毒蛇は急がない。
第二部隊の新たな仲間のマキちゃんを指導するようになって早一週間。
今のところ他国への出張こそ無いものの、いつワタシが出張る必要があるか分かりませんからね。
第二部隊の仕事は副隊長のツキノに任せ、他の見習いたちへの触手指導についても隊員のイコルに丸投げし、ワタシは今日もマキちゃんの個人指導に当たっている。
第一部隊にも手を貸してもらうことも多いけれど、マボ姉さまは呆れつつも応援してくれています。
『アタシの妹だもんな』
あぁ、マボ姉さまのこの一言だけでワタシは幸せです♪ 第一部隊の方々もそれぞれにワタシのやり方を応援してくれている。
そうですよね。愛を知らない子に愛を教えるのは隊長であり、百合の先輩であるワタシの仕事!
時間がかかってもワタシなりの愛情をしっかりと伝えることが大切だと思います。
そしてマキちゃんとの個人指導は多目的室の一つを貸し切ってしています。
長机とソファー、それに「ベッド」と各種道具類も常備されたこの部屋はお勉強に最適なのですよ。
「そう、上手よマキちゃん♪
ワタシたちが使う“触手術”は神秘への理解が必要。
マキちゃんにはその素質があるみたいね」
すかさずナデナデ。髪の毛ふわっふわで小動物みたい♪
「べ、別にそんなスゲーことじゃないし!
ナモ隊長が喜びすぎなだけだし!」
照れ臭そうに言うけれど、ワタシの手を払いのけたりはしなくなった。
相変わらずな生意気な言動ながら、マキちゃんはワタシのことを敬意をもって“隊長”と呼べるくらいにはなってきている。
他の隊員の先輩たちにも「さん」付けで呼べる程度には礼儀も覚えたけれど、副隊長のツキノだけは、からかいの対象から変わらないみたい。
他の同期の“見習い”の子たちとも打ち解けてきているし、悪くないわね。ツキノ以外とは。
「“触手術”を使えるようになれば神秘への耐性――謎の怪異である“キカイカン”からの攻撃に対する防御力も上がるわ。
そして攻撃するにしても剣や銃よりも効果的になるの」
「……でも、あーし指先程度の小さな触手しか出せないし」
「その辺は鍛錬あるのみよ。
人によるけれど、訓練を初めて一週間で触手を出せるようになるだけで素質はある方よ
ツキノ副隊長だって、裏技を使うまでは一か月かかっても触手が出せなかったんですもの」
「ぷっ、やっぱりツキノさんって背が高くても子どもッスね」
あらあら、やっぱりツキノは見下されているわね。仕方がないと言えば仕方がないけれど、あの子も“副隊長”としての仕事はきちんとこなせているのにね。
「ところで、裏技って何なんすか?」
「裏技って言うのは“触手術”の師匠――この場合はワタシ――が使う触手を実際に身体で経験することね」
基本的に“触手術”は師匠が弟子の身体に直接叩き込むことで身に付けるのが手っ取り早いとされている。
本来はそれが最初に来る練習方法なのだけれど、マキちゃんの場合は模倣させる形での練習の方がいいと思ったのよ。
「あーしは別にいいっすよ。
どーせ減るもんでもないし、ナモ隊長の好きなようにヤっちゃってくれても」
「女の子がそんな事を言ってはダメですよ。
ワタシは一人一人に合った方法で修行を付けているの。
マキちゃんには……、まだ早いわね」
マキちゃんは、ちょっと自暴自棄になっているから快楽が伴う性的な触手指導をすると溺れてしまいそうなのよね。
そうして半端な力を持ったまま“キカイカン”に一人で特攻して戦死……なんてオチが見えるうちは身体の関係にはなれない。
肌と肌で重なり合う関係って、裸の身体だけでなく裸の心も重ね合っている行為ですもの。
好死は悪活に如かず、とも言いますし。死ぬ覚悟と言えばカッコいいのかもしれないけれど、命を懸ける覚悟とは違って生きて帰る気がない覚悟なんて、ワタシの部隊には最も不要な覚悟ですもの。
愛は一方通行では駄目。お互いに心を開いた関係でないと、簡単に肉体関係にはなっちゃ駄目なのよ。
「……」
「ふふ、そんな顔してはダメですよ♪
ワタシは絶対に見捨てずに見守ってあげるのですから地道に頑張りましょう。
女の子には必ず素敵な出会いが訪れるものなのだから」
こうして色々と考えることが彼女には必要ね。
訓練を初めて一週間。何だかんだと文句を言いながらも他にすることがないからか真面目に訓練を続けてくれるマキちゃんは順調に性格も改善されている。
彼女は他に生き方を知らなかったみたいだから、触手部隊以外の仕事も教えてあげたけど、どれも不発。
やっぱり、訓練以外には消極的ですね。
「それでは、今日の指導はこれで終わりです。
自室で復習をして、あとは明日までのんびりと過ごしてちょうだい」
「えっ……?」
慌てて時計を見て、驚くとともにがっかりするマキちゃん。そうよね、あなたは“触手術”の鍛錬が楽しくなってきているものね♪
すでに二時間ぶっ続けで触手指導をしていたけれど、マキちゃんは楽しそうに勉強をしてくれている。
この子はもう、触手部隊として生きていく道を自分で見つけているようだけれど、あと一歩を踏み出すまでは、……ね。
「あ、あのナモ隊長!」
「何かしら?」
耳まで真っ赤に染めてマキちゃんは何かを言いたげな様子。でも急かすことはしない。この最後の一歩は彼女が自分で踏み出さないといけないことだから。
「あ、あーしと、……その、えっちしてくれませんか?」
「マキちゃんと?
