次こそゴッホちゃんの書くので許して
リンボとぐだ子のエッチなやつでリンボが頭から離れなくなったの!
ちょっと修正しました
「…………ここは…………」
レイシフトの光から抜けると、真っ暗な街に出る。
そこは澱んだ空気に満ちていて、何かがおかしい、と素人の私でも感じ取れるものだった。
それも当然だろう。
ここは西暦1008年の日本・平安京。
異星の使徒、アルターエゴ・リンボが座する特異点なのだから。
「…………はぐれちゃったかな」
辺りを見回すと、一緒にレイシフトしたはずのマシュや段像さん、小太郎くんの姿が無い。
どうやら、レイシフトする際に逸れてしまったらしい。
…………あるいは、リンボが彼女達を弾いたのか。
異星の使徒として私達を何度も苦しめたリンボの事だ。
そういう事が出来ても、おかしくはないだろう。
そう考えると、敵地に1人で放り出されてしまったかもしれないと考えが浮かんでしまい、弱気が顔を見せる。
「…………落ち着こう。まだ、そうと決まったわけじゃない」
弱気は毒だ。
侵されたら出来ることも出来なくなってしまう。
だから弱気を振り切る為、自分に言い聞かせて深呼吸する。
何回かそうしている内に逸る心が落ち着いて、フラットな気持ちになる。
「…………よし。まずは、人を探そう!」
じっとしているとまた弱気が鎌をもたげそうだったので、とりあえず動く事にする。
とにもかくにも誰かに会ってみよう。
もしかしたら、段像さん達に会えるかもしれないし。
そもそも、よくよく思い返してみたら私1人だけ、なんてことはよくあったしね!
などと若干自棄の入った思考をしながら夜道を歩く。
凡そ千年前の日本、当然電気の光などというものは存在せず、礼装の補助を借りながら暗い道を恐る恐る進んでいく。
──────ギギッ
「へ?」
その時、何かの鳴き声が背後から響く。
恐る恐る振り返ると、そこには。
「…………っ」
蜘蛛に人がくっついた様な異形の化け物が複数、私を襲わんとその鎌を持ち上げていた。
「っ、まず…………っ」
慌ててサーヴァント達を呼ぼうとするが、彼らが現れるより鎌が振り下ろされる方が早い。
そのまま、なす術もなく切り裂かれる瞬間─────
「そぅれ」
聞き覚えのある声が響くと共に、蜘蛛が纏めて潰された。
「全く、この様な時に一人で夜回とは…………」
蜘蛛を潰した声は呆れた様な口振りで、私の方へ向かってくる。
しかし、私はそれに反応出来なかった。
怪しい者が近づいてくる以上の驚きに、身体を支配されてしまっていたからだ。
だって──────
「アルターエゴ・リンボ…………っ⁉︎」
その声の主は、この特異点の主である、アルターエゴ・リンボそのものだったのだから。
「はて? リンボ? それは誰の事ですかな? 拙僧は蘆屋道満。ただの法師陰陽師に御座います。リンボなどとは、呼ばれた事もありませぬが…………」
「蘆屋…………道満…………?」
「はい。…………ふむ。見慣れぬ衣を纏っている様ですが、もしや以前、どこかでお会いしましたかな?」
リンボ…………いや、蘆屋道満が惚けた様な口振りで首を傾げる。
その態度に思わず食い掛かりそうになったが、その直前に思い出す。
ここは、西暦1008年の平安京であると。
この時代の平安京は、金時や頼光さん達が活躍した時代だという。
それはつまり、彼ら源氏と同時期に活躍したと言われるこの陰陽師も──────
「…………まさか、本人?」
そこまで思い至った瞬間、思わず言葉が口から漏れてしまう。
「本人? ふふ、おかしな事をおっしゃる御仁ですな。まるで拙僧の偽物に出会った事のある様な口振りではないですか。…………ふむ、成程? それなら貴女がそのような怪訝な顔をされる辻褄も合うというもの。全く、この様な御仁に迷惑を掛ける偽物まで出るとは…………拙僧も嫌われたものですな」
しかし蘆屋道満はそれを気にした素振りも見せず、むしろ自嘲気味に笑い飛ばす。
それは私の知るリンボとは明らかに違う態度で、脳が混乱する。
「さて、拙僧の偽物が何をしでかしたのか気になるところですが…………今日はもう遅い。家まで送って差し上げましょう。どの方でしょうか?」
混乱の中、蘆屋道満がそう宣う。
明らかに怪しい状況だったが、私に断る道は無かった。
ただ歩いているだけで、蜘蛛のような化け物が音も無く迫ってくるのだ。
私1人だけでは、あっという間に餌にされてしまうだろう。
その様な状況で、蘆屋道満の提案を受け入れる以外の選択肢はなかった。
蘆屋道満がリンボの偽装で、頷けばリンボの手の内になるかもしれないとしてもだ。
それでも私は、可能性のある方を選ぶしかない。
「…………もしや、家が無いのでしょうか? …………ふむ。致し方ありませんな、それでは拙僧の家に案内しましょう。その見慣れぬ衣からして、高貴な方とお見受けしますが、どうかご容赦を。拙僧、ただの法師陰陽師にて」
あれこれ考えていると、勘違いしたのか蘆屋道満が追加の提案をしてくる。
それはもう罠にしても見え見えすぎるお粗末な誘いだったが、私に受け入れる以外の道は無い。
「…………わかり、ました…………お願い、します…………道満さん」
蘆屋道満の言葉に頷くと共に、礼装起動の準備をする。
せめてリンボが仕掛ける前にこの時代にいるはずの金時達に会えるようにと祈りながら。
その祈りを叶えるための時間稼ぎが出来るようにと、身体に力を込める。
しかし。
「ええ、はい──────しっかりと案内致しましょうぞ、カルデアのマスター殿?」
「───ッ」
私の想定は、どこまでも甘かった。
道満が言葉を発した瞬間、身体の自由が奪われた。
「ン、ンン──────あっさりと捕まりましたなぁ、カルデアのマスター、立香よ。敵の言葉に頷いて呪を受け入れるとは、拙僧、拍子抜けですぞ?」
