sideトレスマジア
「これは一体…どういう事でしょう」
「どないしてんヴァーツはん」
トレスマジアは修行中、そんな中で街の様子を確認していたヴァーツだったが…突如として疑問の声を上げていた。修行に打ち込んでいたサルファとマゼンタは、一旦動きを止めてヴァーツの方へと視線を向ける。
「ち、ちょっとこれを見てください!!エノルミータの構成員が…仲間割れを起こしてるんです!」
「あらぁ…ほんまやねぇ…」
「大変…!あたし達も早く行かなくちゃ!」
マゼンタは心の底から正義の魔法少女である。困っている人がいれば助けに行く……それは彼女からしてみれば当たり前の思考だろう。だが、サルファは落ち着いた様子でため息を着く。
「いやぁ…ええやろ、潰しあってくれたらめっけもんやわ」
「えぇ!?」
「……というより、今は力をつけなあかんやろ。強くなった上で、消耗したヤツらを潰す。今のウチらやと力不足やさかい、それはあの子らも分かっとるみたいやで?見てみ、あんなに集中して修行を━━━」
そう言いながら、後ろの滝を指さすサルファ。そこにはアズールとシュヴァルツの2人がいるのだが……その様子は到底修行しているとは思われないものだった。
「凄いわ…!体いっぱいに圧を感じる…!これは中々……ひゃううん!!」
「ほらァ!!避けないとまた鞭が襲うよォ!!固める魔法で与えられた衝撃はそのまま体に残るようにしてるからねぇ!!」
「おう何しとんねんお前ら……滝行しながらSMプレイてどういう神経してはんの?」
サルファは滝に近づき、溜息をつきながら2人を睨んでいた。近づかれたことで漸く自分たちの世界から戻ってきていた2人は、そのままの状態で弁明を始める。
「なっ…こ、これは違うのよ!!」
「そ、そうそう!違うの!!」
「…………なぁ、アズール。あんた自分の武器について考えた事ある?」
「武器…?」
少し間を置き、サルファはアズールに問う。しかしその意図が分からずに、アズールはオウム返しの様に聞き返してしまっていた。
「文字通りの話や…ウチは拳、マゼンタは槍、シュヴァルツは鞭…せやけどあんたは大気中の水分を操って剣の形にしとるだけやろ?あんただけの武器が必要や、アズール……そしたらウチらはもっと強くなれる」
「私だけの……武器…」
自身の両手を見て、アズールは改めて考え直す。自らの『武器』を。そしてサルファは次にシュヴァルツへと視線を向けて、真面目な顔で問い質す。
「シュヴァルツ、前から思っとったけど…あんたは…なんかおかしい。文句じゃない、明らかに魔法少女としての活動を始めてから段々とおかしくなってきとる」
「………」
「何が原因かはわからへん、けど明らかに本来ならストッパーが掛かる様な所で…かからんくなってる。けど…それを上手い事制御出来たら…多分……」
「これを、制御…か」
天を見上げ、見つめ直すシュヴァルツ。その瞳に映るのは、雲一つない青空だが…彼女の頭の中は、曇天のように考えることでいっぱいになっているのであった。
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sideエノルミータ
「えーん!うてなちゃん元気になってよかったよ〜!!」
「あ、ありがとうキウィちゃん……」
「………」
「はあぁ〜こりすは優しいねぇ〜、なでなでしてくれるなんて優しすぎて尊みで達しちゃうよこれ!!」
「元気だね君達」
完全回復したうてなとヴァーステキン。キウィはうてなを労り、こりすは変身していないアイテム状態のヴァスを撫でて労わっていた。
「あ、そうだ…こりすにこの間のお詫び持ってきたんだ……ほい、玩具な」
そう言ってキウィから渡されたのは……ロボットのプラモデルであった。こりすの趣味はどちらかと言えば可愛らしい人形であり、かっこいいプラモデルの方面では無いのだ。
なので、手渡されたこりすは凄まじく複雑な表情となっていた。
「キウィちゃん…あぁいうのはちょっと違うんじゃ…」
「え、そーなの?」
「そーに決まってんだろうが脳みそが胸に詰まってんのかァ!?この爆乳女が!公衆の面前で脱ぐように羞恥心忘れさせたろか!!」
