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放課後、雨宮、高巻のクラスに向かっていると、川上に遭遇した。
「あっ、君!ちょっと聞いてよ、君んとこの会長にパシられちゃったよ。校長のお気に入りとか言ってさぁ、教師をアゴで使うってどうよ?」
話を聞くと、新島が生徒会室に件の雨宮を呼び出したらしい。
これは決定的な証拠が出たということだろうか?
確かめなければならない。
会話を切り上げて、生徒会室に向かう。
川上はもう少し話したそうにしていたが、そんな事よりも怪盗団の方が大切だ。
今後の方針が変わる可能性がある。
生徒会室に向かうとすでに中には、新島と雨宮がいるようだった。
周りの生徒に怪しまれるのは割り切って、外から聞き耳を立てる。
「さっきの、警察が聴いたらどう思われるかしらね?君が白状してくれたらここだけの話にしてもいい...」
「話してくれるよね?」
「考えさせてくれ」
「それ認めているのと一緒ね」
電話の着信音が聞こえてくる。
微かに通話の声が聞こえてくるが、外からは詳細までは拾えない。
「お仲間のところへ案内してもらえる?」
どうやら話しが終わったようだ、最後に聞こえた内容からして雨宮に怪盗団の集まりへ案内させるようだ。
外へ出てきそうなので、曲がり角に隠れることにした。
数秒経ってから、新島が雨宮を連れて生徒会室から出てくる。
よし、尾行しよう。
新島と雨宮を尾行してついた先は、駅の連絡通路。
そこには、高巻の他に、金髪の男と黒髪長身の男の三人がたむろしていた。
金髪の方がおそらく坂本という男子生徒だろう。
黒髪の方は見たことがない。カモシダのパレスの時にはいなかったはずだ。
気取られないように少し遠くから監視する。
何事か話し込んでいる様だが、詳細は聞こえない。
少し近づくか?
しかし、俺は秀尽の制服を着ている、もしかしたらがあるかもしれない。
無駄なリスクは犯すべきではないだろう。
そんなことを考えていると、新島は去っていった。
どんな話をしていたんだろうか。
まあ、新島本人から聞き出すことにしよう。
新島にチャットを送る。
『今から送る住所に来い』
指定した住所は駅から近いカラオケ店だ。
そこのカラオケ店は、値段は多少張るが部屋は広めで監視カメラなどもなく、覗き窓も少し高めの所についているので外から見られることもそうない。
学生がラブホ替わりによく使う場所である。
新島は多少ゴネていたが、結局写真を持っている俺に逆らうことはできず、呼び出すことに成功した。
先に到着したようなので、受付を済ませ個室の中に入っておく。
一応、部屋の中を確認したが、カメラの類は見当たらない。
ここなら何をしても大丈夫だろう。
新島にチャットで、先に入っている旨と部屋の番号を伝えて暫く待っていると、ノックの音が響く。
ドアを開くと神妙な面持ちで新島が立っていた。
「入れよ」
「...」
警戒しているのか、あまり来たことがないので物珍しいのか、新島は少し部屋の中を見渡した後、無言で中に入る。
「何の用?」
「まあ、座れよ」
俺が座るように促すと、渋々とシートに腰掛ける。
俺はその隣に腰掛けると、本題を切り出す。
「今日、怪盗団と疑われる人間と何か話してたな」
「っ!尾けてたのね!」
「アイツらの名前は?雨宮と高巻は飛ばしていい」
新島の反応を無視して、情報を聞き出す。
新島は悔しそうな顔をしながら、口を開き始めた。
「金髪の男子が坂本竜司くん。うちの生徒よ。黒髪の方が喜多川祐介くん。件の斑目の弟子よ」
驚いた。
そこまで掴んでいるとは。
斑目を自白させる過程で喜多川とやらが仲間に入ったのだろうか。
「駅の連絡通路で何か話していたがその内容は?」
「彼らが本当に怪盗団であるかの確認よ。それ以外は話していないわ」
本当だろうか?
新島がそれだけで終わるとは考え難い。
俺を標的にするよう依頼したのか?
あり得そうな話だ。
パレスがないので無駄だろうが。名前を出されるのはマズイ。
『ティモリス』
心の中で唱える。
一応、脅すだけ脅しておこう。
「嘘は自分の首を絞めるだけだぞ」
「ひっ...」
新島は顔を青くし、怯えた目つきでダラダラと汗をかき、体を小刻みに震えさせる。
瞳は逃げ場を探す様に、落ち着きがなく左右に行ったり来たりしている。
呼吸もどこか浅い。
殴ってすらないのに、ここまで効果があるもんだったか?
