※この作品はR-18です。

日本と皇國の幻争正統記・好色秘伝   作:坐久靈二

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三

 或(あ)る夜、麒(き)乃(の)神(かみ)聖(せい)花(か)の寝室。

 娼(しよう)也(や)は床に正座して、麒(き)乃(の)神(かみ)の性交を見せられていた。

 彼女は二人の夜(よ)伽(とぎ)役から気分次第で犯す相手を選ぶのだが、今は頤(おとがい)望愛(のあ)が寝台(ベツド)の上で後から突かれている。

 

「おおおおおおっっ!! んおおおおおおおっっ!! 御(お)姉(ねえ)様(さま)あっ! ほあああああっっ!!」

 

 望愛(のあ)は平らな貞操帯から精液をとぷとぷと漏らしながら善がり狂っていた。

 両腕を掴(つか)まれて反り返っているせいで、娼(しよう)也(や)からは彼がどのような身体になっているかが能(よ)く見える。

 

「うぅっ……!」

 

 娼(しよう)也(や)は望愛(のあ)の痴態に釘(くぎ)付(づ)けになっていた。

 僅(わず)かに膨らんだ胸の先でぷっくりと膨らんだ両乳首、淫(みだ)らに括(くび)れた腰、圧し潰(つぶ)されてただ体液を排(はい)泄(せつ)する器官に成り下がった陰茎(ペニス)、縦に割れて麒(き)乃(の)神(かみ)の巨根を容(た)易(やす)く受(う)け容(い)れる肛門(アナル)――その全てが、麒(き)乃(の)神(かみ)から与えられる快楽に特化している。

 おそらく彼はもう雌としての自分を晒(さら)すのに何の躊(ため)躇(ら)いも無いのだろう。

 

「あああああっっ! またイクッ! イキます!! 雑魚(ざこ)穴絶頂来ますぅっ!! おおおおおおおおっっ!!」

 

 望愛(のあ)の股間から塊の様な白濁が噴き出した。

 今、娼(しよう)也(や)は彼が堪(たま)らなく羨(うらや)ましい。

 そそり立つ娼(しよう)也(や)の短小陰茎(チンポ)には、まだ貞操帯が嵌(は)められていない。

 しかし彼には物欲しそうに汁を溢(あふ)れさせる陰茎(ペニス)に触れることなど許されておらず、ただ両の乳首を指で慰めて望愛(のあ)の相手が終わるのを待(ま)ち侘(わ)びるしか無かった。

 

「さあ、出しますよ望愛(のあ)! 全部受け止めなさい!」

「はいいいっっ! 来て! 僕(ぼく)の雌尻穴(ケツマンコ)孕(はら)ませてくださいいい!!」

 

 麒(き)乃(の)神(かみ)の腰が望愛(のあ)の尻に力強く打ち付けられた。

 望愛(のあ)は激しく痙(けい)攣(れん)しながら両脚を生まれたばかりの子鹿のように震わせ、精液の塊を飛ばしている。

 

「んほおおおおおおおっっ!!」

 

 望愛(のあ)の絶頂と共に、娼(しよう)也(や)も乳首で軽くイッてしまった。

 なんだかんだ自分もじわじわと開発されているような気がする。

 望愛(のあ)の尻穴(アヌス)から麒(き)乃(の)神(かみ)の逸物(ペニス)が引き抜かれ、望愛(のあ)がその場に倒れ込んだのを見て、期待感が高まっているのが解(わか)る。

 愈(いよ)々(いよ)自分も、この身体の疼(うず)きを愛(あい)撫(ぶ)してもらえるのだ。

 

「扨(さ)て、と……」

 

 しかし、普段とは違い麒(き)乃(の)神(かみ)は妙に落ち着いていた。

 いつもならこのまま娼(しよう)也(や)の方を寝台(ベツド)に連れ上げ、望愛(のあ)と同じ様に激しく犯すのだが、その気配が無い。

 

「あの、御姉様……」

「娼(しよう)也(や)、期待させているところですが、御(お)前(まえ)の相手をするのは私(わたくし)ではありませんよ」

「え?」

 

