※この作品はR-18です。

学校で一番エッチなヤツのおねショタ歴程   作:ピーマン

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蛇の手がせまる

「……ッ」

 

 丑三つ時、魔美は尿意を覚えて目を覚ました。

 すぐ隣では美夜子が静かに寝息を立てている。寝顔まで美人なのだから羨ましい。 

 

 

「んん、おトイレェ」

 

 もぞもぞと動き出し、美夜子を起こさないようにそっと彼女の腕から抜け出そうとする。

 二人で抱き合ったまま寝ていたおかげか、普段寝相が悪い魔美でも就寝時とそれほど体勢は変わっていなかった。

 

「ん、ぅ……」

「わっ、み、美夜ちゃ──」

 

 が、それを遮るように美夜子が魔美の身体をより強くひし抱いた。

 

「ふふ……夕くん、ダメよぉ。そんなにたくさん射精(だ)したら、赤ちゃんできちゃうわぁ♡」

「…………」

 

 夢の中でも大好きな夕太とイチャイチャしているのか、だらしなく頬を緩ませて腰をヘコヘコさせている。先ほどまでの綺麗な寝顔は夢だったのかもしれない。

 どうしようと困り果てる魔美。美夜子の腕に拘束されているせいで、トイレに行くことができないのだ。

 

 

 

 ──ガタガタガタッ!!

 

 

 

「ひゃっ!」

 

 その時、部屋の窓が激しく音を立てた。

 寝ぼけて気づいていなかったが、窓の向こうは土砂降り。強風が吹きすさぶ音と大量の雨が窓に叩きつけれられる音が魔美の耳を襲う。その様相たるや、まさに台風のそれである。

 

「嘘ぉ、台風の予報なんて出てなかったのに」

 

 まるで、何かの予兆のようだ。

 怯える魔美の頭に、美夜子が教えてくれた悪魔の存在と大魔王復活の話が思い出される。

 

 もしかして……そう考えると、余計にトイレに行けなくなってしまう。恐怖に震える身体で自分を抱きしめる美夜子をひし抱いた。

 しかし、このままでは美夜子のベッドでお漏らしするハメになるのだ!

 

 魔美は助けを求めるように隣の部屋へ目線を送る。つばさに抱きついて寝ているであろう夕太に向けて。

 

(……ッ! そうだわ!)

 

 首に下げたペンダントを手に取る。夕太が作ってくれたこのペンダントから出る圧縮空気の衝突エネルギーを利用して、魔美はテレポートすることができるのだ。

 無論、これでトイレにテレポートするわけではない。いくら道中をスキップできたとしても、トイレに一人なんて状況に耐えられるほどのホラー耐性は彼女にはなかった。

 

 普段は頭に持っていくそのペンダントの先を、下腹部へと運ぶ。

 そして、膀胱辺りに向けて、圧縮空気を発射した。

 

(くらえ! 必殺おしっこテレポート!)

 

 

 ──ブンッ

 

 

 その瞬間、限界が近付いていた魔美の尿意がスッと消え去る。ふうっと息を吐き、危機から脱したことで張り詰めた顔が安堵に綻んだ。

 ほどなくして、隣の部屋からドタバタと慌ただしい音が聞こえてくる。

 

『つ、つばさちゃん! トイレ行ってくるね! すぐ戻るから!』

 

 そんな声と共に、ドアが乱暴に開く音。

 続いて階段を降りていく足音を耳にしながら、魔美はほくそ笑む。

 

(決まったのだ。代わりにたっぷりと出してくれたまえ)

 

 既にお分かりだろうが、一応説明しよう。

 彼女は自分の膀胱から夕太の膀胱へ、溜まりに溜まったおしっこをテレポートさせたのだ。自分達を放置してつばさとイチャイチャしている彼へのちょっとした八つ当たりである。

 

 そんなことをするぐらいなら、直接トイレにおしっこをテレポートさせればいいじゃない。美夜子が起きていれば、きっとそのようなツッコミをされていたことだろう。

 残念ながら、夕太並みの頭脳しかない魔美に効率を求める方が間違いである。

 

(なんか、おまんこ弄りたくなってきちゃった……♡)

 

 むしろ、自分のおしっこが意中の男の子のおちんぽを通して放尿されるという事実に対し、そこはかとない興奮を覚えていたりする。

 美夜子に抱かれながら、毛布の下で息を潜めて股間に手を這わす。やがて、再び寝息を立てるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……間に合ったぁ」

 

 ジョボボボボッと、音を立てておしっこを放出する夕太。

 勢いのあるそれは綺麗に弧を描いて落ち、便器に溜まった水を黄ばんだ色に染めていく。

 

 つばさの冷たい身体に抱きついて心地良く眠っていたのに、突然急激な尿意を催して目を覚ましてしまった。

 一瞬、美夜子におしっこを引っかけた時の征服感を思い出し、そのままつばさにかけたいという衝動に駆られたが、さすがに怒られるかもと考えてトイレに駆け込んだというわけである。

 もしつばさが起きていて、なおかつ石になっていなければ、喜んでおしっこまみれになっていたことだろう。

 

「はひひ……気持ちいい~」

 

 ギリギリまで耐えたおしっこを一気に出すというのは、緊張に力んだ筋肉が弛んでいく過程も相まって、非常に原始的な快感をもたらしてくれる。

 それにしてもと、夕太は首を傾げた。匂いというか何というか、いつも出しているおしっこと違うように感じたからだ。何だか分からないが、とても興奮する匂いだ。

 

 まさか他人のおしっこを出しているわけでもないし、きっと気のせいだろう。

 夕太はそう結論づけ、排尿を終える。ぶるりと幼い裸体を震わせた後、便座を下げる。よく上げたままにして美夜子に怒られるのだ。

 その後、水を流して手を洗い、部屋に戻るべくトイレのドアを開け放った。

 

 

 

「──え?」

 

 

 

 廊下に出た夕太の目の前に、何者かが立っていた。

 窓から稲光が差し込む。その光によって、トイレから漏れる灯りで朧げに見えたその正体が露わになった。

 

