『ハーメルン』での私のお気に入り小説を見習って、完結後なのでノリを重視した話を書いてみました♪
ニッポダイン帝国にある“キカイカン討伐戦闘部隊”の本部には、二つの部隊が存在する。
ひとつはニッポダイン帝国のみならず、世界的にも名の知れた本部第一部隊。主目的は超ド級のキカイカンの討伐。本部の最終兵器。
隊長の平手マボは年の割に幼い容姿ながら優れた触手術を駆使し、電撃的かつ的確な指揮能力を有する。また、そんな隊長の指示に即座に対応できる優秀な隊員たち。
だからこそ、第一部隊は本部の最強部隊であり優秀な新人への指揮官としての教育も兼ねている。
他国出身の者は、ある程度の経験を隊員を昇進させて国へ帰ることになっているが、ここでの経験は後の糧となっている。
人数こそ少ないが、それで回せるほどに“第一部隊”の彼女たちは最強の名に恥じぬ百合強者である。
そして、もうひとつは他国、または自国から集まった触手の才ある少女たちに一から教育をするのが主目的の第二部隊。日常的な哨戒任務や出撃も、基本的に第二部隊が担当している。
第二部隊の隊長を務める平手ナモは、第一部隊長の平手マボの妹であり、同格の百合強者。姉同様に部隊の多くの“見習い”の少女たちから愛されている。
第一、第二とそれぞれに優秀な人材を抱え、今日の平和は平手公爵の創設したキカイカン討伐戦闘部隊によって全てが成し遂げられたと言っても過言ではないだろう。
だが部隊はその2つだけだ。
他国の支部では3つも4つも部隊が創設されているというのに、本部には2つしか部隊がないのはそれで問題がない強さがあるため。
しかし、ニッポダイン帝国の貴族たちのごく一部からはもっと部隊を増やして自国の安全を盤石なものにするべきだという意見が上がっている。
そこで「提案」という形で、触手部隊の長官でもある平手キフ公爵に皇帝陛下より部隊の増設を打診されたのだが、キフ曰く「なら部隊のみんなに聞いてみましょう」とのこと。
別に新部隊を作っても作らなくてもどうでもいいが、“本部の隊長”という他国からも注目を受ける新設部隊の隊長を務められるほどの者がいるかどうか……。まぁ、居ないことは無い。
◆ ◆ ◆
「え? あーしが新設部隊の隊長に?
ジョーダンっすよね?」
第二部隊の隊長ナモの執務室にて。
隊長命令として呼び出された少女の名は井之頭マキ“隊員”。向き合うのは真面目な顔で出迎える平手ナモ隊長。
普段から真面目なナモ隊長ではあるが、姉のマボが幼い容姿というのも相まって、少しでも年齢相応に見られようと明るい笑顔が常だというのに今日に限っては少々固さが表情に出てしまっている。
全身に漲る色気が可視化されたようにマキの視界を桃色に染めていくが、それも仕方がない事だろう。
「(うっわ、ナモ隊長の真面目顔……、めっちゃエロい♪)」
とはいえ、そんなナモが大好きなマキからすれば、どんな表情でもナモは憧れの隊長なのである。
「こーら、今日はちょっと真面目なお話なんだから、マキちゃんも真面目に聞いてよね?」
「う、サーセン。ナモ隊長」
マキは当初、突然の呼び出しに「執務室でえっちのお誘いかも♪」と期待しながら尊敬する隊長からの呼び出しに来てみれば、面白みのない昇進の話である。端的に言えば、彼女はガッカリしたというのもある。
だが仕事の話だ。一応、公務員として若いながらも社会人としての意識があるマキは、もう一度言われた内容を考え、改めて驚いた。
しかし彼女を真っすぐに見つめる上司でもあるナモはいたって真面目。マキとて親愛なる隊長の言葉が冗談などではないことくらい目を見れば直ぐに分かるというものだ。
「……もしかして、ホントに本部に第三部隊が出来るんすか?」
「えぇ、母様……長官はどっちでも良さげだったけれど、帝国の安全のために部隊は増設したい貴族の方がごく少数いるみたいなのよ。
そもそも、本部の在り方が“士官学校”みたいな現状が中途半端だと思われているみたいね」
部隊が創設されてからというもの、“小間使い”の観測班たちや第二部隊の哨戒任務でキカイカンの被害は激減したものの、だからこそ“もっと上”の警備体制を構築していきたいと思われているのだろう。
「正直に言えばワタシは悩んでいるわ。
マキちゃんは立派に育ったし、実力的にも精神的にも隊長はこなせると思っている。
でもね、“本部”の隊長っていうのは他国のソレとは周りからの“期待”が違うのよ」
隊長というのは役職であると同時に階級でもある。国を代表する存在として世間の注目を浴びることになるので失敗は許されない。
隊長が何かミスをすれば、世界各国から避難を浴びるかもしれない。
……と、いうのは表向きの理由。
実際問題、世界的に謎の怪異キカイカンの脅威を退け続けている“キカイカン討伐戦闘部隊”に対する文句など、声に出して言うなど各国の王でさえ難しいだろう。
では何が問題か?
