早芙子は獅乃神叡智に対し、無謀にも挑みかかっては一人で苦痛に喚き散らすという醜態を晒し続けなければならなかった。
そして強力な神為は、彼女の壊れた身体を綺麗に修復してしまう。
擦り減る一流剣士としての誇りが、革命戦士としての意地が彼女に「攻撃」と「自滅」を強い続けた。
「ぐああああっ!! あがああああああ!! うぎゃあああああ!! ひぎゃああああああぁぁっっ!!」
次第にみっともない喚き声に変わっていく彼女の悲鳴。
その試みは約束された敗北の時をただ先延ばしにしているに過ぎない愚行である。
そして彼女は、遂に決壊した。
「ああああもう無理いいいいイイイイッッッ!! 無理無理無理いいいいイイイイッッ!! こんなの勝てっこないよおお痛いのもう嫌だよおおおおお!!」
恥も外聞も無く幼児退行までして無様に喚き散らす降伏宣言である。
その結末は初めから決まっていたものだ。
そして何より悲惨なことに、獅乃神叡智は戦闘しているという自覚が全く無かった。
あくまで「説得しているだけ」なのだ。
「困った奴だな……」
故に、この感想である。
「なあ、そろそろ解ってくれよ。俺は別に汝の主張を否定しているわけではないのだ。唯やり方に問題があると言っている。それさえ認めてくれれば済む話ではないか。この際だ、汝の身は俺が預かろう。そうすれば叛逆者としての咎も赦免されよう」
弱り切った早芙子の心にその言葉は金平糖のように甘く響いた。
嗚呼、縋り付いてしまいたい。
その大いなる存在に身を委ねてしまいたい。
嘗て想ったように……。
しかし、一つだけ気がかりが残されている。
「でも夫が……。夫はどうなったのですか……?」
「夫……? 黄柳野……若しや黄柳野文也か。あの男なら姉上が預かっているぞ。今頃姉上の大いなる愛で身も心も清められているだろう。しかし、あの男との間に婚姻届が出せるとは思えんが……」
「それは……」
早芙子は思い止まった。
獅乃神の指摘通り、文也との関係はあくまでも事実婚であり、正式な婚姻関係を結んでいる訳ではなかった。
「まあ、それでも相手の身を案じる気持ちは解らんでもない。つい今し方、姉上から黄柳野文也免罪の証として目合いの映像を映像が送られてきたところだ。余り勧められはせんのだが、これを見れば安心してもらえるか?」
獅乃神は小卓から落ちたリモコンを拾い上げると、壁に掛けられた液晶大画面に向けた。
そこには女装して麒乃神聖花に抱かれる文也の姿が映し出された。
『んほおおおおおっっ! またイクっ!! 敗北絶頂気持ち良過ぎるっっ!! 雌になって叛逆雑魚精子全部無駄撃ちするぅぅっっ!! オッホオオオオオオッッ!!』
『見事なまでの堕ちっぷりですねえっ! 残した同志に何と言い訳するのですかっ?』
『おおお雑魚でごめんなさい! 変態でごめんなさい! でも全部この為だったんです! 狼ノ牙も地上ノ蠍座も、早芙子さんも全部この為に誑し込んだんです! こんな雌豚の口車に乗って、あいつら全員莫迦丸出しです! 早芙子さんの膣穴より御姉様の逸物様の方が何億倍も良い! 大女のガバ穴に小男の短小棒は具合が悪かったんです! 雑魚雌穴に強強逸物様突っ込まれる方が良いに決まってます! ああああもっと犯してえええエエッッ!!』
文也はだらしのない顔、端たない声、そしてあられも無い姿を晒していた。
(ああ、そうか)
早芙子は得心した。
(私には最初から彼に挑む理由など無かった。こんなにボロボロになってまで一人で突っ走って……莫迦みたいだ)
早芙子の目に涙が浮かぶ。
自分はあんな男が弄した言葉を信じ、青春を、人生を棒に振ってしまったのか。
もう叛逆を続けることは出来ない。
心が完全に折れてしまった。
「水徒端……」
獅乃神の憐れみが降り注ぐ。
早芙子は這い蹲って許しを乞うしか無かった。
「獅乃神殿下……。どうか、どうか度重なる数多くの御無礼をお許しくださいませ……。今私は、貴方様の完全無欠な正しさを心から理解いたしました……」
そんな早芙子に獅乃神は微笑んで手を差し伸べた。
彼女は震えながら、縋り付く様に手を取る。
大きな手の温もりに優しく包み込まれる様だった。
「大丈夫、案ずることは無い。これから汝は生まれ変わり、俺の為に尽くし生きるのだ。大逆の罪に問われぬ為の新たな人生と相応しき名をくれてやるぞ」
「ありがとうございます……ありがとうございます……。私は……私はあの頃、本当は貴方様に憧れていました。でも、想いを伝えるには余りにも遠過ぎて……」
「そうか……。辛い想いをしたのだな」
獅乃神は早芙子の手を引き、肩を抱えて共に立ち上がった。
「ならば抱いてやろう。今、此処で」
早芙子は獅乃神に身を委ねる他無かった。
どの道、最早このまま水徒端早芙子として生きていくことは出来ない。
文也に裏切られた今、道を踏み外したまま死罪に処されるのは耐え難かった。
彼女は獅乃神の好意に甘える道を選んだのだ。
