※この作品はR-18です。

日本と皇國の幻争正統記・好色秘伝   作:坐久靈二

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転

 昼間の俺(おれ)は鷹(たか)番(つがい)家の地下室に籠(こ)もっている。

 そこには雌になるために必要な、様々なものが取(と)り揃(そろ)えられている。

 男に雌をアピールし、発情を促す為(ため)の卑(ひ)猥(わい)な衣装。

 より上(う)手(ま)く雌の貌(かお)を作り上げるためのメイク道具。

 己の体を開発し、または奉仕を練習し、弱い被虐嗜好者(マゾヒスト)の敏感で貧弱なアイデンティティを作るための玩具(おもちや)。

 

 それらを駆使し、自らより深く雌ヘと堕(お)ちていくのが俺(おれ)の日課だ。

 

 別に監禁されているわけではない。

 だが、行く当てのない俺(おれ)にはこうして生きる他無かった。

 いつの世も、弱者に選択権など無い。

 

 昼の間に作り上げた雌の自分を、夜になったら売りに行く。

 そして月に二度、鷹(たか)番(つがい)様に売上を納める。

 

 嘗(かつ)ては己がこんな惨めな生き方をするなんて想像もできなかった。

 正妻だった有(ゆう)姫(き)様も元はといえば俺(おれ)の方が、貧弱雑魚(ざこ)マゾ幼馴染彼氏から逞(たくま)しい肉体と財力に物を言わせて寝取ってやったのに……。

 今では俺(おれ)自身があいつと同じ、いやそれ以下の女々しい負け犬になってしまった。

 こんなことは認めたくないのに、鷹(たか)番(つがい)様にわからされた体が疼(うず)き、現実を思い知らされる。

 

 俺(おれ)は鷹(たか)番(つがい)様と有(ゆう)姫(き)様の寝室のドアをノックした。

 

「入れ」

 

 鷹(たか)番(つがい)様の太い許可の声に促され、恐る恐る部屋に入ると、二人は既に絡み合っていた。

 有(ゆう)姫(き)様はその豊かな乳房と尻を艶(なまめ)かしくくねらせながら、鷹(たか)番(つがい)様の鍛え上げられた胸筋に身を寄せて甘えている。

 嘗ては己が好きに弄(もてあそ)んだ女のこの上なくエロティックな肉体に、今はもう触れられない。

 

「私(わたし)達の情事を見ながら、お前も体を弄(いじ)れ。お前がどれだけ雌化したか、その有様を以(もっ)て私(わたし)に報告しろ」

「はい……」

 

 この強者の威厳に満ちた鷹(たか)番(つがい)様の声を聞くと、それだけでもう逆らえない。

 体が疼き、全身が彼に犯される準備を始めてしまう。

 

「ンっ……ああぁっ、はぁん……♡」

 

 自らの乳首を慰める手付きが普段より貪欲に快楽を与えるいやらしいものになってしまう。

 鷹(たか)番(つがい)様はそんな俺(おれ)を見て特に興奮するでもなく有(ゆう)姫(き)様の体を弄ぶ。

 ただ支配欲を満たす愉悦に浮かべた冷酷な笑みが彼の端正な顔に湛(たた)えられている。

 

 そんな彼の腕に抱かれる有(ゆう)姫(き)様もまた、彼の愛(あい)撫(ぶ)に悦(よろこ)びの嬌(きよう)声(せい)を漏らしている。

 その声に俺(おれ)の様な情けない弱々しさは皆無で、本物の女の勝ち誇るような悦びを朗々と歌い上げていた。

 選ばれて抱かれる女と、お情けで犯していただける雌の残酷な対比がそこにはあった。

 

 ビクリ、と彼女と俺(おれ)の体が同時に震える。

 同じタイミングでの絶頂でも、二人の間の距離は天地ほどの開きがあった。

 

