学校で一番エッチなヤツのおねショタ歴程 作:ピーマン
──ドタドタドタ……
次にルナが目を覚ましたのは、そんな慌ただしい足音が耳に届いた時だった。
「ホホー! ルナさん~! そろそろ時間よ~~!!」
その耳に響く声を聞いた瞬間、ルナの朧げだった意識は一気に覚醒へと叩き起こされる。
弾かれるように起き上がろうとしたが、身体の上には未だ繋がったままの夫──ユウタが眠っていた。
「ど、どうしよう……っ」
このままではユウタが見つかってしまう。
ルナは名残惜しそうにしながらもちんぽを膣から引き抜き、ユウタの下から這い出る。そして、毛布を上にかけて彼を隠した。
そこで、オフクローがドアノブに手をかける音が聞こえたため、慌てて魔素を集めてエーテルによる念力でノブを抑える。
「? 開かないわねぇ、どうしちゃったのかしら? ルナさ~ん?」
ガチャガチャとノブを回しながらドアを叩く音が響く。
急いでベッドから降り、乱れたドレスを整えるルナ。レオタードの切れ込み部分のズレを直すと、おまんこに蓋がされて零れ落ちそうだった精液でじわりとシミができる。
幸い、真っ黒な生地なので目立ちはしてないし、気づかれることはないだろう。好きな人と愛し合ってその証をプレゼントされたと思うと、幸せの溜息が漏れる。
子宮に大量の精液が注いでもらったため、下腹部はぽこりと僅かに膨れている。ルナは愛おしそうにそれを撫でた。
「ルナさ~ん! 大丈夫ぅ?」
しかし、幸せな時間は既に終わってしまったのだ。
後ろ髪を引かれながらもドアへと駆け寄り、ノブに手をかけてガチャリとドアを開く。
「あら、ルナさん! 良かったわぁ、緊張で倒れちゃったのかと心配してたのよ」
「すみません。椅子に座って待っているうちに眠ってしまっていて……」
「いいのよ。それより、もう式が始まるから、急いでちょうだい!」
「は、はい」
再びドタドタと走り去るオフクローの後に続こうとするルナ。その前に部屋を振り返り、ユウタの寝ているベッドに視線を向けた。
(……ユウタさん、信じてますから)
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
『おい、料理はまだできないのか!? もう式が始まっちまうぞ!』
『無茶言うなよ! あれだけの数の参列者全員に振る舞うだけの数を用意するのに、この調理場だけじゃキャパオーバーなんだ!!』
城内の調理場では、悪魔達が慌ただしくあっちへこっちへと走り回っていた。
式場スタッフと調理スタッフが言い争う中、彼らより星の数が多い帽子を被った悪魔がそれを制止する。
『おい、落ち着け。とりあえず、即席のモノだけでも運んでおくんだ。何かないのか?』
『そ、そう言われましても……あっ! そういえば例の人間が持ってきた最高級の菓子とかいうのがあったか! デザートにと思っていたが、致し方ない。おいっ!』
『は、はい!』
料理長が部下に命令し、保管庫から栗まんじゅうを運んでこさせようとする。
が──
『わ、わああぁぁーーっ!!?』
保管庫の外開き扉を開けた瞬間、部下の悪魔が大きな悲鳴を上げた。
『ど、どうし──おわあああぁぁーーッ!!??』
そして、振り返った料理長までも。
悲鳴を上げて当然である。なぜなら、保管庫から大量の栗まんじゅうが雪崩込んできたからだ。
栗まんじゅうの群れは怒涛の勢いで悪魔達を飲み込んでいく。
『い、一体どうなって……ぎゃああぁぁーーッ!!』
一方、式場にて──
『──ええ……それでは、新婦の入場であります!』
城内の一部を削り取って造った、魔界の大地を一望できる開けた式場。
濁った夜空を赤い月が飾る中、点々と灯されている青白い炎が不気味で恐ろしい雰囲気を演出している。どうやら、これが悪魔達にとっての神聖さの表現らしい。
黒いタキシードを着たデマオン──元々真っ黒な身体をしているので、イマイチ違いが分からない──がゆっくりと振り返り、式場の入口に視線を向ける。
それに合わせて、参列者達も同じ方向へ注目。定員オーバーであぶれた悪魔達も空を飛んで新婦を一目見ようとその登場を心待ちにしている。
そして、暗がりから付添悪魔であるオフクローと共に、少女が姿を現した。
『おおぉ……!!』
その姿を見て、感嘆の声を零すデマオン。参列者達も同じように溜息を漏らす。
