※この作品はR-18です。

日本と皇國の幻争正統記・好色秘伝   作:坐久靈二

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二

 文(ふみ)也(や)と早(そ)芙(う)子(こ)は寝台(ベツド)に坐(すわ)り、唇を重ねる。

 指と指、身体と身体、舌と舌を絡ませ合うその行為(ため)は、互いの愛を感じ合い確かめ合い味わい合う行為に似ていた。

 取分け文(ふみ)也(や)は、貪(むさぼ)る様に舌を動かす。

 

(早(そ)芙(う)子(こ)さん、早(そ)芙(う)子(こ)さん……!)

 

 早(そ)芙(う)子(こ)もまた、それに応える様に舌を這(は)わせる。

 

『ん……!』

 

 二人の甘い声が漏れ、部屋に充満していく。

 

『ふぅ……。文(ふみ)也(や)、がっつき過ぎだ。そんなにしたいのか?』

『ご、ごめん早(そ)芙(う)子(こ)さん。嫌だった?』

『まさか。あまりに求めてくるので戸惑ったけれど、嬉(うれ)しいよ』

 

 早(そ)芙(う)子(こ)の視線が文(ふみ)也(や)の股間に向かう。

 

『その……文(ふみ)也(や)、入れる前にして欲しいこととか……無いのか?』

『え……?』

 

 早(そ)芙(う)子(こ)は恥じらいながらも何かを文(ふみ)也(や)から引き出そうとしていた。

 文(ふみ)也(や)もまた、積極的な早(そ)芙(う)子(こ)に戸惑いを覚える。

 

『いや、な。今日に備えて……その……読んだんだ。そういう……小説とかを……。そうしたら、なんだか前戯というものが色々……あるらしいじゃないか……』

『前戯……』

 

 文(ふみ)也(や)はなんとなく腑(ふ)に落ちた気がした。

 シャワーの際、早(そ)芙(う)子(こ)が一緒に入りたいと言い出したり身体を洗ってくれたり、妙に積極的だったのは、官能小説で得た知識だったらしい。

 

『早(そ)芙(う)子(こ)さん……してくれるのかい……?』

『勿(もち)論(ろん)、文(ふみ)也(や)が嫌じゃなければ……だが……。あ、それとも文(ふみ)也(や)がしたいのか?』

『……まあ、両方かな……』

 

 文(ふみ)也(や)は正直に応えた。

 折(せつ)角(かく)の初体験だ、したいこともして欲しいこともあるに決まっている。

 だが、却(なか)々(なか)自分からは言(い)い辛(づら)い。

 

(寧(むし)ろ、僕(ぼく)の方が気にしていたくらいだ。嫌がられるのが怖い。でも、してくれるのなら、させてくれるのなら……)

 

 文(ふみ)也(や)は意を決して伝える。

 

『尺八を……お願い出来るかな?』

『尺八……しゃぶれば良いのか? 文(ふみ)也(や)のを……』

『ああ、あの、それと……』

『なんだ、まだあるのか?』

『僕(ぼく)も早(そ)芙(う)子(こ)さんを……舐(な)めたい……』

『では二つ巴だな』

 

 二つ巴とは、所謂(いわゆる)シックスナインのことである。

 文(ふみ)也(や)は早(そ)芙(う)子(こ)の知識に驚きを隠せなかった。

 

『随分……詳しくなったんだね』

『ちょっといやらしいかな?』

『いや、そんな早(そ)芙(う)子(こ)さんも素敵だよ』

『そうか。悪い気分じゃないが、恥ずかしいな……。さ、寝台(ベツド)の上に仰(あお)向(む)けになってくれ……』

 

 文(ふみ)也(や)は早(そ)芙(う)子(こ)に促されるまま、仰向けに寝そべった。

 その顔の上を、早(そ)芙(う)子(こ)の長く美しい足が跨(また)ぐ。

 

『何だか申し訳無い気分だな。頭に尻を向けるとは……。それに、やっぱり恥ずかしい……』

『でも……綺(き)麗(れい)だよ、早(そ)芙(う)子(こ)さん』

『……そうか。では私(わたくし)も、文(ふみ)也(や)のを失礼しようか……』

 

 早(そ)芙(う)子(こ)は文(ふみ)也(や)の股間でそそり立つ陰茎(ペニス)に顔を近付ける。

 自分の小さなそれをまじまじと見詰められ、文(ふみ)也(や)は猛烈な羞恥を覚えた。

 

『早(そ)芙(う)子(こ)さん……そんなに見ないで……』

『大丈夫だよ、文(ふみ)也(や)。さっきも言っただろう。私(わたくし)はこれ、好きだって。文(ふみ)也(や)の……可(か)愛(わい)い陰茎(オチンチン)……』

『うう……!』

 

 決して褒め言葉ではない。

 しかし、早(そ)芙(う)子(こ)の声(こわ)色(いろ)は慈(いつく)しむように優しかった。

 劣等感は拭えないが、癒(いや)される気がする――文(ふみ)也(や)の陰茎(ペニス)は硬さを増した。

 

『ふふ、では頂こうかな……』

『はぅっ……!』

 

