※この作品はR-18です。

ペルソナ5R(レイプ)   作:しあっと

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96話

明智との対決を終え、帰宅した後、ふと携帯を見てみると、佐倉からチャットが入っていた。

 

『蓮からの指示で、明智の携帯を盗聴する事になった』

 

『蓮は明智が黒い仮面の男だと疑っている』

 

明智の盗聴は俺にとって喜ばしいことだが、なぜ雨宮は明智がクロだと気づいたんだ?

佐倉か奥村がヘタをこいたのか?

 

『なぜ、雨宮は明智が黒い仮面の男だと分かった』

 

『テレビ局の社会科見学で偶然明智に遭遇したらしい』

 

『その時、蓮達とは初対面だったんだが明智はモナの言葉が聞こえていたらしい。明智が最近ペルソナを使えるようになったのなら、時系列がおかしい』

 

「ハハハハ」

 

口から思わず笑いが漏れる。

 

『嬉しそうだな、契約者』

 

「嬉しいんじゃなくて、可笑しいんだよ」

 

ニヤけたまま、佐倉にそのまま雨宮の指示に従うように送って会話を切り上げた。

 

「だって、そうなるとアイツ始めっから終わってたって事だぜ。雨宮が怪盗団を創った瞬間から明智は負けてたんだ。明智がどう策を練ろうが、取り入ろうがハナっから勝ちっこないって事だ。それがどうだ、明智はその事に気づかず、侮り、後一歩で勝てると良い気になってる。勝負にすらなならない。これが笑わずにいられるか」

 

俺にも察知され、雨宮には最初から負けていた。

明智は三者の中で一番劣った位置にいる。

分かっていないのは本人だけだろう。

 

しかし、鍵になったのはあの化け猫か。

初対面で後ろからあの猫に話しかけられていたら、おそらく引っかかっていただろう。

俺も危ない所だったかもしれない。

 

なんにせよ、今日は良い気分で寝れそうだ。

先ほどの明智との交渉は、無駄足だった感が否めないが、それでも怪盗団へのアシストにはなるだろう。

明智が怪盗団を完全に欺けたと思っているのなら、リソースは正体不明の俺たちへと向くはずだ。

不可侵、不干渉といえど、何らかの行動はするだろうし、俺も状況に応じてそうする。

 

一つ問題があるとするならば、土壇場で明智が俺の事を喋るか否かだ。

最後っ屁でダメージを被るのは避けたい。

そうなると、明智が怪盗団に敗北したことが分かったタイミングで仕留めるしかない。

おそらく明智は、怪盗団のネタバラシが終わった後、逃亡するのではなく怪盗団を消そうとするだろう。

怪盗団を直接消して仕舞えば、自分のミスは帳消しになる。

プライドが高いであろう明智はそうする筈だ。

そこで仕留める事になるだろう。

 

まあ、今はそのことを考えてもしょうがない。

怪盗団がどのように動くのかが確定してからでいいだろう。

 

 

10/28

学園祭も終わり、校内も落ち着きを取り戻していた。

壁にはまだクラスで作ったポスターなどが名残惜しそうに揺れていたが、授業は淡々と進み、時間もまた、淡々と過ぎていった。

 

放課後、珍しく芳澤からチャットが入った。

 

『話があります。今日、時間はどうでしょうか?』

 

『大丈夫だ。屋上で待ってろ』

 

能力はもう消えているだろうし、芳澤に呼び出される理由に見当がつかなかった。

昨日、解散した後に何かしらあったのだろうか?

疑問を振り払って屋上へと向かう。

階段を登り、屋上への扉のドアノブを回す。

鍵は掛かっていなかった。

芳澤の方が早く着いていたようだ。

 

「あ...」

 

扉を開け、屋上へと足を踏み入れると、いささか緊張した様子の芳澤が顔をこちらに向けた。

 

「何のようだ」

 

「その...。昨日、私に何か変な事しましたよね。いいえ、昨日だけじゃなくて、ちょっと前も、あなたに目を見られてから、私が私じゃなくなるような、記憶が差し込まれるような...」

 

丸喜の能力の事を言っているらしい。

まあ、流石に気づくだろうな。

以前レイプした時とか、恋人の記憶を植え付けたわけだし。

昨日は姉になったし。

 

