※この作品はR-18です。

裸の少女とポケモンだけが住む世界   作:Momyaka

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Chapter71 ~気高く沸き立つ者達~

 

 『双獄の嶽』の山頂でテツノブジン達と激突する救助隊達を残し、遂に山の中へと突入する私達。

 

 外は雪が積もる極寒の地であったが、ダンジョン化で生まれた通路を進むほどに熱気が強くなる。そして一つの広間に到達してヒバニー達が驚きの声を上げた。

「なんだありゃ!? 冒険譚に出てきたマグマってのか!?」

「雪だらけだった外とは大違いね……」

 まるで滝や川のように流れている、オレンジ色に発光する大量のマグマ。煙を上げながらグツグツと煮え滾っており、近づいただけで火傷してしまいそうだ。

 

「パラドックスに捕まったマホイップはん達……それに『世界の狭間』と繋がるゲートはどこやろか。一番奥か?」

「テツノツツミ殿の話によれば、"げぇと"はそのようでござる。しかし彼らが捕らえたポケモン達はとある部屋に閉じ込められているらしい」

 合流したばかりのキングラーに問われ、ゲッコウガが周囲の警戒を続けながら答える。

 

「ゲートとマホイップ達の場所へ向かうルートが別々な可能性も高いが……別行動を取るのは危険であろうな」

「ああ。テツノイワオは火口から出てこなかったし、一部のパラドックスはまだこの『双獄の嶽』内部に残っているだろうね」

「時間かけて大丈夫かな? 山頂で戦ってる皆は……」

「心配無用だなぁ。ピクシーやママンボウ達……各都市の医療所ポケモン達も同行してるんだぞぉ」

 進んできた道を振り返るアシマリへチャオブーが笑顔で伝える。それならば、ダメージを負っても回復出来るし安心かもしれない。

 

 

「ねえエンペルト。山頂では聞きそびれたけど、どうやって今回の事態を知って、遠く離れた『サマーリゾート』からここまで来れたの?」

「歩きながら説明しよう」

 ランクルスに問われ、エンペルトは歩き出したルカリオ達の後を追いつつ口を開く。

 

 エンペルト達の話によると、パラドックス達の襲撃は規模は違えど『ウィンターキャッスル』以外の都市でも受けており、救助隊連盟が緊急会合を開こうとしていたようだ。そこに現れたのが『L・G・P』からの手紙を持ったガブリアスであり、彼女は超高速で飛ぶ能力を活かして各都市へ情報を届けていたのだ。

 

「『颶風の砂漠』もパラドックス達の襲撃に見舞われてたみたいなの。ネイティオを頼って予言に従ったらルカリオ達と会えた……ってガブリアスが言ってたわ」

「俺達の知らない所で皆動いてたんだなぁ」

 テールナーの補足にヒバニーが感嘆した様子を見せる。

 

 そして『ウィンターキャッスル』のポケモン達や『L・G・P』、『メロエッタ劇団』等がパラドックスを止める為に『双獄の嶽』へ向かうと聞いて、各都市のポケモン達は満場一致で助けに行く事を決めたらしい。レジアイス達は援軍が来る事を伝えられると、『双獄の嶽』の前に『記録装置』を埋めることにしたのだ。

 

「記録装置って、いつか聞いたわね」

「ネイティオテレポート店、安全なテレポートのため、座標指定の道具」

「はい、その通りです。そしてネイティオが各地のネイティ達を集結させて、大規模かつ長距離のテレポートを行えるように準備してくれたんですよ」

 顔を見合わせるチコリータとアノホラグサに説明するアマージョ。援軍が『スプリングタウン』などからこの『双獄の嶽』まで短時間で来られた裏にはそんな尽力があったからなのだ。

 

 

 

「そんなに頑張ってくれたのなら……期待に応えたいよねっ!」

「イエス! 正義のパワーでこの世界も、ライコ達もパラドックス達もレスキューだ!」

 オオタチに頷きつつ、イルカマンは拳を上方に向けて『ジェットパンチ』を発射する!

 

「ドルルル……ッ!!」

 何事かと思いきや、水泡のグローブを食らったマグマのような何かが悲鳴を上げながら落下して来た。

 苦しそうに起き上がるソレは、赤い高熱の体のあちこちを黒装に覆われてしまっている。

「この地に住むポケモン、マグマッグでちゅね」

「黒装から解放させたほうが良さそうだね」

 

 ピカチュウとアシマリが戦闘態勢に入り、技の準備を始めたその時。

 

 

 

「待て! その者は囮でござる!!」

 咄嗟に前に出たゲッコウガがどこからか畳を出現させ『たたみがえし』を繰り出す。

 その直後、真空を切り裂きながら飛んできた『エアスラッシュ』が畳を真っ二つにしてしまった。

 

「ホワッツ!?」

「あっちだ! マグマの向こうに……!」

 ゲッコウガのお陰で守られたものの、不意を突かれて狼狽するイルカマンの隣でインテレオンが指差す。

 

 

 

 マグマの河の向こう岸……噴煙の中で浮かんでいたのは黒一色の存在。角張った複数の翼、顔のようになっている両手……。

「パラドックス……テツノコウベです!」

 ドータクンが私たちへ注意を促す。やはり全てのパラドックスが外へ出ていった訳ではないのだ!

