――――当人同士が意図しない形で発生した『事故』から、三か月が経った。
ソラと一緒に、ヨヨにしっかり怒られながらも。
自分の体についてや、今後どうするべきかを教えてもらったましろ。
成人済みであるあげはと、年の近い訳知りであるベリィベリーにも、『事故』のことを打ち明けて。
良き先達として、時折アドバイスをもらっている。
なお、ツバサに話すのはさすがに憚られた。
ソラもましろも、それぞれの性別に合った抑制剤を摂取することで。
『第二の事故』を回避し続けている。
副作用で何もできないくらいに動けなくなるものの。
ソラが相当落ち込んで気にしていた様子を覚えていたからこそ。
それが一番なのだと、ましろは分かっている。
まだ未成年と言えど、大抵のやっていいことと悪いことの区別くらいはつくのだ。
―――――しかし。
それはそれとして。
(――――もう一回だけ、ダメかなぁ)
いや、重ねて明記するのだが。
あの日の『事故』があってはならなかったことなのだと、ましろは理解している。
『加害者』であるソラからも、謝罪とともに諭されている。
『貴女には色んな未来を選ぶ権利があって、誰にもそれを害することは出来ません』
『それは、私であっても例外ではありません』
『今回、私は・・・・貴女の未来を・・・・危うく、潰してしまうところでした』
『貴女の時間を、自由を、奪い取るところでした』
『それは、決して許されてはいけないことなんです』
まるで、人を殺してしまった様に語り掛けるソラへ。
『貴女はそんなことはしない』と伝えると。
彼女は、ゆっくり首を横に振って。
『――――愛は、免罪符じゃないんですよ』
そう、告げて来たのだった。
――――言葉が届かなかったわけではない。
だが、それを覆しかねないほどに。
あの日の
(ううん・・・・わたしってこんなにはしたない子だったっけ・・・・!?)
抑制剤の副作用で横になったましろは。
日に日に大きくなる己の欲に、頭を抱えながら慄く。
◆ ◆ ◆
「――――ましろさんの元気が無い?」
「そうなんだよ」
あげはさんにそんな話を切り出されたのは、うららかな午後のことだった。
「なんか悩みがありそうなんだけど、なかなか話してくれそうになくて」
「なるほど・・・・」
――――確かに。
この頃のましろさんは、なんというか物憂げだ。
ため息も多いし、明らかに何か悩んでいる。
「・・・・それとなく探ってみましょうか」
『無理やり聞き出したくない』というのは大前提。
それはそれとして、以前そんな受け身の方針で失敗したこともあったので(ツバサくんにも迷惑かけたし・・・・)。
今回は押してみる作戦だ。
「ダメだったら、あげはさんお願いします」
「おっけぃ!ひとまずトップバッターよろしくね!」
「任されました」
何はともあれ、まずは聞いてみよう。
どうやって切り出そうかな・・・・。
と、頭を悩ませていたけど。
機会はすぐにやってきた。
「――――ソラさん」
「ましろさん?」
夜。
就寝の準備をしていると、自室のドアがノックされた。
開けると、同じく就寝準備万端なましろさんがいる。
「突然ごめんなさい・・・・少しだけ、お話させてください」
「ええ、いいですよ」
断る理由も無いので、『どうぞ』と招き入れる。
ひとまずベッドに座らせて、話を切り出すまで待つ。
隣のましろさんは、しばらくもじもじすると。
緊張した面持ちで、何度も口をぱくぱくさせる。
開いては閉じ、閉じては開き。
何かを言いたくて、でも言い出せなくて。
と言ったところか・・・・。
「・・・・ましろさん」
「・・・・ッ」
このままだんまりという訳にもいかないので、話しかけると。
キュウリを見た猫みたいにびゃっと肩を跳ね上げてしまうましろさん。
うう、ごめんな・・・・。
「すみません」
「いえ、その・・・・」
慌てるましろさんを根気強く宥め続けている内に、やがて決心がついたのか。
「そら、さん」
「はい」
「あの・・・・その・・・・!」
一世一代の、ともすればプロポーズか何かの様に。
「・・・・もう、一度」
「もう一度?」
「・・・・もう、一度、だけ」
緊迫した、しかし覚悟を決めた面持ちで言うのだ。
「・・・・抱いて、くれませんか」
「――――ヘェッ!?」
変な声が出てしまったけれど、気にする余裕はない。
――――寝耳に消防車のポンプをぶち込まれた気分だ。
何かの冗談であってほしいと思ったけれど、残念ながらそうはならなかった。
