いろいろあったけど僕たちはひとつになった。
その後も事あるごとにどろしーちゃんを求め、渋々というスタンスを取りながらもそれに応じてくれる。初めは苦しそうな反応しかなかったけど、段々と身体が応えてくれるようになってきた。
幸せだ。
幸せなはずだった。
…………ひとつだけ気になることがある。
行為中は決して明かりを点けさせてくれないのだ。
恥ずかしがるのもわかるけど、いまだに一度も、ただの一度も、シている時のどろしーちゃんを見ていない。日中でさえ魔法で真っ暗にしてしまう。
どろしーちゃんのあんな顔やこんな顔を見たいし、あんな所やそんな所も見たいというのは贅沢なのだろうか。
ひとつになれただけで良かったはずなのに、それだけではもの足りなくなっている。
いや、愛し合っているなら全てを知りたいと思うのは当然のことだろう。
もしかして、なにか理由が……?
例えば途中で入れ替わっているとか。
……誰と?ドリス?
いやいやいや、さすがに男の身体と間違うはずがないし、それなら逆に明るくしているだろう。僕なら一瞬で見抜くけど。
それに暗くするとは言え下着姿までは明るいまま応じてくれる。身体を触れ合ったまま魔法で明かりを消すから、そこで入れ替わるのはムリがあった。
すると考えられるのは、その下にあるものを見せたくないということだろう。恥ずかしい、というだけではここまで拒否されるとは思えない。
まず考えられるのは傷あとやアザ。それを隠したくなるのはわかる。
もうひとつの可能性は他人と違うこと。たとえば乳輪が大きいとか、些細なことかもしれないけど本人に取っては大きな問題なのだろう。
そのどちらでも僕なら気にしないし、どろしーちゃん以外の身体に興味はない。そこを主張したらなんとかならないだろうか。いや多分いける。
今日こそ、今日こそは!
そうと決まれば魔王の仕事を爆速で片付け帰宅した。
「ただいま! どろしーちゃん!」
「おか……っ」
帰るなりギュッと抱きつく。
チュッと挨拶程度のキスをし、もう一度唇を重ねながら強く抱きしめる。
「んんっ……ん!」
舌を滑り込ませ、抱きしめた手をお尻に回す。
「ん! ちょ、……待っっ、なにいきなりサカってるのよ!」
ジタバタと腕の中で暴れる。
「どろしーちゃん不足です。会いたかった」
「お昼食べに帰って来てたでしょ!」
「4時間45分22秒も会えなかったんです。限界です」
「バカじゃないの!? それくらい我慢しなさいよ!」
「我慢できません。どろしーちゃんが欲しいです、今すぐに」
腰に回した腕で身体をホールドしながら片手でワンピースのボタンを外していく。
「ちょっ、ダメッこんな所じゃ……」
頬を染め身体をよじるその様子にもっと彼女を欲しくなる。
「わかりました」
抱き上げてベッドルームに直行し、横たわらせる。どろしーちゃんは観念したようにため息をついた。
途中まで外していた前開きのワンピースのボタンを外す。ブラジャーに包まれたボリュームのある胸が現れた。
ここまでなら光の下でも応じてくれるので、いつもはこの状態でしばらく愉しんでいた。でも今日はノータイムでブラの肩紐を下げる。
「ちょっ、待っ……」
魔法で電気を消そうと構えた右手に指をからめる。
「っ!?」
どろしーちゃんの両の手を握りベッドに押し付けた。これで魔法は使えない。
彼女は困惑した表情で見上げる。
「暗くして」
「お願いです、このままで」
「……恥ずかしいからイヤよ」
いつもなら、その恥じらう姿に負けるところだ。
「なにか隠しているんですよね」
目を見開く。
「僕はどろしーちゃんの身体がどんなでも気にしません。なにがあっても、ちゃんと受け止めます。だから、どろしーちゃんの全部を見せてください」
「………………」
二人の間に沈黙が流れた。
「お願い、です」
握った手にギュッと力を入れる。
少しの間の後、僕を見上げる。どろしーちゃんは目を伏せて、小さくうなずいた。
やっと、やっと彼女の全てを見られる。
高鳴る鼓動を抑えて、ブラジャーのカップをずり下げる。
ぷるん、とふたつの膨らみが現れた。大きいのに重力に負けずにその形を保っている。その頂きには美味しそうなピンクの蕾が膨らんでいた。
「キレイです」
見た限りではどこにもおかしな所はない。
「あんまり見ないで……んっ」
乳房をそっと指で触れた。
「や、……んっ」
やっと見られた胸を自分の手で隠したくなくて、指先だけでなぞる。円を描くようにゆっくりと触れていると、じれったそうに見上げられた。
その頂きに触れる。
「んんっ」
すでに膨らみ切っている乳首を指先で軽く押す。
「ん、……あ……」
それに合わせて声が上がる。
「んん……セラ、ヴィー……」
「もっと触って欲しい?」
「……いじわる」
