――――真っ暗だ。
私、寝ている?
なんで寝てる?
今は何時だ?
今日は何があった?
「――――」
確か、そう。
スカイランドから呼び出しがあって、プリキュアのみんなで向かって。
そうだ。
「――――イ」
一昔前の、割とヤバめな犯罪者が脱獄したってんで。
警戒に当たっていたんだ。
「――――カイ」
そしたら本人が現れて。
それで。
「――――スカイ!」
「――――は」
目を覚ます。
何度かまばたきを繰り返して、はっきりした視界に。
心配そうにのぞき込むプリズムが見えた。
「よかった、起きたぁ・・・・!」
はぁーっと、安堵に息を吐き出したプリズムを追う様に、身を起こす。
見渡すと、覚えのない光景が広がっていた。
「ここは・・・・?」
「分かりません、多分閉じ込められちゃったんだと思います」
私が寝かされていたのは、恐らくキングサイズのベッド。
ご丁寧に天蓋までついている。
それ以外は、いたってシンプルなワンルーム・・・・と言ったところか。
「ごめんなさい・・・・わたしを庇ったばっかりに」
さてどうするかと考えていると、プリズムの沈んだ声が聞こえた。
一瞬『うん?』となったものの、直前の記憶がよみがえる。
そうだ。
逃げ遅れた民間人がいたのを、プリズムが庇っていて。
そこへ更に私が飛び込んだんだ。
「プリズムの所為じゃないですよ。仮に責任があったとして、貴女一人のものじゃない・・・・落ち込まないでください」
「・・・・はい」
落ち込む彼女の頭を撫でると、なんとか持ち直した様だった。
よかった・・・・。
「とはいえ、ここから出ないことにはなんともなりませんね。どうしたものか」
「あの、それなんですけど!」
部屋の脱出方法について悩もうとしたところ、プリズムには何か心当たりがあるらしい。
「何か見つけたんですか?」
「はい!先に起きたので、あれこれ探してたら見つけたんです!」
『あれなんですけど』と、プリズムが指さした先。
スカイランド文字で書かれた文章を、読んで。
「スカイランドの文字なので、読めなかったんですけど・・・・何かを三回すればいいみたいで!」
――――視界が、真っ赤になるほどの。
激情に苛まれた。
「・・・・ぁ、の・・・・スカイ?」
「――――ああ、すみません。プリズム」
激しい怒りとは裏腹に、口から出たのは自分でもびっくりするくらい穏やかな声。
「下がっていてください、出来れば毛布をかぶってくれると安心できます」
「え、あの、スカイは?」
「私ですか?」
ゆっくりゆっくりベッドから降りて、抜刀する。
そして、
「まずは、力づくを試そうかなと」
『セックスしないと出られない部屋(0/3)(※膣内射精のみカウント)』だなんて、ふざけているにも程がある文言を掲げた扉へ。
「――――ざっけんじゃネェぞッ!!!!!!ゴrrrrrルアアアァッッ!!!!!!!!!!!」
剣を、振りかぶった。
◆ ◆ ◆
――――続いていた罵声と轟音が止んで。
プリズムは恐る恐る、かぶっていた毛布から顔を出した。
「わ・・・・!」
まず目に入ったのは、黒焦げになった壁。
今この瞬間にも、ブスブスと煙を上げているが。
それ以外の傷らしい傷がついていないことに驚愕する。
「ぜ・・・・ぜ・・・・は・・・・!!」
そのすぐ手前では、スカイが疲労困憊とばかりに息をきらしていた。
バーストモードまで使ったのか、青い陽炎が今まさに空気に溶けて消えていく。
そして、そうまでしてもなお壊れない部屋に、プリズムは戦慄を覚えた。
「だ、大丈夫ですか?」
「は・・・・っん・・・・ぁ、い・・・・」
こくこくと頷いてはいるものの、大丈夫には見えない。
――――先ほどの。
朗らかな笑顔とは裏腹の、底冷えするような怒気はすっかり鳴りを潜めていた。
