※この作品はR-18です。

ダンジョン姫はじめ   作:エターナル好希也

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魔眼vs魔眼3 レギオン

 昼休み、俺は教室に監禁された。俺以外の男子は全員追い出されている。クラスの女子の冷酷非情な眼差しがチクチクと突き刺さる。事の起こりはこうだ。

 俺たち男子はセイレーンのロリっ子の話題で大いに盛り上がっていた。受付嬢は信じてくれなかったけれど、そこは固い絆で結ばれた親友だ、ダンスする美少女モンスターの存在は、男子どもの福音となった。俺も命懸けの冒険を讃えられて、それは誇らしかったのだ。ところが俺達の密談を不審に思った女子が友人の一人を問い詰めた。そいつは女子たちに両腕を取られてお願いされると、あっさり陥落したらしい。

 

「御上君って小さな女の子に際どい恰好させて、ポールダンスを踊ってもらうのが好きなんですって。いい趣味してるね」

「妹さんの同級生を護衛したのもそのため? もしかして手を出してない?」

 

 すでに風評被害が広がっていた。しれっと真実も混じっている。

 

「先生と委員長に報告して矯正してもらおうかしら。クラスに変態さんがいるのはちょっと」

 

 それは止めてくれ。お姉さんぶってる委員長と、通い妻の小梨利先生が泣いてしまう。俺の方も恥ずかしくて死にそうになる。エロ小説を投稿しているのが家族にバレるとこんな感じだろう。この場に二人がいないのはせめてもの慈悲か。

 

「朱美さんや旗無先輩は何も言わないの。あなた美人局について行ったんでしょ」

「知らない女の人について行かないよう注意されているよ。だけどモンスターの女の子について行くなとか言われてないし」

 

 正直に言ったのに、クラスの女子は非難轟々だ。このままだと告げ口されてしまう。俺は白旗をあげた。

 

「勘弁してよ。朱美からむごい折檻をされる」

 

 それだけならまだ我慢する。妹と母さんに注進されたら、俺は神戸に送還されるかもしれない。

 

「詩央先輩は恐ろしい精神攻撃をしてくるんだ」

 

 詩央は涙をためて俺を黙視するだろう。これをされると胸が張り裂けそうになる。俺はクラスの女子に恭順の意を示し、彼女達の監視下に入る事で許してもらった。

 

 

 

「お父さんが言ってたわ、ダンジョンには魔物の指揮官がいるって」

「御上君大丈夫なの、朱美さんたちが居ないから、あなた一人で潜っているんでしょう」

 

 徳島ダンジョンで確認された組織だった魔物の行動は、その後も続いている。怪我人はいても、幸いにして死人は出ていない。だが不気味でもある。遭遇者の話によると、自分たちに止めを差す機会がありながら見逃されたケースもあったらしい。また同族同士、例えばオーク同士の戦闘で組織化された集団が片方を殲滅するなど、普通ならあり得ない光景も複数目撃されている。

 隣に効率よく稼げる港湾ダンジョンが誕生したのもあって、徳島ダンジョンはA級なのに過疎り気味だ。新しいお店が盛況なのは、世の常だから仕方がない。ところが最近港湾ダンジョンでも、組織化された魔物の集団が現れ始めた。一部探索者の間では、モンスターが進化を始めたとか、指揮個体が両方のダンジョンを行き来しているとか、オカルトが飛び交っている。

 

「オークとゴブリンの混成軍と先日遣り合ったけど、指揮官は後方から指示を出していた感じだった。頭はいいけど単独ではそこまで強くないと思う。今日もダンジョンに潜るけど、見つけたら殲滅するよ。心配しないで」

 

 軽薄とも取れる発言だが、自信を持って言い切った。女子達は俺が戦える事を知っている。心配しないでとは、俺が何とかするから安心してと、彼女達にかけた言葉でもあった。

 国民の累計で10%強がダンジョンに指名された選抜者だ。家族や親類に一人や二人該当者はいる。ダンジョン関連の仕事について恩恵を被っている人は更にその何倍だ。正式な発表はなくても、市民ならある程度の情報は掴んでいる。まして先日大規模なスタンピードがあったばかりだ。彼女達も不安なのだろう。だから俺に構ってきたのだと思う。

