「ボクと契約して弟子になってよ」
どや顔で決めるボクッ娘妖精、断られるとは微塵も思っていないらしい。
「契約?」
疑問に思う俺に蛇妖精は妖しく微笑む。
「キミはボクを欲しがったでしょ、ボクもキミからの貢物受け取ったし。これは妖精族では親愛の印なんだ。ここからお付き合いして、双方が納得すると契約となるのさ」
俺はこの子と交際しただろうか。俺を見捨てて、自分勝手に飛んでいったような気がしたが。
「ボクはキミをずっと見ていたよ。キミは蝦蟇がえるに勝って理を覆した。死すべき命が生き残った。女神さまも贔屓にするかも」
ダンジョンの試練は、命の頑張りを示すものだと蛇妖精は言った。俺が彼女の力を借りてクリアしても、ダンジョンは是としなかっただろう。彼女はスキルの使い方も教えてくれたし、体調も整えてくれた。捻じ曲げられたルールに対して、最大限の配慮をしてくれた。ずっと俺を気にかけてくれたのだ。
「ありがとう、厚意を受けていたのに気づかないなんて。ずっと見守っていてくれたんだね。僕の小さな女神様」
人族の子はなんて愚かで可愛いだろう。全部ボクに都合のいい様に解釈してくれる。やはり彼からはボクが女神さまに見えるのだ。蛇妖精は内心大喜びだ。
「そう、ボクはとっても偉いんだ。契約したら魔導の神秘を教えてあげる。二人で新しい魔法も編み出したりもする。代わりに魔力を分けてもらうから」
彼女はこちらの世界で目覚めたばかりで、魔力の供給が上手くいっていない。魔法を享受する代償に俺の魔力が欲しいという。俺の魔力は彼女と相性がいいらしい。ここに住処を定めた理由も、美味しそうな魔力の残滓を見つけたからだという。
「いくつか聞いていいかな。ダンジョンは誰が作ったのか、その目的は何。そしてここはダンジョンなのか」
「愚かしくて可愛い子供。ダンジョンを造ったのは女神さまだよ」
ダンジョンには神、もしくは上位生命体の意思が存在している、またそれらそのものである。これは神学者や哲学者に共通する考えである。目新しい事は何もない。重要なのは女神さまと言う事だ。俺はダンジョンの神秘にふれた。いつの日かご尊顔を拝見したい。
「女神さまの御心なんて分からないさ」
これも予想がついた。神学者達も、古来から神の御心は推し量れないと、定型句を唱えている。重要なのはここからだ。
「ここにボクの住まいを作っているんだ。種族によってダンジョンとか迷宮とか、色々呼ばれるけれど、女神さまの作ったダンジョンとは違う。ここに自由に出入りできるのは、今はボクとキミだけ。魔物や罠も配置するけど、警護のためさ。女神さまのダンジョンと違ってスキルや魔石も落とさないし、魔物は外にも出ない」
彼女は悲しそうに語る。
「ボクたちは女の子だけの弱い種族なんだ。悪い神様がボクたちを食べたりする。前の世界でも沢山仲間が食べられた。だから迷宮が必要になったりする」
こんなに可愛いから邪神様の生贄になる、だから迷宮を造って隠れ家が必要になる。納得すると同時に庇護欲が湧いてくる。それにしても妖精族は女の子だけなんだ。可憐な花の妖精とか、情熱的な炎の精、ヤンデレな闇妖精とか会ってみたい。
了承すると解除できない不可逆な契約だと彼女は言う。可憐な異種族の女の子が師匠になってくれるのだ。異世界交流は人類の為にも必要だ。ここは契約一択だろう。迷うことなく了承する。駆け引きなど無しだ、そもそも対等ではないのだから。俺は強い覚悟で呼び掛けた。
「いいよ、契約しよう。僕が君を守るよ。君をなんて呼べばいい。名前を教えて欲しい」
「契約はね、お互いに名を送る事から始めるんだ。ボクの名前は前の世界に置いてきた。こちらの世界に渡る条件だったんだ。ボクに素敵な名前をつけて欲しいな」
この子は能天気そうに見えて結構苦労している。ふと頭につらい過去を持つ妖精の説話が浮かんだ。
「シーナ、シーナはどうだろう。こちらの世界に伝わる妖精の名前からとったんだ」
「シーナ、いい響きだね。聞かせてよ、どんなお話」
俺は仏蘭西の伝承を物語った。妖精の国から出て来た美しい泉の妖精が、人間の男と恋に落ちる。彼との間に娘をなすも、男は彼女を裏切ってしまった。掟により母親と娘は妖精の国に戻されるが、嘆く母親を憐れんで娘は不誠実な男を、自分の父親をダンジョンに捨ててきてしまう。しかしこれに怒った彼女は娘に蛇になる呪いをかける。愛娘より自分を裏切った男のほうを愛していたのだ。
「なんて、なんていいお話なんだ。素敵な名前をありがとう。ボクは今からシーナだ」