「やって見やがれ劣化ヒトデ!!!」
二人が言い争いを始めそうになっていた中、うてなは顔を俯かせて申し訳なさそうにしていた。その様子に毒気を抜かれたのか、2人は勢いを落とし立ち上がりかけていたが、座り直していた。
「この前の戦い…行けなくてごめんね」
「何言ってんの!全然大丈夫だって!ケガしてたんだししょうがないじゃん!」
「…いや、ほんとによく逃げきれたよね。マジでこりすが無事なのはグッジョブとしか言いようがない」
「巻き込んだようなもんだかんなぁ……でもあいつやべーようてなちゃん」
最初はロード団の1人、ロコムジカとの戦いだった。しかし姿を隠したキウィ達を見つけることが出来ず退却を命令される。その後に訪れたある意味で最悪であり災厄の存在、アコニティウム。彼女から逃げることは出来たのだが、その代わり街の一部が焦土…というよりは焼け付き蒸発した土地へと変貌していた。その事をキウィは忠告していた。
「……うぅん、でも…あんなやつら、はやくたおさなきゃ。あいつらやっちゃいけない事をしたんだもん
…………………………………ね?」
「……………ねっ!!!」
「怖いよこの中学生……こりすはこんなお姉さんになっちゃダメだよ…私みたいなボンキュッボンのナイスバディになろうね…」
「お前のボディスカッスカッスカッだろ……」
「━━━そんな話をしていたらロコムジカ達の気配を察知だよ」
そう言いながらゲートを開くヴェナリータ。殆どうてな達は巻き込まれた様な物ではあるが、それはそれとして舐めた口を利く奴らには鉄槌が必要だと判断したためだ。
「では皆さん…行きましょうか」
「「「「
,
「ぞっこん!ロックォン!ラブハート!!
みんなー!今日はロコの為に集まってくれてありがとー!!」
着いた先はロコムジカがライブをしていた。その事実にアリスもレオも驚愕の表情を浮かべていた。それだけ、ロコムジカのライブに人が集まるのが信じられなかったのだ。
「何だよこれは…!?おかしすぎる…アイツの歌にこんな集客力あるわけねーのに…!」
「す、好きな人もいるんじゃないかな…」
「そうだぞ〜?人の好みは千差万別だ、そこに文句を言ってはいけない」
「いやだって聞いてみてよ2人共!!」
レオに促され、意識をロコムジカのライブに向けるヴァスとベーゼ。そして、そこから聞こえてくるロコの歌は……なんとも言えないものだった。
「ばっきゅん!ずっきゅん狙いうちっ!ぞっこん!ロックォン!ラブハート!」
「ッ……」
「ほらそういう顔になるでしょ?」
「歌詞が酷い音程も酷い更には声の張り方もダメ、カラオケでも30点取れたらいい方でしかも下手だと認識してないタイプの悪質さで-500点くらいになった」
「ほらそう言う判定になるだろ」
あまりにも酷い評価。単に音痴であるならば逆にネタにできるので強いかもしれないが、そう言った『下手すぎることによる逆転の発想』というのがなかった。
所謂『真の不人気は最下位より一個上』みたいなものである。本当に救いようがない物である。
「……ってよく見たらもう一人いるじゃん」
「確か…ルベルブルーメ…ヴァスさん、何か知ってますか?」
「知らね、あれは何と言うか…今んとこロード側の人間とも私達とも違う…というかなんか地味な感じ。目立たないようにしてる、って考えた方がいいかもね」
「つまりなにか目立ったら使いづらくなる魔法…?」
「………………もうめんどい、爆弾投げたれ」
「あっ!?」
そう言ってレオは爆弾をルベルとロコのいる所へと投げ落とす。完全に面倒になった故の手間なのだが、それが所謂宣戦布告の合図となってしまっていた。
「ぎゃー!!!?何よ急にー!!」
「チッ…レオパルトの奴か」
「っ…!?体が動く!」
「皆早く逃げて!」
観客達は爆発に応じ逃げていく……のだが、その言葉にベーゼとヴァスは少し違和感を覚えていた。念には念を、相手は強力とはいえ二人、対してこちらは4人。1人念を入れにいってもいいだろうとヴァスは判断した。