 

 

 

 月代主任は今日、こちらへ戻って来ていた。向こうは稼げるダンジョンとして、全国から企業やクランの先遣隊が殺到している。他所からも人を借りているようだが、スタンピードの後始末もあり色々大変らしい。探索服に着替える前に要件を済ます。

 

「御上君、悪いわね、探索の合間でいいから、ちょっと気を配って欲しい事があるの」

「いいですよ、向こうは人が増えすぎてトレーニングもできません」

 

『衝撃波』や『アースファング』といった大技は他者を巻き込みかねない。それにフリル服を見られるのはまだ恥ずかしい。明日は授業もないので、これからじっくり潜る事が出来る。主任も厄介事をお願いしている自覚があるのだろう。憂う人妻の黒タイツが艶めかしかった。

 

「先日、自衛隊のレンジャーの探索者が例のモンスター集団と遭遇してね、軍事訓練をしているとしかと思えないって」

 

 指揮官が率いているとされる魔物は、確認されている限り全てヒト型である。人間の戦術を理解できるイレギュラーが、軍人化したモンスターを率いて立ちはだかる、協会はこれを懸念しているのだろう。やつらの動機も目的もまだ不明だ。へたに知恵をつけられて階層封鎖でもされたら、スタンピードに直結する。

 

「遭遇しても無理に戦わないで。指揮個体の情報を待ち帰るのを最優先にして」

 

 主任の言う通り、情報収集が斥侯である俺の本来の役割だ。最近は戦ってばかりだから、一度初心に立ち返ろう。だけど解決すれば、主任は俺に惚れるかもしれない。若妻をよろめかせて、罪悪と悦楽の狭間で悶えさせてやる、ありもしない妄想を抱きながら、俺はダンジョンに降りていった。

 

 

 

 過疎っているという話とは裏腹に、上層は混雑していた。ただ装備や動きから見て殆どが初級探索者だ。港湾ダンジョンに入れるのは、中級からなので必然的にこうなる。全員がパーティーで、見張り役まで立てて警戒を怠っていない。その間を単独で中層へと向かう。今の俺はローブを羽織って、顔をバイザーで隠している。他から見れば怪しげで無鉄砲な探索者だろう。非難するような視線を浴びても、我関せずに進んでいく。俺に文句を言いたげな人もいて、他のメンバーから止められている。

 これは仕方のない面もある。件のモンスターの軍団は中層からの遭遇となる。しかし先日のようにトレインで上層まで追ってくる事もある。そうなると、彼らでは対応が難しい。弱そうな馬鹿が調子に乗って中層へ降りるも、モンスタートレインを引っ張って逃げてくる。巻き込まれるのは自分たちだ。

 

 中層は打って変わって人の気配はなかった。事前に渡された資料では、このエリアで軍団との遭遇がもっとも多いとされている。この一角は蟻の巣状の迷路になっていて、いくつもの大空間が複雑な通路で繋がっている。程なくしてゴブリンどもがギャーギャー騒いでいる現場にでくわした。何と奴らは宝箱を見つけていた。ゴブリンは収集癖があり、その巣には稀に宝箱やダンジョンアイテムが有ったりする。『透視』で確認すると、ミミックでも罠でもなく、本物のスキルオーブが入っていた。

 奴らは俺を見るなり、宝箱を頭上に掲げて逃げ出した。奪ってみろとばかりに、ぐぎゃぎゃと俺をあざ笑う。むかつく、何といっても目の前で宝箱をゴブリンに搔っ攫われるのは、探索者としては屈辱だ。俺は油断なく奴らを追った。途中何匹かのゴブリンが向かってくるが、警棒で払いながら通路を抜けたところで、全滅させて宝箱を手にした。