 紺青色のローブを着た赤黒い肌の女性。その真緑色に輝く二つの目が、夕太のことを見下ろしている。

 よく見ると、二つだけではない。後二つ、いや、四つ。床にまで届くほどのボリュームのある白い長髪に紛れるように生えた二頭の青白い蛇もまた、虎視眈々とその赤い瞳で小さな獲物を睨みつけていたのだ。

 

「……ッ!?」

 

 遅れて雷鳴の轟きが耳に届き、女性を見上げたまま思考が停止していた夕太は我に返った。

 

 慌てて、横をすり抜けて駆け出そうとする夕太。

 が、それより先に女性の大きな体が夕太に肉薄し、その両腕で抱きしめるように彼を拘束。そのまま勢いを殺さず、開けっ放しのトイレへ飛び込むようにして入り込んだ。

 

「うわっ!」 

 

 便座に座る形で身体を打ちつける。痛みに悶えながらも、夕太は自身を捕まえている女性を再度見上げた。

 蛇の髪を生やした化け物。その風貌は明らかにコピーが話していた悪魔と瓜二つだ。

 

 コイツが、つばさちゃんを石にした悪魔……! 大好きな女の子の仇である相手を、恐怖に怯えながらも果敢に睨みつける。

 悪魔の身長は美夜子よりも頭一つ分大きく、盛り上がった髪を含めれば成人男性の平均をゆうに超えている。満月家のトイレはそれなりの広さがあるのに、彼女の図体のでかさのせいで狭苦しく感じてしまう。

 

(……あ、れ?)

 

 しかし、どういうわけか、その悪魔の姿がどことなく誰かに似ている気がして目を瞬かせる。

 恋人である美夜子が頭に思い浮かぶ。もちろん、見た目は全く似ても似つかない。それでも、夕太は目の前の悪魔が彼女の姿と被って見えたのだ。

 

『フフフ、ようやく見つけたぞ。ナルニアデス。よもや、かような小僧とはな』

 

 夕太が動揺していると、悪魔が口を開いてそのしわがれた声を響かせた。耳障りなその声音に、思わず耳を塞ぎたくなる。

 

「ナ、ナルニ……え?」

『しらばっくれても無駄だ。お前と相対するのはこれが最初だが──』

 

 悪魔の髪から伸びた二頭の蛇が首を伸ばし、夕太の股間へと近付く。

 

『ここから匂う魔力香こそ、お前が大魔王デマオン様の仇敵である何よりの証拠なのだからな』

 

 片割れの蛇がその長い舌を使って、シュルシュルと音を立てながら垂れ下がった小さな包茎ちんぽを下からすくうように持ち上げる。

 そして、もう一方の蛇もまた舌を伸ばし、二股に分かれた舌先を包皮の内側に滑り込ませた。そのまま皮を剥かず、とぐろを巻くようにしてちんぽに絡みつく。

 

「は、ああぁ……ッ!」

 

 まるで生き物が包皮の下でうごめいているかのような感覚に、夕太は情けない声を漏らす。

 ムクムクムクッと、否応なしに鎌首を上げ始める聞かん棒。

 

『ハハッ、良い声を上げるではないか』

 

 愉快そうに笑った悪魔もまた、腰を屈めて彼のちんぽの先っぽに顔を近づける。二頭の蛇の舌で包皮を広げて鬼頭の上半分を露出させ、その意外に整った鼻を寄せた。

 

 

『スーーーーーーッ…………はああああぁぁ~~♡』

 

 

 深く、深く深呼吸し、鼻孔を膨らませてその幼くも淫靡に満ちた芳醇な香りを堪能する。

 吐き出した熱い吐息が夕太の下半身を包み込み、ちんぽがビクビクッと痙攣した。

 

『……ああっ! 辛抱堪らんッ!!』

 

 唸るような声を上げた悪魔が屈めていた腰をガバリと上げる。同時に、夕太のちんぽに舌を伸ばしていた蛇達が素早く動き出して彼の両腕に巻きつく。

 

「わ、あっ!?」

 

 悲鳴を上げる夕太。巻きついた蛇達によって便器から宙に持ち上げられたのだ。

 足をバタつかせて逃れようとする中、ぷらぷらと上下左右に揺れる勃起ちんぽ。悪魔の視線が、それを追うようにして揺らめく。

 

『フフ、フ……誘っておるのかぁ? 卑しい小僧め♡』

 

 鋭い爪が生えた手で夕太の両脚を掴み、乱暴に引っ張って自身の方へと寄せる。

 そして、おもむろに『あ~ん』と大きく口を開き、ちんぽを金玉ごと捕食するようにパクリと口に含んだ。

 

「あううぅッ!!」

 

 悪魔の口の中は、まるでそれ自体が性器であるかのようにとろりと解れていた。

 溜まった唾液は熱湯のように熱いにも関わらず不思議と痛みは感じない。内側の柔肉が頬をすぼめることでちんぽを包み込み、極上の快楽をもたらす。

 

『ん゛ンッ、む、ちゅっ♡ どうした? 得意の魔法で抵抗せんのか?』

「ぼ、ぼく……魔法なんて、使えない、よぉッ!」

『何? そうか、弱体化したのだな。だが魔力は健在のようだ。ならば──』

 

 今度は舌を絡め始める。先っぽが二股に分かれた、蛇達に負けず劣らずの長い長い舌を。

  

「ほっ! ベ、ベロが! ベロが! すごッ!」 

 

 先ほどの蛇達とは比べ物にならない快感が襲いかかり、思わず感嘆の声を漏らす夕太。

 搾精するためだけの器官と化した舌が竿の先から根本まで巻きつき、さらに伸びてふぐりまできつく締め上げていく。

 

『じゅるるるっ♡ じゅりゅッ♡ ほぉれ、さっさと射精(だ)してしまえ♡』

「あっ! あっ! あ゛ああぁぁッ!!」

 

 

 

 ぶびゅるるるっ!! ドクッドクッ! どぶびゅるる~~っ!! ぶびゅぅぅ~~っ!!

