大人のはるかリセット 作:ぶQ
夜が白み始める頃に原稿が上がった。
「終わったーッ!!!」
私は原稿用の文机の前で大きく伸びをすると、そのまま大の字に後ろに倒れた。
私は天野はるか、筆名は春河童。しがない売文業だ。
「お疲れ、はるか」
徹夜仕事に付き合ってくれていた秘書役のマリコが、コトリと文机の上に緑茶を置いてくれた。
「ありがと」
身体を起こして熱い緑茶を啜る。徹夜明けで少し眠かったけど、原稿が終わったハイテンションと緑茶のカフェインの相乗効果で頭は覚醒している。気分が高揚していく。
そんな私の背中にマリコがそっと寄り添ってきた。
「編集さんが原稿を取りに来るまでもう少しあるから、ちょっとでも寝なくちゃダメよ。…ね、お布団敷いてあるから」
…あ。
これはアレだ。お誘いされてるやつだ。
マリコがお布団敷いてくれる。それは求めてる時の、二人だけにわかるサイン。
原稿明けの、疲れてるけど高揚した気分で百合セックスする。…それは私の大事なリセット。
奥の寝室に使っている部屋。マリコが敷いてくれた一組のお布団に二つの枕。うわあ、絵面からしてエロい。
私は着物の帯をほどいて、着物も、その下の長襦袢も脱ぎ捨てた。和装用の下着の代わりに着ていたナイトブラとおしり全体を覆うショーツ姿になる。正直、あんまりエロくない。一方、マリコの方は…
「エッロ!!?」
思わず声が出た。黒で、ふんだんにレースを使っていて、布面積がすごく少ない。おしりなんてほとんど紐だ。マリコ、普段着の下にこんなエロい下着を着けていたのか。最初からそのつもりだったんだ…
そんなことを考えている私をマリコがゆっくりとお布団の上に押し倒していく。
これからの行為を期待して心臓の鼓動が早くなる。目がうるんでいるのがわかる。
目の前に好きな女の顔が近付いてきた。キレイな顔だ。こんなに顔が良くて、優しくて、仕事もできる。
神様は不公平じゃないか。…キスしたい。
どちらからともなく、軽くフレンチなキスをした。
…もっとキスしたい!
次は、もう少し長めのフレンチキス。お互いの唇を押し付け合うキス。
もっともっと、マリコとキスしたい!
私は唇を半開きに開けると、少し舌を出して誘った。
でも、マリコは悪戯っぽく微笑むと、はむっと私の上唇だけを唇で挟んで吸い始めた。
あ゛~っ、マリコのイジワル!
はやく、ディープなキスをしたいのに!!
マリコに吸われている上唇の下から舌を出して一生懸命にマリコの唇を舐めようとするけど、うまく舐められずにマリコのあごばかりベタベタにしてしまう。
そうしたら、マリコは今度は私の下唇を挟んで吸い始めた。伸ばした舌がマリコのキレイな鼻先に当たる。私は一生懸命にマリコの鼻の頭を舐めた。マリコのキレイな顔がべたべただ。
ようやくマリコが私の伸ばした舌先を唇で挟んでくれた。
うれしい。やっとディープキスできる。私は一生懸命に舌をマリコの口腔内に伸ばした。でも、やっぱりマリコはイジワルで、マリコの舌が口の奥で逃げる。
「ん~~~っ!」
ムキになってマリコの口の奥へ奥へと舌を伸ばす。もう限界となったところでマリコの舌がまるで蛇のように私の舌に巻きついてきて、そのまま舌を私の口の中まで押し返す。ベチャベチャとお互いの唾液が絡まるのがわかる濃厚なディープキス。
舌がお互いの口の中を行き来して、お互いの唾液を交換する。好きな女との深い深いキス。
マリコとこういう関係になったのは何年前だったか。
元々は同じ大学で、数にウマが合って親友になった。ちょっとだらしがないところがあって要領の悪い私を、マリコは何くれとなく面倒を見てくれた。観音さんもそうだけど、私はある種の人達からはどうにも放っておけないタイプの人間らしかった。
大学を卒業して、才色兼備で実家のコネも太いマリコは某一流企業の重役秘書にいきなり採用されたけど、世は就職氷河期で、要題の悪い私はブラック企業に潜り込むのが精一杯だった…
その頃のことはもう思い出したくない。パワハラ、セクハラ、人に言えないような仕事もやらされて、それでも仕事が上手く行かなくて、私は壊れそうになった…
それを救ってくれたのがマリコだった。ブラック企業を強引に辞めさせて、小説家になることを勧めてくれて、それだけじゃなくて自分も安定した大企業を辞めてまで私のサポートをしてくれた。そして、壊れかけた私を強引に抱いて癒してくれた。男性経験はあるにはあったけど(イヤな思い出だ)、女の子としたのは初めてだった。マリコの優しい百合セックスは、私に生きている歓びを思い出させてくれた。
それなのに、それなのにィ~~!!
マリコはさっさと男を見つけて結婚してしまった!
それでいて結婚しても私の仕事の手伝いは続けてくれていて…そして、こうして時々私を抱いてくる。どうなってるんだ!貞操観念とかないのか!?
…わかってはいる。マリコの旦那は某超一流企業のエリートで、昼も夜もなく働いて、休日が急に潰れることもしばしば。家に帰って来ない日も多い。この前もクリスマスイブなのに残業でディナーをドタキャンされたって家にやって来た。夫婦関係も最近ごぶさたみたいだ。だから、代わりに私を抱いてくるのだろう。
あ゛~~~っ!
