※この作品はR-18です。

ダンジョン姫はじめ   作:エターナル好希也

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セクハラ生徒会★

 

 篠塚母子は10階の部屋へ戻っていった。ガーゴイル等飛行タイプの魔物もめっきり減ったらしい。魔素が薄れてダンジョンへ還っていったのだろう。彼女達もほぼ安全なはずだ。

 残念だが、学校は普通に開校している。そしてほとんどの生徒が登校しているらしい。例外は復興のお手伝いで忙しい理生院達奨学生組と、予備戦力で協会に詰めている朱美達探索者組だ。我が校は対モンスター用の避難施設でもある上に、千匹近いモンスターを、それから首魁のキュプロークスまでも、ほぼ在校生だけで撃退した。自宅待機するよりはるかに安全な場所だ。ただ授業は休講のため、クラス単位での自習になる。委員長からは登校に及ばずとのメールが来ていた。昨日俺と朱美が抱き合っているのを目撃してから冷たいのだ。一方、佐藤達からは早く登校しろと闇雲に催促されている。慌てなくても生徒会から呼び出されているのに。

 重役出勤のようにお昼前に登校すれば、どうもクラスの雰囲気が物々しい。学級裁判が始まって、佐藤と田中が吊し上げを食っていた。無理もない、昨日は身勝手な行動からセイレーンの催眠にかかって、クラスの皆を危険にさらしたのだ。

 

「御上やっと来てくれたか。俺達の昨日の行動、男なら情状酌量の余地はあるだろ」

「お前と理生院がハーピーの話をするから、どうしても見たくなったんだ」

 

 こいつらの馬鹿は俺と理生院のせいになるのか。彼女が判事で教室にいれば、世にも恐ろしい刑罰を求刑したに違いない。

 

「弁護人は遅刻したので、証言は無効です。二人には1カ月、掃除当番を命じます」

 

 委員長が厳かに言う。傍聴人の級友達も満足げだ。二人は助けてやった俺を恨めしそうに見つめる。委員長のメールはこの為か。俺が二人を擁護すれば、昨日の活躍から無罪放免になりかねないからな。

 

「あれはハーピーじゃなくてセイレーン。生徒会長が確認された。セイレーン一羽を仕留めたのは魔女姫様の石弾だよ。ちゃんとお礼を言っておいた方がいい。僕は午後から生徒会室に呼ばれている、取りなしておくよ。反省している素振りをしておかないと、自治会でも槍玉にあげられる」

 

 これで佐藤達も観念して学級裁判は閉廷した。後は自習というより雑談というか情報交換の場になった。官公庁に出入りしている理生院がいれば、詳しい話が聞けたかもしれない。だが彼女がいない今、話題は俺の戦闘に集中した。

 

「御上君って、あんなに強かったの。生徒会長や風紀委員長より上じゃないの」

「一対一なら風紀委員長には絶対勝てない。彼女は対人に特化しているからね。昆虫の魔物のように、小さくて群れるタイプは生徒会長の独壇場だ。僕なんか、手も足も出ないよ。それに今回の作戦の立案は彼女だし。僕のスキルが大物向きだったので、止めを譲ってもらっただけ」

 

 クラスの女子がチヤホヤしてくれるが、委員長は寂しそうだ。何かとケチをつける理生院もいないと寂しい。ちょっとメランコリックな気分で、俺は生徒会室へと向う。すれ違いざま、委員長にだけ聴こえるように、そっと声を掛けた。

 

「家まで送るよ、一緒に帰ろう」

 

 

 

 生徒会室では三人が出迎えてくれた。内二人は生徒会長と風紀委員長だ。そしてもう一人、庶務の岩魂寺菫がいた。初対面だが彼女の事はそれなりに知っている。昨年の選手権覇者パーティーの後衛だ。彼女はお荷物ともアイドルとも呼ばれ、生徒会長達メンバーの足を引っ張りまくった人だ。他の三人が圧倒的だったため、その色物ぶりは話題になった。ところが最後の大難関、迷宮と呼ばれる大迷路を、彼女のナビでぶっちぎりの最速で抜けて優勝となった。『幸運』等、運命に干渉するスキルを持っているのではと噂されている。

 

