学校で一番エッチなヤツのおねショタ歴程 作:ピーマン
『いや~、まさかあのデマオン様がご結婚なされるとは』
『しかも相手はめちゃくちゃ可愛い長耳の女の子だってよ。今までの苦労がようやく実ったんだなぁ』
場所は変わって、魔界星。
悪魔達の主である大魔王が婚姻したという報せは、魔界中に瞬く間に広まった。
『はぁ。とは言っても、俺達一つ星の悪魔は式に参列できないんだろうけどな』
『ところがどっこい、星の数に関係なく参列していいんだって。ご馳走食べ放題だぜ!』
『マジか! あ、でも、ご祝儀とかどうすんだ? ハラマセダケとかでいいかな、縁起いいし』
『バッカ、そんなそこかしこに生えてるヤツじゃ失礼だろ。他に何かいいモノ……ん?』
魔界星始まって以来の吉報に賑わう港町。
その喧騒を背中に海岸の見張りをしていた二人の悪魔は、その視線の先──水平線からやってくる小さな影を捉えた。
『なんだぁ? 南極の方角からだな』
『出城の奴らが式に参列するために戻ってきたってわけじゃなさそうだし……んぅ? ありゃ、もしかして人間じゃないか!?』
近づいてきたそれが悪魔影ではなく人影であることに気づき、二人は慌てて宙に飛び上がって予定にない来訪者に立ち塞がる。
『おい! そこの人間、止まれ!』
「? やあやあ、こんにちは」
人影──頭に竹とんぼに似た変な飾りを乗せたまだ年端も行かない見た目の少年は、にこやかな笑顔で対応した。
『どうして人間が魔界星にいる!? 南極の奴らはどうしたんだ!?』
「え、南極? 僕、『あべこべクリーム』で炎を抜けて来たんだけど。もう凍っちゃうかと思うくらい寒かったよ」
悪魔達は驚いた。魔界星はその全体が黒い炎で覆われており、出入りするには南極点を通らなければならない。
炎を突っ切ることができるほどの魔力を持った存在は、彼らの知る中ではデマオンだけ。つまり、この少年は大魔王と同程度の魔力を持っていることになるのだ。
『う、嘘つけ! あべこべだか何だか知らんが、お前みたいな人間の子供が炎を抜けられるほどの魔力を持ってるわけ──』
「そんなことよりさ、町の方が随分賑やかだね。何かあったの?」
『え? あ、ああ。我らが大魔王デマオン様がご結婚なされるのだ。人間が何度人生を繰り返したって手の届かないような美少女とだぞ。どうだ、すごいだろう!』
それを聞いた少年は、ニマリと僅かに口端を上げた。
「あ~、やっぱりそれでかぁ。実は僕、大魔王様が結婚するって聞いてね。ぜひ式に参列したくてやってきたんだ」
『何? 人間が?』
「そうだよ。地球にも大魔王様のご高名は知れ渡っているからね。魔界星に来られるほどの魔力を持った人間は僕ぐらいだから、今頃他のみんなは羨ましがってるだろうなぁ」
自分達の主が褒め称えられ、悪魔達は自分のことのように嬉しそうに頬を緩ませる。
彼らの間にあった一触即発の空気が見る間に霧散していった。
『そ、そうか……さすがはデマオン様だな。侵略予定の地球にも既にご威光が届いているとは』
『いやしかし、いくら魔力に自信があると言っても、わざわざ地球からやってくるなんて。大した人間もいたものだ』
「どうせ地球は魔界の傘下になるんだし、地球人代表として主となる大魔王様の吉事をどうしてもお祝いしたくってね。それで、城はこっちの方角でいいんだよね?」
そう言って、悪魔達の横を素通りしようとする少年。
悦に浸っていた二人はすぐに我に返り、慌ててその行く手を阻む。
『待て待てっ! 話は分かったが、ちゃんとご祝儀は持ってきているのか?』
「ご祝儀?」
『そうだ。手ぶらは当然だが、粗末なモノではデマオン様に失礼になる。地球人代表と言うからには、それなりに良いモノを持ってきてるんだろうな?』
少年は「あ~……」と頭を掻き、緋色の衣の下でポケットを漁り出した。
そして、手に丸い何かを握って彼らに差し出して見せる。
『ん? そ、それは何だ?』
『クンクン……な、なんという香ばしい匂い。じゅるり』
「これね、栗まんじゅうで言うんだ。地球では最高級の食べ物なんだよ。どう? 食べてみる?」
『そ、そうだな。それじゃあ……』
二人はごくりと喉を鳴らし、それぞれ栗まんじゅうを一個手に取って恐る恐る頬張った。
『『うっ!』』
「う?」
『『うまあぁーーいっ!!』』
その美味しさに歓喜の声を上げ、ガツガツとあっという間に平らげてしまう。
