ゴールデンビキニを着せたかったギルドマスターの苦悩 作:プニたけっち
オリジナル:ファンタジー/恋愛
タグ:R-18 ボーイズラブ 入れ替わり Body Swap ボーイズラブは念のため ゴールデンビキニ
そしてポークはかつて手に入れたエロ衣装であるゴールデンビキニを着てもらう事を、サリアの身体に入ったノランにお願いするのだった。
※本作品はPixivにも投稿しております。
王都の冒険者ギルド、この一室で一人の冒険者がイスに座らされていた。見た所冒険者に成りたてでナイフに皮でできた軽装を身に着けたおよそ10歳の少年である。
「ノラン君、どうして君がここに呼ばれたかわかるかい?」
ノランと呼ばれた少年は身体をビクッと震わせて声の主を見る。目の前には着席している一人の肥満体型の男が座りジッとノランを見ていた。
「す、すみません。心当たりが……戦闘に出ていないから……ですか?」
「いや、そうではないよ。君は薬草採取で真面目に働いているし、そんな軽装備では魔物と戦う事は危険だろう」
このギルドマスターであるデブ男『ポーク』は女が大好き。自分が楽をしたいが為に金に物を言わせギルドを設立、気が付けば結構な規模のギルドに成長させた。欲望に忠実ではあれど紳士的に振る舞いその醜悪な見た目に反して意外にもギルドマスターとしての評価は高い。
「ではどうして……?」
「実は我がギルドに借金取りが現れてね、ノラン君の借金を返せと言ってきた」
「えッ!?」
ノランの家は父親が借金を重ねて逃走、母親はノランを育成しながら借金苦と栄養失調にて死亡、ノランは天涯孤独の身となってしまった。貧相な身体で装備も満足に揃えられない貧乏少年を雇う物好きなどいない。
ノランにとって唯一ラッキーだったのが、ポークがそんな物好きだった事だろう。
『魔物と戦えなくても後方で荷物を運ぶなりできるだろう。それに我がギルドでは前線で戦う者が多くて他の役割ができる者が不足している。君がかゆいところに手が届かない業務をしてくれれば俺も助かるのだ。君さえ良ければ我がギルドで働いてはもらえないか?』
ノランはすぐにこの話しに食い付いた。ポークは本当に見た目によらず真面目でノランを馬車馬のように働かせる事はさせず学のないノランの賃金をちょろまかすなんて事もしなかった。見た目で損するタイプな男、それがポークという男なのだ。
「君は勤務態度は非常に真面目だ。俺は君に期待しているから借金は利息揃えて全額立て替えておいた。これが証文書だ」
ポークは引き出しからノランが押し付けられた借金の証文書を見せた。だがポークとて一応の目的がある。そうでなければ能力がそんなに高くないノランに投資なんてしない。
「ノラン君、実は頼みたい事がある。これは君にしか頼めない事だ引き受けてくれればこの証文書は君に渡そう」
「僕だけ……やります、やらせてくださいポーク様!」
ノランはこれまで戦闘という一種の花形仕事に関しては全く参加できていない。身体も仕上がっておらず装備も無しという現状を考えれば当然である。そんな時に『ノランにしか頼めない事がある』と言われればノランも非常に乗り気になるに決まっている。なにせ、ポークの事情はともかくノランにしてみれば役に立たない自分を拾って面倒を見てくれている雇い主なのだから。
「そうか、引き受けてくれるか。ならば話しは早い、今から言う事をよく聞いてほしい」
ポークは色良い返事を聞けたことに醜悪な顔をさらに嬉しそうに歪めノランを見据える。ノランも何を言われるのか唾を飲んでポークを見つめる。
「実はね……君には、その身体を捨てて女騎士になってほしい」
「は、はぁ……?」
ノランの乾いた返事がポークの耳に入る。ポークにとってはこんなのは想定済みだ、まだ具体的な話しは何もしていないのだ。
「言葉が飛んで悪かった。君はうちの所属メンバーである『サリア』を知っているかい?」
「サリアさんですか?もちろんです、僕にとっては雲の上の人ですから」
女騎士サリア……ポークのギルドでも稼ぎ頭でもある優秀な女騎士である。ブロンズヘアーをたなびかせ一国の姫のような気品を持つ、戦闘センスもピカイチで国からも召し抱えの話しまで出たほどだ。まるで絵本に出てくる模範的な女騎士サリア……だが。
「残念ながら……サリアは非常に不真面目でな、あれは見てくれはいいし外での演技は完璧だからまだ外部では理想的な女騎士なのだが、先日サリア本人から相談を受けてな」
※ ※ ※
『あたしは楽して生活したいの。外では他人の目があるから自由なんてほとんどあって無いようなものだし、ギルマスならなんとかしなさいよ』