「やっ、ぱり…………リンボ…………ッ」
「ええ、はい。法師陰陽師、蘆屋道満など嘘にて! この身は既に、アルターエゴ・リンボなれば!」
聞き慣れた声色に変えた蘆屋道満…………いや、リンボが、顔を嘲笑に歪めながら哄笑する。
想定していたとはいえ、予想以上に早い移り変わりに私は対応出来ず、あっさりとリンボに抱き抱えられる。
「何をする、つもり…………っ⁉︎」
「案内すると言ったではありませぬか」
リンボはそう言うと、自由を奪われて抵抗出来ない私を抱えたまま、どこかへ歩を進めていく。
都から離れた、何処かに。
「着きましたぞカルデアのマスター。ここが拙僧の拠点なれば」
リンボに抱き抱えられて連れてこられたのは、都から離れた、人の気配が無い場所にある社だった。
リンボは勝手知ったるとばかりに本殿の扉を開けて私を床に座らせると、その対面に来るようにどかっと腰掛けた。
同時に身体の自由が戻るが、逃げ出そうという気は、起きなかった。
「ンンン…………賢明ですな、カルデアのマスターよ。もし逃げ出そうものなら、そのそっ首、へし折っていたでしょうな」
「…………じゃあ、そうすれば良いじゃない」
何処からか取り出した盃にトクトクと何かを注ぎながら予想通りの物騒な事を言うリンボに眉を顰めながら、何故殺さないのかという疑問を暗に投げる。
「おお、カルデアのマスターよ! 全く、なんと無粋な事か! そのような事…………勿体無いでは御座いませぬか!」
「勿体無い?」
「左様にて! ただ殺す…………成程、確かにそれはそれで胸の空く事でありましょう。しかし、拙僧には物足りなければ! 拙僧を満たすのは、恐怖に咽び泣く甘美な声であれば! ンフフフフ…………故に、どうか変な気は起こされぬよう、カルデアのマスターよ」
「…………」
知ってはいたが、相変わらず最悪なリンボの言葉に顔を顰める。
「ンン───良いですねぇ、貴女のその顔、趣向を凝らした甲斐がありましたなぁ。ですが、余興はまだまだこれからですぞ?」
薄い笑みを貼り付けたリンボが、盃をこちらに回す。
「さて、この様な場所におられましては、マスター殿も随分疲れたでしょう。であれば、これを…………疲労回復、疾病快癒、元気溌溂と3点揃った拙僧特製の薬湯なれば」
リンボが薬湯と宣うその盃には毒々しい色の液体が満ちていて、とても薬とは思えない様相を醸している。
その上、何やら強烈な刺激臭がこちらの鼻腔を刺激して、咽込んでしまう。
危険物だと自分からアピールしている様なその盃から遠ざかろうと、無意識に身体が後退る。
すると。
「おやぁ? もしや、カルデアのマスター殿は拙僧の薬湯をお飲みになられない? いけませんなぁ…………拙僧は、ただ貴女の事を思っているだけだと言いますのに。その様な不心得者には、こう、ですぞ?」
「あが…………っ⁉︎」
目にも止まらぬ速さで私に近づいてきたリンボに、顎を掴まれる。
美しき肉食獣を自称する通りの美貌と目が合うが、心に湧くのは恐怖と嫌悪だけだった。
リンボの手はその巨躯に見合ったもので、私の顔などすっぽり覆えてしまいそうな程だった。
それ程に大きな手が、私の口を抉じ開けようとする。
当然、その力に対抗する事など出来ず、苦悶と共に口が抉じ開けられる。
「ンンンンン───では、拙僧が直接注いであげまする。何、良薬は口に苦しというもの。少々口に合わなかろうが、きっと貴女も喜ぶでしょう」
「ひゃ、め、ろ…………っ!」
「ンン? 聞こえませぬなぁ…………」
開いた片手でリンボが盃を掴み、私の口に近づける。
せめてもの抵抗に睨みつけるが、当然意味は無く。
「…………っ⁉︎」
あっさりと、盃に満ちる毒を流し込まれた。
毒が口の中に触れた瞬間、電流を流された様な刺激が舌を蹂躙する。
それは飲み込むまいと身構えてた身体の力を一瞬で奪い取る程の刺激で、脱力した喉に毒が容赦なく流れ込んでくる。
「拙僧の薬湯、如何ですかな? 気に入っていただけましたかな?」
「がぼ、ごぼ…………っ」
「ふむ、どうやら気に入って頂けた様子。これは僥倖にて…………では、もっともっと注ぎましょうや!」
溺れる程の毒を盃から流し込まれ苦悶の声が漏れるが、リンボはそれが心地よいとばかりに薄い笑みを深め、毒を流し込む。
やがてリンボが盃を離した頃、私は息も絶え絶えの有様と化していた。
「ゲホ、ゲホ…………ッ」
「おや、まあ。あれほど嫌がっていらしたのに、咽せるほど飲み干して頂けるとは。まっこと、卑しいとしか言いようのない性根ですが、拙僧は嬉しいですぞ?」
無理矢理流し込まれたせいで咽せる私を見下しながら、リンボが好き勝手な事を言う。
「だれ、の、せいで…………っ⁉︎」
それに対して反論しようとした時、全身に痺れが走る。
それは先程舌に流れた電流よりも強く、座る事すら出来ない程のものだった。
脱力した身体が、床に土下座する様に倒れ込んでしまう。
毒の類は私には効かない。
ならば恐らく呪いか何かの類だと思って痺れた舌で礼装を起動しようとする。
「…………っ、礼装、起動…………『イシ、スのあ、「おおっと」m…………ッ⁉︎」
その瞬間、リンボに令呪の刻まれた右手を踏まれ、その痛みで術式の起動を中断させられた。
「そう云えば、いつぞやの下総では、それに煮湯を飲まされたものですなぁ。まあ最も、先程飲んで頂いた薬湯は薬湯であるが故に、その様な解呪の術式など意味はありませぬが…………拙僧の心遣いをこうも拒まれては傷つくというもの。そのような無粋な衣は、剥ぎ取ってしまいしょうか」
リンボが背後に回り込み、ぐったり力の抜けた私を抱き上げる。
それは胡座をかいたリンボに私が腰掛けている様な体勢だった。
まるでリンボに包まれている様な感覚になり、嫌悪で身体が震える。
