ママンボウ医療所に運び込まれたインテレオンを前に立ち尽くす私。
「一体何があったというのですか」
「よ、夜通し、遊んでた……?」
ママンボウに尋ねられた私は曖昧な回答を返す。命に別状はないものの、相当な体力消費状態で今日は安静にするべきとのことだ。
「一緒に遊んだと言うあなたの方は元気一杯みたいだけれど…彼の体力に合わせてあげなさい」
「うう……」
そんな風に叱られ、私はガックリと項垂れる。
自分の快楽を優先させるばかりに、彼をこんなにしてしまったなんて。
(目を覚ましたら怖がられるかな、嫌われるかな……)
そんな事を思いながらも、私の膣はじっとり濡れており自らの底無しさの性欲に冷や汗をかく。
どうしよう、すぐに帰って角オナして落ち着いた方が良いかな。だけど一度陰茎の気持ちよさを知った以上、角オナで満足できるのかな。
「インテレオンさん!」
その時、医療所に駆け込んでくるのはマホイップだ。彼女に続けてドラミドロとアノホラグサも入って来る。彼が倒れたという噂を聞きつけてやって来たのだろう。
「ど、どうしてこんなことに!?」
「この子と夜通し遊んだらしくて、体力を使い果たしたのですよ」
目を回したままのインテレオンに泣きついたマホイップは続けて私をキッと睨む。
「ルーア、一体何をやりましたの!?」
「い、一緒に……あ、遊んだ、だけ……」
「一晩でこんなになるなんて。戦闘でもして彼を叩きのめしたのかしら」
「凶悪」
オロオロする私を『ナイトスター』の面々が取り囲んできた。
(もしかして物凄くまずい状況なんじゃ……)
「あなた達、ここは医療所ですよ。おやめなさい」
「……」
しかしママンボウが強い口調で制止し、マホイップはやれやれと言いたそうにゆっくりと首を振る。
助かった、と安堵しかけるが『ナイトスター』達は後ろから私を押しながら医療所の外へと向かった。
あれ?
「果たし状ですわ」
「……」
他のポケモンの姿が無い裏路地にて、私に向け紙を突き出してくるマホイップ。
「本日の夜九時、『マクノシタ闘技場』で待ちますわ」
「そっ、そんないきなり言われても……!」
「安心なさい。夜に観客は来ない……ルーアが悪目立ちすることは無いわ」
「そうじゃなくて! なんで決闘なんか……!」
「インテレオンの安寧」
『ナイトスター』に囲まれながら私は彼女らと問答。
「あなたの無茶に付き合わされてインテレオンさんがあんな目に遭った以上、もう黙ってはいられませんわ。ルーアが勝てば潔く諦めますけれど、私達が勝ったらインテレオンさんとの同棲を終えて頂きますわ」
「い、嫌だよそんなの! しかも私、技なんて使えないから勝てっこないじゃん!」
「フフフ。来ないのならそれで構わないわ。その場合インテレオンをルーアから守る為、毎日私達も彼の家へ行くわよ」
「なっ……それは……」
「どうしたいかよく考えろ」
一方的に言われ、私は完全に困ってしまう。
「あと、私達が勝った場合もルーアが路頭に迷わないよう、ギルドで寝泊まりできるよう手配致しますわ。その点はご心配なく」
「……」
そんな事を言われても、インテレオンと離れ離れになるのは嫌だ。
(こんな私を受け入れてくれたんだから……)
「それでは本日の夜九時、『マクノシタ闘技場』ですわよ」
「フフフ、ごきげんよう」
「待ってる」
そう言い残すと、彼女らは裏路地から去って行ってしまう。
まさかこんなことになるなんて。無力な私が『ナイトスター』に勝てる可能性などゼロであるため逃げたいが、そうすると彼女らが毎日インテレオンの家にやって来る。そうなったらまた彼とセックスするなんて不可能だ。しかし無策のまま彼女らに挑んでも簡単に返り討ちに遭い、インテレオンの家から引き剥がされギルド宿舎に叩き込まれてしまう……それは最悪だ。
そうなると何が何でも『ナイトスター』に勝たないといけないのだが、どうすれば?