『そうは言ってもだなサリア、君は我がギルドのメンバーだから働いてもらうのは当然だし……それに給金も相場以上のものは払っているつもりだ』
ポークが脂ぎった顔から出る汗をハンカチで拭き取りながら机をバンバン叩くサリアに説明を行う。冒険者の中でも指折りの実力を誇るサリアのプレッシャーは強く、戦闘能力がほとんど無いポークは思わず逃げ出したくなる程ではあったがギルドマスターとしての立場から逃げることはできなかった。
『給料の問題じゃないのよ。休ませろって言ってんの。あたしはSランク冒険者よ?ちょっとくらい休んでも蓄えはあるわよ』
サリアは確かにランクの高い冒険者である。このランクとはまぁわかりやすく言えば高ければ高いほど強く実績のある冒険者だと思っていただければよい。最高ランクがS、見習いがE。ちなみにノランはEである。
『サリア、以前から何度も言ってるがお前には怠け癖がある。一度ぐうたらしたら中々治らないだろう。現に何度もランクが落ちて上げ直しの繰り返しだ。別に俺は君に不当労働させているつもりは無いし適度に休みも与えている。これ以上休ませろと言っても首を縦には振れない』
ポークのギルドである「コンバッション』は他のギルドよりも福利厚生がしっかりしているホワイト系のギルドであり、ここよりも待遇の良いギルドは無い。そう断言してよい。現に役に立たないノランにも役割を与え給料をピンハネすることなく支払っているのだから。それにポークの言う通りサリアの勤務態度というか自己コントロールはよろしくなく、以前ポークの知らないところで食っちゃ寝してたら体重が激増。ポークからのダイエット命令が発せられた事がある。
『い〜や〜で〜す〜!とにかくあたしは貯蓄もたくさんあるんだからこれ以上働きたくないんです〜!』
『サリア待ちなさい!まだ話しは……はぁ……』
サリアは言うだけ言うと部屋から出て行ってしまった。まるで思春期の娘とその父親である。もちろん二人の間には血縁関係など無いが。ポークの血圧がまた上がったのは言うまでもない。
※ ※ ※
で、話しは現在に戻る。ノランを呼んだのはこのサリアが大いに関係しているのだ。
「ノラン君、これは本来であれば一部のギルドメンバーにしか話していないことだが君には話しておこうと思う。俺には、他人の身体を入れ替える特殊能力がある。で、だ、これは強制ではないのだが……君とサリアの身体を入替えこの状況を打破したい。ノラン君、しばらくの間サリアになってはもらえないだろうか?」
「え……冗談では……ないんですよね?」
ノランもこの提案がジョークの類で無いことくらいわかる。ポークの表情は苦渋に満ちていたのだから。
「俺は大真面目だ。この能力には大きな制約があっておいそれとは使えない。承諾してくれれば俺の健康具合も多少は良くなるし、あとついでにもう一つ頼みが……いや、今は言うまい。個人的な事だ」
「……?」
ポークの能力に関しての説明が始まる。能力持ちは珍しくたいてい強力な代わりに何らかのリスクや制約も多い。普通は他人にペラペラ喋るものではないのだがノランには全てを話した。それがポークなりの誠意なのであった。
・能力の発動には双方の合意が必要。
・術者本人は入れ替われない。
・入れ替わるのは身体だけであり本来持つ強さは入れ替われない。
・時間制限は無し。戻る為には再度術を発動する必要がある。
「これが俺の能力『ボディスワップ』だ。先に言っておくが、入れ替わったからといってお互いの財産まで交換はさせない。そこまでしたらサリアに悪いからな。その代わり、君がサリアの身体で得た報酬は君のものだ。無論違法まがいの事はさせないがね」
サリアを休ませるとしても何でもホイホイ言うことを聞いていたら他のギルドメンバーに対し示しがつかない。そこでノランの身体を貸してもらい、サリアを休ませる。そうすることで、サリアの暴飲暴食を防ごうと企てたのだ。いかにサリアとて他人の身体であればそこまで自堕落な生活はしないだろう……そう思いたいなあというポークの希望的観測であった。
「わかりました、別に僕の知り合いもいませんし困ることは無いですから、お引き受けします」
「おお……引き受けてくれるかノラン君!いやありがとう、これで俺の心労も1つ減るよ」
本当に嬉しかったのだろう、ポークは醜い顔をさらにクシャクシャにしながら汗ばんだ手でノランの手を握った。普通の人なら引くようなその顔も、ノランにとっては世話をしてくれている恩人なわけで、嫌とは思わなかった。