 

 

 

 その悪魔的手管によって、夕太はあっという間に射精へと導かれてしまった。つばさが石と化していて膣内射精できなかったことによる欲求不満も相まったのだろう。

 悪魔はゴクゴクと喉を鳴らして彼の白いおしっこ──改め精液を飲み込んでいる。砂漠で見つけたオアシスの水かのように、必死な形相で。その長い舌を器用に使い、根元からきつく締め上げて押し出すように、尿道に残ったものまで搾り取る。

 

『むっ、じゅるるる、じゅ、ぷっ……ッ、ん゛はああぁぁ♡』

 

 喉に絡みつくそれを綺麗に平らげた彼女はちんぽから口を離し、イカ臭い吐息を放つ。

 

『ああ……渇きが潤っていく♡ それに加えて、人間の分際でありながら、なんと甘美な♡ 決めたぞ。デマオン様に献上した後、報奨としてお前をそのまま頂くことにしよう』

 

 切れ長の目をうっとりと細め、火照った頬に満面の笑みを浮かべながらじゅるりと唇に舌を這わす。

 夕太は下半身が溶けてしまいそうな快楽に意識を朦朧とさせながらも、その様を見て射精したばかりだというのに再びちんぽを硬く反り返させていく。

 

『んぅ? フフフ……私の口がそんなに気持ち良かったのかぁ? 安心しろ。まだまだ終わらせはせんぞ♡』

 

 そう言って、鈴口に口づけする悪魔。ビクビクビクッと震えるちんぽに対し、可愛いモノを見るような目つきを見せる。

 続けて、夕太を蛇達から解放して宙から引っ張り下ろし、再び便座に座らせた。

 

『どれ、私の身体を見せてやろう。特別にな』

 

 未だ快楽の余韻に溺れたままの夕太の目の前で、悪魔は頭から伸びた二頭の蛇を使ってローブを捲り上げ始める。

 徐々に、その人間とは違う赤黒く染まった肌が晒されていく。淫猥に満ちた劇が幕を開くかのように。  

 

「……ッ」

 

 その扇情さに当てられて、目を見開いて息を呑む夕太。

 ローブに隠れていたむっちりとした太もも。蒸せるような熱が解放される中、さらに裾が上がっていく。

 

 露わになる、白い陰毛の茂り。漂う熱がむわりと増した気がした。

 茂みの中に垣間見える女陰。大きくはみ出た小陰唇の色は、彼女が人外であることを示すように青く染まっている。人間で言えば黒ずんでいるのであろう、その青はどことなく深い。

 

 続けて、バサッとローブが捲り上げられる。一気に、首元まで。

 下着の類は一切身に着けられておらず、ばるんっと衣服の拘束から放たれて豊かな乳房がまろび出る。乳首の色は陰唇と同じで青い。人間と同じなのは浮き出た血管の色ぐらいだ。

 背も相まって、何もかもが夕太の知る女性より大きい。唯一、乳房のサイズだけは桃子先生の方が大きいのは、やはり彼女のそれだけは規格外ということか。

 

「…………」

 

 彼女を見上げる夕太は、思わずその悪魔的肢体に見惚れてしまっていた。純粋にすごくエッチで、とても綺麗だと思ってしまったのだ。

 大好きなつばさの仇なのに。やっつけてやるという意思は今現在も明確にあるはずなのに、どうしても美夜子と重なって見える彼女に対し、立ち向かおうという気になれないでいる。

 

『堪え性のない小僧だ。さっきあれほど出したばかりだというのに、もうおつゆをかように垂らしておる』

 

 言われて、夕太は自身の分身に視線を向ける。

 先ほどよりも硬く、完全に勃起したその幼い肉棒は、目の前のアナコンダに食べられたいと涙ながらに訴えていた。

 

『フ、フフ……卑しいが、愛い奴だ♡』

 

 悪魔もまた我慢ならないのか、額から唇まで垂れた一筋の汗を舐め取る。捲り上げたローブをそのまま剥いで魔力に変換し、完全な全裸と化す。

 そして、夕太が座る便座の少ない隙間に両足を着き、両手をタンクに突いて彼を覆うようにのしかかる。悪魔の汗が滲んだ豊満なおっぱいが夕太の顔を包んだ。

 

『いいだろう、光栄に思え。お望み通り、我が肉壺の餌食にしてやる。そして──』

 

 そのまま腰を下ろして、雫の垂れる青い女陰をちんぽに宛がい──

 

 

 

 

『私の使い魔として、永遠に竿奴隷となるのだ』

 

 

 

 

 ズンッと。一気に、腰を下ろした。

 

「う、あ゛ああぁぁッ!」

 

 乳房に挟まれながらも、その強すぎる刺激に悲鳴を上げる夕太。

 先ほどのフェラチオを超えるマグマのような熱が、引き千切れんばかりの膣圧が、彼の未成熟な股間を熱して締めつけていく。

 

 イソギンチャクのような無数の細かい肉ヒダと、数え切れないほどのザラザラとした小粒のイボ。その一つ一つが意思を持っているかのように牙となって襲いかかる。

 まさに大蛇に捕食されているという表現が相応しい、悪魔的名器。デビルおまんこ。人間相手では絶対に体験できない邪淫の園だ。

 

『オォ゛ーーンッ♡♡ 素晴らしい! 素晴らしい魔羅だ! まるで長さが足りていないというのに、魔力が波となって! 奥まで! 我が子宮を穿っておる!!』

 

 

 パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!

 

 

 歓喜の雄叫びを上げた悪魔は、股を大きく開いた体制のまま腰を乱暴にピストンさせ始めた。

 夕太の両肩に手を突いて体重をかけ、より乳房を押しつけながらトイレに激しい肉打ち音を響かせる。

 

『オ゛オンッ♡ オ゛ンッ♡ ちんぽォっ♡ オォ゛ーーンッ♡♡』

「う゛うぅぅ……」

 

 悪魔が遠吠えするような喘ぎ声を漏らす中、夕太は気絶しそうになりながらも必死に意識を繋ぎ止めようとしていた。

 彼にとって、この行為は何よりも気にしなければならないことだったから。

 

「だ、ダメ……だよ……」

『オンッ♡ オォンッ♡ んぅ? 何が、ダメだと……言うのだぁ? お前の卑しいちんぽが望んだのぞ?』

「ぅぅ、だって……こ、これ、セックスだよ……! 愛し合ってる人同士しか、しちゃいけないって……」

『フフ……変なところで、オンッ♡ 無垢なのだな』

 

