sideエノルミータ
「今からナハトベースに…ですか?」
「あぁ、突然だけどみんなで来てもらえるかな」
「ヴァーステキンチャンモソウオモウヨ!」
ふざけた裏声で話すアイテム状態になってるヴァーステキン。そして突如として集められたうてな達。こりすとキウィは二人で遊んでいるが、うてなはヴェナリータに対して訝しげな態度でいた。
「というかそこのバルンバルンウーマン!こりす虐めんなよー!」
「虐めてねーし!貸してほしいだけだし!」
「君達に紹介したい相手がいてね…それじゃあ出発しようか、みんな変身してくれたまえ」
「あんまりふざけてると首落とされるぞ
「こりすがそんなことするわけないだろ〜……ん…?」
『またろくでもないことを考えているだろう』そう思いつつも、一同はヴェナリータの指示に従い変身してからナハトベースへと足を伸ばすのであった。
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sideエノルミータ
「こんちゃー」
「お邪魔します」
「アリスは今日も可愛いなぁ」
「てめぇあんま触んなよ、変態が移る」
「それベーゼちゃんに言えよ」
軽口を叩き合いながら、一同はナハトベースに入っていく…だが、軽く見た限りでは中には誰もいないように感じた一同。その気配の謎の無さに、ベーゼは少し警戒度を高めていた。
「あっれぇ〜?まーた誰もいないじゃんかー」
「そうだね…」
「どこ見てんのよ!こっちよこっち!!ったく、新人の癖に挨拶が遅いんじゃないの!?」
響く声、その声の方向に一同は視線を向ける。そこには5人の人物が立っていた。唯一知っているヴァーステキンだけが、面倒くさそうに腕をしたに向けて憂鬱そうな雰囲気を出していた。
「ハッ!お前が先輩面かよロコ」
「ハァ!?実際先輩でしょうが!!」
「そうそう!それに、実力も僕らの方が上だしさぁ」
「また2人は喧嘩してぇ……私、悲しいですぅ…」
「………」
その5人の様子に呆気にとられる一同。するとここで、間を取り持つようにヴァーステキンがお互いの間に入り、両腕を上げて軽快に左右に振り始める。
「さぁさぁお立ち会い!この方々は我らよりもエノルミータとして活躍来ていた5人のお方!えーっと…名前聞くの忘れてたわそういや。向かって右から横微乳、デカチチビキニ、美乳、南半球丸出しシスター、着物です」
因みに、ロードエノルメの名前は彼女は既に知っている。だが見た目を教えられていなかったのと、頭から抜け落ちているので既に名前を覚える対象外となってしまっていた。
「そりゃ見たらわかるわ」
「……オイオイヴェナさん、新人の教育なってねぇんじゃねぇのか?」
「あぁ、すまないね」
突如として現れるヴェナリータ。そして、ヴァーステキンの横まで行き代わりにヴェナリータが説明を始める。
「彼女達は我らがエノルミータの初期構成員、昨日『魔法少女狩り』から帰還した5人だよ」
「……魔法少女狩り?」
ベーゼがピクりと反応する。それに対して、事情を知っている残った3人は少し心配していた。魔法少女、それはベーゼことうてなの生きる原動力と言っても過言では無い存在。それを狩る…いきなりここでブチ切れて暴れるのでは?と思ってしまったのだ。
「あぁ、君たちの住む街以外でも魔法少女は活躍している。その討伐を彼女達に任せていたのさ」
「……」
「━━━レオパルト、マジアベーゼ、ネロアリス、ヴァーステキン。貴様らの戦い、ヴェナから見せてもらったぞ」
「え……あ、それはどうも…」
「実に………くだらんな」
「はぁ〜?なんなの急に」
「口を開くな『星無し』」
着物を着た女性…ロードエノルメが一言。その言葉に少し苛立ったレオパルトだったが、ベーゼがまだ動いていなかったので彼女は冷静に静かにしていた。だが、何時でも銃口で頭を撃ち抜ける用意はしていた。
「特にベーゼ、貴様は何がしたい?魔法少女を倒す気はあるのか?トレスマジアを縛り、服を剥ぎ、なじり、嬲り、乳くりあうばかり…ふざけているのか?」
「あ、これはド正論っすわ!もっと言ってやってくださいよ姉御!!」