第一に私は一人、相手は三匹……頭数の時点で卑怯にも程があるがそれだけマホイップ達も必死なのだろう。誰かに助けを求めようにも私と多少でも面識があるスプリングタウンのポケモンは……。
インテレオン、ヒバニー、チコリータ、ヤレユータン、ファイヤー、チェリム、プラスル、マイナン、ママンボウ、ドデカバシ、カブルモ、チョボマキ……。
まず真っ先にマラサダ屋のドデカバシと門番のカブルモ、チョボマキは除外。私のことを覚えている可能性すら薄いだろう。
続けてマッサージ店のプラスル、マイナン、医療所のママンボウも除外。彼女らは人間である私の事情を知らない一般ポケモン……あまり事を大きくしたくない。
本屋のヤレユータンも難しいだろう。ダンジョンにすら行けないと言っていたのだから。
ギルド長のファイヤーは……威圧感が凄まじくてあまり話したくないし、そもそもどちらかの肩を持つとも思えない。
一番頼りたいインテレオンは今も倒れているし、夜までに起きたとして今日は安静にするべきと言っていたママンボウが止めて来ると考えられる。
そうなると残るは三匹……『ゆけゆけズ』のヒバニー、チコリータ……あるいはギルド長補佐であるチェリム。
「ああ、彼らなら『清流森林』へ救助に向かいました。伝言を承りましょうか?」
「……っ」
『ファイヤーのギルド』救助隊スペースの受付に言われ、私は弱々しく俯く。
もう『ゆけゆけズ』の二匹はいないようだ。これでは彼らには頼れない。指定の時間までに戻って来る保証は無いし、救助から帰って来たばかりの彼らにいきなり『ナイトスター』と戦えなどと言っても困らせるだけだ。
「ううん、いい……それじゃあチェリムと話せたりしない?」
「はい、それではお呼びしますね」
ヒバニー達に頼るのは諦め、私はチェリムがやって来るのを待つことにする。
「お待たせルーア、どんなお話ー?」
「実は……」
一昨日と同じように底抜けの明るさで訪れたチェリムに私は小声で伝えた。
「大変大変、喧嘩だよね?」
「うん……」
「素直に謝って仲直りしよう! それでハッピーハッピー!」
「え、ええ……?」
しかし彼女はそんな事を言い、私は不満タラタラの反応を返す。謝ったぐらいで許してくれるなら最初から果たし状なんて出してこないだろう。
「うーん、謝りたくないの?」
「……私が謝るべき相手はインテレオンであって、マホイップ達じゃないもん……」
「そっかぁ、ルーアはマホイップ達のことあんまり好きじゃない?」
「……」
マホイップは確かに私を無理矢理ダンジョンへ連行したり、いきなりインテレオンの家にまで押しかけてきたりと少々強情だ。
……だけど、私がアイアントに襲われてた時は必死に追って来て助けてくれたり、あくまで善意で私に快感を与えたりと決して悪いポケモンではない筈。それに救助隊らしく、ポケモンを救うために私が持つ凶暴化解除の力にも真摯に向き合っていた……。
「このまま戦ったら勝っても負けても、きっと悲しいよ?」
チェリムに言われ私は視線を逸らした。インテレオンと一緒にいたい私と、インテレオンを守ろうとするマホイップ達が戦えばきっと彼もショックを受ける筈。元はと言えば私が自分の本能を制御できずインテレオンの精力を限界まで搾り取ったせいであるし……。
それではやはり謝る……というよりは彼女達に、インテレオンに無茶させないと誓うべきなのだろうか。しかしそれで『ナイトスター』が納得するかどうかは分からない。何より、インテレオンに無茶させないと言っても、私が自身の性欲を制御できるという保証も無い。一度その場しのぎで誓って許されたとしても、またインテレオンから根こそぎ搾り取ってしまったら……。
(なら、インテレオンを無理させずに私が満足出来る手段があれば……?)
ポケモンだけが住むこの世界に、人間の私が欲しがるものは探してもなかなか見つからないかも。
……この世界の……ポケモンがいない場所であれば?
「……ありがとう、もう少し考えてみる」
「応援してるよー、ファイトファイト!」
元は助力を求めるつもりだったが、相談に乗ってくれたチェリムに感謝し私はギルドを後にする。
「いらっしゃいませぇ! マラサダ、いかがですか?」
大通りに向けて声を張り上げるドデカバシは、今日も元気に商売をしているようだ。マラサダが町のポケモン達にも受け入れられつつあるのか、決して盛況という訳ではないがチラホラとマラサダを購入するポケモンも見受けられた。
「……あの」
「はい! ご来店ありがとうございます!」
ふらりと立ち寄った私に対し、店主のドデカバシが翼を広げ嬉しそうに接客してくる。
「ええと、聞きたいことがあるんだけど……このマラサダってどうやって作ってるの?」
「いけませんよお客様~、こちら企業秘密でございますので!」
(うう、意外にガードが固い……)
「……小麦とか使ってる?」
「……コムギ、ですか?」
続けて尋ねるとドデカバシは怪訝な顔で首を傾げる。小麦を知らない……つまり小麦粉からマラサダを作っているわけではないのだろう。
「知らねーの? うちにはすげー箱があるんだぜ! 父ちゃんがダンジョンで……むぐぐぐ」
「こらツツケラ!」
その時、彼の息子であるツツケラが誇らしげな表情で語り始めるが素早く阻止される。
「……あ、ハハハ、何でもございませんよ!」
「……ごめん、邪魔した。ポケが無いからまた今度買わせて貰うね」
私は頭を下げると、そそくさと『ドデカバシマラサダショップ』から退散した。マホイップの語っていた『預かりボックス』と同じで、マラサダを作り出す道具がダンジョンから出土したようだ。
ならばダンジョンには……!
