※この作品はR-18です。

ダンジョン姫はじめ   作:エターナル好希也

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アンチ専守防衛2 ハニートラップ★

 もうセイレーンは当分いいかな。スキルなき時代だったら、美人局に合って身包み剥がされていたところだ。小さな頃から妹の面倒を見たり、朱美や詩央と遊んだりして、女の子の機微はある程度分かるつもりだった。女の子はしばしば言葉や態度と思っている事が違う。彼女達の言う通りにすると、分かってくれないとか言って、理不尽に当たり散らしたり泣いたりする。

 だけどセイレーンの女の子は違った。天真爛漫、純情可憐、二心などこれっぽっちも感じなかった。あそこまで完璧に女性にやられたのは初めてだ。これを教訓としよう。まだ時間があるので一番近いウルフやラビット等、四つ足獣のモンスターが多く出現するエリアで魔石稼ぎをしていた。獣タイプとの戦闘訓練にもなる。

 荒涼たる岩山を模したようなこのエリアには、ゴブリンやオークといったヒト型モンスターは少ない反面、ダイアウルフやホーンラビットを代表にボアやベア系の大型種が生息している。起伏の多い地形で、岩の裂け目から奇襲を受けたり、地面に走る大きな亀裂に落ちそうになったりと、雑魚相手でも油断はならなかった。

 

 高台で休憩中に、ひとりの探索者がダイアウルフ2頭に追われているのを発見した。女性のようだが、装備から見て後衛だろう。向こうも俺を視認して必死でこちらに逃げてくる。だけどおかしい。今日の参加メンバーなら、これ位対処できなくては。と思っていると転んでしまった。考えるのは後からにしよう。駆け下りながら戦斧を一閃、更に返しの一振りで、苦も無く2頭の首を刎ねる。俺にとっては容易いが、彼女からすれば、命が消える寸前だったのだ。人間を丸呑みする巨大な咢が、へたりこんだ彼女の眼前へ飛んでいく。

 

「ひいぃぃぃ──ー」

 

 甲高く可愛らしい、そして情けない悲鳴が響き渡る。

 随分と小柄な体躯、くびれた腰がバストとヒップを強調する。黄色と緑の混じり合うの仔猫の様な不思議な瞳、ブラウンの髪の先端を左右で結んで大人びた雰囲気を作っているが、ミスマッチだ。プレートは企業枠だから成人しているのだろう。だけど言動があまりにも幼い。大人なのに子供に見える。怯える様がコケティッシュな魅力となって俺を誘った。俺は彼女の方へハルバードを構えた。

 

「きゃぁぁぁ──ー」

 

 尻もちをついたまま後ずさりしていく。がくがくと顎が震えてしまって口がきけない。もう為すすべなく狼の牙にかからんとする哀れな小兎そのものだった。その錯乱振りは、俺には大変好ましいものに見えた。一噛で刈り取るのも良し、いたぶって遊ぶのも楽しい、狩猟本能が刺激される。側にはウルフの頸が転がっている。だが狼は他にもいるのだ。

 

 俺は戦斧に敢えて殺気を載せた。再びけたたましい悲鳴が上がる。それが合図となった。地響きも同時に上がり、トラック程の物体が猛スピードで迫ってくる。進路上の岩石など、跳ね飛ばして構いなしだ。本当にトラックだったら異世界転生できたかもしれない。だけど違う。鎧猪だった。こいつは通常でも3メートルを超える。鎧猪の攻撃手段は巨体を生かした突進と牙による刺突しかない。まともに受けるとひき肉になるが、直進だけなので躱すのは容易い。その一方、鋼鉄の表皮と分厚い皮下脂肪に護られて、物理攻撃が非常に通りにくい。狩りの効率を考えると、避けるのが常道とされる。だが今猛進してきている奴は、ゆうに倍はある大物だ。上位種か特殊個体かも知れない。

 実は奴はずっとこちらを伺っていた。与しやすいと思ったのか、悲鳴をあげた彼女を標的に定めてしまう。そこで俺は殺気を発してヘイトを取った。大地を震わす雄叫びが上がる。モンスター専用スキル『咆哮』だ。俺は耐える事ができる。だが、目の前の女性は恐怖で硬直して動けない。こちらも切り札の『衝撃波』を使う。疾風の如く駆けて、互いが正面衝突をした。肉片と骨粉交じりの土砂が噴き上がって、一撃の元これを仕留める。異世界転生したのは奴の方だった。

 

 

 

「うわぁぁーん、怖い、怖いの」

 

 小柄な女性が泣き縋ってくる。逃れえぬ二つの死に晒された、もっと恐ろしい俺の殺気に当てられた。だがそれは自分を守護するものだった、恐怖と安堵が入り混じって、感情をまるで制御できていない。低身長な俺より更に低いので、年下の女の子に迫られているようだ。体格の割には大き目の乳房が胸にふれて、プルプル震える心地よさよ、俺は優しく抱き締めながら落ち着くのを待った。

