軋むベッドの上で一心不乱に腰を振る彼は可愛らしいと思う。
出会いは通勤で使う駅だった。
定期券を拾った事がきっかけで持ち主は制服を着た少年だった。
袖が少し余っているところを見るに恐らく高校に入学したばかりなのだろう、顔立ちにも幼さが残っている。
年齢差故か会話をするのにも余裕があったと思う。
それから毎朝同じ電車に乗り、挨拶を交わすようになり次第に会話をするようになった。
私を見上げるその瞳にはどこかに置いてきてしまった純粋さを湛えている。
そして新卒だった私も新しいコートを羽織るようになった頃、彼から告白をされた。
まだまだ『お姉さん』と呼ばれる歳だけど高校生と付き合うのにはやはり年齢差が気になった。
今まで付き合ってきた人たちは皆年上だったけれど、私が防衛線から出てこない事に呆れられて長く続く事がなかったので、交際関係になる事にも関心がなくなってきていた。
その筈なのに、何故か無碍に断るのも気が引けたので返事は一旦保留にしてもらうことにした。
後日、恋愛相談を口実に久しぶりにいろは(今は互いに名前で呼び合っている)を呼び出し行きつけのバーでグラスを交わす。
『珍しいね、恋愛相談なんて』
「こんな事話すの初めてだよね。でも高校生からの告白なんて初めてだったから」
『いろは』も今は社会人になって一人暮らしを始めたところだ。
みかづき荘のみんなとは今でも連絡は取り合っているらしい。
『私も年下から告白されたことはないなぁ。その子は良い子なの?』
「うん。本の趣味も同じだし、私の話をキラキラした目で聞いているの」
『そっかぁ。だいぶ好かれてるみたいだね。やっぱり年齢差が気になる?』
「・・・まあ、ね」
グラスを開けたところで口恋しくなり、煙草に火をつける。
いろはにも火を貸し、お互いに少女ではなくなったのだと感慨深くなる。
『次、何頼む?』
「私はソルティ・ドッグ。いろはは?」
『うーん、バイオレット・フィズで』
紫煙を燻らせながらグラスの縁に付いた塩の感触を楽しむ。
『最後に彼氏がいたのっていつだっけ?』
「大学を卒業する前だから一年ぐらい前かなぁ」
サークルで知り合った人や社会人となった兄の友人と付き合ったりもしたが、どこか好きなところがあったかと聞かれると返事に困ってしまう。
元々が人見知りする性格なもので大学生活は殆ど「いろは」と過ごした4年間だった。
「いろはは今付き合ってる人とはどうなの?」
『高校生の時から付き合ってるからねえ。同棲の話もしているよ』
そう言う彼女の横顔は幸せそうだった。
「あーあ、私も思い切って付き合っちゃおうかなぁ」
2本目の煙草に火を付けて香りを楽しむ。
アルコールと煙に含まれる何かしらで頭がフラフラするのが心地良い。
『今は18歳で成人扱いなんだし、いいんじゃないかな?その子も良い経験になるかもしれないよ』
「……そうね。来週末に返事することになってるからOKしてみるかぁ」
なんだかんだでお互いに相談事があると、このバーで煙草と美味しいカクテルを味わいながら思いを吐き出してスッキリして帰るのだ。
恐らく今度は、いろはの結婚相談になるだろう。
来年になるか、5年後かもしれないがその日が楽しみに思いながら店を出る。
「よーし、今日はとことん飲み明かすぞー!」
『おー!」
始発の列車が出るまで梯子酒をしていた私達は、とうに通り過ぎてしまった少女時代に戻れた気がした。
「君からの告白、受ける事にしたよ」
木枯らし1号の吹く朝の駅で彼が先に下車をするのでタイミングを見て私はそう告げた。
唖然とした顔の彼がこちらを振り向いた時には列車の扉が閉まったので手を振って『また明日』と口を動かした。
そして翌朝、再び出会った彼には如何にも『緊張してます』という表情がありありと見て取れ、思わず笑ってしまった。
『何で笑うんですかぁ』
「いやぁ、緊張してる様が面白くてね。恋人同士としての初登校の気分は如何かな?」
『揶揄わないでくださいよ。同級生に見られたら何て言われるか……』
「そんなの『美人な彼女がいて羨ましいだろう』って言っておけばいいの」