さらにもう一つ、ノランの前では言えなかったがノランが入れ替わりに応じてくれた場合、ポークにはどうしても頼みたい事があった。それはこのギルドを設立した真の理由であり、言ったらギルドが空中分解しかねないものでもあるのだが、ポークはまだそれを心の中に留めた。
* * *
「いいわよ、その条件なら」
数時間後、ポークはサリアを部屋へ呼んで事の次第を説明。ノランの身体でならサリアの提案を受け入れることと先ほどノランにした説明と同様の話を聞かせた。するとほぼノータイムで了承の返事が返ってきたのだ。
「な、なあサリア……普通少しは悩まないか ? 自分の身体を期間限定とはいえ他人に貸すんだぞ ? 」
「あら、そこのノラン坊やに私の身体を好きにできる度胸でもあるの ? 無いわよね、あるならそんな貧弱なままでいないわ。いい暮らしをするためにも身体を鍛えてお金を稼ぐもの。それにそんな事をしたら……」
そこまで話すとサリアの拳がヒュッと音をたてノランの顔面すれすれで止まる。全く反応出来なかったノランは数秒遅れて小さな悲鳴を出した。
「……わかるわよね ? 」
「は、はい……」
ポークの入れ替わりの特殊能力は既にサリアの耳にも入っていた。実は既に実力のあるサリアの先輩や同僚にもこの入れ替わりを行った者がいたからである。
『剣のスキルのヒントを掴みたいから』男同士で大剣使いと小剣使いが入れ替わったり。
『夫婦生活がマンネリ気味だから』マジシャンの夫妻が入れ替わったり。
あくまで一例だが最終的には円満に戻っていたし、赤の他人同士でも財産や友人関係に悪影響が無かった為にこの入れ替わり自体は問題無しで今まで事が運んでいたのだ。なのでサリアもまたノランの身体でごろ寝をしたりぐうたらしてやろうと考えている。
「……まあいい、それでは始める『サリアとノラン両名に尋ねる。自らの肉体を相手に貸し与えることを許可するか ? 』」
『許可します』
『え、っときょ、許可します』
サリアに続きノランも続いた。ポークのボディスワップは最初に術者本人が両名に問いかけ、互いが許可の宣告をして効果が現れる。二人の身体が白い光に覆われ目を瞑った精神体が抜け出てくる。ノランはサリアの、サリアはノランの身体に入り込んでいく。入れ替わりが終わった後、光は消え先にノランが動き出した。
* * *
「うーん……なんか弱っちい身体ね。鍛錬不足だし、男の癖にこんな女みたいな顔だし。まあいいわ。どうせしばらくの間だけだし」
ノランの身体に入ったサリアの評価は散々であった。サリアの視点はどこまでも強さ優先であり戦闘者である。そこには自分の半分程しか生きていない若い男の身体には全く興味が無い。これがショタコンだったら浮かれまくるのだろうがサリアはそうはならなかったのである。
「……す、すみませんサリアさん……」
「一々謝らなくてもいいわよ。どうせ強さは入れ替わってないんだし。そうよねギルマス ? 」
目下に謝る低姿勢のサリアと尊大な態度のノランという珍妙な光景が繰り広げられている、事情を知らないものがみたら目を見開くだろう。
「もちろんだ、二人の能力は変わらない。サリアの剣技はノランに真似できない、逆にお前がノランの身体で元々ある剣技やスキルは使用可能だ」
サリアからの質問に対しポークは嘘偽りなく答える。仮にここで嘘をついてもいいことなど一つもない。女を食い物にしそうな見た目に反して誠実な男がこのポーク・ミートという男なのだ。
「ならいいわ。じゃあギルマス、あたし帰って寝るから。他のギルドメンバーにはこのことしっかり通達しておいてよ」
「わかった、二人が入れ替わっている事は周知させておこう」
今回の入れ替わりを行うにあたりギルド内での混乱を防ぐ為『サリアとノランは事故で身体が入れ替わった。しばらくノランになったサリアは休ませる』という通達を行うとポークは約束した。ポークの能力は伏せた状態でだ。
「サリア、その身体はノランの身体だ。くれぐれも大事に……」
「よっしゃー!寝るぞーッ ! 」
ポークの話しが終わる前にサリアはドアを破らんとする勢いでポークの部屋を出ていった。まるで台風のような娘である。
「サリア ! 本当にわかって……だああッ ! 本当にあいつは ! 」
ポークは髪をボリボリ掻きながら力なく椅子に座った。そこにはいるのは威厳もへったくれもないただの中年オヤジだ。
「あー、ノラン君。君には大変すまない事をしたと思っている。今回の詫びといってはなんだが、仕事中の賃金は上乗せして払うようにするから」
美人となったノランの前でも何とか誠意を見せるようにするポークだったが、そこには疲れの色が濃く見えていた。
「あ、ありがとうございます……やっぱり先ほどの入れ替えは体力とか使うんですか ? 」