 

「お姉さん、怖がらせて御免。だけどもう大丈夫だよ。僕が護る、だからもう泣かないで」

 

 実はこう言うと、女子はもっと泣いたりする。背中をさすって、頭を撫でて慰めてあげる。躰を寄せているので、香水交じりの汗の匂いがする。葡萄の様な甘酸っぱさと、目も眩む豊潤な酒の香り、余りにもアンバランス、だが却ってそれが雄の本能を刺激してしまう。

 いつしか頭を撫でていた手が、うなじを愛撫していた。たまらずに切なげな声が漏れる。もう頬は俺と寄せ合っていた。細い腰に手を回して脇腹をしだく。遠慮なく乳房を俺の胸に押し当てると、口が開いて白い歯がこぼれた。我を忘れて怖がっている彼女を、こうやって慰める。少しずつ気持ちよくさせてあげるのだ。

 こうして彼女の感触を楽しみながら俺は思う。ぷにぷにした細い腕と柳腰は、彼女が選抜者になって間もない事を、そして鍛錬などとは無縁の生活を送っていた事を教えてくれる。彼女はあまりにも向いていない。スキルは知らない、だけどこのあがり症で気弱な性格、ダンジョンでは喰われてしまう。忠告しようかと思った。いや、よそう。彼女なりの覚悟と、背負うものがあるのかもしれない。事情を知らない俺が口出しするのは、彼女の人生を否定するようなものだ。それに人は変わる。

 

「助けてください。先輩が怪我して動けないんです。私を庇ったせいです。先輩はとっても綺麗で優しいんです。一緒に来てください」

 

 やっと我に返った彼女が、俺の手を取って懇願してくる。本来は所属と名前を明かすのが必須だ。だけど可愛いいお姉ちゃんは、動揺してそんな基本も忘れている。その代わり綺麗とか、救難には不要な、俺にとっては重要な情報をくれた。後輩を庇う位だから、心根も優しいのだろう。そんな美人さんなら見捨てるわけにはいかない。

 

「いく! いく!」

 

 人命救助のためだ。俺は知らない女性について行った。

 

 

 

 彼女の案内で怪我人の救助に向かう。忘れてしまっているのか、まだ名乗ってはくれない。まあ、聞かされてもそれが本当か、確認する術はここにはない。それにやる事は変わらないから。といっても呼称がないのは不便なので、お姉ちゃんを「ヘーゼルちゃん」と仮称する事にした。黄色っぽい瞳がそれに似ていたから名付けてやった。

 

「きゃん!」

 

 可愛らしい悲鳴が漏れる。俺は「ヘーゼルちゃん」を横抱きにして走っている。お姫様だっこというやつだ。「ヘーゼルちゃん」は鈍くて遅い。もちろん一般人とは隔絶しているが、俺達探索者レベルでは落第点だ。ちょっとした崖や亀裂でも迂回しようとする。これでは到着が何時になるか分からない。俺は無理やり抱き上げていた。

 

「いやあぁぁ──ー」

 

 急斜面の崖を岩から岩へと跳び移って一気に降りる。減速などなしで、思い切り怖がらせる。

 

「いやっ、いやっ、やめてください。こわいんです、ダメなんです」

「今だけは僕を恋人と思ってしがみついて。怖がらないで全部任せて。世界一優しくするから」

 

 涙目の「ヘーゼルちゃん」が不憫可愛い。破瓜の恐怖に怯える女の子に諭すように語りかける。パニックになりかけの彼女はそうするしか心の安寧を得られない。果して全てを捧げるように俺に抱きついてきた。

 

「ああぁぁっ~~~」

 

『風衣』を纏って、地の底まで裂けたクレバスを跳び越える。俺の胸で震える「ヘーゼルちゃん」は可愛い小動物だ。処女を奪われた少女はどんなに怖がっても、痛がっても、最後は悦んでしまう。俺は彼女の純潔を奪うよう扱って、恐怖を法悦に変えていく。悲鳴にも女の悦びが混じってきた。

 疾走しながらも、「ヘーゼルちゃん」の横乳を俺の胸に押し当てる。お互いの乳首がぎりぎりでふれあった。絶妙の感覚でこねくってやる。背中に回した腕の方も、もう片方を揉みしだく。最初は憶病に周辺から、徐々に大胆に迫っていく。脚を抱えながらも、太腿やお尻の際どい処を指がなぞった。今の俺には強化された肉体と運動神経がある。跳躍する度、体が激しく上下に揺さぶられる。そんな中、彼女を二の腕だけで支え、手首から先を『器用』に動かして愛撫する事等、造作もない。

