黄色バーですが、オリジナルの日間1位になる事が出来ました。
作者は古典文学からなろうに嵌った口ですので、文章や内容に違和感を覚える方もおられるはずです。自分でも執筆しながら、こんなので大丈夫かと思ったものです。
それでも多くの皆様に支えられ、ここまで書く進む事が出来ました。厚く御礼申し上げます。
やっと俺に復学の許可が下りた。世論も沈静化し、別動隊も影を潜めている。そもそも選抜者を誘拐して国外へ連れ出すには、相応の人数が必要となる。数人程度では逃げ回るだけで精一杯だと結論付けられた。まもなく俺への傍受と監視も解かれるらしい。そもそも高校も万一の騒乱に備えて休校だったのだ。授業の遅れは最小限に留まってよかった。ただし、ただし夏休みが削られる。
「御上君、外国の軍隊や犯罪者集団と戦ったって噂があるけど本当なの。協会からそんな危険な任務を任されるなんて、あなたどれだけ強いのよ」
「ちょっと違うよ。行き先で捜索願が出ていてたから、見つけたらお薬渡してと頼まれただけ、そうしたらいきなり襲われた」
朝のホームルーム前のお喋りタイム、質問攻めにあった。委員長もまだみたいだし、朱美もいない今、クラスの女子は千夏たちが仕切っている。皆がチヤホヤしてくれて気分がいい。俺は差しさわりのないよう話を合わせた。
「対人戦闘は港湾ダンジョンの時も経験したからね。あの時は星堂さんとガチでやり合ったし。それに今回、僕はひたすら逃げ回ったから。地の利があったから助かった。相手はモンスターと闘って自滅したみたい。これ以上は守秘義務に関わるから勘弁」
「逃げ回ったって。ニュースで言ってたぞ。戦闘があった深層は、サイの化物やアルラウネが棲むエリアだろ。 特に花の精の領域は立ち入りが制限されたって聞いたぞ」
「でもアルラウネとは出会わなかったのでしょ。彼女に見染められたら、男性は絶対に助からないって」
花と蟲のエリアの事や「アルラウネの蜜」に説いては、情報が開示されている。国際問題にもなった今回の襲撃の原因を明らかにしないのでは、国民が納得しない
「普通に会ったよ。彼女達は虹色に輝く不思議な髪を持っている半神の美少女だった。悪い奴らをみんな捕まえてくれた。おかげで僕は逃げ切れる事が出来た。確かに恐ろしい魔物だけど、僕には色々良くしてくれた。不謹慎かもしれないけど感謝している」
ここで佐藤達、男子が喰い付いてきた。アルラウネは全モンスター中、最も稀少で人外の美しさを持つとされる。彼女との邂逅を夢見る男子も多い。詳しく話せとせっつかれた。
「ティッシュペーパーみたいな半透明で肌触りのいい薄布を纏っている。甘い匂いと味もした。向こうも僕には敵意を持ってなくて、それを証明するように右手を差し出して来た。もちろん僕はペロペロした」
アルラウネの情報についても、本日解禁されるはず。ある程度は伝えても大丈夫だろう。言葉ではなくジェスチャーで示す。朱美や委員長のいない今、付き合いの長い夏見の手を取り、片膝をついた。彼女なら悪ふざけにも付き合ってくれるだろう。中世の騎士がお姫様にするように右手の甲にキスをしようとする。シースルー衣装の高貴な少女に凛々しい殿方が忠誠を誓う、女子の憧れ、男子の願望だ。
「きゃーっ!」 「わぉーっ!」
女子からは可愛い悲鳴、男子からは感嘆の声が上がる。夏見に至って失神しそうだ。うちのクラスは童貞と未通女が多い。ちょっと刺激が強すぎたかもしれない。ここで理生院に引っ叩かれた。華奢に見えても彼女は選抜者だ。普通に痛い。
「あなたが見逃されたのはリリース。網にかかった小魚が放たれるよう、獣の子供が撃たれないように、相手はあなたが大きくなるのを待っているのよ。こんな調子じゃ、数年後のこのこ出向いて、今度こそ魔物の餌食にされるでしょうね」
「何だ、モンスター美少女と仲良くなったんじゃなかったのか。想夜、お前はお子様だから相手にされなかったんだ」
「御上君、見た目が女の子だから間違われたのかも。食べられないで良かったわ」