責めるように言われた。可愛すぎる。これだけでも明かりを点けた甲斐があった。
そんな顔でおねだりされては仕方がない。掌を乳房に添え、ハリのある乳房をゆっくりとまさぐる。
「やっ、あ、……んんっ」
きめ細やかな肌がじっとりと汗をかいて掌に吸い付いてくる。乳房は指を動かす通りに形を変え、どろしーちゃんがそれに合わせて喘ぐ。
いやらしい。
こんなにいやらしかっただろうか。
服の上から揉みしだいた時もその姿は見ていたはずなのに、艶めかしく、美しく、いやらしい。
顔を上げてその表情をちゃんと見ようとすると、手で覆われてしまった。
「……見ないで」
そんなことを言われたら、もっといじめたくなってしまう。
「かわいいです。どろしーちゃん」
「ああっ」
その頂きを指でつまむ。
「やっ、んっ、ダメぇ……ッッ」
強く、弱く、加える力によって表情が変わる。すりつぶすように力を入れるとビクンッと身体を反らした。
「や、セラ……!」
もう我慢できなくて、その頂きにかぶりつく。
「やっ、ああッッ」
何度も味わい、しゃぶりつくしたはずなのに全く違う。
「ん! んん…………!」
力を入れると眉を寄せる、舌で転がすとくすぐったそうに声を上げる、歯を立てるとビクンッと身体を反らす。
そのひとつひとつが少しずつ毎回違って、その全てを解き明かしたくなる。
「あふっ……や……ん……」
もっともっと、違う顔が見たい。もっともっと、どろしーちゃんが欲しい。
「んんんっ……!!」
ビクッビクッ、と身体を震わせた後、グッタリとベッドに身体を預ける。
「イっちゃいました?」
「……ばか」
涙目で言われてしまった。
いつもよりちょっとだけ攻めすぎたかもしれない。
「だってあまりにも、どろしーちゃんがかわいくて」
「ばか」
そんな潤んだ瞳で言われても、誘っているようにしか見えない。無理を言ってでも明かりを点けておいて良かった。
そうだ、明かり。
つい盛り上がり過ぎてしまったけど、本来の目的を忘れてはいけない。一度身体を起こすと、胸だけ出ていたワンピースのスカートをたくし上げる。
「……っ!」
ソコはすっかり濡れてスリットを浮き上がらせていた。
ショーツに手をかけると、ビクッと身体を震わせる。
「や、やっぱりダメ」
太腿をすり合わせて拒否される。
「なにを恐れているんです?」
どろしーちゃんは顔をそらす。
「絶対にイヤだと言うなら仕方がないです、でも一人で抱えずに、苦しんでいるなら僕にも背負わせてください」
ゆっくりとこちらを見上げた。
「……わかったわ。変に騒いだりしないって言うなら」
妙なことを言う。
「わかりました」
その中になにが待ちかまえているかわからない。でもどろしーちゃんのためなら、どんなことでも受け止めるつもりだ。
濡れたショーツを剥がすようにゆっくり下ろす。
その下から現れたのは……
「………………………………」
「……セラヴィー?」
「そんな」
そんな。
「まさか」
まさか。
身体を起こし、目を閉じる。
深呼吸して今見たものをゆっくりと思い返す。
「セラヴィー?」
どろしーちゃんが身体を起こした気配がして、目を開く。心配そうにこちらをのぞいていた。
「すいません、もう一度見せてくれますか」
「……イヤよ」
赤くなってスカートを押さえる。
「お願いします」
「きゃあっ」
半ば強引に押し倒し、太腿を持ち上げ少し下ろしただけだったショーツを脱がす。光の下で秘部をあらわにした。
ピンクの丘には濡れそぼり張り付いた金色の毛。
……そう、金色。
体毛も黒だとなんの疑問も持っていなかった。しかし考えてみればそうだ、元世界一の魔法使いピカポンが研究していたのは“髪の毛“だった。
どろしーちゃんが彼の家で覚えた魔法で黒くなったならそれは髪の毛だけだったというのが当然の結果だろう。
僕の天使はここに隠されていた。
そっとキスする。
「っ! ヤッ、……んっ……」
チュッ、チュッ、チュッ、とその丘に生えた黄金の茂みに口付けするたびに身悶えする。
「ヤッ……イヤッ止めてッッ!」
大きな声に顔を上げると、彼女は涙を浮かべていた。
「……やめ、て……」
拒絶、だった。
「どろしーちゃん……」
「あんたはやっぱり、金髪がいいのね」
違う。
「……違います」
「違わないわ」
そんなつもりはなかった。
かつての暴走したような想いはなく、ただただ愛おしい気持ちだけがそこにあった。
「どろしーちゃん……」
彼女は小さく首を横に振る。
今までの自分の言動を考えるとそんな反応をされるのも仕方がない。
「ごめんなさいどろしーちゃん」
身体を起こしてまっすぐ目を合わせると、そっと唇を重ねる。
「僕は金髪なんて、もうどうでもいいんです」
「ウソ」
静かに、けれど冷たく言い放つ。
