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今日はいよいよ作戦の決行日だ。
朝から屋上に芳澤を呼び出し、手紙の入った封筒を渡す。
「これを生徒会長に届けてほしいと言って、川上に渡せ」
「なぜ、川上先生に...」
芳澤は不安げだ。
自分が犯罪の片棒を担いでいるかもしれないので無理もないだろう。
「余計な詮索はするな。お前は言われた通りのことをすれば良い」
「...はい」
後は川上を適当な所に呼び出し、良いタイミングで芳澤に封筒を渡して貰う。
そうだな、呼び出すのは生徒会室にしよう。
朝は基本、誰も使わないため川上も来やすいはずだ。
「今から川上を生徒会室に呼び出す、お前は近くの廊下で待機して川上が通りかかったら封筒を渡せ。良いな」
「分かりました...」
下の階へ降りていき、俺は生徒会室に芳澤は付近の廊下へと向かう。
生徒会室に入った俺は、川上に電話をかけ適当な理由で呼び出す。
暫く待っていると、扉が開き川上が部屋へと入ってくる。
「何?急に」
「大したことでは無いんですけど。直近で空いてる日ありますか?どこか出掛けません?」
決戦の前にデートに誘うのは死亡フラグな気もするが、理由が思い浮かばなかった為しょうがない。
「来週の日曜は空いてるけど、良いの?せっかくの休みなのに」
「僕が誘いたくて誘ってるんですよ。それに、前は釣り堀に連れて行ってもらいましたから」
嘘である。
正直めんどくさい。
女がどこに行けば喜ぶとかよく分からんが背に腹はかえられぬ。
まあ、変な所に連れて行って幻滅されるならそれはそれで構わないが。
「嬉しいわ。楽しみに待ってるから」
川上は微笑みながら、返事を返す。
機嫌も取れたところで仕上げに取り掛かる。
丸喜の能力を使い、川上に封筒を新島に届けなければいけないと言う意識を強く植え付ける。
忘れられたりすれば待ちぼうけ食らうことになるので、念には念をだ。
川上と目を合わせる。
「どこか行きたい所ってありますか?」
「うーん。君に任せるわ」
なんでも良いみたいなのが一番困るんだが。
まあ、それは置いとくとして。
「それじゃあ、場所が決まったらまた連絡しますね」
パレマクリアから完了の合図を受ける。
よし、これで新島には必ず届くだろう。
「あっ、そうだ。新島さんに渡すモノがあるんだった。忘れないうちにやっとかなくちゃ。じゃあ、またね」
そう言って川上は上機嫌で生徒会室から出ていった。
これで最初の関門は突破だ。
その後、再度芳澤を呼び寄せ、手紙のことを記憶から消すことにした。
万が一、駅まで着いてこられることを防止するためだ。
これで下準備は全て完了した。
学校が終わり、駅で待ち構える。
暫くすると、新島の姿が見えた。
一応、他に人間を連れてきていないかどうか暫く観察する。
新島は時計を確認しながら辺りを見渡している。
誰かに連絡を取っている様子も無いし、一人と見て良いだろう。
気を伺い、後ろから声をかける。
「待ち人なら来ないぞ」
「えっ、っ、なんで貴方が」
やってくれ、パレマクリア。
『了解した』
辺りの景色が入れ替わっていく。
数瞬後には、駅の構内は赤黒い空間へと変貌していた。
「これは、メメン」
言い終わる前に、顔に拳を叩き込む。
俺が現れたこと、そしてメメントスの中へと落とされた事に面食らっている新島には、なんとか腕で顔をガードする事しか出来なかった。
新島は衝撃で後ろに突き飛ばされる格好になり、地面に尻餅をつく。
「ヨハンナ!」
追撃を加えようと近づいたところで、新島のペルソナが現れ、辺りが爆発する。
おそらくこれが新島のペルソナの能力なのだろう。
爆発の土煙がはれた後、そこにはバイクにまたがった新島の姿があった。
バイクて。
ペルソナは叛逆の心の現れらしいが、あのバイクが新島の叛逆心の象徴なのだろうか?
不良少年じゃねーんだから。
「あなたは、何者なの...」
お前こそなんだよ、その姿は。
鉄仮面に棘つきの肩パッド、それとゴツいバイク。
北斗の拳かよ。
俺はお前の事が分からなくなったよ。
「パレマクリア、捕えろ」
あのバイクでそのまま逃げられては敵わない。
パレマクリアを呼び出し、あのバイクの機動力をなんとかしてもらう。
「それは、ペルソナなの?」
「そんな矮小なモノと一緒にするな」
触手が新島のペルソナに殺到する。
幾度かは避けることができたが、駅の構内では空間が狭く、行き詰まりバイクの車輪が触手に絡め取られていく。
「くっ、ヨハンナ!」
青い炎のようなモノが新島のペルソナから発射され、パレマクリアに命中するが、パレマクリアは大してダメージを受けていないようだった。
「ぬるいな」
おぉ、さすが神だ。
色々な人間をレイプした甲斐があった。
俺が感心していると、新島はペルソナから飛び降り俺に殴りかかってきた。
「なっ!くっ」
咄嗟のことに腕で体を守るが、メリケンサックのようなゴツい装備で殴られた腕にかなりの衝撃が走る。
合気道やってるんなら素手で戦えよ。
なんだよ、その見たことない武器。
「ハアッ!」
尚も殴りかかってくる新島に蹴りで牽制するが、勢いは止まらない。
こうも接近されてはパレマクリアの触手も同士討ちを避けるために中々使えない。
あのバイクも盛んに抵抗しているし手元が狂う事もあるだろう。
無人で動いてんじゃねーよ。
マズイな。
こうなったら、一か八かだ。
「ティモリス」
幾度となく唱えたその呪文を、初めて声に出し発する。
新島の動きが一瞬止まり、瞳が恐怖に揺れる。
その瞬間を見逃すわけには行かなかった。
新島の顎に向けて、左の拳を突き上げるように振るう。
硬い骨の感触が伝わってくる。
思考が止まった瞬間、意識の外から放たれた拳に新島は反応することができなかったようだ。
顎への衝撃で脳が揺さぶられ、新島は後ろに倒れ伏した。
「俺の勝ちだ、新島」