そんな私をよそにリンボが長い爪の生えた両手を礼装に回し、ボタンに手をかける。
「やめ、ろ…………っ」
何をされるかわかった私は声を荒らげるが、歯向かう力を奪われた私の言葉に力など無く。
為す術もなく、リンボの爪が礼装を解いていく。
それは嫌らしい程に丁寧でゆっくりな解き方で、私に力の差をわからせている様だった。
嬲るようなその解体作業に、否応無く心が恐怖で歪んでいく。
やがてリンボが解体作業を終わらせた時、私の身には何も残されていなかった。
完全に抵抗する力を奪われて、恐怖が最高潮に高まる。
決壊しそうな恐怖を抑えようとして、呼吸が荒くなる。
「ンン──────良いですねぇ。甘露甘露!」
恐怖に抗う私をリンボが嘲笑いながら、更に私を抱きしめる。
それはまるで恋人にやる様に優しい抱擁だったが、私にとっては恐怖と嫌悪を強めるだけ。
思考が乱れ、余計に呼吸が荒くなる。
「しかし──────まだ足りませぬなぁ。ええ、はい。全然足りませぬ。ンッフフフフ…………流石カルデアのマスター殿。この程度では、恐怖に咽び泣き、惨めな命乞いをするほどでも無いと。嗚呼素晴らしきかな! その様に気高くある心を手折る事こそ、拙僧の求める美酒なれば! 拙僧も昂ってきましたぞ…………!」
「ぃ…………っ⁉︎」
そんな私に気を良くしたのか、リンボが抱擁を更に激しくする。
それは無防備なお腹に爪が食い込む程の激しさで、思わず苦悶が漏れる。
ぐにぐにと、まるで腹を引き裂かんとする様な爪の動きに、冷たいものが背筋を走る。
「ンッフフフフフ…………それでは、手始めにここから弄り回すとしましょうか…………どうか、壊れないでくださいね?」
「あ、ぎ…………っ⁉︎」
リンボの爪に恐怖で硬直していると、更なる苦痛がお腹を襲う。
未だ痺れる身体を振り絞り、視線を下ろすとそこには。
「なに、こ、れ…………っ⁉︎」
リンボの爪が下腹部…………丁度子宮の辺りに食い込んだ、私のお腹があった。
大事な場所を抉られた衝撃に、頭から血の気が引く。
「ンフフフフ…………ご安心めされよ。貴女を殺すなどという勿体無い事は致しませぬ。拙僧の思うまま、愛して差し上げる…………」
「いぎっ⁉︎」
取り乱す私をよそに、リンボが子宮を弄る。
爪が動く度に子宮から鈍い痛みが走り、何かが穢される感覚が走る。
それが心を揺らし、思考力を奪い去る。
腹を貫かれているのに、この程度の痛みで済んでる事や、血が流れていない事に気づかない程に。
「そう──────愛して差し上げる。ええ、はい。まあ、異形の胎として、ですが。そのために、子宮を弄り回しますが…………構いませぬよなぁ? もう人の子など産めなくなりますが、構いませぬよなぁ? フフフフフ…………」
「──────」
揺れる心に追い討ちを掛けるように、リンボが耳元で囁く。
気づくと、リンボが弄り回すお腹には五芒星の紋様が刻まれていた。
それはリンボの言葉を裏付けるには十分な証拠で、恐怖を抑えていた理性に罅が入る。
子宮という大事な場所を壊されるのでは無く、化け物を育てる胎へと作り変えられるという恐怖が、理性を砕いていく。
「い、いや…………やめ、て…………」
一度罅が入ってしまえば決壊するのは一瞬で、溢れた恐怖が本能を突き動かす。
自分でも驚く程にか細い声が口から漏れ、視界がグラつく。
「ンンンンン──────言ったではありませぬか。愛して差し上げる、と。それにしても、この程度で音を上げるとは…………些か拍子抜けですなぁ、カルデアのマスターよ! 本番は、まだまだこれからだと言うのに!」
当然ながら私の懇願は意味を為さず、リンボが更に子宮を弄り回す。
しかし、先程まであった鈍い痛みを感じる事はなかった。
「ぁ、ぃ…………っ?」
むしろそれは快楽のような甘い感覚で、弄られる度に上擦った声が漏れる。
「ンッフフフフフフ…………どうやら、我が呪を以った肉体の改造、功を奏した様で。おめでとう御座います、カルデアのマスター! これからずっと、拙僧が愛してあげますからねぇ…………」
リンボが嘲弄に塗れた祝福をあげると共に、爪を引き抜く。
あれほど抉られ弄くり回されたはずなのに、お腹には五芒星の紋様以外、傷一つ無かった。
「あ、あぁ…………っ」
それが先程の快楽の様な感覚と合わせて、リンボの呪いで子宮を改造されたという実感を強くして絶望が私の心に染み込んでいく。
「ンンンンン──────甘露甘露! ですが、物足りませぬ。物足りませぬなぁ! 嗚呼いけませぬ、その様にか細い声などを出されては! 拙僧も更に昂ってしまうというもの…………!」
「ひ…………っ」
追い討ちを掛けるように、背中に何か熱く硬いモノが当たる。
「さあ、たっぷりと愛してあげますからねぇ…………」
それは、リンボの男根だった。
私が知識で知っているイメージのものよりも遥かに大きいそれに、恐怖が一層強まってくる。
何故なら、その男根は肉の槍と言った方が適していると言わんばかりの凶悪な形をしていて、私の身体に収まるとは到底思えなかったからだ
無理矢理捩じ込まれたら、裂けてしまうだろうと直感する。
「やだ…………っ…………やめ、て…………っ」
あまりの恐怖から、子供じみた懇願の声が漏れる。
「ンッフフフフ…………さて、どうしましょうかねぇ…………では、貴女のお願いを聞く対価として拙僧の言う事を聞いて貰いましょうかねぇ…………そう、例えば『拙僧に二度と逆らわない』というのは如何かな?」
「…………っ」
しかし、リンボの言葉でギリギリの場所で踏み止まる。
リンボの甘言は、実質的な降伏勧告だ。
それだけは、認められない。
実質的な敗北に追い込まれても、自分で敗北を認める事だけは、絶対に嫌だ。
だって、それは──────今まで出会ってきた、あらゆる人達への冒涜だからだ。