少しずつ日が登り始めている青空の下、私は緑色の草原を歩いていた。振り返ると『スプリングタウン』のシンボルである巨大な桜の木が枝のように見える。周囲には丘や山脈、森が広がっており当然ながら建物や道路、電波塔といった人工物は殆ど無い。
そして例外が一つ……私の進む先にあった。
『スプリングタウン』にある色とりどりな建物とは明らかに異なる、味気ない灰色の建築物。
周りが大自然に囲まれた中に、不自然に存在するソレ……『追放の遺跡』。
ファイヤーが語っていた、ポケモンが近づくことが出来ない『歪みの穴』により生まれた遺跡だ。
人間である私が近づけるかどうかは分からない。だけど、可能性があるなら試してみるべきだ。もしかしたらファイヤーの言っていた通り、元の世界へ帰る手段があるかもしれない。
もしくは『預かりボックス』やマラサダ製造機のような凄い道具があるかも。例えばインテレオンの陰茎をパワーアップさせる精力剤とか……。
「え、えへへ……♡」
それがあれば元気な彼と一晩中イチャイチャセックスできるかも。私は嬉しいし、マホイップ達にもアレコレ言われなくなる……最高だ。
そんなことを妄想すると膣から愛液がトロトロ垂れてしまう。
「……どんどんエッチになって来てる、私……♡」
両親が知ったらビックリするだろう。一人娘が愛液を垂らしながら両腕拘束したまま、ほぼ全裸でこんな大自然の中を歩いてるなんて。
そして昨日ポケモンとセックスして中出しされたなんて。
考える度に性欲が高まるけれど、今は角オナできそうな場所も見当たらない。
「はぁぁぁ♡ 初めて自縛野外露出した時と同じ……お預けだぁ……♡」
快感が欲しくて欲しくてたまらなくなり、私は苦しくなる。性欲から逃げようとしても、微振動するバイブのせいで発情状態が維持されてしまう。無意識に股間へ手を伸ばそうとするが、手錠が金属音を響かせながらそれを阻止した。
「駄目ぇ♡ 私の身体なのにっ♡ 気持ちよくなれないっ♡ ただの道具のバイブと手錠に手も足も出ないっ♡」
あまりの情けなさに私はまた自分が変態であることを自覚。
「うぅ……道具に苛められて乳首硬くなっちゃってる……♡ 触ったらきっと気持ちいいのに……♡」
届く筈もないのに私の小さな乳首に舌を伸ばそうと下を向くが首輪で苦しくなってしまう。
「ゲホッ……♡ 私……インテレオンの性奴隷なんだよね♡」
まるで性奴隷の証もしくは烙印のように黒光りする首輪の冷たさに私は恍惚とした。
そう……彼の性奴隷のままでいる為にもこの冒険、頑張らなきゃ。
そんなことを考えながら一歩一歩、足を進めていた時であった。
「……っ!?」
突然、身体全体に圧力をかけられるような感覚に襲われる。見ると私は既にかなり『追放の遺跡』に近付いていたことに気付いた。ファイヤーの言っていた"ポケモンが近づけない"というのはこのことか。
つまりこの圧力がかかっているということは人間の私も特別扱いされず追い出され……!?
「……うわあっ!?」
そして成す術もなく、私は強い力で"引っ張られる"。
「う、うそっ……ちょっ!」
灰色の不気味な建物向けてどんどん強く身体が引き寄せられ、私が幾らもがいてもそれを止める事は出来ない。
「げふっ!」
そして私は地面に叩きつけられゴロゴロと転がった。痛みで涙目になりながら視線を向けると眼前に目指していた建物……『追放の遺跡』があった。
「……っ」
それを間近で見た私は顔面を蒼白にして絶句する。
なぜならその建物は……私が通っていた……否、通うべきであった学校の校舎だったのだから。
薄汚れたコンクリートで造られた校舎。動かなくなっているとはいえ見覚えのある大きな時計。各教室の窓ガラスは廃墟のように割れており、その奥は不気味なほどに真っ暗。学校の敷地は草一本生えていない不毛の地と化している。先程までそこにあった筈の青空や周囲の大自然が嘘のように、不気味な紫と黒の霧で覆い隠されていた。
「なっ……ど、どうして」
慌てて私は立ち上がると、その場から逃げ出した。
「あうっ!?」
しかし再び先程の力で引っ張られ、校舎の前に戻されてしまう。
まさかこの空間……学校の敷地から出られない?