シーナは感動して俺の胸の中でボロボロ泣き出した。裏切られても不誠実な男を愛し続ける純愛物と解釈したようだ。ひとしきり泣いた後、俺に名前を返してきた。
「キミの名はサヨ、今日からキミはサヨでボクの弟子でボクのものだ」
弱っ! 女みたいな名まえだと嫌だと言うと、
「サヨは前の世界で一番勇ましい雄の名前だよ。弱かったのに女神さまに挑んで、もうちょっとで勝てそうだった。でも言ってはいけない言葉を言って失敗してしまう。ボクはキミにサヨみたいになって欲しいんだ」
女神様なら世界一、いや宇宙一の美女で確定だろう。男なら挑戦してみたいものだ。この世の至宝、禁断の美貌を手にするために、弱き命が神を征服しようとする。あまりにも愚かであまりにも尊い。俺はサヨという人物の在り方に共感できた。言ってはいけない言葉は、禁句になって失伝しているという。
「分かった、ボクは今日からサヨが真名だ。師匠からもらった名前、大切にするよ」
シーナが俺の胸から飛び出した。シーナとサヨ、師匠と弟子と、何度も唱えて俺の肩に止まる。俺の頬に身を寄せると、小さなキスをくれた。
「師匠は弟子に贈り物をするのが決まりなんだ」
スキル? ちょっと違うがよく似たものが流れ込んでくる。
【魔導】……
聞いた事がない。『魔力強化』や『魔力回復』とは違うのか。スキルの詳細も分からない。シーナが説明してくれる。
「妖精族は魔導の極致より誕生した藝術的種族さ。魔導はボクたちの存在そのものなんだ。それをスキルにしてキミにあげる。ボクの弟子よ、心して聞きなさい。負けないで、進んで、常に強くありなさい。止まってしまうとスキルはキミを助けないよ」
要は魔法の才能は与えるけれど、努力しないと何もできませんよとの話だ。実に分かりやすい。
因みにダンジョンからもらえるスキルは、女神様が寿命の短い人間用に、特定の魔法や能力をパッケージしたものだと言う。即席で使える代わりに応用が利きにくいらしい。契約したおかげでここでもダンジョンの神秘に触れる事が出来た。
「闇魔法を教えてあげる。ボクの得意な魔法だし、サヨにも一番必要な魔法、呪いのお勉強だよ」
俺は驚いた。闇魔法なんて聞いた事もない。それに祟りや呪いなんて覚えたくない。もちろんスキルやアイテムにもレアだが呪詛系は存在する。当然需要は少ない。それにダンジョンの神秘にふれた俺が呪詛を使いこなせば、嫉妬した神学者から異端扱いされてしまう。
「ボクには見える。キミは子供なのに多くの雌を泣かせているでしょ」
何でそんなことが分かるんだ。確かに愛し合った女たちは俺が泣かせた。
「サヨ、キミには祝福がまとわりついている。でも愛と憎しみは表裏一体、いつ呪詛に変わるか分からないよ。呪詛は願わなくても、勝手に発動したりする。愛が深ければ嫉妬も深い。サヨはこれからも女を泣かすよ。その分恨みが積もって死にやすくなるかも」
新興宗教の教祖様みたいな説法だが、上位存在の話だけに否定しがたい。日本にも古来より生霊などの伝説もある。何より朱美や詩央に呪詛をかけるなとはとても言えない。俺はやはり引き籠って農業をするしかないのか。
「呪いのお勉強は、呪いを払ったり返したりするのに必要な事なんだ」
確かに俺が呪われるのなら、呪詛の知識は必要だ。それに解呪のスキルは殆ど知られていない。身に着けて無駄と言う事はない。
「サヨも義務を果たしてよ。ボクに魔力をくれるんでしょ。サヨとボクが繋がって、魔力を繋ぐのが、魔導の始まりなんだ。さあ、服を脱いで」
俺が理解できないでいると、服を脱いで石板に寝るように急かす。
「契約を完了するためさ。キミの世界でも番の男女は体を交えて契約するでしょ。これはどの世界でも共通なんだ。ボクたちは師弟の契約を結んだ。男女の契りをもって契約は成立する」
情事は異世界でも男女の契約の証として有効だった。「みよう本」の主人公のように異世界へ飛ばされても、俺はやっていけるだろう。緊張がほぐれていくのが自分でも分かった。
シーナの肢体から、ミニドレスが消えていく。夢で見た妖精の裸体が晒される。幼いながら妖艶な肢体、完璧なプロポーション、これだけでも妖精族が我々より上位であると知れる。そのシーナが俺を求めている、ここで勃たないとか、師匠にも失礼だし人類の恥だ。俺が人類の代表なら堂々としよう。異世界の種族に臆病だと舐められたくない。俺は躊躇なく全裸になった。俺の息子はこれまでにない程そそり立っている。ベッドのように柔らかい石板に仰向けで横たわる。俺の男根が宙へとそびえて、浮かぶ妖精を欲した。