「・・・・理由、を、聞いても?」
狼狽え続けるわけにもいかないので、努めて冷静に問いかけてみると。
顔を熱した鉄の様に真っ赤にしたましろさんは、こっくり頷いて。
呼吸を整えて、とつとつ話し出してくれた。
――――あの日の『事故』は、嫌じゃなかったこと。
それでも私が、猛省と後悔していると知っていること。
私やヨヨさんの話を理解した上で、提案していること。
時折羞恥に言葉を詰まらせながらも、しっかり気持ちを言葉にしてくれる。
「だったら、どうして」
「・・・・あげはちゃんに、聞いたんです。ソラさん、あの日からもっと強い薬を飲むようになったって」
確かに。
あの日からもっと効能の強い薬を飲むようになった。
・・・・副作用も同じくらい強く、下手をすれば一生
それでも、『ましろさんの人生を壊してしまうよりは』と、承知の上で飲み続けていた。
あげはさんには、服用しているところを見つかり、同じ大人だしということで打ち明けていたのだ。
そうなってもなお、『ましろさんだけには』と、心配させないように黙っていたのだが。
そっかそっか・・・・私の迂闊さが招いた事態か(白目)
「強いものを長く飲み続けていると、体に悪いんですよね?」
内心頭を抱えていると、ましろさんがずいと近づいてくる。
「わたしの体のこと、未来のこと・・・・一生懸命、真剣に考えて、大切にしてくれているのは、本当に・・・・本当に!嬉しいです!」
『だけど』と、こちらに向ける目は。
心からの、心配に揺れていて。
「だけどっ・・・・それで、ソラさんが辛い思いをするのも、嫌です・・・・!」
「・・・・ましろさん」
「ソラさん、言ってくれましたよね?わたしには、未来を選ぶ権利があって、それは誰にも奪えないって」
「ええ、確かに言いましたけど・・・・」
「でも、それって、ソラさんにも言えることだと思うんです」
そっと、手を握られる。
「お願い・・・・わたしにも、心配させてください・・・・!」
言うや否や、唇を塞がれた。
「ま、まし・・・・むっ・・・・!」
逃げようと身を引いても、すぐに捕まってしまう。
最初は啄むだけだったけど、呼吸しようとした隙を突かれて。
舌も入れ込まれてしまった。
「ふ、ふ・・・・ん、ぐ・・・・!」
「ちゅ、っちゅ、は・・・・ぅむ・・・・!」
キスの最中、ふわっと漂ってきた、匂い。
甘くて、おいしそうな。
Ωの、ましろさんの。
・・・・この子。
今日は薬を飲んでないのか!?
「じゅっ、ぷ、むぅ・・・・!」
「っあ、はあっ・・・・ゃ、待・・・・むん・・・・!」
薬について聞こうにも、甘い猛攻に責め立てられてしまう。
――――まずい。
このままなし崩しで致してしまうのは、良くない・・・・!
ましろさんには申し訳ないけど、ここで中断してしまわないと。
本当に、後戻りが出来なくなる。
・・・・こうなったら。
力ずくも、視野に入れなければならない。
(いや、もう実行するしか・・・・!)
怪我をさせないのは大前提に。
とにかく距離を取ろうと、手をかけようとした時だった。
「ッあ"あ"・・・・!?」
予想だにしなかった、甘い刺激に。
体を跳ね上げてしまう。
ちかちか明滅する視界で、何事かと見下ろすと。
ましろさんの、手が。
私の、パジャマズボンの内側を。
まさぐっていて。
「――――にげないで」
以前、キスを続けながら。
ましろさんは、私のズボンとパンツを下ろして。
完全に露になったソレをしごく。
――――どうやら、この子のフェロモンは。
平均のそれよりも強いらしく。
日頃から、薬でしっかり弱らせているはずの『愚息』は。
『
「そらさん、おねがい」
声を、欲を。
どれほど死に物狂いで、押さえていると思っているのか。
・・・・いや。
分かっててやる方が、なおのこと質が悪いか。
「――――すき」
どちらにせよ、確かなのは。
「だいすき」
「――――ッ」
私は、まんまと。
彼女の術中に、はめられたということである。
◆ ◆ ◆
(――――あつい)
「は、は、は・・・・!」
――――ましろの囁き声が、とどめだった。
一段と高く跳ね上がったソラは、溜まらず子種を吐き出してしまう。
精液と、男性器。
なおも抵抗を試みるソラが、肩を使った呼吸で喘ぐ中。
二種類の熱に、文字通り触れている自らの手を見下ろしたましろは。
ふと、何か決意する様に生唾を呑み込んで。