黒いベール越しからでも分かるその可愛らしさ。それでいて、人形のように美しい少女。
そんな彼女が身に纏う、暗闇に溶け込むような純黒のウェディングバニードレス。炎に照らされて青白い光沢を成すそれは、とても神秘的かつ幻想的に花嫁を飾っていた。
『うひょー、バニースーツ風じゃんっ』
『デマオン様、昔からウサミミが生えた悪魔が好きだったからなぁ』
花嫁を拍手で迎える中、そんなひそひそ声が参列者達の間で交わされる。
大魔王の妃の姿を彼らの目に焼きつかせるためか、オフクローはルナと共に血染め仕上げのレッドカーペットの上をゆっくりと歩き、時間をかけてデマオンが待つ壇上へと辿り着く。
デマオンは隣に立った自分の幼妻に鼻孔を膨らませ、興奮に息を荒げそうになる。
(ほ、本当に、ワシはこの少女と……ん? 何だこの匂いは……?)
少し前屈みになりかけたが、花嫁から漂う嗅ぎ慣れない匂いに怪訝な顔を浮かべる。
しかし、気のせいかとかぶりを振り、神父の方へと向き直った。
『……ゴホンッ。新郎、デマオン様。あなた様はここにいるルナ様を、病める時も、悲しき時も、貧しき時も、冷たい時も、卑劣な時も、倦怠期の時も、え~っと、それから──』
『ホー! 長いわ!』
『そうですか? じゃあ……彼女を妻として愛し、束縛することを悪魔の神に誓いますか?』
『ち、誓いますッ!!』
何やらグダグダな誓いの言葉に対し、デマオンは緊張に震えながらもはっきりと答えた。
『はい。え~っと、次は……新婦、ルナ様。あなた様はここにいるデマオン様を──すっ飛ばして、と。夫として愛し、敬い、絶対服従することを悪魔の神に誓いますか?』
『…………』
新郎に続いて新婦であるルナにも誓いを促されるが、せめてもの抵抗か彼女は唇を硬く閉じたまま一向に答えない。
しかし、デマオン達はそんな彼女の思惑など露知らずながら、全く予想外の反応を見せた。
『おお……悪魔の神に対し、無言で誓うとは』
『ホー! 肝が据わったお嬢さんね。さすが、デマちゃんが選んだ子だわ!』
と、勝手に愛を誓ったことにされてしまう。
全部自分達に都合の良いように解釈する悪魔達に、ルナは白目を向いて一層閉口してしまった。
『え~、それでは……誓いのまぐわいを!!』
「ええぇっ!?」
が、いきなり神父がとんでもないことを言い出したため、口を閉じていたルナは思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
参列者達も『来た来たー!』と盛り上がっている。どうやら、悪魔族の間では式中に参列者達の
前で致すのが習わしのようだ。つまり、これがオフクローに言っていた"初夜"なのだ。
『さあ、デマちゃん! 優しくしてあげるのよ! ……あら、どうしたの?』
『そ、その……まぐわい、だったか? やり方を予習しておくのを忘れていて、一体どうしたら良いのだ?』
『ホーっ! あれほど言ったのに、全くこの子ったら! こうなったら手取り足取り教えるしかないわね!』
オフクローは呆れながらも息子のためと気を取り直し、ルナのドレスに爪をかけて剥ぎ取り始める。
「な、何を──きゃああぁっ!」
『デマちゃん! あなたも下を脱ぎなさい!』
『え!? あ、ちょ、待──』
戸惑うデマオンもまた、オフクローの手によって下衣を脱がせられる。
ぶぉろろんッ! とデマオンのデカちんぽがとんでもない跳ね具合でまろび出た。
恐ろしいほどの熱をたぎらせた、先っぽが赤黒く染まっているその男根は、ドレスを剥かれたルナの姿を見てか既にフル勃起状態。
太さは新婦をすっぽり覆い隠すほど。そして、長さはオフクローの言う通り身長の二倍を誇っている。
「あ……ああ、ぁ……」
自身の身体に影を落とすデカちんぽ。
ドレスの切れ端で身体を隠すルナはそれを見上げて目を見開き、そのあまりのデカさに絶句してまともに声も出せない。
そんな彼女をオフクローに促されたデマオンがその手で鷲掴み、無理やり開かせたお股に自身のデカすぎるそれを宛がう。それが子作りという行為であることも知らずに。
『さあ、新郎新婦の初めての共同作業よ! おまんこ入刀ー!!』
『よ、よし! 行くぞ! 我が妻よ!』
ぐぐぐっと拳に力が入れられ、その圧力で悲鳴すら上げられないルナ。
どう見ても
(ユ、ユウタさん……ッ!!)