「──────嗚呼、成程。貴女はその様であると! 恐怖に怯え、咽び泣けど、折れる事だけは認められないと! ンフフフ、その様な在り方、益々昂ってしまうではありませぬか…………ええ、はい。その心を、砕いて壊す日が楽しみでなりませぬなぁ…………!」
甘言を蹴った私に、リンボが喜色を強める。
そして。
「い、ぎ…………っ…………が…………っ」
強烈な激痛と共に、リンボの肉槍が私の膣内に捩じ込まれた。
肉が裂け、破瓜の血が溢れでる。
「おやぁ? まさか生娘だったとは…………これは申し訳ない事をしましたなぁ、てっきり既にカルデアの誰彼とまぐわっていたのかと…………お詫びに、この拙僧がたっぷりと愛して差し上げましょう」
「こ、の…………さい、てい…………ぎっ⁉︎」
私だけならともかく、カルデアの皆を嘲笑うリンボの言葉に怒りが湧き上がるも、激痛で掻き消される。
そんな私にお構いなくリンボは好き勝手に動き、私の身体を貪っていく。
激痛は留まることを知らず、気絶しそうな程の苦しみが私を襲う。
それは本当に身体を喰われているような苦痛で、呼吸すらもどかしい程だった。
しかし、リンボの責めはそれだけでは止まらなかった。
「あ、ぎ…………っ…………が、ぐ…………ぁ…………っ?」
苦痛に喘ぐ私のお腹に、リンボが手を翳す。
すると、脳を締め付ける様な苦痛が徐々に消えていく。
代わりに、先程子宮を弄られていた時に感じた快楽が脳に伝わってきた。
「…………く、ぁ…………っ…………ぃ…………っ」
それに伴い、口から溢れる苦悶が嬌声混じりの上擦った声に変わっていく。
快楽は時が経つほどに強く明確になっていき、それに合わせて身体が快楽に悦び始める。
「ンッフフフフ…………どうされましたかな? その様な声をあげて…………まるで拙僧に媚びてる様ではありませぬか」
「…………っ、だれ、が…………ぁ、く…………っ」
リンボが私の声の変化を愉しそうに詰る。
当然否定するが、身体を侵す快楽が消える事はない。
むしろより鮮明になり、私を責め立てる。
「ええ、はい。そうでしょうとも! まさか人理の守護者であるカルデアのマスター殿が、人理の敵に犯され悦ぶ、などという恥知らずな者であろうはずがありませぬからなぁ!」
「ぃ、ひっ⁉︎」
リンボが肉槍で膣奥を突き上げる。
内臓を押し上げられる様な不快感と共に、強烈な快楽を叩き込まれ、抑えきれない嬌声が響いた。
「…………はて、それではこれはどう云う事ですかな? 拙僧の眼には、快楽に悦ぶ恥知らずな貴女が写っておりますが…………」
「…………それは、おま、えが…………ぃ…………っ」
快楽になど悦んでいない。
リンボへの嫌悪と恐怖は全く衰えてないし、むしろ強まるばかりだ。
しかし身体は私の思い通りにならず、言葉とは裏腹に快楽に悦ぶ情けない様を晒してしまう。
「嗚呼、そうでした。そう云えばそうでした。拙僧が弄り回したのでしたな。ンンン、これは失敬。流石カルデアのマスター殿。拙僧の魔羅に心から感じるなど、貴女にはありえぬ事でしたなぁ!」
「ぃ、が…………っ⁉︎」
リンボが再び膣奥を突き上げる。
しかし、それは先程とは桁違いの快楽を私に伝えてきた。
想定外の快楽に、獣の様な声が響き渡る。
「おや? 先程と反応が違いますなぁ…………成程、そこが良い、と。良いですぞ、思う存分嬲って差し上げる」
「ち、が…………っ」
自分の弱点となる性感帯を見つけられた事に嫌な予感がして慌てて否定するが、意味はなかった。
同じ場所を突き上げられ、また深い快楽を叩きつけられる。
だが、今度はそれだけには留まらなかった。
「ぁ、ぃ…………っ? あっ、あぁああぁあっ⁉︎」
快楽を叩きつけられた瞬間、何かが破裂した様に更に強烈な快楽が身体を襲う。
痺れて動けない筈の身体が跳ねる程のそれが、脊髄と脳を灼く。
「ンッフフフフ…………嘘はいけませぬぞ? この様に、絶頂してるではありませぬか」
リンボの言葉で絶頂させられたと遅まきながら理解するが、それは何の慰めにもならない。
むしろリンボに、私を嬲るための格好の鞭を与えてしまったようなものだ。
「嗚呼、いけませぬなぁ…………その様な態度を取られると、ますます昂ってしまいますぞ」
そして、地獄が始まる。
「そこ、こする、な…………ぁっ、あぁあぁっああっ!」
「成程、ここも良い、と。ンッフフフフ…………全く、その気高き御心とは裏腹に、随分な恥知らずな身体ですなぁ!」
肉の槍と見紛う程に凶悪なリンボの雁首が膣壁を引っ掻き、更なる快楽を叩き込む。
それは一度絶頂させられて快楽を認識させられた身体にとっては毒と言えるほどのモノで、呆気なく絶頂させられてしまう。
「ンン───? 成程、先程から静かだと思えば口を噛んでおられましたか。全く、その様な事などせずとも良いモノを…………」
「ひゃめ、れ、ひぃ、ぁああっ!」
口の肉を噛んで痛みで快楽を抑えようとするが、あっさりとリンボに見抜かれ、口をリンボの指で弄られる。
痛みがあっても耐え難い快楽に痛みを奪われて耐えられるはずがなく、情けない嬌声をあげさせられるだけになる。
「そう云えば、ここは弄っておりませんでしたなぁ…………ンフフ、なればここで感じる事なぞ、ありえませぬなぁ。何せ拙僧が弄り回したのは、貴女の胎だけなれば!」
「やめ、いじらな、あっ、あぅ、あぁああっ!」
「ンン───困りましたなぁ。拙僧は何もしてないと云うのに…………その様な有様では、元から貴女が淫猥だったと思うしか無いですぞ?」
リンボが乳首を弄り回す。
リンボの言う通り、確かに乳首はリンボの手が及んでいなかった。
しかしリンボに貪られ続けて身体が馬鹿になっているのか、乱暴に弄られてるのにも関わらず快楽が私を襲う。
その醜態をリンボに詰られ、羞恥で更に快楽が強まっていく。