理生院は思う、協会の資料は読ませてもらった。わたしが彼の自己犠牲に涙して、彼の為に祈っていた時、御上君は人外の美少女と宜しくやっていた訳だ。不謹慎極まりない。
彼女達と言っているから、お相手したのは二人以上。スケスケで肌触りのいい衣装、最低でも抱きしめている。甘い味がした? どこをペロペロしたのかしら。でも彼がエッチだから、見逃してもらえたともいえる。もし逃げたり、攻撃しようとしたら確実に殺されていたでしょう。
「小梨利先生と委員長はずいぶんあなたの事を心配してらしたわよ。通信を制限されているあなたの代わりに、わたしの所へメールが来たわ。しっかり見てやって欲しいって。全く人の気も知らないで」
そう言えば、雫子はまだ見ていない。彼女はいつも早めに登校してくるのに。ホームルームの時間なのに小梨利先生も現れない。早く会いたい。
「そう言えば委員長と先生は? ずいぶん遅いみたいだけど」
「何だ、やっぱり聞いていなかったのかよ。選ばれたんだよ。二人とも選抜者になった。先生は研修中。委員長は何だ、能力開発の講習に行って、しばらく登校していない。うちのクラスは担任と正副の委員長がいなくなって結構大変だったぞ」
今度は俺が驚愕した。俺が隔離された間に、二人ともダンジョンに選ばれた。スキルも三つ貰っているという。知らせてこなかったのは、俺と親密な関係なのを悟られたくなかったからだ。教員が選抜者となるとその職務も待遇も大きく変わる。その為、一カ月程度専門の実習を受けるという。先生は今、上京中していた。
雫子も同様だった。選抜者となったばかりのお金持ちの子女は、反社組織の恰好の的だ。ここ徳島市はそう言った連中の暗躍が暴かれて大騒ぎになっている。おまけにダンジョンも一時閉鎖された。両親と議員の意向で、彼女は一時的に神戸に滞在しているという。ここには富裕層専門の私塾があり、本人のスキル開発はもちろん、護身から立ち振る舞いに至るまで、その指導が評判を呼んでいた。委員長はここで合宿中だ。
二人はどんなスキルを貰っているのだろう。早く一緒にダンジョンに行きたい。もちろん女教師と男子生徒がダンジョンで二人とか、良家の令嬢とダンジョンで逢引きとか、周りが許さないだろう。秘密の逢瀬に心が躍る。それよりも、いっそ皆で潜ろうか。これなら不審に思われない。そして先生と委員長と三人一緒でまぐわうのだ。衝撃を受ける彼女らを、もう一度『わからせ』るのも楽しそう。代役の教頭先生が来るまで、俺の妄想は続いた。
四限目の体育の授業、通常なら補習に当てるかボランティアに出る所だけど、俺は審判役を買って出た。担任も委員長もいない。それに皆には迷惑を掛けっぱなしだ。少しは副委員長の仕事をしないと申し訳ない。
隣のクラスと合同で男女に分かれてサッカーをやっている。当然ながら選抜者は一般スポーツには参加できない。大人と子供以上にその身体能力には差があるからだ。選抜者だけを集めたスポーツ大会もあるが、アクティブスキルは禁止出来ても、バッシブスキルはそれが出来ない。どうしても公正さを欠いてしまい、興行的なものとなっている。
さて、授業での試合は体育教師が主審を務め、控えの生徒が線審役を務めるのが通例だ。だけどうちのクラスは二人退学、更に俺が参加できないので11人しかいない。隣のクラスは運動で優秀な子が集められていてる。遠征や怪我とかでこちらもギリギリだった。体育教諭と相談して、俺が男子生徒の方の審判を一人で受け持つ事になった。もちろんスキルを使う。
俺の移動速度は短距離選手を遥かに上回る。常にボール付近でのジャッジが可能だった。といって選手を驚かせるのも論外なので、死角に回って極力意識の外に置いてもらう。モンスターとの乱戦の経験が活きた。オフサイドやライン際の判定も、強化された視力と『風衣』の跳躍で見極める。エキサイトした場面でも、すかさず体を入れて引き分けた。