真の愛する夫に向けて、心の中で力なく手を伸ばす。
『『 わああああぁぁぁーーーッッ!! 』』
その時だった。城中に響くほどの大きな悲鳴が響き渡ったのだ。
それを聞いたデマオンは思わず力を抜き、顔を上げる。
『な、何事だ!?』
『デ、デマオン様! あれを!』
近くにいた悪魔が式場の吹き抜けの上を指差す。
デマオンがその方向を見やると、そこからとんでもない量の何かが膨れ上がっていた。そして、その一つが零れ落ちたのを切っ掛けに、一気に雪崩込んでくる。
『『う、うわああぁぁーーーッ!!??』』
『ホーーーーッ!!?』
あっという間にその何かに飲み込まれる参列者達と神父、オフクロー。
巨人のデマオンも例外ではなく、迫る何かに足を取られてひっくり返り、さらに雪崩込んできたそれらに埋まってしまう。
『ぐ、うぅぅッ! い、一体何なのだコレは!? う、うまい!?』
口に入り込んだそれを反射的に飲み込んでしまうが、そのうまさに思わず感動の声を上げた。
『デ、デマオン様! これは栗まんじゅうです! 確か、地球から来た人間が持ち込んだご祝儀だとか……!』
『何ぃ!? 平和的にとは言ったが、人間の侵入を許した覚えはないぞ! 門番は何を「ハーーハッハッハッ!」──ッ! だ、誰だ!?』
突如、横から割って入ってきた愉快そうな笑い声。
栗まんじゅうに埋もれてその声の正体が分からないデマオンは、魔力を使って頭上の栗まんじゅうを吹き飛ばし、立ち上がった。
肩から下が栗まんじゅうに埋もれた状態で周囲を見回す。
すると、まんじゅうが流れ込んできた吹き抜けの上に小さな人影が立っているのを見つけた。
「ルナと結婚するのは、デマオン! お前じゃない! この僕、ユウ──いや、ナルニアデスだぁ!!」
緋色の衣をたなびかせながらそう高らかに宣言したのは、見た目はルナと同年代の年端も行かない少年。が、身に秘めた魔力が見た目通りの年齢でないことを嫌でも分からせてくれた。
そして、その腕にはついさっきまで参列者達の前で新郎と初夜を迎えようとしていた新婦が横抱きにされていた。デマオンは自身の手から妻の姿が消えていることにようやく気づく。
「ユウタさんっ!」
頬を赤らめ、感極まったように少年の首に抱きつくほぼ全裸のルナ。少年は「ニヘヘ……」とだらしなく口端を歪めている。
『わ、我が妻よ! なぜ!? ……そ、そうか! 魅了術をかけたのだな!? おのれェ、許さ──うおおぉぉッ!!?』
すぐさま愛する妻を取り返すべく飛び上がろうとしたデマオンだったが、またしても栗まんじゅうに飲み込まれてしまう。
先ほどよりも明らかに量が増えている。この栗まんじゅう、増殖しているのだ!