 早(そ)芙(う)子(こ)の舌が亀頭を撫(な)でた。

 それだけで、文(ふみ)也(や)の脳にしびれる様な甘い快感が込み上げる。

 なんという優しい舌遣いだろう。

 初めて故に高度な技術は無いが、心からの愛情を感じる。

 

『はぁ……はぁ……』

『気持ち良いのか、文(ふみ)也(や)? さ、文(ふみ)也(や)も舐めて良いんだぞ。私(わたくし)のことも気持ち良くしてくれ……』

 

 陰茎(ペニス)を生暖かい感触が包み込む。

 どうやら早(そ)芙(う)子(こ)が咥(くわ)え込んでくれたらしい。

 既に腰が抜けてしまっている文(ふみ)也(や)だったが、負けじと早(そ)芙(う)子(こ)の秘部に舌を這わせる。

 

『あっ……! 文(ふみ)也(や)の舌が……!』

『早(そ)芙(う)子(こ)……さん……!』

 

 文(ふみ)也(や)は快感に抗(あらが)いながら。懸命に早(そ)芙(う)子(こ)の秘部を舐める。

 

『文(ふみ)也(や)……その……もう少しその……陰核(クリトリス)の方を……そう、そこっ……!』

『早(そ)芙(う)子(こ)さん、早(そ)芙(う)子(こ)さん……!』

『文(ふみ)也(や)、舌の力を抜いて……速く動かして……』

『はぁ……はぁ……』

 

 二人の甘い吐息が、舌の水音が愛の調べを奏で合う。

 互いの快楽が互いを包み込んでいた。

 早(そ)芙(う)子(こ)の舌遣いは思いの外気持ち良い。

 文(ふみ)也(や)は懸命に射精を堪えていたが、限界は近かった。

 

『早(そ)芙(う)子(こ)さん……早(そ)芙(う)子(こ)さん、もう出そう……!』

『え? もうイクのか、文(ふみ)也(や)?』

『ああごめん、我慢出来ないっ……!』

 

 限界を迎えた文(ふみ)也(や)の陰茎(ペニス)は為(な)す術(すべ)無く射精を迎えた。

 早(そ)芙(う)子(こ)の口内に精液が吐き出される。

 

『んっ……!』

『ごめん早(そ)芙(う)子(こ)さん、ごめん……!』

 

 文(ふみ)也(や)は情けない気持ちで一杯だった。

 一度ならず二度までも、恋人の前で早漏を晒(さら)してしまったのだ。

 屹(きつ)度(と)、まだ早(そ)芙(う)子(こ)のことを気持ち良く出来ていなかっただろう。

 もしかしたら、幻滅されてしまうだろうか。

 

『んくっ……ふふ……』

 

 早(そ)芙(う)子(こ)は文(ふみ)也(や)の方へ顔を向けた。

 妖艶な表情は、文(ふみ)也(や)を慰めて包み込む様だ。

 

『文(ふみ)也(や)の陰茎(オチンチン)は私(わたくし)が大好きなんだな』

『ごめん……』

『謝ることはないぞ。だってまだこんなに……元気じゃないか』

 

 早(そ)芙(う)子(こ)の言うとおり文(ふみ)也(や)の陰茎(ペニス)は二回出して尚(なお)硬いままだった。

 

『じゃあ前戯は終わりにしようか』

 

 早(そ)芙(う)子(こ)は身体の向きを変え、文(ふみ)也(や)を迎え入れようと仰向けで両腕を拡(ひろ)げる。

 その絶景に、文(ふみ)也(や)は激しく興奮した。

 

(ああ、早(そ)芙(う)子(こ)さん……! なんて気高くも美しく、そして優しい姿……!)

 

 文(ふみ)也(や)は今にも吸い込まれそうな気がした。

 早く、早く彼女の中へ入りたい。

 彼女に溺れ、藻(も)掻(が)く様に泳ぎたい。

 

『文(ふみ)也(や)……来て……』

『早(そ)芙(う)子(こ)さんっ……!』

 

 たがが外れた。

 文(ふみ)也(や)は餌を前にした犬の様に早(そ)芙(う)子(こ)へと吸い付いた。

 陰茎(ペニス)を膣内(ヴァギナ)に、顔を胸へと押し込んだ。

 抱き締めたい、いや、抱き締められたい――そんな想(おも)いが文(ふみ)也(や)を只管(ひたすら)に突き動かす。

 

『ああっ、文(ふみ)也(や)っ! もっと、もっと突いてくれ……!』

『早(そ)芙(う)子(こ)さん……!』

『文(ふみ)也(や)、遠慮するな。私(わたくし)に……文(ふみ)也(や)を感じさせてっ……!』

『はぁっ、はぁぁっっ……! 早(そ)芙(う)子(こ)さん、早(そ)芙(う)子(こ)さんっ……!』

『ああ、良い。良いぞ文(ふみ)也(や)。丁度良い感じっ……! これが……性交(セックス)……っ! 文(ふみ)也(や)の可愛い陰茎(オチンチン)がっ……私(わたくし)を求めて甘えてくるっ……! 私(わたくし)を一生懸命……気持ち良くしようとっ……! 良いっ、これ良いっ……!』

