演習の日になりました。演習前に提督不在の執務室で作戦の最終確認をしました。
「この作戦でよろしいのでしょうか……?」
作戦の内容を改めて確認して、秋月さんが不安そうに呟きました。二日前に比べて、顔色は明らかに良くなっています。冬月さんが補佐をやることで陰口が減ったことや、新人の皆さんの敵意が私に向いたことが良かったのかもしれません。
「はい。旗艦は私がやりますが、秋月型姉妹の皆さんの指揮は秋月さんがとってください」
「私なんかで大丈夫ですか……?」
「冬月さんと涼月さんのことは秋月さんが一番知っています。対空演習の指揮経験もありますし、最も適任だと思います。朝のいつもの訓練をいつも通りにやるだけです。失敗してしまった場合の責任は私が取ります」
「秋月姉さんなら大丈夫だ。いつもの朝練と同じことをやればいい。そうすれば勝てる」
冬月さんの言葉に秋月さんの顔が少し明るくなりました。
「そうだね冬。ありがとう」
気持ちは晴れたかもしれませんが、秋月さんはまだ緊張しているように見えます。そういう意味では冬月さんの言葉は逆効果だったのかもしれません。
「秋月さん、妹のために頑張ると考えてみるのはいかがでしょうか?」
「どういうことですか?」
「この一週間、秋月さんは実習生の一部から不当な扱いを受けました。ですが、冬月さんや涼月さんも同じです。駆逐艦だから、と下に見られましたよね?」
「そうだな」
「私も大鳳さんや摩耶さんに睨まれました……」
「二人ともそうなの?」
「姉妹を馬鹿にされるのは耐えられますか?」
「それは……」
秋月さんの目の色が変わりました。
「今回の演習は見返す絶好の機会です。姉妹のために見返してやる。そのつもりで頑張ってください」
「分かりました……冬、涼。勝つよ」
そう呟いた秋月さんの表情から迷いは消えていました。
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演習が始まりました。
偵察機を飛ばし合って十分ほど経った頃、正面に敵機が現れました。
「秋月姉さん、正面から敵機です!」
「私が対処する。涼は引き続き警戒をお願い」
秋月さんの判断は正しいと思いました。明らかに少ない数ですし、陽動であることは丸分かりです。本攻撃はこの後……あえて直掩機を出して向かわせました。
「翔鶴さん!?」
秋月さんが大声を上げました。
「陽動に引っかかったと思わせて本命を出させます。秋月さんは目の前の敵を潰すことを優先してください」
「了解です」
秋月さんがそう言いました。察しが良くて助かります。
陽動の航空隊は直掩機と秋月さんの対空砲火の前に次々と落ちていきました。いくら陽動とはいえ、かなりのペースで落ちていったのは想定外だったのか、途中から敵機の動きに迷いが見られました。
「四時の方向から敵機です! 本攻撃だと思われます」
陽動隊をあらかた落としたころに涼月さんが声を上げました。
「冬、涼! 全力で対応して。片づけたら私も参加するから、とにかく時間を稼いで!」
秋月さんがそう叫んだ直後に私の直掩機が陽動隊の最後の一機を落としました。これで秋月さんの手が空きました。
「直掩機が戻るまでの対処は秋月さん達に任せます。日ごろの練習の成果を見せてください」
「了解!」
秋月さんが叫びました。
激しい対空戦闘が始まりました。ただ、私達が優勢でした。対空特化の秋月型が防空網を張っているのに正面から突っ込むのは自殺行為です。私や瑞鳳さんのようなベテランならその隙間を縫って空襲を掛けられるかもしれません。ですが、実習生にそれを求めるのは無理な話です。
秋月さんが指揮、冬月さんがメインの対空、涼月さんが対空と警戒といういつもの立ち回りを行っていましたが、しっかりと機能していました。私の直掩機が戻ってきた頃には敵機の大半が落とされていました。防空網を破れないと悟ったのか敵機は私達に背を向けました。
「トドメを刺します。逃がさないで下さい」
すかさず直掩機で追撃をかけ、秋月さん達も追い打ちをかけます。数分後には一機残らず撃墜されました。航空隊は秋月さん達を無視して旗艦の私に向かってきていました。旗艦を潰して一本勝ち狙いの作戦だったと思われます。
「やった……!」
秋月さんが声を上げました。ですが、喜ぶにはまだ早いです。航空戦に負けたとなれば次は砲雷撃戦に持ち込んでくるに決まっています。これも作戦通りです。
「まだ演習は続いています。そしてここからが本番です。秋月さん、頼みました」
「すみません。そうですね……冬、涼。行くよ」
秋月さんは冬月さんと涼月さんを連れて、新人の艦隊へ向かっていきました。
秋月さん達が突撃を始めてから数分後、攻撃隊を二手に分けて飛ばしました。攻撃隊の一つを砲撃戦を仕掛けてくる二人に向かわせました。こちらは陽動で、もう一つが本命です。
「秋月さん、耐えてくださいね」
そう呟いてから航空隊を発艦させました。
本命の航空隊を離れた場所で待機させ、陽動の航空隊が砲雷撃戦の上空にたどり着きました。予想通りですが、押されていました。