 

「サザンドラって種族に似て……うわっ!?」

「『まもる』……うぐぐっ」

 テツノコウベは漆黒の『あくのはどう』を私達目掛けて発射。ランクルスが素早くガードしてくれたが、威力が強烈故に完全な無効化は出来ていない。

 

「むう……ここからでは『ばくおんぱ』も『スケイルノイズ』も届かぬか。かといって近付くことも出来ぬ……」

 反撃に入ろうとしたジャラランガであるが、相手はマグマの河の向こうにおりどうにかして渡らない限り接近戦は不可能だ。

「飛べるボクが……って、あちちち!?」

「無茶したらダメよチルタリス!」

 チルタリスが羽ばたいて向こう岸に渡ろうとしたが、マグマから放たれる熱気で火傷してしまい慌てて戻って来た。

 

「ドルルルッ!!」

「新手か、厄介だな……」

 新たなマグマッグも通路から現れ、エンペルト達が対処に入る。『双獄の嶽』内部に入ったばかりだと言うのに、早速状況が悪くなりつつある……!

 

「『はっぱカッター』! ……あっ!?」

 チコリータが得意の遠距離攻撃技を使うが、テツノコウベに届くことはなくマグマの熱気で焼け落ちてしまう。アシマリも『みずでっぽう』を試すが、残念ながらこちらも蒸発してしまった。

 

「それなら、ほのおタイプの俺が……!」

 仲間達が悔しそうにするのを見て、ヒバニーが力強い一歩を踏み出す。そして彼はなんと流れるマグマの中に入り込んだ!

「ええっ、平気なんですか!?」

 後ろでオーマが驚愕するのを気にせず、ヒバニーはマグマに半身を埋めながらテツノコウベへと近付いていく。確かに彼なら、一方的に攻撃してくるテツノコウベを止められるかもしれない。

 

 

 ……接近を邪魔されなければ。

 

 

「ぐあっ!?」

「ヒバニーくん!?」

 突如ヒバニーが隆起した大地に打ち上げられ、マグマの上に落ちてしまう。まさかマグマの中にあるワナでも踏んでしまったのだろうか。

「あいつが『だいちのちから』を使ったんだ……! 接近さえ許さないって訳かい……」

 インテレオンが苦々しげに見つめる中、テツノコウベは『あくのはどう』を発射しランクルスの『まもる』を破ってしまった。

 

 一体どうすれば……。

 

「……あ、大変!?」

「早く起きて! 流されるわよ!」

 そしてマグマの河の下流へ駆けていくチコリータ達。視線を向けると、なんと目を回したヒバニーがどんどんマグマに運ばれているではないか!

 

「うわわっ! あ、『あつまれだま』を……」

 私は咄嗟に、逸れた仲間を呼び寄せるふしぎだまをランドセルから取り出し発動する……が。

 

 

「あれ?」

「なんだって!?」

 何故か『あつまれだま』は効力を発揮せずに消滅してしまい、隣にいるインテレオンも驚いた様子で目を見開いた。何が起きたのか分からないが、それよりもヒバニーがピンチ……!

 

 

 

 その時、飛んできた光弾が私の身体に当たる。

「……え?」

 

 ポカンとするのも束の間。

 

「……わっ!?」

 突如私の身体が勢い良く吹き飛ばされ、マグマの河を越え岩壁に激突!

 

「……!?」

 私はそのまま地面にずり落ち、痛みで身体を震わせる。一体何が起きたのかと視線を動かし最初に見つけたのは、宙に浮かぶ黒色の存在。

 

「ヴィィィィン……」

 機械の音のような鳴き声を上げ、紫に光る六つの目を向けて来るその者はテツノコウベ。

 更に視線を動かすと、マグマの河の対岸にインテレオン達がおり、それに加えて『ふきとばしのえだ』を持つ大柄なポケモンの姿も。あれはハリテヤマ……否、ハリテヤマの身体を奪ったパラドックス、テツノカイナだ!

 

(マグマの向こう岸に、私だけふっ飛ばされた……!)

 

 おそらくテツノカイナは物陰に潜んで、私とインテレオン達を分断する機を探っていたのだろう。テツノコウベとの戦闘に気を取られ、ゲッコウガやドラミドロも気配を探る余裕が無かったのだ。おそらくマグマッグ達を誘導したのもテツノカイナの仕業だろう。

 

「ワタシは仲間を救う事を望んでいます。それを妨害する行為は好ましい選択とは言えません」

 テツノカイナは淡々と述べながら懐からふしぎだまを取りだす。

「まずいぞ! あれは『はらいのけだま』……オイラ達をワープさせる気だなぁ!」

「このっ……!」

 テールナーは『さしおさえ』を展開して道具の使用を阻止しようとするが、生み出した力場はテツノカイナまでギリギリ届かない……!

 そしてテツノカイナが掲げた『はらいのけだま』が光り出す……もう発動を止めるのは不可能だ。

 

 インテレオン達の体が白い光に包まれ出す。このままでは彼らは別の場所に飛ばされ、離れた場所にいて『はらいのけだま』の効果が届かない私だけが孤立してしまう……。

 

 そうしたら守って貰えない……。

 

 

 

 ……私は守られないと何も出来ないのか?