『んんっ! 早(そ)芙(う)子(こ)さんっ、うぅぅぅっっ!』

『文(ふみ)也(や)、もっと突いて大丈夫だぞ! 私(わたくし)、文(ふみ)也(や)なら怖くないからっ! 文(ふみ)也(や)の……優しい陰茎(オチンチン)でイかせてっ……!』

 

 初めての二人は思い思いに互いを求め合った。

 両者の気持ちが絡み合い、昂(たか)ぶって昇っていくのが解(わか)る。

 二人は今、一つになっていた。

 

『文(ふみ)也(や)ぁっ! もっと、もっとして!』

『早(そ)芙(う)子(こ)さん、早(そ)芙(う)子(こ)さぁぁんっ!』

『文(ふみ)也(や)、私(わたくし)も動くからっ! 二人でっ……気持ち良くなろうっ……!』

 

 文(ふみ)也(や)は懸命に動いた。

 必ず、必ず早(そ)芙(う)子(こ)をイかせるのだ。

 陰茎(ペニス)は三回目にも拘(かか)わらず絶頂の時を迎えようとしている。

 なんとか耐えなければ。

 

『文(ふみ)也(や)っ』

『早(そ)芙(う)子(こ)さんっ』

 

 早(そ)芙(う)子(こ)の動きも加わり、陰茎(ペニス)は益(ます)々(ます)強い快感に包まれる。

 耐えろ、耐えろ、耐えろ。

 我慢、我慢、我慢。

 

『ああ文(ふみ)也(や)っ、もう少し……もう少しでイけそうだ!』

『早(そ)芙(う)子(こ)さんっ、僕(ぼく)ももうっ……!』

『良いぞ文(ふみ)也(や)、一緒に……一緒にイこう!』

 

 二人は最後の瞬間、絶頂に向かって一層激しく求め合う。

 限界まで膨れ上がった愛が、二人の仲で弾けようとしていた。

 其(そ)処(こ)を超えたら雲の上。

 二人は今、新たな世界へと飛び出そうとしていた。

 

『早(そ)芙(う)子(こ)さん、もうっ……!』

『ああ、来てくれ文(ふみ)也(や)! 来て……!』

『ふぅぅぅぅっっ! うぐぅぅぅぅっっ!』

『イク! イックゥゥゥゥ!』

 

 白い花火が視界を包む。

 二人の絶頂が重なり、強い閃(せん)光(こう)になったかの様だった。

 

『んんんんっっ!』

 

 精液が吐出されると共に、早(そ)芙(う)子(こ)は身体を震わせた。

 絶頂してくれたのか――文(ふみ)也(や)は底無しの安(あん)堵(ど)に包まれていた。

 

(ああ……柔らかい……。早(そ)芙(う)子(こ)さんが……僕(ぼく)を包み込んで……)

 

 文(ふみ)也(や)は早(そ)芙(う)子(こ)の胸に身体を預ける。

 精も根も尽き果て、微睡みと共に早(そ)芙(う)子(こ)へと沈んでいく。

 

『文(ふみ)也(や)、気持ち良かったぞ。また……しような……』

 

 何処(どこ)までも柔らかく包み込む様な早(そ)芙(う)子(こ)の声は、文(ふみ)也(や)にとって子守歌に聞こえた。

 彼はそのままけだるさに身体を預け、愛する女性の胸の中へと意識を沈めていった。

 

 

 

⦿⦿⦿

 

 

 

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 麒(き)乃(の)神(かみ)邸寝室。

 麒(き)乃(の)神(かみ)聖(せい)花(か)は夢の中を彷(さま)徨(よ)う宍(しし)妻(め)娼(しよう)也(や)――嘗(かつ)ての黄(つ)柳(げ)野(の)文(ふみ)也(や)の寝顔を見下ろしていた。

 彼女はこの日も、二人の愛玩人形を散々犯し、何度も絶頂させていた。

 その果てに、娼(しよう)也(や)は気を失ってしまったのだ。

 

「早(そ)芙(う)子(こ)さん……早(そ)芙(う)子(こ)さん……」

 

 夢見る娼(しよう)也(や)は、嘗ての恋人の名前を何度も呼んでいた。

 麒(き)乃(の)神(かみ)はその様子を冷徹に見下ろしている。

 

「気の毒に、まだ前の女が忘れられないのですね。私(わたくし)というものがありながら……」

 

 娼(しよう)也(や)の隣で、もう一人の愛玩人形である頤(おとがい)望愛(のあ)はびくりと震えた。

 麒(き)乃(の)神(かみ)聖(せい)花(か)の不興を買う、それは二人にとって、何よりも恐ろしいことなのだ。

 一体娼(しよう)也(や)にはどのような罰が待っているのだろう。

 

「では憐(あわ)れな愛玩人形の為に、この私(わたくし)が一肌脱いでやりましょう。弟と相談しなくてはなりませんね……」

 

 夢の中で思い出に溺れる娼(しよう)也(や)は、今の主が進める計略など知る由も無かった。

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