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翌日、新島真はどうやら学校を休んだらしい。
今日は、球技大会の日であり彼女は生徒会長としてなのか、生来の真面目さなのか、こういったサボられがちのイベントにもキチンと参加するタイプだったため、恐らく昨日のレイプがかなり効いたのだろう。
かくいう俺は契約の恩恵の一つである、身体能力の向上によってそれなりの活躍を見せていた。
それなりの活躍しかできなかったのは、体のスペックに慣れていないからで、センスは関係ないと思いたい。
「副会長ってあんな動けたっけ?結構すごくね」
俺の評価がそこそこ上昇してホクホク顔だ。
ちなみに女子からの声援などは特になかった。
『契約者よ、汝の尽力で我の力もある程度は戻ってきている。』
突然体の中にいるパレマクリアが話しかけてきた。
体の中にいたらいたらで、急に話しかけられてビックリするから考えものだ。
まあ、外にいても鬱陶しいことに変わりはないのだが。
『それ故、先日話した此処ではない異世界にも干渉できる様になった
どうだ、ひとつ異世界というものを見てみるのは』
どうやらペルソナとやらが使えるという、異世界へ招待してくれるらしい。
生徒会長は休みでレイプもできないし、せっかくなので行ってみることにした。
そこら辺にいたクラスメイトに、休憩してくることを伝え誰もいない教室に移動する。
『ここらで良いだろう』
そう言って体の中から出てくると何事かを唱え始めた。
その瞬間周りの景色が一変した。
普段の教室は西洋風の調度品に包まれた高級感のある部屋へと姿を変えていた。
「なんだこれは」
「ここはパレスと呼ばれる異世界」
呆気に取られる俺をよそに、パレマクリアは語り始めた。
「パレスとは、歪んだ欲望を持つ人間が形成するその者だけの世界だ。
それ、惚けるのはそれくらいにしてこのパレスの主人の顔を拝みにいくぞ」
俺は促されるままに、部屋の外へ出た。
外に広がる世界もまた、俺を驚嘆させるに足るものへと変化を遂げていた。
西洋風の建築様式で作られたであろうこの建物は城を想起させた。
「おそらく、パレスの主人は1階にいるだろう」
「なんでそんな事が分かるんだ?」
「それは、この異世界は主人の認知によって出来ているからだ。
今日は学舎で催し事をしていたであろう。同じ様なことがこの世界でも起きているはずだ。」
なんだかよく分からないがそういうことらしい。
「契約者、あれを見てみろ」
先導していたパレマクリアが触手で方向を指し示す。
そこには鎧をまとったナニカが動いていた。
「あれが主人か?」
「違う、あれはシャドウと呼ばれる存在だ。主人の僕の様なモノと思えば良い。せっかくだ、アヤツから場所を聞き出すとしよう」
そういうと、触手を伸ばしシャドウと言われる存在らしい鎧の化け物の首に巻きつけ、一気に俺たちの方へ引き摺り込んだ。
「な、なんだお前たち! ヒッッ!」
シャドウはパレマクリアを見てひどく怯えている様だった。
きっとアイツが恐怖心を増大させているのだろう。
「なに、怯えることはない。お前の主人の居所さえ教えてくれればすぐに解放しよう」
「あ、あっちの方へ真っ直ぐ行けば、ロビーに出る。カモシダ様はそこにいるはずだ...」
シャドウは怯えながらも、自らの主人の居所を指し示し、脱兎の如く逃げていった。
騎士みたいな格好をしている癖に忠誠心はないらしい。
というか、今カモシダとか言ったがあのカモシダなのか。
まあ、良い。行けば分かるだろう。
シャドウに吐かせた通り、真っ直ぐ進むと開けた空間に出た。
シャドウたちに気づかれない様、ドアから覗き込む様にして中を伺う。
そこでは、見知った顔の人間がパンツにマントというとんでもない格好で女を侍らせながら、シャドウたちに演説をしていた。
「マジで、鴨志田だったのかよ」
ドン引きである。
レイプ魔に言われたくないと思うが、相当な変態趣味だ。
「おい、あの変態は本当に鴨志田なのか?」
「そうとも言えるし、違うとも言えるな。あれは、本人の内面を映し出したモノだ。現実世界のカモシダとやらと幾らかの相違はあろう」
「じゃあ、あの格好は奴の露出趣味でも映したのか?」
鴨志田の悪い噂は、部活の指導が体罰じみてるだとかの話を少し聞いたことがある程度で、メダリスト故の熱心な指導をしているのだろうと大した気にしていなかった。
それが、まさか内面にあんな物を隠してるなんて、鴨志田を尊敬してる人間が見たら卒倒しそうだ。
「あの珍妙な格好は自己顕示欲や自信の現れであろうな」
「この世界は主人の歪んだ認知によってできているとか言ってたが、アイツは世界をどう認知しているんだ?」
「おそらく、学舎のことを自分が全て支配する城とでも思っているのだろう。」
傲慢だな。
しかし、生徒や保護者からの人気が高いのは知っていたが、それだけでこんな世界を構築できるほど認知が歪むモノなのだろうか?
まあ、今のところ俺に関係はなさそうなので深く関わらなくても良いのかもしれない。
「それで、俺にこの光景を見せて何がしたかったんだ」
「なに、今後の参考にと思ってな」
「なんだ、今後って?」
俺にもパレスがあるとか言い出すんじゃないだろうな。
嫌だぞ、自分があんな格好をしてるのをみるのは。
「実はな、異世界はもう一つあるのだ。そのもう一つの異世界こそが本命だ。我の目的とも関わってくる。」
「力を取り戻す事じゃないのか」
「その後の話だ。もう一つの異世界には人間の願いを叶える聖杯が置かれている。我の目的はそれよ」
なんだか大層な話だった。
「神様が聖杯に何か願うってのか」
「必要なのは願いを叶えるエネルギーだ。それを手中に収めこの世界に新たな神として君臨するのよ。
その暁には、汝の願いを全て叶えてやろうではないか」
こいつがこの世界の神になるのは世界にとってマイナスになる様な気がしないでもないが、一蓮托生の身である俺は協力するしかないのであった。
「さて、見物も済んだところでそろそろ戻るとするか」
そう言ってパレマクリアは元来た道を帰り始めたので俺も続いていき元の学校へと帰還を果たした。
その後、球技大会はつつがなく終わりを迎え、俺は途中で抜けだしたことから代わりに後片付けの手伝いを頼まれ、しょうがなく片付けに精を出すこととなった。
その日の夜、俺は新島真に明日は学校に来るようにとチャットを送り眠りについた。