その様にリンボに貪られ、時間感覚も忘れる程に快楽を全身に叩き込まれていると。
「ンンンンン─────そろそろ、拙僧の魔羅も限界の様で。ンフフフ…………で、あれば。貴女の胎に注ぐ事にしましょうか」
リンボがその様な事を言い、より奥に肉槍を捩じ込んでくる。
それはつまり、膣内に射精されるという事で。
化け物を孕まされるという恐怖に、快楽に茹った身体の血の気が引く。
「いやぁ、やめれ、あっああああ!」
我に帰って静止する様懇願するが、快楽に掻き消される。
「ンッフフフフ…………事もあろうにやめろとは、何を仰るか。貴女の胎は、拙僧の魔羅を咥えて離さぬと叫んでいるではありませんか。それにほら、この通り…………」
「あ、あぅ、あ、ああああっ!」
リンボが肉槍を突き上げ、嬌声以外出せなくさせられる。
しかしそれは先程よりかは小さい突き上げで、実感させられる。
「貴女の胎も、拙僧の魔羅を食わんと口を開けているでは無いですか」
リンボとの交わりで、私の身体が意思を離れて孕む用意をしてる事に。
「ちが、そんな、いや、ひぃ、ぁあっ、あぅ、あっああ!」
首を振ってその現実を否定しようとするが、意味は無く。
「ンンンンン───では、望み通り注いであげますので、一滴たりとも溢してはいけませぬぞ?」
「っ、あっ、ああああああああっ!」
灼けるような熱が、子宮を埋め尽くした。
リンボの魔羅から吐き出された精液が、子宮という杯を犯していく。
それは頭が真っ白になる様な快楽で、今までで一番の嬌声を上げながら身体が絶頂する。
同時に孕まされたという絶望的な直感が脳をよぎり、心の壁に罅が走る。
「あ、ああ…………」
異形を孕まされた絶望に、心が軋みを上げる。
「ンンンンン〜! 良いですねえ、カルデアのマスターよ! それこそ、拙僧が求めた甘露なれば!」
リンボが私の様子を嘲笑いながら、魔羅を引き抜く。
そして。
「──────では、確実に孕む様にあと数度程、注ぎましょうか」
処女を奪った時と同じ様に、再び膣内にその肉槍を突き立てた。
「──────え? …………あ、ああッ⁉︎いやぁ! あっ、あぁあああぁっ!」
リンボの言葉に呆けるのも束の間、肉槍が膣内を満たす。
深い絶頂を迎えたせいで敏感になった身体を、リンボによる快楽が蹂躙する。
それは快楽と共に更なる絶望を呼び、心を更に軋ませる。
軋んだ心はやがて限界を迎え、これ以上現実を見たく無いと瞳を閉じる。
意識が落ち、視界が暗くなる。
「ンッフフフフ…………ちゃあんと、愛してあげますからねぇ…………」
絶望を呼ぶ、リンボの声を最後に聞きながら。
「────お目覚めを、カルデアのマスター殿」
「ん、んん…………」
誰かの声で意識が闇から浮上する。
どうやらレイシフトの衝撃で気絶してしまったらしい。
そのせいか、カルデアを出てからの記憶が曖昧だ。
多分現地の人に助けられたのかな。
とりあえず、お礼を言わなきゃ。
そう思って起きようとすると、違和感に気づく。
手足が、動かない。
まるで何かに掴まれているかの様に、力を込めてもびくともしない。
それに、お腹が重い。
一体何が、と恐る恐る目を開けると。
「ンッフフフフ…………無事目覚めた様で、何よりです。あのまま死なれては、生殺しにも程がありますので」
「っ、リンボ…………」
私達を幾度となく苦しめた怪人、アルターエゴ・リンボがいた。
そして。
「あ、ああああああっ…………」
リンボの顔を見た瞬間、何をされてしまったのかを全て思い出してしまう。
見れば、私の身体は肉の壁の様な何かに埋め込まれていて、胴体と頭だけが露出している状態だった。
そして、露出しているお腹は不自然に膨らんでいた。
「ンンンンン───どうやら無事思い出された様で。ええ、はい。喜ばれよ! 拙僧と貴女の愛の結晶は無事、形を成しましたとも!」
「なに、が…………!」
リンボが大仰な仕草で手を合わせ、異形の懐妊を言祝ぐ。
しかし私にそれが喜べるはずもなく、深い絶望に心がまた軋む。
「おや…………あれほど悦んでいたというのに。いえ、そう云えば拙僧が弄り回したせい、という体でしたな」
「さわ、ら、ない、…………ぃっ⁉︎」
リンボがわざとらしく怪訝な顔をしながら、膨らんだお腹を撫で回す。
すると、唐突に快楽が私を襲う。
「であれば、その様なものはさっさと産み落としてしまおうか。何、安心めされよ、拙僧は貴女を愛しておりますが故に、苦痛などは味わませぬぞ?」
「あが、あっ、あああああっ⁉︎」
リンボがお腹を撫で回し終わった後、子宮で何かが蠢く。
それは未知の快楽で、身体を拘束されて動けない分余計に快楽が強まっていく。
そして。
「やめっ、でないで、あっ、あぅ、あぁあぁああっ!」
頭が真っ白になるほどの快楽で絶頂すると共に、胎から何かが産まれ落ちた。
しかも一つだけではなく、何度も何かが産道を通り、私を絶頂に叩き込む。
「ンンンンン…………成程、成程。貴女の胎からはこの様なモノが生まれると…………」
やがて絶頂が収まった時、リンボが私の産み落とした異形を見せつける。
「…………っ」
それは蟲の様な悍ましい何かだった。
この様なものが私の胎から産まれ落ちた事に、発狂しそうな程の恐怖が身を襲う。
しかし、地獄はそれだけでは終わらなかった。
「ンッフフフフ…………ハハハハハ! 随分と弱いものですねぇ! いえ、それも当然哉! 何せお前は礼装無しでは何も出来ない小娘であるが故なぁ! 儂が心を砕いても、この程度か!」
「っ、何を、言って…………」
リンボが訳のわからない事を言い、蟲達を掴み上げる。
そして。
「この様なもの、何の役にも立ちまいよ! ──────ええ、はい。役に立つ事なぞ。ですので、餌にしてしまいましょう」
どこからか現れた蛙の様な化け物の口に、蟲達を放り投げた。
「──────」