『マルキのペルソナを喰らい力を得ておる故、効果も上昇しておる』
なるほど。
そういえばそうだった。
丸喜の能力な関心を持って行かれて、こいつ自体の能力の向上を検証するのを忘れていた。
俺は新島の、吹き出した汗で濡れ、髪が張り付いた頬に触れる。
そうしている間も新島は震えるばかりで、金縛りにあったように動けないでいた。
「ご、ごめんなさいっ、わ、わたし、あなたの改心を」
新島は涙を流しながら、懺悔の言葉を口にする。
改心?
それが怪盗団がやっている人格を変えて自白させる方法の事か?
「俺の名前は出したのか?」
「い、言ってないわ、本当よ、明日、放課後に話す、つもりだったの」
本当に危ない所だった。
やはり、丸喜の時から運は俺に向いている。
さて、どう対処したものか。
口止めできるだろうか?
恐怖は明日まで持続するモノなのか?
リミットは放課後。
丸喜の能力で記憶を書き換えるか?
どこかで、矛盾を感じて自ら抜け出す様なことがない様にせねば。
朝に呼び出し能力を掛ければ、放課後までは効果が持続するはずだ。
俺への憎しみがなくなる事、かつ改心を依頼させない事が条件だ。
前者は芳澤の様に記憶を書き換えれば良いが、後者の怪盗団に改心を依頼しようとした事自体を書き換えると、放課後の怪盗団との接触まで無くなってしまう。
誰か改心させるに手頃な人物で上書きしないといけない。
そういえば、この頃コイツは生徒からよく相談を受けていたな。
闇バイトだか何だかだったかの。
名前は知らないが、その元締めはうってつけじゃないか。
「おい、闇バイトの元締めの名前は分かるか?」
「し、知らないわ。脅されていて誰も証言しないから、名前は分からないの」
使えねえな。
しかし、他に候補は校長ぐらいしかいないぞ。
校長は怪盗団のやっている改心について、ある程度の知識がある事だろう。
もしかすると、撃退してしまうかもしれない。
ここで怪盗団に倒れられるのは本望じゃない。
しょうがないか。
明日の朝、新島の記憶を上書きしよう。
名前を掴めていない理由もちゃんとある様だし、怪盗団も不自然さを感じる事はまあ、無いだろう。
「明日の朝、登校したら生徒会室に一人でいろ」
「な、なにをするつもり?」
俺は、新島の髪を掴んで立ち上がり、床へ引きずり倒す。
そのまま新島の上に馬乗りになり、首へ手をかける。
体重をかけ、新島の細く白い喉を締め付けていく。
「きゃっ、や、やめ、て」
新島の顔はだんだんと酸欠で赤くなっていく。
必死で逃れようと、足をジタバタさせてみたり、俺の手を掴んでみたりするが、全くの無意味だった。
そこそこの所で手を離す。
「ゲホッ、ゴホッ、はぁ、はぁ」
息を少し整えさせた所で、もう一度首に手をかけ、締め付けて行く。
新島は意表をつかれたのか、目を見開いて俺の顔を瞳に映す。
「あがっ、ぐぎっ」
足はもがく様に、地面を何度も蹴り上げている。
俺の腕に爪が食い込み、新島の限界を知らせる。
俺は死なれても困るので、手を離し新島の気道を解放してやった。
「ゴホッ、ゲホッ、や、やめ、もう、むり、げんか」
無視して、再び首を絞める。
無理というのは嘘つきの言葉だ。
まだ行けるはずだ。
「あぎっ、ぐっ、がぁ」
新島の喉から、声にならない叫びが漏れ聞こえてくる。
抵抗は先程よりも、か弱くなっていた。
盛んに地面を蹴ってもがいていた足も、今はまばらに踵を踏み鳴らすだけだ。
今回は早めに解放してやることにする。
「ゴホッ、ゲホッ、はぁ、はぁ、やめ、死んじゃ」
新島は喉をヒューヒュー言わせながら俺に慈悲を懇願する。
俺は、新島の髪を掴み上げ、顔を近くに寄せる。
「お前は黙って従っておけば良い。いつも姉に任せてそうしてたんだろう?」
「は、はい、分かりました。だ、だから、こ、殺さないで」
新島は恐怖で顔を引き攣らせながら、何度も首を上下させる。
張り合いがないな。
まあいいか。
俺は犯すため、新島の下半身に手を伸ばした。
そうすると、新島は諦めた様に、そっと目を閉じ体を脱力させ、なんの抵抗もせず、なされるがままの状態になるのだった。