 

 いや。

 

 守られるだけなのは、嫌だ!

 

 

 

「ウィ!?」

 私はランドセルから射出した『てつのハリ』をテツノコウベのラインに撃ち込むと、続けて縞模様のスカーフを取り出して自分の首に巻いた!

 

「みんな、心配しないで! 私、みんなと合流できるように一人でも頑張るから!」

「ルーア……!」

 私が大声で伝えると、白い光と共に姿を消しつつあるインテレオンが目を見開き……。

 

 

「……分かった! 僕もキミを見つけ出してみせる!!」

 力強い返事を残し、ワープしていなくなるのであった。

 

 

「ウィィィ……」

 邪魔者がいなくなった事を確認したテツノコウベは、私を捕らえるため視線を向けて来る……が、計算外の事態を前にして動きを止めた。

 

 『はらいのけだま』の範囲外にいた私の身体が白い光に包まれ始めていたから。

 

 

(皆が頑張ってるんだもん……私も、私なりに頑張らなきゃ……!)

 

 

 そして視界が白く染まると同時にやって来る浮遊感。幾秒かの後、浮遊感と光が収まると目の前にはもうテツノコウベもテツノカイナもいなくなっていた。

 私が首に巻いたのは以前『ゆけゆけズ』から託された『ワープスカーフ』だ。装備しているとあちこちにワープする道具であり窮地から脱するには有効な道具である。

 

(さてと……早速インテレオン達を探さなきゃ)

 スカーフをランドセルの中にしまい、私は辺りを見渡す。ここは火山内の小規模な広間のようで、ポケモンの姿は見当たらない。

 

 安全を確認した私は石に躓いたり罠を踏んだりしないよう、落ち着いて広間を出て通路を進み始める。

「……」

 待ち受けるのは舗装されている訳ではない足場の不安定な通路。それを私はインテレオン達に頼らず、一人で必死に突き進む。手錠で後ろ手に拘束された格好も、悪路を歩く為の設計になっていないロングブーツも、確かに歩き辛いものの何ヶ月もずっとこのままであれば多少は慣れるというものだ。

 地面の窪みを大股で乗り越え、壁から突き出した岩の下を潜り、火山ガスが噴き出る地点を急いで走り抜ける。もしかしたら皆はパラドックスとの戦闘など、もっと大変な思いをしているかもしれない。

 

「……♡」

 

 だから、ダンジョンの中を歩くだけで泣き言など……。

 

「……あ、う♡」

 

 泣き言など……。

 

 

「ひゃうぅぅ……♡」

 私は通路を抜けるなり、身体を痙攣させながらその場に屈み込んだ。脚を大きく動かした分、クリトリスに嵌ったリングが擦れて気持ち良くなってしまったのだ。

 インテレオン達がいれば彼らの話を聞いて、性欲から気を逸らすことも不可能ではないが生憎今は私一人。むしろ膣内で微振動するバイブに意識を集中させてしまい増々性欲が強まる。

 

「……っ、……♡!」

 屈み込んだ体勢のままビクンビクンと何度も震える私。立ち止まっている場合ではないのは分かっているが、子宮がキュンキュンするし、両手もオナニーするのを望んでいるのか手錠を激しく鳴らしている。

 

 やはり私の体内に蓄積された瘴気を少しでも幸せで中和したいと、身体が悲鳴をあげているのだ。

 

(インテレオンのオチンチン……欲しい……っ)

 更に頭の中にまで本心の望みが現れ、私は涎まで垂らし始めた。我慢出来ずに腰を小刻みに動かすとクリトリスの根元が更に刺激され喘ぎ声が抑えられなくなる。

 

「んうっ……♡ あっ♡」

 

 止めようにも『あかいビードロ』は失ったままで、増大していく性欲に抗うことが出来ない私は一度絶頂してしまおうかと頭の片隅で考え始めた。

 ひとりぼっちで我慢し続けていても、性欲が解消出来ずに苦しむ時間が延びるだけなのだから……。

 

 

 ズプリ。

 

「んひゃあぁぁっ♡♡!?」

 突如、ランドセルから出てきたディルドが私の膣に突っ込まれる!

 無意識の内にランドセルに念じてしまったのかと思いつつも、私は大人の玩具をランドセルに戻すよう念じる事が出来ない。

 

「いいよぉ……♡ これも好きだよぉ……♡」

 インテレオンとの本番は頭が狂いそうになるぐらい強烈な快感でとても気持ち良いが、自分のペースで気持ち良くなれる上に慣れ親しんだ自慰も堪らない。

 

 そんな私の喜びに呼応するが如く、ディルドは容赦なくピストン運動を行って私の敏感な膣内を蹂躙し始める。

 

「いいっ♡ おマンコぐちゃぐちゃにされるのいいっ……♡!」

 全身から汗を噴き出しながらオナニーをヒートアップさせていたその時。

 

 

 

「え……ゔぉ……ッ!」

「!?」

 背後から苦痛に塗れた声が聞こえ、咄嗟に振り返るとそこには体のあちこちを黒装に覆われたポケモン……イーブイの姿があった。

 いつまでも自慰に耽っていたせいで接近に気付けなかったのだ……と後悔するも既に遅く、イーブイは激しく吠えながら飛び掛かってくる!