ボリボリと、蟲達が咀嚼される音が響く。
それは、望まれぬとは云え私の産み落とした命が消費される音で。
「あ、あああああああああ────!」
命をあっさりと踏み潰された絶望に、ひび割れた慟哭が喉を突く。
「ンンンンン───無用とは失礼な物言いでしたな。どうやら餌としてはそれなりの様で」
「リン、ボ…………!」
酷薄に笑うリンボに、悲しみと怒りの混ざったドス黒い感情が湧き上がる。
「ンッフフフフ…………嗚呼、それでこそ! それでこそ! 人理を救う、カルデアのマスターなれば!」
しかしリンボはそよ風とばかりに私の怒りを受け流し、貼り付けた様な笑みを更に深くする。
「──────その心、もう戻せぬ程に壊してあげましょう」
リンボが肉壁から私を引き抜き、勃起した魔羅を突き付ける。
「存分に怒ればよろしい。その怒りすらも枯れ果てるまで、拙僧が愛して差し上げる」
「やめ、ろ…………っ」
そして、異形を産み落とした胎に再び、リンボが肉槍を突き立てた。
──────数日後
「っ、また、出る…………やめ、て…………あ、ああ…………っ!」
幾度となくリンボに孕まされた胎から、また産まれ落ちようと蟲達が這いずる。
餌として消費されるために胎から出ようとする蟲達を必死に止めようとするが、意味は無く。
むしろ蟲達が与える快楽で絶頂してしまい、彼らの手助けをしてしまう。
そして産まれ落ちた蟲をリンボの式神達が餌として貪り食う。
ボリボリと咀嚼音が響き、命が消費される。
「…………っ」
その姿にまた何も出来なかったと無力感が私を襲い、心が軋む。
「ンッフフフフ…………いやはや、まさかあの様な使い道があるとは、物事というのは風の如きものですなぁ…………ねえ、カルデアのマスター?」
そんな私を嘲笑う様にリンボが現れ、貼り付けた笑みで語りかける。
「リン、ボ…………ッ!」
更に酷くなる軋みと共に、リンボへの怒りが燃え上がる。
「ンンンンン──────いけませぬ。その様な顔を向けられたら…………拙僧も、昂ってしまうではありませぬか」
「さい、あく…………っ」
相変わらずの悪辣な言に、怒りが更に吹き上がる。
それは今までの旅で感じた事の無い怒りで、憎悪と呼ぶのが相応しい程だった。
炎の様な憎悪が、快楽に喘ぐ身体を戒める。
「しかし──────こうも変わり映えしないと、少々飽きてくるものですなぁ」
その様にリンボへの憎悪に身を焼かれていると、リンボが妙な事を言い出す。
「いまさら、なにを…………っ」
今まで散々悪辣な事をやってきた癖に、まだ足りないのかと言外に吐き捨てる。
しかしリンボは私の憎悪など眼中にない様に言葉を続ける。
「いえね、思うのですよ? 助けも来ないこの状況で、何故貴女はそうまで怒れるのかと…………嗚呼、成程。そういう事でしたか。拙僧とした事が、これはうっかり。そうですなぁ! この時代にはまだ、彼らが御坐すものなぁ!」
「…………っ」
続く言葉は、私という小娘の内心を見抜いた、これ以上に無い一言だった。
そう──────私はまだ、諦めていない。
何故ならこの時代には、金時や頼光さんの様な、生前の彼らがいる。
例えカルデアの助けが無くとも、彼らならこの怪人の企みに気づくかもしれないという微かな可能性がある。
可能性がある以上、諦める事はできない。
だから私は、この絶望的な状況で、リンボへの憎悪を抱くという、極めてまともな思考が出来る。
それを見抜かれて、冷たいものが背中を走る。
「ンッフフフフ…………成程、それは道理というもの。しかし…………厄介ですなぁ。ええ、厄介です。何せ彼らがいる限り、貴女は折れないと云うのだから! この様な地獄でも、まだ物足りないとは! 何たる頑迷か! 例え彼らを目の前で縊り殺してやろうとも、折れないでしょうなぁその有様では!」
「…………っ」
大仰な仕草でリンボが叫び、私の顔を持ち上げ睨み付ける。
その顔は普段の貼り付いた笑みと違って、苛立ちの様なものが見て取れる顔だった。
しかしその顔は直ぐに消え、いつも通りの笑みに戻る。
「──────それでは、最初からやり直すとしましょう。今度はもっと徹底的に、劇的に、貴女の心を砕ける様に!」
そして、打って変わって異様に落ち着いた様子のリンボが、もう片方の手で私のお腹を弄り始める。
リンボの爪が、お腹に刻まれた五芒星を逆順になぞっていく。
すると、リンボに刻まれた五芒星が消えていってしまう。
「なんの、つもり…………っ」
意味不明なリンボの行動に理由を誰何するが、リンボが答える事はなく。
代わりに、視界が真っ白に染まっていく。
「では──────次はもっと素晴らしい地獄で、貴女をお迎えしましょうや」
その言葉を最後に、意識が純白に消えた。
「──────マスター! 起きてください、マスター!」
「う、ううん…………」
誰かに身体を揺すられている。
それは夢現だった意識を捉えて、肉体に引きずり下す。
「…………段蔵さん?」
「はい、段蔵に御座いまする、マスター」
目を開けると、そこには段蔵さんがいた。
どうやら、私は気絶してしまっていて、それを見つけた段蔵さんに膝枕か何かされていたらしい。
「うーん…………?」
何か、変な夢を見ていた様な。
目覚める前のことが、どうにも曖昧だ。
「マスター、どうかされましたか? ハッ、もしや、アルターエゴ・リンボの仕業…………⁉︎」
「リンボ…………?」
リンボって何だっけ。
何か引っ掛かる様な。
「マスター? しっかりしてください! ここは西暦1008年の日本・平安京。我らカルデアを幾度となく苦しめた、あのアルターエゴ・リンボの本拠地ではありませぬか!」
「あ…………」
そうか、リンボか。
あの下総から、インド異聞帯、ギリシャ異聞帯と私達を苦しめたあのリンボ。
そう、それを倒しに来たんだった。