「んっ・・・・ましろさん?」
なんとか喋れるだけの理性を取り戻したソラが気が付いた時には。
ましろは既に、口を開けていて。
「――――まっ」
名前を呼ぶのも、『待って』と言うのもままならないまま。
またしても先手を取られてしまった。
「あ"ッ・・・・!?」
ましろの口が、ソラの『愚息』を頬張る。
唾液で漱いで、全体の汚れを舐め取ってから。
ちろちろと、棒付きの飴を食べる様に舌を這わせ始めた。
「はぁっ!ふ、ぅ、ふっ・・・・ぐぅぅ・・・・!」
奥歯を噛み締めた口からは、バキバキと。
シーツを握りしめた手元では、ギチギチと音を立てて。
ソラは、欲望のままに動き出そうとする体を。
死力を尽くして抑え込む。
「ん、ちゅ、じゅぅっ・・・・れ、ん・・・・!」
口での奉仕を止めないまま。
ましろが募らせたのは、愛しさだ。
こんなことになってもなお、こちらを傷つけないように想ってくれている。
ソラが、その気になったなら。
ましろなんてあっと言う間に組み伏せて、いくらでも貪れるだろうに。
・・・・優しさに付け込むようで、罪悪感はあるが。
(まるで、いつかの仕返しをしてるみたい)
「んっ、じゅううぅっ・・・・!」
「アッ、アッ、アッ、アッ、やめ、ゆる、アアッ・・・・!!」
止む気配がない喘ぎ声を聞きながら、最後の仕上げとばかりに吸い上げる。
すると、限界を迎えたソラの体が、がくがくと揺れて。
「ア"ア"ア"ーッ・・・・!!」
「んっ、っぶ・・・・!」
二度目の『熱』を、解き放ったのだった。
「むっ、んっく・・・・ちゅぅう・・・・!」
喉に直撃しかけたところを、運よく受け止めたましろは。
零さないように飲み下しつつ、再び丁寧に丁寧に舐め上げていく。
舌が這い、綺麗になる度に。
ソラは蚊の鳴くような声を上げていた。
(ここ、なくならない・・・・)
最後に残った、先端から漏れる雫を。
ちろちろと舐め続けていると。
「ッ・・・・!」
「ぁ・・・・!?」
ふと、影が差したと思った次の瞬間。
気が付けば、ソラが覆いかぶさっていた。
「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ・・・・!!」
我に返って見上げれば、息を荒げる姿。
目を爛々と光らせて、見下すさまは。
まるで、獣の様で。
「・・・・どう、して」
刻一刻と、猛獣に変貌していくソラは。
ましろのパジャマに手をかけて、捲り上げながら。
悲痛な声を上げる。
「どうして、大切にさせてくれないんですか・・・・!?」
「ッ、あ・・・・」
もはやお馴染みの、肉刺を潰し続けて硬くなった手のひらが。
ましろの柔肌を這って、胸に触れる。
獰猛な様子とは裏腹の、優しい指使いに。
体が思わず跳ねた。
「本当に、構わなかったんです、貴女が、笑っていられる未来の為なら、構わなかったんです・・・・!!」
「んっ、ふ、っあ・・・・!」
「なのに・・・・!」
撫でる動きが、段々と抑揚が付いて、揉む動きに変化して。
「こんな・・・・こんな、こと・・・・されたら・・・・!」
「は、あっ・・・・んんっ・・・・!」
すっかりしこり立った中心を弾く。
呼応して、ましろの体がまた跳ねる。
「我慢、出来るわけ・・・・ないじゃないですか・・・・!」
「ッやああっ・・・・!」
一際強く、摘まみ上げられて。
とうとう大きくのけ反ってしまった。
差し出す様に持ち上がった下半身へ、蛇が飛び掛かる様に手が伸ばされる。
ゆったりとしたスカートが、下着諸共に脱がされて。
しとどにぬかるんだ秘所が、暴かれた。
「そ、そらさ・・・・ッアン!」
制止空しく、割れ目に指が這って、入り込む。
足を閉じて抵抗しようとしても、ソラの手が抜かれることはなかった。
「ッ、ぁ、や・・・・はぁん・・・・!!」
逃れようと身をよじらせても、やはり無意味。
どころか、抗うなとばかりに指が増やされる始末だ。
「ハアッ、は、はぁっ、ぁ、っああ・・・・!」
あまりの快感に、ぽろぽろと涙を流すましろ。
その一方で、ソラの片手が胸から離れて。
ましろの手を、指を絡めて捉える。
刺激が減ったと、すっかり油断していたところへ。
不意打ちする様に、胸を口に含んだ。
「ッああん!」
完全に隙を突かれたましろは、一際大きな声を上げる。
「ちゅ、ちゅ、ちゅ・・・・ん、っく・・・・ちゅぅっ・・・・!」
「ふぁ、アッ、ァ、ああ、あっ・・・・んんん・・・・!」