 夕太の物言いに悪魔は興が醒めるどころか、絆されたように笑みを浮かべた。腰を止めて、おっぱいに挟んだ彼の顔へ舌を伸ばす。

 その半開きの口に潜り込み、口内を余すことなく蹂躙し始める。

 

『じゅるるるッ♡ じゅるッ♡ じゅぷるるるッ♡♡』

「あ、おっ、おぼっ……ぼッ」

 

 たっぷりと舌による接吻を交わしつつ、口の中を歯の一本一本はおろか、喉ちんぽまで隅から隅まで犯し尽くす。

 ボタボタと悪魔の涎まみれになっていく夕太の顔。それに満足した彼女は、じゅるりと舌を引き抜いた。

 

『はああぁ……じゅるっ♡ さあ、気分はどうだ? 私が愛おしくて堪らなくなっただろう?』

「あ……あぁ……」

『竿奴隷には不相応だが……お前は特別だ。望むのならば、私も女として……母として、お前を愛してやろうぞ♡』

「……え?」

 

 悪魔の口から出た予想外の言葉に、夕太は目を瞬かせる。

 それは彼女もまた同じであった。そんなつもりはなかったのに、なぜ自分は母としてなどと口にしたのだろうか?

 考えれば考えるほど、自分の中の亀裂から正体の分からない何かが垣間見える気がする。そこから間欠泉のように苛立ちが噴き上がり、靄となって彼女の思考をかき乱した。

 

『……ッ、ええい! 戯れはもう終いだ!』

 

 振り払うようにかぶりを振り、止めていた腰を再び動かし出す。

 ガニ股になって、先ほどよりも乱雑に、激しく。

 

 

 パンッパンッパンッパンッパンッパンッ!!

 

 

「あっ、あっ、んああぁぁッ!」

『ハハッ! 気持ち良いかぁ? お前の小わっぱちんぽも、オンッ♡ 生意気なほどに、具合が、良いぞォ♡♡』

 

 悪魔は夕太の両肩にかけていた手を離し、今度は彼の両足首を掴み上げた。それによって夕太はちんぐり返しの形になり、ずり下がって便座に寝そべる形になる。

 その状態のまま腰を叩きつけては上げてを繰り返され、幼い性を乱暴に搾取されていく。もはや下半身が一体になっているかのような感覚さえしてきていた。

 

 このままではいけない。

 なけなしの理性を働かせた夕太は、一際大きい声を上げようと口を開く。

 

 

「……み、美夜ちゃ……魔美ねえ……ッ!」

 

 

 だが、強すぎる快楽を前に思うように声が出せなかった。

 もう駄目だ。つばさの仇も取れずに、彼女の竿奴隷となって腰を振り続ける自分を想像しながら、意識を手放そうとする。

 

(ごめん……つばさちゃん……)

 

 だんだん意識が遠のいていく。

 その中で、美夜子と魔美の声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

「夕くんッ!!」「ゆーくんッ!!」

 

 

 

 

 

 それは、幻聴ではなかった。

 声は届いていないはずなのに、二人が駆けつけてくれたのだ。

 

「な……なな……」 

「え? え? ゆ、ゆーくんのちんぽこが、あ、悪魔のおまんこに……」

 

 夕太をレイプしている悪魔の姿を見て、驚きに目を見開く美夜子と魔美。

 二人からはちょうど、結合部はもちろん、悪魔の菊門が丸見えになっていた。その黒く沈着したケツ穴は、快楽を受けてヒクヒクと呼吸している。

 

『オンッ♡ オンッ♡ オ゛ォーーンッ♡♡ はぁ……はぁ……何だ? 小僧の、女か? 邪魔をするで、ない。こやつは、オンッ♡ 私の竿奴隷と、なって♡ 精を捧げ続けるのだからなァ♡♡』

 

 介入者が現れたにも関わらず、悪魔は腰振りを止めようとしない。

 むしろ、見せつけるようにより身体を屈んで尻を突き出し、夕太と重なり合うようにしながら腰の動きをさらに速め始めた。

 

「このッ……私の夕くんから離れなさい!!」

 

 それを見た美夜子が怒髪天を衝く。

 傍に飾られている甲冑が持っている剣を掴み取り、トイレの中に駆け込む。腰を振り続けている悪魔の尻に向けて、両手に握った剣を横薙ぎに振るった。

 

 が、その攻撃は空を切る。紙一重のところで悪魔が膣からジュポッとちんぽを抜き取り、宙に飛び立ったのだ。

 そのまま空振って体勢を崩した美夜子の頭の上を通り過ぎ、すり抜けるようにしてトイレから飛び出す。

 

「きゃあっ!?」

 

 入り口に立ちっぱなしだった魔美はすぐ傍を通り抜けていった悪魔に怯え、悲鳴を上げて尻もちを突いた。

 そのまま床を這ってトイレの中に逃げ込み、便座から身を起こした夕太の肩に隠れるようにしてしがみつく。

 

『やれやれ……空気を読めぬメス共だ。せっかく小僧を可愛がってやっていたというのに』

「くっ……あなた、一体何者なの!?」

 

 美夜子は夕太と魔美を後ろに庇うように立ち、剣を構えながら宙に留まって自分達を見下ろしている悪魔に問い質す。

 

『フフ……冥土の土産として教えてやろう。私はメジューサ。大魔王デマオン様の配下だ』

 

 彼女の名乗りを聞いて、息を呑む美夜子と魔美。

 

「デマオンの配下……!」

「やっぱり、復活したんだわ……!」

 

 予想していた最悪の展開が現実となり、戦慄を禁じ得ない。

 美夜子の額から汗が一筋、流れ落ちる。

 

「で、でも、そんな奴が、一体どうして夕くんを……」

『その夕くんと言うのは、小僧のことか? 決まっておろう。そやつの魔力は私が涎を垂らしてしまうほどの膨大な量と濃厚さを秘めているのだからな。人間とは言え、さすがは伝説の魔法使い。デマオン様をこの世界から追いやっただけのことはある』

「……え?」

 

 魔王は伝説の魔法使いナルニアデスがその命を犠牲にして討ち倒したと言い伝えられている。その魔王が復活したというのなら、ナルニアデスは彼を倒し切れていなかった。そういうことなのだろう。だから、追いやったと表現するのは分かる。