「楽しみだよ。だけど体の大きさが違いすぎる」
「幻惑魔法を使うから。サヨは緊張しないで目を閉じて。初めてだけどボク頑張るから」
こんな可愛い妖精がリードしてくれるのだ。俺は全てを彼女に任せた。
「んんん~、ボクのサヨ」
下半身に何かが覆いかぶさる気配がした。薄く目を開けると大きなシーナが跨っている。といっても、小学生位の身長しかない。躰だけグラマラスな小学生と契りを交わす、背徳感に俺は昂る。
「は~~、サヨの魔力、美味しいよ」
彼女は恍惚として腰をゆっくり動かし始める。下半身にかつてない興奮が襲う。これが妖精の性器なのか。亀首を飲みこもうと膣壁が吸いつく。肉のひだが繊毛のように動いて、俺の男根から魔力を吸い上げていく。彼女は幻惑魔法と言った。だがのしかかる彼女の重さ、甘い果実の汗の匂い、心を蕩かす吐息、視覚だけでなく触覚、嗅覚、聴覚、とても偽物と思えない。何より俺が味わっている男性器の快感は、かつて味わったことがないものだ。
「感じているのはサヨだけじゃないよ。ボクも同じように感じているんだ。サヨの大きなあそこがボクに刺さって、苦しいけど気持ちいい」
「師匠ありがとう、こんなに気持ちいいのは初めてだよ」
「魔力の流れを感じてごらん。サヨから魔力を貰っているけど、ボクもあげているんだよ。ほら、もっと気持ちよくさせてあげる」
ペニスに極限にまで意識を集中させる。尽きることない射精のように、彼女の肉壺は男根から魔力を吸い取っている。それがシーナの胎内で彼女の魂と一つに混じり合っている。同時に彼女の魔力も肉壺から俺に入ってくる。それが俺の視覚や触覚、聴覚を刺激している。
俺はこれまで女性を悦ばせる事だけを考えてきた。だが女性から受ける奉仕のかくも素晴らしきことか。師匠からの献身を受けて、俺の愛がまだ未熟だと教えられた。俺も師匠に愛を伝えたい。俺に出来る事はないかな? 俺のほうからもシーナに杭を打ち込んでみる。
「サヨ、だめ、だめ、動かないで、んん」
俺は師匠の為に強い男であることを示したい。たわわな乳房を揉みしだく。両手からも無意識に魔力が漏れ出し、男根からの魔力と繋がり、シーナの身体中を駆け巡った。妖精の躰がピクピク痙攣する。
「うそ、ボクこんなの知らない、いやっ、いやっ、あっ、あぁー」
この俺が、人類が弱い雄でないことを教えてやる。
「ああー、ああー、サヨが無理やり入ってくる。あはぁー、悪い弟子がボクをいじめる。やめて、やめて」
俺は嫌がる師匠を天へも届けと、下から激しく突きあげた。律動に合わせて彼女の躰が何度も跳ねる。洗練された飾り硝子の師匠は、魔法は強くても物理攻撃には脆いのか。めちゃめちゃにするとあっさり白旗を掲げた。だけど許してやらない、師匠を、妖精の躰をもっと味わいたい。人類で初めてそして俺だけが、異世界の、異種族の美しい雌とまぐわう事が許された。雄としては最高の名誉だろう。俺は飢えた野獣のように徹底的に貪った。俺の男をわからせてやる。いつのまにか亀頭が暴れて魔力を吐き出している。妖精の小さな肉壺が甘く溶け始めた。あがく彼女を容赦なく堕としていく。
「サヨ、ゆるして、ゆるして、ボクしんじゃう、いやだ、いやぁー」
「師匠を僕で満たしてやる、僕だけのシーナだ」
シーナは俺と結ばれたままもだえ苦しんでいる。彼女の今のサイズからしても、俺の逸物はとんでもない巨根だろう。串刺しにされた贄と同じだ。決して自分からは外せない。狂態を晒すシーナへ溢れるくらい精を注ぐ。同時に魔力もたっぷり注ぐと、泣きじゃくりながら達してしまった。
「ああっ、魂が溶ける。ボク、サヨのものされる。もう、だめぇー」
俺は妖精と契約した。それは師弟の契りであり、男女の契りでもあった。かくして二人は魂までも繋がったのだ。
高みにおわす女神さまからは、人間の子供の性器に、高位の雌が縋りついているのが見える。聳え立つ男根は座った妖精の胸の谷間程もある。男の子の命が逞しい証拠だ。妖精は股間で性器の根元を挟むと、全身で狂おしい程抱きしめていた。豊満な双丘を雁首に擦りつけては、小さな口で夢中で舐め回している。妖精の顔は精液まみれで恍惚としていた。男の子から情けを賜ったのだ。高位の妖精が、地を這う人間の少年から原初の生命の悦びを教えられる、実に尊く、美しい光景であった。女神さまの口元から、慈しみの笑みが零れる。
神代よりの幻想の郁、眠る獣が夢を見る。
白き獣の鋭い爪が、玻璃の躰を鷲掴む。
俺に勝てる女はいない
神スキルが降臨した。
不誠実な主人公はダンジョンに捨てられるかもしれません。