はぁ……と感嘆の溜息と共に栗の香りを漂わせた。
『ああ、このしっとりとした食感と芳醇な甘さ、何より優しさに満ち溢れていて暖かい……』
『最高級は伊達じゃないな。ハラマセダケなんて目じゃないぞ』
「ハラマセダケ? 何それ?」
『孕ませるだけ孕ませて、責任取らないキノコさ。焼くと変な匂いはするが、中に白濁とした汁が詰まっているからジューシーでうまいんだ』
『だが……この栗まんじゅうが相手だと、霞んでしまうな』
涎を垂らしながら、物欲しげな視線をユウタに送る悪魔達。
「あはは……随分気に入ったみたいだね。良かったらもっと食べなよ」
『い、いいのか!?』
「うん。まだまだたくさんあるからね。ほら、どうぞどうぞ」
遠慮しないでとばかりにポケットから栗まんじゅうを次々に取り出し、悪魔達に押しつける。
『お、おお! こんなに!!』
『うひょーー!!』
両腕いっぱいに栗まんじゅうを抱えた悪魔達は喜び勇み、夢中で食べ始める。デマオンの結婚式のことも忘れて。
そんな二人をニコニコと満足げに眺め、そのまま二人の横をそ~っと通り過ぎる少年。
「う~ん、さすがルナが作った栗まんじゅうだ。これは使えそうだぞ。え? 後で説明するよ」
なぜかポケットに向けてそう語りかけながら、彼──ユウタは城の方角へ向けて飛び去っていくのだった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
「………………」
ガヤガヤ、バタバタと忙しなくも賑やかな作業音が耳に届く。
岩削りのベランダに立つ少女──ルナは、憂いに満ちた表情でそれを見下ろしていた。
「ユウタさん……」
身に纏う着物を撫で、想い人である少年の名を零す。
自分達を助けてくれた、カグヤ星との因縁から解き放ってくれた彼なら、きっと。
しかし、彼を危険に晒すくらいならこのまま……そう考えるも、同時に肌寒さを覚える。口づけを交わした時の温もりに縋るようにして、自身の身体を抱きしめた。
『──我が妻よ』
「ヒッ」
後ろから声をかけられ、青く長い髪を翻して振り返るルナ。
ベランダの入り口に、誘拐犯の変態である大魔王デマオンが佇んでいた。
『ワハハッ、式を前に緊張しておるのか? 案ずることはない。全て滞りなく進んでいるぞ』
「で、ですから、私はあなたと結婚なんて──」
『それよりも、これを見てくれ!』
ルナが誤解を解こうとするが、デマオンはそれを遮って横へ歩き、自身の後ろに隠していたあるモノを彼女に見せる。
それは、見事なまでに真っ黒なウェディングドレスであった。光を完全に吸収する、まさに至高の暗黒とも呼べる生地で仕立てられている。
「こ、これは……」
『どうだ、美しかろう? 今着ているその着物も素晴らしいが、やはり結婚式には純黒のドレスと決まっているからな。フフフ……ヘヘ』
ドレスとルナを見比べて、鼻の下を伸ばすデマオン。どうやら、ドレスを着た彼女を想像して悦に浸っているようだ。
当の彼女がこれでもかと嫌そうな顔をしているというのに、まるで気づいた様子もない。彼の中ではその顔が素敵なドレスを前にした満面の笑顔に脳内変換されているようだ。
『早速試着をしてみなければな。ママ』
『分かったホー! オフクローと申します。よろしくお願いしますねぇ、お妃様』
控えていた女中と思われる女悪魔がルナのもとへススッと近づく。オフクローと名乗った通り、桃色の毛をしたフクロウ型のふくよかな女悪魔だ。
その入れ替わりに、デマオンはそそくさと部屋から出ていこうとする。
『あら? デマちゃん、どこへ行くの?』
『う、うむ。式で流す映像の編集作業が途中なのでな』
『まあ、試着したお妃様の姿をご覧にならないなんて……』
『もちろん見たい! だが、ワシが楽しみを取っておく主義なのはママも知っているだろう。ワシは式で初めてドレス姿の妻を見たいのだ! では、頼んだぞ』
部屋を出ていくデマオンを見送ったオフクローは『しょうがない子ね~』と溜息を吐いた。
「あ、あの、ママというのは……」
『ホッホー! それはもちろん、ワタシがデマちゃんの義理の母だからよぉ! ホントに、いつの間にかあんなに大きくなってしまって、こんな素敵なウサギさんをお迎えするなんてねぇ……ルナさん、どうかあの子をよろしくお願いしますね』
「は、はぁ……」
涙を零して感傷に浸っている彼女にルナは気まずくなり、苦笑いを返すしかない。