 

『気配察知』……斥侯に必須とされるスキルの一つ。

 

 これはありがたい。斥侯職は、『索敵』『隠密』『危険感知』『気配察知』のうち一つでも会得する事が望ましいとされる。これまでは『透視』と『魔力視』で代用してきたが、このスキルを持っているだけで斥侯としての信用度があがる。あれは悪いゴブリンじゃなかった。心の底から感謝して、見逃せばよかったと後悔してしまった。俺は早速試してみる。そして同時に顔をしかめた。前方から複数のモンスターが向かってくる。数は二十を下らないだろう。オーブを餌にゴブリンに誘い出されたのだ。初めての『気配察知』は俺の迂闊さを知らしめただけだった。『透視』と『魔力視』で注意はしていたが、通路がL字になって察知できなかった。

 迫ってくる軍団は重武装したオークとゴブリンライダーが各20体程、以前マイスターの折辺さんと遭遇した時と同じだった。違うのは後方に一匹、珍しいオーガの魔法使いが控えている事。オーガは普通深層に居る。特異個体はエリアボスを務める程の強敵となる。それが中層の、それも上層に近い処まであがってきている。こいつが指揮官で決定か。オーガのメイジが雄叫びをあげる。『鼓舞』を使ったのか、魔物どもの士気が急上昇する。『炎弾』の合図で小隊が一糸乱れずに展開を始めた。

 

 

 

「やっぱりあなたは馬鹿なのね」

 

 待ち伏せしていた春凪沙織がレギオンを指揮する。彼女は協会の職員を『魅了』して想夜の予定を把握していたのだ。ゴブリンごときに騙される想夜を、沙織は心の底から軽蔑する。そしてこんな男に犯された事に沸々と怒りが湧いてきた。祖父の書架には、幾冊もの歴史小説があった。その中の一冊を手にとって語ってくれた事を思い出す。

 

「釣り野伏は猪突猛進で考えなしの相手に有効な手でね。これで主人公は強いだけの敵を罠に嵌めるんだよ」

 

 やっぱりあいつは頭が悪い。

 彼女は支配下に置いたモンスターのレギオンを全てここに集結させている。根気よく探索者を襲撃して魔物の練度をあげてきた。単身深層へ降りて何度も死にそうになった。今日で仕留める、彼女は不退転の決意でこの場に臨んだ。自分の身辺を嗅ぎ回っている人がいる。もう時は残されていないかもしれない。沙織の瞳が妖しく輝く。

 

 

 

 ライダーが散開して、オークの武装兵が密集隊形で突進する。セオリーならここで撤退して、オーガメイジの情報を持ち帰らなければならない。だが回避困難な隘路で、背後から『炎弾』を撃たれるのはちょっと嫌だ。それにここからは上層まで距離がない。俺がトレインでこいつらを引っ張ると、初級探索者達を巻き込む。深層の魔物に統率された精鋭と、寄せ集めの雑兵では一方的な虐殺になる。

 俺は躊躇なく戦斧を振り切り、『衝撃波』を発生させた。幸いにしてここの空間は、全域が射程の範囲に収まる。たった一振りで一掃した。と思ったが違う、動くものがあった。なんとオーガメイジが生きている。重武装したオーク兵を何匹も肉壁にして凌いだのだ。そして迷わず逃走を選んだ。ここまで知恵の廻る奴なら、次は何らかの対策をされるかもしれない。俺は全力で奴を追った。しかし、さすがはオーガ、魔法使いであっても身体能力は高く、並の中級探索者の走力をゆうに超えている。大空間に出たところでやっと追いついて打ち払った。やり切った顔をして、奴は逝った。

 

 天上に魔力を感知する。嫌な予感がして見上げれば、ガーゴイルが十数匹潜んでいた。半分は上位種だ。そして前後の通路からは先程と同数で更に膨大な魔力が漂ってくる。強い魔物が来る。完全にしてやられた。宝箱で俺を釣る、希少なオーガメイジを捨て石にしておびき寄せる、二段構えの誘導で完全に罠にはまった。魔物の指揮官の方が賢いじゃないか。奴から見ると、俺などはゴブリンやオークに劣る低能だろう。今更ながらここは俺の死地だった。