砲雷撃戦開始からあまり時間は経っていないはずですが、冬月さんが中破していて、秋月さんにも砲弾が直撃するのが見えました。敵側には大した損害もなく、こちらで無傷なのは涼月さんだけです。今すぐ援護が必要です。
上を向いた矢矧さんと目が合いました。こちらの存在に気づいたようです。彼女からすぐに対空砲火が飛んできましたが、回避して摩耶さんに急降下爆撃をかけました。摩耶さんの胸元にペイント弾が命中し、苛立つ表情が見えました。
摩耶さんは直後に対空戦闘を行おうとしましたが、すかさず冬月さんが摩耶さんに砲撃をしかけます。至近弾でしたが矢矧さんの表情に動揺が見えました。
今、摩耶さんと矢矧さんは海と空で挟み撃ちにされている状態です。このままではジリ貧ですし、打開する方法はそう多くありません。突破するか、撤退するか、直掩機の援護を求めるかのいずれかですが、直掩機の援護を求める以外は高リスクです。必然的に動きは一つに絞られます。
大鳳さんと葛城さんのいる方から直掩機が飛んできました。頃合いです。本命の航空隊を全て、旗艦の大鳳さんがいる方へ向かわせました。
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演習が終わりました。私達の勝利です。
演習前とうってかわり、実習生の皆さんは意気消沈しているように見えました。
「旗艦を狙うのは卑怯です……」
ペイント弾塗れの大鳳さんが呟きました。
「斬首作戦を狙ったのはそちらも同じですよね?」
「つっ……」
大鳳さんが悔しそうな顔をしました。
「卑怯くせぇ真似しやがって。やってらんねぇな」
「負けは負けだと認めた方がいいんじゃないか?」
横では摩耶さんと冬月さんが言い合いをしていました。
「うるせぇ! 駆逐は黙ってろ!」
「その駆逐に追い詰められたのはどこのどいつだ?」
「んだと!? やるのか!?」
「摩耶、落ち着いて……」
喧嘩になりそうだと判断したのか慌てて矢矧さんが止めに入りました。
「どけよ。コイツを一発殴らないと気がすまねぇ!」
「いいから落ち着きなさい! 本当に洒落にならないわよ!」
「騒がしいですね。どうしました?」
聞き覚えのある声がしました。声がするのと同時に摩耶さんが暴れるのをピタリと止めました。
声のした方を向くと予想通りの人がいました。
「お久しぶりです、神通さん。いらしていたのですか?」
鬼教官の神通さんです。提督の妻とはいえ、彼女が来るとは聞いてなかったので意外でした。
「翔鶴さん、お久しぶりです。夫に頼まれて演習を見学していました。翔鶴さん達は見事でしたが、勤務実習生の皆さんは動きに問題があるようですね。それと、鎮守府で起きたことは夫から聞いています」
「もしかして、神通さんの夫って……」
「ここの司令官ですよ」
神通さんの答えを聞いた摩耶さんと大鳳さんの顔から血の気が引きました。
「色々あったようですが、私自身の教育の仕方の不甲斐なさを酷く痛感しました。帰ったら教育方針を考えなければなりませんね」
話している間、神通さんはずっと笑顔でした。自業自得ではありますが実習生の皆さんに少しだけ同情しました。
「それと、翔鶴さん」
神通さんが私の方を向きました。
「何ですか?」
「少しは収まりましたか?」
「以前、お会いした時から何も変わりませんよ。私は私のままです」
「そうですか……壊れないようにだけはして下さいね」
神通さんとの会話から秋月さんが何かを察したのか、そっぽを向きました。
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「翔鶴さん、今日はありがとうございました」
夕食の時間に一人で食べていたら秋月さんに声をかけられました。
「お気になさらずに。秋月さんの実力ですよ」
嘘は言っていません。秋月さんあってこその防空体制でしたし、砲雷撃戦で粘ったのも秋月さんの指揮があっての結果です。最終的に勝ちに持っていったのは私ですが……
「翔鶴さん」
声に反応して振り返ると大鳳さんと矢矧さんがいました。
「どうしました?」
「感想戦はやらないのですか?」
大鳳さんの言葉から彼女が敗因を知りたがっていることを察しました。ただ、今までのことがありますし素直に受ける気にはなれません。それに、誠意を見せるなら直接言うべきなのに遠回しに言うのが気に入りませんでした。
「やりませんよ。する意味がありませんから」
私の笑顔に大鳳さんの顔が歪みました。
「どうしてですか? 感想戦をやるのはお互いのためになるはずです」
「私達が勝ったという結果がありますから。それに、周囲に守られている秘書艦の意見は何の為にもならないのでは? 大鳳さんも聞く意味がないと思いますよ」
「お願いします」
矢矧さんが頭を下げました。
「大鳳は負けたのをすごく悔しがってました。この子は敗因を知りたがってるんです!」
「矢矧……!」
ため息をつきました。まるで親と思春期の子供です。それに、大鳳さんは直接言わなければ分からないのでしょうか?