よろしくお願いしますねと言われても、こちらは無理やり連れていかれた境遇なのだから。
『さぁさ! まずはお召し物を脱ぎましょうか!』
「あっ、ま、待ってください! 自分で脱ぎますから」
着物に手をかけようとした彼女のその乱暴な手つきを慌てて制止する。このまま彼女に任せてはユウタから贈られた大事な着物をボロボロにされそうだ。
溜息を吐き、ルナはゆっくりと着物を脱ぎ始めるのだった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
「ふへぇ、ようやく着いた……」
その頃のユウタ。
時間はかかりはしたものの、何とか無事に会場である魔王城へ辿り着いた。
途中、帰らずの原で迷いかけたが、『道路光線』という光で道路を作る道具でなんとか通り抜けることができたのだ。
次に迷い込んだ樹海では変なキノコに尻を執拗に狙われた。多分アレが悪魔達が言っていたハラマセダケなるキノコなのだろう。
「……よし」
一息吐いた後、城門へと向かう。そこでは大勢の悪魔達が結婚式に出席するため、長蛇の列をなしていた。
ユウタはその列を無視して、堂々と最前列に割り込む。
『あ、おいお前! 割り込むなよ!』
「まあまあ、これで許してくれないかな?」
怒鳴る悪魔に対し、同じ悪魔の顔が描かれた小さな赤い冊子を取り出して見せる。
「ん? やあ、こりゃ失礼。いくらでも割り込んでくれ」
すると、悪魔は急に態度を一変させ、どうぞどうぞとユウタに順番を譲ったのだ。
彼が見せたのは『悪魔のパスポート』と呼ばれるひみつ道具で、それを見せればどんな悪事でも許されるのである。
卑劣極まりない道具だが、事情が事情だ。手段は選んでいられない。
『よし、次。ご祝儀の提出を……待て! お前、人間じゃないか?』
『間違いない! この匂い、人間だ!』
ご祝儀を集めていた門番達がユウタの姿を見た途端、目くじらを変えて取り囲み、その匂いを嗅ぎ始めた。
「待ってよ。僕も大魔王様をお祝いするためにはるばる地球から来たんだ。ほら」
そんな彼らに、ユウタは再び悪魔のパスポートを見せつける。
『何を馬鹿な。地球は我ら悪魔が侵略予定──や、まあ別にいいか』
『人間の一人や二人侵入したって、別に悪いことじゃないよな』
『んだんだ』
「良かった。それじゃあこれ、ご祝儀ね。はい」
続けて、ユウタはポケットから栗まんじゅうが積まれた籠を取り出す。
これは元々、ウサギ達の証言でルナが大魔王に誘拐されたと聞いた際、彼女が残していったモノを回収したものだ。
彼女の温もりが残っているそれを持っておきたいという気持ちと、道中の腹ごしらえのために回収したのだが、まさかこういう形で役に立つとは。
どれだけ長生きしても、何が役に立つのか分からないものだ。
そう思いながら、籠の中の栗まんじゅうの一つにこっそりと細工を施す。
『お? お? 何だ、それは?』
『良い匂いだぁ……』
『ふむ。上等そうな菓子だな。式のデザートとして提供されることになるだろう。おい! 誰かこれを調理スタッフに届けてくれ!』
「それじゃあ、通っていいかな?」
『ああ。だが、くれぐれも粗相のないようにな』
ご祝儀の受け渡しも完了し、晴れて魔王城に入城することができたユウタ。
式の準備で忙しなく走り回っている悪魔達を尻目に階段を登り、人気ならぬ悪魔気がない場所に辿り着くと、ポケットからステッキらしきモノを取り出した。
「これ? 『たずね人ステッキ』って言って、地面に突き立てて離すと、探している人がいる方向に倒れるんだよ。70%ぐらいの確率だけど。どこでもドアは魔界星の地図がインプットされてないから使えないんだ。う~ん、こっちかな?」
なぜかポケットに向けて説明しながら、そのステッキを何回か倒す。そして、一番倒れた回数が多い方向に向けて駆け出した。
その胸にオレンジ色をした星型のバッジをつけて。
『ホー! と~っても似合ってるわぁ! お式が楽しみねぇ!』
「あ、ありがとう、ございます……」
純黒のウェディングドレスで着飾った花嫁を褒めちぎるオフクロー。
当の本人であるルナは少し気恥ずかしげ。なぜなら、このドレス。ウェディングドレスと銘打っていながらバニースーツ的なデザインをしているのだ。
腰回りにはレースのスカートとウェディングドレスでお馴染みの長く伸びた引き裾がついてはいるが、身体部分はレオタード。肩は完全に露出しており、足部分も健康さを強調するためか生足。お尻にはご丁寧にウサギの尻尾らしき飾りまでついている。