「……ベーゼちゃん、私姿隠して隙伺っとくよ」
「…えぇ、お願いしますね」
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sideエノルミータ、ヴァーステキン
さて、私は姿を隠してこっそりと降り立つ。対してベーゼちゃん達はロコムジカとルベルブルーメの2人の前に降り立っていた。私が居なくなったことは…というかそもそもいたことに気づかれていたかも分からないが、問題ない。このままちょっと気になったこと確認しよう。
「よ!く!!も!!!やってくれたわねこのザコ共ォ!!ロコのコンサートを台無しにした罪…!償わせてあげるわ!!」
そう言って、ロコムジカは『音』を飛ばす。まじで本当は音って不可視なんだけど…音符がちゃんと見えるようになってて助かる。破壊力はあるが、ぶっちゃけ精度はそこまで高くない。はっきり言えば…ライブ活動するくらいには音楽には興味があるようだが、そもそもこいつらもあんまり世界征服とかには興味無さそうだな…特にルベルブルーメ。
「ッ…!?がはっ!!」
「ベーゼちゃん!!」
「っと危ねぇ…」
……なんて考えてたら、急にベーゼちゃんの動きが止まった。ロコムジカの攻撃程度に当たるとは思えない、なら原因はルベルブルーメ…さっきの観客といい…今と言い……種はわかった。一旦このまま報告しに行くか。
「ベーゼちゃん大丈夫!?」
「うん…!」
「っと……」
「…ヴァスさんですか、どうですか?」
「ルベルブルーメは動きを止める…というか多分体の操作だ。けど無条件にじゃない…」
私は手短に推測をベーゼちゃんに伝えていく。ベーゼちゃんはおっぱい魔人やお姫様のアリスと違って、色んな意味で頭が回る。だから推測を言って、1つずつ潰していってもらうつもりだ。
推測①音で操作はできない。あんな微妙な歌垂れ流してるロコムジカがいるのに、音が届くとは思えない。音波にしたって、爆発1つで解除されるほど弱いということも無いはず。
推測②観客の体の操作、さっきのベーゼちゃんの動きの停止…どっちも爆発で解除されてる。ルベルブルーメにはダメージは入ってないから、考えられるとしたら爆風か爆炎のどちらかで解除された。
「って訳で、私もその2つで考えとくから」
「…ありがとうございます…ですがらあと1回行動させたら…分かると思いますよ」
「ふっふっふっ……あいつらロコの力にビビってるわね!」
「お前タコか?どう考えても私の事だろうが」
「ハァ!?誰がタコだってのよ!!」
「テメーだよタコムジカ」
「………」
2人はベーゼちゃん達を放置して喧嘩をし始める。何だこいつら、痴話喧嘩ならよそでやって欲しいところなんですけどね……なぁんて思っていたら、
「だったら見せてやるよ…!あたしの力…!」
「ッ…!?いつの間に、背後に…!」
「これで終いだ…呆気ねぇかぁ?マジアベーゼ」
「━━━あのさあ、いつの間にか後ろにいる枠は私のものなんだが?」
そう言いながら、私は袖の棘を伸ばしてルベルブルーメを捕まえる。勿論魔法の無効化も忘れずに。ベーゼちゃんに闇討ちみたいな形で後ろから来たのは、そもそものパワーに自信がないのだろう。強くあっても得手不得手は人によってはあるのだ、私だってパワーは無いが…棘による拘束力、魔法無効化による技がある。
「んだこれッ…!?魔法が…!?」
「本来なら単なる拘束は『影』を作るから、入って逃げれるもんなぁ?ルベルブルーメェ…!」
「…てめぇ、あたしの魔法を…」
「お前の魔法は『影』だ。てっきり肉体操作だけかと思ってたけど、自分自身は影に入って移動ができる…でしょ?」
「ちっ……」
納得納得、ってなるとアリスやベーゼちゃんの魔法は実質影を増やすから相性悪いな。逆に爆炎で明るくできるレオパルトは相性がいい、と。それでさっき観客とベーゼちゃんが動けるようになったわけだ。
「そんでお前には
「全部バレてんのかよ…!なら、切り裂いて…!」
「させるか!3人共!!」
「ナイス拘束!」
「ん……」
「これで…!」