 

「んぎゅ……っ♡!!」

 急いで地面を蹴ってイーブイの攻撃を回避するが、激しい動きで再びクリトリスリングが擦れて快楽が強まる。

 こんな状態では道具を使って撒くことも難しいだろうと私は逃走を開始。当然イーブイは追いかけてくるが、黒装が苦しいのか時々立ち止まり掻き毟る仕草を見せる。

 

「んはあっ♡!! あひいっ♡!!」

 しかしこちらも性欲が高まった状態であり、走るペースがかなり遅い。本心では絶頂したくて堪らずディルドも依然挿抜を繰り返しており、通路に大量の膣液を落としながら駆ける姿は変態そのものだ。

 

「エヴォォ!」

「ひゅぎゅっ♡!」

 イーブイの飛ばした『スピードスター』が身体にぶつかり私は悲鳴を上げる。鮮烈な痛みが走り、まるで鞭を打たれながら走らされているようだ。

 

「も、もうらめっ……もうらめぇぇ♡♡」

 それでも転倒せずに必死に逃げ続けていた私だが、何度も子宮口までディルドを突き込まれる快楽で限界が近付いていた。

 

「エヴォッ!!」

 そして『スピードスター』が丸々したお尻に当たる。

 

 

 

「あああぁぁん♡♡♡!!!」

 

 痛みと性感の波状攻撃で遂に限界を迎えた私は何度も身体を痙攣させてその場にへたり込んだ。

 

 

 

「エェヴォヴォォォ!!」

「……っ!」

 当然、私が絶頂したからといってイーブイが追撃の手を止める筈はない。

 

 けれど私だって、一度絶頂した後も性欲に狂っている場合ではない事ぐらいは分かっている……!

 

 

「エヴォ……ヴォ!?」

 ランドセルから素早くえだを取り出して光弾を当てると、イーブイは白い光に包まれて姿を消す。ピンチであったが、『ワープのえだ』のお陰でどうにか凌げたようだ。

 

「……行かなきゃ」

 まだ誰とも合流出来ていない状況は変わっていないため、私は再度立ち上がって『双獄の嶽』の中を歩き出す。股間が愛液でびしょ濡れだがいちいち拭いている暇はない。

 

(それにしてもさっきのイーブイって……『レジアイスのギルド』にいた救助隊『ミラクルズ』じゃ……?)

 確かベロリンガ達『ちゃんこ』と共にこのダンジョンへ向かい、行方不明になったとの話だ。瘴気が固形化して体表に現れる状態になっていたということはやはりパラドックス達に捕まって瘴気を流し込まれたという事だろうか……。

 

(そうなると私達を逃がす為にテツノイワオに立ち向かったマホイップも……)

 心配しながらも急いで通路を進んでいると曲がり角が見えてくる。私はその手前で立ち止まると先に危険がないか覗き込み……。

 

 

 顔面に蹴りが迫る!

 

 

「!?」

 突然の事に思わずバランスを崩した私は尻餅をつき、頭上では何者かの脚がピタリと止まる。

 

「ルーア! ごめんなさい、敵だと勘違いしてました」

「あ……」

 驚いていたのは私だけではなく蹴りを放った相手……『ロイヤルズ』のアマージョも同様であった。

 

「ルーアちゃん無事だったんだねっ、良かった良かった!」

 足を下ろすアマージョの後ろから近付いてきたのは『エキサイト』のオオタチだ。『はらいのけだま』でワープさせられた彼女達だが、いち早く合流に成功したらしい。

 

「テツノコウベって奴のせいで逸れた後に合流したのはあたし達が最初か?」

「トワもいたんだね……うん。イヴ達ともインテレオンとも会えてないよ」

 それに加えて灰色肌の少女、トワが私を起こしてくれる。他の仲間達の行方は心配であるが、彼女らと再会できたのは僥倖だろう。

 

「ごめんねルーアちゃん、一人で心細くなかった? 黒装に覆われたポケモンやパラドックスは道具を使わないから対処が遅れちゃって……」

「あのハリテヤマは厳密にはハリテヤマではなく、テツノカイナという者だとあたしも聞きました。道具を使って仲間達のサポートをする厄介な相手ですね」

 オオタチ達は後悔するように俯いて言う。ダンジョンが生成する道具は強力な効果を持つ物が多く私もよく助けられているが、それは敵が持てば相当な脅威になる事も意味しているのだ。またテツノカイナと遭遇する可能性は充分にあるのだから警戒が必要だろう。

 

「こっちこそ心配かけてゴメン。それで、この後はどうするの? 皆と合流を目指す?」

「はい。きっと皆、奥に行けば仲間と合流出来ると考えていると思います。なのであたし達も奥を目指そうかと」

「『あつまれだま』とかは誰も持ってない?」

「いえ、使ってはみたのですがルーアが使った時と同じで効果を発揮しなくて。噂だとカクレオンは『あなぬけのたま』の効果を消すオソロシイ能力を持っていると聞いていますが、このダンジョンも似たように特定の道具を無効化する力があるかもしれません。大変ですが歩いて探すしかないようです」

 私の質問に答えながらアマージョは再び先頭に立つ。エンペルト達と逸れている状況だが悲観している様子はなく、仲間との再会を疑っていない力強い光がその瞳に宿っていた。

 