なんだか無性に腹が立ってきた。
「んっ!!」
腹が立ったのでマリコの上唇を噛んでやった。甘噛みだが。
マリコはちょっと驚いたように私を見て、それからなだめるように舌で私の下あごを優しく舐めた。器用な女だ。
とりあえずマリコに不機嫌なのは伝わって、マリコはとりあえず謝ってきた(ように思えた)ので私も機嫌を直して許したサインに噛んだ上唇を丁寧に舐めた。
それから二人で仲直りの舌を絡めるキスをした。
右手をマリコの股にすべり込ませて下着をズラしておまんこの中に指を挿れる。そこはすごく熱くうるんでいて、ぐちょぐちょしていた。2本目の指も抵抗なくするりと受け入れる。明らかに前に百合セックスしたときよりも開発されてる。
こんなおまんこを放っといて旦那は何をやってるんだ!?
私にちんぽが付いていれば、マリコを満足させてあげられるのに…
私は少しでもマリコを気持ち良くしようと、指を膣奥に進めて奥底にある子宮口をまさぐった。マリコの身体が小さくビクンと震えた。更に指を少し戻してクリトリスの裏側あたりをこすってあげると、マリコが一段と強くビクン!と震える。ここがマリコの性感帯。ヘヘん、こっちはマリコ歴長いんだ。
それから優しく子宮口とクリちゃんの裏側を撫で続ける。強引に絶頂させるんじゃなくて、マリコがずっと気持ちいいように。
その間もマリコとのキスは止めない。マリコは上気したほほで微笑みながら何度も唇を押し付けてくる。 時々ちろちろと上唇と下唇の間を舐める。それからマリコは両手で私のおっぱいを揉んできた。私の反応を確かめるように、ゆっくりと。
「んっ…」
マリコが私の大きな乳輪と大きな乳頭を優しく撫でる。ときどきつまむ。乳首が勃起していくのがわかる。マリコは私の反応を確かめながら、ゆっくりとおっぱいに顔を近付けて、それから乳首を吸った。
ちゅっ…ちゅっ…っと舌先で私の乳首を転がす。その間も手でもう片方のおっぱいを愛撫し続ける。
マリコの顔をよく見ようとしたら、一瞬、そのきれいな顔がブラック企業時代のセクハラ上司の顔に見えた。それとも枕営業させられた取引先の脂ぎった中年の顔だったか。どくん、と心臓が跳ねた。
一瞬、目を閉じる。
…大丈夫だ。一瞬の後には私のおっぱいを吸ってるのはマリコに戻った。もう大丈夫なんだ…あんな生活からはマリコが救い出してくれた。
あのセクハラ連中も、私の大きなおっぱいが好きだったからなあ…今ではそう苦笑することだってできる。
マリコへの感謝の気持ちを込めてマリコのおまんこをまさぐる指に力を込めた。キュッキュッと私の指を締め付けてくる腔の動きがうれしかった。
マリコの手が下に動いて、ショーツの上から私のおまんこを撫でた。
ドクンッ!とまた心臓が跳ねた。
私は思わず顔をしかめていた。強引に処女を奪われたあの日から、そこを触わられるのはやっぱりまだ慣れない。相手がマリコであっても…
身体がこわばる。マリコを嫌な気持ちにさせるんじゃないかと心配になる。でもマリコはそんな私の反応を敏感に察してくれて、ショーツの上から優しく触るのに止めておいてくれた。さすがデキる女だ。
お互いに、相手ができるだけ気持ちいいように、気持ち良いのができるだけ長く続くように、優しく、慰めるようにお互いをまさぐる。キスはたくさんする。3分に1回はしてると思う。
お互いに性欲はもちろんある。愛情もある(と思う)。でも友情の延長のようでもある。そういうのが渾然一体としている。
快感の波が押し寄せては引いていく。時々小さな絶頂が来るけど、それよりも眠気が勝ってきて、マリコと身体を重ねたまま、お互いの唇を吸ったまま寝落ちしそうになる。原稿明けの眠れないテンションが静まっていく。
私とマリコがセックスをするのは、決まって原稿が終わった徹夜明け、夜が白む頃合い。原稿が上かった高揚感と疲労感がお互いの性欲を露わにしていく。…でも、原稿明けに毎回”その気”になる訳じゃないから心の準備が難しい。下着とかも。だから、お互いその気になって、マリコがお布団を敷いて私を誘う合図を送ってきたらもう止まらない。何日かお風呂に入っていないことも気にならない。気にしない。
「んんんっ!?」
マリコが私のおっぱいを強く噛んだ。同時にもう片方のおっぱいの乳首をつねり上げる。一際大きな波が来た。軽い絶頂、少し身体が震える。そして、そのまま意識が遠のいて、微睡みに落ちていくのがわかった…
どのくらい寝ていただろう。10分か、1時間か。
私が目を覚ますと、マリコはもうきちんと服を着ていた。軽くシャワーを浴びたのだろう、メイクの途中だった。
「おはよう、はるか」
マリコが微笑んでくれる。夜はすっかり明けていた。今日も良い天気だ。
「ほら、シャワー浴びてらっしゃい。シーツも洗濯するから」
シーツは2人の汗と液でほんのり湿っていた。編集の大山さんが来るまであと2時間くらい。
干してあるシーツを見て大山さんはコトの成り行きを察するだろう。少し気恥ずかしい。
大きく伸びて布団から起き上がる。ナイトブラはずり上がり、ショーツはびっちょり濡れていてあられもない恰好だ。
でも、すごく気分がいい。
徹夜の原稿の疲労はどこかに消え失せて、脳みそがクリーンで機嫌よく回転している。次回作の構想がどんどん湧いてくる…ような気がする(笑)
原稿が終わった夜明け頃、マリコと優しい百合セックスをする。
これが大事な、私のリセット。