「御上君、呼び出してごめんなさいね。菫ちゃんの紹介は必要かしら」

「いえ、それには及びません。岩魂寺先輩、初めまして。一年の御上想夜です。憧れの先輩とお会いできて光栄です」

「もう、岩魂寺は禁止、がんこじじいみたいで可愛くないし。菫ちゃんて呼んでね」

 

 菫先輩の決め台詞だ。マスコミ向けのパフォーマンスではなかったのか。彼女は探索者としてはヨワヨワだけど、全選手中、人気だけは圧倒的だった。天然ボケの明るい性格に加えて、圧倒的なわがままボディ、そして最大の魅力が愛くるしい童顔で低身長、高3になっても小学生か中学生にしか見えない、そうロリ巨乳なのだ。しかし実際はロリではないので、観賞しても違法ではない。菫先輩は卒業後、芸能界入りが取り沙汰さされている。

 かく言う俺も、菫ちゃんの大ファンだ。失敗しても健気に頑張る姿は「新人ちゃん」を思わせて好感が持てた。低身長で年下に見られるのも俺と同じだ。何より「みよう本」から飛び出してきたような、ロリでないロリ巨乳のヒロインだ。応援しない訳がない。

 

「菫、やっぱりよせ、見ろ、御上のにやけた顔を。こいつに護衛など務まる訳がない」

「あら、御上君はストーカーから立派に女子中学生を守ったわよ。警察の資料を読ませてもらったけど、鮮やかなものね」

 

 護衛? 疑問に思う俺に、菫先輩が答えをくれた。

 

「想夜君、わたしを護って! 昨日屋上で皆を撮影していたんだけど、想夜ちゃんを見た瞬間、わたしの直感がね、絶対離すなと騒ぐのよ、もう運命の人だよね。仲良くしてくれると嬉しいかな」

 

 彼女は『直感』持ちか。それに言われてみれば、あの映像は校舎の屋上から撮られたものだ。危ない事をする。一歩間違えば、キュプロークスに狙われていたのは菫ちゃんだ。鈍そうな彼女なら簡単に捕まってしまう。そして俺は菫先輩の評価を上げた。あの場で戦っていたのは俺達だけではなかった。彼女もパーティーの後衛として魔女姫様や剣風姫と同じように、命を賭けて戦っていたのだ。俺達が斃れても記録を残して次に繋ぐために。

 それに俺が屋上へ駆け上った際、もうビデオカメラは廻っていたはずだ。だが彼女の姿を見ていない。強力な隠匿系スキルも持っているのか? 

 

「菫、その言い方では勘違いされるわ。御上君、わたし達と交代で彼女の護衛を手伝ってもらえないかしら。彼女、難しい所から目をつけられているのよ。今まではわたしと弥生で守っていたんだけど、これからは忙しくなりそうなのよ」

 

 魔女姫様は市長の娘として、公人として振舞う事もあるという。神瞑流の跡取りの剣風姫は言わずもがなだ。

 

「想夜君、わたしの手を握って、わたしを見て、離さないで」

 

 菫ちゃんが嬉しい事を言ってくれる。男女交際を申し込まれたみたいだ。

 

「まだ御上は引き受けると言っていないぞ。断られたらどうする」

「平気だよ、わたしからお願いするんだから、むしろ見せないと失礼だよ」

 

 厄介事の臭いがしてきた。帰りたい。でも筋を通そうとする彼女の言葉と、可愛い掌の誘惑には逆らえなかった。澄み渡った美しい魔力を鑑賞し、ぷにぷにを堪能する。ずっと楽しみたいと考えていると、突然感覚がなくなった。いや、菫ちゃんがいなくなってしまったのだ。呆然としていると、

 

「想夜君、捕まえた~」

 

 能天気な声がして、背後から菫ちゃんに抱きつかれた。ロリ巨乳が俺の背中で潰れている。だけど少しも興奮しなかった。俺は震えていた。実戦だったら死んでいたのだ。そして恥じた、天狗になっていた自分を、どこかで菫先輩を侮っていた俺を。

 

「菫、離れてやれ。見ろ、子供が真っ赤になっているぞ」

 

 剣風姫は俺が困ると機嫌が良くなる。

 俺は菫ちゃんの手をしっかり握っていた。『魔力視』でも視ていた。魔力の揺らぎから、何らかのスキルが使われていたのは分かる。だが『縮地』等、高速移動スキルではない。『光学迷彩』など姿を隠すスキルでもない。信じられないけど、消去法で空間もしくは時間に干渉するスキルか。それなら屋上で俺やキュプロークスの目を逃れて撮影できる。だけどこの種のスキルはまだ確認されていないはず。

