※この作品はR-18です。

夫の隠し事、娘の進学、そして互いは未来を想像する   作:木桜 春雨

3 / 3
共謀と共犯者、ある男と娘は企て、選択をした

 その日、担任から彼女は呼び止められた、以前の彼女なら驚いたかもしれない、だが今は違う、頑張っているな、その言葉に頷き、相談がと言いかけた。

 悩んでいたが、自分一人だけで進路というのは決められるものではない。

 留学したいという言葉に驚いたようだ。

 「本気か、一度、ご両親にも相談したほうがいいな」

 父親が再婚し、母親は血の繋がりがないことを知っている、

 留学といっても色々だ成績がよければ免除や奨学金という制度もある、だが、それも学校、職種によって様々だ。

  

 今の生活に不満はなかった、再婚した妻は専業主婦だが、家の中のことを任せていても安心できるタイプだ。

 食事、掃除、娘とは血の繋がりはないが喧嘩をすることもなく、いや最近では仲がよいほうではないかと思うくらいだ。

 つまるところ、現状の生活には満足していた。

 だが、それが変わってしまった。

 いや、変えられてしまった、愛人の言葉によって。

 最初は割り切った体だけの付き合いの筈だった。

 だが、自分よりも女の方がのめりこんできた。

 過ごす時間が増えてきて、好き、愛しているという言葉が、結婚したいという者に変わったとき、男は想像した。

 もし、それが現実になったら。

 頭の中で想像し、考えるだけならいい、だが、それら全てを現実のものとして考えると普通なら、躊躇ってしまうだろう。

 だが、踏み出そうとしたときに一変した。 

 愛人、いや、恋人がいきなり会社から姿を消したのだ。

 退職なんて寝耳に水だ、そんなことは口にしたこともなければ相談されたこともなかった。

 驚いたが一部の人間、彼女と仲の良かった同僚は知っていたようだ、だが、それを知らなかったのは男、だけ。

 しかも、最近は妙な噂が社内に広まっている。

 退職した女性は、ある上司にパワハラを受けていたというものだ。

 

 「あの人じゃない」

 「そういえば二人一緒にいるところを見たわ」

 「もしかして、虐められていたってこと」

 「信じられないけど」

 「言ってたのよ、断れないって、上司だからって」

 

 

 「留学、だと」

 娘からの言葉にすぐに返事ができないのは驚いたからだ、だが次の瞬間、男の脳裏に浮かんだのは、かかる費用だ、決して安くはないだろう、そうなれば自分の生活も今までとは変わるだろう。

 今まで進路ことなど相談されたことなどなかっただけに驚いてしまった、いや、娘に、それだけの学力があるのんと疑問をい抱いてしまった。

 

 「英語は話せるのか」

 思わず口から出た、それは疑問だった。

 言葉も生活環境も変わるだろうと、やっていけるのかと言われて娘は押し黙った。

 だが、ほんの少しの沈黙の娘の口から出てきた言葉を聞いて父親は返事ができなかった。

 驚いているのだろうと思いながら娘は父親に話しかけた。

 すると男は娘を凝視した、信じられないという顔で。

 

 駄目だ、言葉少ない態度から娘は察した、父親は自分の留学に対して快く思っていないことを。

 いや、それだけではない表情から察した、プライドの高い人だ、多分認めたくないのだろう、娘が優位に立っているということが。

 だが、ここで引く事はできない、いや、諦めたくはないと思って口にした。

 「知ってるの、浮気しているでしょう」

 娘の言葉に男は驚いた、突然、何を言い出すんだと言いかけたとき、目の前にスマホを突きつけられた。

 見てといわんばかりりもの、それはまぎれもない証拠だ。

 

 自分の母親が好きだと言われたとき、娘は驚いた。

 突然、声をかけられて話を聞いて欲しい、相談があると言われて、普通なら逃げ出すか、相手にしないのどちらかもしれない。

 だが、そうしなかったのは男の容姿のせいだ。

 女性とはあまり、顔や容姿からあまりと思ったが、それは最初のうちだけだった、話しているうちにいや、そうではないと感じてしまったのだ。

 

 「君の事は調べた、協力しないか」

 

 自分の父親が何かしている、隠し事をというのは以前から薄々、感じていた、だが、それが何なのか決定的な証拠がなかった。

 それにもし、家族を母親となった女性を裏切っていたとして、自分に何ができるだろうとも思っていた。

 夫婦、男女の問題に口を出したところで無駄な事はわかっている、とてもよく、自分の母親とのことで分かったのだ。

 今、自分の母親となった女性を嫌いではない、むしろ好意的に思っている、子供ができないので自分のことをとても、そううとても。 

 良い人だ、そう思ってしまった。

 最近になってパートを始めたのは進学のことをちらりと話したのだ。

 国内、海外に限らず、学校生活、進学には金がかかるから、バイトは駄目、その分、勉強に少しでもいい成績をとって進学に有利になるようにと言われたとき、思ってしまった。

 父親とは違うと。

 

 「君は父親と血の繋がらない母親である女性、どちらを選ぶ」

 

 取引をしようと言われて決心した、互いの顔をじっと見た後、何故か笑ってしまった。

  

 「あの人、母を彼女です」

 「そう、私もだ」

 

 どちらを取る、選ぶかなど、決まっていた。

 男は女を娘は自分を未来を。

 はっきりしていたのだから。

 




 もう少し続く予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(必須:5文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。