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定期テスト真っ只中、緊急の集会が開かれることになった。
怪盗団の捜索についての進捗は特に報告していないし心当たりは特にない。
川上とのこともあって、気が気ではなくテストに集中なんてできなかったのでこの集会はありがたいかもしれない。
川上にはあれから特に校長を探れなどの命令はしていない。していないと言うより、怖くてできない。
あれから、川上は俺が一人暮らしなのを知って、色々と大変だろうから家事をしに行ってあげるなどと、メッセージを送ってくる。
完全に彼女面している。というか彼女だと思っているのだろう。
そんな人間に、校長を探れなんて不可解なお願いをすればどんな事が起こるか予想がつかない。
パレマクリアどうにかできないか。
『知らぬ』
お前が提案したんだからさぁ、なんか意見出してくれよ。
『適当に利用して、適当に捨てればよかろう』
パレマクリアがやれやれと言った風に返してくる。
それ、一歩間違えたら、俺刺されたりしないかな。
いくら身体能力が向上してるとはいえ、武器を持った人間と正面をきって戦いたくないんだが。
後ろから不意打ちでブスり、なんて事もあるかもしれないし。
『女をレイプした人間が、今更なにを恐れている』
全くもってその通りなんだが、押し倒してレイプして心を折った人間と、レイプしたと思っていたら、いつのまにか合意のセックスになっていて彼女になっている人間とじゃあ恐怖のベクトルが違うんだよ。
なにされるか分かんなさが、段違いだ。
しかも裸の写真もただの記念のハメ撮り写真に価値を落としているから、立場的に上に立てないのだ。年上な分、川上の方が上な気がするし。
そんな事を考えていると、集会が始まった。
俺が心を悩ます諸悪の原因の校長が偉そうに喋り始める。
「例の事件以来、皆さんの不安の声は、私の耳にも届いています。早急に皆さんのメンタルケアが必要と感じ、担当の先生にきていただいた次第です」
「それでは、先生」
そう言って校長は横へとはけていく。
俺にもメンタルケアが必要な気がするし、一度行ってみようか、
「始めまして、僕の名前は、まる」
マイクの調子が悪かったのか、途中で音が途切れる。
「...あれ」
マイクの確認をし改めて自己紹介を行う。
「丸喜、拓人と申します。よろしくどうぞ」
頭を下げると同時にマイクはまだ激突する。
古典的なお笑いだ...
「た、担当はカウンセリングです。堅苦しく構えなくて大丈夫ただから。相談ならなんでも...あっ」
「お金の相談は困るかなー」
親しみやすそうな人だ。
これもカウンセリングの技法だったりするのだろうか。
自分の弱みをまず見せる的な。
そんな事を考えていると、パレマクリアが真剣なトーンで話しかけてくる。
『あやつ、ペルソナ使いだ』
あの優男風の先生が?
とてもそうは見えないが。
『間違いない、ペルソナも覚醒しておる』
カウンセラーが悩みの種を増やしてんじゃねーよ。
俺は叫びたかった。
本人にペルソナ使いの自覚はあるのだろうか。
『おそらく、覚醒のタイミングで分かるはずだ』
校長より前にあのカウンセラーを探った方が良さそうだ。
川上に頼むしかないかぁー。
いや、まずは自分の目で確認しよう。そうしよう。
しかし、パレマクリアの正体がバレるリスクはないのか?
俺はいまいちペルソナと言うものを理解していない。
『探知に秀でたペルソナなら、ありうるかもしれんな。ペルソナの特性が本人に影響を与えることもあるだろう』
困ったものだ。
丸喜のペルソナとお前が戦ったらどっちの方が勝率が高いんだ。
『わからぬ。ペルソナの気配は探れてもどの程度の能力を持っているかは対面してみなければ測ることはできない』
誰かのパレスに誘い込んで殺すのも運次第か。
丸喜の雰囲気的にはそんなにペルソナは強くなさそうだが、そう簡単ではないだろうしな。
現実世界で殺すのはリスクしかないし。
どうするかな。
『そうだ、今日この後空けておけ。面白い場所へ案内しよう』
急に話が変わったが、なんだろう。
また、異世界に連れて行かれるのか。
場所は変わって、渋谷駅。
パレマクリアに言われるまま、駅までやってきた。
『ここら辺りでよかろう。行くぞ』
そう言うと、あたりの景色が一変した。
人が消え、雰囲気もなにか捉えどころのない物に変わっている。
「地下の方だ」
いつのまにか実体化していたパレマクリアについて行く。
なんだこれは
駅の地下は全体的に赤黒くなっており、そこら中に黒い何かが蔦の様に張り付いている。
「ここは、メメントス。いわば、大衆のパレスだ」
大衆の、パレス。
よくわからん。
「人々の歪んだ無意識がこの空間を形作っている。集合無意識の世界だ。降りてみるぞ」
エスカレーターを下り、下の階層に降りて行く。
そこには駅のホームを模した空間が広がっており、奥の方にはシャドウたちが蠢いていた。
「この世界の最下層には我らが求める聖杯が鎮座しておる」
なるほど、ここを全て踏破すれば聖杯の元へと辿り着けるらしい。
何回まであるのか見当がつかないが。
「聖杯は人々の無意識をメメントスを通じて認識し、願いを叶えるはずであった。だが人々の願いは歪み、変質し、誰かに全てを任せ考えることなく生きていたいと言う歪んだ願いが聖杯に届けられた」
「その結果、怠惰な願いを叶えるために、聖杯もまた変質し、統制の神となり人々の自我を奪うことで願いを成就させようとしている」
統制の神と言うのは、聖杯が変質したモノであるらしい。
その聖杯が神としての意識を持ち、管理者に勝負を仕掛け世界を終わらせようとしている。
壮大な話だな。
「それがココ、統制の神の根城メメントスだ」
それでどうするんだ、最下層まで一気に降りて、喧嘩でもふっかけるのか。
「それは今現在できない。統制の神は用心深い、怪盗団が最後の決戦を挑んでくるまで、この世界の下層までの扉は閉ざされたままだ」
王手を掛けるまでは、謁見も叶わないらしい。
「最後はこの場で決戦となろう。それまで励めよ契約者」
そうなると、丸喜のペルソナを食わないとなー。
どうするべきか。