『自分で"美人"って言いますか』
「自分が認めてあげないと駄目な事もあるんだよ。でも君が『綺麗だ』って言ってくれると嬉しいかなぁ」
『善処します』
やっぱり揶揄い甲斐のある子だ。子犬のような可愛さを感じる。
「それで?初デートはいつにするの?」
『デ、デートですか!?』
「そりゃあするでしょう。恋人同士なんだから」
『そうですよね……。どこにしよう』
(これは今まで異性と遊んだりした事もないな)
「しょうがない、最初のデートはお姉さんがプランを立ててあげる事にしよう」
『うう、ごめんなさい』
「責めてる訳じゃないのよ?『初めてなんだろうなぁ』って感じがするし、初々しいところは好きよ」
『そ、そう?』
「だから任せておきなさい。あ、でもオシャレはちゃんと勉強してくる事!わかった?」
『頑張ります』
「よろしい」
彼が先に下車し、手を振り合う。
彼といる私は今までよりもお喋りになるようだが、そんな自分が好ましく思えた。
デート当日は偶然にもクリスマスイブの日曜日、天気は晴れ。
1回目のデートは定番だけど水族館にした。
『おはようございます』
「おはよう」
精一杯オシャレをしてきたのだろう、いつもの丈の合っていない制服よりも様になっている。
「へえ、カッコいいじゃない」
『黒江さんも綺麗ですよ』
ミニスカートは刺激が強すぎると思ってパンツルックにしたが、彼は満更でもないようだった。
「それじゃあ、そろそろ行こうか」
いつもの電車に乗り、まだ降りた事のない駅を目指す。
「あっ、あそこ空いているよ」
席に座り彼を手招きするとぎこちない動きで隣に座る。
「そのぐらいで緊張しないでよ」
『こんなに近付くの初めてじゃないですか』
「そうだっけ?満員電車で密着したと思うんだけど」
『…あれは事故みたいなものです』
思い出して顔が赤くなっているが、男子ってこんなに初々しいものだっただろうか。
付き合った何人かを思い出してみるがそんな事は一度もなかったような気がする。
どことなくぎこちない会話を続けていると目的の駅に着いた。
「ふー、座りっぱなしというのも疲れるねぇ」
『まだ若いのに何言ってるんですか』
「嬉しい事言ってくれるね。水族館はあっちみたいだね』
スマホで地図を確認して方向を指差す。
『結構近いんですね』
1人歩きだした彼の手を握るとまた顔が赤くなった。
「恋人なんだから手を繋ぐくらい当たり前だよ?」
『女の人と手を繋いだのなんて初めてで…』
「幼稚園か保育園かで女の子と繋いだりしなかったの?」
『それはありますけど、カウントに入りませんよ』
「ふーん、じゃあお姉さんが一番乗りだ」
まだ声変わりを迎えていない声、ころころと変わる表情は本当に子犬のようだと改めて思う。
思えばいろは以外と遊びに出かけるなんて久しぶりだ。
アトラクションを楽しんだり、イルカショーを見たり。
私は童心に帰れた気がするが、彼はどう思っているのだろう。
再び電車に揺られ駅を目指す。
「今日は楽しかった?」
『はい、水族館なんて久しぶりだけど楽しかったです』
「そう、よかった。次のデートは君が考えてね」
『善処します』
「よろしい」
髪の毛をぐしゃぐしゃとしたくなる欲求に負けそうになる。
「夕飯はどうしよっか?」
『黒江さんは食べたいものありますか?』
「そうだなぁ。何かジャンクなものが食べたいかな」
『今日はクリスマスイブですよ?お洒落なお店とかじゃなくていいんですか?」
「お高いお店だと君が緊張しちゃうと思ってね。それにカップルの駆け引きみたいな空気は苦手なの」
『そう…ですか。でもいつかは俺と行ってくれますか?』
「…君がお酒を飲める歳になったらね」
それからは駅前のハンバーガー屋でお腹を満たして店を後にした。
「さて、16歳はそろそろ帰る時間だよ」
夜の帷が落ちた空にはオリオン座が昇っている。
『…はい』
「あー、もしかしてイブだからお泊まりとか期待してたのかな?」
からかい半分で聞いてみる。
『それはまあ…』
「君のいつも正直なところ、好きよ。でも私には君を家に帰す責任もあるから…ね。今日はこれで我慢して」