「私を好きだなんて言っても、結局は過去の私を追い求めているだけなのよ」
「………………」
何度も愛を確かめ合ったはずなのに、“金髪くるくる“はそれほどに深く影を落としていた。
今はどう言葉を重ねても信じてはもらえないだろう。
「わかりました。もうどろしーちゃんの顔しか見ません」
瞳を合わせたまま右手を下に伸ばす。
「……っ!」
暗闇で慣れている。見なくとも指先の感覚だけでソコにたどり着ける。
「っ……ゴマかさない、で……ッ」
「本当に僕は、毛の色なんてどうでもいいんですよ」
くちゅ、くちゅ、と指でナカを掻き回しながら唇を重ねる。
「あっ、やッッ」
どろしーちゃんの悦ぶ所は知っている。
「あふっ……あッ」
重ねた唇の隙間から吐息が漏れる。
蜜を溢れさせながら蜜壺はキュウキュウと指を締め付けた。
「どろしー……ちゃ……」
「ぁ……」
指を抜くと、少し切なそうな顔をした。
「挿れますよ」
その代わりに、身体を起こして我慢できないほど硬くなったソレを突き入れた。
「あっ!」
すっかり準備が出来ていた姫穴は僕を奥まで受け入れる。
「んんっ……」
「どろしーちゃん……ッ」
待ちかねていたように僕をギッチリとくわえ込んだ。
軽く腰を引き、浅いストロークで彼女の奥底を繰り返しノックする。
「んっ、んんッ、んっ」
それに合わせてどろしーちゃんがくぐもった声を上げる。ギュッとシーツをつかみ、快楽を耐えるように口を結んでいる。
もっと声を上げさせたい。
入口まで引き抜くと一気に奥まで突き立てた。
「ああッッ」
身体を反らし、僕を受け止める。
「やッ、あッ、強……ッ」
繋ぎ目から溢れる愛液が淫らな水音を立て、段々と嬌声が大きくなっていく。
どろしーちゃんを何度も何度も貫いた。
「やっ! あっ、やあッ!」
「どろしーちゃん! どろしーちゃん!」
「やっ! ん! ……セラ……ヴィー……!」
「……もっと取り乱すかと思ってたわ」
脱力したまま、どろしーちゃんは視線だけをこちらに向ける。
「そうですね。もう金髪のどろしーちゃんは過去の美しい思い出になってしまったのかもしれません」
目を閉じると、小さな頃のどろしーちゃんが浮かぶ。
「金髪くるくるは幸せの象徴で、想いを募らせるほどに僕の手から遠くなっていきました。だからこそ必死だったんでしょう」
目を開けると今のどろしーちゃんが居る。愛おしくて、愛おしくて、たまらない存在だ。
「僕はもう幸せを手に入れましたから」
抱き寄せてキスする。
「怖かったの。あんたがまた見境なくなりそうで」
「……すみません」
過去のことを思い出すと反論の余地がない。
「研究すれば黒くできただろうけどそこまでしたくない気がして、だけど見られたくはなくて」
胸に頭を預けてくる。
「ごめん、不安にさせたわね」
「いいえ、元はと言えば僕のせいですから」
「それはそうよ」
キッパリと言われた。
「でもこんなことなら、もっと早く打ち明けてもよかったかも」
「そうですよ。どろしーちゃんのこんなエッチな姿を今まで見られなかったなんてもったいないです……痛っっ」
ギリッとつねられる。顔が真っ赤だ。
「すごくかわいかったですよ」
プイっと背中を向けてしまった。耳まで赤い。
身体を起こし、のぞき込むようにして赤い耳にキスする。
「僕はもうどろしーちゃんの金髪にはこだわってないし、取り乱すこともないです」
「本当に?」
眉を寄せて僕を見上げる。
「ですから、金髪になってみてもいいんですよ?」
「誰がなるもんですか」
互いに軽く笑ってキスを交わす。
「じゃあ今のどろしーちゃんをもっと味わうとします」
「ちょっ……んんっ……」
首筋に唇を落とし乳房に手を伸ばすと、どろしーちゃんはモゾっと手を動かした。
POM、と部屋が暗くなる。
すかさず魔法を打ち消して明るくした。
「もう隠すことはないでしょう」
POM、と暗くなる。
「恥ずかしいのは恥ずかしいのよ」
POM、と明るくする。
「今までガマンしてた分、見せてくれてもいいじゃないですか」
POM!
「イヤよ」
POM!、POM!、POM!、POM!、と部屋の電気が点いたり消えたりを繰り返す。
「ああもう!」
バキッと殴られた。
「ひどい〜どろしーちゃんん~~」
「イヤだって言ってるでしょ!」
本気で怒っている表情だ。
「仕方ないですね」
POM、と電気を消して真っ暗にする。
「それじゃあ、さっきのどろしーちゃんを思い浮かべながらします」
「それはそれで、なんかイヤ」
「……わがままですねえ」
ベッドサイドの小さな明かりを灯す。
「これならどうでしょう」
薄明りの中、どろしーちゃんはヤレヤレ、といった感じでため息をついた。
陰影のはっきりした身体に唇を落とす。
「大好きです、どろしーちゃん」
「……あ………」