俺はいわゆる転生者というものだ。
俺は前世とも言える記憶を持っている。
記憶がよみがえったのは五歳ごろ。ジャングルジムから落ちて、頭を打った衝撃で全て思い出した。
前世の俺はつまらない人間だった。
朝起きて、会社に行って、帰って寝る。
言われた仕事をなんとなくして、最低限の家事をやる。
大した趣味もなく、ネットの動画を見たり、無料のソシャゲしたり、暇な時間を潰す。
何のために生きて、何のためにこんなことをしてるのか自分でも分からなかった。
虚無感と孤独。漠然とした不安と不満をずっと抱え、不平不満を言って過ごしていた。
かといって何かを変えようとする気概もない。必死になれる何かを見つけようとはしなかったし、努力する気力も持つ気にはなれなかった。
満たされない。何処か生き苦しい。けどソレが何なのか分からず、どうしようもなかった。
ソレは今世でも同じ。また同じように生きるんだと俺は軽く絶望していた。
この力を手に入れるまでは。
バトルナイザー。
怪獣を自在に操るツール。
俺はコイツを手にしてから変わった。
怪獣が暴れ、宇宙人が攻めてくるようになった。
ソレにシンクロするかのように、バトルナイザーを拾った。
俺は怪獣を操ってソイツらを殺してきた。
使用する怪獣はゴジラ。
他の怪獣と戦って弱っていたところをバトルナイザーで取り込んだ。
ゴジラは強かった。
他の怪獣を倒し、宇宙人の兵器を潰してきた。
ゴジラは強くなった。
出来ない事が出来るようになり、勝てない敵を倒せるようになった。
ゴジラは忠実だった。
本来なら命令なんか聞く筈のない怪獣王が、俺の前では奴隷のようにひれ伏した。
どうやら俺はレイオニクスの因子を継ぐ人間で、怪獣を操る力が元からあったらしい。
バトルナイザーはそのサポートでしかなく、他の者には使えない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
重要なのは俺とゴジラの事だ。
俺はゴジラと共に戦い、強くなってきた。共に勝利してきた。
コイツとならどんな敵でも勝てると、何でも出来ると思っていた。
あの男が現れるまでは………。
「ククク…。不完全とはいえこのレイブラッドを打ち倒すとは。やはりお前は最高傑作だ」
レイブラッド。
全ての宇宙を統べた全能の神。
不完全であっても相打ちまで持っていくのが限界だった。
「この仮初の肉体は間もなく滅ぶ。しかし、実に有意義だった」
「安心して逝け。我が息子、レイプロトよ」
勝手に妙な名前で呼ぶんじゃねえ。
俺の名は
言い返したいがそんな体力も残っていなかった。
俺は死ぬ。
もう助からない。
けど、恐怖はなかった。
存分に楽しんだ。
もう十分遊んだ。
安心して眠れる。
バトルナイザーを放り投げる。
俺の手から離れた途端、凄まじい勢いで何処かへと飛び去った。
故郷である地球目掛けて飛んでいったのだ。
ゴジラを帰す為に。
俺が死ぬ以上アイツはもう自由だ。
あんな小さな檻はもう必要ない。
外で思いっきり暴れな。
強いて心残りがあるとすれば、自由に暴れるゴジラをこの目で拝めないことだ。
他は特にない。
「(じゃあな)」
目を瞑る。
静寂の闇が俺を包み込んだ。
「お、やっと起きたかご主人様!」
目が覚めると、目の前に美女がいた。
何で?