「……っ」
私の全身から嫌な汗が流れる。
ここはポケモン達が追い出されて近づけない『追放の遺跡』と聞いていた。
人間なら中に入れるのでは……と思っていたが、それは半分正解で半分間違い……?
実際はポケモンとは逆に、人間は引き込まれて逃げられない遺跡……?
「にっ、逃がしてぇっ……!」
本能と理性の両方が恐怖を訴え、私は再度逃げようとするが何度やっても引き戻されてしまう。
閉じ込められてしまった……このままでは出られない……!
(どうしよう、どうしよう…!?)
あまりの怖さに身体が震え、涙が出てしまう。
何故学校が『歪みの穴』でこの世界に現れたのか、どうして廃墟と化しているのか……。
訳が分からな過ぎて脳が理解を拒む。
嫌だ、怖い、助けて!
全身をガタガタ震わせて私は独りその場に蹲るが、どれだけ経っても誰も助けには訪れなかった。
「……」
暫くの時間が経った後。私は顔を上げ、再び校舎を見つめる。
依然そこに佇むコンクリートの校舎……そして昇降口と窓の奥は異様なまでに真っ暗だ。墨で塗り潰したようにも、地獄への入口のようにも見え恐ろしい。近付きたくないけれど、ここで泣いていたっておそらくこの空間からは出られない。中を探せば何かここから脱出するための手掛かりがあるかもしれない。
「……っ」
一歩踏み出す。恐怖で心臓がバクバク鳴る。
また一歩踏み出す。口の筋肉が震えガチガチ歯が鳴る。
また一歩。生存本能から両手が自由を求めカチャカチャ手錠を鳴らす。
「……あ、う……」
必死に足を進める毎に近付いてくる昇降口。
校舎の中は黒。
一切の光も色も無いそこへ足を進める私の姿は、まるで地獄へ歩かされる罪人だ。手錠と首輪を掛けた状態であるのもそんな想像を促進させる。この闇に中に入ったらどうなるのだろう。二度と出られなくなるのか、命を落としてしまうのか、闇に呑まれて同化してしまうのか……。
「……」
嫌な想像が頭を駆け巡り、再び足が止まってしまう。
昇降口はもう目と鼻の先。それなのに、校舎の中の様子は全く分からない。闇の中からは何の音も聞こえず、耳に届くのはバクバク喧しく鳴る自分自身の心音だけ。恐怖で体温が引いていくような感覚に、全身がブルブル震えた。おそるおそる私は片足を浮かせ、闇へと近付けていく。
何かが起こったらすぐに逃げよう……と考えながら。
意を決し、私はブーツの先端を闇に触れさせた。
「っ!?」
校舎の中に留まっていた闇に、水面のような波紋が広がる。それは収まるどころかどんどんうねりを増し出した。
慌てて私は足を引き、その場から後退りして距離を取る。
「わあっ!?」
しかしうねりを増した闇は腕のような、鎖のような、機械のコードのような黒く細長い触手を伸ばして私を捕らえてしまった。
「や……やめてっ!」
闇の触手はそのまま校舎内を満たす闇の中へと引きずり込もうと引っ張って来る。私は必死に身を捩るが、触手をちぎる事も振りほどくことも出来ない。足裏で必死に耐えようとするが、ズリズリ地面から音を立てながら私の身体はゆっくりと闇へと引っ張られる。
「やだやだやだ!! ううっ……! 助けてインテレオン!」
万策尽きた私は必死に泣き叫ぶ。
しかしその願いが届くことはなく。
私は校舎の中……闇へと引きずり込まれた。
キーンコーンカーンコーン……。
学校の鐘の音が響く。
聞き慣れた音……ではない。私はほぼ学校には通っていなかったのだから。そして鐘に混じり、声も聞こえてくるが声が小さく上手く聞き取れない。
(誰だろう、インテレオン? ヒバニー達? それともマホイップ達……?)
