雄たけびをあげながら、レッドキングがゴジラに突っ込んできた。
右拳を大きく振り上げ、助走を付けて右ストレートを突き出す。
巨岩を砕き、小さな山なら崩せる程の威力。
ゴジラはソレを易々と受け止めた。
「!?」
自慢の怪力をあっさりと止められた事に驚くレッドキング。
しかし驚きは怒りに変貌し、すぐさま攻撃に転換。
左腕を力いっぱいに振り下ろす。
ガシッ!
これもまたゴジラは易々と受け止めた。
ソコから始まる力比べ。
ダイナマイト一万個分に匹敵する力でゴジラを押し潰そうとした。
「!?」
しかし、コレもゴジラが勝利した。
力ずくで拘束され、膝を付くレッドキング。
メキメキと、レッドキングの腕が悲鳴をあげる。
「ッ!」
ゴジラに三日月状のエネルギー刃が飛んできた。
レッドキングを拘束していたゴジラはソレを避けられずに直撃。
しかし大したダメージを受けた様子はなく、レッドキングを投げ捨てながら飛んできた方向を睨む。
エネルギー刃を飛ばしてきたのはエレキング。
レッドキングを抑えていた隙を突いて攻撃したのだ。
奇襲は成功したが、全くダメージを与えられていない。
エレキングは焦りながら、次の攻撃を仕掛けた。
角からの放電攻撃。
ゴジラはソレを避ける動作すらせず、マトモに命中。
しかし感電どころか怯んだ様子すら見せなかった。
むしろ、電撃を食らった瞬間ほくそ笑む。
「!?」
ゴジラの周囲を岩が浮遊した。
磁場操作。
エレキングの電気を利用して磁力を発生。
周囲の岩に含まれた鉄分を操作し、浮かせた岩を反発させてエレキングにぶつけた。
吹っ飛ぶエレキング。
一発なら兎も角、何発も受けたらただでは済まない。
岩を何発も受けたエレキングはその場で倒れた。
今度はレッドキングが岩を投げてきた。
怪力を駆使して岩を何個も投擲。
しかしこれもゴジラには通じなかった。
岩を叩き落すゴジラ。
左右の腕を振るって、岩を砕いて無効化した。
「ぎゃあ!?」
最後の一個。
ゴジラは尻尾を振るって岩をかっ飛ばした。
クーリングオフされた岩はレッドキングへ命中。
ゴジラが弾いた威力も相まって、岩は砕けながらレッドキングにダメージを与えた。
怯んでたたら踏むレッドキング。
その隙を突こうとゴジラが動いた瞬間、エレキングが尻尾で攻撃してきた。
尻尾を巻きつけたと同時、電撃を流し込む。
しかしゴジラは怯んだ様子はない。
むしろ拘束された状態で身を振るい、拘束しているエレキングを逆に吹っ飛ばした。
吹っ飛んだエレキングは、立ち上がったばかりのレッドキングへ命中。
二体の怪獣はもつれ合って倒れてしまった。
格が違う。
二体の怪獣は同時にそう思った。
レッドキング自慢の怪力が効かない。むしろ力負けしてしまった。
エレキング自慢の電撃が効かない。むしろ逆に利用されてしまう。
そして何よりもあの怪獣は攻撃らしい攻撃をしてないのに、こうも追い詰められてしまった。
届かない。
自分たちの武器が、自慢の力が一切通じない。
全てにおいてあの怪獣がその上を行っている。
じゃあ、あの怪獣から攻撃したらどうなる!?
既に二体の怪獣の闘志は折れてしまった。
重なっている二体の怪獣目掛け、ゴジラが光線を吐く。
今度はこちらの番だといわんばかりに打ち出された光線。
ソレは怪獣二体の巨体を打ち上げ、空中で大爆発。
まるでゴジラの勝利を祝う花火のようであり、ソレを背景にしてゴジラは勝利の雄叫びをあげた。
終始圧倒していたゴジラ。
初めて仕掛けた攻撃らしい攻撃。
最初から勝敗など決まっていたお遊び。
ゴジラは最初から最後までソレを楽しんでいた。
雲を超えた上空。
二つの巨影が超高速で飛んでいた。
オーブダークとスカイメルバ。
巨人と怪獣は50m程はあるというのに、音速の壁を越えていた。
空全体を舞台にして、ソニックブームをまき散らしながらチェイスを繰り広げる。
『(!? レッドキングとエレキングとのリンクが切れた!?もうやられたのか!?)』
雲の上で空中戦を行いながらスカイメルバは戦慄した。
開始して一分ほどであの二体の怪獣がやられた。
二体のキング怪獣、しかも二対一だというのに!?