水徒端早芙子は今、獅乃神叡智の意のままに生きる下僕として生まれ変わる。
この目合いは、謂わば儀式。
彼女は黙って脱ぎ、畳まれた衣服の横に正座して素肌を月明かりに曝した。
その身体は――嘗ては己の中にある武への克己心を満たす為に、今は皇國の体制を打倒する為に女の身で鍛えられたその身体は今、目の前の絶対的存在を前に一糸纏わぬ姿を晒して震えていた。
そんな彼女の心情をおそらく露知らず、獅乃神もまた全裸となって両腕を拡げる。
「どうした? まさか処女ではあるまいに。苦しうない、近う寄れ」
「はい……。ですが……」
早芙子をたじろがせているのは、獅乃神の股間に聳え立つ、文也とは比べ物にならないとんでもない逸物だった。
文也ばかりではなく、誰の男根と比較したとしても見たことも無いその巨しさには身震いを禁じ得ない。
(こんなものが、こんなものがこれから中に入るのか)
その想像には恐怖が付き纏っていた。
一方でその立ち振る舞いを見るに、獅乃神叡智は慣れてはいるのだろう。
あくまでも穏やかに優しく微笑むその有様は、態々女に苦痛を味わわせ凌辱する趣味があるようにも見えない。
だがもうこの大きさだけで、彼に抱かれるには相当な苦痛を覚悟しなければならない。
嘗ては憧れた、身を預ける頼もしさの塊のような体は、今や暴力性の化身の様に思えた。
恐る恐る、早芙子は獅乃神の前に跪く。
「まずは口で……口でご奉仕させて頂きます……」
それは覚悟を決められるまでの、自分の恐怖が鎮まるまでの、謂わば時間稼ぎ、苦悶の先送りだった。
だが、彼女は後悔することになる。
「良かろう。精一杯努めよ」
獅乃神から許可が下りた事で、早芙子はその巨大な雄の象徴に舌を這わせる。
鈴口から溢れる汁は強烈な獣臭を彼女の鼻の奥に突き刺してくる。
それは彼女の脳を強烈に揺さぶり、前戯にも満たないこれだけの行為で彼女に性的な屈服感を与えていた。
「上手いぞ、その調子だ。俺の子種は濃くて多いからな、先ずは存分に味わうが良いぞ。一発や二発で尽きはせんから遠慮は要らんぞ」
獅乃神の言葉に、早芙子は背筋が凍り付くのを感じた。
この途轍もない巨根からは、いったいどれほどの精が放たれるのだろう。
やはり覚悟を決める為にも、口での奉仕で一度射精量の目安を計っておいた方が良い。
それに、一発目を出してしまえば少しでも量は収まるだろう。――早芙子はそんな風に考え、彼の巨根を咥え込もうとした。
しかしその瞬間、彼女は命の危険を感じた。
彼女のしようとする行為を察した獅乃神が乗り気になってしまったのだ。
「そうか、欲しくなったか。ならば先にその喉にくれてやるとしよう」
獅乃神は早芙子の都合などお構いなしにその逸物を一気に捻じ込んできた。
「むぐぅっ!!」
顎が外れる感覚と共に、強烈な異物感が彼女の喉を満たす。
完全に気道が塞がれ、息が出来ない。
顎の痛みと、窒息の苦しみ。
それはまさしく、口から喉を凌辱される「苦痛」であった。
出し入れが繰り返される時間、早芙子は終わらない悪夢の中にいるような感覚に襲われていた。
獅乃神は早芙子の地獄の様な苦痛に気付いていないのか、平然と自分の恣に、快楽の趣に一切の躊躇い無く、出し入れを続けている。
「んむううううっっ!! ゴヴォロぅううぅぅっっっ!!」
おそらく、これでも獅乃神は優しくしているつもりなのだ。
でなければ、早芙子はとっくに喉を刺し貫かれて見るも無残な姿となり、死んでいる。
そればかりか、獅乃神の仕草にはかなりの慣れすら感じられる。
つまり、早芙子以外の女に対してもこのようにしているのだ。
そして、それに対し抗議も苦痛を訴える声も上がらなかった。
彼の立場を考えれば、それも当然の事である、
つまり、これが最低限の慈愛に満ちた扱い。
これ以上の優しさは期待できない。
(苦しい、苦しい、苦しい!! 苦ぢいいいいいッッ!!)
一般的な女性よりも体が大きく、そして鍛えられた早芙子ですら、耐え難い苦痛を伴うイラマチオである。
果たして、今まで死人は出さなかったのだろうか。
どうして、彼は相手の女性が顔を歪めていることに疑問を持たないのか。
「鍛えられた神為を持つ汝ならば、もう少し頑張れるな?」
獅乃神が言い放った言葉は、早芙子を絶望のどん底に叩き落した。
普段の、他の女が相手ならばおそらくこの辺りが限界なのだ。
故に、いつもどおりであれば既に彼女を一旦解放しているのだろう。
だが、早芙子の肉体は鍛え上げ、練り上げられている。
それを獅乃神は信頼してしまっている。
結果却って、早芙子にとっては辛い仕打ちへと導かれてしまったのだ。
「むぐううううウウウッッ!!」
早芙子は顔を歪め、じたばたと下半身を暴れさせながら獅乃神に解放を訴える。
そこには美貌の女剣士などではない、只管に見苦しく暴れ回る憐れな牝の姿があった。
獅乃神は少し驚いたように瞠目すると、早芙子の口から自身の逸物を引き抜いた。