極めつけは、胸を覆う三角部分。少しサイズが合っていなくて若干の隙間が空いており、上から覗き込めばルナの膨らみかけおっぱいと乳首が見えてしまうのだ。
「うぅ……あ、あの、ちょっと、胸の辺りが──」
『デマちゃんはバニーガールが大好きなのよぉ! あの子は長年このドレスが似合う子を探し求めててねぇ。過去にも何人か候補の悪魔はいたけど、みんな逃げてしまって』
あまり露出のある服を着ないルナにとって、恥ずかしいことこの上ない衣装。
脱いで畳んだ着物で隠す中、せめて胸元だけでもどうにかならないかとオフクローに声をかけようとしたが、彼女はデマオンの話に夢中で耳に入っていない。
『そうそう。逃げたと言えば、ルナさんは大丈夫なの? あまり頑丈そうには見えないけど……』
「? な、何の話、ですか?」
『ホーッ! 決まってるじゃない! デマちゃんとの初夜よぉ! 初・夜!』
突然の下世話な話にガツンッと頭を叩かれたかのような衝撃を受けてしまうルナ。
その言葉の意味はもちろん分かっている。常日頃、育ての母親から譲り受けた恋愛小説ならぬ官能小説を読んでいたのだから。
ちなみに、母親が持っていた本のほとんどはママショタ物の本で、ルナにあげた本はその隠れ蓑に当たる至って健全なエロ本である。
『デマちゃんのアソコはねぇ、すっっごく大きいのよぉ♡ 同じ巨人の悪魔の中でも別格ね。勃起したら、あなたの身の丈の二倍くらいは大きくなるけど……』
「ぇ……ぇ……私の、二倍?」
『でも、大丈夫よね。受け入れてくれたって、あの子嬉しそうに言ってたもの。頑張ってね。最初は痛いかもだけど、慣れれば気持ち良くなるわ。多分』
そんなわけあるかッッ!! ルナは心の中で慟哭した。
自分の身の丈以上のアレを
このままでは殺されてしまう。デカちんぽという名の凶器で串刺しにされて殺されてしまう。
命の危機にダラダラと汗水を垂らしている花嫁にも気づかず、オフクローは機嫌良さげに片付けをしている。逆に散らかっているようにも見えるが。
『心配しないで。私ね、いつもあの子が寝ている間にお口でご奉仕して刺激に慣れさせてあげてるの。だから、三擦り半で終わることはないはずよ。ホー! 言っちゃった♡ あの子には内緒にしててねぇ』
「いえ、あの……」
『ホー! そろそろ私も行かなきゃ! デマちゃんがちゃんとタキシード着れるか確認しなきゃいけないのよ。あの子ったらホントに不器用なんだからぁ』
そうまくし立て、バタバタと忙しない様子で部屋を出ようとするオフクロー。
「あっ! ま、待ってください! このドレス──」
『そのままで大丈夫よ! どうせ後2時間ぐらいで式が始まるんだから! また後でね! ホホホー♪』
慌てて引き止めようとしたが取り付く島もなく、彼女は上機嫌な鼻歌と共に去って行ってしまった。
「……はぁ、どうしよう」
オフクローを見送ったルナは溜息を吐き、ドレスのままベッドに腰を下ろす。
魔法を使えば、空を飛んでベランダから逃げ出すこともできる。扉を破壊することも。
だが、そうすればすぐに悪魔達に見つかって結局逆戻りとなってしまう。逃げようとしたということで、余計に事態が悪化してしまいかねないのだ。
「…………ぐすっ」
思えば、本当に一人ぼっちになったのはこれが初めて。
心細さと不安に駆られて、涙が溢れ出てしまう。ゴダール夫妻と別れる時も、他の皆が泣きじゃくっている中、ルナだけは泣かずに我慢していたのだ。夫妻に弟達のことを任されたから。
だが、今はその守るべき弟達もいない。もう限界に達していた。今まで頑張ってきたのに、こんな最後を迎えてしまうなんて。
唯一の救いは、初めて好きになった人とキスできたこと。本当ならもっともっと、長くキスしていたかった。溶け合うぐらいに。デマオンでなく彼になら、串刺しにされてもいいと思うぐらいに。
それも、もう叶わないだろう。
式の始まりが刻一刻と近づいている中、ルナの心は絶望の色で染まりつつあった。
「助けて、ユウタさん……ッ!」
だからこそ、縋らずにはいられなかった。
──カシャッ
「……?」
ふいに耳に届いた、聞き慣れない音。
辺りを見回してみるが、別段何も変わりない。部屋にはいるのはルナ一人だ。
──カシャッ、カシャッ