「矢矧さんはこう言ってますが、大鳳さん。貴女も頭を下げるのが礼儀なのでは?」
大鳳さんが固まりました。
「なんで私が……」
「嫌ならいいですよ。強制はしません」
私の態度に観念したのだと思います。大鳳さんが頭を下げました。
「お願いします。感想戦を開いて下さい……敗因を知りたいんです」
「承知しました。二十時に作戦会議室に来て下さい。提督には話しておきます。秋月さんも参加しますか?」
「は、はい!」
「では、また後でお願いしますね」
そう話して席を立ちました。
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二十時ちょうどに作戦会議室に入ると、既に三人が中で待っていました。
「二十時になりましたね。今回の演習の反省会を開始します。まず、演習前の話からしましょうか?」
「演習前、ですか?」
大鳳さんが呟きました。
「演習前にお互いが持っていた相手の情報です。お互いに相手の艦隊編成は知っていたので、それ以外のことを話します。まず、私から。新人の皆さんの大まかな性格と練度は知っていました。大鳳さんはどうですか?」
「翔鶴さんは厳しい訓練をする人ということしか分からない。秋月さん達は対空の練度が高い。その認識でした」
「十分です。秋月さんは私と同じですか?」
「はい、翔鶴さんと同じです」
「矢矧さんは?」
矢矧さんが少し考えるような仕草をしました。
「朝練に参加してたから分かったことだけど、翔鶴さんは練度がすごく高かったと思う。それについてきてる秋月さん達も相当だと思いました。あと、秋月さん達の対空の時の役割分担も知ってました」
「ありがとうございました。では、次にその上でどう作戦を立てたかを考えましょう。大鳳さんからお願いします」
「秋月さん達が防空に強いことは知ってました。なので、少数の航空隊で陽動をかけてから本命を突撃させることにしました。相手は空母一人だったので防空の目を引ければ、数で押し切れると思っていました」
「失敗した場合はどうするつもりでしたか?」
大鳳さんが一瞬ビクッとしました。
「考えていませんでしたが……砲雷撃戦で取り返せると思っていました。艦種は私達が優勢でしたし……」
「ありがとうございました。次に私達の作戦を話しますね。私達の作戦は空襲を防空でしのぎ、砲雷撃戦では時間を稼ぎながら航空機で援護し、直掩機が来たら本命に空襲をかけるというものでした」
「えっ……?」
大鳳さんと矢矧さんの顔が青くなりました。
「そうですよね、秋月さん?」
「はい。防空の指揮を一任された時は不安でしたが……」
「読まれていたのですか?」
「概ね、予想はつきました。最初の陽動は読めませんでしたが、その後のことは予想通りでした」
「どうして分かったんですか? それに陽動は成功したのに……」
「気づいてましたよ? それと作戦を読んだのは大鳳さんの性格を考慮してのことです。大鳳さんならこう来るだろうと想定していました」
「陽動がバレてた……?」
大鳳さんの表情に動揺が見えました。
「詳しいことは実際の展開を見ながら話しましょうか。まず初めに、大鳳さん達は偵察をかけてから航空隊を二手に分け私達の艦隊に陽動隊を飛ばした。ここまでは良いですね?」
「はい」
「私からの空襲は想定してましたか?」
「してました。むしろ、それが本命だと思っていました。この時点では何も来ませんでしたが……」
「そうですね。最初の航空戦に賭けるのは無謀と判断して飛ばしませんでした。話を戻します。陽動隊が私達の艦隊に到着しました。私達は一目見て、陽動だと判断しました。防空指揮担当の秋月さんはどう判断しましたか?」
「明らかに少数だったので私でもわかりました。なので、私一人で対処しようとしました。翔鶴さんが直掩機を向かわせたのは意外でしたが……」
「陽動だと分かったのに、どうして直掩機を向けたんですか? 意味が分からないです」
「理由は二つあります。一つは陽動隊を早く片付けて秋月さんの手を空かせること。それと、もう一つは……」
あえて少し間をあけました。
「陽動に引っかかったと大鳳さん達に思い込ませたかったからです。陽動に引っかかったと思えば本命を突っ込ませてくるだろうと考えてました」
大鳳さんがやられたという顔をしました。
「陽動隊が早く溶けた理由はありますか?」
矢矧さんが手を上げました。
「これに関しては練度の差ですね。加えて、私の直掩機も向かっていたので仕方ないと思います。話を戻しますが、大鳳さん達は陽動が成功したと思い込み本命で空襲をかけに行った。ここまでは良いですね」