「ご祝儀で出したルナの栗まんじゅうに『バイバイン』をかけたんだ。5分ごとに量が倍になるんだよ。ギリギリになっちゃってごめんね」
「いいえ、さすがユウタさんです! ……んっ♡」
迎えに来てくれた真の夫と、キスを交わす。
その時、ユウタのポケットから丸い形をした小さな物体が飛び出て来た。内部が透けて見えるコックピットハッチ越しに見えるのはルナの弟であるルカと、それにペッコルの姿。
「ルカ! ペッコルも!」
『ルナ、無事で良かった!』
『ユウタ兄ちゃん、やったね!』
「うん。いやぁ、こんなに上手くいくとは」
ルカとペッコルは『スモールライト』という小さくなれる道具を使って、これまでずっと宇宙ポッドごとユウタのポケットの中に潜んでいたのだ。
理由はもちろん、二人共ルナ救出作戦についてくると言って聞かなかったから。ペッコルは事あるごとにポケットの中から夕太のちんぽを弄っていてその度にルカに叱られていたが。
「じゃ、じゃあ二人共、私とユウタさんがしてるのを……」
『うん。バッチリ見せつけられたよ。さすがに敵陣でおっぱじめるのはどうかと思ったけど……まあ、二人が幸せそうだったからね』
「ああぁ……」
頭から湯気を出し、真っ赤にした顔を両手で隠すルナ。
『ペッコルもしたくてしょうがなかったのに、ルカ兄ちゃんちっともおちんぽ貸してくれないんだもん!』
『ボクはママ一筋だから』
『ふ~んだ! ユウタ兄ちゃん、次はペッコルだからね! 次はもっときもち~くして、ルナ姉ちゃんより夢中にさせたげるから!』
「ニヘヘ。と、とりあえず、元の大きさに戻すね」
そう返しながら、ポケットからスモールライトの逆の効果を持つ『ビッグライト』を取り出す。
その横で、ルナは(やっぱり抜け駆けしたのね……!)と両手の指の隙間からペッコルを睨んだが、彼女は口笛を吹いてどこ吹く風である。
ビッグライトの光が当てられて、ルカとペッコルが乗るポッドが元のサイズに戻っていく。それと同時に、ハッチが開いて空気が噴き出した。
「ふぅ……さあ、二人共早く乗って」
「うん。ルナ、お先にどうぞ」
「は、はいっ」
栗まんじゅうの津波による悪魔達の阿鼻叫喚を尻目に、ルナはユウタの腕からポッドに乗り移る。
「ルナ、こっちのスペースに入って。と……元々一人用のポッドだから、さすがに狭いなぁ。ペッコル、もっと詰めて」
「は~い、ユウタ兄ちゃん! こっち、ペッコルとくっついて乗ろ~!」
「ダメよ! さあ、ユウタさん、私の方へどうぞ!」
ルナとペッコルが争うようにユウタの手をぐいぐい引っ張る。
二人共ポッドから身を乗り出しているので中心の操縦席に乗るルカは挟まれて苦しそうだ。
「ペッコルの方が小さくてスペース空いてるもん!」
「いいえ! ユウタさんは私の夫なんですから、妻である私といるべきなんです!」
「ちょ、ふ、二人共~!」
「あはは……」
ユウタはそんな愉快な光景に笑い声を零した。
これからルナを初めとしたエスパルのみんなと家族となり、共に過ごすのだ。賑やかな生活を思い浮かべ、期待に胸を膨らませる。
『 ──うおおおぉぉぉーーーーッ!!! 』
しかし、その朗らかな空気は突如轟いた咆哮によって引き裂かれてしまう。
「わ、わ、なあに!?」
「ユ、ユウタさん! あれ!」
ルナが指差した方向に視線を向ける。もはや栗まんじゅうは城を埋め尽くして魔界の大地まで侵食し始めていた。
その栗まんじゅうの山を吹き飛ばし、宙に浮かび上がる黒い巨体が。
「デ、デマオン!?」
魔界全土を照らすほどの赤い魔力光を放つ彼は、まさに大魔王に相応しい姿だった。
『許さん……許さんぞ、ナルニアデス……ッ!!』