「ああ、そうだ。それで?」

 

糾弾するつもりなら、痛めつければ良い。

犯罪性なんて証明できないんだし、大丈夫なはずだ。

これからの展開についてあれこれ考えていると、唐突に芳澤が頭を下げた。

 

「は?」

 

「お願いします。私をかすみで居させて下さい」

 

状況が飲み込めず黙っていると、押しが足りないと思ったのかさらに深く頭を下げた。

 

「なんでもします。お金だって用意します。体だって好きにしてもらって構いません。だから、お願いします...」

 

芳澤の肩は小刻みに震えていた。

両手は強く握りしめられ、指先が白くなっているのが見えた。

 

「まずは、理由を言え。話はそれからだ」

 

「はい...」

 

顔を上げた芳澤の瞳は、涙で潤んでいた。

俺の不興を買って痛めつけられる可能性もあった訳だし、それなりの覚悟はあるらしかった。

 

「私じゃ、すみれじゃダメなんです。かすみじゃないと。かすみだったら新体操だってなんだって私より上手くやった筈なんです。だから...」

 

無言で続きを促した。

 

「昨日、かすみになったまま家に帰ったんです。そしたら、お父さん嬉しそうにしてて。でも今日の朝、私に戻った姿を見たらなんだか、また悲しそうな、辛そうな顔をしてたんです。だったら、私なんていない方が良い、かすみでいた方が私もお父さんも幸せなのかもしれないって」

 

きっと、俺のせいで入学以前より輪をかけておかしかった娘が、明るくなって帰ってきたから嬉しそうにしてただけだろう。

辛そうにしてたのは、朝起きると以前のように死にそうな、追い詰められたような面をしていたからだろう。

それでこいつは勝手に勘違いをし、何もできない、姉よりも劣る妹なんて誰にも望まれてないと解釈したらしい。

 

どうするか。

頭でそろばんを弾く。

メリット、精神の安定。

デメリット、芳澤と接触する時間が増える、不審がられる可能性。

明智が何らかの事を仕掛けてくるかもしれない。

その時には、精神は安定していた方が良いし、二人で特定の時間一緒に行動していれば、俺たちが協力関係にある事の補強になる。

不審がられるのも今更な問題だ。

 

「朝お前が元に戻っていたように、時間制限があるぞ」

 

「かすみでいるのはお父さんと一緒にいる時や新体操をしている時だけで構いません」

 

「記憶を捏造できるんだ、俺に命を握られている事と同等だぞ」

 

「覚悟の上です。それに、また昨日みたいな事があるなら生かしておくはずです」

 

決意は固いようだ。

まあ、完全に自由にできる駒が手に入ったと思っておこう。

これで芳澤が俺に逆らうことは未来永劫ないだろう。

 

「いいだろう。だが、学園が休みの日まで付き合うつもりはない。そこは自分で折り合いをつけろ」

 

「本当ですか!」

 

俺は芳澤の瞳を覗き込んだ。

かける内容三つ、自分をかすみと認識すること、俺へのマイナス感情の一切を無くすこと、この能力について忘れること。

パレマクリアから完了の合図を貰う。

 

「あれ、私、何してたんだっけ?」

 

「知らん。屋上に来たらお前がぼーっとしてたんだ。声をかけても反応が無いから心配したぞ」

 

能力の事を忘れる関係上、先程までの会話は覚えていないらしい。

 

「えっ。す、すいません、ご心配をおかけしました」

 

「別にいいさ。俺はもう帰るから、気が済んだら屋上鍵を返しといてくれ」

 

面倒な事を言われる前に早足で屋上を後にした。

そのまま階段を下り、昇降口に向かう。

今日はもう帰る事にした。

 

『良かったのか?あの小娘を壊れたままにして、今後どうなるか読めんぞ』

 

本格的に壊れて、手綱が握りきれなくなったら殺せば良い。

アイツに死ぬ理由なんて山ほどあるんだし、自殺しようが失踪しようが不自然ではないだろう。

今はまだ、生かしておくメリットの方が大きい。

明智の事もある。

怪盗団の勝利は確実だろうが、俺へのダメージは避けたい。

俺の完璧な勝利を目指すならやっておくべき事だろう。

せいぜい得したぐらいに思っとくよ。

 

 

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