「……」

 そんな彼女に続いて歩き出すのはトワだ。その表情は暗いという程ではないが、何か思案しているように見えた。

「殿は任せてねっ、じゃあレッツゴー!」

 最後尾に立ったオオタチに急かされるように私も歩き始める。通路を通り、幾つもの広間を抜け、ダンジョンの地下へ地下へと降りていく。

 

 

 

「おほほほっ、『ふみつけ』です!」

「ギッ!?」

 立ち塞がるヤクデの背中……黒装のラインを的確に踏み抜くアマージョ。剥がれ落ちた黒装が瘴気を噴出させ始めるが、トワの力で防御膜を纏ったアマージョは平然と黒装を蹴り飛ばした。

 

「なんだ、苦しいのが楽になったぜ……って、それよりも俺達の住処を荒らす奴は……ゲホッ!?」

「ごめんねーっ」

 黒装から解放されたヤクデは凶暴化による敵意で襲いかかろうとするが、オオタチの『みだれひっかき』を浴びると目を回して倒れる。本当ならここでリライブしたいのだが、限界が近い私が瘴気を取り込む訳にはいかない。ヤクデには申し訳無いが、凶暴化したまま放置するしかないだろう。

 

「よいしょ、と」

「おほほ、ありがとうございますトワ。あなたのお陰で瘴気に悩まされずに済んでいますよ」

 取り込んでいたアマージョを素早く解放するトワ。そんな彼女にアマージョはいつもの様子で高笑いしながら礼を述べる。

 

「……そりゃどうも」

 肩を竦めトワは応じるが、その所作はどこかぎこち無いようにも見えた。

「だいぶ降りてきたね、地下15か……16階ぐらいかなぁ。ちょっと休もっか」

「賛成です。ダンジョン探索では体力の温存が肝要だとエンペルトから学んでいますから」

 熟練の救助隊達だからか、二匹共かなり落ち着いている。少し目を離したぐらいで自分達の仲間はヘマをしない……そんな信頼もあるのだろう。

 

「食事は如何です?『サマーリゾート』から持って来たきのみがありますよ」

「わぁ! 暫く帰れなかったから久し振りだよ、ありがとアマージョちゃんっ! ルーアちゃんは『ナナのみ』が好きだっけ?」

「ぶぶっ……『ブリーのみ』で……」

 アマージョがレスキューバッグから取り出したきのみを並べるのを見てオオタチが嬉しそうに言う。私はかつて『海底の地割れ』で痴態を晒してしまった事を思い出し、慌てて別のきのみを要求した。

 

「トワはどうです?」

「あー……」

 自分のポシェットから『フエンせんべい』を取り出しかけたトワだったが、笑顔のアマージョに勧められ手を止める。そして頭を下げ『パイルのみ』を受け取るとそそくさと壁際に移動するのであった。

 

「……」

「もくもくもくもく」

 私は『ブリーのみ』を咥えると、笑顔できのみを咀嚼するオオタチ達をその場に残してトワの下へ向かう。

「ニンゲン同士で話したい事でしょうかね」

「もくもく……私達はここで待とっか」

 そんなアマージョ達の会話が微かに耳に届く中、私は『パイルのみ』を見つめるトワの隣に座る。

 

 

 

「何か用かよ?」

「ん」

 私は『ブリーのみ』を一旦脚の上に落とすと、トワの問いに頷く。

「その……前と違ってポケモン達と仲良くするようになったんだね」

「……ま、争い続けるメリットが無いって分かったからな」

 酸っぱそうな表情をしながら『パイルのみ』を齧るトワ。その様子からも、確かにアマージョ達への警戒心は無いように見えた。

 

「……だけど分かんねえ事もある。なんであいつら、『サマーリゾート』で敵対したあたしを避けたりしねえんだ……。それに二つ返事であたし達の能力を使う事を了承したり、こうやって食いもんまで……」

 トワは溜め息をつきながら視線を落とす。確かに『蒼海晶洞穴』で目覚めた彼女はアシマリやアマージョを取り込むなどの行為を行い、指名手配されるまでの事態になっていた。それがこうして仲間として受け入れられている事に戸惑いがあるのだろう。

 

 

「オーマがポケモン達の為に頑張ってくれて……それを見たポケモン達が灰色のニンゲンに対する意識を変えてくれたから、かな」

「意識を変えた……」

 私が遠目にアマージョ達を眺めながら答えると、トワも彼女らを見つめる。

 

「私もね……『オータムビレッジ』って場所で辛い目に遭って、そこに住むポケモンを嫌いになりそうだったんだ。けどジャラランガ達が真摯に歩み寄ってくれたから、彼らがピンチの時には手を貸そうって思えたんだ」

「小さなきっかけで溝が埋まる事もある……って事か?」

 私はトワと視線を合わせるとゆっくり頷いた。

 

 

「だから心配しなくてもいいと思う。アマージョ達はトワに内心怯えてたり、いつか裏切ろうと考えてたりは無くってさ。いつか一緒に暮らせる日を夢見て仲良くしたいんじゃないかな」

「……そうかな」

 トワは今一度、アマージョから貰ったきのみを見つめて呟く。

 

 

 

「やっぱあいつらは……あたしの記憶にある連中とは違うのかな」

「へ?」

 彼女の言葉に私は思わず声を漏らす。

 

「記憶って……自分が何者か思い出せたの?」

「いや、あくまで夢で見た光景だ。だけどとても鮮烈で、過去とは何も関係ないとも思えねえ。夢の中ではポケモン達が襲い掛かってきて、あたしは武器を掴んで見たことも無い仲間達と共に戦ってんだ。後ろにいる知らない奴ら……沢山の灰色のニンゲン達を死に物狂いで守るためにさ」

 

 

 

 ポケモン達が襲い掛かってくる?