 だが、メジューサのあの言い方。まるで夕太がそのナルニアデスであるかのような物言いではないか。

 

「……ど、どういうこと? それは夕くんじゃなくて、ナルニアデスの話でしょう?」

 

 混乱しながらも、聞き返す。手が震えて、剣を握る力が抜けていくのを感じた。

 それを見たメジューサは得意げな笑みを見せる。

 

『フフ、ただのメスには分からぬか。やはり、小僧は地球の手に余る存在というわけだな』

「もー! 訳分かんない! ゆーくんとナル何とかに一体何の関係があるって言うの!? ねえ、美夜ちゃん! ……美夜ちゃん?」

 

 苛立ったように声を上げる魔美。よく理解できていない彼女は、そもそもナルニアデスについても歴史の授業で何だか聞いたことがあるような、と言った程度しか知識がない。

 一方で、美夜子は心当たりでもあるのか、動揺した様子で何か思い起こそうとしている。

 

『ハッ、今から物言わぬ者となるお前達が知る必要は……ないわ!』

 

 啖呵を切ると共に、美夜子に対して指を向けるメジューサ。

 その指先から青い光線が放たれる。

 

「ッ! 立て! 火柱!!」

 

 咄嗟に火柱の魔法で対抗する美夜子。

 剣先から放たれた燃え盛る火炎が光線と衝突する。が──

 

「あっ……!」

「み、美夜ちゃんの火柱が……!」

 

 光線に飲まれた炎は見る間に石化していき、固体となったそれは立ち所に砕けて砂となってしまった。

 幸い、光線は炎を石化させたことで消失。だが、あれがつばさを石像にしたのだということが分かり、美夜子と魔美は身に差し迫った危機を目の前にして戦慄に身を震わせててしまう。

 

『フフ。そら、隙だらけだぞ?』

 

 そんな彼女らに向けて、再びメジューサが指先から光線を放つ。

 美夜子は咄嗟に避けようとしたが、身体が硬直して動くことができない。

 

 

「──美夜ちゃん!」

 

 

 恋人の危機を前に、夕太が力の入らない下半身を叱咤させて飛び出すように床を蹴る。肩にしがみついている魔美ごと。

 そして、美夜子の背中を押して後ろから押し倒した。

 

 結果、間一髪。

 美夜子の上に重なる形で倒れた彼らの頭上を光線が通り過ぎていく。

 

「ひいぃッ!?」

 

 必然的に一番上に位置することになった魔美。お尻のすぐ上を掠めていった氷のような冷気を受け、思わず括約筋が緊張してアナルがキュッと締まってしまう。

 

「み、美夜ちゃん。大丈夫?」

「大丈夫、平気よ。ありがとう夕くん」

「ゆーくん! ゆーくん! お尻に冷たいのが! お尻が!」

「ま、魔美ねえ。落ち着いてよ」

 

 三人重なってしっちゃかめっちゃかな状態である。夕太は美少女二人に挟まれて嬉しそうに「ニヘヘ」と頬を弛ませた。

 こんな危険な状況だというのにどうかしていると思われるかもしれないが、それも致し方ないこと。なぜなら──

 

「……ところで、何で二人共裸なの?」

「「あ……」」

 

 そう。何を隠そう、二人は全裸なのだ。

 

 彼女らが二人して裸のまま寝てしまったのは知っての通り。

 美夜子が夕太の貞操の危機を感じて真っ先に飛び起き、遅れて魔美が夕太の非常ベルを聞きつけ、すぐさま駆けつけたのだ。当然、服を着る余裕などなかった。

 エスパー能力がない美夜子の方が魔美より起きるのが早かったのは、ひとえに愛の力の賜物である。

 

 股間には美夜子のお尻の感触。背中には魔美のおっぱいの感触。

 夕太自身も裸なのもあって、素肌同士密着し合い、とても幸せなサンドイッチが出来上がっていた。これで美夜子が仰向けになってくれれば、4つのおっぱいに挟まれておっぱいサンドイッチだと脳内ではしゃぐ。

 

『……小僧。どうやら、お前が先に石になりたいようだな。いいだろう。石と化したお前の魔羅も味わってみたいと思っていたところだ』

 

 そんなアホなことを考えている間に、今度は夕太に向けて光線が放たれる。

 

「あっ」

 

 が、夕太の上には魔美が重なっている状態。

 彼に向けて発射された光線は、まず魔美の身体へと迫った。

 

 

 ──ブンッ

 

 

『なっ! き、消えただと!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ピヨヨンッ

 

「きゃっ!?」「いてっ」「ひゃんっ!」

 

 気がついた時には、三人の身体は屋外に出ていた。

 そのまま地面に落ち、痛みに声を上げる。

 

 場所は満月邸へ続く林道。台風は未だ猛威を振るっており、強風によって突き刺さるような横振りの大雨が夕太達に降り注いでいる。

 

「痛たた……一体何が」

「そっか、魔美ねえのテレポートだよ! それで助かったんだ!」

 

 どうやら、魔美のテレポートは触れている相手も一緒に瞬間移動できるようだ。

 

「ありがとう魔美ね──どうしたの?」

「……ゆーくん。あたしのお尻、石になってない? 大丈夫?」

 

 魔美は両手をお尻に回してペタペタと感触を確かめていた。

 無論、彼女の安産型のお尻に変わりはない。シミ一つない健康的なたまご肌を維持している。

 

「大丈夫だよ。魔美ねえのお尻、いつもと同じだから」

「ほっ、良かったァ」

「あ、でも、念のためにお尻の穴も確かめていい?」

「もう! ゆーくんったら!」

 

 ザーザー雨が激しく降りしきる中、能天気にイチャつき出す二人。

 美夜子は片眉をピくつかせながら溜息を吐く。

 

「二人共、そんなことしてる場合じゃないでしょ! 早くここを離れないと、メジューサが──」

 

 

 

 

『 ──オオォ~~~~ンッ!! 』

 

 

 

 

 案の定、メジューサがおどろおどろしい声を上げながら追いかけてきた。

 

「ッ、メジューサ!」

『ハハッ、どうやらそこの間抜けそうな女は瞬間移動術が使えるようだな。だが、無駄なこと。小僧の精液を直に飲んだ今の私なら、どれだけ離れようともその濃厚な匂いを嗅ぎつけることができるのだ』

