ♡」
私もクネクネと円を描くように腰を動かし、必死に快感を貪る。彼との身長差で私は背伸びをしなければならず、脚がブルブル震える。
「あーっ♡ あーっ♡」
私の子宮口に彼の亀頭が当たり、脳から快楽物質が洪水のように溢れた。性器をもっと味わいたいと膣が締まり、子宮がキュンキュン疼く。
「くっ……締まりが……! そろそろ出そうだ……!」
「まっ、待ってぇ♡! 私まだぁ! もうちょっと我慢してぇ♡!」
限界を訴えるインテレオンに対し私は懇願し、更に激しく腰を動かした。
(このままじゃ私一人だけ絶頂出来ずに終わっちゃう……そんなのやだ!)
私は泣きながら腰を前後左右上下無茶苦茶に動かし……。
「ルーア……ちょ、ぐっ……!!」
「あっ……熱いぃぃ♡♡!? 熱いよおっ♡♡!!」
遂にインテレオンが射精し、私の膣内へと大量の精子が注ぎ込まれた。
(ああ……犯された……レイプされた……)
「ぜぇ、ぜぇ……」
性交の疲労か、息が絶え絶えになるインテレオン。
そして元々青い彼の顔が更に青くなっていく。
「……ご、ごめんルーア……とんでもないことを……」
射精したことで理性が戻って来たのか、彼は声を震わせて謝罪して来る。
「……酷いよ、インテレオン」
そんな彼に私は涙を零しながら怒りの表情を向けた。
「私、まだイッてないのにぃぃ!!」
「うぐぅ!?」
立ちバックの体勢のまま、私は勢いよく彼に背中からタックルし諸共転倒させる。
「あいたたた……うっ!?」
「んっ♡ ぐっ♡ あっ♡ あっ♡」
背面騎乗位の体勢になった私は激しく腰を上下させ射精したばかりの彼の性器を挿抜。
ジュボジュボと音が鳴り、私の全身を快感が駆け巡った。
「待ってくれルーア……! さっき出したばっかりで……!」
「あうっ♡ あんっ♡ あひっ♡」
悲鳴を上げるインテレオンの上で私は性欲に従うまま腰を動かす。射精したばかりで体力が無くなった彼は私をどかすことすら叶わないようだ。
「幸せぇ♡ 私っ♡ 犯されるの好きぃ♡」
「今犯されてるのは僕じゃ……うぐぐぅ」
膣壁が乱暴に擦られ、性感帯も滅茶苦茶に刺激され、私は顔を真っ赤にして歓喜の声を上げる。
「ああああっ♡ 近いっ♡ 絶頂近いっ♡」
「ま、また出る……!」
一度目は寸止めされ、二度目は先に射精されたけれど……三度目の正直……!!
「イクゥゥゥゥゥゥ♡♡♡!!!!!」
再度中出しされる感覚と共に、私は絶頂する。
ビクン、と全身が痙攣したかのように跳ね上がり、そしてグタリと沈み込む。
(ああ……凄く……物凄く気持ちよかった……)
「ゲホッ、ゲホッ……ルーア……満足、かい……?」
どこかやつれた様子のインテレオン。
私は膣内に彼の性器を入れたまま、身体を半回転させ彼と顔を見合わせた。
「私、もっとやりたい♡」
「え?」
窓から朝日が差し込み、爽やかな風も部屋へと飛び込んでくる。
昨日の雨が嘘のように、今日は晴れ渡っていた。ベッドとは異なる硬い床の感触を味わいながら私は目を覚ます。これまでより気分の良い目覚めを迎えた私はキョロキョロ周囲を見渡した。
ここは寝室ではなく、リビングであるため当然ベッドなど見当たらないが、その代わりに目を回してぐったりしているインテレオンが倒れていた。
「……」
昨日は何が起きたのだったろうか。
夕食を食べて、その後暇でしょうがなくて、発情して、股間を弄られて、レイプされて、レイプして、レイプして、レイプして、レイプして……。
「……い、インテレオン?」
恐る恐る呼びかけるが、彼は完全に体力を使い果たしており返事がない。
「……」
しまった。