 トワは仲間の灰色のニンゲン達を守っていた?

 

 ポケモンと人間が敵対……それは聞いたことがある。

 

 

 ライコが語っていた、ポケモンと人間が憎み合い戦争を続けていた世界……悲しき争いの果てに瘴気が生まれた世界だ。

 

 もしかしてイヴやトワ、オーマがやって来たのは……。

 

 

 

「この問題が解決したら……『追放の遺跡』とかに籠もらず外に出掛けるのもアリかもな」

「……うん、素敵だと思うよ」

 当のトワが微笑を浮かべて言うのを見て、私も頷く。過去がどうであれ、どこの出身であれ関係はない……彼女がポケモンに歩み寄ろうと考えているのなら喜ばしい事だ。

 

 

「ルーアちゃん、トワちゃん。ご飯済んだ?」

「ああ」

「あ、ちょっと待って……んぐっ!?」

 そろそろ出発だと気付き、私は慌てて『ブリーのみ』を齧るが甘みと共に襲い来る渋みで意識が乱れる。

 ランドセルの力で浮かせていた『ブリーのみ』は私の身体に落下し、なんと黒色の果汁で胸元から股間までべったりと汚れてしまった!

 

「あーあ、何やってんだよ……」

 呆れた様子でトワはタオルを取り出し、私の身体からブリーの果汁を拭き取り始める。胸元を力強くゴシゴシと……。

 

「ありが……ふみゅ♡!?」

 感謝を伝えようとした刹那、敏感な乳首に刺激が走り悲鳴が出てしまう。

「うおっ、シャワーとかで洗わないと取るのには苦労しそうだな……」

「んんっ……あっ……♡」

 トワはお構い無しにタオルで私の胸元を何度も擦り、止まらない快感に私は喘ぎ声を上げながら身悶えする。手錠のせいで抵抗出来ない私は続けてお腹を拭かれ始めるのを眺めるばかり。

 

「『ブリーのみ』の果汁汚れは強力なんだよねぇ。水使う?」

「こんな暑いダンジョンで飲み水無駄遣いはマズイだろ。頑張れば落とせないこともないし……」

「あううっ、おへそぉ……っ♡」

 気遣うオオタチに対し答えながらトワは私のおヘソに指を突っ込み掻き回してくる。神経が集中している部分を責められた私は全身をピンと伸ばして小刻みに震え出した。なんとか耐えようにも漂う渋く甘い香りに思考が遮られ、与えられ続ける刺激を受け入れる事しかできない。

 

「ここも拭かなきゃだけど……うーん」

 私の腹部を綺麗にしたトワは残りの果汁汚れを見つめる。しかしそこは女の子の大事な部分であり、流石にトワも躊躇っている様子。

「どうかしたっ? ニンゲンはここにもお口があるんだっけ。丁寧に拭かないとなのかな」

「く、口?」

 ポカンとするトワからタオルを取ったオオタチは私の股間へそれを慎重に近付けてくる。

「あ、あっ、あ……♡」

 止めなきゃいけないのに、逃げなきゃいけないのに身体が動かない。むしろ、これからされるであろう事を望んでしまっている……!

 

「そーっと、そーっと」

「ひぎゅぅ♡!」

 オオタチがタオル越しに私の股間を擦り、稲妻のように駆け巡る快感に私はビクンと身を跳ねさせた!

「あれれ、『ナナのみ』を食べてた時やスールちゃんとイチャイチャしてた時ぐらい喜んでる?」

「ああっ♡ あはぁっ♡」

 可愛らしく不思議そうに首を傾げるオオタチの前で、私はいやらしいオツユを股間から垂らしながら歓喜の悲鳴を上げる。

 

「……思い出しました。オオタチ、これはニンゲンの回復状態ですよ。以前『颶風の砂漠』でも見ました」

「え、回復っ?」

「か、回復ぅ?」

 そこで発言するのはアマージョ。オオタチとトワの台詞がシンクロするが、テンションや表情などは大きく異なっている。

 

 

 

「なんでもここを刺激してあげるとルーアは回復して大喜びするのだとか」

「はぎゃあぁ♡♡!!??」

 

 そしてあろうことかアマージョは私の股間に『ふみつけ』を食らわしてきた!

 

(お、おマンコ踏んづけられてる!? グリグリされてるぅ!?)