「ひとまず、こっちに・・・・!」
何はともあれ、このまま床に放置するわけにもいかない。
いつかしてくれたように、体を支えながら。
スカイをベッドに座らせた。
「す、みませ・・・・」
「いいんです。まずは休んでください」
本当は寝かせたかったが、それより早くぐったりと寄りかかられてしまったので。
プリズムもまた、そのまま好きにさせることにした。
(ソラさんの匂い・・・・)
プリズムの顔と、スカイの体が密着してしまっているので。
必然と、意図せずして相手の匂いが鼻をくすぐった。
ツンとしたすっぱさなんて欠片もない、どこか安心する匂い。
先ほどまで暴れていたからか、少しだけ香ばしい様な気もする。
(って、これじゃわたし、変態さんだよぉ・・・・)
まだ脱出手段の手掛かりもつかめていないのに。
何とも明後日な方向に行く思考に、自嘲の笑みを浮かべたところで。
そういえばと、思い出した。
「スカイ、あの壁にはなんて書いてあったんですか?」
スカイが豹変したのは、あの文言を読んでからだ。
その直後から、プリズムすら聞いた事のない大声と罵声を上げて。
彼女は激昂した。
プリズムはスカイランド文字を読めないこともあって。
結局何があったのか、未だによく分かっていなかったのである。
「・・・・ッ」
やはり、と言うべきか。
プリズムの疑問を聞いた途端、スカイの体が分かり易く強張った。
挙動としては小さなものでも、密着している分手に取る様に感じ取れる。
「・・・・そんなにひどいことが書かれていたんですか?」
「・・・・そう、ですね」
気まずそうだ。
ものすごく気まずそうだ。
まさしく目と鼻の先で、言葉を発しようと。
口が開いては閉じ、閉じては開きを繰り返す。
「――――その」
――――やがて。
覚悟は決まったとばかりに、口火が切られた。
「あそこには、ですね」
「・・・・ッ」
言葉の節々で、数呼吸置きながら。
それでも、伝えるべきことを伝えるべく。
「ものすごく、ざっくり言うと」
しかして、いっそ殺せとばかりの顔と声で。
苦しみとともに絞り出すのだ。
「『セックスしないと、出られない』と、書いてあります・・・・!!」
「――――ええっ!?」
スカイの顔は耳まで真っ赤、表情は苦虫を百匹単位で噛み潰したようだ。
「『ゴム』を使うのも認めないそうです・・・・!」
「あわわわわ・・・・!」
プリズムもまた、口元を押さえて狼狽えると同時に。
スカイが、何故激怒していたのかを。
十分に理解し、納得したのだった。
「じゃ、じゃあ・・・・」
やめておけばいいというのは、よく分かっている。
それでも、聞かずにはいられなかった。
「あの、カウントは・・・・!?」
「プリズムの想像通りであっているでしょう・・・・!」
今度こそ。
言葉を失ってしまった。
(どっ、どどどどどどどどどうしよう!?)
真っ赤な顔を見せたくなくて、すっかり俯いてしまったプリズムは。
頭の中でひたすら考える。
叶うなら、提示された脱出条件は避けたいところだ。
もし、その通りにしてしまったのなら。
どうなってしまうのか。
待ち受けるであろう苦難と、困難を。
よく、理解していた。
(アップドラフトシャイニング?ううん、ライジングでもダメかもしれない)
しかし、他に当てがあるかと聞かれると、首を横に振るしかない。
この部屋の壁は、スカイの剣技すら退けたのだ。
仮にプリズムが挑戦してみたところで、何か出来るとは到底思えなかった。
何より、懸念しているのは。
(バタフライ達、大丈夫かな・・・・)
それに尽きた。
もしかしたら同じ状態にあるか、あるいはここよりももっとひどい条件。
それこそ、誰かが犠牲になることを強いられているのかもしれない。
(早く助けにいかなくちゃだよ・・・・!)