続けて、同じ音が鳴り響く。思わずベッドから腰を上げる。明らかに近くから聞こえるのに、正体が分からない。
「だ、誰! 誰なの!?」
「シーッ、僕だよ。ルナ」
「え? そ、その声は……」
不安に陰を落としていたルナの顔が、反転するように期待の色に染まる。
そんな彼女の目の前で、瞬きのうちに何者かが姿を現す。つい今しがたまで誰もいなかったはずなのに、まるで盲点から出てきたかのように。
その正体は、もちろん──
「ニヘヘ、待たせてごめん。ルナ」
「ユウタさん……ッ!!」
想い焦がれていた救い主、ユウタだった。
ルナは弾かれたように床を蹴り、彼の身体に飛び込むようにして抱きつく。ふわりと、ウェディングドレスの長裾が舞い上がった。
「ユウタさん……! ユウタさん……っっ!」
「よしよし、もう大丈夫だからね」
涙で濡らした顔を擦りつけるルナの頭を、ユウタは優しく撫でてあげる。
100歳を超える自分よりも長い時を生きているからだろう。同じ幼い見た目にも関わらず包容力溢れるその暖かさに、ルナは機能しないはずの子宮をトクンッ♡ と揺らす。
「落ち着いた?」
「……ぐすっ、はい。あ、申し訳ありません。服を濡らしてしまって」
「気にしないでいいよ。ルナから出たものなら、涙でもおしっこでも大歓迎だから」
「お、おしっこ、ですか?」
「あ、いや! 今のは聞かなかったことにして! アハハ……」
笑って誤魔化そうとするユウタだったが、ルナは自分が出すおしっこを喜んで浴びている彼の姿を想像して、気恥ずかしさと興奮にカァァッと頬を赤らめた。
自分の全てを受け入れると言われたような気がしたのだ。汚いモノでも、どんなモノでも。そう考えると、それ以上ないと思っていた彼への想いがより一層膨れ上がる。
毛一つ生えていない未成熟な女陰からお汁が滲み出るのを感じ、はしたない娘だと思われないように慌てて再び口を開けた。
「そ、そういえば、なんですけど、いつからここにいらしてたんですか? それに、先ほどのカシャッという音は……」
「ついさっき、フクロウの悪魔と入れ違いで入ったんだよ。音の方はね、これ。このカメラでルナの写真を撮ってたんだ」
見れば、ユウタの手には八角形の箱のような物が握られていた。以前カグヤ星人に向けて使っていた薄い板とは違う道具だ。
差し出された写真を見ると、それには黒いウェディングバニードレスを着たルナの姿が鮮明に写し出されていた。カメラはカグヤ星でも危険物として禁止されているが、ユウタに絶対の信頼を寄せているルナは彼の道具なら大丈夫だと一切の懸念も浮かべていない。
「とっても素敵な衣装を着てたから、つい撮影したくなっちゃって。勝手に撮ってごめんね」
「い、いえ! このドレス、気に入っていただけたんですね……」
恥ずかしくて今すぐにでも元の着物に着替えたかったが、ユウタに褒められると存外悪くないのではないかと手の平を返してしまう。
このドレスが、デマオンとの結婚式のために用意された花嫁衣装でなければなお良かったのだが。
「あの、逃げるなら、このドレスは着替えた方がいいでしょうか? 邪魔になりそうですし……」
「ん? いや、そのままでいいよ。しばらくここで待たなきゃだから」
「え? ま、待つんですか?」
てっきりこのまま花嫁である自分を連れ去って愛の逃避行になると思っていたルナは、予想外の返事に戸惑ってしまう。
当のユウタはカメラをポケットに仕舞うと、ルナの座っていたベッドにボスッと倒れるようにして寝転がった。
「う~ん、ちょっと硬めなベッドだなぁ……」
「あの、大丈夫なんですか? すぐに逃げた方が……」
「僕もルナを大魔王と結婚なんてさせたくないから、できればそうしたいんだけど……式の準備でたくさん悪魔が集まってるから、今すぐは難しそうなんだ。『モーテン星』も時間切れで在庫もないしね」
そう言って、仰向けになったユウタは胸につけていた星型のバッジを取り外して見せた。どうやら、彼はモーテン星というその道具のおかげで姿を消していたようだ。
彼の道具には時間停止ができる代物もあるが、現在故障中で使いたくても使えない状況である。
「心配しないで。仕込みはもう済んでるから」
「仕込み?」
「うん。しばらく待ってればその時が来ると思う。だから──」
上半身を起こしたユウタが、両手を広げる。
そんな彼を前に、ルナは一瞬遅れて意図を察し、ドクンッと胸を高鳴らせた。
ここで? 本当に? いいの?