 

「どうやら正解にたどり着いたようね。今のはテレポーテーション、瞬間移動よ」

 

 生徒会長が吐き捨てるように言う。俺は疑問に思った。手を握っていても、菫先輩はテレポートできた。拘束されても可能と言う事か。それなら護衛など足手まといだ。彼女はどこでも好きな場所へいつでもいける、人類の夢、最高じゃないか、そう思った瞬間、恐ろしい可能性にたどり着いた。これ、絶対人に知られたらダメなやつだ。女の子の部屋にも、お風呂場でも自由に出入りできる、犯罪がやり放題、俺の『透視』よりたちが悪い。

 好きな場所へ時間に関係なくいける、つまり彼女にはアリバイが成立しない。凶悪な未解決事件の大半で疑う事が可能だ。人の悪意が善良な少女を踏み潰す。

 国家間ではもっと悲惨だ。岩魂寺菫は暗殺やテロを実行するのに格好の人材となる。事件があれば、容疑者として引き渡しを求められかねない。冤罪を承知の上で脅威を排除しようとする敵対国家もあるだろう。日本だけがこうしたジョーカーを持つのは、同盟国もいい顔をしない。

 彼女はスキルを使って逃げる事は出来る。だが一度使ってしまうと、スキルの存在が明るみに出る。そうなったら彼女の平穏な人生は終わる。『テレポーテーション』、強力であるが故に呪われたスキルだ。

 

「政府も彼女のスキルを持て余した。隠匿を絶対条件に囲い込みを諦めたわ、同盟国に配慮してね」

 

 菫先輩の実家は国内有数のお金持ちで、いくつもの有名企業を経営している。そちらの方にも配慮したのだろう。ところが最近外国とも繋がりのある反社勢力が嗅ぎまわっているという。

 

「お願い聞いてくれたら、想夜君に貢いじゃおうかな」

 

 その童顔であざとく微笑む。普通の男子生徒ならコロッと騙されただろう。だが俺はその笑顔に心当たりがあった。彼女は、本当は辛いのだ。巻き込んでしまって御免なさい、自分の窮地より俺の事を心配している、そんな情けない笑顔だった。

 かつて俺は朱美と詩央のおまけで誘拐された事がある。その時の彼女らの顔が忘れられない。実に悲しい、情けない顔を見てしまった。わが身の心配より俺の心配、巻き込んで申し訳ないという気持ちが切々と伝わってきた。

 

「そんなに僕は頼りないの。女の子にはこんな顔、もうさせないよ」

 

 子供心に義憤が沸いた。何よりも強く願った。体が先に動く。意識は後からついてきた。菫ちゃんの顔は思い出の中の朱美と詩央と同じだ。俺の心にあの時の激情が蘇る。

 

「護ってみせます。この世の全ての悪意から」

 

 頼まれたから護るのではない、俺の意思で、死力を尽くして貴女を護る、俺の決意を彼女に贈った。今度は菫先輩がいい顔で笑う、実に澄み切った大人の笑顔で。

 

 

 

「僕も切り札を出します。菫先輩を残してお二人は一分ほど、部屋から出てください。煙のように消えて見せます」

「ひょっとして隠匿系のスキルかしら。見られていると発動しないとか?」

「ご明察です」

 

 流石は魔女姫様だ。スキルや魔法については話が早い。だがここで剣風姫がケチをつけた。

 

「だめだ、菫にイヤらしい事をするかもしれん」

 

 もちろんスキンシップはある、スキルの発動に必要だからだ。説明すると風紀委員長は自分が残ると言い出した。二人を外に出すと勝ち誇って、

 

「さあ、御上、やってみせろ。菫や摘花でなくて残念だったな」

「いえ、弥生先輩がよかったです」

 

 了解など得ず、いきなり弥生の柳腰をかき抱く。女剣士の楚々とした腰は驚く程に柔らかかった。今の剣風姫は真剣も木刀も持っていない。純粋な『身体強化』だけなら俺の方が上と見た。今までの意趣返しにセクハラをしてやる。

 

「よせ、何をする、タダでは済まさんぞ」

「覚悟の上です、貴女を抱けるなら命を賭けます」

 