「マキちゃん? あなた、ワタシ以外とえっちしたことある?
触手部隊の本部の隊長って、他国へと出張したときにベッドでのお仕事が基本になるのだけれど」
「う……、隊長以外とは、同期の子と数回っす」
正直に言えば、あまり技術的なことには自信のないマキ。
そう、触手部隊の少女たちを非難する者はいないが、えっちが下手な者が国を代表する“隊長”となれば、同じ触手部隊の少女たちから不満を言われることとなるだろう。
他国の隊長たちとて、元は本部で研修を積んだ者たちだ。
泣く泣く祖国のために本部で指導してくれたマボ、ナモ両隊長と別れて出世して帰国したというのに、新しく本部に留まったまま“隊長”となる者が出たとなれば、それ相応の実力――百合力を示す必要がある。
マキの戦闘力は十分ある。戦果もエースとして誇れるだけの活躍をし、第二部隊の面々とも協調性が生まれてきている。
が、本部の“隊長”に最も大切なものは、そんなものではない。
「で、でも! あーしは隊長になれるなら、なりたいっ!
ナモ隊長と肩を並べるような一人前の百合になりたいです!
後ろじゃなくて、隣で! 同じ景色を観たいんす!」
マキは配属当初こそ揉め事も多かったが、今では誰もが認める第二部隊のエース。
“副隊長”のツキノや、“お姉ちゃん”のイコルもその実力を認めている。
次の隊長となりたい者となれば、今の本部でマキを置いて他にいないだろう。
「……そう。それなら指揮官としての経験を積むために第一部隊に移ることになるけれど、それも平気?」
「うぇ!? 第一部隊って、マボ……隊長の部隊っすよね?
ナモ隊長には悪いんすけど、あーし、あの人が苦手って言いますか……」
年の離れた妹と色々とあったためか、マキは子ども嫌い。そして第一部隊のマボ隊長はザ・ロリと呼ぶべき幼い容姿をしている。(ナモの姉であるが)
そしてナモとは正反対の性格の豪放磊落、快刀乱麻、単純明快とまぁ、そんな隊長である。
「ふふ♪ 確かに姉さまはマキちゃんが苦手そうな人だけれど、姉さまの方はきっとマキちゃんを気に入ってくれるわ♪
それに、ワタシの姉さまだもの。マキちゃんだって気に入るはずよ?」
昇進のためには第一部隊での経験は必須だ。それはマキにだって分かる。
そんな風に顔を伏せて悩むマキに、ナモは続けてこう言うのだ。
「あとね、今回の3つめの新部隊の設立は、本部の隊長二人が揃って妊娠しちゃったからなのよ」
「あ……」
ナモは自らのお腹をさする。大きく膨らんだ腹部。
何度か触手プレイで拡張したボテ腹を見てきたマキからすれば見慣れていたが、それでも確かに新しい生命を身ごもった証だ。
「お腹が大きくなってきたし、もうすぐワタシたちは戦闘が難しくなる。
勿論、触手術を極めたワタシたちですもの。出産直前まで戦うつもりだし、その後もすぐに戦線に復帰するわ。
でも、色々と不安に思う人たちの気持ちも分かるのよ」
お腹に宿った子は、愛する姉との間に出来た生命。ナモがどれだけお腹の子を大切に想っているのかは、ずっとそばで見て来たマキはよく知っている。
そんな姿を見て燃えないほど、マキは冷たい百合ではない。
「分かりました、ナモ隊長!
