林鴎内、本名林森太郎は200年以上前の作家であり、軍属でもあった。その格調高い文体は黙読より朗読で真価を発揮する。彼の経歴はドクズ揃いだった同期の作家達と比べて、異彩を放っている。
最高学府の医学部を史上最年少で入学、この記録はいまだ破られていない。エリートの中のエリート
未開だった我が国から最先進国に留学、帰国するや舶来美女が追いすがってくるモテっぷり。うらやまけしからんと非難される。
西洋の孫氏と言われる戦争論を紹介。難解で芸術的な表現は彼にしか翻訳出来なかった。これを礎に後進国が世界の大国にまさかの勝利。
軍医のトップとして中将まで昇進。軍人作家や従軍作家は数あれど、俺の知る限り将軍で文芸作家だったのは、鴎内と古代の悲劇詩人だけだ。更に将軍でありながら、エロ小説を掲載して発禁処分を受けるというお茶目ぶり。
軍医としての判断ミスから数万人が死んだと下民が非難するが、生前から今に至るまで一度も公式に処分されていない上級国民。
民草のやっかみもなんのその、高校の教科書に採用され続け、子女の情操教育に役立っている。
林鴎内は偉い、俺が密かに尊敬している人物だ。
小梨利先生が補講の課題を示してくる。テーマは「生田川」。明治の文豪のマイナーな戯曲だ。
「作品を読み込んで、それに沿った朗読をお願いするわ。評価はその内容次第よ。でも御上君が鴎内を好きだなんて思わなかった」
かつて文学少女だった小梨利先生は実に嬉しそうだ。彼女も鴎内が好きなのだろう。親近感のこもった声で説明してくれる。現役の文学少女が牽制してくる。非難めいた声で言う。
「文章が難解で、内容も作者にも共感できないという女子が多かったわよ。作家と作品は別と言うけど、割り切れないわ」
授業では教科書に掲載されている鴎内の有名作品を使って、各自感想を書いて朗読させるらしい。
だけど俺は知っている。クリエーション前、「みよう本」と共に隆盛を極めていたサブカルチャーにアニメというものがあった。こちらは強力な謎パルスによって記憶媒体が消滅し、技術の継承にも失敗して今日では断絶している。わずかに残る販促用の紙媒体から、鴎内は軍刀を手にする眉目秀麗な青年将校で、お付きの人が運転する車から颯爽と現れる王子様として描かれている。女子はツンデレで、本当は悪い鴎内が大好きなのだ。
「先生も委員長も申し訳ない。僕がまた厄介事持ち込んでしまった」
厄介事とは、先日愛望から頼まれて調査した街角ダンジョンの事だ。
かん口令の敷かれた幹之輔爺さんのところのE級ダンジョンだが、数日後には噂は広まっていた。日曜日の朝から職員とベテラン探索者が、場末のダンジョンに大挙して押しかけたのだ。話題にならないはずはない。ただこの数日で四国支部のほうは、利権を押さえたらしい。後は早急に調査を終わらせるだけだが、しわ寄せが俺に来た。協会からの調査協力、「みよう本」での指名依頼が、学校を通じて行われた。『洗浄』のスキル使用者が不足しているためだ。ゾンビ探索班だけでなく、夜のある異空間も、泊りがけの探索が必要になる。月代さんからは、独り寝は寂しいから泊まりにきて、と嬉しいメールもいただいた。
正規の依頼なので断れずはずもなく、俺の授業の出席時間が削られる。その分補講が増えて、先生と委員長の負担も増える。俺は申し訳ない気持ちで一杯だった。俺に支払われる報酬の一部は二人に渡してもいい位だ。だがそれは認められるはずもなく、彼女達も望まないであろう。
「僕は厚意に甘えてばかりだね。せめて配慮に応えたい。時間は限られるけど、精いっぱい努力してみる」