疲れているポークを心配するノラン、その様子は見た目もあり女神のようにも見えた事だろう。
「いや、そんなに疲れるものじゃないさ。むしろ心労の方が……しかし本当にいい子だねノラン君。いや本当に。サリアも少しは君を見習って欲しいものだよ……」
昔はあんなじゃなかったんだがなあ……とポークは呟き天井を見る。完全に家庭に疲れたお父さんである。
サリアはギルドに入って最初こそ真面目に仕事をしていたが急激に強くなってからは傲慢かつ天狗になり、他のギルドメンバーを見下すようになっていた。しかし空気の読めないサリアは他者の悪意ある視線に気が付かない。ポークは当然この事には気が付いており態度を改めるよう指導するが、サリアは全然聞く耳を持たない今回の各ギルドメンバーへの通達内容には、両名への危害は加えないようにと付け加えるつもりでもある。取り返しのつかない事態にならないようにというポークの気配りであった。
「あの……ところでポーク様、僕にもう一つお願いしたい事って何ですか ? 」
ノランにとっては恩人であるポーク、そのポークの心労を少しでも和らげてあげたいという優しき心。ノランは可能な事なら何でもしようと思っていた。だがその一言を聞いた途端ポークの身体がわかりやすくビクンと痙攣した。
「た、頼み事 ! ? いや、それはだね……今の君にならできるだろうけど、しかし君に話しても絶対に無理だろうし……」
ノランはカチンときた。思わせぶりな態度を取るポークも悪いが、何よりやる前から無理だと恩人に言われるのはさすがに腹が立つものである。ノランは思わずポークの机をバンッと叩きポークに詰め寄る。ポークは非戦闘員であるのでサリアの身体を使うノランに対し思わず小さな悲鳴を出した。誰でも、普段温厚な人が怒ったら怖いものである。
「ポーク様ッ ! 」
「は、はいッ ! 」
「僕は今サリアさんの身体を使っています。普段の僕よりもできることは増えています。今こそ恩を返させてくださいお父さん ! ……あっ」
ノランが物心ついた頃には既に父親は借金で逃げており、父親というものに悪感情しかなかった。だが仕事を世話してくれただけでなく衣食住の面倒まで見てくれたポークに対し密かに『優しい父親』という偶像を見てしまっていた。なのでノランは言葉ではポーク様と呼ぶが心の中では『お父さん』とか『パパ』とか呼んでいたのである。
(や、ヤバっ ! 言っちゃった ! 言っちゃったよ僕 ! )
そんな心優しき少年ノラン、思わず感情が昂ぶりポークをお父さんと呼んでしまった。恥ずかしながら顔を真っ赤にして両手で顔を覆う。その様子は何とも恋する乙女である。
そんなものを見たのだからポークの中で我慢していた何かがプッツンと切れてしまった。それはギルドマスターである己の立場とは相反するものであり、言ったが最後、威厳なんてものは吹き飛ぶのだから。
「う、うぐぐ……うおおおおおおおッ ! ! 」
「パパ、じゃなかった、ポーク様 ! ? 」
突然奇声を上げ椅子から立ち上がるポークと、まだヘブン状態から戻ってこれないのかポークをパパと呼ぶノラン。ポークはギルドマスターしか開けられない専用金庫から一枚の布切れを取り出した。それはある意味では男のロマンとも言えるものでもあった……。
「ノラン君 ! どうかこのゴールデンビキニを着ては貰えないだろうかッ ! ? 」
「………………えっ ? 」
ノランは最初何を言われたのか理解できなかった。ゴールデン……なにっ ? その単語が何度も脳内でリフレインし情報の把握を拒んだ。しかし目の前でゆでだこのようになっている中年オヤジにとってはまさに一世一代の大勝負。言ってしまったのだからとことん突っ走ってやるぜ ! とポンコツ暴走列車同然のポーク、だがあえて言おう。
ポークは漢だった。
「俺が偶然手に入れたこのゴールデンビキニ、なにも呪い等は無い。ただ女性が着て男を誘惑する布だ。これを戦場に着ていくバカはいない。 だが、これを美女に着てほしい。それを一目見たい ! 見てこの目に焼き付け、オナネタにしたい ! それが、それこそが、俺がこのギルド
子どものノランにとってはまだ理解する事なんてできないだろうオヤジの欲望。おわかりいただけただろう、こんな事を女性に話したが最後、コンバッションは崩壊どころかポークは終生エロオヤジのレッテルを貼られ生きていく事になるのだ。
だが今なら?サリアの身体になったノランならワンチャンあるのではないだろうか?厳しい現実に負けそうになり初心を忘れかけたこの現状に刹那の如き安らぎを与えてくれるのではなかろうか?