すぐにでも第一部隊で経験を積んで、あーしが本部を代表する三人目の隊長になってやるっすよ!」
「ふふ、その言葉が聞きたかったの♪
ありがとうね、マキちゃん」
ナモは話が終わると立ち上がり、マキの傍に歩み寄るとその頬に手を添える。
「本当に、ありがとう。マキちゃん。
これまで送り出してきた子や、今の部隊の子たちも可愛いけれど、隣に立つと言ってくれたのはマキちゃんが初めてよ」
「……マボ隊長は、そういうのは言わないんすか?」
「姉さま? あの人は隣というよりは前ね。
小っちゃいけれど、頼れるお姉ちゃんでいたいのよ♪」
そこがたまらなく愛しいけれど、と付け加えるナモ。シスコンは妊娠してからさらに強まったようである。
「それじゃ、前払いってことになるけれど、隊長昇進を祝って軽いご褒美をあげるわね♪」
何気ない仕草でマキを抱き寄せるナモ。向かい合った顔が近づき、そうして唇が重なるまで、そう時間はかからなかった。
柔らかな唇が重なり合い、湿り気を帯びた感触がさきほどまで真面目な仕事モードだったマキを淫靡に刺激する。
「ん……っ!」
マキも突然のキスに驚きはしたが、仕事の話は終わっているのだ。ならばこれもまた、当然の流れだと判断した。
触れ合うナモの唇に自分からも吸い付いて愛を受け取る。
熱い吐息が頬を漏れかかり、興奮していくのが自分でも分かるほどだった。
「んっ……んっ……んっ……」
「ふふ……♪ ぴちゃ、にちゅ」
舌先で前歯をノックされ、開いたマキの口内にナモの舌が挿し込まれる。
歯の裏まで蹂躙するように、優しく甘く、蕩けさせる深い口づけ。唾液が溜まってくれば舌を起用に使って流し込む。
コクッ、コクッと。喉がなるたびにナモは嬉しそうにマキの瞳を見つめる。キスをすれば応えてくれるように、手を繋げば握り返してくれる。
絡み合う指先に力が入るようにキスも力強さを増していく。そのことに笑みがこぼれる。
そんな信頼と愛情に溢れた二人のキスが、執務室の空気を甘く染めていく。
うるんだ瞳には昂ったマキ自身が映っている。あまりにも蕩け切ったえっちな顔に笑ってしまいそうになるが、それ以上にナモの愛に応えることを優先したかった。
互いの瞳に相手を映し、愛を語る。マキは目の前のナモの愛を受け容れ、またナモの心を今だけは自分だけのものにしたかった。
重ねられた唇は熱のこもった吐息を漏らし、太ももはお互いに絡め合い、触れ合うたびに過剰に震える。
ナモほどではないが、マキとてそれなりに発育は良い方だ。
身長的に見下ろす形になるナモだが、今この瞬間には心は対等に触れ合っている。
衣服を脱がなくても分かるほどのナモの豊かな胸の膨らみが、マキの胸に重ねられる。柔らかな双丘は確かな安心感を与えている。それだけで良い。
今この瞬間、マキは触手部隊に来るまでずっと求めて止まなかった愛情をもらっているのだから。
「(……あーしも、ナモ隊長みたいに誰かの心に入れる女になりたいな)」
初めての愛をナモからもらい、知識も技術も心だって、すべてをナモから教わったマキにとって、隊長であるナモは自身のすべてだ。マキにとって目指すべき“隊長”とはナモが全てなのだ。
だからこそ、そんなナモを憧れの存在のままにしていたくない。頼るだけでなく頼られる存在に――同じ目線で隣に立てる百合にマキはなりたいのだ。
「ん、ぷはぁ……」
大きく吸い付いたナモは唇を離した。マキもまた、覚悟は固まっている。
「はぁ、はぁ……、ナモ隊長」
「ん……、なぁに?」
「あーし、強くなるっす!
もっともっと強くなって、だれもが認める本部の隊長になって、ナモ隊長を支えられる女になります!!」
百合の覚悟は、確かに固まった。
「ふふ、期待しているわね♪」
「はい!」
もう一度触れる程度の軽いキスをしてナモはマキの手を離した。
次にその手を繋ぐときは対等の肩書を手に入れてから。ベッドの上で本当のご褒美をあげるために繋ぐからだ。
こうして、頭角を現した触手部隊本部のエースは第一部隊へと修行に向かう。
どんな険しい困難も、目標のための覚悟があれば乗り越えられると信じているからだ。
その覚悟は、マキとナモ――二人が一緒に願った未来なのだから。
この後の展開も一本書けそうですが、その辺は『シャンティ』のRTAとDLCをやり込んでから、ということで。
シャンティは面白いですよ♪ 読んでいたら遊びたくなってきたので久しぶりに再走しましょうかねぇ~。