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今日も芳澤を学校へ呼び出す。
芳澤がくる前に、携帯にアラームを設定しておく。
このアラームがなる頃に押し倒して、裸に剥けば良い感じに電話が来たので中断、という風に見せかけられる。
そうなれば、芳澤は御船に言われた通りにした結果だと思うことだろう。
人は信じたいものだけ信じると言うし、きっとそうなる。
しばらく待っていると、扉が開き芳澤が入ってくる。
「今日はなんの用ですか...」
「HPTCのことは何か分かったか?」
特に意味のない会話で時間を繋ぐ。
「いえ...」
「おい、頼むぞ」
時計を確認する、あと5分と言った所。
特に話すこともないし、もう強行的に行こう。
芳澤を掴み上げ、床に倒す。
「きゃっ」
「痛めつけないと分からないか?」
腹を踏みつけ体重をかける。
「あっぐっ」
芳澤は苦しそうにうめく。
俺は芳澤にまたがり、服に手をかける。
「や、やめ...」
服を脱がしながら横目で腕時計を確認する。
あと二分。
「お願いします...やめて...」
時間を調整しながら、服を捲り上げる。
下着は青色だった。
御船の占いを聞いてだろうか?
そろそろだ。
携帯からアラームの音が鳴りはじめる。
アラームの音は携帯のデフォルト着信音と一緒のものにしてある。
「チッ、誰だ」
携帯を取り出し、部屋の外へ出る。
中の芳澤にも聞こえる様に、気持ち大きめの声で電話をしているフリをする。
「はぁ、今から?分かったよ、すぐ行く」
うんざりとした顔を作りながら、部屋の中へと戻る。
「もう帰っていいぞ、お前」
「は、はい」
芳澤は焦る様な足取りで、部屋から出て行った。
今日から夜は御船の所に張り込みになるか。
すぐに来るかは分からないが、いずれは会いに来るはずだ。
午後に御船に打ち合わせの為、いつもの場所に行く。
「また彼女を騙すんですか...」
「今日来るかは分からんがな、それがお前の役目だ。お前がやるって言ったんだろ」
不満気だが、やって貰わないと困る。
「それはそうですけど...」
「やる事は前と一緒だ。話す内容は俺が指示する」
そう言って、御舟から離れる。
後は、巣を張った蜘蛛が獲物を待つ様にじっとしているだけだ。
暫く流れる汗を拭いながら待っていると芳澤がやって来た。
よし、芳澤に御船の占いについて、信を置かせる事に成功したようだ。
携帯から音声が流れる。
『先生、今日も良いですか』
「適当に会話して、なんで来たか話させろ」
『ええ、貴方ならいつでも歓迎ですよ。今日はどうしたんですか?』
口調は少し硬いが、御船は問題なく指示に従っている。
『先日、先生に占ってもらった、青いものが悪い物を遠ざけるって』
ちゃんと誘導できたみたいだ。
やはりあの下着だったのか。
俺が気づかないだけで、まだ何か身に付けていたんだろうが。
『先生の言う通りにしてみたら、本当に効果があったんです。先生は私の恩人です!』
芳澤はかなり占いを信じてしまったみたいだ。
藁にも縋るというやつだろうか。
愚かな事だ。
「繰り返せ、貴方の強い意志があったからこそですよ。今日も占っていきますか?」
『貴方の強い意志があったからこそですよ。今日も占っていきますか?』
『はい!是非!』
芳澤も乗り気だ。
「占い料をとっておけ」
いつまでも無料で占うのは、不自然だろう。
『私も商売ですから今日はお代も頂きますが、大丈夫ですか?』
『あっ、はい。五千円ですね』
芳澤はすんなりと払ったようだ。
学生にとって、五千円とは結構な金額なような気がするが、それも惜しまないほど御船の占いを信用しているのだろう。
「適当に占ってるフリをしろ」
カードの擦れる音が聞こえる。
今回は芳澤にとって少しハードルのあるものが良い。
そうだな、逆に俺を呼び出すとかどうだろう。
恐怖している相手に自分から会いに行くのは抵抗がある事だろう。
これで行こう。
「占い結果は、脅されている相手に、自分から連絡を取って会いに行くと吉だ。適当に伝えろ」
『そうですね。今回は相手に自ら連絡を取って会いに行くのが良いでしょう』
『自分からですか...』
芳澤は不安そうだ。
まあ、仕方のないことだろう。
「繰り返せ、それを乗り越えた時こそ、新しい展望が開けるのです。自らを乗り越えて新しいステージに登りましょう」
『それを乗り越えた時こそ、新しい展望が開けるのです。自らを乗り越えて新しいステージに登りましょう』
『分かりました。やってみます!』
成功だな。
あとは芳澤がどうコンタクトをとってくるかだ。
「もういいぞ、帰らせろ」
十分だと判断し、通話を切った。
しばらく経ってから、また御船に会いに新宿の街を歩く。
「悪徳占い師も板についてきたじゃないか。いや、元々だったか」
「誰が悪徳ですか。私の占いは本物です」
御船は少し疲れた顔をしながら、憤慨している。
純真な少女を騙すのは精神に来るのだろうか。変な石を売っていた分際で。
「これに名前以外の所を記入しておけ」
そう言って、御船にクレジットカードと口座開設の申し込み書類を渡す。
「なんですかこれ?」
「次はアイツにこの書類を書かせる。住所くらいあるだろうなお前」
まあ、企業に郵送するつもりもないのでなんでも良いんだが。
「ありますよ、失礼ですね。それよりこれをどうするつもりなんですか?」
「何回も言うように、お前には関係ない。お前が逮捕される様なことはないから安心しろ」
御船は不満そうだ。
半ば脅迫して書かせた場合は、何か罪になるんだろうか。
まあ良いや。
「じゃあ、書いとけよ」
俺は駅の方向に歩き始めた。
まだ芳澤を占いに心酔させた方が良いかもしれないが、根が善人の女だ。
頼まれれば書類くらい書くだろう。
それも自分を救ってくれるかもしれない人間だ、嫌われたくないだろうしな。
きっとうまく行くさ。