「何、この子……」
「どうして裸なの?」
「ガウガウ」
鐘の音が止んでからようやく、周りの声も鮮明になって来る。ゆっくり目を開くとそこは学校の昇降口だった。外から見たら黒い闇であったが、いつの間にか電灯が点けられ視認が可能となっていた。振り返ると校舎の外は校庭や敷地に植えられた木々、街並みに青空といった光景が広がっている。
「不審者かなあ」
「先生呼んだ方が良くない?」
「チィチィ」
そこで私は、昇降口にいるのは自分だけではないことに気付いた。私と同じくらいかそれより幼い人間達に、言葉ではなく鳴き声を発するポケモン達。そのいずれもが、私から距離を取り異様なものを見るような目を向けて来ている。
「へ?」
私は目を見開いて、それだけ呟いた。
(ここ……元の世界?)
ファイヤーが言っていたように、もしかして本当に『追放の遺跡』が世界を繋ぐ場所だったのだろうか。無事に元の世界に戻って来れたことに安堵する反面、少し胸の辺りが痛む。何もインテレオン達に言わずに戻ってきてしまったこと、結局凶暴化の件を投げっぱなしにしてしまったこと、そして再び孤独な日常に戻るということ……。
「何事かね」
「先生、ここに変な子が!」
「ピピピィ」
変な、子?
私はふと、自分の身体を見下ろす。
白い肌、黒い首輪とサイハイソックス。
ピンと勃った乳首、膣液を垂らす秘部。
おそるおそる顔を上げるが、周りの人間達は皆服を纏っている。
「!?!?」
私を襲う背筋が凍るような感触。
咄嗟に局部を隠そうとするが手錠の金属音が鳴り、腕が動かない。
(元の世界に戻ったけど……恰好は変わってない……!!)
そんな変態な姿の私を見て、学校の児童たちは一様に引いている反応を示している。
「みっ、見ないで! やだぁ!」
ポケモンの世界でも大勢に見られたが、今度は訳が違う……!!
私は羞恥で顔を真っ赤にし、外へ向けて走り出した。
「あううっ!?」
「帰ったら駄目だ、ルーア」
しかし教師に二の腕を掴まれ、私は身動きが取れなくなってしまう。
「離してえっ!」
「先生、どういうことですか?」
「ああ、この子はルーア。当学校に通うべき児童だ。しかしずっとズル休みをしていて学校に来ていなかったんだ。だから皆が知らないのも無理はないのだよ」
暴れる私を掴んだまま、教師が周りの児童たちに伝える。
(ず……ズル休み……!?)
「彼女の両親とも相談した結果、強制的に学校に通わせることに決まったのさ」
「やだっ! そんなの知らないっ!」
「ガウー……」
私は裸を晒したまま叫ぶが、ポケモン達も憐れむような目を向けてくる。
「ルーアっていう子の……その変な格好も罰なのでしょうか?」
「いいや、これは彼女自身がやったそうだ」
「なっ……!?」
私をジロジロ見ながら言う児童に対する教師の回答に私は表情を歪めた。
だけど言い訳が出来ない……! 実際にこれは私がやった格好なんだから……!
「本当の変態じゃない」
「ずっとズル休みとか嫌な奴」
「チィチィ!」
「う、うああっ……」
軽蔑するような視線を四方八方から向けられ、私は涙を流す。
(嫌だ……こんなの嫌だ……!)
「皆、そんな酷い事を言うものじゃない。ルーアはこれから学校の一員なのだから仲良くするんだぞ」
「帰る……! お願いだから離してよおっ……!」
「やれやれ、手がかかりそうだな。ウツボット、彼女を教室まで運んでくれるかい」
「キギィ」
「やめてえっ!」
教師のモンスターボールから飛び出たウツボットはツタを私に絡みつかせて持ち上げた!
「仲良くって言われてもねぇ……」
「あんまり近付きたくないかな……」
「ピピピィ」
ツタに捕らえられ裸のまま運ばれる私を児童やポケモン達が見上げてくる。
(こんな……こんな事になるなんて……!)
「と、いうことでずっと学校に来ていなかったルーアがこうしてクラスに戻って来ました。さあ、クラスメートの皆に自己紹介を」
大きな窓から入り込む日光、沢山の学校机、大きな黒板に壁に貼られたプリント類、児童たちの用いる棚。そんな教室にいるのは教壇に立つ教師、着席した数十人の児童や彼らのパートナーポケモン達。そこまでであれば至って普通の教室の光景であろう。
「……っ」
その中にいる、明らかに異質な存在。
この場の人間の中では唯一、服も下着も身に着けず胸や尻、股間まで晒している。ポケモン達は全裸ではあるが、その人間はサイハイソックスとロングブーツのみ身に着け異様そのもの。首輪と手錠をかけ自由を奪われたその姿はまるで奴隷。身体をいやらしく捩らせる度に長い銀髪が揺れ動き、青い瞳からは涙が流れ続ける。
「わ……っ、私っ、るっ……ルーア……っ」
そう、私だ。
教室にて、クラスメートたちの前で変態的な姿で立っているのは間違いなく私なのだ。
「……っ!」
注がれる視線に私はガクガク身体を震わせる。しかしいずれもが困惑、軽蔑、嘲笑といった感情を纏わせたものだ。せめて一人ぐらい、いやらしい視線でも向けて欲しい……!!