結果はうちのクラスの惨敗、まあ、隣のクラスにはサッカーの連中を初め、ラグビーや野球部員が控えているので仕方がない。ダンジョンが出現して、50余年、昔と違って不平等を無くすのではなく、不平等を受け入れる教育へと変わってきた。エキサイトしていた連中も仲良くふざけ合っている。一番上手だったった生徒、サーカーブのホープだそうだが、声を掛けてきた。
「御上君だよね。今日は気持ちよく試合できた。ジャッジも正確だったし、ストレスなく楽しめた」
「こちらこそ合わせてくれてありがとう。ちょっと前までみんなと一緒に、必死でボールを追っていたよ。あの楽しさが蘇った」
選抜者となる夢は叶ったが、失ったものも多い。中学までは昼休み、男子はサッカーで遊ぶのが日課だった。何チームもが一つのコートを、同時に使って遊んでいた。パスをする相手を間違えたり、他所のチームボールを蹴ったりと、皆で笑いあった。今は見ているだけ、その輪の中にはもう入れない。
授業の終了間際、隣のクラスからスキルを披露してほしいとの要望があった。このクラスは体育会系の有望株が集められている代わりに選抜者はいない。映像ではなく、生で見ておくのもそれなりの意義がある。先生も了解している。『鎌鼬』や『石槍』等、危険なものは論外だ。考えていたら、校内放送で生徒会から呼び出しがあった。見上げると、菫先輩が手を振っている。ならば、使うスキルはこれだ。
『登攀』……木登りや壁登りが上手くなる
『登攀』スキルは目立つので隠しようがない。それに非常時のレスキューで、俺が壁登りが来るのを知ってもらえるのは有益だ。ウキウキと先輩の待つ生徒会室の窓を目指した。
「キャッ、キャッ、想夜君、お猿さんみたい!」
「あら、また新しいスキルを習得したのね。わたしはそれ欲しくないけど」
「相変わらず礼節を知らんやつだ。だがよく生き残った」
最短距離で馳せ参じた俺に菫先輩の顔が綻ぶ。生徒会長が制服で『登攀』したら、下には男子生徒が集結するだろう。風紀委員長からは小言を喰らうが、そこまで怒っていない気がする。菫先輩がお弁当を広げてくれた。お務めが終わった気分になった。
「想夜ちゃん、ハイ、これ」
菫先輩が大きめの紙袋を渡してきた。キリ香が買い物に付き合わされた際、よく持たされていたサイズ。あらためると、クワイアードレスとビレッタ帽が2セット入っている。
「試作品が出来上がったの。聖歌隊のみんなの感想を聞かせてね」
チャリティーコンサートの衣装の試作品を受け取る。ステージ映えするように可愛らしく、と言って華美にならないよう絶妙なデザインだ。ヒラヒラがあるのは菫ちゃんの意向だろう。豪華な昼食を取りながら、ここ最近の学園の事情について説明を受けた。
「御上君、ほら重婚法案が話題に登っているでしょう。最近校内の雰囲気が桃色なのよ。調子に乗った男子生徒が二股も三又も掛けるトラブルが多発しているの。あなたはどう思うかしら」
「僕は菫先輩一筋ですから。そんな男は最低ですね」
確かにうちのクラスでも浮ついていた。でも俺は違う。きっぱりと言い切った。隣の菫ちゃんが嬉しそうだ。生徒会長と風紀委員長は唖然としている。
「言うまでもないけど、学園は学びの場よ。配偶者を探す社交場ではないわ」
それは残念。「みよう本」の世界、特に女性向けの作品では、学業よりそちらが大切と教えているのに。風紀委員長の剣風姫が追い打ちをかける。
「当分学校内での男女交際は制限する。違反する奴は反省文と社会奉仕だ。付き纏い行為で、もう十人以上の男子を処分した。これは教職員や教育委員会の了解も取ってある。そこでだ、御神想夜、お前と菫との交際も認められん。生徒会メンバーと上級探索者を例外とするわけにはいかんのでな」
風紀委員長は嬉しそうだ。この人は真面目なので行内では粛清の嵐が吹き荒れるだろう。校則ではなく、生徒の総意として行うのがミソらしい。魔女姫様と剣風姫は先のスタンピードで圧倒的なカリスマを示し、鎮圧に最大の貢献をした。同調圧力が惨く逆らえない空気があった。俺は恨めし気に生徒会長を見た。