古典はほぼ研究しつくされ、様々な解釈がなされている。語るにはその中で教科書の要綱に沿ったものを選べば無難だ。だが朗読にはその先がある。気持ちを込めねば聴衆の心は動かない。自分が共感できる解釈を選び、作品とその時代背景を学ぶ、これが授業の趣旨だろう。そして先生はこうも思っているはずだ、可能なら自分だけの解釈をして欲しいと
。
「私の生徒が社会の役に立つのは誇らしいわよ。御上君は遠慮しないで頼ってね」
小梨利先生は俺を励まして、放課後の教室を出て行った。明日の授業の準備があるという。感謝を込めて先生の後ろ姿を見送る。俺はさりげなく『透視』を使った。先生と委員長は、俺の補修に付き合う日の下着がお洒落だ。学校の要望に合わせて色は白かベージュだが、レースが施されて布地が少ない。小梨利先生が切れ上がったショーツで、お尻を半分俺に見せつけている。俺の男が盛り上がってきた。
「想夜君、早く課題こなそう」
委員長がモニターを開いて、早く机をくっつけるよう催促してくる。先生を視ないでわたしを視てと言っているみたいだ。『透視』で視ると今日の彼女は、谷間が覗くブラをつけている。身を寄せてくるので、谷間の奥まではっきり見える。委員長は俺が巨乳好きだと思っている、顔を埋めて欲しいのか。
「頼む、雫子」
呼び捨てにされた委員長から満面の笑みがこぼれる。俺たちは二人きりの時は名前で呼び合っていた。
「ここにクラスの意見を集約してあるわ。男子は投げやりな意見が多いので省略。女子は踊り子が可哀そうと、主人公の人間性について批判する意見に分かれたわ。想夜君はどう思うの」
「ハーレムに寛容だったら誰も不幸にはならなかった。歴史的背景として鴎内の少年時代は、囲い妻、ハーレムは推奨されていたんだ。時代が移るにつれ、ハーレムへの風当たりが強まってくる。作者は歴史の過渡期に翻弄される主人公と恋人の悲劇として、問題提起したのだと思う、少女を囲ってあげると丸く収まったのに」
「ハーレム? 斬新な意見ね、うちは立法に関わる人がいるのだけど、家族でも意見が割れているわ」
彼女は不満そうだ。俺は雫子の家族関係はあえて触れないようにしているが、政治家を輩出していると人づてに聞いていた。潔癖な彼女が強く否定しないのも、男女の人口比が崩れてきた事への危機感があるのだろう。俺は朱美や詩央や他の女性達とも関係を持っている。もっと沢山の女性とお付き合いするにはどうすればいいか、忌憚なき意見を言う事にした。
「自然に発生するハーレムならあった方がいいと思う。男女比の問題からも望ましい」
「お爺様と同じことを言うのね、優秀な探索者は女性を沢山囲うべしなんて、お爺様の事は尊敬しているけれど、夫婦は二人で支え合うべきよ。ハーレムなんて不潔よ」
清廉なお嬢様らしく恋愛に夢を見ている。俺は雫子に本当の男女の関係を教えたくなった。
「探索者は経済力がある人が多いからじゃないかな。それと男女の問題もある。雫子のお爺さんは僕たちを気遣ってくれていると思う。こっちは恥ずかしいから聞かないで」
「ちゃんと言いなさい。絶対に秘密にするから、話してみるのよ」
彼女は弟が欲しいと言っていた。面倒見がよく母性愛溢れる雫子は、時々俺を弟扱いしてマウントを取ってくる。俺は悲しそうな物言いで語った。しょぼくれた姿は、委員長からは庇護欲を誘うだろう。
「僕は自由に恋愛が出来ない。急に強くなりすぎて、例えば雫子を好きになってはいけないんだ。強くなったのは肉体だけじゃない。上手く説明出来ないから、手を貸して。僕は辛い」
女教師と委員長、真面目を絵に描いたような二人の下着を盗み見た。清楚なのに際どい、身体中を欲望の火花が激しくスパークする。もう我慢できない。雫子の片手を取ると俺の股間に押し付けた。いきり立った男根を握らせる。肉棒がピクリと跳ねると、雫子もビクッと痙攣した。