「自己紹介だから他に話す事はないでしょうか? 皆ルーアのことを知りたがっている筈です」
「……っ」
教師に言われるが私はブンブン首を振る。
(こんな状態で何を話せばいいかなんて、思いつく訳ない!!)
「質問いい? なんでそんな恰好してるの?」
「えっ!?」
その時、クラスメートから問いかけられ私の肩が跳ね上がった。
(本当のことなんか言ったらずっと変態扱い……そんなの嫌だ……!)
「わ、わたっ……っ! すぐにでも普通の格好に……戻りたい……っ!」
「えー? 自分でその恰好したんでしょ?」
必死に嘘をつこうとするが、そう言われて言葉に詰まってしまう。
「なんで裸なの、恥ずかしくないの? 私は人に裸見せるの恥ずかしいよ」
「うっ……」
「首輪と手錠も自分でやったって、おかしくない?」
「……」
クラスメートから続けて尋ねられ私は汗まみれになりながら俯いた。
何も答えられないまま、そんな状態が数分も続きクラスメートがしびれを切らす。
「……分かった、答えたくないならもういいよ」
「……」
呆れた声音で言われ、私はキュッと口を締める。
「僕からも質問でーす、元気なのになんでズル休みしたんですかー?」
「っ!!」
続けて問われ、私は俯いたまま目を見開いた。早まっていた動悸が更に激しくなり、息が苦しくなる。
(嫌だ、嫌だ、嫌だ……!!)
「……うええっ……」
「ええっ?」
その場に蹲って泣き出す私に、質問したクラスメートは訳が分からないと言った様子で困惑。
「先生、これじゃ何も分かりません……」
「うーん……困ったなあ」
そんな会話が聞こえて来る間も、私はただ泣き続けることしか出来ない……。
もう何回目の『逃げたい』って感覚だろう。
(苦しい、辛い、こんなこと考えたくない、楽になりたい……!)
ブブブ……。
姿勢を丸めたことで耳に届く振動音。
「……っ♡」
四面楚歌な状況の私に、味方がいた。
幸せにしてくれる……バイブが。
「んあっ♡」
腰を振るだけで快感が何割増しにも上がる。垂れ落ちた愛液が教室の床に水溜まりを作る。汗まみれの涙まみれの上に、更に涎までが垂れてくる。
「あひっ♡ あんっ♡」
「ガガウ?」
「どうしたのデルビル? え、変な声?」
快楽を求める腰の動きは収まるどころかどんどん早まり、喘ぎ声も抑えられない。
ダメ……嫌なことから逃げるために、もっと幸せが欲しい……もっと気持ちよくなりたい……!
視線を動かすと教室に一つだけ誰も座っていない席……私の席がある。
これだ……!
「うわっ!?」
「クルルル?」
「何をやるつもりだ……?」
私は周りの視線も気にせず、自分の席に走り寄ると机の角に股間の割れ目を当てた!
「んあああっ♡」
その途端、津波のように押し寄せた快楽に私は上半身を仰け反らせる。
「何やっているの!?」
「ピピッ?」
「気持ちいいっ♡! これ、気持ちいい♡!!」
周囲からの視線を浴びながら私は何度も割れ目をなぞらせ嬌声を上げる。
(オナニー見られてる……同じ年齢のクラスメート達に見られてる……!!)