「そんな情けない顔しないの。生徒会を手伝いなさい。いつでも菫に会えるから」
魔女姫様はどうしても俺を生徒会に取り込みたいらしい。
「それにしてもあなたのボランティア先のシスター、綺麗な方だったわね。あなたには選抜者に縁があるのかしら」
どうでしょう、確かに家族は全員そうだし、幼馴染も選ばれました。でも確率の収束変化に御染まるんじゃないでしょうか。そもそも俺が選ばれたのは最後ですし。プレッシャーはありましたよ」
よく周りが選抜者だらけなのをネタにされた。めぐり合わせとはいえ、焦ったものだ。
「それじゃあ、28という数に覚えは」
28? この意味深な言い方、もしかして数秘術だろうか。俺はどや顔で言ってやった。
「それって月齢ですか。でも月齢は29,5日ですよ」
「あなたにデリカシーがないのはよく分かりました」
「何で、御上にそれを聞く」
会長は呆れ、風紀委員長が赤らむ。答を間違えたようだ。さっぱりなので、菫ちゃんに尋ねようとしたら、
「女の子の秘密、もう恥ずかしいよう」
こちらも照れて教えてくれない。何か心に引っかかりながら、生徒会室を後にした。
生徒会長は最近市内及び、その近郊で選抜者となった人達の情報を収集していた。御上想夜に関わりのある人物では、委員長と担任教諭の他に、
委員長の祖父、水崎議員の関係者の女性が二人。
ボランティア先の聖職者が同じ日に二人、想夜の報告書を見るに、その28日前、地区の会合に出席して夜までいた事になっている。
春凪のどか。極秘だが春凪沙織の実妹。彼女も選抜者となる28日前、御上想夜の祖父母の実家を訪れている。職業体験先への挨拶のためだ。その28日後彼女は選ばれた。寄宿舎の管理者が秘書課の職員の関係者だった偶然があって、彼女の日程を探る事が出来た。
伊那ダンジョン発見者の孫娘が相次いで二人。想夜は調査の折、彼女達の家に泊っている。
そして御上想夜と同棟の母娘は、彼が退院した28日後に同時に選抜者となったのが後日判明する。娘の方はストーカーからの護衛をやってもらっていた。
御上想夜の周辺の女性が相次いで選抜者となっている。偶然では片づけられない確率だ。親しくなればいいだけなら、クラスメイトの女子は全員選ばれているはず。恐らくは男女の関係となる事がトリガーでは? そして関係を持った女性は28日後に選抜者となる。鎌をかけたけれど、彼はまだ自分の力に気づいていない。これは千載一遇のチャンスだった。
わたしの予想が正しければ、彼は人倫にもとる人でなしだ。女を誑し込むスキルも確実に持っているはず。委員長や担任教諭の人柄は知っている。いくら慕情があっても、まして聖職者が躰を許すはずがない。欲望のままに女性を蹂躙したのだろう。そして救いの手を差しのべる。彼は女の敵であり救世主だった。
何としてでも彼を盗る。彼を夫として従え、その力を見せつける。先に公開してしまえば、国も彼を独占出来ないはず。風紀の乱れを心配する弥生の案に乗せてもらおう。彼女は男に縁がないと思っていたけれど、よく分かっているじゃない。彼女が想夜を意識するのは、百人のお妾がいたという父親の無三総帥と同類だからだ。
摘花は思う、自分と想夜は体の相性がいい。セクハラされたとき狼狽したのもその為だ。そして躰が合うのは、二人の魔力が良くなじむと言う事だ。事実、彼女の『暗示』スキルは想夜に面白いように効いている。『魔力視』を持つ想夜には、常にスキルを展開する事で発動を誤魔化していた。
綱紀粛正を理由に彼の性犯罪を暴きましょう。とことんまで追い詰めて、そこで救いの手を差し伸べてあげる。本当はあなたの味方よと、わたしの身体で慰める。苦しい時に優しくされれば、男の人は女の虜となると聞いています。こうやって、手塩にかけて躾けてあげる
わたし以外の女の子にはED、勃起不全と言うのかしら、になるよう『暗示』をかけましょう。彼を治療できるのはわたしだけ。やがて世界の女性は奇跡を求めて、私の前に跪く。