 ぐったりと項(うな)垂(だ)れる有(ゆう)姫(き)様の頭を優しく撫(な)でる鷹(たか)番(つがい)様は、彼女を一(ひと)頻(しき)り落ち着かせた後、徐(おもむろ)に口を開いた。

 

「で?」

 

 冷たく言い放たれたあまりにも短い言葉は、有(ゆう)姫(き)様と比較した俺(おれ)の扱いのぞんざいさを端的に示していた。

 しかし、彼(ひ)我(が)の格差ゆえに俺(おれ)はこのたった一文字に込められた意図、要求を最大限に慮(おもんぱか)り、忖(そん)度(たく)しなければならない。

 

「今月上半期分です。お納めください……」

 

 俺(おれ)は膝を突き、頭を垂れて体を売って得た金を高々と掲げた。

 それを鷹(たか)番(つがい)様がぶっきらぼうに手に取り、わざと大きな音で紙幣を摩(さす)りながら数えるのを、ひたすらに地に伏して待ち続けた。

 

「毎日体を売って十万も行かんとはな。それに千円札が多い」

 

 呆(あき)れ果(は)てたような溜息交じりの言葉が背中に突き刺さる。

 更に、それを聞いて有(ゆう)姫(き)様が噴き出す声まで聞こえてきた。

 俺(おれ)は悔しさと情けなさでいっぱいになる。

 

「申し訳ございません。今後精進致しますのでどうかお許しください」

「いいや、私(わたし)はお前の売り上げが悪かろうと、それは全く構わない。お前が売れないことは、私(わたし)にとってどうでもいいことだ」

 

 言葉とは裏腹に、鷹(たか)番(つがい)様は俺(おれ)の頭をぐりぐりと踏みつける。

 そして、その雄々しい声をさらに低く荒らげ、俺(おれ)を詰る。

 

「しかしだ、先日、我が鷹(たか)番(つがい)家に脅迫の手紙が届いた。藤の家紋を拵(こしら)えた男(だん)娼(しよう)が拙(つたな)い性技で体を売っているとな。果たして注意事項の説明を怠ったか、聞く耳持たぬほど客を怒らせたか、どちらなのかな?」

「あああ申し訳ございません! 申し訳ございません!」

 

 俺(おれ)は必死に許しを請う。

 鷹(たか)番(つがい)様に恥をかかせた弁解をどうにか紡ぎだす。

 

「締まりのない穴でごめんなさい! 鷹(たか)番(つがい)様の猛(たけ)々(だけ)しい男根(オチンポ)様の為に拡張しすぎてしまいました!」

「勘違いするなよ、蛆(うじ)虫(むし)が!」

 

 言い訳の言葉が逆(げき)鱗(りん)に触れてしまった。

 俺(おれ)は恐ろしさに心の底から震え上がった。

 

「お前の穴は私(わたし)専用だとでも言えば機嫌を取れるとでも思ったか! 身の程を弁(わきま)えろ図(ずう)々(ずう)しい! 私(わたし)にとってお前の価値など塵(ごみ)同然なのだ!」

 

 鷹(たか)番(つがい)様の太く逞しい脚に力が入る。

 

「無礼にも妻に横恋慕するお前に情などある筈(はず)無かろう。それにも拘(かかわ)らず何故(なぜ)飼ってやっていたと思う? 手に入らぬ妻への未練に雌に堕ちてまで縋(すが)り付(つ)くお前の姿が惨めで滑稽で、それを眺めるのが愉快だったからだ。何故抱いてやっていたと思う? 弱く情けないお前が私(わたし)の力に屈服し、男として終わっていく様を確かめるのが愉悦だったからだ」

 

 そうだ、当然だ。

 俺(おれ)がいくら媚(こ)びたところで、鷹(たか)番(つがい)様の情が俺(おれ)に移るわけがない。

 もちろん、有(ゆう)姫(き)様を譲ってくれるなど天地が引っ繰り返ろうとあり得ない。

 そんな当たり前のことを当たり前に突き付けられただけなのに、俺(おれ)の目からは涙が溢(あふ)れだした。

 

 鷹(たか)番(つがい)様の足が俺(おれ)の頭からそっと離れた。

 それは温情などではなく、単に冷めただけなのだということは明白だった。

 

「だが、もういい。それも飽きた。お前のことは捨てる。売り上げはくれてやるから何処(どこ)へなりと行くがいい」

 

 突然の、あまりにも冷酷な宣告。

 俺(おれ)の頭は真っ白になった。

 捨てられる? 俺(おれ)は捨てられるのか?