それは“触手術”の裏技って意味かしら?」
無言でうなずくマキちゃんに、ワタシは弟子の成長を喜ぶ気持ちでいっぱいになる。
「そう……じゃあマキちゃんはワタシとどういうことをしたい?」
両腕を拡げて彼女からの反応を待つ。
脱ぐでもない。抱き着くでもない。ただ、待つのだ。
この一週間、“触手術”の勉強のついでに百合同士の行為についての性教育も並行して行ったために、なかなかに知識は溜まっているはず。
ワタシからは決して手を出さずに、頭を撫でたり頬に手を添えたり、それだけの一週間で今まで知識すらまともになかった百合の性教育を受けたのだから色々と溜まっているのでしょうね。
マキちゃん。学校にも通わせてもらっていなかったようですし。
「ま、まずは抱きしめます!」
マキちゃんが抱き着いてくる。
身長差があるからワタシの胸に顔をうずめているだけのようだけれど、これはこれでいいものね。
姉さまは胸にすら顔が届かないし、他の第二部隊の子たちは普通に背が近いし。
「すぅぅぅぅ~~、はぁぁぁぁぁ~……♪」
あらあら、深呼吸♪ 生意気盛りの年頃でも、一度甘えると決めたらあとは素直ですね♪
「次はどうしますか?」
「え!? つ、次ですか!?
えっと……、ベッドに誘います!」
「そう、それじゃ行きましょうか」
ガチガチに固くなったマキちゃんの手を引いてベッドへと向かう。
自分の服を脱ごうとして、指先が震えてボタンが上手く外せないようね。
「ほら、来なさい。
ワタシが外してあげるわ」
「た、隊長!?」
マキちゃんの手を取って、シャツのボタンを一つ一つ外してあげる。
日に焼けた綺麗な肌。“触手術”の鍛錬と健康的な生活のおかげかもしれないですね。シャツの下は白いままで色の境目が年の割に色っぽいわね。
乳首も綺麗なピンク色で思わず指先が伸びてしまった。
最後の一歩は踏み出してくれたんだし、もう、いいわよね?
「ひゃっ!?」
年相応に小ぶりな彼女の胸は初めての行為に敏感に刺激を感じ取った。
それがあまりにも可愛いものだから、くりくりと指先で先っちょを弄っているうちにワタシ自身も興奮してきてしまう。
自分の指を舐めて唾液を付けると、マキちゃんの胸に塗りたくる。
「あっ! ちょっ、その!!」
マキちゃんは驚きはしたものの、抵抗はしなかった。
にちゃ、ぬちゃ、と。唾液が指で擦り付けられるたびに粘度を増して淫靡な光沢で染めていく。
“触手術”も併用しているから唾液にも媚薬成分が混じりだしている。それが影響しているのかもしれない。
指を擦り付けることで、マキちゃんの小ぶりな胸はぷっくりと大きくなってきている。
「マキちゃん、下もいい?」
「ふぇ?」
聞いておいて返事も待たずに視線を下げて、マキちゃんのおめこに顔を近づける。
じっとりと汗ばんでいるが、濡れているのは汗だけではないみたい。
そこを、ペロリと♪
「んひぃ!?」
それだけでマキちゃんは絶頂を迎え、盛大に潮を吹いた。
ビクビクと太ももを痙攣させて快楽が、おめこから全身へと暴れ出した。
舌をほんの少し這わせただけでこの反応。もっと乱れさせたくなるのは百合の性(さが)でしょうか?
……いえ、百合な隊長としての愛情ですね。
「マキちゃん? あなたにはこの先に様々な道があります。
あなたが望むなら、私は師匠として、上官として、今以上の快楽と惜しみない愛情を教えてあげましょう」
出会ってからの短い時間で詰め込めるだけのことは教えた。あとは彼女の選択のみ。
この行為は彼女が望み、さらに今以上を望むなら、ワタシはさらなる高みを教えましょう。
一人の百合として、無条件に愛し愛される幸せを。
「あ、あーしを、愛してください!
もう一人は嫌です! 愛されない生き方なんて嫌です!!