 彼女を凝視しながら、きっぱりと言い切った。俺の真剣度が伝わったようだ。剣は達人でも、男性には素人の弥生にたたみ掛ける。

 

「あの時最後まで戦ったのは貴女が居たからです。男として自分のものにするために。そして勝ち残った雄は僕です」

 

 殲滅戦で最後に立っていた雄は俺だ。俺より強かったオークの暗黒騎士も首魁のキュプロークスもすべて倒れた。俺は男として剣風姫と魔女姫様を自由に出来る権利を手にいれたと密かに思っていたりする。ここで生徒会長と菫ちゃんが入室してきた。

 

 

「弥生先輩、これが僕の切り札です。外からは絶対に感知できません」

 

 菫ちゃんは俺達が隠れていると思って、椅子の蔭や机の下を覗き込んでいる。隠れん坊の鬼みたいで可愛い。魔女姫様は風魔法、音波だろうか、を飛ばして、不可視の俺達を探ろうとしている、流石だ、だが魔法でも俺達を探知する事は絶対に出来ない。

 

「そんなに暴れると結界が解除されて見つかっちゃいますよ」

「嫌、離してよ」

 

 女は友人の前で羞恥プレイをされると、意外に大人しくなるものだ、これは委員長から学んだ。俺は剣風姫に止めを差しに行く。抵抗する彼女を抱き寄せると、武道家の娘に相応しいプロポーズを決めてやった。

 

「僕はもっと強くなって貴女を奪いに来ますよ。それまで生娘でいてくださいね、散らしてみせますから」

 

 剣風姫の躰が硬直する、それからゆっくり力が抜けて俺に身を委ねてくる。ここで俺は『結界』を解除した。抱き合う二人が突然至近距離に現れたのだ。二人は驚愕した。

 。

「きゃっ! 想夜君と弥生ちゃんラブラブだよ」

「弥生、これはどういう事かしら。いいえ、そうじゃなくて御上君、何をやったの」

 

 

 俺は魔女姫様達に『結界』スキルを説明する。

 

 結界内に入れるのは俺を含めて極僅か。視覚、聴覚、臭覚、魔力、熱源など、外部から探知は出来ない。

 結界内から相手を観察できるが攻撃は出来ない。

 範囲は最大で3m四方。就寝時等エコモードに切り替え可能。範囲はぐっと狭まるけど、魔力の消費は最小限。半日程度、持続可能。

 等々。

 

「結界に入れたのは家族とパーティーメンバーだけでした。僕には特別な人達です。ですから自分に暗示を掛けました。弥生先輩を僕の恋人、世界一大切な女性と思い込むことで引き込みました」

「この屈辱、一生忘れん」

「痛い!」

 

 パシッ、大きな音がして思い切りビンタをされた。真っ赤になった涙目の弥生がわなわなと震えている。風紀委員長を散々セクハラしたのだ。これ位の懲罰は覚悟していたさ。ちなみに痛いと言ったのは菫ちゃんだ。

 

「想夜君、今度はわたしと菫、同時にお願いできるかしら。こっそり二股をかけてたりしたら、お姉さん許さないわよ」

 

 剣風姫が止めているが、魔女姫様の好奇心が勝ったようだ。俺の力を測るつもりか、挑発が混じっている。意地悪な魔女姫様にもセクハラしよう。菫ちゃんもいい子だけどセクハラするのだ。

 

「二人とも僕の女にしてやる」

 

 堂々と宣言する。俺は迷うことなく両の腕で抱え込む。二の腕が先輩二人の乳房を押し上げる形となった。最高だ。

 

「きゃっ!」

「やりすぎよっ」

 

 可愛い悲鳴が重なる。待たずして剣風姫が飛び込んできた。俺達を認識できない彼女は即座に武道家の貌になった。周囲から、空気が凍って張りつめていく、そんな緊張感が伝わってくる。動くものあらば氷を踏み貫く音によって、容易にその位置を特定されるであろう。武を極めた人間だけが所持できる、スキルによらないヒトの可能性「心眼」だ。だがそれでも俺の『結界』は突破できない。

 

 俺は先輩たちの下乳に、単に二の腕を添えていただけではない。『器用』が活躍する。もがく二人の動きを見極め、腕の角度や位置を絶妙に操り、強く抱いたり緩めたりして、豊満な乳房を揉み上げる。偶然を装うのがコツだ。暴れると乳首までもあそばれてしまう、そう思わせて敢えて触れない。意識すればするほど、二人は感じやすくなってくる。何より巨乳の女性は持ち上げられて責められると弱い。