私ら心は以心伝心、ってな!何も言わずともレオはスタングレネードを投げてルベルブルーメとロコムジカの目と耳を潰す。その直後に包むようにドールハウスによってルベルを捕まえて、同時に私は逃げ出す。そして、そのままベーゼちゃんが生み出したツタの魔物がドールハウスを目張りして……完全にルベルブルーメを閉じ込める。
「くそっ…!出しやがれ!!」
「出すわけないだろばーか!!」
「ルベル…!あんたもう何やって…!」
「おっと…下手なことをすれば踏み潰します…少しは考えて動いてくださいね?」
わーお、ベーゼちゃんほんとに悪の幹部初めて短期間なの?目張りしたドールハウスを足蹴にして、脅しをかけてた。単なる悪の同期程度なら…見捨てられる筈だよなぁ?けど、そうじゃない。ロコムジカは完全に躊躇していた。
「くそっ…!ベーゼの野郎…!」
「やはり攻撃はできませんよねぇ……それではロコムジカさん、服を脱いでもらえませんか?」
「ぬーげ!ぬーげ!!」
「はっ…!?ハアァァァ!?何馬鹿なこと言ってんのよ!!」
当たり前に突っ込むロコムジカ。だが、疑問も否定も許さないと言わんばかりにベーゼちゃんは足蹴にしているドールハウスに、力を込める。みしりみしり…嫌な音が響き渡る。ところでそれアリスのだけどマジで踏み潰さないよね?
「ちょ…ッ!?ちょっと、やめなさいよアンタ!!」
「それならホラ、早くしないと潰してしまいますよ?」
「ッ……!!分かったわよ!!そッ……そのくらい、どうって事ないんだから!!」
「おい!?何言いなりになってんだお前!!」
そう言って脱ぎ始めるロコムジカ……だが、パンツと布面積の狭いビキニは脱げないでいた。うーん、求められてるのは全裸だし…もうちょい脅すか。
「ロコムジカロコムジカ〜、面白いこと教えよっかぁ?」
「は…?」
「このドールハウス…私が魔法を使って魔法効果を無力化するとさぁ…ドールハウスが大きくなるんじゃなくて、小さくなってるルベルブルーメが大きくなるんだよねぇ」
「それ、が…なんなのよ……」
「ちゃああああああん、と……全部脱がないと…私の魔法をドールハウスに掛けたら…中のルベルブルーメは…どうなるだろうねぇ?」
「ッ…!!」
実際どうなるのかは分からない。シスタギガントの様に破壊して出てくるのか、それとも体がドールハウスの小ささに耐えきれずに潰れるか……けどこれは脅しだ。やる必要は全くない。
「ベーゼちゃんが踏み潰したら、もしかしたら生き残れるかもしれないよ?けど、私が魔法効果を無効化したら…確実にルベルブルーメに被害がいく…ちゃああああああんと、考えなよ、ね?」
「くっ……ううぅ…!」
そう言って、残った下着を脱いでいく。残されたのは帽子とマイクだけ。ホントなら帽子も脱げと言いたいが……フェチなんでね!!許そうじゃないか。
「あぁ…いい格好ですねぇ…」
「手どけろー」
「アリス、あっち向いとけ」
顔を真っ赤にさせながら、ロコムジカは胸と股間部を隠していた。おいおい、そりゃあねぇぜ。まぁ脱いだし野次飛ばすだけにしとこうか……ところでこっからどうする気なんだベーゼちゃん。
「先程のお客さん、またお呼びしますか。皆さんに是非見ていただきたいところです」
「ふ、ふん…望むところよ」
「面白写真撮っとこ」
「それアタシのスマホじゃん」
「後でSNS上げといてよ」
「よし来た」
投稿内容は『全裸怪人おっぱいだけめっちゃでけぇwww』ね。なんてことをやり取りしてる間に、ベーゼちゃんは私ら無視して話を進めていた。
「そういえばロコムジカさんは…アイドルを目指していらっしゃるとか。ぜひ1曲お聞かせ願えますか?」
「ハァ!?こんな格好で歌えるわけないでしょ!!」
「……そうですか、その程度の覚悟ですか。いついかなる時でも歌を届ける…それがアイドルの本懐では無いのですか?裸に剥かれた程度で音を上げるとは…
無茶苦茶言ってたベーゼちゃんだが、ここで爆弾投下。露骨にロコムジカは狼狽えて…いや、動揺していた。どうやら気づいていなかったようだ…え、あいつあの歌であの集客力出来ると思ってたの!?まだ幼児のおうたの方が視聴率稼げるぞ!!