「あんたちょっとは静かにしてなさいよ!ロード様が喋ってんのよ星無し2号!」
「え、私の方が1号なんだが…!?」
顔を真っ赤にするベーゼ。しかし、これに関しては至極真っ当であり何も反論出来ないでいた。ネロアリスもレオパルトも、同じ事を考えていた。『まぁそう言われるわな』と。
「ヴェナリータ」
「なんだい?」
「手緩き事も大概にせよ、我らの目的は世界征服のはずだ」
「まだその時期じゃないのさ、今は力を蓄えるべきだよ」
「我らが力なら既に潤沢。先の狩りで相手した魔法少女…どれも敵ではなかった……機は熟した、最早我らに敵は無い」
「増長かな、身を滅ぼすことになるよ」
ヴェナリータとロードエノルメ。2人の視線が交わる。しかし、その意見は決して交わらない。それを悟ったのか、ロードエノルメは立ち上がる。
「……最早、問答は埒もなし……か。なれば世界征服、我々の手で進めるとしよう」
「それは、造反と捉えていいのかな」
「好きに取ってもらって構わんが?」
不敵な笑みを浮べるロード。今はとても緊張感のある場面ではあるが…ベーゼ達は置いてけぼりになってしまっていた。なぜなら、ヴァーステキンが1度顔合わせしているとはいえほぼ初対面なのだから。
「なんか急に出てきた奴が裏切ったんだけど?」
「アリス、あの人変身前多分普通に大人だから…あんな痛い大人になったらダメだよ」
「……ん」
「皆そんなこと言ってる場合じゃないよ…!?」
「後悔することになるよ」
「ふっ……そこの4人…貴様らも我らと来ることを特別に許す、この世界の派遣の一端を担わせてやろう」
不敵な笑みを浮かべ、4人をロード。一同は顔を見合わせるが、この場での意見は既に統一されていた。『いや別に…』である。4人ともそもそもそういうのに興味が無いのだ。
「え……っと、大丈夫です私そういうの興味無いので」
「ベーゼちゃんが乗んないならあたしもいらなぁい!」
「え、いいの?」
「うん〜!」
「あ、アリスもパスだってさべーぜちゃん……あ!私もパスっすわ!!誰が好き好んで楽しくもねぇことしないといけない訳!?性癖は合わねぇけどやりてぇことはどっちかと言うとベーゼちゃん寄りなんすよ私!!」
「ですよねぇ〜」
固まってしまったロードに対し、ベーゼ達は和気藹々としていた。はっきり言っていまこの場における会話はベーゼですら、ろくに聞いていない。なぜなら前提からやる気がないからだ。
「はぁ!?興味ないってなんであんたらこの組織入ったのよ!?」
「いやそれは無理矢理……」
「ベーゼちゃん、正直無理矢理入れられたって言っても多分もう誰も納得しないよ」
「えっ」
ベーゼ達の態度に、ロードは軽くため息を着く。そして目を伏せた後に…先程のような冷たい表情に戻り、ベーゼ達を睨みつける。
「シスタ、潰せ」
「……悲しいですぅ。ですがぁ、ロード様の命とあればぁ……仕方ありませんねぇ?」
シスター服の女性……シスタギガント。彼女は飛び降り、ベーゼ達の前で着地していた。着地した地面はひび割れ、彼女の重さが単に彼女自身の物では無いと理解させてくる。
「なーんか、やばげなんですけど〜…!?」
「強そう…だね。アリスちゃん、閉じ込められるかな」
「『こっち』は任せて」
ヴァーステキンの言葉を聞き、ベーゼは軽く頷く。そしてアリスのドールハウスが牙を向き……シスタギガントを飲み込んだ。そしてその場には、アリスとヴァーステキンの2人だけが取り残されていた。
「おやおや!君たち二人だけでいいのかな?」
「あんたら手出す気は無いでしょ?強いからね、全員一気にかかったら格が落ちるだろうし…命令ないと動かないでしょ?」
「あぁ、それなんだけどね」
ヴァーステキンは最初、こう思っていた。シスタギガントに命令を下していたので、この場にいるロード側のメンバーは全員ロードの命令なしでは動かないのだと。だが、それは勘違いだった。
「
「は…!?アリス!!!」
ヴァーステキンはアリスを突き飛ばす。それと同時に、突然前にあられた水色の髪の人物が、ヴァーステキンに掌底を食らわせる。その掌には…小さいながらも、凄まじい勢いで回転する水の刃が存在していた。
「ニャハハハハハハ!!