 

「二人一緒に満たしたい。僕の事、忘れられなくなりますよ」

「もうダメぇ~、わたし想夜ちゃんの女にされちゃう」

「弥生の心眼で見破れないしぃ、魔法でも無理ぃ。はぁ~、御上君、凄いわっ~」

 

 俺より身長の低い菫先輩は、つま先立ちで下乳責めから逃れようとしていた。しかし遂に力尽きてしまう。俺の腕を手繰り、ロリ巨乳で挟むようにしてぶら下がると、そのままグッタリしてしまう。

 魔女姫様が感度抜群なのには驚いた。会話の端々に桃色吐息がかかっている。大人びている彼女は少々のセクハラなら笑ってやり過ごすと思っていたのに。

 

「うそぉ、こちらからの魔力も通さないなんてぇ。どうしましょう」

 

 剣風姫に魔力をぶつけてサインを送ろうとしたようだ。『結界』の性質を分析して、快感から気を紛らそうとしている。だがそれを許す俺ではない。丁寧なそれでいて荒ぶる言葉を送り付ける。

 

「欲しい女はねじ伏せてでも奪います。僕は生徒会長の泣き顔が見たい」

「そんな……」

 

 生徒会長が絶句している。法の理を重んじる市長の娘には、バイオレンスな口説き文句は刺激が強すぎた。守ってあげる、思いを込めて優しく肩を抱き寄せる。そして『結界』を解除する。両手に花の俺を見て、当然のように弥生先輩がキレた。

 

「貴様、これはどう言う事だ」

「弥生先輩が僕の恋人、嫌がる二人は強引に愛人にした、そんなところです」

「そんなの、認められるか!」

 

 恋人の浮気を見咎めたかのように、弥生先輩が激怒する。だけどここまでセクハラすると、ヤキモチを焼いているようにしか聞こえない。

 

「だけど困ったわね、結界にはいる度にセクハラされるのは」

 

 生徒会長が思案するも、菫ちゃんは気にした風はない。

 

「家族になればいいのね、いいよ」

「馬鹿、よせ、御上は本気にするぞ」

 

 風紀委員長が止めにかかるが、もう遅い。俺と菫先輩が家族になるには、男と女の関係になるしかないのだ。俺は剣風姫に向けてガッツポーズを決めた。だけど菫ちゃんは強かった。

 

「今日からわたしがお姉ちゃんね」

 

 二人に目を閉じてもらって試すと、菫ちゃんはセクハラしなくても『結界』に収容できた。対象者が俺をどう思うかも重要な様だ。

 

「お姉さんも御上君みたいに可愛い弟が欲しかったよの」

 

 確かに生徒会長のように美人で大人っぽい女性が姉だったら嬉しい。だけど収容できない。横では生徒会長が頭を抱えている。俺は生徒会長が嘘つきなのを知ってしまった。弥生先輩は、

 

「貴様の姉などには絶対にならん」

 

 取り付く島もなかった。

 

 

 

 そして俺は魔女姫様と剣風姫から昨日習得したスキルについて説明を受けた。手の内を明かすのは、俺に対する返礼だろう。

 まず、魔女姫様の『ディスペル』、打ち消せるのは攻撃魔法に限るとの事。対価として相応の魔力を消費するので、普段使いは避けたいらしい。

 そして弥生先輩がオークエンペラーから得た魔眼『予見』、1秒先の未来が見える。自分の意志ではなく、ここぞという時に発動するらしい。一般人にとって、一秒先の未来は殆ど役に立たないが、武闘家の、選抜者の1秒先は圧倒的なアドバンテージだ。これで剣風姫攻略の目途が全く立たなくなった。

 

「御上と同じ魔眼持ちになったのが気に入らんがな」

 

 剣風姫は実に嬉しそうに微笑む。それはズルい。俺もオークの暗黒騎士からスキルは得ていた。ただしスキルとしては平凡な『体術』。『剣術』や『戦斧術』と同じ武術系のスキルでダブル、トリプルと進化していく。羨ましい気持ちはあるが、『知力強化』と合わせて、今の俺に本当に必要なスキルなのだろう。俺は自分を戒めた。

 

 

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