「そう…………だったよね。うん、そうだった。心配かけてごめん」
「はぁ…………肝が冷えると思いました。いえ、段蔵は絡繰なのでそんな事はありませぬが」
「あはは…………」
ごめんごめんと笑いながら立ち上がる。
「えーと…………マシュと小太郎くんは?」
確かマシュと小太郎くんも一緒に来る予定だったはずだけど、辺りには段蔵さんしかいない。
「いえ、どうも逸れてしまったらしく…………」
「そっか。なら、まずは合流を目指そう」
「了解しました。カルデアとの通信も不能であるため、並行して調整していきますね」
「うん、お願い」
やるべき事を確認して、段蔵さんと一緒に平安の都を歩み出す。
アルターエゴ・リンボを倒すという目標の元に。
──────それから、生前の金時や頼光さんに四天王の綱さん、茨木童子や酒呑童子に会ったり、リンボが巻き起こした天覧聖杯戦争を金時と一緒に食い止めたりと色々な出来事を重ねて、私達はどうにかアルターエゴ・リンボを打倒した。
そして、アルターエゴ・リンボを打倒してから数日後。
「召喚サークルに反応?」
「ああ。えーと…………この反応は、アルターエゴクラスのサーヴァントだね。立香ちゃん、頼めるかい?」
「アルターエゴかぁ…………」
アルターエゴと聞いた瞬間、数日前の出来事が脳裏に浮かぶ。
そう、あの異星の使徒…………アルターエゴ・リンボの事だ。
タイミングとしては、正にピッタリだろう。
またあの悪辣な存在と顔を合わすのかと、考えるだけで心が重くなる。
「…………いやでも、記憶があるわけじゃないし。別にあいつが来るって決まったわけじゃないし」
とはいえ、サーヴァントは基本別人だ。
それにリンボが来ると決まった訳じゃない。
心配するには、まだ早いだろう。
「何か言ったかい?」
言い淀んだ私を心配したのか、ダ・ヴィンチちゃんが怪訝な顔を示す。
「あ、いや別に? 今回は誰が来るんだろうなーって」
「あー…………そういう事。手を焼いたからねえ、彼には。私でもそうなんだから、直接対峙した立香ちゃんはそうなるか」
どうやらダ・ヴィンチちゃんも同じ人物の事に考え至ったらしく、苦笑を返してきた。
そのままお互いに苦笑を送り合う。
そして、ひとしきり笑った後。
「それじゃあ、行ってきまーす…………」
「お願いねー!」
意を決して、召喚サークルの方に向かう。
そこには──────
「お初にお目に掛かります! 拙僧、真名を蘆屋道満と申す法師にて陰陽師。クラスは! アルターエゴ! はて? アルターエゴ。キャスターではなく? …………さて、奇妙なこともあったものですねえ。ともあれ。以後、よろしくお願いいたします。マスター」
「…………はぁ」
何というか、予想通りの存在がそこにいた。
ああでも、一つ違うとこがある。
それは、目の前にいる彼が…………リンボと名乗っていない、という事だ。
蘆屋道満。
それは彼の真名であり、平安京でもそう名乗っていた名前だ。
しかし、私達が対峙した彼は、リンボという名も名乗っていた。
記憶があるなら、そっちの方を名乗る筈。
「おや? 拙僧とマスターは、初対面の筈ですが…………何やら苦い顔のご様子。もしや、どこかで拙僧がご迷惑をお掛けしましたかな?」
「…………あーいや、気にしないで。別に貴方が悪い訳じゃないから。…………それと、一応確認なんだけど、リンボって言葉に心当たりある?」
「辺獄とな? はて、その様な言葉、知ってはおりますが心当たりとなりますととんと思い至らぬ次第で…………」
「…………そう」
リンボと聞いて怪訝な表情を浮かべる道満は、本当に心当たりが無いようで、しきりに首を傾げている。
どうやら、本当にリンボではなく、蘆屋道満その人らしい。
…………アルターエゴなのは、気になるけど。
「マスター? どうされましたかな?」
道満が声を掛けてくる。
どうやら、考え過ぎで彼の事が目に入ってなかったらしい。
「…………ごめん。ちょっと色々あって、考え込んじゃってた。知らないなら、それで良いよ」
「いえいえ…………マスターの様子を見るに、リンボと名乗った拙僧が余程迷惑をかけたご様子…………その拙僧の罪をなすりつけられるのは御免被りますが、その拙僧の影を拙僧に見てしまう程度なら致し方ないかと…………それでは改めて、これからよろしくお願いしますぞ、マスター」
「…………ありがとう。改めてよろしく、道満。それじゃあ、早速だけどカルデアの中を案内するね。どこに行こうかな…………」
流石に失礼だと思って謝罪すると、道満はリンボの時からは想像も付かない、落ち着いた態度で私の非礼を許してくれた。
これが道満法師本来の性なのだろうか。
そんな事を考えながら、カルデアに来た新しいサーヴァントを案内するための地図を開く。
「ええ、はい。本当に、よろしくお願いします…………」
──────地図を見る私の裏で、獣の様に笑う道満に気づかずに。
──────その日の夜。
「あ、ぐ…………っ⁉︎」
ズキズキと刺す様な激痛が、頭を襲った。
それは今まで感じた事の無い程の激痛で、頭が割れそうと錯覚する程のモノだった。
その激痛から逃れようと、ベッドの上でのたうち回っていると。
「あ、あぁ…………っ?」
ガチャン、と何かの鍵が開くような音が脳に響いた。
その瞬間。
「あ、ああああああっ…………」
リンボに犯された陵辱の記憶が、脳に溢れ出す。
リンボに子宮を弄くり回された記憶。
処女を奪われ、異形を孕まされた記憶。
そしてその異形を産まされ、目の前で喰われるという拷問を何度も繰り返された記憶。
「…………っぷ」
あまりにも衝撃的な記憶に、酸っぱいモノが込み上がってくる。
口を押さえ、どうにか堪えるが気持ち悪い感覚は消えなかった。
その時。
「おやおや、どうされましたかな、マスター?」
