地頭恭輔は武田観月の足下を指差した。
そこには先程失禁した彼女の小便が小さな水溜まりになっている。
「お前が垂れた小便を舐めて綺麗にしろ。地面と汚物を舐めてまで懇願するその様子を撮影してやろう。そこまでするなら、考え直してやらんでもない」
「っ……!」
「さあどうする? また機を逃すなら流石にもう次は無いぞ。ま、俺はそれでも全然構わんがな」
「わかり……ました……」
観月は這い蹲ると、恐る恐る顔を小便溜まりに近付ける。
尿臭が鼻を突き、自分の強いられている行為の意味が脳に焼き付く様だ。
(嫌だ……こんなの……。でも、やらなきゃ……)
悪臭の元に震えながら舌を伸ばす。
この舌先が尿に触れた瞬間、彼女の自負心は地の底まで落ちる。
しかしそれが解っていながら、最早彼女にはそれしか道が残されていなかった。
彼女の舌に生暖かい感覚と、嘔吐く様な尿臭を伴う嫌な味と、ざらついた床の感触が這う。
「まるで犬だな。いや、犬でも自分の小便は舐めん」
「所詮、自分が助かる為ならばなんでもやるということだな」
「憐れだね。流石は狗の民族、と言ったところか」
三人の叛逆者の蔑みが頭上に容赦無く降り注ぐ。
確かに、今の観月の姿は宛ら水を啜る犬のそれだった。
この瞬間、彼女は人としての尊厳を自ら捨ててしまったのだ。
(なんて惨めな……どうして私がこんな目に……)
それは自ら失禁した小便である。
即ち、敵に屈してしまった何よりの証を、自らの舌で味わっているのだ。
此程の屈辱は然う然う無いだろう。
しかし、これでも尚彼らの要求は満たしていない。
「おい、舐めるだけで良かったんだったか?」
「うぅ……」
そう、地頭が彼女に要求したのは、この行為と共に許しを乞うことだった。
その様子は撮影され、彼女の屈辱の記録が彼らの手の中に残るのだ。
「どうか……許してください……。なんでも言うことを聞きますから……。知っていることは全部……何もかも吐きますから……」
「ははは、そうだな。本当に何でも言うことを聞くんだよな。現に今、小便を舐めろと言われて舐めているもんな。普通は出来ん、そんなこと」
観月の目に涙が滲む。
順風満帆だった筈なのに、選良として勝ち抜き、人の上に立つ筈だったのに、今の自分はどんな人間よりも底辺で這い蹲っている。
彼女の心はズタズタのボロボロだった。
だがそれでも、彼女はなんとか全ての小便を始末して見せた。
「綺麗に……なりました……。どうか……どうかこれで……許してください……」
「んん、そうだなあ……」
額を床に擦り付けて許しを乞う観月だったが、地頭は妙に勿体振る。
「やっぱり駄目だな」
「え?」
「だって、そんな姿を見せられたら興奮してしまうだろう。こりゃ、お前を犯してやらなきゃ収まらんよ」
「そんな!」
絶望する観月の体を、地頭は力尽くで引っ繰り返した。
これまでに無い程に激しく勃起した地頭の男根が観月の視界に入る。
彼女はとうとう、堰を切った様に泣き叫び出した。
「やめてください! やめてください!! なんでもしますから! なんでもしますから!! 本当に許してください! お願いですから!! 嫌! 嫌!! 嫌ああああああッッ!!」
「何を言っているか解らんなァ! 便器の言語は知らんからなァ!」
地頭のそそり立った男根が容赦無く観月の膣に捻じ込まれた。
惨めな懇願の甲斐も無く、再び凌辱が始まったのだ。
「ああああああッッ! ああああああああッッ!!」
「オラッ! オラァ!!」
「ゴボォッ!! うごォッ!!」
地頭は観月を犯しながら、腹を激しく殴り続ける。
猟奇的なその様に、金剛悟と火野初音は例によって目を覆っていた。
「うぎィッ!! ゲヒィッ!!」
「五月蠅えよ、品の無い喘ぎ声上げやがって。黙らせてやる!」
地頭の両手が観月の首に掛かった。
またしても首を絞められながら犯される羽目になった観月は、生命の危機の中で再びあの感覚に襲われる。
(駄目だ! やっぱり……感じてしまう! 犯されているときに首を絞められると……気持ち良くなってしまう……! どうして、どうして!?)
どういうわけか、観月の意識は妙に鮮明だった。
確かに曖昧にはなっているが、臨死に味わわされている危険な快感だけは、奇妙な程にはっきりと脳に何度も瞬くのだ。
「首を絞めると随分具合が良くなるなァ! 殆どの女がそうだったが、お前は格別だ。お前ひょっとして、癖になっちまったんじゃねえか? 本当はこうして欲しかったんだろ? そういえば、昨日と比べてすんなり入ったしなァ? 実は最初から期待していただろう」
そうなのか、そうだったのか――苦しみの中で観月は、地頭の言葉を腹に落としてしまっていた。
本音では、昨日のあの快感を求めていたのか。
痛くて苦しくて、惨めで辛くて仕方が無いのに、実はそれを期待して求めてしまっていたのか。
今でも、昨日絶頂に導いてくれた最後のアレを欲しがっているのか。
「オラッ、中に出すぞ!」
ああ、来た。
あの悍ましい粘性の精液が子宮に注がれた瞬間、私は再び絶頂する。
心底から男に屈服した証が腹の奥底に染み渡るあの感覚が、私を暗い夜の天元へと導くのだ――彼女は確信した。
そして、彼女の中で地頭の男根が脈打ち、精液が排出される。
(い、イグウウウウウウッッ!!)
中出しの瞬間、観月は激しくのた打ちながら絶頂を迎えた。
最早言い逃れは出来ない。
観月はこの時、男に力尽くで乱暴に犯され、中に出されることで感じる雌になってしまったのだ。
恐怖と苦痛、屈辱と屈服の暗い悦びが、彼女の全身を蚯蚓が這い回る様に撫で回していた。
「ふぅ……。扨て、今回はこれで終わりじゃないぞ。気絶しても、こいつがあるからな」
地頭は観月の乳首に繋がれた回路の電源を手に持った。
しかしその時、脇に居た金剛の電話が鳴った。
火野の表情にも緊張が走る。
電話を終えると、金剛と火野は無言で頷き合った。
「行って来る」
「ああ、頼んだよ」
倉庫を出て行く金剛を見送った火野が地頭へと近付いてきた。
「地頭、お楽しみのところ悪いが、今回はここまでだ」
「何? どういうことだ?」
「敵襲だよ。軍の奴ら、為動機神体と歩兵で、結構な規模の部隊を送り込んで来やがった。私とお前の力も要る」
水を差された地頭だったが、溜息を吐いて渋々脱ぎ捨てた服を拾う。
「解ったよ。行くぞ」
その後、観月は自分と首席を争った二人の同期によって救出された。
しかし、一連の出来事は観月を完全に出世街道から落伍させたばかりでなく、彼女に深刻な影響を残した。