 麒(き)乃(の)神(かみ)の意外な言葉に娼(しよう)也(や)は戸惑いを覚えた。

 どういうことだろうか。

 そんな娼(しよう)也(や)を意に介さず、麒(き)乃(の)神(かみ)は寝台(ベツド)から降りた。

 

「御(お)前(まえ)のことは今から別室に連れて行きます。御(お)前(まえ)に会わせたい者がそこで待っているのでね」

 

 困惑する娼(しよう)也(や)を横目に、麒(き)乃(の)神(かみ)は衣服を直して逸物(ペニス)を仕(し)舞(ま)った。

 

 

 

⦿⦿⦿

 

 

 

 娼(しよう)也(や)は麒(き)乃(の)神(かみ)に連れられ、地下へと向かう階段を降りた。

 豪(ごう)奢(しや)な邸宅には全く似合わない、酷(ひど)く簡素で無機質な階段、そして廊下である。

 

「今日の為(ため)に急(きゆう)拵(ごしら)えで用意した地下室です。無骨な出(で)来(き)は許しなさい」

「は、はぁ……」

 

 二人は暗い廊下を歩いて行く。

 

「私(わたくし)の邸宅は二人の弟の邸宅と隣合せになっていることは知っていますね?」

「はい。紅(あか)阪(さか)御用地ですね」

「この地下室は、その弟の邸宅と一時的に繋(つな)げる為に拵(こしら)えたものです。今日の為にね」

「つまり……態(わざ)々(わざ)僕(ぼく)の為に……?」

「そういうことです。正確には御(お)前(まえ)と、この先に待つ者の為ですがね」

「誰なんです? 僕(ぼく)に会わせたい人って……」

 

 二人は扉の前までやって来た。

 まるで牢(ろう)獄(ごく)の様な、金属製の頑強な扉だった。

 

「答えはこの先で待っていますよ。折(せつ)角(かく)ですから一人で行ってきなさい」

 

 麒(き)乃(の)神(かみ)はそう告げると、扉の鍵を開けた。

 娼(しよう)也(や)は恐る恐る重い扉を押し開ける。

 非力な彼にとってはそれなりに大変な作業だった。

 嫌な金属音と共に、地下室が娼(しよう)也(や)を招き入れる。

 

(なんだ……? 暗くて中が見えない……)

 

 娼(しよう)也(や)は恐る恐る部屋の中へと足を踏み入れた。

 背後で、麒(き)乃(の)神(かみ)が容赦無く扉を閉めて鍵を掛ける。

 閉じ込められた形だ。

 おそらくこの先に待つ誰かと二人で。

 

「だ、誰か居ますか……?」

 

 娼(しよう)也(や)はゆっくりと部屋の奥へと歩いて行く。

 すると、突然部屋の明かりがぼんやりと点(つ)いた。

 おそらく、動きに反応する形式の電灯だったのだ。

 

「はっ……!」

 

 瞬間、娼(しよう)也(や)は息を呑(の)んだ。

 目の前に備え付けられた簡素な寝台(ベツド)、そこに一人の背の高い女が坐(すわ)っていたのだ。

 下着姿のその女を娼(しよう)也(や)は能く知っている。

 

「そ、早(そ)芙(う)子(こ)さん……!」

「待ち侘びたぞ、文(ふみ)也(や)。久し振りだな……」

 

 水(み)徒(と)端(はた)早(そ)芙(う)子(こ)――娼(しよう)也(や)が黄(つ)柳(げ)野(の)文(ふみ)也(や)だった頃の恋人であり、内縁の妻である。

 二人は嘗(かつ)て心を通わせ、幾度も身体を重ね合った。

 

「早(そ)芙(う)子(こ)さんなのか……? また会えるなんて……!」

「私(わたくし)もまた会うことになるとは思わなかったよ」

 

 俄(にわ)かには信じられない娼(しよう)也(や)は、駆け寄って近くで彼女を確かめようとする。

 しかしそんな彼を、早(そ)芙(う)子(こ)は冷たい視線で睨(にら)み付(つ)けていた。

 