彼の頬に手を添えて唇を重ねた。
「それじゃあ、次に会うのはお正月かな?」
『え、あ…はい』
呆然としているが果たして大丈夫だろうか。
「それじゃあ気を付けて帰る事。分かった?」
『あ、はい。また』
かなり心配にはなったが無事帰宅した旨の連絡が来たので一安心だ。
年も明けて正月となり、久しぶりに実家に顔を出した。
兄はお腹が大きくなった義姉さんを連れてきて話題の中心となっていたが矛先は私に向けられた。
『お前は付き合ってる人はいないのか?』
それを聞かれると思っていたから帰ってきたくなかったのだ。
「いないよ」
もちろん嘘だが彼との関係は知られたくなかった。
誰かに知られると心からこぼれ落ちてしまいそうな気がして怖くなった。
両親や親戚は何かお節介な事を言っていたような気もしたが自棄になって飲んだお酒のせいで何も覚えていない。
グルグルと回る世界の中心に彼の顔を思い浮かべる。
地球の自転軸と北極星の関係のように私たちもいられたら良いなと普段は思わないような事を考えてしまう。
(早く会いたいな)
退屈だった正月を乗り越えて仕事が再び始まった。
いつもの時間、いつもの駅で彼と待ち合わせをした。
「明けましておめでとう」
『明けましておめでとうございます』
きっと私の顔はにやけていたと思う。
『何か良いことでもありました?』
「ふふっ、秘密だよ」
『はあ…?それで次のデート、考えてきたんですけど』
「ふんふん、何かな?」
『定番なんですが、初詣はどうですか?まだ行っていなければですけど』
「うん、いいよ。今年は実家に帰ってたからまだ行ってなかったしね」
電車に揺られながら、どこの神社に行くかや待ち合わせの時間を話し合っているだけで幸せだった。
そのおかげか初出勤も気分良く乗りこえることが出来た。
そして初詣当日。
『…雪ですね』
「雪だね』
年明け最初のデートの日は初雪だった。
「晴れ女とか雨女と言ったりするけど、雪女って言ったりもするのかな?」
『どうなんでしょう。でも雪女がいたら黒江さんみたいに綺麗なんでしょうね』
「…いつの間にそんな口説き文句を覚えたの?」
『小説からの引用ですよ』
「ふーん、今度その本貸してよ」
『良いですよ。ちょうど読み終わったところですし』
雪に音を吸い取られたような静寂の中を歩いていると世界で私たち2人きりになったような気がした。
白く染まった境内には誰もいなかった。
「ねえ、君は何をお願いするの?」
『言っちゃうと叶わなくなるとか言いませんでしたっけ?』
「神様の代わりに私が叶えるから良いんだよ」
『…黒江さんとずっと一緒にいたいです』
「それはプロポーズかな?」
『そう思ってもらってもいいですよ。お酒を飲める歳になったらお洒落なお店に行く予定もありますし』
「そうだったね。ねえ、夏目漱石だったらこんな日に何て言うのかな」
『"月が綺麗ですね"みたいなやつですか?」
「そう、それ」
『肩に積もった雪もそのままに、何てどうですか?」
「良いね。だったら私は、雪と共に溶けましょう、かな?」
『黒江さんとだったらそれも良いかもしれませんね』
「でしょ?ねえ、このままウチに来ない?」
『喫茶店に寄るのでも良いんですよ?」
「何だか今日はね、世界に2人きりの気分に浸っていたいの」
『分かりました。それではお言葉に甘えて』
きっと彼も私の誘いが何を意味しているか理解しているだろう。でも初めて身体を重ねるなら今日みたいな日がきっと私たちにはお似合いなのだと思う。
「冷えたでしょ?シャワー浴びておいで」
『良いんですか?』
「先に料理を作っておくから気にしなくていいよ」
『すいません。お先にお借りします』
さて、冷蔵庫に卵とトマトがあるから炒め物にしよう。
一人暮らしを始めると嫌でも調理スキルが身につく。
いろはが遊びに来た時はレシピをいろいろと教えてもらったものだ。
「よしっ、出来上がり」
他にも何皿か作りテーブルに並べる。
『お風呂ありがとうございました』
貸したジャージを着て彼が戻ってきた。
「お、上がったね。それじゃあ私も浴びてこようかな」