「きゃっ、駄目」
可愛い声で雫子が手を払おうとするのを、俺は止めた。そのまま真剣な眼差しで彼女を見詰める。額をぶつける様な近い距離でだ。
「少し我慢して。雫子に握ってもらうとざわつく心が落ち着く。僕は欲望も強くなった。好きな人が側にいるだけで反応してしまう。獣みたいだろ。こんな話をしたのは雫子が初めてだよ」
俺の心の露呈を信頼の証と捉えた雫子は優しくなった。そっと俺の手をどけると、俺の頭を撫でて慈しむ。
「想夜さんは獣じゃなくわたしの理想の弟よ。そして誰を好きになってもいいの」
俺は委員長におでこをくっつけた。彼女は反射的に目を閉じる。軽い口づけの後、思い切り口吻を蹂躙した。
「あぁっ、どうしよう、お母様に叱られる」
家庭では男女の交際について、厳しく躾けられたのであろう。接吻でここまで動揺するとは、どれだけ純情なんだ。俺は嫌がる雫子を抱きすくめて、キスの雨を降らせていた。腕の中でもがくほわほわした躰が心地よい。そこへ教室のドアが開いてクラスメイトが入って来た。
「閉まってなくてよかったよ、課題のプリント、置きっぱなしだったし」
「顧問が悪いのよ。練習長すぎ」
運動部の女子達だ。忘れ物を取りに戻ったらしい。委員長は彼女らの元へ走って助けを求めようとするが無駄な足搔きだ。彼女達に見せつけるべく、俺は委員長を脱がし始めた。もちろん『結界』を展開しているので相手からは見えないのだが、それは教えない。衆目の前での羞恥プレイだ。
「今から委員長を脱がしていくよ。クラス一の巨乳かどうか確認するから、みんな見ててね」
「誰か助けて、やめて、やめて」
委員長が泣きべそをかいている。だがクラスメイトはお喋りに夢中だ。
シャツのボタンをゆっくり外す。クラスで一番の巨乳が、零れんばかりにフルフル揺れる。スカートをめくってショーツを降ろすと、豊満なお尻を丸出しにした。クラスの代表たる委員長が女子の前で男子に剥かれる、善良な委員長には想像できなかった屈辱だ。ついに恐慌を起して、心と躰が乖離してしまった。
「委員長はお尻もクラスで一番大きいと思う。それにこんなに大胆なショーツをつけてる」
奪った下着を女子達にみせながら、俺は恥丘に手を掛けた。深い繁みをわしゃわしゃと撫でつける。
「ひぃー、ひゃぁー」
薫子やえりかと同じ成長しきった夏の草むらが広がる。俺は委員長が精神はあどけない少女でも、肉体は完全に大人なのを把握した。ならば遠慮はいらない。花の蕾を摘まむだけで、花唇から蜜が溢れて悪い虫を誘引する。級友たちの面前で男に弄ばれて痴態を晒す。委員長は本能のまま暴走する肉体を、頭で抑える事が出来ない。泣きながら喘いでいる。嫌がっても、膣口に俺の指を泊めるだけで、お尻を振って早く頂戴と催促するのだ。
「どうだ、気持ちいいだろ。こんなに濡れてる。お尻もよく動いてる。声も艶っぽくなった。皆の前で僕を欲しいって言えよ」
「あぁ~、鳴いてないの、欲しくないの、みんな助けて、たすけてよ」
必死の懇願の甲斐もなく、やがて運動部の女子達は何事もなかったかのように出ていった。
「どうして助けてくれないの。襲われているのに」
か細い声で絶望に染まる委員長を今から口説く。
「ここは僕たちの秘密の場所だ。二人だけの時間は誰にも邪魔はさせない」
史実でも森鴎外は軍医総監(中将に相当)時代にエロ小説「ヰタ・セクスアリス」を掲載、雑誌は発禁となり鴎外も叱られました。
R-18版の住人は大先達として鴎外に敬意を払うべきだと思います。