「それ以上寄るな」

「え?」

 

 射(い)竦(すく)められた娼(しよう)也(や)は足を止めた。

 早(そ)芙(う)子(こ)からこの様な厳(きつ)い言葉を投げ掛けられるのは初めてのことだ。

 娼(しよう)也(や)は動揺を禁じ得なかった。

 

「早(そ)芙(う)子(こ)さん……?」

「酷い格好だな。麒(き)乃(の)神(かみ)殿下に随分と可(か)愛(わい)がっていただいたようだ。今の貴様に馴(な)れ馴(な)れしく呼ばれると虫(むし)酸(ず)が走る」

 

 娼(しよう)也(や)は胸を締め付けられ、自ら女装していることを忘れていたと気が付いた。

 確かに、嘗て愛した女性の前で曝(さら)す姿でないだろう。

 

 早(そ)芙(う)子(こ)の眼(め)には本気の嫌(けん)悪(お)感が隠す素振りすら無く浮き出ている。

 娼(しよう)也(や)はこの様な彼女の表情など知らない。

 彼に向けられる眼はいつも優しかったし、敵に相対しても厳しい中にも凜(りん)とした清(すが)々(すが)しさがあった。

 だが今、娼(しよう)也(や)に見せている表情には心底からの敵意と侮蔑に満ちていた。

 

「文(ふみ)也(や)……いや、今は宍(しし)妻(め)娼(しよう)也(や)だったか。貴様も私(わたくし)同様に新しい名を賜ったのだったな。『娼(しよう)也(や)』、『遊(あそび)女(め)也(なり)』か。お似合いだよ、今の貴様には」

「うぅ……」

 

 嘗ての恋人に、あの優しく美しかった早(そ)芙(う)子(こ)に詰られると、娼(しよう)也(や)は自身の情けなさを否が応にも思い知らされる。

 目頭が熱を帯びているのがわかる。

 そんな娼(しよう)也(や)の様子を見て、早(そ)芙(う)子(こ)は冷笑を浮かべた。

 

「なんだ、そんなに泣きそうな顔をして。昔の様に慰められたいか? 麒(き)乃(の)神(かみ)殿下はそんな貴様のことでも優しく包み込んでくれるのか? 嘗て私(わたくし)が貴様にそうした様に……」

「早(そ)芙(う)子(こ)さん……」

「気安く呼ぶなと言っているだろう。今の私(わたくし)は水(み)徒(と)端(はた)早(そ)芙(う)子(こ)ではない。尤(もつと)も、貴様にあの御(お)方(かた)から賜った名を教えてやりたくもない」

「待ってくれ、僕(ぼく)は……」

「何か私(わたくし)に誤解があるとでも云(い)うのか? 股間に付いた小さなそれ、こんな状況で勃(た)たせておいて……」

「こ、これは……!」

 

 娼(しよう)也(や)は早(そ)芙(う)子(こ)に指摘され、自分の陰茎(ペニス)が勃起していることに気が付いた。

 早(そ)芙(う)子(こ)はそんな彼を鼻で笑う。

 

「相変わらず粗末な陰茎(チンポ)だな。前よりも余計に小さくなっていないか? それとも、あの御方の逞(たくま)しい逸物(オチンポ)様と比較してしまうから、そう感じてしまうだけなのか?」

「あの御方……?」

「ああ、貴様と同じ様に私(わたくし)もまた尊き御方の御(お)慈(じ)悲(ひ)を賜り、仕えることを許された。今の私(わたくし)の主は第一皇子・獅(し)乃(の)神(かみ)叡(えい)智(ち)殿下だ」

 

 早(そ)芙(う)子(こ)の口から語られた名前と境遇に、娼(しよう)也(や)の心が激しくざわつく。

 

「僕(ぼく)と……同じ様に……? つまり……抱かれているのか……? 獅(し)乃(の)神(かみ)殿下に……」

「何か問題でも? まさか自分は麒(き)乃(の)神(かみ)殿下の情婦になっておいて、私(わたくし)は貴様に操を立てておいてほしかったと、そう云っているのか?」

「それは……」

「まあ良いさ。貴様が最低の男だというのは既に思い知らされた。あの御方の御(ご)命(めい)令(れい)でなければ二度と会うこともなかっただろう。あの御方は人が好過ぎるのだ、全く……」