レッドキングもエレキングも決して弱くない。
むしろ逆。ウルトラ怪獣の中ではそれなりに強い。
ソレが一対一が前提のレイオニクスバトルで二体同時に来れば、大抵の怪獣は倒せる。
だが、その大抵にゴジラは含まれなかった。
『(こうなったら怪獣使いのこいつを倒すしかない!)』
ならばこのレイオニクスを倒してしまえばいい。
いくら怪獣が強くても、怪獣使いが死ねばリンクが切れて通常の怪獣に戻り、野生に帰ってしまう。
わざわざ強い怪獣を倒す必要はない。レイオニクスバトルに勝てばそれでいいのだ。
だが、それも難しい。
『そこだ!』
スカイメルバがオーブダークを追い抜き、目から光線を放つ。
オーブダークはソレを回避。身をよじって最低限の動作で避けた。
オーブダークが光線を数発放つ。
スカイメルバはソレを回避。凄まじい飛行速度で全て避けた。
『!?待ちやが…!?』
スカイメルバが飛び回っている間にオーブダークは雲の中へと飛び込んだ。
姿を隠したオーブダークを追おうと雲に向かうスカイメルバ。
瞬間、雲からオーブダークが飛び出し、拳を振るった。
右腕に赤黒い稲妻を纏わせ、威力を上げた一撃。
スカイメルバはソレを咄嗟に回避。
しかし完全には避けられなかった。
『クソ!』
急な方向転換、無理やりな飛行。
反動を受けた上にビームが掠ってダメージを受けてしまった。
『(ちくしょう、この似非ウルトラマンめっちゃ強い!怪獣使いじゃねえのかよ!?)』
両者の戦いはほぼ互角だった。
スピードと飛行能力はスカイメルバが上。
戦闘技術と予測能力はオーブダークが上。
マグマ星人はスカイメルバのスペックで、礼は自身の能力で戦っている。
この違いは大きく出る。
そのことをマグマ星人が知るのは、戦いの後。
そう、今ではないのだ。
『ッチ!』
オーブダークのカラータイマーが鳴る。
限界時間が近いのだ。
ヒュージョンアップは三分までが活動限界。
残り時間1分を切るとカラータイマーが赤く点滅する。
それ以上戦おうとすれば変身を保てず解除してしまう。
『やはり三分しか戦えないようだな!』
スカイメルバ―――マグマ星人はほくそ笑む。
ウルトラ戦士、或いはソレを模した存在である以上三分という縛りがある。
三分を過ぎれば形勢逆転。変身が解けた瞬間に集中砲火だ!
『(よし、このままいけば勝てる!)』
「ああクソ、あと一分か」
何処までも広がる闇の中、礼はため息をついた。
ウルトラマンの力だけで戦おうとしたが、相性が悪かった。
こういった状況ではタイプチェンジが正しいのだが、生憎そのために必要なカードを持ってない。
礼が持っているウルトラマンカードはウルトラマンダークとティガダーク。あと二枚あるが、これは簡単には使えない。
「仕方ない、怪獣使いらしく戦うか」
バトルナイザーを取り出し、力を籠める。
途端、礼の前にカードが現れた。
ソレをダークリングに翳す。
『アビリティ発動!バルタン星人!』
ダークリングが鳴った途端、オーブダークは数体ほど分身した。
バルタン星人の分身能力。
カード化させたバルタン星人の力をダークリングに読み込ませる事で使用したのだ。
ダークリングには、本来このような能力はない。
礼自身の、レイオニクスとしての能力である。
分身したオーブダークが一斉にビームを撃つ。
雨霰のごとく降り注ぐ光線の弾幕。
スカイメルバは縦横無尽に飛び回ってなんとか潜り抜けた。
多少貰ってダメージを受けたが問題ない。このまま逃げ切る!
だが、オーブダークの方が一枚上手だった。
『アームズ発動!シルバーブルーメ!』
待ち構えていたかのように、スカイメルバの回避先に円盤が投擲された。
咄嗟に急旋回して避けるスカイメルバ。
無理な体勢の緊急回避。
バランスを一時崩してよろけるも、何とか回避に成功した。
ソレが罠だと知らずに。
『な!?』
円盤から長い触手が数本生えてきた。
網状に展開される銀色の触手。
ソレがスカイメルバの回避先目掛けて伸びたのだ。
捕縛されるスカイメルバ。
振り払おうとするもがっちりと絡み、触手も円盤も吸盤のように張り付いてくる。
やがて翼にも飛行困難な程に絡まり、速度が急降下した。
ソレだけではない。触手には毒があるのか、絡まれば絡まるほど力が出なくなってきた。
毒の触手と吸盤を持つ円盤。
シルバーブルーメの力を借りる事で、一時的に作り出したのだ。
これもレイオニクスの………礼自身の能力である。
『必殺発動!ノーバ!ファントムアタック』
今度はノーバのカードを読み込ませる。
途端、オーブダークの右腕がノーバの触手となり、スカイメルバに振りかざした。
避けようとするが、触手に捕らえられ、毒に侵されているせいで上手く動けない。
『ぐわああああああ!!?』
滅多打ちされるスカイメルバ。
皮膚が裂かれ、傷を刻まれ、翼の皮膜が破かれる。
『(コイツ…まさか全部計算してたのか!?)』
鞭に打たれ、毒に侵さる中、マグマ星人は敵の強さをやっと正しく認識した。
分身能力による弾幕で逃げ場を限定させ、触手の網で捕縛、トドメに毒の鞭。
間違いない、この男は全て計算した上でやってみせたのだ。
ソレらの能力を今まで使わなったのは、動きを読むため。
最初から最後まで手の平の上で踊らされていた。
勝てない、格が違う。
痛みと痺れに支配され、意識が途絶える中。やっとそのことに気づいた。
礼はバトルナイザーで怪獣を操る以外にも様々な能力を持ってます。
テレパシーやテレポート、サイコキネシスのような超能力。
怪獣の力を借りて怪獣の能力を使ったり、怪獣の力を武器にしたりと。
これらは礼がレイオニクスとしての力を使いこなせてるから出来るという設定です。