だが、決意すればするほど、やはりあの条件が立ちはだかってくる。
どうする、どうする、どうする。
ぐるぐるぐるぐる考えて、悩んで。
「――――ぁ、の」
答えを、出した。
「シッ・・・・ま、せん・・・・かっ!?」
提案の内容と言い、声が上ずってしまったことと言い。
恥ずかしさで死にそうになりながらも、プリズムはスカイへ告げる。
「プリズム、それは・・・・!」
「分かっています!今のわたしが・・・・妊娠、しちゃったら。どうなるか・・・・ちゃんと、分かって、います」
「だったら・・・・!」
「でも!」
分かっている。
心配してくれているのも、大切にされているのも。
この拒絶が、愛してくれているが故にというのも。
全部分かっている。
「でも、バタフライ達が同じ目に遭っていたら?閉じ込められてなくても、危ない目に遭っていたら?みんながいなくなっちゃったら、誰がエルちゃんを守るんですか!?」
「そ、れは・・・・そう、ですが・・・・!」
それでもなお渋る彼女の腕をつかんで、体を寄せる。
「――――信じています」
驚愕に見開かれる目へ。
思いが届くように、語気を強める。
「絶対に放り出さないって、わたしの未来を一緒に考えてくれるって・・・・信じています」
「――――」
――――それは。
最初に抱いた時、
「ここで、自分を可愛がって、あげはちゃん達に何かある方が嫌です。だから・・・・!」
それきり口をつぐみ、まっすぐスカイを見つめるプリズム。
視線を受けて、痛みを耐える様に奥歯を食いしばったスカイは。
三呼吸以上、たっぷりと逡巡した後。
「んっ・・・・!」
プリズムの肩に手をかけて、唇を奪う。
「――――は」
「――――これから貴女は、抱かれるのではありません」
リップ音を残して、顔が離れる。
「私に、犯されるんです」
『犯す』と言いながらも抱きしめる手は、酷く優しくて、温かくて。
とても、害を成すように思えなくて。
プリズムは、静かに体を預けた。
◆ ◆ ◆
「――――ん、ふ、はっ、っちゅ」
「ぁ、んんっ、ぅ、っ、ふぅ・・・・!」
――――膝立ちになってもらった後ろから。
衣装の隙間に手を差し込む。
おねだりされたので、キスもしながら。
プリズムの胸と、股を触っていた。
「はぁ、ぅ、っん・・・・む、ふ・・・・ちゅ・・・・!」
股の水っぽい音が、どんどん重たくなっていく。
「っあ、ゃ、っは・・・・ぁあ・・・・!」
内壁を擦る度、胸の先を弾く度、舌先を啄む度。
プリズムが跳ねて、ふるふると震える。
うっすら目を開けて様子を伺うと、とろんとした顔が見えて。
「は、ふぅ、んん・・・・!」
「むぅん・・・・!?」
『もっと』とばかりに、唇が押し付けられた。
・・・・せめて。
この子が守られやすい様、『犯している』つもりなのに。
(これじゃあ、また一緒に怒られるよ)
「ふうぅ・・・・!」
「んっ、んんんっ・・・・!」
一際大きく口を開けて、舌をねじ込み、貪る。
プリズムの体も、一度大きく跳ね上がった後。
震えて快楽に耐えてから、もう一度唇を押し付けられた。
「む、ぅう、ん・・・・!」
お返しとばかりに舌が伸びて来たので、受け入れる。
「ぅん"ん"っ・・・・!」
口いっぱいに頬張って、キャンデーの様にねぶってやれば。
くぐもった甘い声がした。
「ぷはっ・・・・はぁっ、はぁーっ、はーっ・・・・!」
銀色の糸を紡いで、唇を離す。
プリズムの目は、快感に蕩けていて。
早く、短く。
呼吸を繰り返している。
私も息を整えるために、しばらく肩を上下させていると。
「そら、さん」
「ッ、まし、ん・・・・」
心房たまらんとばかりに、むちゅりとキスされる。
続けて、彼女のお尻が私の腰に擦り付けられた。
「は・・・・ゃ、くぅ・・・・!」
「・・・・ッ」
――――一瞬、で。
考えなければならない、この後のあれこれが。
真っ白になるほど、吹き飛んで。
「――――!!」
スカートを下ろす、スパッツを下ろす。
そそり立った『愚息』を晒して。
「あああっ・・・・!」
プリズムのそこに、ぶち込んだ。
「くぅあああ・・・・!」
声が漏れる。
気が付くと、ひたすら腰を振って。
プリズムの体を、貪っていた。
――――『ゴム』を使ってい入る時とは、全く違う。
温もりと、ぬめりと、感触。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・!」
「ァ、っあ、あ、ぁあ、ァー、ッ・・・・!」
嗚呼、畜生。
犯罪に手を染める人の気持ちが、一瞬だけでも分かってしまったのが。
本当に嫌だ・・・・!!