 どんなに乱暴に扱われても、俺からの責めは凪のように穏やかで細密だ。それ故に俺の優しさが際立ち、「ヘーゼルちゃん」の感度が極限まで達してしまう。『風衣』を展開しての高い崖からの降下、両手と胸板を使って空中でイカせる。浮遊感が多幸感に変わる。彼女の頭は真っ白になった。

 

「んんっ~、んんっ~、あんっ、ああんっ~」

 

「ヘーゼルちゃん」は俺の首に腕を回して、ほおを擦りよせている。首筋に唇を這わせて熱い吐息をかけてくる。そして甘えた声で啼くのだ。彼女はもう恐怖を克服していた。最強の雄に好きにされる乙女の悦び、無我の境地に至っていた、

 

 

 

「着いたみたいだね」

 

 俺は「ヘーゼルちゃん」を降ろすと、名残惜しそうに抱き締めた。そして頭を撫でてあげる。女の子は行為の後、こうすると安心する。

 

「ここまで来てしまったんですね、想夜さん。あのう……」

 

「ヘーゼルちゃん」も悲しそうだ。そして何故か俺の名前を知っていた。俺に聞いてほしい事もあるようだ。申し訳なさそうにしている。だけど今は後回しだ。人の命がかかっている。彼女をせかせて案内させた。

 

 教えられた岩の裂け目の周囲には、におい消しが置いてあった。鼻の利く獣型のモンスターのエリアに滞在する場合、探索者はにおい消しを携行するのが基本中の基本で、香水などは論外だ。もっとも俺には『洗浄』と『結界』があるので必要ないが。

 奥行は5メートル位か、横たわっていた大柄美人が俺を見て身体を起こした。見たところ、生命に別条はないように思える。ある程度自分で手当てを行ったのか、上半身は脱いでしまって、アンダーになっている。俺と先輩のお姉さんは平然としているが、「ヘーゼルちゃん」は自分が下着姿を見られたみたいに真っ赤になってしまった。

 

「きゃっ、先輩、想夜さんを連れてきました。そのう、わたし何度も命を救われたんです」

 

「ヘーゼルちゃん」は先輩のお姉さんにお願いがあるようだ。だけどそれを言うに指示が出た。そして先輩さんは妖艶な瞳をこちらへ向けて微笑んだ。

 

「それじゃあ、見張りをお願いね、あの子、探索者になって日が浅くて応急処置とか上手く出来ないのよ。お願いできるかしら」

 

 先輩さんは真紅の髪と、燃える様な赤い瞳、アイドルよりスタアを思わせる正統派美人だった。主張の激しい躰は、イブニングドレスが映えると思う、いい女の見本のようなお姉さんだ。これ、普通の童貞君なら圧倒されて委縮してしまうかもしれない。だからこその「ヘーゼルちゃん」なのか。これほどの美女なら各種美容や容姿に関するスキルも揃えているのだろう。お荷物の「ヘーゼルちゃん」を連れてここまで来た、実力もあると見た。

「ヘーゼルちゃん」が俺に情を移しているのを見抜いたのか、遠ざけてしまった。ダンジョン内ではある程度の医療行為は容認されている。ダンジョンに潜れる医者など早々いないからだ。事情を聴くと、先輩のお姉さんは後輩を庇って、熊の魔物に吹き飛ばされて全身打撲で一時期は全く動けなかったという。ポーションの効果があったのか、待機中でかなり回復したという。ここで改めて自己紹介を受けた。

 

「初めまして、響野杏恋よ。きょうこでいいわ。御上想夜さん、活躍は聞いています。私、あなたのファンだったのよ、すっと会いたかった。今も舞い上がってしまって挨拶が遅れるなんて。大人の女性として失格だわ」

「いえ、こちらこそ。御上想夜です。僕の事も想夜でお願い。微力を尽くすよ。でもきょうこさん、あんまり綺麗なんでドキドキする」

「もうお上手ね」

 

 きょうこさんも俺の事を知っていた。有望な新人として前から縁を結びたかったという。煽てられて俺はすっかりその気になってしまった。確かに挨拶が遅れた事はあれだ。だけどそれが切っ掛けになって直ぐ打ち解けた。「ヘーゼルちゃん」もこれを狙って最初に自己紹介をしなかったのか。だけどテンパってしまって、そのまま忘れたのかもしれない。そんな彼女は俺達が気になるのか、そわそわして時々覗きに来ている。

 

「純情よね、探索者のパーティーなら下着姿を見られるなどよくあるのに。可愛いでしょう、あの娘に手解きしてくれないかしら。君みたいな少年が大人の女性をリードするのも、いい経験になると思うの。もちろん私も応援するから」

 

「ヘーゼルちゃん」は本人の知らない所で、俺に売られようとしていた。

 

 

 

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