 通路まで撤退して、モンスターを迎え撃とうかと逡巡した。前後から挟撃されるが、ガーゴイルの頭上からの攻撃はなくなる。だがその代償に俺も機動力を失う。戦斧も自在に振るえずに、最後は数で圧殺される。もし死に場所を選べるなら、少しでも広々とした処がいい。半径で100mは超えるであろう、大空間の中央に俺は陣取った。

 心が高揚する。力が漲る。血液が沸騰して細胞が一つ残らず躍動している超感覚に捉われる。命の出し惜しみはなしだ。先に『衝撃波』を撃たせて、クールタイムに持ち込むとは、魔物の指揮官は俺の事をよく分かってる。俺はそいつが大好きになった。何だか嬉しくなってくる。

 

 空中のガーゴイルの魔法攻撃から幕は開いた。『炎弾』や『石弾』の降り注ぐ中、こちらも『鎌鼬』で撃墜していく。武器を持って急降下してくる相手には、『風衣』で舞い上がって迎撃する。まさに血の雨が降った。

 前方よりゴブリンライダーが雪崩込む。ウルフの腹に隠れたり、立ちあがって弓を構えたりと、上位種だけあって曲乗りが上手い。こちらには小さめの『石槍』を散弾の様に射出して、ウルフ共々倒していく。遅れてハイオークの精鋭が突入する。円錐状の『石槍』で盾ごとぶち抜く。この間、20秒ほど、背後からも、別部隊も進軍してきた。ここからは乱戦になる。敵の残数は目算で40強、大半が上位種だ。俺を逃さないためか、前後の出入り口にはそれぞれトロールの上位固体が立ち塞がった。脇を後詰のオークで固める念の入りようだ。

 止まれば数で押し潰される、俺の長所、機動力を最大限に発揮する。ハルバードが唸る。すれ違いざまにウルフごとライダーを引き裂き、オークを鎧と共に両断する。『身体強化』に加えて『俊足』と『風衣』があってこその技だ。負荷のかかる体勢をとっても『強靭』と『柔軟』がそれを支える。全力疾走からのブレーキなしのUターン、常人には不可能な動きで斬り結んでいく。戦斧に『鎌鼬』が宿る。一振りで頭上のガーゴイルを切断し、反す刃で地を走るウルフを刎ねた。

 こいつらは個としても練度が高いが、連携を叩きこまれている。俺はスタンピードの迎撃戦ではもっと多くのモンスターを相手にしたが、やりにくさではこちらが断然上だ。必ず複数で俺に当たる、死角から仲間を犠牲にして、槍や魔法を飛ばしてくる、間断なく攻めて息を継がせない。俺は常に全力を強いられ、この密度の高い攻撃を捌かねばならなかった。体力、魔力ともどんどん削られていく。

 

 極限にまで研ぎ澄まされた戦意のせいか、あるいは『知力強化』が目覚めたのか、佳境に入ってから俺の心は醒めていった。眼前の敵を屠るのは容易だ、その次も対処できる。だが、四手先、五手先はどうだろう。流れのままにオークの腹を裂いてはいけない、そうすれば四手先で手痛い反撃を喰らう。ここは敢えて止まって、縦割りにする。右足から踏み出すと、5手先で致命傷を負う。肩に矢を受けた、軽傷だ。躱せば三手先で死んでいた。ぼんやりしていた俺の感覚が、水面の靄が晴れるようにクリアになった。

 その一方で無邪気にはしゃぐ別の自分がいる。死と戯れるのが面白い、生きているだけで楽しい。もう童心に返った気分だった。きっと俺は笑っていたのだろう。

 

 

 

