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今日も奥村は学校へ来ていないようだ。
ついでに鴨志田もずっと休んでいるらしい。
怪盗団は歪んだ欲望を盗むと言っていたが、盗まれた本人はどの様な状態になるんだろうか。
『パレス内のオタカラを奪うことで、パレスが崩壊するのは確かだが、その後の症状などはよく知らん』
パレマクリアも知らないらしい。
こいつが知らなければ俺にわかるはずもない。
『ただ、パレス内にいる本人のシャドウを殺すと、現実世界にいる本人も死ぬであろうな』
マジか。
怪盗団とカモシダの決着は最後まで観戦してなかったが、もしかしたら鴨志田は死んでいるのかもしれない。
というか、誰にもバレずに人を殺せるってことか。
パレスがある人間は限られていそうだが、それでも驚異的な能力だ。
もし俺にパレスがあったのならば、気付かないうちに怪盗団やペルソナ使いに潜入され、殺される可能性もある。
そう思うと、途端に身震いしてきた。
『安心しろ、契約者にパレスはない。執着するものがない故な』
良かった。
取り敢えず、意味もわからず死ぬことはないらしい。
そういえば、俺もパレスに入れるのならパレスの主人を殺してバレない殺人をすることもできるのか。
『我がいるとはいえ、一人でパレスを探索するのは推奨できんがな。危険が多い割に、得るものが少ない』
まあ、確かにそうだろうな。
今のところ殺したい人間もいないし、よっぽどの事がないとやらないだろう。
目下の目標はコイツの力を強化し、ペルソナ使いを倒すこと。
わざわざ危ない橋を渡る必要はないだろう。
そういえば、他にペルソナ使いの女は見当たらないのだろうか。
いつ戦いになるか分からんし、備えておきたい。
『やる気だな、我もその気持ちに答えたいところだが今のところ個人を特定できん。この学校にまだ会ったことのないペルソナ使いがいることは確かだ』
一瞬で個人を特定できれば良いのだが。
学校中をブラつくか、もしくは人の多そうな原宿や渋谷を歩けば、学校外のペルソナ使いを見つけられるかもしれない。
男だった場合どうしようもないが。
男相手には勃たないし。
いや、見た目美少女の男の娘ならワンチャン。
無いな、ブツがついているなら無理だ。
明後日の方向へと向かっていた思考を戻し、どうするかを考える。
悩んだ結果、放課後は渋谷を巡ることにした。
ここならうちの生徒も良く来るだろうし、人通りも多い。
学校内外のペルソナ使いを察知できるかもしれない。
最初に向かったのは、渋谷の駅地下モール。
『高さがある建物の中では上階、下階の反応の区別がつかぬ故、精度は多少劣るぞ。目の前にいれば確実だが』
どうやらコイツのペルソナセンサーはGPSみたいな特性らしい。
上空に衛星でも飛ばしているんだろうか。
駅地下モールを散策する。
チラホラと秀尽の制服を着た人間がいるが反応はないらしい。
まあ、流石に一日で見つかったら苦労しない。
場所を変えるかと思った時、パレマクリアが反応を捉えた。
『あそこの、呉服屋あたりに反応がある。それも三つだ』
言われるがままに、アパレルショップに向かう。
人が多すぎてよく分からん。
『あの黒髪、眼鏡の小僧と、金髪、長身の女だ。汝と同じ制服を着ておる』
あれか。
男の方はパーマがかかった黒髪に眼鏡、女の方は金髪碧眼の長身だった。
どちらとも顔立ちは整っており、密かに胸の内に秘めていたペルソナ使い美男美女説の信憑性が真実味を浴びて来た。
いや、まて反応は三つと言ってたな、後一人はどこだ?
『三名ともにペルソナが覚醒しておる、そして男の方はトリックスターの小僧だな。あと一つの反応は小僧の鞄の中からだ』
バックの中にいるのか?
ビックリ人間じゃないか。
しかも黒髪パーマはトリックスターかよ。
情報が錯綜しすぎだ、一人一人出てきて自己紹介してくれ。
『ペルソナが覚醒していることと、トリックスターと親交があることから怪盗団で間違い無いだろうな』
確かに、怪盗団の赤いボディースーツの女は長身金髪だったな。
ということは、怪盗団のメンバーであるならバックに入っているのは、ドクロ仮面の男か、猫の化け物だろう。
十中八九、猫の方だろうな。
男が折りたたまれて収納されてるより、化け猫が入っている方がまだ納得できる。
『どうする、接触するか』
名前だけでも特定しておきたい、人相が割れたため遅かれ早かれだが、手間が省ける。
少し近づき、会話に聞き耳を立てる。
「鴨志田まだ休んでるけど、ホントに改心できたのかな?」
「問題ないはずだ。...多分」
「不安だな」
話し声は三人分。
どうやら本当に、バックの中に何かいるようだ。
それと改心と言うワードが気になる。
怪盗団はカモシダになにをしたんだ。
最後まで見ておくべきだったか。
バックの中が気になりさらに近づく。
「ちょっと、失敗してたら志帆の仇も取れないし、蓮たち退学なんだからしっかりしてよね」
そう言って女の方はトリックスターのバックに手を突っ込み、猫を引きずり出す。
「待ってくれ、アン殿。我輩も初めてのことで分からないんだ」
どうやらトリックスターの方は、レンという名前らしい。
たしか転入生の名前は、雨宮 蓮だった筈だ。
やはり転入生が鍵になるらしい。
シホというのは確か自殺未遂を起こした生徒の名前だ。
交友関係は詳しくないが会話の内容的に仲が良かったのだろう、女の方はおそらく2年生、もしくはバレー部。
喋る猫が女の事をアンドノと呼んでいたことから、名前はアンドノ。
金髪碧眼だし外人なのだろうか。
いやアン殿か。これも外人っぽい名前だが、日本でも、まま聞く名前でもある。
いや、猫がなんで喋るんだよ。
男より猫が入っている方が可能性は高いと思ってたけど、モロ本物の猫じゃねーか。
パレスで見たあのファンシーな姿はどこいったんだよ。
しかもなんでバックに入れてるんだよ。
一緒に学校へ行ってんのか?
世界は不思議で溢れてるこったな、まったく。
まあいい。
いろいろあったが、ある程度情報は取れたし、ここらが潮時か。
明日学校で2年生の生徒名簿を確認してみよう。
『あの女もレイプして力を得たいところだな』
ペルソナに目覚めてるやつを獲物にすると、叛逆の精神とやらで反撃くらいそうだし、当分は様子見だ。
『それもそうか、残念だ』
まあ、お前の力が増せばそのうちヤれるさ。
俺は、自宅に帰り明日に備えることにした。