動揺と緊張で喉が乾き、瞬きの回数が多くなって、頬が熱くなる。
しかし、発情期の本能は意中の雄の誘いを受け、その身を動かす。地に足がついていないような夢見心地な気分のまま、一歩一歩近づき、蜜を求める蝶のように彼のもとへ止まった。
「──きゃっ」
広げられた両手に迎えられたルナはユウタに抱き寄せられ、彼と一緒に倒れる形でベッドに沈み込む。
悪魔が用意した布団だからかお日様の香りはしなかったが、ルナの甘い匂いがふわりと広がってユウタの鼻をくすぐった。
「ごめん、もう我慢できなくって。ルナのその衣装のせいで、僕にも発情期が来たみたい」
「ユ、ユウタさん……っ♡」
そのまま鼻がくっつくほどの距離で見つめ合っているうちに、自然と唇が重なる。
チュッ、チュッと、啄むように、互いの気持ちを確かめるように。
抱きしめた状態でごろんッベッドの上を転がり、上下の位置をひっくり返す。
ユウタに押し倒される形となったルナ。その期待に潤む瞳は好きな人の影が落ちて一層輝いて見え、唾液で濡れた唇と上気した頬が幼さに似合わぬ色香に満ちた艶めかしさを醸し出している。
「ルナッ……!」
その淫靡さに辛抱溜まらず、ユウタは再び顔を近づけて花嫁の唇を貪る。
ルナもまた、ペッコルの乱入で中断してしまったあの時のことを思い出すように夢中でそれに応えた。
「ちゅっ♡ じゅ、る♡ ちゅむっ♡ ちぅ……♡」
そうしているうちに、もっとルナを味わいたいとユウタの左手が彼女の脇を撫でさすりながら身体の前面へと移り、バニードレスの胸元へ。
その隙間に指が忍び込み、覗き見えていた乳首に触れる。
「ゃんッ♡」
「あ、いきなりはダメだった?」
「い、いえ……その、予想以上に刺激が……私の身体、ユウタさんに触れてもらえてとっても悦んでるみたいです……♡」
そう答えたルナは自ら胸元の裾ならぬ三角地帯を掴み、ペロンッとめくって見せた。
膨らみかけのおっぱいと、興奮と期待で硬く勃起したピンク色の乳首。それらを証拠として、自身に覆い被さるユウタの前に晒す。
「……ユウタさん、お願いします。私を、この花嫁衣装ごと、奪い返してくださいっ♡」
潤んだ瞳で上目遣いを向けながら、艶然とした微笑みを浮かべて誘いかける。
「──ッ!!」
その誘いを受けた次の瞬間、ユウタは獣となった。
自身の目の前にさらけ出されたルナという少女の果実に吸いつき、しゃぶりつく。
「あぁっ♡」
生暖かい感触と歯の刺激に声を漏らすルナ。
まるで赤ん坊のように乳首をしゃぶるユウタを見て、彼をどうしようもなく愛おしく思ってしまう。気の遠くなるような年月を生きようと、男の子は女の子のおっぱいの魅力には勝てないのだ。
「ちゅ、あむっ、ぷはぁ……絶対、奪い返すよ。だって、ルナは僕のモノなんだから……!」
そうだ。奪うも何も、この子は最初から僕のモノなんだ。
絶対に誰にも渡さない! 渡してなるもんか!
ユウタは決意を新たにし、乳首から唇を離して左手で絞るように乳房を撫でながら乳首をねぶる。
そうしながらも、もう片方の右手を彼女の股間へと運び、レオタードの切れ込みを引っ張り上げた。
「ひゃうぅッ♡♡」
奇しくも、それはカグヤ星人にやられたことと同じ。ルナの滑らかな股間部がさらけ出され、一本スジに生地が食い込む。
しかし、彼女は歓喜の声を上げた。初めてキスしたあの時、『同じことをするよ』と言われて、彼女は既に了承済みなのである。
そのまま、ユウタはレオタードの股間部分を横にずらす。乳房から左手を離して自身の下衣を脱ぎ、抜き身の竿を露わにした。
(あぁ……あれが、ユウタさんのおちんぽ♡ なんてたくましいの♡)
バニードレス姿のルナを見た時から、緋色の衣の下でいきり立っていた彼の魔羅。
それは可愛い恋人を前に我慢汁という名の涎を垂れ流しており、既に愛液で濡れそぼっているルナのおまんこをさらに自身の体液でコーティングしていく。
「あ……っ♡」
我慢汁の軌跡を辿るように左手でちんぽを運び、そこへ鬼頭が宛がわれる。
グググッ……と確認もせずに狭い穴へと押し込んでいく。早く
もっとも、ルナも早く
「くッ」
経験がないからか、そこはペッコルのぷに穴よりもキツい。
しかし、ユウタは負けじと腰に力を入れ、幼い処女穴を自身の形へと押し広げる。
そして──
「ふッ、ん゛ぅぅ……♡♡」
僅かな痛みと共に、煮えたぎった剛直がズプンッとルナの膣を貫いた。
最初の引っかかりは100年以上守り続けていた弊害だったのか、一度通過した途端に肉壺は待ってましたとばかりにユウタのちんぽに吸いつき、奥へ奥へと飲み込んでいく。
「うう゛ぅ……ル、ルナぁ!!」
それに尻を叩かれるかのように、ユウタは花嫁の処女を奪った余韻に浸る間もなく腰を打ちつけ始める。
ぐぷっ! じゅぷっ! ぐぷっ! じゅぷっ!