 

「鷹(たか)番(つがい)様、お待ちください! お待ちください!」

「くどい。さっさと出ていけ」

「お許しを! 何(なに)卒(とぞ)お許しを!」

 

 必死に鷹(たか)番(つがい)様の足に縋り付き、考え直して貰(もら)える様に訴える様はどれほど無(ぶ)様(ざま)に見えるだろう。

 だが俺(おれ)は形(なり)振(ふ)り構(かま)っていられない。

 鷹(たか)番(つがい)様に捨てられたら、俺(おれ)に行く当てなど無いのだから。

 ここで必死に鷹(たか)番(つがい)様の愉悦の為に嬲(なぶ)り者(もの)にされ、雌に堕ちていく玩具として媚(ほほ)笑(え)んで生きていくしかないのだから。

 

「ダッサ……」

 

 不意に、体を起こした有(ゆう)姫(き)様が俺(おれ)の醜態を見て吐き捨てた。

 その一言は、鷹(たか)番(つがい)様のどんな言葉よりも俺(おれ)の胸に深く突き刺さった。

 

「そんな、酷(ひど)い……! あんまりだ! 一度は愛し合った仲なのに……!」

 

 泣き叫ぶ俺(おれ)に向けられた彼女の視線は今迄(まで)に向けられた誰のものよりも軽蔑と侮蔑に満ちていた。

 そして溜息をつくと、冷たく言い放った。

 

「そんな愛し合った二人を引き裂いて、女を自分のものにする。あんたも散々やってきたことじゃん。あんたが夜(よる)朗(あき)様に何か一つでも勝てるところあるの?」

 

 瞬間、俺(おれ)の中に溢(あふ)れ出(だ)したのは有(ゆう)姫(き)様を寝取った時の嘗ての記憶だった。

 軟弱な優男だった有(ゆう)姫(き)様の幼馴染・紀(のり)明(あき)から、まだ男をあまり知らず純朴だった彼女を寝取った時、紀(のり)明(あき)に向けた言葉がブーメランになって帰ってきた。

 

『ざーんねんでした。有(ゆう)姫(き)ちゃんはもう俺(おれ)の女だから。お前なんかが俺(おれ)に何か一つでも勝てるのかよ、ギャハハハハ!』

 

 俺(おれ)は屈辱感のあまり絶叫した。

 床に伏しておんおんと恥も外聞もなく泣き叫んだ。

 

 だがそんな俺(おれ)の様子を見てか、鷹(たか)番(つがい)様は手を叩(たた)いた。

 

「そうだ。ならば一つお前に希望をやろう。最後にお前のことを抱いてやるから、俺(おれ)がイくまでイくのを耐えられたら考え直してやる」

「えー夜(よる)朗(あき)様、それは無理だと思いますけど……」

 

 実際、これは殆(ほとん)ど望みのない勝負だ。

 何故なら俺(おれ)は今まで散々鷹(たか)番(つがい)様の男根(オチンポ)様には負け癖を付けられ、今では十数秒でイかされる体に仕込まれてしまっているからだ。

 

 だが、奇跡に賭けるしかない俺(おれ)は、鷹(たか)番(つがい)様に尻を差し出すしかなかった。

 

「お願いします……」

 

 鷹(たか)番(つがい)様の猛々しい男根(オチンポ)様が、俺(おれ)の雌尻穴に挿入された。

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