ポークにとってこれは賭け、今まで積み重ねてきた自分が壊れるか、一片の悔い無しと男泣きできるかの賭けなのだ。理解しろとは言わない。しかしこれはポークの物語なのだ。
どうだ……?ポークはノランからの言葉を待つ。
「えっと……それくらいならいくらでも……ちょっとポーク様!?」
ポークは気づけば涙を流していた。ありがとう……気づけばポークはそう口にしていた。アワアワと落ち着かない様子のノランに対し、ポークは紳士的に、心の中の少年心を外に出さないようにしながらノランに声をかけた。
「ノラン君、まぁ……なんだ。私は今用意をしながら後ろを向く。着替え終わったら声をかけてくれたまえ」
「は、はい、わかりました……」
別に見てもいいんだけどなあという声を聞きながらポークは部屋の鍵をかけ、カーテンを全て閉めた。ノランはまだ10歳で性知識に関しては皆無といってよい。だがこのポークも女性経験皆無であった。肥満、見た目は悪人の脂ギッシュ、モテる要素ゼロ。悲しみを負った中年オヤジがこのポーク・ミートであった。
「えっと……これを着るんだよね?裸になって……うわ、サリアさんのおっぱい大っきいなあ」
(ノラン君……せめて声に出さずに脱いでくれぇ~!)
ポークの股間はテントを作り爆発寸前である。後ろではノランがポークに頼まれた通りゴールデンビキニを着ようと衣服を脱いでいる。シュッ、シュルッと衣ズレの音がやけに大きくポークの耳に入る。ノランが普通に服を脱いでいるだけなのだろうが、カーテンを閉めて鍵をかけ美女と二人っきり、ポークの聴覚は過敏になっていて物音が普段よりも強く聞こえるのだ。
「ポーク様、着替え終わりました……でもこれ……」
「そ、そうか!」
心踊りながら背後を向く童貞ポーク。
「あ、あのこれ……けっこうキツイです」
ノランが身に纏うゴールデンビキニ、残念ながらそれはノランのボディにはサイズが合っていなかった。ノランが押し付けられたサリアのボディはボンキュッボンのナーイスバディ。その肉体を覆い隠すにはビキニのサイズが全然、全く持って足りていなかったようで。かろうじて乳首に布面積が引っかかっている程度でしかない。
股間にいたっては本当に必要最低限にしか隠せておらず、下のふっさりとした髪の毛と同じ黄色の毛がほとんど隠しきれず自己主張を行っていた。
水着である以上お尻が出てしまうのは当然だが、今回は隠す気ゼロでお尻の中にギュッと食い込んでしまっている。
「お、おお……グ、グッド……ベリーグッド!」
ポークの眼球は血走っており、知らない人が見れば通報される事間違い無しである。この世界に写真などという便利アイテムが存在するわけもなく、ポークの犯罪者のような目は少しでもこの美を脳裏に焼き付けようと必死であった。
なにせビキニを着てくれとしか言っていないし、仮にも女性の身体を傷物にしてはいけない、それにノランの目の前でマスかくわけにもいかないと考える紳士ポークの考えにより、今回はガン見に留めたのである。大方夜の自己発電に使うのだろう。
さて、一人盛り上がるポークに対しノランは冷静あった。正確には、ポークの盛り上がりを見たから逆に冷静になってしまったというべきだろう。しかしその心中は不思議と満足感に溢れていた。
これまでノランはギルド内でもお荷物感が充満しており、ポークがサポートしてもそれは払拭できない物であった。だが今はどうだろう?サリアはノランから見てもキレイなお姉さんだった、その女性に自分はなっている。本来であれば男である以上胸を揉んだり股を弄ったりという行動を取るのかもしれない。しかしまだこのお年頃は性欲よりも使命感の方が強い、ポークからのお願いを最優先事項として言われた通りゴールデンビキニを着てポークの心のカメラに撮影されるのみである。
ぐふふと声を出しながら心のおちんちんでマスタベーションをかいているであろうポークは満足感と同時にちょっとした不満足感もある。だってねじ込めないんだもの。目の前の女を犯せないというのは生殺し同然。ノランの方から誘ってくれれば話は少し変わってくるかもしれないが純情少年に期待はできない。収めるだけ収めてお終いにしようかとポークは考えた。ノランに幾ばくかの謝礼を手渡し着替えさせようと。
そんな甘っちょろい感じで終わらせるわけないのが『子悪魔のゴールデンビキニ』の力である。
(あ、あれ、どうしたんだろう……なんだか、お父さんが苦しそう……?)