「ん"っ、ん"っ、ん"っ、く、ァ、ァア・・・・!」
動くたびに、突き込むたびに。
私の眼下で、楽器の様に喘ぐプリズム。
「ふ、ふ、ふ、ふ、フッ、フウゥッ・・・・!」
何もかもが、普段と違う感覚に。
早々に限界を迎えてしまって。
「はぁ"ぁああ"ああ"あ・・・・!」
「ああああああああ・・・・!」
――――まずは、一度目。
もう、後戻りは出来ない。
「は、は、は、は、は・・・・ん、ふ・・・・」
「はぁっ、んっ、は、ァ、ッアアア・・・・!」
後ろから抱きすくめる形で抱え上げて、膝に乗せる。
私自身を背もたれに、下から突き上げる形になった。
・・・・ふと、視線を上にあげると。
ちょうど、壁にかけられた大きな鏡に。
私達の痴態が、まるっと映る形になっていて。
「ぁ、や、これだめ、だめ・・・・ッはぁず・・・・!」
プリズムも気が付いたらしい。
両手で口を押えていたけれど、視線は鏡に釘付けだ。
「ッ・・・・!」
「ぁあ!?ぅうあ、あっ、ア、ッァ、っ、あああ・・・・!」
故意か偶然か。
とにかく『中』がぎゅう、と締め上げられて。
ピストンを再開した。
鏡越しに見せつける様に、彼女の股を開いてやれば。
また、強く締め付けられた。
「は、は、は、は・・・・!」
鏡の中。
私達の結合部から、白くどろりとしたものが溢れている。
『愚息』をすっかり包み込んだプリズムの『そこ』が、まるで飲み下す様にうごめいているのが見えて。
「・・・・ッ」
「ふああああッ!?っあ、ああ、ぁ、ッゃ・・・・!」
言いようのない高揚を覚えた私は、動きを加速させた。
・・・・密着しているから。
この子の上下で、振り乱された髪が。
甘いにおいを振りまいて。
私の理性を、抉り取っていく。
「・・・・~~~ッ!」
「ぅあ"あ"・・・・!」
一際早く、『手拍子』が鳴りだした。
ぐちゃぐちゃとやらしい音も混ざって、さらに煽られて興奮する。
「ァ、ア、ぁ、ああ・・・・ッはあ・・・・!」
もっと、もっと、声が聞きたくて。
再び衣装の間から、手を滑り込ませる。
「ッアー、ぁ、は、ふ・・・・んんん・・・・!」
今度は両手で、両方の胸を触ると。
プリズムは一層大きく跳ねた。
更に円を描くように揉んで、中心を弾く。
「はあ"あ"ッ・・・・!」
また大きく跳ねたプリズムを見下ろしながら、中心をすりつぶす様にいじれば。
続けて短く甘い声がはじけた。
それに伴って、『中』もぎゅうぎゅうにうごめいて。
「ッああ・・・・!」
「ぅあああ・・・・!」
――――二回目。
ごぽっ、と。
ややまとまった量が漏れるのが分かった。
「は、ぁ、っ・・・・!」
ふと。
視界に、蛍が見えた気がした。
我に返って見下ろすと、プリズムの髪が、衣装が。
ほろほろとほどけていくところで。
・・・・少しどころではなく。
無理を差せてしまった様だ。
一度休憩を入れるべきか、一瞬悩んだけれど。
「そらさん・・・・」
思考を中断させたのは、他でもないましろさんだった。
舌足らずに、私の名前を呼んだ彼女は。
すっかり潤みきった目で、見つめて。
「かぉ、みたい、です・・・・」
今度は、そんなおねだりをしてくる。
「ね、おねがい」
「・・・・ッ」
顔が寄せられて、耳元で艶っぽく囁くものだから。
まんまと誘惑された私は、一度『愚息』を抜いて。
ベッドに寝かせたましろさんに、覆いかぶさる。
「もう、止められませんよ」
自分でも驚くほど、低い声が出たけれど。
ましろさんは嬉しそうにほくそ笑んだのだった。
「フゥッ・・・・!」
「ァァ・・・・!」
腰を掴んで、もう一度挿入する。
すっかり慣れてしまった感覚に、嫌気がさしたのも一瞬だけ。
すぐに本能に屈して、腰を振り出してしまう。
「ぁあ、ッア、ふぅっ、ぅ、っ、あ、く・・・・!」
左右にも揺れながら、最奥を責め続ける。
『ちゅ、ちゅ』と、伝わる感覚は。
まるでキスをしているようだ。
「ッハ、ぁ、ぅあ、っや、はあ・・・・!」
伸ばされた手を、握る。
指が絡まって、握り返される。
「ん"っ、ンッ、んッ、つッア"・・・・!」
私の両手に縋りながら、ましろさんは快楽に浮かされきった声で言うのだ。
「っき、す、き、っふぁ、ァ、すき、すきっ、しゅ、んっ、き・・・・らひ・・・・しゅき・・・・!」
「・・・・~~~ッ!!」
ああ、もう。
この子は。
――――本当に!!
