sideエノルミータ、ヴァーステキン
「ちょっすよっすぽいっすー」
ふよふよと浮かびながら、私はまず
「あんた無事だったの!?」
「無事だったのですイェイ……そっちは無事…じゃないの一人いるねぇ」
どうやらとんでもない死闘だったようで…私以外全員変身解けちゃってる。更にその内こりすがおねむでレオは傷だらけの血まみれ。相当無茶しちゃったようで。まぁ私もあの奇策がなかったら死んでただろうけど。
「こりすおぶるわ」
「え、キウィおぶればいいじゃない」
「私が抱いたら純潔奪われたって殺し合いになると思うけど」
「まぁいいけど……真珠がゲート開くわ!こりす!キウィをドールハウスで治療!!」
「おいシスタの姿がねぇぞ!!」
「今は無視しときなさい!!」
げっ、あのバカデカシスター居なくなってんの?なんか見るからに巨大な穴空いてるし、あそこにハマってたのだろう。ということはあそこから逃げたんだろうけど…満身創痍で襲われないことを祈るしかない。単体火力だと残った私達じゃあどうしようもないし。
「急ぐわよ!!ナハトベースへ!!!」
アイドルオタクがゲートを開けてくれたので、私達はそこへと飛び込む。ナハトベースだとベーゼちゃんがあのちょっと痛々しいサディストおばはんの相手をしてくれてると思うので。
ただなぁ……星の数多いもんなぁ…幾らベーゼちゃんでも厳しいんじゃないか………この時の私はそう思っていた。
.
「ベーゼ!助けに来たわよ!!」
飛び込んだ先、目に入るのはよくわからん液体…あれロードの作る魔物じゃね?その魔物の体に取り込まれるような感じで、ロードエノルメ本人が拘束されていた…………え、なんで拘束されての?実はマゾヒスト?
と、よく見ればなんか長毛になったベーゼちゃんがいた。普通に変身した時はうら若き少女って感じだったけど、今は悪の女王って感じ。見た目だけで言えばラスボス感はこっちの方が強い。
「なんじゃあ…?」
「あ、皆さん無事でしたか!もう少しで終わりますのでお待ちくださいね!」
「あ、うん……」
「え、なにこれ……ヴェヴェー?なにこれー?」
悪の女王から可愛らしい言葉遣いが飛び出してきた。いやほんとに意味わからん、どうなってんだ?しかもなんかよく見たらベーゼちゃんロード見てないじゃん、あんな態度でコミュ障出してるの?いやまさかね?
「………あいつ、何と話してんだ?」
「あ、やっぱそう思う?」
「2人ともいいところに気がついたね」
「え、何か知ってんのあれ?」
「あぁ…最早ベーゼはロードを見ていない……彼女の目に映るのは
………………………?????????????え…何が、何?何て?フィルタ?エアコンの奴?いや違うよね?ベーゼちゃんエアコンじゃないよね?エアコンなら多分クソ暑い暖房かクソ寒い冷房しかつかなさそう。いやそうじゃなくて。
「え…それは、何…?」
「ロードのキャラクターが趣味に合わなかったベーゼは苦戦していた。だから脳内でロードの像をねじ曲げて、自分の心が昂る姿へと創り変えたのさ。ロードを虐めがいのある姿にね」
ナニ、イッテンノ、コイツ━━━
じゃあ、何か。星の数的にはぶっちゃけ勝てなさそうとか思ってたけど普通にベーゼちゃんはあいつに勝てるスペックはあったってこと?けど姿がオバハンすぎてダメだったと?