衣装箪笥から適当に部屋着を選んで浴室に行く。
変えの下着が見えてしまったのか顔を真っ赤にしている。
「ウブだねぇ、君は」
それが彼の良いところなのだが。
シャワーを浴びると身体が冷えていた事が分かる。
念の為、身体を隅々まで洗っておく。
色気も何も無いがジャージを着てリビングに戻る。
「さあ、食べようか」
『いただきます』
炬燵で向かい合わせになって黙々と食べる。
無言の時間が続いているが気まずさは感じなかった。
やっぱりこの子とは気が合うのかもしれない。
使い終わった食器を2人で片付ける。
「何か夫婦みたいだね、こういうの」
『そうですね。うちの親もやってますよ』
「高校卒業したらここに住むかい?」
『進路にもよるけどそれも良いですね』
片付けも終わりテレビをザッピングしてみるがすぐに飽きてしまった。
「ところで彼氏くん」
『何ですか?』
「私はテレビに飽きてしまったのだが、いつ手を出してくれるのかな?」
『まだ早いかなと思っていたんですが、良いんですか?』
「今日の私は雪女だからね。早くしないと溶けて無くなってしまうかもしれないよ?」
『俺初めてだし、上手く出来る気がしないんですが』
「最初は誰だってそうだよ。今日はお姉さんがリードしてあげようじゃないか」
『えっと、お願いします』
窓側に置かれたベッドの上で横になった彼に跨り啄むようなキスをする。
「今度は君からしてみて。歯を当てないようにね」
顔の角度を調整しながら何度も重ねてくる。
上手なキスとは言えないが初々しさがあって好ましく思えた。
「それじゃあ今度は舌を出してみて」
差し出された舌に自分の舌を絡めると、ピチャピチャと濡れた音が室内に満ちていく。
「どう気持ち良い?」
『何だか頭がボヤッとしますね』
「次は私の口の中に舌を入れてみて」
『入れたら何をすれば良いんですか?』
「舌を絡めたり、口内を舐めるの」
言われたりとおりにして舌を差し込んでくる。
舌使いは拙いが、気持ち良くてこちらからも舌を絡めていく。
彼も夢中で舌を動かし互いに息をするのを忘れて貪りあう。
「コツを掴めてきたみたいだね。それじゃあ次に進もうか」
息を整えながら私を見上げる顔には期待の表情が浮かんでいる。
彼に跨ったまま服を脱ぎ下着姿となる。
『黒江さんだから黒い下着なんですか?』
「そういう訳じゃないんだけどね。私の白い肌に似合ってるでしょ?」
『とってもお似合いです』
「よろしい。次にする時は君の好みにしようじゃないか」
『じゃあ、ピンクでお願いします』
「王道だね」
『王道ですね』
2人して笑い合う。
こんなくだらない事で笑えるのも彼だからなのだろう。
「一度このまま揉んでみる?」
『良いんですか?』
「型崩れしやすいけど少しなら大丈夫だよ」
胸に彼の手が伸びてくる。
『少し硬さがあるんですね』
「パッドが入ってるからね。ブラを外すのやってみるかい?」
『やってみたいですけど、どうすればいいんですか?』
彼に背中を向けてフックが見えるようにする。
「ここにフックがあるでしょ?留め具に引っ掛けてあるのを外すと脱がせるよ」
お手本に一つだけ外してみせる。
『そういう構造になってたんですね』
「残りは外してくれるかな?」
指が伸びてくるのが感覚で分かる。
初めてにしてはすんなりと外す事が出来たようだ。
「じゃあ肩のワイヤーも降ろしてくれるかな?そうすれば完全に脱げるから」
降ろされたワイヤーから腕を抜き再び彼の方を向く。
手で隠すような野暮な事はせずに堂々と見せつける。
「あんまり大きくはないけど形には自信があるんだよね」
『確かに綺麗な形してますね』
「君は巨乳派かな?それとも貧乳派?」
『気にした事ないですけど、黒江さんぐらいの大きさが好きかもしれないです』
「嬉しい事言ってくれるね。ご褒美に触らせてあげよう」
『さっきとは感触が違いますね』
「パッドが無い分柔らかいでしょ?そのまま先端も優しく触ってみて」
『こうですか?』
人差し指でなぞるように触れてくる。
冷えた指先に鳥肌が立ち、すぐに硬く尖り始める。
「そう、良い感じ。今度はさっきのキスみたいに舌を使ってみて」