デマオンは両手を天に掲げ、魔力を練り始める。
それはボール状となり、怒りをエネルギーにして鼓動するように膨れ上がっていく。尋常でない量の魔力が集まり、溢れる。
奇しくも、それは1000年先の未来で起こる光景と全く同じだった。
あれが放たれれば、魔界星ごと木っ端微塵になるだろう。怒りで形振り構わなくなった彼は、そこに愛するルナがいることも忘れてしまっているようだ。
「ま、まずい! 早く脱出しないと! ユウタ、早く乗って!」
「…………」
焦るルカが手を差し出す。ポッドにはユウタのあべこべクリームが塗られているので、魔界星を覆う黒い炎もすり抜けることができる。
しかし、それに対してユウタは無言で首を横に振った。そのままポッドから離れようとする彼を見て、ルナは慌てて弟の頭とウサミミを押し退けて叫ぶ。
「ユウタさん!? 何してるんですか!」
「……このまま脱出しても、多分間に合わない。僕が残って何とかするから、ルナ達は先に行って!」
「そんな……! いやです!! ユウタさんが残るなら、私も──」
「ルカッ!!」
ポッドを降りようとするルナを見てか、ユウタはルカに声を投げかけた。
「……ッ!」
意図を察したルカはその端正な顔を歪めながらも、断腸の思いでハッチを閉める。
『ルカ!? 何してるの! ハッチを開けてッ! このままだとユウタさんが……!』
『ルカ兄ちゃん!』
『…………』
ルナとペッコルの悲痛な声を無視してポッドを操作し、上昇。
ユウタと、栗まんじゅうが増えていく魔界の大地。そして、さらに大きくなった魔力玉を掲げる大魔王の姿が徐々に小さくなっていく。
『いやぁ! ルカ! 戻って! ユウタさーん!!』
ポッドの中からルナは必死に手を伸ばすが、その声はもはや届かない。
『ワハハハハッ! 悪足掻きなど無駄だぞ、ナルニアデス! ワシは不死身だ。何をしても、もう止められんぞ!!』
デマオンは何やらゴソゴソとしているユウタを見下ろし、無駄な努力になるであろう彼の姿を嘲笑う。空に浮かぶ赤い月を破壊しない限り、自身を倒すことはできないのだから。
『さあ、消えて失くなれェェーーーッ!!!』
溜まりに溜まった空を覆うほどに大きくなった魔力玉。両腕を振り下ろして離れたそれは、一直線にユウタがいる魔王城へと降下していく。
しかし、彼は迫る死を前にしても我関せずにポケットを漁り続けていた。
「『ミニ・ブラックホール』……あった。後は、う~ん……『ロボット掃除機』だとちょっと不安だなぁ。あっ、『ないしょごみだしホール』なら……よしっ!」
ないしょごみだしホールは人類が存在しない時代にゴミを捨てるための道具。
それを地面に設置して蓋を開いたユウタは、その中に飲み込めば何でも吸い込むようになるミニ・ブラックホールを容器から全て放り込む。
「最後に……ビッグライトーッ!!」
そして、間髪入れず既に取り出していたビッグライトの光でミニ・ブラックホールをありったけ入れたないしょごみすてホールを照らす。
するとごみすてホールは中のたくさんのブラックホールごとあっという間に巨大化し、急激な勢いで周囲のありとあらゆるモノを吸い込み始めた。
『──うわああああぁぁーーーッッ!!』
そのとんでもない勢いによって、魔力玉をあっという間に吸引。さらには、無数に増殖した栗まんじゅうとそれらに埋もれた悪魔達までも悲鳴と共に飲み込まれていく。
『お、おおおおぉぉぉーーーッッ!!?』
そして宙にいたデマオンも吸い込まれる。
慌ててホールの縁を掴んで必死に足掻くが、いかに大魔王と言えど大量の巨大ブラックホールには叶わない。