 

 彼女の言葉を聞いた美夜子が弾かれるようにして振り返り、夕太を睨む。

 

「夕くん! あんな悪魔相手に射精しちゃったの!?」

「え? え? しゃ、しゃせーって?」

「~~ッ! あ~、もう! 夕くんの節操なし!!」

 

 悪魔相手でも欲情してしまう恋人に呆れながらも、美夜子は手に持ったままだった剣を構え、前に出てメジューサと対峙する。

 呆れても、怒っても、夕太が好きなことには変わりない。悪魔が彼を狙っているというのなら、命に代えても守り切らなければ。

 

「魔美! 私が悪魔の相手をするわ! その間に、夕くんと二人で役に立ちそうなひみつ道具を探して!」

 

 この場を打開する方法。希望があるとしたら、それは夕太のひみつ道具だけ。

 普段エッチなことにしか使わなかったり役に立たないモノばかりだが、時折『どこでもドア』のような優れたモノがあるのも確かだ。

 

 きっと何かあるに違いない。もし、彼が本当に伝説の魔法使いだとしたら。

 

「わ、分かったわ!」

 

 魔美の返事を聞いた美夜子は、雨に濡れてきらめく剣を振りかざす。

 

『愚かな。お前程度の魔法で、この私をどうにかできると思うてか』

「やってみなくちゃ分からないでしょう! 落ちよ! 水柱!!」

 

 水柱の魔法が、メジューサの頭上から襲いかかる。豪雨を伴ったそれは、通常よりも水量が増した状態で流れ落ちた。

 メジューサの放つ青い光線がそれを石に変え、砕けて砂と化す。攻撃は先ほどの火柱と同じで無力化されたかに見えた。

 

 だが、今回は違う。

 落ちる方向は変わらず、水が砂に変わる形で彼女に降り注いだのである。美夜子はこれを狙っていたのだ。

 

『むうっ……おのれ、小癪なッ!』

 

 雨を受けて砂は泥となっており、メジューサの赤い肌を汚した。

 怒りに眉をひそめ、鋭い目で美夜子を睨みつける。

 

(やれるだけ、やってみるしかないわ!)

 

 美夜子は顔に滴る雨水を拭い、剣を握り直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、何か、何か道具ないの!? 悪魔をやっつける十字架とか! ニンニクとか!」

「え、え~っと……あっ」

 

 一方の夕太と魔美。

 早く美夜子に加勢すべく、夕太はなんかないかとポケットを漁るべく腰に手を伸ばした。

 

 が、その手が空を切る。

 ポケットがない。当たり前だ。自分は今、全裸なのだから。

 

「ま、魔美ねえ! ズボン! 取りに戻らなきゃ!」

「そ、そっか! ゆーくん、あたしにくっついて!」

 

 魔美に従って、遠慮なく彼女の身体に横から抱きつく夕太。

 当然ながら、その股間は擦り慣れた魔美の肌に反応して硬く勃起した状態となっている。

 

「ゆ、ゆーくん! こんな時にちんぽこおっきくしないでったら!」

「ぼ、ぼくだって真剣だよ! 美夜ちゃんが危ないんだもん! でも、裸の魔美ねえとくっついてるって思ったら、こうなっちゃうんだよ!」

 

 雨に濡れた彼女の裸体は光沢を成して、それだけで男の子を刺激してしまう。

 それに、今の魔美は大雨の影響で普段のあの極端に反り返った髪が肩まで下りて、ミディアムに変わっていた。元々美少女だが、印象が180度変わって全く別人にも思えるほどの超美少女と化していたのである。

 

「~~ッ! と、とにかく、ちゃんと掴まってて! テレポート!」

 

 そんな男の子目線の気持ちに気づくわけもなく、魔美はペンダントを手に取って自分の頭に圧縮空気を発射した。

 

 

 ──ブンッ

 

 

 瞬きの間に、夕太の目の前の光景は雨が降りしきる林道から見慣れた自室に変わった。

 ちょうど視線の先には魔美の裸婦画が飾られており、不覚にもちんぽがビクンッと跳ねてしまう。いつもはエッチな目で見ることはないのだが、この状況では致し方ない。

 

「ゆーくん!」

「あ、うんっ!」

 

 魔美に声をかけられて、慌てて脱ぎ捨てたズボンを拾いに行く夕太。

 その後を追いながら、魔美はベッドに寝かされたままの石像と化したつばさに視線を向ける。

 

(うわぁ……)

 

 彼女の灰色の裸体には、少し黄ばんだ白い跡が顔から股間の辺りまでそこかしこにこびりついていた。

 これ全部、夕太が出した白いおしっこ──精液なのだ。そう思うと、魔美の胸の鼓動が急激に早まる。

 

 同時に浮かび上がる、言い知れない切なさ。

 部屋中に漂う栗の花のような匂いと、唾液が渇いた臭い匂いも相まって、子宮がどうしても疼いてしまう。

 

「ごめんね、つばさちゃん! 美夜ちゃんが危ないんだ! え~っと、なんかないか、なんかないか……!」

 

 放置しているつばさに謝りながら、夕太は拾ったズボンのポケットに手を入れて漁り始める。

 散乱するゴミの数々。バケツにトイレットペーパー、入れっぱなしにしていたミズエのパンツ。ポケットは肝心な時に限って役に立たないものばかり出てくるのだ。

 

「『空気ピストル』のおっきなヤツとかないの? 空気砲! みたいな」

「う~ん、あるにはあるけど、メジューサに効くかなぁ……あっ!」

 

 ようやく役に立ちそうな道具を引き当てたのか、夕太が目を輝かせる。

 そんな彼がポケットから取り出したのは、表が赤で裏が青に染まった布であった。

 

「なあにそれ? ただの布みたいだけど……」

「これね、『ひらりマント』って言うんだ! 何でも跳ね返せるすごい道具なんだよ!」

「じゃあ、それでメジューサの石化光線を跳ね返せば……!」

 

 魔美の言葉に、コクリと頷き返す夕太。

 跳ね返した光線で彼女を石化させることができるだろう。つばさを元に戻してもらう必要があるが、今はなんとか無力化させることを優先しなければ。

 