 まるでSMプレイのような行為を受けて、私は悲鳴が止まらない。しかしその口端は緩みきっており涎もダラダラ垂れている。

 

「おおっ、アマージョちゃんの言う通り下のお口からも涎がドバドバ出てるよっ。果汁も一緒に落ちていくね〜」

「おほほほ、あたしの妙技をご覧あれ」

「ん……くぅっ♡ あ、んんっ♡♡」

 秘部を踏み付けられて喜んでいる姿をオオタチにまで凝視され、私は恥ずかしさと惨めさでより発情してしまう。

「ひゃんっ♡」

 更には勃起したクリトリスまで踏まれて、強い快感が襲って来る。それにより涙と汗に塗れ蕩けきった顔も紅潮していた。

 

(き、気持ち良いよぉ……。もっと踏んでぇ……卑しい変態マゾのルーアにご褒美おしおきしてぇ……)

 絶頂寸前まで追い詰められた私には、もはや快感を欲しがることしか出来なかった。

 

 

「ルーア、そろそろ強く踏みますよ!」

「あああぁぁぁぁ♡♡♡!!!」

 

 アマージョの足で乱暴にクリトリスを踏まれ、私はこれまで体験したことのない刺激に耐えられず絶叫しながらイってしまう。

 

「……って、おい!?」

「これでルーアちゃんの体内に溜まった瘴気も少し中和したかなぁ」

「あ、あう、あうう♡」

 目を丸くするトワとニコニコするオオタチに見守られながら、私は尿のように愛液を噴きながら倒れるのであった。

 

 

 

 休憩を終え、私達は再びダンジョンの奥を目指す。パラドックス達はファイヤー達を止める為に殆ど出払っているようで遭遇しないものの、瘴気を流し込まれ黒装に蝕まれつつあるポケモン達が幾度も行く手を阻んで来た。

「ガァァス!!」

「おどきなさい!」

 ドガースに『おしおき』の蹴りを見舞うアマージョだが、その隙を狙ってスバメが飛び掛かる!

「『このゆびとまれ』っ!」

 咄嗟にオオタチが注意を引くが、いつものように『まもる』でレンケイするランクルスはこの場にいない……。

 

「どらあっ!」

「てぇぇい!」

「ピピィ!?」

 しかしスバメが背を向けると同時に、トワは取り込んでいたアマージョを解放すると同時にその勢いでぶん投げた!

 投げられたアマージョは勢いを乗せた強烈なキックを放ち、墜落するスバメを背後に華麗な着地を見せる。

 

「えへへ、ありがとっ!」

「こちらこそですよ。ですけどこの勢いで来られては奥まで持ちますでしょうか……」

 お礼を言うオオタチに笑顔で応じるアマージョだが、『ピーピーエイド』を飲みつつ不安気な表情も浮かべる。技のパワーも道具も有限である以上、ダンジョンの探索が長引くほど後が無くなっていくのだ。

 

 

「イヴ達も無事だと良いんだがな……っ!?」

 

 トワは突如表情を険しくすると私の二の腕を引っ張り岩陰に移動する!

 何事かと私が思った直後、真空を切り裂く『エアスラッシュ』が岩にぶつかり激しい音を立てた!

 

「奇襲ですか!?」

「ううん、流れ弾だよっ! 狙われてるのは……」

 同様に岩陰に隠れたアマージョとオオタチが、攻撃が飛んできた方向の様子を窺う。

 私も続けて覗き込むと、マグマ溜まりの向こう側で激しい戦闘が繰り広げられているのが見えた。

 

 宙を舞いながら暴れているのはパラドックス……テツノコウベだ。そして『あくのはどう』や『だいちのちから』を必死にいなしつつ応戦しているのはイルカマンとエンペルトであった!

「大変です! 援護に入らなくては……けれどマグマ溜まりを越える方法は……」

 アマージョは自らのレスキューバッグを覗き込むが、移動に役立つ道具は生憎持ち合わせがない様子。オオタチも同様のようだ。

 そんな間にもテツノコウベは『エアスラッシュ』を繰り出し、イルカマンを攻撃。更に動きを止めた彼に襲いかかるのはゲル状の腕……!

 

「……っ、ランクルス!?」

 オオタチが驚愕して見つめる先では、なんとランクルスがテツノコウベに味方しイルカマン達を攻撃していたのだ!

「パラドックスの波紋……一度凶暴化した事があるランクルスの体内に残った瘴気の残滓が増幅されたんだ……!」

 以前テツノワダチやテツノイワオも使った術を、あのテツノコウベも発動したのだろう。

 連続攻撃を受けダウンするイルカマンを助けようとするエンペルトであるが、そんな彼女の足元から『だいちのちから』が噴き出す! 打ち上げられたエンペルトは受け身を取るが、苦しげに息を始める。ダメージが重なりすぎたのだろうか、と思ったが私はある事に気付く。彼女達やテツノコウベがいる周辺に黒い靄が漂っている……火山ガスかと思っていたがそれを噴き出しているのは漆黒の破片のような物……。

 

「黒装の欠片!」

「……あ! キングラー!?」

 私が叫ぶと同時にアマージョも声を上げる。目を凝らしてみると、確かに奥の方に倒れたままのキングラーがいた。イルカマンやエンペルトは瘴気に耐えながら必死に戦っていたが、彼ら程の力を持たないキングラーは苦痛で起き上がる事も出来ないのだ。

 