「あっ♡ あっ♡ は、うっ♡ ユウタ、さぁんッッ♡♡ 私のおまんこ、ユウタさんので、いっぱいになってますぅ♡♡」
既に洪水状態の接合部は飛沫を散らし、デマオンからプレゼントされた花嫁衣装のバニードレスを濡らしていく。水気に満ちた肉打ち音を響かせながら。
同時に、奥を突かれる度に愛する人の熱という名の魔力が波となってルナの身体に打ち寄せ、未曽有の快楽を彼女にもたらす。
──気持ちいい! 気持ちいい! 気持ちいいッ!!
セックスがこんなにも快楽と幸福を生み出すものだったなんて。ペッコルが夢中になるのも納得だった。
好きな人と身体と心を同時に重ね、交わる行為。幸せの有頂天に至れるその行為は、発情期なんて関係なく耽ってしまってもなんらおかしくはないのだから。
「ユウタさん……好きぃ♡ 好きですぅ♡」
「僕も、好きだよ! ルナを、僕の花嫁にするからッ!!」
「はい♡ ユウタさんのお嫁さんになりまぁすっ♡♡」
じゅぷっ! じゅぷっ! ぱちゅっ! ぱちゅっ! ぱちゅっ!
肉体的には子供同士にも関わらず、その激しさにギシギシとベッドが軋む。
ユウタはより快楽を得るために揃えた脚をピンッと伸ばしたまま腰を打ちつけ続け、ルナもそんな彼を抱きしめながら自らも腰を浮かし、足でもって彼のピストンを支援する。
「あんっ♡ は、ぁっ♡ あ゛あぁ♡ ……ん、むっ♡ じゅるぅ……はん、むちゅ♡」
溢れ出る多幸感を味わいながら見つめ合い、再び唇を合わせ、舌を這わせ合う二人。
本当に一つに溶け合っているかのような気分だった。初めての夫婦の営みに、ルナはデマオンのことを完全に忘れて妻としての悦びに浸る。
そうしていると、ふいにルナの身体がほのかに青く輝き出した。
「う゛うぅぅッ!?」
途端に喘ぎ声を漏らすユウタ。
ルナは無意識のうちに周囲の魔素を集めて
エーテルが膣内のちんぽを扱くように渦を生み出し、外からも内からも快楽を与える。
並みの男ならあっという間に達してしまうほどの刺激。負けじとユウタは括約筋を締めて耐え、続けて自身を抱くルナの両脚を掴んで押し上げ、大きく開かせた。
「あっ♡」
必然的にルナの腰は浮き上がり、膣穴が天井を向く。ユウタのちんぽは真上から串刺しにするようにそこへ突き立っている。
そして、ゆっくりと腰を引いた後、思いっ切り、押し潰す勢いでルナの膣奥──子宮を穿った。
──パンッ!
「お゛ッッ♡♡」
いわゆる、種付けプレスという体勢。男性が女性を確実に孕ませるための中出し専用の体位。
それを本能で理解したルナは、彼が自身を孕ませようとしていることが分かった。
「ユ、ユウタ、さんっ♡ エスパルの私じゃ、子供は──」
「そんなの、関係ない! 僕はルナの夫だから! 夫として、絶対に僕との赤ちゃんをプレゼントしてあげるからね!!」
そう力強く宣言し、また腰を引く。想いを乗せて、再びルナの子宮をプレスした。
──じゅぱんッ!!
「お゛、ほお゛ぉぉッ♡♡」
女の子の大事な所を押し潰され、舌を突き出してあられもない声を上げるルナ。
ユウタのその勢いを受けて、考えてしまう。本当に赤ちゃんができるのはでないかと。生殖機能はないはずなのに、彼の魔力で喘いでいる子宮がそう訴えている気がしたのだ。
ぱちゅんっ! ぱちゅんっ! ばちゅんっ! ばちゅんっ!