「よーし! 急いで戻らなきゃ! ゆーくん、掴まって!」

「うん!」

 

 

 

 

 

 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ 

 

 

 

 

 

「──きゃあっ!」

 

 ぬかるみに足を取られ、水溜まりへうつ伏せに倒れてしまう美夜子。

 その手には既に剣が握られていない。一か八かを狙って浮遊術による投擲を試みたのだが、読まれていて簡単に避けられてしまったのだ。

 

 全身泥まみれになってしまった彼女を、上空に浮かぶメジューサが嘲笑う。

 

『ハハッ、無様な格好だな。人間』

「……くっ!」

 

 美夜子は顔についた泥を振り払い、メジューサを見上げて睨みつける。

 そこへ、何度目かの光線が発射された。避けようとしたが、思うように身体が動かない。

 

 必死に魔力を練り、自分自身に浮遊術をかけて横へと吹き飛ばす。その結果、ギリギリのところで躱すことに成功した。

 

「あ、ぅッ!」

 

 乱暴に吹き飛ばしたので、地面に身体を打って痛みに悶えてしまう。

 必死に起き上がろうとするが、先ほどの浮遊術で魔力が底を尽き、もはや身動きを取ることも叶わない。綺麗な身体は泥まみれに傷だらけで見る影もなくなっていた。

 

『どうした? もうおしまいか?』

 

 メジューサが美夜子の近くにゆっくりと降り立つ。美夜子は悔しそうに顔を歪めた。

 

 ここまで必死に足掻いてきたが、もはやこれまで。

 この大雨で得意としている火柱の魔法もまともに使えなかった。唯一、石化光線は何かしらの障害物に当たればそこで途切れるのが分かっていたので、ひたすらに石を浮遊術で飛ばして相殺し、水柱の魔法で行動を阻害し続けたのだ。

 

「……ひ、一思いに、やりなさい」

『ほお? 潔いな』

「私が石にされても、きっと……きっと夕くんと魔美が何とかしてくれるもの」

『ふん、戯言を』

 

 そう吐き捨て、倒れている美夜子に人差し指を向けるメジューサ。

 なぜだか分からないが、彼女はこの人間のメスを一目見た時からどうにも気にかかってしょうがなかった。だからさっさと石にして、頭の中の煩わしいモヤモヤを消してしまおうと思っていたのだ。

 

 正体の分からない懸念を振り払うように、指先へ魔力を込める。

 光が灯り、美夜子の身体を照らし出した。

 

「……パパ……ママ!」

 

 この場にいない父親と、自分のために命を捨てた母親のことを想う美夜子。

 目尻から涙が一筋、流れ落ちる。

 

 それを見たメジューサの指先が、ピクリと揺れた。

 

 

 

 

「──メジューサッ!!」

 

 

 

 

 そこへ、後ろから割って入る声。

 メジューサが振り返ると、そこには夕太と魔美の姿があった。美夜子もそれを認めて、「夕くん! 魔美!」と歓喜の声を上げる。

 まるで彼らの登場を待ち侘びていたかのように、ちょうど良く雨も降り止み始める。

 

『……やれやれ、わざわざ石にされに来たか』

「石になんてなるもんですか! もうあなたの光線なんて怖くないんだから! ゆーくん!」 

「うん! このひらりマントで跳ね返し──」

 

 その時だった。

 降り止んだ雨と違って空気を読まない突風が、メジューサと夕太達の間に吹き過ぎたのだ。

 

 

「──ああっ!?」

 

 

 強風にあおられ、夕太はあろうことか両手に持っていた布を手放してしまう。宙に飛んでいった布は、青と赤の面を見せながら夜闇の空へと昇っていく。

 

「待って!」

「あ、ゆーくん!」

 

 慌てて追いかけ始め、魔美の傍から離れてしまう夕太。

 

『何がしたかったのかは知らんが……宣言通り、まずお前を石にしてやる。硬くなった魔羅をたっぷりと可愛がってやろうぞ』

 

 そんな彼を、メジューサの魔力が集中した指先が狙う。

 魔美が傍にいない以上、今当たれば確実に石にされてしまうだろう。

 

「夕くん、逃げて!」

 

 美夜子が叫ぶ。しかし、もう遅い。

 メジューサの指先から青い光線が発射された。

 

「え」

 

 一直線に迫る光線。

 後を追っていた魔美が咄嗟に手を伸ばして彼をテレポートさせようとしたが、躓いて転んでしまう。

 

 青い光が、夕太の顔を照らした。

 

 

 

 

 

 ──カチッ

 

 

 

 

 

「──はれ?」

 

 目をパチクリとさせながら、間抜けな声を漏らす夕太。

 自分は青い光線を受けて、石化してしまったはず。なのに、身体は灰色になってないし、問題なく動かすことができる。

 

「ゆーくん!」

 

 横から飛んでくる柔らかい感触。

 目を向けると、離れた位置にいたはずの魔美が夕太の無事を喜んで抱きついていた。

 

『バカな……小僧も瞬間移動術が使えたのか?』

 

 メジューサもまた、驚きの声を漏らしている。

 いつの間にか、夕太は魔美の傍に移動していたのだ。もちろん、魔美がテレポートさせたわけではない。寸前で転んでしまって失敗したのだから。

 

 しかし、どう考えても一足飛びでは無理な距離なのは間違いない。

 それこそ、時間でも止めなければ不可能だろう。そんなことができるのは──

 

 

 

「──ふう、何とか間に合ったわね」

 

 

 

 夕太の傍にはもう一人誰かがいた。

 ヘルメットとゴーグルを着けているが、夕太達にはその人物が誰かすぐに分かった。

 

「「「リーム(さん)!?」」」

 

 美夜子と魔美の同級生、リーム・ストリームだ。

 例の股下ギリギリの丈をしたノースリーブの赤いワンピースを着ており、すぐ後ろには大掛かりな形をしたホウキに似た乗り物──タイムブルームが控えている。

 

「全く、どうしてアタシが目を離している時に限って何か起こるのかしら」

 