ノランは己の本能を必死に押さえつけようとするポークの姿がとても哀れに思えてきた。何故さっきまで気持ち悪い程に笑っていたポークが今度は苦しそうなのかはまだノランにはわからない。だがその原因が自分にあるというのは間違いない。だったらその原因である自分が苦しみから解放してあげようと考えてしまった。
それがトドメになるとも知らずに。
ノランはポークの目の前でしゃがみ込むと、なるべく目線を合わせるように声をかけた。
「あの、ポーク様。ポーク様のお悩みの原因が僕にあると言うのなら遠慮なく仰ってください。今の僕ならお力になれると思うんです」
ポークを心配するノラン……しかし今の身体でそのポーズは良くなかった。
(ぎゃあああ!ビキニがお股にめっちゃ食い込んどるやないけ!ふさふさのお毛々がビキニからはみ出してるやん!?よく見たらデカいおっぱいがビキニに逆らっとる!乳首も『私ここにおりますよん』って自己主張してるううッ!)
ポークはノランへの申し訳無さから、ゴールデンビキニを着た美女という漠然とした姿でしか心のシャッターを切っていなかったが今は違う。明確に、サリアの身体がゴールデンビキニを着ている、しかも恥も知らぬ状態で、そんなサリアの身体を見てしまった。細部も、白きお肌も、プリッとしたお尻も、綺麗な生足も、ぜーんぶだ!
「ぐ、ぐおおおッ!もう我慢でけん!ノラン、お前が悪いんだあッ!」
「ぽ、ポーク様!?」
ポーク吠える。普段の謙虚さや理性の塊だった彼は眼前にぶら下がった黄金のリンゴにかぶりつくようにノランへと襲いかかった。実際の所ポークはよく耐えたのだが子悪魔のゴールデンビキニは身につけた純真な女性の魅力をさらに増幅させる。
そう『純真な女性』のだ。仮に元のサリアがゴールデンビキニを身に着けても、基本的に自堕落なサリアではここまでの効果は無かった。女性としての見てくれが良いサリアの身体にとても良い子であるノランの精神が入ったからこそゴールデンビキニの魅了の力が最大限に活かされたのだ。
つまり、今のノランは世界で1番ゴールデンビキニを着こなしていると言っても過言ではない存在である。そんな状態のノランの誘惑にある程度耐えたポークの自制心は見習うべきだろう。そんな彼も今や狼同然だ。
「ノラン君!本当に君は!その身体でこれからも他の男を誑し込むつもりかい!?ノラン君 ! 」
「そ、そんな事ないです!い、痛い!」
ポークの両手はノランの乳房を掴み乱暴に握りしめる。若くて鍛えられているサリアの身体はビクともしないが痛いものは痛い。指の形に歪んだおっぱいは優れた弾力性によりすぐさま元に戻りポークの指や手の圧力を返り討ちにする。ならばとポークはノランを押し倒してブラをずらして乳頭を口で吸う、ああん ! と思わず声を上げたノランは思わず口を押えた。
(い、今の僕が出したの ! ? 女の人みたいな悲鳴を……! )
ノラン本人は少しの小声だと思っていたのだがポークの耳にはバッチリと入っていたようだった。
「その通りだノラン君 ! もう君は女なのだ、俺はもう君を戻さないぞ。俺の秘書兼愛妻となるのだぁッ ! 」
「え、ええぇーッ ! ? 」
元に戻してもらえるというから今回の話を引き受けたというのにこの手のひら返しには驚きを隠せなかったようで、マスタールームにノランの悲鳴が轟く。
「だってこんなの戻すなんて惜しいじゃん ! 俺こんな見た目だから女性にはモテないし、紳士的に接したと思ったら皆にヒかれるし、好意的かつ打算無しで俺に接してくれたの君が初めてだったんだよォッ ! 」
「お、お父さん……」
それはポークにとって心からの叫びでありその身に隠していた心の澱でもあった。弱みを見せれば他のギルドに突け入れられる隙ともなり、ギルドを守るためにも心は鉄より頑丈に、心の鍵は大怪盗にも入り込ませないようにかけなければならない。この日初めてポークは幼きノランに弱みを見せた。
(パパ……かわいい)
恩人の初めて見せた弱き部分を目の当たりにしたノランの心には一つのおかしな感情が芽生えた。いかつくブサイクな顔のオヤジがかわいいとはこれ如何に ?