『く、くそおおぉ……! ナルニアデスゥゥゥーーッ!!』
抵抗虚しく、限界を迎えて縁から手が離れ、彼は恨みの慟哭と共にホールの中へと消えていった。
「うぅぅ……ッ」
一方、ホールを設置した当人であるユウタ。
彼は吸い込まれることが分かっていたので、あらかじめ手頃な岩柱にしがみついて何とか耐えていた。だが、もう限界が近い。
『──ユウタさん!』
「ル、ルナ……?」
ユウタの頭の中に声が響く。
ルナだ。ルナがエーテルを使ったテレパシーで声を届けているのだ。
「良かった……無事に魔界星から出れたんだね」
『良くありません! 早く脱出してください! 何か、何か道具があるんでしょう!? そうですよね!?』
縋るような声で必死に声をかけるルナだったが、それを聞くユウタの顔は力なく笑みを浮かべるだけだった。
魔界星の大気圏外。赤い月よりも離れた宙域。
ポッドの中で、ルナは懸命にエーテルを行使してユウタとの繋がりを維持し続ける。
『ごめん……もうしがみついてるのが精一杯で、道具を探す余裕なんてないんだ』
「そんな……ルカ、戻って! ユウタさんを助けなきゃ! お願い!!」
「ルカ兄ちゃん!」
ルナはテレパシー越しのユウタの声を聞いて、ペッコルと共に操縦席のルカにそう懇願する。
しかし、ルカは首を横に振った。これ以上近づくと、自分達まで吸い込まれてしまいかねないからだ。
「……ッ! ユウタさん! 頑張って! お願いだから頑張って! エッチなことでも何でもしますから、頑張っ──」
『…………ルナ』
ふいに呼びかけられ、思わず言葉を途切れさせるルナ。
この状況下にも関わらず、その声がとても穏やかで、優しかったからだ。
『僕達、きっとまた会えるよ。だから、またね』
その瞬間、魔界星に大きなヒビが入った。
ヒビは瞬く間に広がり、星が砕ける。そして、赤い月を巻き込んで混ざり合うように内側へと吸い込まれていく。
「あ、ああぁ……」
魔界星は丸ごとホールに吸い込まれた。
そして、最後に残ったそのホールも、ボンッ! という爆発音と共に跡形もなく宇宙の塵となってしまう。
「…………ユウタ、さん。ユウタさああぁぁーーんッッ!!」
こうして、ユウタと魔界星の悪魔達は世界から姿を消した。
無茶な使い方をしたないしょごみだしホールは時空が歪んで狭間へと繋がっており、魔界星ごと吸い込まれたデマオンは時の流れから外れた空間に閉じ込められる。
その中でユウタは一人、ねじれゾーンに迷い込んで1000年後の世界に流れ着く。
残されたルナは、魔界での出来事を巻物に書いて地球に残した。ユウタのおかげでこの地球があることを教えたかったから。そして、これを読めば、いつか誰かがどこかにいる彼を見つけてくれるかもしれないから。
その際、地球人に嫌気が差して地球を離れたユウタのことを慮って、彼の名前は本名ではなく、自分達が贈った名前で書き記した。
ナルニアデス。
カグヤ星の言葉で"救い主"を意味する名前。
しかし、その名前にはもう一つ、別の意味が存在する。
ルナの妊娠が発覚してからというもの、エスパル達はこぞってその意味で彼のことを想い続けた。
──"種まく者"、と。
次回で魔界大冒険は終わりとなります。
〇種まく者
元ネタは『ねじ巻き都市冒険記』から。
ユウタは宇宙を旅して子種をまいて回っていたので実に相応しい称号。
〇ルナ
出来上がった魔界歴程を地球へ持ち込んで広めようとしたが、大勢のロリコンから求婚され、果ては帝にまで迫られそうになったので、ユウタと同じく地球に失望して月へ帰った。
この時の出来事がのちに竹取物語として語り継がれることになる。