目のまえで俺が主治医を務めている少女、那須玲が頭を下げていた。
「男性体のトリオン体を用意してくれっていきなり言われてもねぇ・・・」
「くまちゃ・・・熊谷隊員を驚かせたいんです」
苦笑いしながら頬をかく彼女を見ながらため息をつく。ただの隊員からのお願いなら突っぱねていたところだが、相手は病弱な那須さんで友達同士でイタズラをするというちょっとしたことでも大事な青春なのだろう。それに、おそらく気軽に頼れるような大人は普段から関わりがある俺くらいだということは想像がつく。
「おっけーとりあえず男性の姿かたちをしたトリオン体はすぐにでも用意はできる。姿はどうしようか、他の男性隊員の姿にするかい?それとも那須さんの姿をベースに男性に寄せていったほうがいい?」
「私をベースに作ってください。他の隊員の姿にすると化けてるみたいで・・・少し嫌なんです」
返事を聞きながらトリオン体を調整していく。ガロプラとの一件で自らをベースにトリオン体を作ることになると最初から考えていたので、データを弄る手に迷いはなかった。
「さんざん説明しているから耳タコだと思うけど、那須さんのトリオン体はデータを逐次僕のPCに送っているからね。あまり羽目を外さないように」
急なことだったので、ディスクの奥で埃をかぶっていた初期型のトリガーホルダーにトリオン体のデータを転送に彼女に渡す。
「このトリガーホルダーはだいぶ初期のやつでね、武器はおろかベイルアウト機能も付いてないからどこかの戦闘狂に捕まらないように気を付けてね」
俺の手からトリガーホルダーを受け取ると元気よくお礼をいった後、小走りで部屋から出ていった。そこではたと気付く、初期型のだいぶ試験的なトリガーホルダーだったけど性機能のON/OFFってしてたっけ
俺はダッシュで那須さんの後を追いかけた。
先生の個室から出た私は早速トリオン体に換装する。一気に高くなる視点、体を見下ろすと真っすぐにつま先まで見下ろすことができた。まぁもともと胸は大きいほうではなかったが。肩回りもがっちりとしており、腹筋に指を這わすと薄っすらと筋が浮かんでいた。声も元の声色を残しつつもしっかりと男性のものになっている。
本部のラウンジに顔を出すと、お目当ての人物が暇そうに頬杖をついていた。まるで、呼び出されたのにその本人がいつまで経ってもやってこないようだった。笑うのをこらえながらくまちゃんに声をかける。
「へ、へい彼女。今暇してるの?」
「は?」
ものすごい目つきで睨まれて思わずたじろいでしまう。くまちゃんと喧嘩とかもしたことはあるけど、こんな目で見られたことはなかった。そんな冷たい目に耐えきれなくなった私はそうそうにネタ晴らしをしてしまう。
「くまちゃん、私!ここに呼び出した人!」
「えーーーと、玲のお兄さんとかですか?でも、一人っ子だったよね・・・」
「玲、本人です!男の人のトリオン体を用意してもらったの」
そこまで言ってようやく半分くらいは信じてもらえたみたいで、体をジロジロと観察される。
「へー、玲を男性にしたみたいな見た目なのね。結構イケメンじゃん」
そう言いながら胸筋や腹筋など筋肉が発達している箇所をツンツンと突かれる。そこで唐突になにを思ったのか、思いっきり抱き着いてきた。ちょうど腹筋に柔らかい感触が押し付けられる。
「やっぱり男性の体はゴツゴツしてるわね。リーチとかを考えたら私も男性のトリオン体を用意してみようかなー、女だからって舐められることも減りそう」
私がただのイタズラで用意したトリオン体を何やら真剣に考察している様子を観察していると、下腹部にむずむずとした感覚が広がっているのに気付いた。今までの人生で感じたことのない感覚に戸惑っていると、その感覚が股間に集中していくがわかりくまちゃんの体を慌てて離した。
「じゃあネタ晴らしも済んだことだし、元のトリオン体に戻してくるわね」
くまちゃんからの返事も聞かず、少しへっぴり腰になりながら女子トイレに駆け込んだ。個室に入るとズボンを下す。そこには女性の体にはない器官が天を向いており、私と目を合わせていた。
「トリオン体って性的に興奮したりとか、そういう機能は削除されていたはずよね?しかもこれってフタナリになるのかしら・・・」
ボーダーでトリオン体に出会うまでは自由に出歩くこともできずに、一日中ベッドにいることがほとんどだった。その中での暇つぶしは、最終的にR18の方向にシフトしていたので、実はニッチな知識も豊富な耳年増でむっつりスケベ。それが那須玲の正体だった。
「こんな機会もうないだろうし・・・」
ゆっくりと手を近づけていくと、そいつはピクリと逃げていく。あくまでピクつかせているのは本人なのだが、うまく捕まえられない。男性器に夢中になっている様子は、那須が情報収集をしていた媒体の表現に合わせると、確実に目がハートに描かれていただろう。
ようやく捕まえると親指と人差し指で輪を作り、ゆっくり上下に動かしていく。
「はぁ・・・はぁ・・・ふぅー」
フタナリモノであるような、頭がバカになる快感を覚悟していたがそこまでのものはなく、甘くねっとりとした刺激だけが続いていく。上下運動を早くすれば刺激が強くなることに気付くと思いっきりしごき始める。
「あッ・・・ダメ、出ちゃう!」
おしっこをする感覚とは似て非なる、ドロっとした液状のものが尿道を通る感覚を味わっていると、黄みがかった精液を吐き出す。手や地面に垂れた精液をそのままに息を整えていると、急な脱力感に襲われ思考に靄がかかったように怠くなる。
「もしかしてこれが賢者タイムってこと?」
そんな感想を抱きながらトリオン体を解除し普段とトリオン体に換装すると、吐き出された精液も消滅した。すっきりとした顔で女子トイレから出ると、さっきの自慰行為直後よりも息を切らした先生がこっちを見つめていた。
「那須さん、とりあえず僕の診察室にいこうか・・・」
心当たりしかなかった私は黙って先生の後についていった。