(ああ……僕に、僕だけにパパが甘えてくる……あの頼りなるパパが……ああ、抱きしめたくなっちゃうよ)
先に言っておくが小悪魔のゴールデンビキニに性格変化の効果は無い。これはノランに隠されていた、ノラン本人も知らなかった性格である……相手を甘えさせてやりたいというママみという成分が。
「パパ、僕に甘えていいよ。このおっぱいも触りたかったらどんどん触って ! 」
「おっしゃあ ! 」
双方共にサリアの身体だという遠慮はどこかに放り投げ性欲のままに動くことを決めた。ビキニの下着部分を少しだけずらしでかくなった童貞チンコをノランにねじ込む。サリアはまだ男を知らぬ清らかな身体。本人のいない所で処女は破られマンコから膜が破られた証拠である血が流れ出る。しかしそんな些細なことは制御が利かなくなった二人の前ではどうでもよい事であった。
パンッパンッと小気味良い音が鳴りその度にノランの口から喘ぎ声が聞こえ、今のポークにとってはただのBGMに過ぎない。ポークのただ腰を振る単調な動きに合わせるかのように元処女ボディのサリアinノランは数分前まで新品だったマンコでギュッと締め付ける。キツイ空間に出し入れするとポークのチンコは強烈な刺激を受け限界を早める。まだ出すものかと耐えようとするも断固たる決意はザコ同然のチンコの強さは非常に儚いという他無かった。
「ノラン君、申し訳ない ! もう出してしまうよ ! 」
「どうぞ ! 出してください ! 何か知らないけどパパが気持ちよくなるなら ! 」
ノランは性行為の事はわからないがポークが気持ちよくなるのだろうという事は漠然と理解できたようである。自己犠牲の精神によりノランは自分の身体でポークの出す何かを受け入れる決心を固めた。
「あ、アオオオッ!」
「ぐ……くっ、あ、熱い……僕の中に何かが……」
ノランの腟内にポークのおびただしい数の精液がどっぱりと注ぎ込まれる。増える仕事量と反比例するようにポークの自家発電回数は減って来ており、その分溜められた精液は一度にスッカラカンになるまで搾り取られた。床に倒れ込むポークとノランであったが、その顔はこの世の極楽を見たと表情で表現していた。オッサンのアヘ顔なんて見たくもないが、まだポークと連結状態のノランもまた他の人間には見せられない程にニヤけきっておりましたとさ。
((き、気持ちよかった……))
互い初の性行為のご感想はシンクロしている如く全く同じでありました。
* * *
(ど、どうなってんのよこれ……!? )
サリアとノランの身体が入れ替わってから数日の間、サリアはポークが危惧した通り自宅でぐうたらしながら過ごしていた。財産は確保されているためにしばらくは何もしなくたって生活はできていた。だが当然とも言うべきか、サリアは収入と支出がべらぼうに多く先日までの稼ぎはあっという間に非常に高い酒代へと消えた。
さすがにこれではマズイと装備を倉庫から引っ張り出し討伐に赴いた。当然ながらいきなり強敵と戦うなんて事はせずノランの身体のチェックもあり初心者が挑むような狩り場へと向かっていた。ポークの事を疑っていた訳では無いが念の為である。
しかし、しかしである。戦闘態勢を整えようと武具の装備をしようとしたところ、なんにも装備できない。多くの敵を倒してきた愛剣も、ドラゴンのブレスを防いだ盾も、獰猛な獣の牙も通さない鎧も、全部装備できないのだ。
嫌な予感を感じ、ノランの身体が身につけられそうな軽量級の装備で挑む。でも勝てない。冒険初心者でも勝てるようなザコモンスター相手に全く勝てない、それどころか相手にすらならなかった。
(ポークのオヤジが私を騙した!?……いや、周りの反応からそんな様子は……)
実はポークのボディスワップには一つ問題があり、たしかに能力やスキルも含めて入れ替わるが、そのスキルや能力を活かせるかは別問題なのである。例えば、赤ん坊と入れ替わった筋骨隆々の大人が大木を持てるか?そんなわけあるはずが無い。
今までポークのボディスワップによって入れ替わったギルドメンバーはクラス、年齢、実力が殆ど同じだったからこの問題点が浮き彫りにならなかったのであり、今回のサリアとノランは年齢も実力も異なっていたが為に、サリアは本来持つポテンシャルを全く活かすことができなかったのである。そう、サリアの身体と自身のスキルをかっちり噛み合わすことができたノランとは真逆の結果となったわけだ。