「……やる気出ないから出るようにしたって話?」
「そうだね」
「そうだねじゃないのよ……」
「こわ……」
「やっぱベーゼちゃんはすげーや…!流石アタシの惚れた女だぜ…!」
レオパルト、それでいいのか?私はちょっとさすがに怖いわ。女体は平等に愛してあげな、って迂闊に言えなくなっちゃった。脳内でどう変換されてるかが知りたくない、流石の私もここまでじゃない。真の変態はベーゼちゃんに譲るわ。
「マズイ…!身動きが…!」
こっちのえっぐいぐらいドン引きの雰囲気とは裏腹に、ロードは未だシリアス状態で抵抗しようとしてた。いやもう無理よ、マジで。戦闘能力的に勝てる勝てないの話じゃない、なんかもう雰囲気が負け。向こうもベーゼちゃんの雰囲気に飲まれてしまってるからこうなってる。
「……しかし、本ッ当につまらない能力ですね…押しつぶす程度しか脳がない……まぁ、それでも枷くらいには使えますか」
「なっ…!?」
ベーゼちゃんは拘束を解除した。正確には両腕両足に手枷足枷を付けて、残りを取っ払った感じ。そしてそのままロードはベーゼちゃんのお膝へとダイブ。何をされるのか分からないロードは恐怖に顔をひきつらせながら、しかし抵抗できない故に身じろぐことしかしていない。
「なんだこれは…!?貴様何を…!?」
………で、ベーゼちゃんめっちゃ手をワキワキさせてる。やばいなんかする気満々の顔だ。魔法少女虐めてる時の楽しそうな顔だあれ。つまり今からロードは虐められるのか。
なんて思ってたら……ベーゼちゃんはロードのパンツを脱がせた。それと同時に私はアリスの目と耳を袖口の触手で閉じた。耳を閉じたところからは私の知ってる曲を流そう。冬〇花がぱっと思いついたからそれを流してあげよう。いやだって絶対今から見苦しいの流れるじゃん。
「………んぅ」
「え、赤〇のアンのきこえる〇しら?そのチョイスなんなの…まぁ知ってるけど」
「んぅ…」
どうやらお気に召した様だ。さてアリスには楽しんでもらうとして…私は現実逃避をそろそろやめて、ロードの方に向き直るとしよう。気がつけば全裸に向かれていた。
あれが推定成人女性の全裸か……結構胸あるな。
「うん……いいですねぇ━━━━」
━━━━そして、そのまま、ベーゼちゃんは……ロードエノルメの尻を引っぱたいた。それはもう全力で。アリスの耳塞いどいてよかった〜…私からしたらまぁこれはこれで…感あるけどさ、いやまぁそれ以上に惨めすぎて同情したくなる。
「ゔぅ…!?なんだこれは貴様ァ!!戦いをなんだと思って…あぁああぁあああ!!?」
「ロードさん……これは戦いではなく、お仕置ですよ?そんな口が聞けると言うことは、まだ反省してないんですねぇ?」
「や゙、め゙ぇ゙…!おしり、壊れ…!!」
あー、凄い甲高い音がすごい速さで聞こえてくる。楽しそうだなベーゼちゃん。いやぁ、惨めだなぁ……正直今回はガチめの痛みだけのお仕置だから、アズールみたいに開発成功はしないだろう。そもそもそんなすぐに完成するようなら、元々素質あったんだろうし。
「ロコ!ルベル!!私を助けろ!!そうすれば今までの事は水に流してやる!!早くしろォ!!」
「何か聴きたい曲ある?」
「アリスと同じの」
「んじゃあ同じくそんな感じで」
「おい無視するいだぁぁぁ!!?」
いや無視するでしょこんなん。下手に声掛けたら巻き込まれる可能性あるし……あれ、私の尻ってどこだろう?って考え始めたけど、すぐに思考から取り外して適当に2人にも同じ処置をする。
ルベルはまあJAM Pr〇jectでいいしロコは自分の曲聴いとけ。アリスと同じの?私は妥協しません。
「な、何故だ…!わた、私はァ…!世界を…!どうして、ゔぁぁ!!どうして、こんな事に……!!」