「はひ、い゛ぃっ♡ わたひも、つ、妻としてぇ♡ ユウタひゃんの赤ちゃんっ♡ 絶対に、孕みま──ふっ♡ ん゛うぅぅッ♡」
快楽で呂律の回らない口で、彼の想いに応える。
子宮を穿たれる度に意識が白飛び、激しい絶頂に襲われながらも。
ぱちゅんっ! ぱちゅんっ! ばちゅッ! ばちゅッばちゅッばちゅッ!!
「ルナッ! 愛してるよ! たくさん、プレゼントするからね! 孕ませるからねッ!!」
「は、ひっ♡ はひ、ぃ゛ぃ♡♡ わたひも、愛して、ます♡♡ くだ、ひゃいっ♡ 子種っ♡ ユウタさんの、元気な子種っ♡ いっぱい、おねがいしま──」
──ど、ちゅんッ!!!
最後の一突き。
愛を交わし合いながら、全体重を乗せて膨大な魔力と共に愛する妻を串刺しにした。
どびゅるるるッ!! どびゅッ!! ぶびゅるるるぅぅ~~~ッ!!
「ふ、あ゛あぁあぁぁぁぁ~~~~ッッ!!♡♡♡ ッ゛♡♡ ッ゛ッ゛♡♡♡」
精子たっぷりの白濁液が、花婿以外の男の精液が、式直前の花嫁の子宮に注がれる。
想いの丈がそのまま表れているかのように、大量に。溢れんほどに。
ルナは喜悦に満ちた嬌声を上げ、オーガズムに意識を明滅させながらも妻としてその全てを受け止める。
愛する夫の素晴らしいプレゼント。一滴も残さない。溢れ出そうになモノも逃すわけにはいかない。青い光──エーテルを使って、それらをかき集めるように子宮へと導く。
びゅるる~~ッ!! びゅるるる~~ッ!! びゅるるる~~ッ!!
「おっ、おっ、おぉ……っ! ル、ナぁ……ッ!!」
夫が喘ぐ中、妻の魔力が内から精液を搾り取り、蓄える。
そうしているうちに、下腹部が白く明滅し、子宮の奥で何かが目覚めるような感覚を覚えた。彼女の頭は、何か確信めいたものを感じ取ったのだ。
どびゅりゅッ!! ぶびゅっ! ぶ、ぴゅ~~……
やがて、射精の勢いが収まっていく。
それでもなお、ルナはエーテルで竿を根本から扱き、尿道に残っている最後の一滴まで手を伸ばす。ぴゅっ! ぴゅっ! と残り汁を吐き出させた。
「ル、ナ……ぁ……」
出し終えたユウタは、そのままルナの柔らかいお餅肌の身体に力なく倒れ伏す。
「あぁっ♡ はぁ……はぁ……♡ 全部、受け止め、ましたぁ♡ ユウタさん……ユウタさん?」
乱れた息を整えながら、やり遂げた自分を褒めて欲しくて自身に覆い被さる夫に声をかける。
しかし、瞼を閉じた彼はスースーと静かに寝息を立ててしまっていた。
長旅で疲れていたのだろう。自分の身体で労うことができて、妻としての最初の仕事を務めることができて、ルナは幸福にも似た達成感に浸る。
「おやすみなさい……あなた♡」
そして、妻であるルナもまた、愛しい夫の身体を抱きしめながらゆっくりと瞼を閉じるのだった。
『はぁ、全く。二人ともお盛んなんだから』
『む~! ルナ姉ちゃんずる~い!!』
後編は明日投稿予定です。
現在プロットがほぼない状態で執筆している状況なため、どこかのタイミングでストックを貯めるための期間を設けるかもしれません。
〇ユウタ
彼が着ている緋色の衣の元ネタは、小説『魔界大冒険外伝 美夜子の魔法戦記』から。
作品内で登場するナルニアデスが着ている衣が緋色だったので。なお、そのナルニアデスは典型的な魔法使いのじいさんである。
でも、ひみつ道具を使うんだから、青色のドラえもんカラーにすれば良かったかもしれない。
〇オフクロー
わさドラ第378話「ドラえもんだってママがほしい」に登場したフクロウ型ロボットが元ネタ。かなり強引なおせっかい焼き。
ドラえもんは押し入れにたくさん貼った伊藤つばさのブロマイドを彼女に見られてしまう。
いつかドラえもんに、小学生とのエッチな遊びに夢中になってる推しのアイドルを見せつけて脳を破壊させたい。
〇ルナ
着物の他にバニースーツも着せたかったが、機会がなさそうなのでウェディングドレスをバニー風にした。
ちなみに、カグヤ星は持ち込まれた平和アンテナの影響でディアボロが自身の存在が平和を脅かすと判断して自壊。人間達も環境改善に勤しみ、星は徐々に平和を取り戻している。