状況から言おう。
倉庫に閉じ込められた。
ああ、もちろん悪意あっての事ではない。
どちらかと言えば店の施錠間際になって皆に黙って探し物をしに行った自分の不手際だ。
こんな事なら一言伝えておけば良かったと後悔しているのだがまあ、今更それを言っても仕方がない。問題はこれからどうするかだ。
魔法少女の力を使えば扉を開けることなど造作もないのだが、壊してしまうのは店長…お姉様に申し訳ない。
生憎スマートフォンはロッカーの中だ。連絡手段も断たれているし近くに魔法少女反応も無し。どうやら明日、誰かが出勤してくるまで待つしか内容だ。
メイド服を着たままではあるが泊り込む覚悟を決めこみ、寝床代わりに並べたパイプ椅子に横たわる。
倉庫にはご主人用のお菓子や飲み物なども揃えてあるので空腹や喉の渇きの心配はなさそうだが、いかんせん暑さばかりはどうにもならない。
冷房も無く窓も無いので室内は蒸し暑くて堪らない。魔法少女でなければ熱中症で倒れていただろう。
とはいえ商売道具であるメイド服を汗まみれにする訳にいかず、人目も無いので下着姿で耐え凌ぐ事とする。
貧乏な家庭であり異性に関心を持つ余裕などはないが「一応は年頃の娘なのだから下着ぐらいちゃんと選びなさい」と八雲に言われて以来、上下で色を揃えるぐらいはしている。
最も異性に下着姿を晒す事など全く想像も出来ないのだが…。
同僚のメイドたちは更衣室ではよく恋バナなるものをしているが自分は交際した経験がないので聞き役になる事が多い。
楽しそうに話している彼女たちを見ているのは微笑ましいが「なぎたんはどんな人が好みなの?」と聞かれると考えた事もなく答えに窮してしまう。
まあ、彼女たちも私の性格や事情は分かってくれているので無理に聞き出そうとはしないから長く一緒に働いていられるところがある。
ふむ、少し話が逸れてしまったな。
とはいえ、明日お姉様が出勤するまでまだ10時間以上はあるがどうやって時間を潰すべきか…。
そう言えば彼女たちが言っていた「オナニー」とか「フェラ」とは何なのだろう?スマートフォンが手元にあればすぐにでも調べられるのだがそれも叶わない。
気になって仕方がないところだが今はどうしようもない。ここを出られたら誰かに聞いてみる事にしよう。
「と、いう事があってだな。あの暑さには参ってしまった」
『それは大変でしたね。いつ頃出られたんですか?』
「12時過ぎだ。店…お姉様が出勤してきた時はだいぶ驚かれたものだ」
『そうだったんですね。ところで今日は相談があるとの事ですが十七夜さんからなんて珍しいですね』
「うむ、そうなのだ。こんな事を壮月に聞くのも躊躇われるのでな。塩谷くんぐらいにしか聞けない事なのだが…」
『はい、何でしょう?』
「オナニーとかフェラとは何だ?君はした事があるのか?」
『っ、ゲホッ、ゲホッ…!』
「だ、大丈夫か!?」
『ゲホッ、だ、大丈夫です』
「すまない。そんなに答えずらい事を聞いてしまっただろうか?」
『い、いえ。そんな事はないのですが…話するのはちょっと恥ずかしいと言いますか…』
「なるほど。オナニーやフェラとは恥ずかしいものなのか」
『はい…人前で話す事は謹んだ方が良いかと…』
「ふむ、そういうものなのか。それは失礼した。だが気になって仕方がないのだ。どうか教えてくれないだろうか?この通りだ」
『か、十七夜さん!?頭を上げてください!耳打ちでなら教えられますから!』
「そうか、教えてくれるか!では早速頼む」
『フェラというのは…をお口で…オナ……は自分のを……』
「何と!そんな事が…。これは確かに人前でする話ではないな」
『分かっていただけましたか』
「うむ。塩谷くんの部屋で話した事が不幸中の幸いだったな」
『そうですね』
「…ところで塩谷くん」
『はい』
「壮月にフェラはしたのか?」
『えっ、え〜と……一回だけ』
「…そうか。あいつの事これからもよろしく頼む」
『い、いえ。こちらこそよろしくお願いします」
「うむ。さて、そろそろ帰るとしよう」
『また来てくださいね。でもHなお話はもうダメですよ?』
「わかっている。今日の事は壮月にも内緒だ」
「ただいま帰ったぞ」
『お帰り、姉さん』
「おお、壮月か。今日は早いな」
『姉さんが遅いんだよ。バイトじゃないのに珍しい』
「"がーるずとーく"というものをしてきたのだ」
『姉さんがガールズトーク?イメージが出来ない』
「……」
『どうしたんだよ、黙っちゃって』
「壮月よ。姉は疲れたので一番風呂をもらってくる」
『お、おう。湯はもう張ってあるから』
「恩に着る」
(なんか今日の姉さんは変だな)
はあ、やはり一番風呂は格別だ。
一日の疲れが溶けていくようだ。
それにしても壮月と塩谷くんがあそこまで進んでいたとは驚きだ。
しかしオナニー、か。
思えば試みた事は一度もなかったが塩谷くんはシャワーを当ててすると言っていたな。
(……試してみるか)
椅子に座り湯量を調節しながら当ててみる。こそばゆい感じはするが普段洗っている時と感覚は変わらない。
(開いた中に気持ちいいところがあると塩谷くんは言っていたな)
椅子に座ったままではやりづらいので床に直接座る。心なしか先ほどよりも脚を広げやすい。
改めて2本の指で広げシャワーの当たる位置を上下に動かしてみる。
「んっ?」
何やら感覚の違う場所がある事に気付き集中して当ててみる。
(塩谷くんが言っていたのはこれの事か。しかしこれはどこが気持ち良いのだ?)
父が髭を剃る時に使っている手鏡に跨り初めて陰部を観察する。
尿道口と思われる穴の上に何やら小さな突起がある事に気付き再びシャワーを当てる。
(どうやら……ここのようだな)
『姉さん。いつもより長湯だけど大丈夫か?』
ぼやけ始めた思考が弟の声で現実に引き戻される。
「あ、ああ大丈夫だ。もう上がるところだ」
『分かった。寝てるんじゃないかと心配したよ』
そう言い残し居間に戻っていったようなので浴室から出るが何か後ろ髪を引かれるような感じがする。
そのまま食事を済まして自室で横になっていたが無意識のうちに股間に手を伸ばしてしまっていた。
どうやら性の快楽を自分も知ってしまったらしい。
ちなみに翌日、壮月が気まずそうにしていたが何かあったのだろうか?
また塩谷くんに聞いてみるとしよう。