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午前中に芳澤を学校の生徒会室に呼び出す。
やはり、新体操の練習があるそうだが、時間は取らせないといって半ば無理矢理に呼び出すことに成功した。
「なんの用ですか...」
「大した用事じゃない、すぐ終わる。お前はHPTCという会社を聞いたことがあるか?」
HPTCの事を印象付けるため名前を出しておく。
「その会社がどうかしたんですか」
「霊感商法で異常に高い石を売りつけている会社だ。うちの生徒も何人か被害者がいる」
生徒に被害が出ているかは全く知らない。
取り敢えず、悪印象のため色々と吹き込んでおく。
どうせ主犯は逮捕されるんだ、反論してくる奴なんていない。
「校長からなんとかしろと言われてな。お前も手伝え」
「なんで私が...」
芳澤の胸ぐらを掴み上げ、壁に押し付ける。
そこまでやる意味はないが、印象付けと目を合わせるために締め上げる。
「うっ...」
「そんな事言える立場か?」
目を合わせ、今日の夜に新宿の御船がいる辺りに行く様に能力をかける。
「じゃあ頼むぞ」
そう言って芳澤を解放してやり、生徒会室から出て行く。
これで仕込みは全て終わった。
後は夜が勝負だ。
時が流れて午後、芳澤がくる前に御船と最後の打ち合わせをする
「そのうちこの女がここ辺りを通るはずだ。準備はいいな」
「はい...」
御船は浮かない顔をしている。
「携帯は常に通話状態にして会話が聞こえる様にしておけ、イヤホンは俺が準備した物を片耳に付けろ」
御船にワイヤレスイヤホンを渡す。
最近のイヤホンは小型軽量化しているし、髪で隠れるだろう。
一連の動きが終わった後に処分するつもりの為、安めのやつだが問題ないだろう。
打ち合わせが終わった後、解散し御船が見えない場所へと移動する。
芳澤に発見されたら終わりのため、出来るだけ人目の着かない場所が良い。
暫く携帯に耳をすませ、じっとしていると、御船の声が聞こえてくる。
『そ、そこのお嬢さんちょっと』
『私ですか?』
『そ、そうです。貴方から悪い気が漂っています。占って行きませんか』
『大丈夫です...用事があるんで』
ファーストコンタクトでは上手く引き込めなかったみたいだ。
見かねて指示を出す。
「御船、今から言うことを繰り返せ。貴方、人間関係、特に悪い人との関係に悩んでいますね」
『貴方、人間関係、特に悪い人との関係に悩んでいますね』
三船は指示通り繰り返す。
『え、なんで...』
「貴方には悪い気が纏わりついています。私の占い通りに行動すれば問題から逃れることができるでしょう」
『貴方には悪い気が纏わりついています。私の占い通りに行動すれば問題から逃れることができるでしょう』
「ど、どうすれば良いんでしょうか...」
興味を引けたらしい。
これでほぼ成功だ。
「御船、なんでも良いから占っているフリをしろ」
カードの擦れる音がする。
タロット占いだろうか。
『うーん、これは...』
『何が分かったんですか?』
芳澤も大分、占いに乗り気だ。
「繰り返せ、先ずは、不安でしょうから私の占いが本物であるか証明しましょう」
『先ずは、不安でしょうから私の占いが本物であるか証明しましょう』
『はい...』
「貴方は最近身近な人に、大きな出来事があったでしょう」
姉が亡くなっているため、心当たりは必ずあるだろう。
亡くなっているだろうとズバリ言っても良かったが、後で騙されていた事を伝える時に不利益になるかも知れないので、ふんわりとした表現にする。
『貴方は最近身近な人に、大きな出来事があったでしょう』
『は、はい。姉が亡くなりました。そんな事も...』
良い感じの反応だ。
このまま行けば、信じ込ませることができそうだ。
「やっぱりそうですか。貴方はそのお姉さんに色々な感情を抱いているでしょう」
これも、玉虫色の表現で伝える。
『やっぱりそうですか。貴方はそのお姉さんに色々な感情を抱いているでしょう』
『はい。姉の事はもちろん尊敬していたんですが、私より優れていた姉に劣等感や嫉妬があったのも事実です』
「信じて頂けましたか」
『信じて頂けましたか』
『はい。本当に占いって有るんですね』
完璧だ。
完全に信じ込ませることが出来ただろう。
「さて、本題の貴方の問題についてですが」
いよいよ本題だ。
『さて、本題の貴方の問題についてですが』
『はい...』
「貴方は、誰かとの関係悩んでいる。できれば縁を切りたいと考えているんじゃないですか?」
『貴方は、誰かとの関係悩んでいる。できれば縁を切りたいと考えているんじゃないですか?』
『はい。そうです。ある人に脅されていて』
芳澤はきっと家族にも言うことが出来なかったであろうことを、今日あったばかりの胡散臭い占い師に告白し始めた。
俺が思っていたより、弱っていたのだろうか。
「これから私の言う通りに行動すれば、その人を貴方から遠ざけることができるでしょう」
『これから私の言う通りに行動すれば、その人を貴方から遠ざけることができるでしょう』
『私は何をすれば』
初めは簡単にできることから始めよう。
「まず、青色の物を身につけなさい。貴方とは逆のイメージを持つものを身に付けることで、あなたに寄ってきた悪いものを遠ざけることができます」
『まず、青色の物を身につけなさい。貴方とは逆のイメージを持つものを身に付けることで、あなたに寄ってきた悪いものを遠ざけることができます』
『分かりました。それをすれば...』
この辺りだと簡単に行動に移せるだろう。
「でも、それだけじゃ縁を切るまでは行かないわ。効果が実感できたらまたきなさい」
『でも、それだけじゃ縁を切るまでは行かないわ。効果が実感できたらまたきなさい』
『はい。分かりました』
「御船、芳澤を帰らせろ。これで終わりだ」
通話を切る。
これで第一段階は完了だ。
芳澤と鉢合わせない様にしばらく待ってから御船の元へ戻る。
「あなたは何をしようと...」
「何度も言わせるな、お前には関係ない」
会話の内容から俺が芳澤を脅している張本人だと分かったのか、不安げだ。
「それで、写真の方は...」
「まだだ、やってもらう事はまだある」
御船は罪悪感に揺れている。
歳の頃は二十歳も言ってなさそうな、いたいけな女子を騙すのは御船の心に迷いを産んでいるらしい。
「別にここで降りても良い。その場合はお前の写真は俺が持ったままだし、別のヤツに占い師役を頼むだけだが」
「分かりました、やります」
初めからそう言っとけ。
あとは芳澤を呼び出して、適当な理由で犯すのをやめれば完了だ。