乳首が彼の口内に収まり舌で弄られる。
動きはやはり単調だが1人でするよりもずっと気持ちが良い。
「胸はもう一つあるからそっちも触ってみて」
二つの胸を弄られて声が出そうになるが、年上の威厳を保つ為に我慢をする。
「そろそろ下も触ってみる?」
『下って…」
「キスや胸を触るのも下を触るための準備みたいものだからね。それに見てみたいでしょ?」
『まあ、それは…」
「君が脱がすかい?それとも自分で脱いだ方がいい?」
『脱がしてみたいです』
「ブラみたいに難しいところはないからそのまま降ろしちゃっていいよ」
身体と下着の間に指を差し込まれ、ゆっくりと降ろされていく。
切り揃えたアンダーヘア、愛液に濡れたあわいが晒されていき足首から抜き取るのは協力しながら行った。
「さて、実物を見た感想は?」
『うーん、よく分からないです』
「保健の授業で習わなかった?」
『男子はサラッと流す程度で詳しくはやらなかったですね』
「そっかぁ。じゃあ後学の為にも私が説明してあげよう」
ベッドに腰を降ろして脚を開き、場所と名称を合わせて教えていく。
「まず、この閉じているところが大陰唇。いわゆる割れ目と呼ばれるところだね」
『友達が画像観ながらそんな話してましたね』
「…君は観てないだろうね?」
『…付き合ってからは観てないです』
「なら、まあいいのかな?それでここを開くといろいろあるのが見えるでしょ?」
『はい』
「ここが小陰唇でこの辺りが尿道口、それとこっちがクリトリス。最後にここが男の人のを挿れる場所だね」
『綺麗なピンク色だし、男のものとは全然違うんですね』
「そういえば君のはまだ見てなかったね。ほら、脱いで脱いで」
私だけ裸な事に気づいて慌てて脱いでいく姿が面白い。
「ふーん、少し大きくなってるね」
『あんまり見ないでくださいよ』
「ごめんごめん。でもその言葉を言うのは普通は逆なんだけどなぁ。次はこっちを触ってみようか」
指で開いたまま膣口辺りを指し示す。
「まずは濡れているかどうか確認してみて」
彼の指が触れると「クチュ」と音がした。
『濡れているみたいです』
「うん。そのまま続けてくれる?」
指が上下するのに合わせて愛液の分泌量が増していき甘い匂いが漂ってくる。
『何だか甘い匂いがしますね』
「人によって匂いは違うらしいけどね。今度はクリトリスを触ってみて」
『ここは敏感なんでしたっけ?』
「そう。女の人の身体で一番敏感だから優しくね?」
言われたとおりに優しいタッチで触れられたが力加減が丁度いい。
『痛くないですか?』
「気持ちいいからそのまま続けて」
お互いに無言ではあったが気まずさはなく、私は無意識のうちに彼の左手に自分の手を重ねていた。
「そろそろイキそう」
シーツには少し染みが出来ていたが気にしている余裕はない。
身体を大きく震わせながら久しぶりに他人に絶頂させられる快感に溺れていた。
「ありがとう、気持ちよかったよ。でも他の子も同じようにすればいい訳じゃないからね?」
『黒江さん以外とする気なんてないですよ』
「よろしい。さて、じゃあ今度は君を気持ち良くしてあげよう」
私の痴態を見たからか、彼の先端からは先走り液が滲んでいる。
「唾液で濡らす必要はなさそうだね」
その液体を指で拭っては肉棒に塗りつけて滑りを良くしていく。
鬼頭、括れ、付け根と反応を確かめながら快感を与えていく。
「どう、気持ちいい?」
『すごい気持ちいいです』
見た目でもどんどん太く、大きくなっていて、表情からも射精が近い事が分かる。
「このまま手で一回出すのと私の中で出すの、どっちがいい?」
『入れてはみたいですけど、ゴム持ってないですよ』
「こんな事もあろうかとちゃんと用意してあるよ。あっ、使い残しとかじゃなくてちゃんと新品だからね?」
『はあ…』
「付け方は分かるかな?」
『授業でやったけど、合ってるか見ててもらえますか?』
「うん、いいよ」
怒張を維持したままゴムを被せていく。
多少手間取ったところはあったが問題はなかった。
「うん、大丈夫。裏表が逆というのもなかったし。それじゃあ挿れてみようか」