 シンプルに強い。祖父が語ってくれた中華最強の男に似ていると沙織は思う。その男にとって裏切りは世界の理である。獣は是非など持ち合わせていないのだ。人倫にもとる行為を度重ねても、誰も彼を咎められない。彼の武勇がそれを許した。今風に言えば、彼の欲望は高級車を乗り回したいとか、可愛い子をものにしたいとか、不良の物欲と変わらない。普通なら主人公かライバルの強キャラにやられる引き立て役であろう。だがそんなクズが天下国家を論じる高潔な武将を粉砕し、安寧を願う王に煮え湯を飲ませる。一番駄目な奴が最強であった、だから歴史は面白いと言った祖父の顔が懐かしい。

 馬鹿だから迷わない、それ故の純真だ、そんな男に女の子は惑わされてしまう、幼かった沙織もこのおぞましい男に、ほんのちょっぴり憧れたのは秘密だ。

 トロールやオーガといった強力な魔物はレベル差があり過ぎて、最初は『魅了』できなかった。そこで沙織はゴブリンやオークといった格下を揃えて物量で迫った。いかに強くとも、飽和攻撃では傷も負うし、魔力の消耗も早い。そうやって弱らして魔眼の支配下に置いて行く。繰り返す事によって『魅了』の魔眼はますます進化した。憎い男を捕まえたい、奴隷に堕としていたぶりたい。アイツがどんなに強くても、大勢で囲んでタコ殴りにすればいい。人間で一番の男も、最後は獣の如く網にかかったのだから。今、想夜一人を大勢の魔物で取り囲んでいる。

 

「これって包囲殲滅陣?」

 

 祖父から聞いていた、悪名高い戦術を思い出した。

 

 

 

 体感では数時間、実際は十分に満たないだろう、もうモンスターの大半を一掃した。だが俺の方もとっくに限界を超えていた。全身の筋肉が悲鳴を上げながら固まっていく。魔力が枯渇して気分が悪い。戦斧の一振りが果てしなく重い。大音響の『咆哮』が木霊する。足の遅いトロールは、これで獲物の動きを止めて仕留めるのが常套だ。だが今の俺には悪手だった。止まれば死、途切れかけた集中が復活した。凝り固まった筋肉に活を入れ、無理やり魔力を絞り出す。

 今なら出来る気がした。『風衣』で跳んで半不死身の怪物にハルバードを振り下ろす。肩口にめり込んだ刃先から『鎌鼬』がほとばしった。風の刃はトロールの巨体を駆け巡り、全身の神経を骨ごと断ち切る。内臓までもズタズタにすると、最後に内側から皮膚を切り裂いた。如何に超再生を誇るトロールの上位種であっても、ここまで細切れにされたら命は尽きる。そそのまま返しの一振りを、後ろも見ずに横に薙ぐ。もう一匹のトロールの脇腹に戦斧が喰い込む、次の瞬間そいつはバラバラになっていた。

 スタンピードの際、まぐれで出来た神瞑流の奥義まがい、何とか再現に漕ぎつけた。

 

 

 

 手塩にかけたレギオンが壊滅するのを、沙織は唖然として眺めていた。相当な損耗は折り込み済みだった。だがアイツは馬鹿笑いをしながら、楽しそうにモンスターを倒していく。怪物を屠る怪物、おぞましい、まさに悪魔の申し子だ。得体のしれない恐怖が我が身を震わす。その一方で納得もしていた。わたしを辱めたのだ、これ位は当然よ。この悪くて強い男の子を支配下に置く、沙織は相反する感情の狭間で、生涯で最高の歓喜に包まれていく。あれがわたしの求めるもの。はしたなくも躰がたぎる、股間から蜜が溢れ出す。直ぐにでも跪かせて足を舐めさせたい。歴史の猛者に紐をつけるのは、いつだって美少女なのだから。

 沙織は『魔力擬装』を解いて正々堂々とその身を晒す。胸のボタンに手をかけた。己が魔眼で虜にしてやる。

 

「決闘なんだから」

 

 

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