「ニセモノ…?何、言ってんのよ…あんた……」
「オイクソッ!!黙れ!!ここから出しやがれ!!」
「黙ってんのはお前の方だよルベルブルーメ!!ちょーっとお前の声遮断させてもらうわ!!」
なるほど、ルベルブルーメが手を回していた事は気づかず…か。ならばきちんと聞こえるようにドールハウスに魔法をかけて中の音を隠すとしよう。
「先程貴方のステージに来ていた方達…あれみんな、ルベルブルーメさんに操られていたんですよ」
「━━━━な、何よそれぇ〜!!!余計なことしてくれたわねルベル!!」
「よっぽどお前の事をサポートしたかったんだなァ?仲良いじゃないのよ、お似合いだぞ〜?」
煽りの野次を飛ばしたが…聞こえて無さそうだ。ワナワナと震えて余計に赤くなる。あの感じは…あ、ブチギレてる。どうやら歌の下手さにはどっか自覚があったらしいな。それを信じてなかった、と。
「あっったま来たわ…皆皆、ロコを馬鹿にして……!」
「もう結構ですよ?何も貴方には期待してませんので」
「え、まじ?」
何をさせたいのかマジでわからん。脱がせるだけ脱がして放置?いや、これ…もしかして煽ったのか?歌わせる為に?え、あんな歌聞きたいの?変わってんねぇベーゼちゃん。
「ッ…!?何ですって…!?うっ…歌ってやるわよ!!ロコの…ロコの歌!!ちちち、ちゃんと聞きなさいよね!!」
「おー、話半分で聞いてやるから」
前奏が流れ始め、マイクを構えるロコムジカ。前奏が流れた辺りからアリスもレオもロコムジカの方に視線を向け、全員でロコムジカを見る。改めて見られるということに恥ずかしさを感じてしまったのか、再び部位を隠す。
……が、ダンスもするつもりなのか恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、ロコムジカは歌と踊りを披露し始める。
「ろっ……ろこは……ロコはラブリぃ、ラブリぃロ・コぉ…皆キュンキュンメロメロリンんッ」
「…は?」
いや、上手い。なんで?恥ずかしさって普通デバフだろうに。デバフかかって声のトーンがちょうど良くなった?にしてはあまりにもトーンが合いすぎてる。しかも歌っていく度に段々と悦んでる様な顔に…嘘でしょ?こんな変な感じで性癖開花しちゃうの?終わってんな。いやでも上手すぎ、もうこれ野次飛ばせんな━━━
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sideエノルミータ
ロコムジカは全裸で歌と踊りを披露していた。恥ずかしさによる心臓の高鳴り、今まではトーンの高低差を声の大きさで出してしまっていたのも微妙さの要因だったが…裸で歌と踊りを披露したおかげで、歌詞以外は完璧な歌となっていた。
それに圧倒され、魅了されているエノルミータ達にロコは嬉しさを覚え、それが露出している高鳴りと重なり合い開花してはいけない才能を開花させていく。高鳴りは疼きへと変わり、高みへと昇っていく。そして、歌いきった瞬間に……その高みは、弾けて頭を真っ白にさせる。それは、ロコムジカという存在にダメなことを教えてしまっていた。
「はぁ…はぁ……みんな…ありがとぉ……」
「ぶらぼーっ!!よかったぞロコーッ!!」
「歌と踊りよすぎるー!ニーソだけ履いてー!!」
「━━━素晴らしかったですよロコさん…!私興奮しました…!」
「だろうね、ヨダレ垂れ流れてるから拭いときなよ」
エノルミータ達が感動し声援を送る中で、ロコもルベルも心のどこかで認めてしまっていたのだ。『負けた』と。ルベルは魔法への慢心により敗北、ロコは自らの枷を外してくれたことによる敗北。だが、きちんとそれに折り合いを付けれたのは……ロコであった。
「ロコの…負けね」
こうして、一つの戦いが今…終わりを告げたのだった。残る星はあと3つ。ベーゼが落とすと決めた存在は、まだ残っているのであった。