『はい。えっと、ここで良いんですよね?』
彼のものが陰部に触れるが少しズレている。
「もうちょっと下だね。そう、そこそこ」
何度か位置の調整を行い膣口部に触れた。
「弾力があると思うけど身体を密着させる感じで進んでいけば奥まで入ると思う」
『結構難しいですね。でも先っちょは入ったみたいです』
「うん、じゃあ奥まで挿れてみて」
小柄な見た目に反して立派なそれに中を押し広げられる感覚が心地よい。
『全部入ったけどこの後はどうすれば?』
「すぐに動いてもいいんだけど、少しお話しようか。初体験の感想聞きたいなぁ」
『相手の事を気持ち良くするのって大変なんですね』
「そうだよ。テクニックもある程度は必要だけど、肝心なのは相手への思いやりだからね。私の中に挿れた感想も聞きたいなぁ」
『ぎゅうぎゅうに締め付けられてもう出そうな気がします』
「初めてだからしょうがないよ。好きに動いていいよ」
『無理してないですか?』
「私も気持ち良くなりたいから大丈夫」
それから彼は一心不乱に腰を振っていたが、気持ちいいところに当たっていくので再びイってしまいそうだった。
『あの、そろそろ出ます』
「ゴム着けてるからそのまま中で出していいよ」
その一言で彼は射精に至り何度も身体を振るわせる。
繋がったまま互いに呼吸を整える。
「抜く時はゴムが外れたり、中に残らないように気を付けてね」
『はい』
慎重に引き抜かれたゴムの中には精液が大量に溜まっていた。
「結構出たね」
『自分でも驚きです』
お互いに横になり、たわいもない話をする。
『そういえば前から気になってたんですけど』
「何だい?」
『黒江さんって煙草吸うんですか』
「あれ?もしかして匂ってた?」
『いえ!バッグに入っているのが見えてしまった事があって』
「そっか。まあ、友達と飲みに行った時に吸うぐらいかな」
『大人の人って感じがしますね』
「君は吸っちゃ駄目だからね」
『分かりました。でも吸うところ見せてもらえませんか?』
「うーん、未成年の前で吸うのは良くないんだけどなぁ。今回だけだよ?』
バッグの中から煙草を取り出し火を点け、彼の方に煙が行かないように換気扇のそばで吸う。
思えば全裸で煙草を吸ったのは初めてだ。
『何だかカッコいいですね』
「そうかい?でもそろそろ辞めどきかもね」
灰皿に吸い殻を置いてベッドに戻る。
「それに今は煙草よりも吸いたいものがあるんだけど」
『何ですか?』
「君のそれ。出したあとも全然萎えてないの気付いてない?」
『あ、あれ?自分でするときは一回で収まるのに』
「まあ、まだ出来そうなら今度は口でしてあげる」
有無を言わさず彼のものを口に含む。
私の口の大きさにピッタリで顎が痛くなったりする事もなかった。
僅かに香る精液を舐め取り清めていく。
手でした時にどこが感じるのかは把握しているのでそこを重点的に責めながら指先で刺激を与えるのも忘れない。
『黒江さん、そんなにされたらまた出そうです』
今度は必死で射精に達するのを堪えているのが微笑ましい。
「いいよ、我慢しないで出して」
再び咥えてディープスロートを行う。
今までの交際相手とは円満な別れ方ではなかったが性戯を仕込まれた事に今は感謝出来た。
そして呆気なくその時は来た。
口の中に大量に放たれる精液とそれに特有の香り。
一度目以上の射精を終えてぐったりとしている彼を横目に口内に溜まった精液を飲み干す。
「…ふう、ご馳走様」
『え、飲んじゃったんですか?』
「飲むの好きなんだよね。身体の中まで君に染められていくみたいで。味も悪くなかったよ」
その言葉で再び彼のものが屹立していく。
「…ゴムならまだまだあるからね」
気付いた時には既に彼の門限が迫っていたので慌ただしく着替えて彼を駅まで見送る。
まだ深々と降る雪の中を相合傘で歩く。
「また、しようね」
『今度はピンクの下着、楽しみにしています』
周りには誰もいないが小声で話す。
「任せといて。新しいの見繕っておくから」
そして駅でお別れして姿が見えなくなるまで見届けて家に帰った。
もう、煙草は必要なかった。