「いや…知らんよ…ま、こうなった理由だけなら明確だな」
「だなァ……ンなの、ベーゼちゃんを怒らせたからに決まってんだろ」
「ロードエノルメ……『ごめんなさい』は?」
「ふ、ふざけるな!!誰が貴様なぞに……ゔぁ…!ああああ!!!」
うわこっわ。ベーゼちゃん人虐めてる時死ぬほど顔怖いんだよな。マジでこれ10代の乙女がしていい顔じゃないよ。
多分ベーゼちゃんからしたら幼女というか魔法少女らしさがある幼さにされてるんだろうけど……こっちからしたら成人女性がケツしばかれてるだけなんだよな……おー、叩かれておっぱいブルンブルン…こっからだと割れ目見えないのがちょっと残念………いやないな。今のところ思う所あるからさすがに対象にならん。
「オメーあれも『そういう目』で見てんのか?」
「んなわけないでしょ…今はな」
「うわー……」
「ゔぅ!?やめ、お尻…撫で…!」
うわぁ、魔力込めた一撃で叩かれた尻を撫でてるよベーゼちゃん。真っ赤になってるから相当過敏になってるはずなのに、今どんな気分なんだろうなあいつ……
「ロードエノルメ…気づいてください。最早あなたには……何も、無いんですよ」
「う……!?うぅ…!うううううう……!」
ロードは涙を流してる。いやぁ、相当屈辱だろうな。自分の力を一瞬で上回られて…子供がされるような罰を受けさせられて…そして今謝る事を強制されてる。ベーゼちゃんドSすぎる。
しかもこれ魔法少女相手じゃないからね、魔法少女だとこっから屈することは禁止されるのよね。頭イカれてるぞこの女マジで。
「━━━ごめ…ん……な、さい………!」
「━━━━はい、よくできました」
ベーゼちゃんが頭を撫でたのと同時に…私は3人の目と耳の塞ぎ口を解除する。それが終わったのかと3人は理解し、目の前の状況を軽く無視しつつ驚きと嬉しさが混じったような表情をする。
「これっ、て…」
「決着…!?」
「えぇ…皆さん、私達の勝利です!!」
そう言って全員変身解除していた。私?私はしちゃったらまずいし…それに、水差すのも勿体ないからね。さて、逃げた後始末をさらに始末するとしますか。
,
「クソ…!この私が…あんな小娘に…!何故だ、何故こんな…!!」
「━━━そりゃあ簡単な話。調子に乗りすぎたからだよ……ねぇ?ヴェナ」
「あぁ…言っただろう?増長は身を滅ぼすと」
ロードエノルメを挟むように、私とヴェナがそこに立つ。いつの間にか逃げていたロードエノルメの行先はきちんと見ていたのだ。ベーゼちゃんは謝らせることに固執した…というか殺すつもりはなかったようだ。
「貴様ら…!」
「僕の言う通りに動いていれば…あと少しはいい思いをさせてあげられたんだけどな…それでも楽しかっただろう?借り物の力を存分に振るえてさ」
「なんだ、
「何だと…!?どういう、意味だ…!」
「ベーゼ達の魔力は彼女達の素質から育ったもの、対して君の力は…ボクがただ多量の魔力を与えただけのものさ」
「なっ…!?」
少しは思わなかった訳でもない。
キウィは…心根は優しいが、人間を信用していない。他者を傷つけることに、自らをも傷つく…そんな女だ。故にあの爆発火力。こりすも他2人も…結局そういう事なのだ。だがロードにはそれを感じることが出来ない。アコティニウムですら、あの狂気的な部分が魔法として発露しているのがよくわかるのに、こいつの思考と願いと能力は噛み合っていない。要するに『まとも』なのだ。
「まぁそれなりには役立ってくれたよ、彼女達の成長を手助けしてくれた……感謝しているよ。使い捨てにしては上出来だったね、ロードエノルメ」
「━━━き、貴様ァァァァ!!!!」
羽織っただけの上着がはためき、自らの鞭を携えてロードはヴェナへと飛び込んでいく。私はそれをただ見ているだけ……今飛び込んだら巻き込まれるのはわかっているからだ。