自ら変態だと認めてしまった恐怖と興奮で感度が跳ね上がり、乳首とクリトリスが勃起してしまう。
「おおおっ♡」
机の角に割れ目を擦らせる途中でクリトリスにもぶつかるたび、快楽の暴力で脳内が蹂躙される。
「こらルーア、やめなさい!」
「狂ってるんじゃないのか……?」
「ニャアニャア……」
叱って来る教師と顔を強張らせるクラスメートやポケモン。
そうだ……自己紹介の途中だった……。
「あっ……あのねっ……♡」
「え?」
最初に質問を投げかけて来たクラスメートにだらしない顔を向ける。
「この格好、私大好きなんだよっ♡ 小さなおっぱいも、大きなお尻も、いやらしいおマンコも隠せないの恥ずかしいよっ♡ 首輪もバイブも好きぃ♡」
「……っ」
涎を垂らしながらそう叫ぶ私に、彼女は顔を青ざめさせて後退り。
「そ、それとっ……♡」
「うっ」
続けて別の質問を出したクラスメートにも紅潮したアヘ顔を晒す。
「私♡ ズル休みしてずっとこんな風にオナニーしてたっ♡ 部屋でおマンコクチュクチュしてたエッチで悪い子だよぉ♡ 夜中にこんな格好で露出もしちゃう変態だよぉ♡」
「ひ、ひいっ」
腰を動かすペースを上げながら叫ぶ私を見て、彼は腰を抜かしてしまう。
「本当にヤバイ奴だぞ……!」
「ガウガガウッ……」
「ちょっと先生! こんなのクラスに置いてていいんですか……!?」
「えーと、それは……」
「ピーピーッ!」
「もう無理! 気が変になる!」
大喜びする私の周囲で、それ以外の者達は狼狽え始め中には教室から逃げていく者も。
「わ、わたひ……♡ 本当に、独りなんだ……♡ 元の世界に、戻っても……♡」
どんどん人間もポケモンも去って行く教室。それでも性欲に従うままオナニーを続けている内に、いつの間にか私一人だけになっていた。
「ああっ♡ 気持ちいいぃ♡ イッちゃうぅ♡ もうすぐイッちゃうよぉ♡」
泣きながらそんな宣言をするが、当然聞く者は残っていない。それでも快感のため、幸せのため、苦しみから逃れるため、勢いよく机の角に割れ目をなぞらせた!
「イグゥゥゥゥゥ♡♡♡!!!」
潮噴きと共に私は絶頂し、机と床がぐしょぐしょに汚れていく。
「あ、あっ……はぁ、はぁ、はぁ……」
荒く息をし、ふらつきながら机から離れる私。
(気持ち良かった……やっぱりオナニー最高……)
幸福感に包まれながら周囲を見るが、私のぼやける頭の中で違和感が生じる。
暗い。
先程まで日光が差し込んでいた筈の窓はガラスが割れており、その先は黒と紫の霧で覆われていた。点いていた筈の電灯も壊れており、光の無い教室内は夜のよう。黒板や棚、机もボロボロだったり埃塗れだったりと、廃墟同然だ。
「……あれ? 誰か……いないの?」
心細くなり呼びかけると、ギギギィ……と重い音を立てて教室の扉が開いた。しかし、廊下から現れたのは不気味に蠢く闇の触手。私が危険を感じた瞬間には、既に眼前まで迫って来ていた。
「うわっ!?」
昇降口の時と同様に触手に絡みつかれた私は暴れる間もなく廊下を満たす闇の中へ引きずり込まれた。
児童やポケモン達の話し声が聞こえる明るい廊下。廊下の両脇に並ぶ彼らの間には一本の紐。宙にピンと張られた紐は廊下を縦断するように設置されていた。
「それじゃあウツボット、そのまま降ろして」
「ギギキィィ」
ウツボットのツルで吊るされた私の身体がどんどん床に向けて降ろされていく。
「……っ」
同様に、張られた紐に近付いていく私の股間。
そしてツルが私の身体から離れると同時に、股間に紐が食い込んだ!
「はうああっ♡♡!!」
自らの体重で股間に紐が入り込んでくる感覚に私は悲鳴を上げる。これだけでも頭がおかしくなりそうなのに、今は爪先立ちをしている状態。
もし踵を下ろしてしまおうものなら、更に股間に紐が食い込んでしまうだろう。
「それじゃあルーア歓迎会を始めます」
「っ!?」
代表のクラスメートにそんな事を言われ、私は狼狽。
(一体いつの間にこんな事に!? 歓迎会って何!?)
「では皆さん、歩いていくルーアを迎えてあげてください」
「あ、歩くって……!?」
それはつまり、廊下の端まで伸びる紐を股間に擦りつけながら、多くの視線に晒される中歩けという……?