「あなた、ふっ、っう、っじ、ぶんの、立場・・・・ッぁ・・・・ッ分かって、ます・・・・!?」
「あああっ!やぁ、ぅ、っは、げ・・・・はぁげし・・・・!」
「あなたが、ぉめがで、わたし、ゎ、あるはでッ・・・・!」
責め立てる。
言葉と、行動で。
幼さ残る体を。
蹂躙する。
「れぃ、ぷ、ですよ?・・・・ぉかして、ぅるんですよッ!?・・・・なのに、なんで・・・・ッなんで!!」
「ぁ、あ、ハぁっ、ああ、っ、ん、く・・・・アンッ・・・・!」
――――ダメだ、こりゃ。
どれだけ激しくしても、どれだけ貪っても。
「ぅ、く、ィッ、っく・・・・はっ、そぁ、さ・・・・っち・・・・き、も・・・・ち、ィイ・・・・!」
ましろさんは、ひたすら悦ぶだけだ。
「ッ、s、し、ハッ、ハァッ、は、ッしぁ、な・・・・!」
なら、もう。
私だって。
「しらない・・・・しらない、しらないッ・・・・ッう"あ"・・・・っこ、かい、して・・・・ッンも!・・・・ッゥア・・・・ッしらない!!」
「ソラ、っさ、そら、さん、ソラ、さ・・・・ッふあああ!」
ましろさんの口元に、噛み付く。
ほぼほぼ噛み付きながら、キスをする。
逃がさないように、確実に『仕留める』為に。
閉じ込めて、追い詰めて。
「ッアアアア"ア"ア"・・・・!!」
「アアァーッ・・・・!」
――――三回目。
◆ ◆ ◆
――――条件を達成した二人は、『部屋』を脱出。
ちょうど犯罪者に苦戦していたバタフライ達に、ましろを託したスカイは。
まさに鎧袖一触の勢いで下手人を瞬殺。
事後処理は全てハヤテ達に丸投げし、ましろを医療施設へ運び込んだのだった。
「――――そんなに凹まなくていいじゃん」
――――医療施設、手術室前。
廊下の壁に、背中を預けて座り込むソラへ。
あげはが隣に座りながら語り掛ける。
「何も気にするな・・・・って言うのは、土台無理かもしれないけどさ・・・・でも」
顔を伏せたまま、沈黙を貫き続ける肩を。
労わる様に撫でながら。
人間界と同じ、赤く光るランプを見上げるあげは。
「ソラちゃんがましろんを大事にしてるのも、ましろんがソラちゃんを信頼してるのも知ってる・・・・進んで相手を傷つけるわけないってこともね」
だから。
「一人で背負い込んじゃダメだよ」
言い終えると同時に、ランプが消灯した。
「ッ先生!ましろさんは!?」
「ご安心を、全て滞りなく終了しました」
処置を終えたらしい医師が出て来るや否や、ソラが立ち上がる。
つかみかからんばかりに迫った彼女へ、気分を害した様子もなく。
医師はまず、にっこり笑ってくれた。
「しばらく経過観察で入院してもらいますが、後遺症なく、元の生活に戻れるでしょう」
「よかったぁ・・・・!」
「・・・・ッ」
隣で聞いていたあげはは、ほっと胸をなでおろし。
一言一句聞き逃すまいと神経を尖らせていたソラも、また。
止めていた息を、ど、と吐き出す。
「・・・・この度は災難でしたね。兎にも角にも、早く来てくれてよかった」
事の経緯を聞いていた医師は、最後に気遣いの言葉をかけてくれると。
カルテをまとめるべく、自らの診察室へ戻っていった。
「面会されて行きますか?」
「っ、ぇっと・・・・」
「はーい!行きまーす!」
「アゲハサンッ!?」
看護師に勧められて、一瞬ためらうソラだったが。
あげはが腕を組んで、早々に歩き出してしまった。
抗議の声も何のその。
あわあわと狼狽えている間に、あれよあれよと部屋の中に連行されるソラ。
「――――」
――――『大丈夫だ』と、医師は言ってくれていたが。
本当は、嫌だったのではないか。
無理をさせていたのではないか。
・・・・傷つけて、いたのではないか。
恐怖から、硬く目を閉じていたソラだったが。
「――――ソラさん」
「・・・・ッ」
名前を呼ばれて、つい反射で目を開ける。
一度白んでから、開けた視界には。
どこか安心したような笑顔の、ましろがいて。
「――――ぁぁ」
――――変わらないその顔に。
言いようのない安堵と。
身を焼く程の罪悪感に、苛まれて。
「――――ごめんなさい」
幼子の様に。
差し出された、手を握る。
「ごめんなさい・・・・!」
頬に寄せて、温もりを確かめながら。
ソラは、静かに涙した。