いつから居たのかは定かではないが…巨大化したシスタギガントが、音もなく、声を上げる暇もなく…ロードを一撃で吹き飛ばしていたのだから。
「…うわぁ、これは生きてないわ。この高さは助かるまい…」
「ご苦労だったねシスタ」
「とっても大変でしたぁ…もうクタクタですぅ…ヴェナさんってば、どうしてレオパルトの力のことを教えてくれなかったんですかぁ…?」
どうやらこの2人、私が仲間入り…いや下手したらロードがこっちに来る前から何かしら企んでいるのかもしれない。私にはそれは分からない……が、邪魔することもないだろう。
「ちょっとしたサプライズさ、驚いただろう?」
「もぉ〜…いりませんよぉ、そんなドッキリぃ…」
「力といえばさ、私なんかおもろいことになったんだけど…ヴェナなんか分かる?」
「そうだね……君は特殊な存在だからね、わかりやすく言うなら魂だけの状態…それが無意識に肉体を求めたことと、大量の魔力を持った魔物がいた事で発露したんじゃないかな」
「へぇ……なるほど…」
「…それもこれも、全てヴェナさんの計画の為…なんですよねぇ?」
「あぁ…全ては僕の掌の上さ」
普段から上がってる口角が、更に上がる。このマスコットが只者じゃないのは知っている。そして喋っている計画とやらがべーゼちゃんと相反するだろうということもなんとなくわかる。
けど…さっきも言ったが邪魔する事も無いのだ。私は今のところはべーゼちゃんの仲間だが、だからといってキウィの様にベーゼちゃんの敵をなぎ倒していくという程でもないのだから。
,
「ヴェナさん!!あ!ヴァスさんもこっちにいたんですね!」
「やっはろー、うてなちゃん」
「どうかしたのかい?」
「それが…ロードさんの姿が見えなくて…!」
ようやく気づいたのね。しかしシスタギガントが小さくなって隠れたという事は、うてなちゃん達の味方という訳でもないのだろう。わざわざ言って面倒巻き込むの嫌だし、あの爆乳シスターのことは黙っておくか。
「それなら問題ないよ、彼女はこちらで始末したからね…ヴァースは見届け人さ」
「そゆこと、後で報告しに行くつもりだったよ」
「そう…ならよかった、けど……」
「弱ってたし、な……」
「………」
「どうかしたかい?うてな」
「あ、いえ……」
「ふむ…兎も角君達は今回かなり活躍してくれたね、なにかご褒美を与えないと」
なにか気づきそうなうてなちゃんの意識を引くつもりらしい。でも褒美は欲しいからこれにも乗っかろう。ギャルのパンティーおーくーれー!!
「ヴァースは駄目だよ」
「なんでさ!!」
「しょうもなさそうだからね」
「ナハトベースにホテルください!!!」
「血ィ!!」
デカ乳ミイラが血反吐を吐きながら欲望に忠実となっていた。いやいや、何も頼む前にしょうもないと言われたんだぜ?私のはよォ…ならこのホテルもダメに
「よし叶えよう」
「やったー!よかったな!!」
「な、なんで真珠達に言うのよ!!」
「おかしいだろー!!!私の願いを叶えろー!!」
「内容は?」
「ギャルのハーレムおーくー」
「うてなとキウィは特に頑張ってくれたからね、僕は労いを怠らないのさ」
「私も頑張ったんだがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」
こんな理不尽な世の中を、変えたい。いいだろギャルのハーレム。え、ダメ?そっかー…なんて1悶着をしながら、ヴェナは淡々と話を進めていく。
「そしてうてな、君にはそうだね……
「え……えええええええええええええええええええええ!!!!?」
「やったねうてなちゃん!」
…その人事異動多分……
そんなこんなで、この戦いは終わりを迎えたのであった……