「……はい」
「その後、本命が到着する前に陽動隊が壊滅しました。これにより、秋月さんの手が空き、私が直掩機を戻すまでの勝負となりました。秋月型三隻の防空体制の強さは分かりますよね?」
「あの規模の弾幕は見たことがありませんでした。翔鶴さんさえ倒せば勝ちだと思ってたので、押し切れると思って狙いに行きましたが……」
「それも判断ミスですね。狙うなら直接私を狙うよりは秋月さんや冬月さんを狙って防空能力を下げてから狙うべきだったと思います」
大鳳さんが悔しそうな顔をしました。もっとも、それをしても致命打にはならなかったと思いますが。
「私の直掩機が戻ってきた時点で航空戦の結果は見えています。慌てて引き返そうとしましたが、大半が落とされましたね。もっと早く、無理だと判断して引き返すべきだったと思います」
「はい……」
「航空戦が終わり、そのまま砲雷撃戦に移行しました。この場面は私達が不利です。旗艦を狙いに行くのは危険ですし、放置すると押し切られます。その為に航空隊を二つに分け、片方で摩耶さん達を空襲してもう片方は少し離れた場所で待機させました。航空隊に真っ先に気づいたのは矢矧さんでしたね?」
「はい。嫌な音がしたので気づきました。摩耶は無視して突っ込もうとしたけど……」
「直後に摩耶さんに急降下爆撃を命中させると、怒った摩耶さんは対空戦闘に入ろうとしましたが冬月さんが横槍を入れました。この時点でマズいと気づきましたね?」
「海と空で挟み撃ちにされたと思ったわ。突破は無謀、引くのもありえない。だから直掩機を求めた」
「直掩機が向かってくるのを確認してから別働隊で旗艦の大鳳さん狙いの空襲をかけました。空襲が致命打となり試合終了。この流れでしたね」
「……最初から最後まで手の上で踊らされてたってことですか?」
「そういうことになりますね。とはいえ、反省点は多くあったと思います。ホワイトボードに一つずつ書き出していきましょうか」
①陽動に引っかかったと誤認したこと
②陽動隊が予想よりも早く壊滅したこと
③秋月さん達の防空網の中で旗艦だけを狙ったこと
④航空攻勢不可の判断が遅れたこと
⑤空襲で焦り、直掩機を砲雷撃戦に向けたこと
⑥斬首作戦への対応が遅れたこと
ホワイトボードにそう書きました。
「とりあえずはこんなところでしょうか? 他に何かありますか?」
大鳳さんが手を上げました。
「作戦が読まれていたことです。かなり根本的な問題だと思います」
「そうですね。それも書きましょうか」
ホワイトボードに「⑦作戦と状況判断を読まれていたこと」と書き加えました。
「他に何かありますか?」
誰も何も言いません。
「矢矧さんは何か気づいていませんか?」
もしかしたらと思い、矢矧さんに声をかけました。
「いえ、何も……強いて言えば空襲を受けた時に摩耶が感情的になったことぐらいかしら?」
誰も分からないなら私が言うしかなさそうです。秋月さんには分かってほしかったですが。
「もっと根本的な問題があります。慢心したことと艦種で相手を下に見たことです」
全員がハッとした顔をしました。
「慢心していたからこそ、陽動に引っかかったと誤認し、航空隊を壊滅させられ、失敗しても砲雷撃戦で取り返せるという判断をしています」
「慢心したことが全て、ですか……」
大鳳さんが呟きました。
「その、艦種ごとに得意不得意はあってもそこに上下はありません。それぞれの役割があります。大切なのはそれを生かすことです。私達は今回の演習では、秋月型の防空駆逐艦という役割を最大限活用できました。対して、大鳳さん達の艦隊はどうだったでしょうか?」
沈黙が流れました。
「結論が出ましたね。今、頭の中に浮かんでいることが今回の最も大きな反省点です。今回のことを生かし、今後に繋げて下さい。以上で反省会を終わります」
「ありがとうございました」
皆さんが頭を下げました。
「翔鶴さん、反省会を開いていただきありがとうございました。凄くためになりました」
「次は負けません」
二人の態度から私への敬意を感じました。そんな物は私の本性を知ったら消し飛ぶと思いますが……
「次の機会を楽しみにしていますね」
笑顔を作ってそう返しました。
「翔鶴さん」
大鳳さんと矢矧さんが作戦会議室から出ていってから、秋月さんが私に声をかけました。
「どうしました?」
「さっきの笑顔、少し怖かったです」
「そうですか?」
秋月さんが顔を青くして目を背けました。