「命令……? 獅(し)乃(の)神(かみ)殿下に言われて此(こ)処(こ)に居るのか、君(きみ)は」

「そうだ。貴様と同じく連れて来られた。そして今から一週間、この部屋で貴様と過ごすのだそうだ。反(へ)吐(ど)が出るが、あの御方の御命令では仕方あるまい」

「どういうことだ……?」

 

 事態を飲み込めない娼(しよう)也(や)、そんな彼を早(そ)芙(う)子(こ)は鼻で笑う。

 

「貴様、未(いま)だに寝言で私(わたくし)の昔の名を呟(つぶや)いているそうじゃないか。そんな貴様の未練を察した麒(き)乃(の)神(かみ)殿下は獅(し)乃(の)神(かみ)殿下と御相談なさり、此(こ)度(たび)の場を設けられた」

 

 娼(しよう)也(や)は益(ます)々(ます)胸を締め付けられる思いだった。

 確かに、ここ最近は何度も早(そ)芙(う)子(こ)との目(まぐ)合(わ)いを夢に見ている。

 夢で嘗ての早(そ)芙(う)子(こ)に何度も会っていなければ、或(ある)いは今の早(そ)芙(う)子(こ)に蔑(さげす)まれてもそれほど傷付かなかったかも知れない。

 

(そうか……僕(ぼく)は今でも……麒(き)乃(の)神(かみ)殿下の物になった今でも早(そ)芙(う)子(こ)さんのことが……。でも、今更どうすれば……)

 

 娼(しよう)也(や)は躊躇いから思わず後(あと)退(ずさ)る。

 この状況で悲しく勃起した陰茎(ペニス)が小さく揺れた。

 それが一層、未練を感じさせて情けない。

 

 そんな娼(しよう)也(や)の様子を見てか、早(そ)芙(う)子(こ)は小さく笑って立ち上がった。

 相変わらずの美しい、見事な長身の肉体。

 娼(しよう)也(や)は劣等感からたじろぐ。

 そんな彼を、早(そ)芙(う)子(こ)は小(こ)莫(ば)迦(か)にするように見下ろしている。

 

「喜べ、両殿下は貴様に機会を与え賜(たも)うたのだ。これより一週間、貴様と私(わたくし)はこの部屋で過ごす。その中で私(わたくし)の情が貴様に戻ることがあれば、二人は両殿下の元から離れても良いそうだ。監視付きだから最(も)早(はや)革命に復帰することは叶(かな)わないが、一つ屋根の下で伴(はん)侶(りよ)として余生を送れる。どうだ、またとない機会だろう?」

「え……?」

 

 娼(しよう)也(や)は驚きを隠せなかった。

 戻れるのか、一人の男に。

 早(そ)芙(う)子(こ)と愛し合ったあの日々に。

 今度は革命の打算からではなく、本物の夫婦(めおと)として生涯添い遂げることが出来るのか。

 

「そしてもう一つ、条件を託(ことづ)けられている。起きている時間はなるべく愛し合い、一日に一回は必ず交わるべしとのことだ。私(わたくし)としては今更貴様と目(まぐ)合(わ)いたくなどないが、あの御方の御命令だからな、逆らうことは出来ん」

「早(そ)芙(う)子(こ)さんと……もう一度……」

「その気になったか、気持ちが悪い。だが、精々頑張れ。私(わたくし)としても貴様にいつまでも未練に思われると想像するだけで身の毛が弥(よ)立(だ)つ。悔いの残らない一週間を過ごそうじゃないか」

 

 娼(しよう)也(や)は固(かた)唾(ず)を呑んだ。

 早(そ)芙(う)子(こ)をもう一度抱くことが出来る。

 願ってもない展開だった。

 しかし同時に、彼は決定的な挫折を早くも予感していた。

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