どうか! 隊長の色で染めてください!!」
「そう。そうよね。マキちゃん。
諦めるくらいなら愛情を求めたりしないものね」
顔を近づけて今度は唇にキスをする。
そのまま抱き寄せて背中に両腕を回して、しっかりと抱きしめる。
「ん……む、にちゅ」
「んぁぁ、にゅむ、ぅんん……」
マキちゃんもワタシの背中に両腕を回してくる。そうして二人して力いっぱい抱き合ってベッドへと倒れ込んでキスを続けた。
何度も、何度も。唾液が口の端から滴り落ちても構うことなく舌を絡める。
唇を甘噛みし、裸の胸を擦り付け合いながら、貝合わせをしながら、絶頂に潮を吹いても離れなかった。
「隊長……愛してます。
生まれて初めて、あーしの事を愛してくれたのが隊長で良かった……♪」
「ふふっ、ワタシだけじゃないですよ?
女の子の人生において、良い出会いは必ず用意されていますが、それは一度だけではありません。
第二部隊だけ見てもマキちゃんを愛してくれる子は何人もいますよ?」
「それでも! それでもナモ隊長に愛されて幸せなんです♪」
愛の告白のあとは繰り返しのキス。時折、唇が離れるたびに「大好きです」、「愛しています」と耳に近づけて言葉を漏らしながら、初めての愛情に悦ぶマキちゃん。
彼女もワタシが守るべき大切な部下であり、恋人。決して不幸にはしないと、心の底から信じている彼女の期待に応えてこその隊長ですもの!
重ねられた胸から伝わるお互いの鼓動が愛情の深さを伝え合うのだった。
「それと、“触手術”の修行もついでにやっておきましょう♪」
「へ?」
指先から伸ばした触手がマキちゃんの前後の穴へと侵入し、内部でとぐろを巻く。
「んぎぃ♪」
一瞬にして妊婦のようにお腹を膨らませたというのに、マキちゃんの口から漏れ出てくるのは悦楽の嬌声のみ。
胎内で触手液を大量に分泌してさらに膨らんでいくことで、彼女は触手の力を孕むことでしょう。
彼女の“触手術”の扉を開けておくのも忘れないのも隊長のお仕事ですから♪
◆ ◆ ◆
それから数日後。身体を重ね合ったことで一気に才能を開花させたマキちゃんはあっさりと“隊員”階級へと昇進。
他の同期の“見習い”の子たちはもう少し先になりそうだけれど、みんなしてマキちゃんの昇進を喜んでいる。
マキちゃんも素直に喜びを口にして仲間たちに感謝を言い、幸せそうに笑っている。それはもう誰が見ても愛したくなる程に可愛らしい笑顔で。
ワタシとのベッドでの語らいが彼女の心の殻を綺麗に取ったみたいで、見違えるほどに明るい元気な子になったのは良いことよね。
「あ、ナモ隊長。今日もよろしくお願いします♪」
「ええ、よろしくねマキちゃん♪
実戦でも頼れるようになって、ワタシの背中を任せられる日もそう遠くないかもしれないわね」
ワタシが笑うと、マキちゃんは笑顔で返す。
「隊長を助けるのなんて部下として当然っすよ!
あーしはナモ隊長から戦場でも頼られる大人のレディになるんすから♪」
「ふふ、楽しみにしていますよ♪」
愛されない子にも愛情を、ワタシの手が届く範囲で不幸な子は居ては駄目なの。
これからも、マキちゃんみたいな子を愛してあげるためにもワタシは今日も“キカイカン”を討つ。
“キカイカン討伐戦闘部隊”本部所属、第二部隊長の平手ナモはそのために世界を救うのだから。
~キャラ紹介~
井之頭マキ 16歳 153cm
本部第二部隊所属の“見習い”
ナモ隊長一筋! ……から、少しずつ同期の仲間たちにも心を開き始めた少女。
父が死んだあとすぐに母が再婚、そして新しい父との間に妹が生まれたことで家庭内でも孤立という分かりやすいほどに単純に愛を知らない生い立ちからナモという無条件の味方に愛される喜びを経て幸せを手にした。
日に焼けやすい体質なので、意図して黒ギャルをしているのではなく、少し外を歩くだけですぐ焼けてしまっただけ。元々は色白なので数日も家に籠っていれば真っ白に戻る。
『孤独のグルメ』のドラマを観ていた時に書いた話ですが、仕掛人の梅安さんや彦さんが混ざっているかも。キャラ名は勿論好きなエロ漫画家さんからですが。
執筆前の大雑把なイメージは、漫画版『ロックマンX』からホーネック副長だったんですがね。
その後についても少しふれておきますが、マキちゃんは入隊前までは友達もいませんでしたが、平手さん家では同年代の少女たちが大勢いるため、百合の愛を知って友愛にも目覚めたのは割と早かったりします。
仲間との連携も学び、自分の才能にも気づく。ナモ隊長と肩を並べるようになるのはもう少し先のお話。