「簡単に発動していい技じゃないでしょそれ…!」
ヴァーステキンに触れた水の塊は、瞬時に肥大化。だが回転速度は変わらないままなので……ヴァーステキンの体を構成していたローブの部分は一気にズタズタに引き裂かれてしまい、浮いているのもやっとの状態となっていた。
「ぐっ…」
「僕の名前はアコニティウム!よろしくね!」
ヴァーステキンは、アリスを庇うように前に出る。袖口は両方切り落とされ、首と頭を繋げていた布地もちぎれてぶら下がっているような状態。だが、それでもアリスの盾になるために前に出ていた。
「しかし…残念だなぁ…」
「…何が」
「君に生身の肉体があったのなら……今ので、殺せてたのに」
「狂人が…!」
「っと…あっちももう終わるね」
「は…?いまさっき閉じ込めたばっか……はぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!???!?!」
ヴァーステキンはボロボロになりながらも、驚いていた。なぜならドールハウスが破壊され…というよりも突き破られたのだ。中から出てきたのは
「おいおい、散らかすなよシスタ〜」
「ごめんなさぁい……今終わらせますぅ〜…」
「あ゙ッ!!ああぁぁぁぁあぁぁあぁあぁあぁああああ!!!」
「おっ…ぱいに…!絞め殺される…!が、っは…!これ、やばい…ベーゼちゃん…!」
ベーゼは締め付けられながらも頭をフル回転させ…この場における最適解を即座にたたき出す。そして、絞られている中で必死に声を荒らげる。
「あッ…!ぐぁ…!レオ、ちゃん…!爆弾!!ありったけ!!」
「それじゃベーゼちゃんも…!」
「いいから!!!」
「ッ…!」
今、全員がシスタとベーゼ達に視線を向けていた。これをヴァーステキンは隙だと捉えた。自らとアリスとヴェナリータを魔法により『隠し』姿を消す。視覚、嗅覚、聴覚、皮膚感覚にまで。動いた時の足音や、空気の微細な振動…自らの匂いまでも認識されないようにした。そして同時に、シスタの胸がレオパルトの爆弾により爆発……その爆炎と煙に紛れて、一同はこの場からヴェナリータのゲートを使って離脱するのであった。
「うっわ、何よあいつら」
「無茶すんなぁ、おい……大丈夫かよシスタ〜?」
「けほっ、けほっけほっ……あぁ…逃げられてしまいましたぁ…倒せませんでしたロード様ぁ…」
「愚図め、後で仕置だ……まぁいい、奴らの力量はわかった…あの程度捨て置いて構わん」
「本気ィ?ロード、あのマジアベーゼっての……多分、相当やばいよ?あ、実力じゃなくて…思考回路の方ね?」
水色の髪の少女は、ロードの目を見る。何かを見透かされているような感じがして、ロードは軽く舌打ちをするが…直ぐに顔の笑みは取り戻される。
「構わん…が、邪魔するようならその限りでは無い」
「まぁ指示に従うつもりは毛頭ないから、偶に勝手にいかせてもらうねぇ!」
「ふん」
,
sideエノルミータ、ヴァーステキン
「も、無理……」
私はヴェナリータに開けてもらったゲートから出た途端に、変身を解除した。あの女の一撃で、一気に瀕死になってる。無理やり魔力で変身を継続してただけだ、あのまま放置してたらアリスが間違いなく殺されてた。あの女は絶対やる。
「ベーゼちゃん!!」
「キウィ、こりす、君達は無事だったんだね」
「ベーゼちゃんが守ってくれた!!」
「ん…」
「あー…無事でよかったよ……」
レオパルト…キウィも無事なようで。怪我はしてるが、普通に動く分には問題は無い。だが、ベーゼちゃんがダメだ。コスチュームもそうだが、火傷とか焼けた皮膚からの出血やらでボロボロになっている。さっきの圧迫で骨をやられてる可能性もある。
「ベーゼ!!ベーゼちゃん!!!しっかりしてよォ!!」
「ゔ……」
「ベーゼちゃん!!」
「レオちゃん…よかった…無事で……」
「ベーゼちゃん…」
何とか目を覚ましたベーゼちゃん、しかし絶対安静だ。だが、そんなことお構い無しに体を仰向けにし…ゾッとするほどの『圧』を出す。手を天に掲げ…その顔には、いつぞやの大量の星が刻まれていた。
「ふ、ふふ……はははははははははははははははははははははは!!!!!!
気に入らない……気に入らないなぁ……1つ、2つ、3つ、4つ、5つ…………決めた、あの星は…『堕とす』」
そして、拳を握りしめ…まるで天の星を握りつぶすかのようにその目に闇を宿らせていた。うん、まぁこれでこそベーゼちゃんって感じなんだけど…やっぱこう、改めて見ても……
「やっぱクソやば女だな」
「えっ」
「レオンハルトもそう思うか、私もだ」
「嘘っ」
何でこうこの子自分がやばいって自覚ないの?えぐくない?なーんてことを思ってたけど…そうやって私達は一旦元の世界へと姿をくらますのであった。