 リームは誰にぶつけるわけでもなく、そう文句を口にした。

 帰り道で夕太に置いてけぼりにされた彼女。拠点であるテントに帰った後は、さっさとシャワーを浴びて今の今まで不貞寝してしまっていたのだ。

 

『おのれ……お前がテレポートさせたのだな。邪魔をするな!』

 

 怒りに声を上げるメジューサ。

 宙に飛び上がり、新たな参戦者に対して石化光線を放つ。

 

「『タイムコントローラー』!」

 

 それに対し、リームは手に持ったバトンを向ける。すると、光線とメジューサの動きがまるでスロー再生しているかのように遅くなった。

 タイムコントローラーを使って、彼女と光線の時間を遅延させたのだ。

 

「今よ! 美夜子!」

「え?」

「火柱の魔法よ!」

「あ、で、でも、私もう魔力が……」

 

 今こそトドメを刺すチャンス。だが、一番威力が出せる美夜子は魔力が底を尽きて期待に応えることができない。

 目論みが狂ったリームはどうしたものかと考える。自分は美夜子と違ってまともな攻撃魔法を扱えないし、魔美だってそれは同じだ。夕太は言わずもがな。

 

「あ、そ、そうだわ!」

 

 考えた末に閃き、タイムブルームの四次元トランクを漁り出す。万が一のため、魔力を瞬時に回復することができる魔法薬を未来から持ってきていたはずだと。

 が、見当たらない。そうだ。どうせ使わないだろうからと、魔法薬のレポートの宿題を済ませるために中身を捨ててビンだけ使ってしまったのだ。

 

(お、終わった……)

 

 この時ほど自分のズボラさを後悔したことはなかった。

 見れば、メジューサは自身の魔力でタイムコントローラーによる時間操作に抵抗し始めている。このままでは後1分も経たずに元通り動き出すだろう。

 

 何か他に手はないか? T・P隊員としていつも危機を脱してきた経験を糧に知恵を絞り出す。

 そうこうしているうちに、いつしか吹き荒れていた風も止み始めた。

 

 

「「あっ」」

 

 

 ふいに、夕太と魔美が上空を見上げたまま声を漏らした。

 何事かと、俯いて頭を悩ませていたリームも弾かれるように顔を上げる。

 

 布だ。表が赤、裏が青の色に染まった一枚の布。

 飛んでいったはずの夕太のひらりマントが、上空からヒラヒラと木の葉のように舞い落ちてきたのだ。

 

 ちょうどその先には、光線を放ったままの体勢でゆっくりと動くメジューサが。

 その顔に、バサッと布が覆い被さった。青色の裏面が被る形で。

 

 

 

 

 

『 ────────ッ!! 』

 

 

 

 

 

 瞬間、メジューサは頭を抱えながら声にならない悲鳴を上げた。

 悲鳴は音波となって、周りの木々を騒めかせる。夕太達は耳鳴りを受けて思わず両手で耳を塞いだ。

 

 そして、悲鳴が止むと同時に、彼女は布を被ったまま真っ逆さまに落ちていく。

 そのまま地面にドサリと落ち、仰向けに倒れた。

 

「え、あれ? やっつけちゃった……?」

「でも、あの布って、飛んできたのを跳ね返すだけなんでしょ? なんで倒れちゃったの?」

「分かんない……ん? あのひらりマント、よく見たら何か違うような……模様なんかあったっけ?」

 

 よく分からない顛末を迎えたことに首を傾げる夕太と魔美。

 その横で、リームは混乱しながらも警戒を解かず、タイムコントローラー片手にメジューサに近づこうとする。

 

 すると、顔に布を被ったままのメジューサの身体が、急に光り輝き出した。

 その光は夜闇を照らすほどに強く、夕太達は思わず手で庇いながら瞼を閉じる。

 

「……う、嘘」

 

 だが、美夜子だけはその光の中を瞼を閉じずに見つめていた。

 なぜなら、メジューサの身体が、点滅するようにしてその姿を変え始めたから。

 

 

 それは、忘れるはずもない。

 自分のために悪魔と契約して命を落とした、母親の姿と瓜二つだったのだ。

 

 

 やがて、光が収まっていく。

 その中心となる泥だらけの地面には、透き通るような美しい裸体を晒した人間の女性が横たわっていた。顔のすぐ横には、発端となった布が滑り落ちている。

 

「あ、あれ、ひらりマントじゃなくて『タイムふろしき』だ!」

 

 瞼を開けて布を改めて見た夕太が、その時計模様を見て自分の思い違いにようやく気づく。

 

「……マ、ママッ!」

 

 美夜子は力の入らない身体に鞭打ち、這う這うの体で女性のもとに近づく。

 傍に辿り着き、その顔にそっと手を添える。すると、彼女はゆっくりと瞼を開いた。

 

「…………み、よこ?」

「ママ! ママなのよね!?」

 

 女性は美夜子の言葉に、かすかに微笑んで返した。

 間違いないと、確信する。彼女は、死んだはずの自分の母親だと。

 

 

「 ママぁッ!! 」

 

 

 大粒の涙を流しながら、永遠に会えないと思っていた母に抱きつく。

 子供のように泣き喚く美夜子の声が、林道に響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新魔界大冒険を見たことがある方には最初から分かっていたと思いますが、メジューサの正体は美夜子の母親でした。
次回から母親も話に加わるわけですが、さすがに父親に倣って満月ママ呼びだと不都合があるので、名前を考えなければなりません。

パラダピア先生と違って少し悩んでいるので、いくつかの候補からアンケートで決めようかと思います。よろしければご回答いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

〇佐倉魔美
おしっこテレポート。これをやりたかったがために彼女を登場させたと言っても過言ではない。
ちなみに、テレポート時の「ブンッ」と「ピヨヨンッ」はアニメでの効果音を参考にしている。原作漫画だと「ピッ」「パッ」と味気ない感じになってしまうので。

〇メジューサ
漫画版だと「オォ~ン!!」と声を上げながらドラえもん達を追いかけるシーンがあるので、オンオン下品に鳴かせてみた。



美夜子の母親の名前は?(漢字違いも含みます)

  • 沙夜(さや)
  • 沙夜子(さやこ)
  • 沙夜香(さやか)
  • 沙夜花(さやか)
  • 朔夜(さくや)
  • 咲夜(さくや)
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