「ウツボット、『つるのムチ』だ!」
「ふぎゃあ!?」
お尻を鞭で叩かれ私は悲鳴を上げる。
「皆待っているんだぞ、早く歩きなさい」
「ひ、ひいっ!」
再び振り上げられる蔓に私は表情を歪ませ、慌てて足を前に出す。
「んんっ♡!」
それにより股間が縄で擦られ快感が襲ってきた。
「ねえ、どうしてあのルーアって人裸なの?」
「あの格好が好きなんだってさ」
「ニャアニャア……」
「こんな変態な歓迎会、初めてだな」
「ルーア自身が望んだらしいよ」
「チィチィ」
喘ぎ声を上げながら股縄状態で歩く私を見て、両サイドからそんな声が聞こえてくる。私が生粋の変態だという噂が広まったのか、誰しもが見下すような視線を向けて来ていた。
「あううっ!?」
「足が止まっているぞ」
再び『つるのムチ』で叩かれ、私は泣きながら再び歩き出す。
(痛い! 苦しい! 辛い! 気持ちいい……!!)
「……っ!」
しかしすぐに足を止めてしまう私。
股間の前に紐の結び目……コブが作ってあったのだ。
ただでさえ気持ち良すぎるのに、このまま進もうものなら私の股間をコブが……!
「ウツボット、『つるのムチ』!」
「あぎぃ!?」
三度目の鞭を受け、私は痛みから逃げる為本能のままに足を進めた。
グチュリ。
「んひぃぃぃ♡♡!!??」
膣口をコブが蹂躙し、私は歓喜の絶叫を上げた。自分から擦りつけたにも拘らず、そのあまりにも乱暴な快感に私は意識が飛びかけてしまう。
「うわあ……見てあの顔」
「本物の変態っているんだねえ」
「ブゥ」
まだ全体の一割も進めていない私は先の様子を見て絶望。なんと先程と同じようなコブが大量に作ってあるのだ。ゴールまで辿り着く間に先程のような快感を何度、自分から受けに行かなければならないのか。
「キギキィ」
「はぎゃあっ!? 痛いっ! 痛いよぉ!」
何度も鞭で打たれ、私は泣き叫び歩き出す。
「あんな変態、もっと沢山鞭打てばいいのに」
「どうだか。どうせ喜ぶだけだぜ?」
「カメカメ……」
歓迎ムードとは程遠い、侮蔑の声を浴びながらひたすら私は歩く。
コブ。鞭。鞭。コブ。コブ。鞭。
「あひぃっ♡♡ はひぃぃぃ♡♡」
何度も訪れる快感と激痛により、私は舌を出したまま嬌声を上げた。
「壊れちゃったのかしら」
「壊れてるのは最初からじゃないですかね」
「チチチィ」
私が通った後の縄は愛液に塗れ、糸を引きながら床へと垂れている。
半分程度まで辿り着くも、ずっと爪先立ちしていたせいで脚はガクガク震え限界を迎えていた。
「こらルーア! 足を止めるなと何度言ったら分かるんだ!」
「んぎぃぃ♡!」
もはや痛いのか気持ちいいのかも分からないまま、私は進もうとする。
しかし遂に脚が耐えられなくなり、踵が床へ落ちてしまった。
グチュチュゥゥ!
「あうああああああああん♡♡♡!!!」
丁度コブに当たっていた時に身体が落ちたせいで、膣の更に深い部分まで結び目が入り込む。
再び爪先立ちに戻ろうにも、足がもう持ち上げられないぐらいに痛い。
「いつまでやるんだろ」
「もうずっとズル休みして一人でやってればいいのに」
「ピィピィ」
必死な私に対し、周りはそんな冷めた反応をして来る。
(気持いいのに苦しい! 辛い! 悲しい!)
完全に足を止めた私に何度も鞭が振り下ろされるが、もう限界だ。
「あうぅ♡ んはあっ♡」
私はただその場で腰を動かす。
その度に膣内に入ったコブが暴れ回り、快感が全身を駆け巡った。暴風雨のような荒れ狂う刺激に晒される私は、ただそれを受け入れることしか出来ない。
(気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい!!)
「んあああああっ♡♡♡!!!」
再び潮噴きし、体を仰け反らせながら達する私。
絶頂の余韻を楽しむかの如く、何度も身体が痙攣する。
「う……っ」
しかし私はまた鞭で打たれるのではとすぐさま振り返った。だが私の危惧に反し、誰もいなかった。私を蔑んでいた児童たちも、ポケモン達も、教師も。
ここにいるのは、暗い廊下にピンと張られた紐に跨る私ただ独りだけ。
「……っ?」
転ばないように注意しながら足を持ち上げ、股縄状態から脱した私はしきりに辺りを見渡す。
一体何がどうなっているのだろう。
もしかして今の私は絶頂して気を失った後、夢を見ている状態……?
いや、逆に……。
落ち着いて思考できる時間も束の間。
すぐ傍の扉が開け放たれ、私は伸びて来た触手に捕まってしまう。
ああ、また闇に呑まれる……。
皆に嫌われる……。