私に寄り添う様に、暗闇から道満が現れた。
「…………っ、リ、リンボ?」
しかし記憶のショックで混乱してる私にはそれは道満ではなくリンボに見え、恐怖と動揺で声が上擦る。
「いえいえ、拙僧はアルターエゴ・リンボなぞとは別人にございまして…………」
道満は私の勘違いを鷹揚に否定するが、同時に薄く笑っていた。
それはリンボが私に見せた貼り付けた様な笑みにそっくりで
「…………まさ、か」
根拠も何も無い直感が、最悪の答えを教えてくる。
「…………おや? ふむ、成程。気づかれましたか。ならばもはや隠す意味もありますまい。左様! 戯言にて! このアルターエゴ・蘆屋道満…………キャスター、或いはアルターエゴ・リンボとしての全ての『記録』を有しておりまする…………」
そして、目の前のリンボ/道満が、私の直感を裏付ける。
カルデアにリンボがいるという、余りにも最悪な状況に、恐怖で奥歯がガチガチと震え上がる。
「しかし、嗚呼、どうかご安心を! 拙僧が持ち得るモノ、記録にあって記憶に非ず…………異星の神とは既に『切れて』御座いますれば、ここにいる拙僧は、骨の髄まで貴女のサーヴァントにて…………」
私の混乱を他所に、わざとらしく道満が恭しい礼を取る。
しかしリンボのその様な態度など、信頼できるはずがない。
「だれ、か…………そうだ、マシュ…………」
混乱した私は、道満を追い出すためにマシュや他の誰かを呼ぼうとする。
しかし。
「おぉっと」
リンボに腕を掴まれ、端末に伸ばす手を止められる。
「はなして…………いや…………っ」
「何、信じられぬとあらば、首を掻き切ってもらっても結構ですが…………今は都合が悪く。どうか落ち着かれよ、我が主」
パニックになった私は暴れるが、道満の体格に適うはずもなく、抑え込まれて無理矢理鎮静化させられる。
「さて、落ち着かれた様で…………」
「…………何が、目的なの」
道満によって無理矢理鎮静化させられた私は、若干の恐怖を持ちながらも、道満の膝の間にすっぽりと収まっていた。
恐怖に混乱していた時はわからなかったが、改めて考えてみると何となく、道満にリンボと違うものを感じたからだ。
「いえ、何…………拙僧はただ、後始末をしにきただけなれば」
「…………後始末?」
「はい」
後始末って何? と疑問符を巡らせていると、道満がいきなりお腹を捲る。
何を、と言おうとした瞬間、お腹に走るドス黒い五芒星が目に入った。
「なに、これ…………」
確かにリンボの陵辱で私は五芒星の呪いを刻まれたが、ここまでドス黒い色はしていなかった筈だ。
「ンンンンン──────危ないところでしたねぇ、マスター? アルターエゴ・リンボたる拙僧の呪い…………どうやら拙僧が滅びた後も、姿を隠して続いていた様で。このまま放置していれば、いずれマスターの身を腐らせてしまっていたでしょう」
道満が説明しながら、五芒星を爪でなぞる。
するとドス黒かった五芒星の色がどんどん薄くなっていく。
「まさか、後始末って…………」
「はい。拙僧、記録こそ持てど記憶は無ければ。道満であれど、リンボなるモノではなく。故に、リンボの呪いなど認められず」
つまり、リンボのケジメをつけに来た、という事らしい。
都合が悪い、とはそういう事か、と納得し、リンボと道満は別人であると実感する。
しかし。
「ええ、はい。これで完了です。これで──────この呪いの主は、拙僧へと」
「──────え?」
その気持ちは、道満の言葉で裏切られる。
同時に、薄くなっていった五芒星が再びくっきりとした色で刻まれる。
「ンッフフフフ…………言ったではありませぬか。愛して差し上げる、と。記憶でなく記録の言葉なれど、この道満にとってもその想いは変わらず。故に、拙僧の手で、マスターを存分に愛して差し上げましょう」
「なに、を…………」
さっきまでとまるで別人の様な道満の態度に、頭が混乱して追いつかない。
「ご安心めされよ。リンボの記憶なぞ、拙僧の手で全て上書いて差し上げる。そして、その上で…………マスターの心を、丁寧に喰うてくれようぞ」
「──────」
…………ああ、やっとわかった。
リンボと道満は、確かに別人だ。
しかし、それだけだ。
その悪の本質に、違いなんてないのだ。
しかし、それは情勢を変えるには遅すぎる悟りだった。
「嗚呼、助けを呼ぶならご自由にどうぞ? ここは地獄界曼荼羅ではなく、カルデアなれば。誰か助けに来るかもしれませぬぞ?」
道満が挑発するように耳元で囁くが、私の耳には届かなかった。
道満の言う通りここは地獄界曼荼羅ではなくカルデアで、味方になるサーヴァント達が沢山いる。
だからこそ、道満に全てを握られたという絶望が色を濃くして私を喰らう。
もう逃げる事は出来ない。
そう本能で理解する。
そしてそれは、助けを呼ぶという希望を塗り潰すには十分な絶望だった。
「あ…………」
絶望が、全てを黒く染めていく。
記憶の中にあるリンボへの憎悪すらも、絶望に塗り潰されて消えていく。
リンボへの憎悪は希望の裏返しだった。
しかし希望が絶望に負けた以上、憎悪もまた絶望に抗う事は出来ない。
『では──────次はもっと素晴らしい地獄で、貴女をお迎えしましょうや』
リンボの言葉が、脳に響く。
きっとアレは、地獄界曼荼羅で改めて私を迎え討つという意味だったのだろう。
でも、今の私にとってはこの状況こそが新しい地獄だ。
これこそが…………リンボの言う、素晴らしい地獄だったのだ。
その思考を最後に、心が絶望で染まり切る。
より深く、より純粋な黒の絶望に。
「ンッフフフフ────それでは、その様に」
黙り込む私に納得したのか、道満が服を脱がす。
そして顕になった秘部に、道満の熱り勃った肉槍が捩じ込まれる。
絶望と共に、目の前が闇に包まれた。
リンボとぐだ子の体格差好き