「や、ヤバい、逃げなきゃ ! 」
冒険者にとって大事なのは生き延びること。どれだけお金があっても生きていればこそ、死んでは元も子もないのだ。サリアもそこら辺はしっかりしていたから恥も感じず後ろを向いて逃走することができたのである。
「返さない ! ? どういう事よノラン ! 」
「あのサリアさん、僕たちまだこのままの方がいいと思うんです」
敗走後すぐさまコンバッションへ駆け込んだサリアは受付があるフロアでノランを見つけ、身体を元に戻すように訴えた。しかしノランはこの訴えを拒否、ボディスワップは実行不可能となっていた。何しろボディスワップは互いの合意が無ければ施行できない。サリアがどれだけ戻せと言ってもノランが嫌だと言ったらそこまでなのである。
それでも訴えを取り下げないサリアに対しノランは深いため息をついて話しかけた。
「サリアさん、考えてもみてください。今回ポーク様のボディスワップでは初の出来事だったんですよ ? 能力が元に戻らなかったのって。それなら身体を元に戻しても強さが元に戻る保証も無いって事になると思いません ? 」
「そ、それは……」
ノランの仮説にサリアは言葉を返せない。何しろ今回はポークですら想定していなかった事、ノランのいう事が正しいか間違っているかの判別は現段階ではできないのだ。椅子に座りながら話すノランは長い脚を組んで言葉を続けた。
「それなら、まずはこのまま生活を続けてポーク様に能力の精査をして頂く方が安全だと思いません ? 」
「いや、でも、それだとどれだけかかるか……」
「いえいえ、失敗して取り返しのつかないことになった方がもっと大変ですよサリアさん。それまでサリアさんは僕がしていたような仕事でお金を稼いで、僕は最近するようになった事務仕事で生活していつか元に戻るようにした方がいいですよ。ねえサリアさん ? 」
数日前までとは見た目だけでなく立ち位置まで入れ替わったノランとサリア、ノランの迫力と言い分に何も言い返す事ができずに渋々と帰宅し傷を癒す事となった。翌日から下積み時代のように薬草採集等の比較的安全簡単な仕事をするようになったらしい。今の状態で戦うなんてできるわけも無く、贅沢もできずにフラストレーションを溜めながら生活を続けたそうな……。
「そうか……サリアには悪い事をしてしまったな」
「んぅ……でもサリアさんはこんな事してくれませんよ。はむぅ……ん」
サリアが帰った後、マスタールームではポークが事の次第を報告されてから憂鬱な顔をしていた。まさか自身のスキルにそんな副作用があるなど知らずサリアに要らぬ苦労をさせてしまったのだから。
ところでノランは今どこにいるのか ? それはポークの机の下である。完全に私物としたゴールデンビキニに着替えてポークのズボンを下し、最初は大きなおっぱいでチンコを挟みパイズリを、一発ヌいてから今度はお掃除として口ではむはむ、汚れてしまったポークのナニを綺麗にしていたのだ。
「それに……僕にもスキルが生えましたし」
「そ、それはそうだけども……ううッ ! ? 」
「ふぅ……ん。いっぱい出しましたねポーク様……ごっくん。ご馳走様でしたポーク様♡」
机の下から顔を覗かせるノランは現在ギルドの事務員兼ポークの性処理係(自称)として仕事をしていた。何故性行為の事なんて知らなかったノランがこんな事をできるのか。それは先の行為の後にスキルが芽生えたからだ。
『セックスの鬼』
名前からして性行為がとても上手になると思われるのだが、これでノランは男娼か娼婦しか自身の力を発揮できなくなった。これを聞いたポークは本人の決意が固まるまでギルド事務員として仕事をさすようと思ったのだが、ノランからの強い要望で現在のポジションになった。
(入れ替わりを先に了承したのはサリアさんだし、この身体ならパパの疲れを癒して差し上げられるし……ずっとこの身体は借りておきますねサリアさん……いえ、サリア『君』……ふふふ……)
机の下で指に付着したポークの精液を舐めながら、ノランは薄ら笑いを浮かべていたのだった。
私はただゴールデンビキニをテーマに書きたかっただけなのに仕事もありかなり時間がかかってしまいました。
お読みいただきありがとうございました。