『誰か、家人に聞かれてしまうのでは』だなんて、心配する暇もないくらいに責め立てられる。
途中、空いた片手で口を必死に塞いだが。
指の間から漏れる声すらも、ソラを煽る要素にしかならなかった。
「んっ、んんんっ、ふう"ぅ"っ、ンッ・・・・!!」
気付けば、股座の音が大きくなっていた。
さらにもう一本増えたソラの指が、遠慮なく掻きまわして蹂躙していく。
「っあ、ぁん、んんっ、ふ、ぁ・・・・!」
もはや、手で押さえられないくらいに、体を震わせて。
「ッああああああ~~~・・・・!!」
とうとう、達してしまったのだった。
「は、は、は、は、は・・・・ん・・・・は・・・・!」
「はっ、は、ハア・・・・!」
ホワイトアウトから戻る視界を、ましろがぼんやりと眺めていると。
ソラが動く。
いつかも聞いた、パキッという音。
「っぷ・・・・」
まばたきの後に、はっきりした目で見みれば。
ソラが、やや行儀悪く包装を吐き捨てているのが分かった。
「あ・・・・?」
もう一度まばたきすると、ソラが見えなくなる。
「そらさん・・・・?」
「――――ましろさん」
探そうとした耳元に、囁き声が聞こえたことで。
うつぶせにさせられたのだと分かった。
「力を、抜いて」
「――――ッ」
息を呑んだ、次の瞬間。
久方ぶりの鈍痛が、ましろを貫く。
18歳と、14歳。
同性と言えども、体格差がある故か。
ましろは膝まで浮き上がる形で、ソラと繋がる。
「ハアァッ、は、は、は、は、は、んっ、は・・・・!」
「ぅあっ!アッ、アッ、アッ、ああっ・・・・!!」
どうやら、ましろの想像以上に。
ソラは興奮していたらしい。
重く湿った、手拍子の様な音が。
最初から速いテンポで鳴りだした。
「ふうっ、っあ、ア、はっ、ふ・・・・!」
「んんっ、っ、ふぁ、ぁ、アンッ、ゃ、ぁぁは・・・・!」
遮二無二振るう腰の強さは、その分愛してくれている証だと分かっているから。
ましろの胸に、恐怖はなかった。
「ふ、ふ、ふ、ふぅっ・・・・っん・・・・」
ピストンを止めないまま、ソラはぐいっと前かがみになる。
ましろの、三つ編みに纏められた髪を横に避けると。
「ちゅ、ん、っむ、ちゅぅっ・・・・!」
(・・・・ソラさん、もしかして)
露になったうなじへ。
舌を這わせ、キスを落とした。
(番になりたいって、思ってくれているのかな・・・・?)
なおも喘ぎ声を続けながら、時折、撫でる様に歯が当てられるのを感じたましろは。
ヨヨ達スカイランド組から教えてもらった、αとΩの特別な関係を想像して。
「・・・・~~~ッ」
静かに、悦びを覚えた。
「ま、しろ、ッさ・・・・んっちゅ・・・・ちゅぅっ・・・・!」
「ッア、んむ、チュッ・・・・ふぅっ・・・・ん・・・・そ、ら、さ
・・・・!」
ソラの唇が、ましろのそれに重ねられる。
同時に、ピストンが更に激しくなる。
ぐちゃぐちゃ。
ぱんぱん。
ちゅうちゅう。
色んな音に支配されきった二人は、お互いを貪る事しか考えていなかった。
「フーッ、フーッ、フーッ、フーッ・・・・!!」
ソラの動きが、ひたすらむしゃぶりつく動きから。
一撃一撃を確実に打ち込む、ゆったりとしたものになって。
「ふうううぅっ・・・・!!」
興奮が、快楽が。
最高潮に最接近する。
「ンンンンンンーーーッ・・・・!!」
「ふううううううっ・・・・!!」
――――ソラが。
『欲望』を解き放った。
「ッぁ・・・・ぁぁ・・・・ぁ・・・・!」
ふるふる、かたかたと、震えるましろは。
やはり避妊具越しとなった、ソラの子種を。
目を閉じて、感じ入っていた。
「っは・・・・!!」
対するソラは、息を止めていたらしい。
思い出したように息を吐くと、束の間ましろを抱きしめてから。
『億が一』にも、子種を零してしまわないように。
慎重に、慎重に。
避妊具ごと、『愚息』を引き抜いたのだった。
「はああぁッ・・・・!」
解放されて。
ましろはくったりと、ベッドに倒れ込む。
心地よい疲労が連れて来た睡魔に、そのまま身を任せて目を閉じた。
「――――誓います」
(――――ソラさん?)
真っ暗な中で、ソラの声がする。
「貴女の未来も、幸せも・・・・私が必ず、守ります」
――――落とされたキスの感覚に。
溢れんばかりの幸福で、満たされていくのを感じながら。
ましろは、眠りについたのだった。
今回書きたかったのは、体格差のあまりましろさんが浮き上がっちゃうシーンです()