「どうにかしなければ……あちちっ!」

「無理は駄目だよアマージョちゃん! だけど急がなきゃ……」

 マグマを強引に渡ろうとしてアマージョが火傷しそうになり、オオタチは慌てながらもレスキューバッグの中をまさぐり、その拍子で一つの道具が落ちる。

 

「……『ふきとばしのえだ』」

「これでランクルスを吹っ飛ばして、テツノコウベの術の範囲外に押し出すとか出来ねえか?」

「あたし達の位置からやっても、ランクルスが壁にぶつかるだけです。そもそもこんな離れた位置から光弾を放っても当たるかどうか……」

「しかも一回分しか残ってないっ!? ここまでで消耗し過ぎたかも……」

 トワ達はその道具を見て解決策を探ろうとするが、良い方法は思い付かないらしい。

 

 逆に私はある手段を思い付いていた。しかしそれは私自身だけではなくオオタチ達も危険に晒してしまうかもしれない策だ。

 

 

 

(……ううん、時間がない。イルカマン達がやられちゃう)

 

 

 

「……アマージョ、オオタチ。トワの加護を受けてくれる?」

「ルーアちゃん、もしかしてマナフィが暴走した時みたいに、何か案あるの?」

 私が言うと一同が視線を集めて来る。

 

「私が『ふきとばしのえだ』でトワをイルカマン達の所まで飛ばすよ。オオタチ達を取り込んでおけば、二匹もいっしょにマグマ溜まりの向こうまで行ける筈。それで黒装の欠片をどかしてキングラーを助けたら、トワは二匹を解放して代わりにランクルスを取り込んで。それで彼女の体内にある瘴気の残滓の増幅も収まると思う」

「ちょっと待って下さい。それではたった一人で残ったルーアはどうするんですか……?」

 私が策を伝えるとアマージョが怪訝な表情で尋ねてくる。オオタチとトワも同じ意見の様子だ。

 

「……パラドックス達の狙いは私。姿を見せればこっちに向かって来る筈だから、トワがランクルスを元に戻すまで時間を稼ぐよ」

「待て待て! 何言ってやがる!?」

 私が答えると、トワは声を荒げてかぶりを振った。

 

「んな作戦駄目だ!」

「でも、もう時間がないよ……!」

 私は再びマグマ溜まりの向こうを見る。そこではイルカマンとエンペルトがもう後が無いぐらいに追い詰められていた……!

「……」

 そして目を合わせるオオタチとアマージョ。彼女らは覚悟を決めたように頷き合うと私をまっすぐ見つめてきた。

 

「分かりました、ルーア」

「なっ!?」

「……ありがとね」

 アマージョの言葉にトワが顔を蒼白にさせ、逆に私は微笑んで礼を伝える。私にできる数少ない役目を、任せてくれるのだ。

 

「ですが作戦をより確実にするため、アレンジをさせて欲しいのです。まずこれをしまっておいて下さい」

「……うん? なにこれ?」

 アマージョはそう言いつつ、レスキューバッグから取り出した瓶入りの物体を差し出してくる。琥珀色をしたそれは思わず見惚れそうなほど澄んで美しい。

 

「あたしとキングラーが宝探ししていた頃に見つけた『こはくのなみだ』です。そして代わりに『ワープスカーフ』を貸してくれませんか?」

「え、うん……?」

 どこかで聞いた気がする道具の名前に疑問を覚えつつ、私は言われるがまま『ワープスカーフ』をランドセルから出してアマージョに持たせた。何に使うかは分からないが、イルカマン達を助けるという作戦を確実に出来るのなら断る理由もない。

 

「……ルーアちゃん、ゴメンね……そしてありがとう。絶対に無理はしないでね……!」

「うん、任せて」

 オオタチは私に頬擦りしながら謝罪と感謝を伝えて来る。私もこんな所で捕まるつもりは無い……テツノコウベを引き付けつつ、逃げ切ってみせる。

 

「……ちくしょう!」

 アマージョ達が同意した以上、断れなくなったトワは彼女らに両手で触れると黒い防御膜で包み込んだ。これで瘴気の中でもアマージョ達は活動出来るようになる筈。

「あたし達が合流するまでヘマすんじゃねーぞ!」

「ありがと、トワ」

 取り込んだ二匹のポケモンと共に岩陰から出たトワにお礼を言い、私はランドセルに念じて『ふきとばしのえだ』を浮かせる。

 

 

 

「行くよっ!」

 私は勢い良くえだを振るって光弾をトワの背中に飛ばす。

 

 

 

「はい、ルーアも……この世界のことお願いします!」

 そして、アマージョが『ワープスカーフ』を私目掛けて投げつけてきた。

 

 

 

「……!?」

 『ワープスカーフ』が首輪に絡み付き、私は突然の事に目を白黒させる。

「あんたら……!」

 トワはアマージョ達の狙いに気付いたように口端を緩めるが、光弾がぶつかると同時に二匹と共に高速で私の下から飛んでいってしまう。

 

 そして、周囲が光り白くなりゆく……『ワープスカーフ』の効果で転移させられる予兆だ!

 

「ちょっと待って……!?」

 

 私は急いでランドセルに念じようとしたが間に合わず、身体全体を浮遊感が包み込むのであった。

 

 

 

 オオタチ、アマージョ、トワの笑顔が瞼の裏に焼き付いたまま。

 

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